JP5990792B2 - 潜像印刷物 - Google Patents

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本発明は、偽造防止技術を必要とする銀行券、パスポート、有価証券、身分証明書、カード、通行券等のセキュリティ印刷物の分野において、光が入射することで、画像のチェンジ効果、あるいは動画的な視覚効果を生じる、高い真偽判別性と偽造抵抗力を備えた潜像印刷物と、その製造方法に関する。
複数の画像が切り替わる画像のチェンジ効果や、画像が動いて見える動画効果は、人目を引きやすく、また、偽造することが困難であることから、近年、セキュリティ印刷物の真偽判別要素として多く用いられる傾向にある。これらの効果を備えた代表的な技術はホログラムであり、チェンジ効果や動画効果を有する様々な形態で、銀行券やパスポート等の最高のセキュリティが要求されるセキュリティ印刷物にも貼付されて広く用いられている。
一方、ホログラム以外にも、パララックスバリア方式やレンチキュラー方式等の公知技術を用い、これらの技術が備える、わずかな角度変化で画像を変化させられるという特徴を活かして、複数の画像が切り替わる画像のチェンジ効果や、画像が動いて見える動画効果を備えた真偽判別要素も、すでに存在している。
しかし、ホログラムは銀行券を代表とする各種セキュリティ印刷物に用いられているものの、一般的な印刷物と比較すると、製造工程の複雑さと高い製造コストに大きな問題がある。パララックスバリア方式やレンチキュラー方式を用いた真偽判別要素は、クリア層かレンズが必要となることから、基材がほぼプラスティックに限定される上、印刷物には一定の厚み(少なくとも150μm程度)が必要となり、一般に流通する印刷物に許される厚さを超えるため、厚さに制限のある印刷物には用いることができず、一定の厚みが許されるプラスティック製カード以外には採用されない傾向にある。
以上の問題を解決するため、本出願人は、高い光沢を有し盛り上がりを有する画線に光が入射した場合に、盛り上がりを有する画線のうち、入射する光と法線を成す面のみが強く光を反射する現象を利用した、優れた画像のチェンジ効果を備えた印刷技術をすでに出願している(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。この技術は、パララックスバリア方式やレンチキュラー方式の10分の1程度の厚さで形成することが可能であって、製造技術も従来からある製版技術と印刷技術を活用することで容易に実施可能であり、かつ、一般的な印刷物と同じコストで動画的な視覚効果を備えた印刷画像を形成することができるという優れた特徴を有する。
また、これらの技術を応用した技術として、モアレが拡大されて視認できる現象やインテグラルフォトグラフィ方式の画線構成を用いて、特殊な立体的な視覚効果と動画的な視覚効果を実現した技術が存在する(例えば、特許文献3、特許文献4及び特許文献5参照)。この技術は、印刷物の盛り上がりを有する画線上に、微小な文字や記号を連続して配置することで、盛り上がりを有する画線が正反射した場合に文字や記号が拡大されて出現するもので、出現した文字や記号が入射光の角度や観察者の観察位置に応じて立体感を伴いながら左右に動いて見えるという効果を有する。
特許第4682283号公報 特許第4660775号公報 特許第4844894号公報 再表2009−139396号公報 特開2011−126028
特許文献1から特許文献5までに記載の技術は、いずれも印刷で形成した盛り上がりを有する蒲鉾状の画線群の上に、潜像要素群を重ね合わせて形成する技術である。これらの技術の盛り上がりを有する画線と盛り上がりを有する画線の間には非画線部が存在する。仮に、画線と画線の間に非画線部がない場合には、隣合う画線同士が接触し、蒲鉾形状を形成できずに単に平らな印刷皮膜となってしまうことから、この非画線部は必須の構成である。しかし、この必須である非画線部の存在によって、以下のような問題が生じていた。
この問題について、特許文献1から特許文献5までに記載の技術を代表して、特許文献1に記載の技術を中心に、図を用いて具体的に説明する。図27に示すのは、特許文献1に記載の技術であり、基材(2−3)上に形成された盛り上がりを有する複数の蒲鉾状の画線(20−3)の上に、アルファベットの「A」の文字を表す潜像画像と、アルファベットの「B」の文字を表す潜像画像とを含む潜像合成画像(5−3)が重ね合わさって成る。2つの潜像画像のうちのアルファベットの「A」の文字を表す潜像要素A(11A−3)は蒲鉾状の画線(20−3)の右肩に、2つの潜像画像のうちのアルファベットの「B」の文字を表す潜像要素B(11B-3)は蒲鉾状の画線(20−3)の左肩に、それぞれ形成されて成る。ここで蒲鉾状の画線(20−3)は相対的に光沢が高く、潜像要素A(11A−3)及び潜像要素B(11B−3)は相対的に光沢が低い。以上の構成の特許文献1に記載の潜像印刷物(1−3)に対して、右側から光が入射した場合には、アルファベットの「A」の文字のみが光沢差に起因する反射光の強弱によって出現し、逆に左側から光が入射した場合には、アルファベットの「B」の文字のみが光沢差に起因する反射光の強弱によって出現する効果を有する。以上のように、光の入射方向の変化によって、視認できる画像がチェンジする効果を有している。
この潜像印刷物(1−3)は、蒲鉾状の画線(20−3)の上に重なっている潜像合成画像(5−3)に含まれる複数の潜像画像をそれぞれ単独に出現させる効果を有するが、蒲鉾状の画線(20−3)と潜像合成画像(5−3)の間に刷り合わせズレが生じた場合には、その効果が失われる場合がある。具体的には図28に示すように、潜像合成画像(5−3)に含まれるいずれかの潜像要素が、蒲鉾状の画線(20−3)と蒲鉾状の画線(20−3)の間に存在する非画線部(21−3)の上に形成された場合には、その潜像要素のあらわす潜像画像はいかなる角度から光が入射したとしても可視化されないという問題が生じる。この原因は、そもそも潜像画像可視化の原理が蒲鉾状の画線(20−3)と潜像要素(11A−3、11B−3)との間の相対的な光沢差によって生じる反射光の強弱を利用しているために、基材(2−3)が露出した非画線部(21−3)と潜像要素(11A−3、11B−3)の間には、蒲鉾状の画線(20−3)と潜像要素(11A−3、11B−3)の間に生じるような大きな光沢差が存在せず、反射光の強弱が生まれないためである。図28に示す例においては、潜像要素B(11B−3)が非画線部(21−3)に形成されているため、アルファベットの「B」の文字は出現せず、アルファベットの「A」の文字しか出現しない。
以上のような問題を回避する方法として、それぞれの潜像要素(11A−3、11B−3)の幅を非画線部(21−3)の幅よりも大きく設計することで、刷り合わせがずれた場合でもそれぞれの潜像要素(11A−3、11B−3)の少なくとも一部は蒲鉾状の画線(20−3)の上に重なって形成される構成とする方法がある。しかし、この方法ではすべての潜像要素(11A−3、11B−3)の幅を大きくせざるを得ず、結果として付与できる潜像画像の数が少なくなるという問題があった。また、基材(2−3)自体を高光沢な材質としたり、基材(2−3)にあらかじめ高光沢な材料を印刷したりして、非画線部(21−3)の光沢度を向上させて潜像要素(11A−3、11B−3)との光沢差を担保する方法もあるが、基材(2−3)の光沢度と蒲鉾状の画線(20−3)の光沢度を完全に一致させることは難しく、非画線部(21−3)に形成された潜像要素(11A−3、11B−3)と、蒲鉾状の画線(20−3)の上に形成された潜像要素(11A-3、11B−3)の視認性が異なり、違和感が生じてしまうという問題があった。なお、特許文献1の技術を例として用いて問題の説明をしたが、非画線部(21−3)に形成された画像が可視化されないことは特許文献1から特許文献5までの技術すべてが有する問題である。なお、これ以後、非画線部(21−3)に代表されるような、その領域に潜像要素(11A−3、11B−3)が重ねられたとしても、正反射光下においてその潜像要素(11A−3、11B−3)が可視化されない領域を「潜像非可視化領域」と記載する。
また、特許文献1から特許文献5に記載の潜像印刷物の、盛り上がりを有する蒲鉾状の画線を形成するにあたって、商業印刷の分野で広く用いられているオフセット印刷方式で形成した場合にはその効果が低くなる傾向にあり、充分な効果を有した潜像印刷物を得るためには、UVスクリーン印刷方式や凹版印刷方式といった、特殊な印刷方法を用いる必要があるという問題があった。
本発明は、上記課題の解決を目的とするものであり、従来の技術にあった潜像非可視化領域が存在しない潜像印刷物とその製造方法であって、高い刷り合わせ精度や特殊な印刷方式を必要とせず、オフセット印刷方式とエンボス加工の一般的な技術のコンビネーションで形成するものであって、より容易に製造可能であることを特徴とする。
本発明は、基材の少なくとも一部に、明暗フリップフロップ性を備えた光輝性を有する第一の色要素のベタ刷りの反射層が形成され、反射層には、一定幅の凹画線又は凸画線が第一のピッチ、かつ、第一の方向に複数配列された光輝性凹凸画線群が形成され、光輝性凹凸画線群上に、第一の色要素より反射率の低い第二の色要素から成る2個以上の有意情報を含む潜像合成画像が形成され、潜像合成画像は、第一の潜像要素を、第一のピッチ、かつ、第一の方向に複数配列して形成した第一の有意情報を構成する第一の潜像要素群と、第二の潜像要素を第一のピッチ、かつ、第一の方向に複数配列して形成した第一の有意情報と異なる第二の有意情報を構成する第二の潜像要素群から少なくとも成り、第一の潜像要素と第二の潜像要素は、重ならないように配置され、第一の色要素から成る反射層は、第二の色要素から成る潜像合成画像よりも反射率が高く、基材を傾けた角度に応じて、第一の有意情報と、第二の有意情報がそれぞれ単独に出現して視認できることを特徴とする潜像印刷物である。
本発明は、潜像合成画像が、第二の色要素による、第三の潜像要素、第四の潜像要素・・・第nの潜像要素(nは、5以上の整数)の各々の潜像要素を、第一のピッチ、かつ、第一の方向に複数配列して形成した第三の有意情報を構成する第三の潜像要素群、第四の有意情報を構成する第四の潜像要素群・・・第nの有意情報を構成する第nの潜像要素群を更に有し、第一の潜像要素、第二の潜像要素、第三の潜像要素、第四の潜像要素・・・第nの潜像要素の各々が重ならないように配置され、基材を傾けた角度に応じて、第一の有意情報と、第二の有意情報、第三の有意情報、第四の有意情報・・・第nの有意情報がそれぞれ単独に出現して視認できることを特徴とする潜像印刷物である。
本発明は、第一の潜像要素、第二の潜像要素、第三の潜像要素、第四の潜像要素、・・・第nの潜像要素が、反射層の一部を除去することにより形成された白抜き画線であることを特徴とする潜像印刷物である。
本発明は、反射層が、反射層より反射率の低い第三の色要素から成る低光沢層上に形成されたことを特徴とする潜像印刷物である。
本発明は、光輝性凹凸画線群が、エンボスにより形成されたことを特徴とする潜像印刷物である。
本発明は、基材を傾けた角度に応じて、第一の有意情報と、第二の有意情報がそれぞれ単独に出現して視認できることを特徴とする潜像印刷物の作製方法において、基材の少なくとも一部に、明暗フリップフロップ性を備えた光輝性を有する第一の色要素を積層して反射層を形成する工程と、反射層上に、第一の色要素より反射率の低い第二の色要素から成る第一の潜像要素を、第一のピッチ、かつ、第一の方向に複数配列して形成した第一の有意情報を構成する第一の潜像要素群と、第一の潜像要素と重ならないように、第二の色要素から成る第二の潜像要素を、第一のピッチ、かつ、第一の方向に複数配列して形成した第二の有意情報を構成する第二の潜像要素群を各々配置して潜像合成画像を形成する工程と、潜像合成画像が形成された反射層に、一定幅の凹画線又は凸画線を第一のピッチ、かつ、第一の方向に複数配列して形成された凹凸画線群を有する凹凸形状版を反射層の表面又は裏面から加圧し、潜像合成画像が形成された反射層の全面に、凹凸画線群を形成することにより印刷画像を作製する工程から成ることを特徴とする潜像印刷物の作製方法である。
本発明は、潜像合成画像を形成する工程が、更に、第二の色要素により、第三の潜像要素、第四の潜像要素・・・第nの潜像要素(nは、5以上の整数)の各々の潜像要素を、第一の潜像要素、第二の潜像要素、第三の潜像要素、第四の潜像要素・・・第nの潜像要素の各々が重ならないように、第一のピッチ、かつ、第一の方向に複数配列して形成した第三の有意情報を構成する第三の潜像要素群、第四の有意情報を構成する第四の潜像要素群・・・第nの有意情報を構成する第nの潜像要素群を配置する工程を有することを特徴とする潜像印刷物の作製方法である。
本発明は、潜像合成画像を形成する工程が、反射層の一部を除去し、白抜き画線により第一の潜像要素、第二の潜像要素、第三の潜像要素、第四の潜像要素・・・第nの潜像要素を形成することを特徴とする潜像印刷物の作製方法である。
本発明は、反射層を形成する前に、基材の少なくとも一部に、反射層より反射率の低い第三の色要素により低光沢層を形成し、低光沢層上に反射層を形成する工程を有することを特徴とする潜像印刷物の作製方法である。
本発明の潜像印刷物は、潜像非可視化領域が存在しないため、潜像合成画像を付与できる領域が拡大したことで従来の技術に比べてより多くの潜像画像を付与することが可能となった。
また、反射層によって被覆された凹凸画線群と潜像合成画像は単に重なっていればよく、従来のような高精度な刷り合わせが必要なくなった。また、一つの形態では反射層によって被覆された凹凸画線群と潜像合成画像は別々に構成する必要がなく、従来の蒲鉾状の画線群と潜像合成画像に相当する画像を単色刷りで容易に形成することもできる。
従来のような特殊な印刷方式で形成しなくとも充分な効果を有する潜像印刷物を形成可能であって、オフセット印刷とエンボス加工の単純なコンビネーションで形成することができ、コストパフォーマンスが高い。
実施の形態における本発明の潜像印刷物を示す。 実施の形態における本発明の潜像印刷物の概要図を示す。 実施の形態における本発明の潜像印刷物の凹凸画線群を示す。 実施の形態における本発明の潜像印刷物の反射層を示す。 実施の形態における本発明の潜像印刷物の潜像要素群を示す。 実施の形態における本発明の潜像印刷物を正反射させて、視点を変えた場合に視認できる画像を示す。 実施の形態における本発明の潜像印刷物の別の一形態を示す。 本発明の潜像印刷物の作製方法を示す一例図。 実施の形態における本発明の潜像印刷物の印刷順序を示す。 実施の形態における本発明の潜像印刷物の中間生成物を示す。 実施の形態における本発明の潜像印刷物のエンボス加工の一形態を示す。 実施の形態における本発明の潜像印刷物を、すき入れによって形成する一例を示す。 実施の形態における本発明の潜像印刷物の中間生成物の一形態と印刷順序を示す。 実施の形態における本発明の潜像印刷物の中間生成物の別の一形態と印刷順序を示す。 実施の形態における本発明の潜像印刷物の別の一形態を示す。 実施の形態における本発明の潜像印刷物の別の一形態を示す。 実施の形態における本発明の潜像要素群の別の一形態を示す。 一実施例における本発明の潜像印刷物を示す。 一実施例における本発明の潜像印刷物の概要図を示す。 一実施例における本発明の潜像印刷物の凹凸画線群を示す。 一実施例における本発明の潜像印刷物の反射層を示す。 一実施例における本発明の潜像印刷物の潜像要素群を示す。 一実施例における本発明の潜像印刷物を正反射させて、視点を変えた場合に視認できる画像を示す。 一実施例における本発明の潜像印刷物を示す。 一実施例における本発明の潜像印刷物における平坦な反射層と白抜きの潜像合成画像を示す。 一実施例における本発明の潜像印刷物を正反射させて、視点を変えた場合に視認できる画像を示す。 従来の潜像印刷物を示す。 従来の潜像印刷物において刷り合わせにズレが生じた例を示す。
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
(実施の形態1)
本発明における潜像印刷物の基本的な構成について、図1から図5を用いて説明する。図1に、本発明の潜像印刷物(1)を示す。潜像印刷物(1)は、基材(2)上に印刷画像(3)を有してなる。基材(2)は、上質紙、コート紙、プラスティック、金属等、材質は特に限定されない。その他、基材(2)の色彩や大きさについても特に制限はない。印刷画像(3)の色彩については、いかなる色彩でもよく、正反射光下の観察で反射光量が大きいか、または正反射時の観察で視認できる色彩を呈するのであれば、透明や半透明でも問題ない。具体的には反射層(7)の光学特性として後記する。
図2に前述した印刷画像(3)の構成について、概要を示す。印刷画像(3)は、基材に付与された凹凸画線群(6)と、その上に重ねられた反射層(7)と、潜像合成画像(5)とが重ね合わさって成る。潜像合成画像(5)は有意情報から成る潜像画像を少なくとも2つ以上含んで成り、本実施の形態においては第一の潜像画像であるアルファベットの「A」の文字を構成する第一の潜像要素群(8A)及び、第二の潜像画像であるアルファベットの「B」の文字を構成する第二の潜像要素群(8B)を含んで成る。
図3に、基材(2)上に形成された凹凸画線群(6)の一例を示す。凹凸画線群(6)は、一定の幅(W1)の直線を成す凹凸画線(9)が、直線方向と直交する第一の方向(S1方向)に一定のピッチ(P1)で連続して配置されて成る。凹凸画線群(6)は、印刷画像(3)全面に形成される。なお、本例は、凹凸画線(9)は、蒲鉾状の凸形状であるが、凹形状としても良い。
図4に反射層(7)を示す。反射層(7)は、光反射特性に優れた印刷皮膜が、凹凸画線群(6)を含む印刷画像(3)全面を被覆して成る。なお、反射層(7)は、面積率100%(ベタで形成される)で形成することが正反射時の観察で潜像合成画像(5)の視認性を高めるため望ましいが、面積率100%で形成することで発生するムカレやピッキングといった印刷トラブルを避けるために面積率80%前後まで落として形成しても良い。反射層(7)は、凹凸画線群(6)の上に密着した一定膜厚のインキ層から成ることから、反射層(7)には凹凸画線群(6)の立体構造がそのまま反映されている。ここで、説明の便宜のため、基材(2)上に形成された凹凸画線(9)自体と、凹凸画線(9)の立体構造が反映された凹凸構造を有する反射層(7)とを区別するために、凹凸画線(9)の立体構造が反映された反射層(7)を光輝性凹凸画線群(10)と呼ぶ。よって、反射層(7)は、直線方向と直交する第一の方向(S1方向)に一定のピッチ(P1)で連続して配置されて成る、一定の幅(W1)の直線を成す光輝性凹凸画線群(10)を有する。
なお、本実施の形態1では、光輝性凹凸画線群(10)において、その幅(W1)とピッチ(P1)が同じ値となっているが、画線幅(W1)がピッチ(P1)より小さく形成されて、それ以外の領域が従来の潜像印刷物の非画線部のように、盛りあがりのない平坦な領域となったとしても、印刷画像(3)はその全面が光反射特性に優れた反射層(7)で被覆されて成るため、潜像要素との間に充分な光沢差が担保されることから、従来の非画線部のように潜像非可視化領域となるわけではない。そのため、画線幅(W1)とピッチ(P1)が同じ値である必要はない。ただし、盛りあがりがなく、角度変化のない平坦な領域が広くなりすぎると、潜像の出現する傾け角度の範囲が狭くなるか、傾けた場合に出現する潜像の数が少なくなることから、光輝性凹凸画線群(10)の画線幅(W1)とピッチ(P1)は同じか、近い値とすることが望ましい。
次に、反射層(7)に要求される光学特性について説明する。反射層(7)は、光が入射した場合には強く光を反射する特性を有する必要があるため、光輝性を有する第一の色要素により形成される。具体的には、光が入射した場合に明るさ(明度)が上昇する特性、いわゆる明暗フリップフロップ性を有する必要がある。明暗フリップフロップ性は、金インキや銀インキ等の一般的な金属インキや、反射率の高い樹脂を用いることで容易に付与することができる。また、光が入射した場合に明度だけでなく、色相も変化するカラーフリップフロップ性を備えている場合には、潜像の視認性が高まるとともに、潜像に豊かな色彩を付与できるため、より望ましい。カラーフリップフロップ性は、カラーフリップフロップ性を備えた機能性材料をインキ中に配合することで付与できる。カラーフリップフロップ性を備えた機能性材料の具体的な例は後記する。
続いて、潜像合成画像(5)について図5を用いて説明する。潜像合成画像(5)は、正反射時に出現する潜像画像となる複数の有意情報を含んで成る。本実施の形態の例では第一の有意情報である、アルファベトの「A」の文字と、第二の有意情報であるアルファベットの「B」の文字の2つの有意情報を含んでいる。本実施の形態において、第一の有意情報は、図5(b)に示す第一の潜像要素群(8A)によって表され、第二の有意情報は図5(c)に示す第二の潜像要素群(8B)によって表される。第一の潜像要素群(8A)は、一定の画線幅(W2)の第一の潜像要素(11A)が、光輝性凹凸画線群(10)と同じ第一の方向(S1方向)に、同じピッチ(P1)で、連続して配置されて成り、第二の潜像要素群(8B)は、一定の画線幅(W3)の第二の潜像要素(11B)が、光輝性凹凸画線群(10)と同じ第一の方向(S1方向)に、同じピッチ(P1)で、連続して配置されて成る。第一の潜像要素(11A)の画線幅(W2)はすべて同じであり、第二の潜像要素(11B)の画線幅(W3)もすべて同じである必要があるが、第一の潜像要素(11A)の画線幅(W2)と第二の潜像要素(11B)の画線幅(W3)の値は同じであっても良いし、異なっていても良い。
第一、第二の潜像要素(11A、11B)の位置関係について説明する。第一の潜像要素(11A)と第二の潜像要素(11B)は重なりあってはならない。具体的には第一の潜像要素(11A)と第二の潜像要素(11B)は第一の方向(S1)に位相がずれている必要がある。本実施の形態においては、ピッチの半分にあたるP1の2分の1ずれて配置されて成る。仮に、第一の潜像要素(11A)と第二の潜像要素(11B)が重なりあって配置された場合には、正反射光下の特定の観察角度において、第一の有意情報と第二の有意情報が重なり合った不明瞭な画像が出現するため、そのような構成は避けなければならない。
潜像合成画像(5)は、反射層(7)と比較して反射率の低い、低光沢な画像である必要があるため、第一の色要素より反射率の低い第二の色要素により形成される。出現する潜像画像は、反射層(7)と潜像合成画像(5)の相対的な光沢差によってその視認性がほぼ決定されることから、潜像合成画像(5)の反射率は低ければ低いほど正反射光下の観察で出現する潜像画像の視認性を高める上で望ましい。また、通常の観察条件において反射層(7)上の潜像合成画像(5)は不可視であることが望ましいため、物体色を有さない透明や半透明であることが望ましい。ただし、反射層(7)が透明や半透明でなく、特定の物体色による色彩を有している場合には、潜像合成画像(5)が物体色を有していたとしても、反射層(7)の色彩の濃さによって潜像合成画像(5)はカモフラージュされて視認上不可視となるため、反射層(7)の色濃度の半分程度の色濃度を有していても良い。また、潜像合成画像(5)は、反射層(7)より相対的に反射率が低ければ、正反射光下の観察で反射層(7)とは異なる色相の干渉色を呈する(カラーフリップフロップ性を有する。)画像であっても良い。この場合、出現する潜像画像に豊かな色彩を付与することができる。潜像合成画像(5)の形成に適した印刷材料や形成方法については後述する。
潜像合成画像(5)は、図1に示すように反射層(7)の上に密着して形成されるか、あるいは反射層(7)の一部をレーザ加工により切削して形成されて成る。反射層(7)と潜像合成画像(5)の位置関係は、反射層(7)の光輝性凹凸画線群(10)の直線方向と、潜像合成画像(5)の中のそれぞれの潜像要素の方向が一致しなくてはならない。反射層(7)と潜像合成画像(5)がその条件を満たし、反射層(7)の上に潜像合成画像(5)が重なり合っているのなら、反射層(7)と潜像合成画像(5)の位置関係についてその他の制約はない。これは、潜像非可視化領域が存在しない、本発明の潜像印刷物(1)の最大の特徴である。本実施の形態においては図1に示すように、第一の有意情報であるアルファベットの「A」の文字を表す第一の潜像要素(11A)が光輝性凹凸画線群(10)の盛りあがり中心より右側に、第二の有意情報であるアルファベットの「B」の文字を表す第二の潜像要素(11B)が光輝性凹凸画線群(10)の盛りあがり中心より左側に形成されて成る。
続いて、本発明の潜像印刷物(1)の効果について図6を用いて説明する。図6(a)のように右側から潜像印刷物(1)に光が入射した場合、観察者(13)には第一の有意情報であるアルファベットの「A」が視認できる。一方、図6(b)のように、左側から潜像印刷物(1)に光が入射した場合、観察者(13)には第一の有意情報であるアルファベットの「B」が視認できる。以上のように、入射する光の角度の変化に応じて、印刷画像(3)中の画像がチェンジして視認することができる効果を有する。
以上のような効果を生じる理由について説明する。右側から潜像印刷物(1)に光が入射した場合、明暗フリップフロップ性あるいはカラーフリップフロップ性を有し、三次元的な構造を有する光輝性凹凸画線群(10)は、光と法線を成す面のみが光を強く反射する。実施の形態の例のように蒲鉾状の立体構造を有する光輝性凹凸画線群(10)では、光輝性凹凸画線群(10)の画線表面のうち、盛りあがりの中心より右側は光を強く反射して明度、あるいは色相が変化する。光輝性凹凸画線群(10)表面には通常の観察条件では不可視である潜像要素が形成されているが、第一、第二の潜像要素(11A、11B)はマットであり、光が入射したとしても強く光を反射することはない。よって、光輝性凹凸画線群(10)が光を反射して明度や色相が変化した場合、その上に形成された第一、第二の潜像要素(11A、11B)との間の相対的な光沢差による反射光の強弱や、反射光の色相の違いが生じることで、潜像要素(11A、11B)が表す有意情報が可視化される。その一方で、光輝性凹凸画線群(10)の表面のうち、入射した光と法線を成さない、盛りあがり中心より左側表面は光を反射できず光輝性凹凸画線群(10)と第一、第二の潜像要素(11A、11B)との間に反射光の強弱や、反射光の色相の違いは生じない。そのため、光輝性凹凸画線群(10)が反射光を発しなかった場合、その上に形成された第一、第二の潜像要素(11A、11B)は可視化されない。よって、光輝性凹凸画線群(10)表面に重ねられた潜像要素のうち、入射した光と法線を成した面に存在する第一、第二の潜像要素(11A、11B)のみが反射光の強弱や反射光の色相の違いによって可視化され、入射した光と法線を成した面に存在する第一、第二の潜像要素(11A、11B)は可視化されない効果が生じる。これによって、入射する光の角度の変化に応じて、印刷画像(3)中の画像がチェンジして視認することができる効果を生じる。
従来の技術において、光輝性凹凸画線群(10)にあたる凸画線は、インキで形成することから、少なくとも凸形状である必要があり、かつ、蒲鉾状の形状であることが最ものぞましかった。しかしながら、本発明の潜像印刷物(1)の光輝性凹凸画線群(10)の形状は、エンボス加工やすき入れ加工によって形成されるから、図1に示したような蒲鉾状の形状に限定されるものではなく、様々な形状を取り得る。例として、図7(a)や図7(b)のような形状は、従来の技術では形成不可能であり、本発明の潜像印刷物(1)独自の形状となる。図7(a)に示すのは、光輝性凹凸画線群(10)が、正弦波1周期にあたる波形状で形成したものであり、蒲鉾形状のように、ひとつの光輝性凹凸画線群(10)と隣の光輝性凹凸画線群(10)との間の構造に急激な角度変化がないために、傾けて出現する潜像画像の切り替えが極めてなめらかになるという利点を有する。また、図7(b)に示す形態は、凹型の逆蒲鉾形状とすることで、流通させた場合に摩擦を生じて磨耗する可能性のある凸状の蒲鉾形状の問題点を解消した形態である。
次に、本発明の潜像印刷物の作製方法について説明する。図8に示すように、本発明の潜像印刷物の作製方法は、基材(2)の少なくとも一部に、光輝性を有する第一の色要素を積層して反射層(7)を形成する工程(S1)と、反射層(7)に、第二の色要素により、第一の潜像要素を、第一のピッチ、かつ、第一の方向に複数配列して形成した第一の有意情報を構成する第一の潜像要素群と、第二の色要素により第二の潜像要素を、第一のピッチ、かつ、第一の方向に複数配列して形成した第二の有意情報を構成する第二の潜像要素群を重ならないように位相をずらして配置する潜像合成画像を形成する工程(S2)と、反射層(7)に、凸形状又は凹形状を有する凹凸画線(9)を第一のピッチ、かつ、第一の方向に複数配列した凹凸形状版を反射層(7)の表面又は裏面から加圧して凹凸画線群(6)を形成することにより印刷画像(3)を作製する工程(S3)から成る。
反射層(7)を形成する工程(S1)は、基材上(2)又は反射層(7)より反射率の低い第三の色要素より形成された低光沢層上に光輝性を有する第一の色要素を印刷、蒸着、貼付等により形成する。
潜像合成画像(5)を形成する工程(S2)は、第二の色要素から成る第二の潜像要素を印刷、レーザにより第一のピッチ、かつ、第一の方向に複数配列して第二の有意情報を構成する第二の潜像要素群が重ならないように位相をずらして反射層(7)上に配置する。また、潜像合成画像(5)は、三つ以上の潜像要素群により形成、すなわちn個の潜像用要素群により形成することができるため、潜像合成画像(5)を三つ以上の潜像要素群により形成する場合は、潜像画像合成画像(5)を形成する工程(S2)において、反射層(7)に、第二の色要素により、第三の潜像要素、第四の潜像要素・・・第nの潜像要素を、第一のピッチ、かつ、第一の方向に複数配列して形成した第三の有意情報を構成する第三の潜像要素群、第四の有意情報を構成する第四の潜像要素群・・・第nの有意情報を構成する第nの潜像要素群をそれぞれが重ならないように位相をずらして配置する。
印刷画像を作製する工程(S3)は、潜像合成画像(5)を形成した反射層(7)の表面又は裏面から、凹凸画線(9)を第一のピッチ、かつ、第一の方向に複数配列した凹凸形状版を加圧し、エンボス又はすき入れにより凹凸画線群(6)を反射層(7)に形成する。
続いて、本発明の潜像印刷物(1)の作製方法の一例を具体的に説明する。本発明の潜像印刷物(1)を特許文献1から5までに記載の従来技術の潜像印刷物と比較すると、印刷画像(3)に存在する凹凸構造がインキ由来のものではなく、基材由来であることが最大の差異となる。よって、作製方法においては、印刷以外の方法で凹凸を形成する方法が本発明の特徴となる。凹凸を付与する方法の代表的な例としては、エンボス加工、切削加工、すき入れ加工等が存在する。いずれの方法を用いても本発明の潜像印刷物(1)を作製することは可能であるが、ここでは特にエンボス加工を用いて作製する方法について具体的に説明する。
図9に本発明の潜像印刷物(1)をエンボス加工によって作製する場合の、最初の作業工程を示す。まず、平坦な基材(2)の上に、平坦な反射層(14)を形成する。この平坦な反射層(14)は、一定の面積率(80〜100%)で濃淡の変化を有しないフラットな画像で形成されることが望ましい。なお、凹凸構造を有した反射層(7)と、この平坦な反射層(14)の違いはその表面の立体構造のみである。また、平坦な反射層(14)の形成方法は、第一の色要素にインキを用いて印刷により形成する方法に限定されるわけではなく、第一の色要素をスプレーによる吹き付けやコーティング等でも良いし、フィルムを第一の色要素として貼付する方法を用いても良い。以上のような構成の平坦な反射層(14)の上に、マットなインキによって潜像合成画像(5)を重ねて形成する。印刷で潜像合成画像(5)を形成する場合の、透明でマットな印刷材料の代表例としてはマットニスやマットメジュウムが存在し、これは、あらゆるオフセットやフレキソ、グラビア、スクリーン印刷等のあらゆる方式に対応したインキが一般に販売されている。また、潜像合成画像(5)に色彩(物体色)を付与したい場合にはマットニスをベースに必要に応じて顔料を添加して色彩を付与しても良い。一方、潜像合成画像(5)を正反射時に特定の干渉色を呈する(カラーフリップフロップ性を有する)機能性材料で形成しても良い。このような機能性材料を用いて潜像合成画像(5)を形成した場合には、正反射光下の観察で出現する潜像画像に豊かな色彩を付与できる。そのような機能性材料については後述する。
また、潜像合成画像(5)は、第二の色要素を印刷により形成する以外に、レーザー照射によって凹凸構造を有した反射層(7)あるいは平坦な反射層(14)の表面を切削することによる白抜き、レーザ―のエネルギーによる材料変質により第二の色要素を形成することもできる。レーザー照射のタイミングは、凹凸構造が形成される前でも、形成された後でも良い。レーザーが照射された領域は、反射層(7、14)の表面の樹脂が削れられてマットになったり、機能性材料が破壊されてカラーフリップフロップ性が失われたりすることから、レーザーを照射した反射層(7、14)とレーザーを照射していない反射層(7、14)との間に大きな光沢差や色相の違いを作り出すことができる。反射層(7、14)が透明な場合には炭酸ガスレーザーを用いることが好ましく、反射層(7、14)が物体色を有している場合にはエキシマレーザーやYVOレーザーを使用し、反射層(7、14)の吸収波長にあわせてレーザーの波長を変えることが望ましい。
以上のような作製方法の最初の作業工程によって、図10に示す中間生成物(15)が形成される。この中間生成物(15)は凹凸のないフラットな構成であり、平坦な反射層(14)の上に潜像合成画像(5)が重ね合わされてなる。中間生成物(15)を印刷で形成する場合を考えると、この形態までは一般的な金属インキとマットニスを用いたオフセット印刷2色刷りでも形成でき、これは通常の商業印刷用の印刷機で特別な材料も特別な設備も必要なく、安価に製造できることを意味する。
続いて凹凸を形成するエンボス加工について説明する。エンボス加工は、図11(a)に示すようなメス型で形成する方法と、オス型、メス型の噛み合わせで形成する方法が考えられる。基本的には、基材(2)に型(16)を押し付けて適切な圧力をかけて、基材(2)を型(16)に沿った形で塑性変形させれば良い。必要となる圧力は基材(2)の材質や型(16)の形状等によって異なり、それらに応じて適切な値をその都度確認する必要がある。なお、加工方法や加工の圧力、型(16)の形状によっては、基材(2)裏側の印刷画像(3)と対を成す領域に凹凸画線群(6)と逆の凹凸構造が転写される場合があるが、本発明の潜像印刷物(1)の効果自体に影響を与えるものではなく、そのような形態も本発明の範囲に入ることは言うまでもない。
エンボス加工自体は特に難しい加工方法ではなく、一般的なプレス機を用いて形成すれば良い。プレス機を用いる以外にも、基材に適切な圧力を与えられる方式であれば如何なる方法を用いても良い。また、特開2008−114594「枚葉印刷機において枚葉紙状基材を仕上げ加工するための装置および方法」や、特開2005−132115「組合せ印刷機」、特開2010−201812「印刷機」に記載の印刷機などの、エンボス加工装置を組み込んだ印刷機であれば、印刷機上で中間生成物(15)を印刷してそのままエンボス加工までを一気に行うことができ、単一の工程で本発明の潜像印刷物(1)を迅速に、かつ、安価に製造することができる。これは、スクリーン印刷機や凹版印刷機等の特別な印刷機を必要としていた特許文献1から特許文献5までに記載の従来技術との大きな差異である。
なお、前述の説明では、印刷して中間生成物(15)を作製した後、エンボス加工をする方法について説明したが、図12に示すように、あらかじめエンボス加工をした凹凸画線群(17)を有する基材(2)に後から平坦な反射層(14)と潜像合成画像(5)を重ねて印刷をしても何ら問題ない。レーザー照射による切削加工やすき入れ法のような、凹凸を形成する場合の基材(2)表面上の画像に何らかの影響を与える加工方式を用いる場合には、図12に示すような手順で作製することが望ましい。
(実施の形態2)
また、中間生成物(15)の構成として、実施の形態1で説明した、平坦な反射層(14)の上に潜像合成画像(5)が重ねられた形態とは異なる形態について図13及び図14に示す。図13に示す形態の中間生成物(15´)は、平坦な反射層(14)の上に別のインキによって潜像合成画像(5)が重ねられるのではなく、平坦な反射層(14)の中に潜像合成画像(5)にあたる画像が白抜きの画線(非画線)で一体に付与される形態である。特許文献1から特許文献5までに記載の従来技術では、レーザー照射によって凸画線を切削する方法以外では、潜像合成画像(5)を平坦な反射層(14)に形成するインキとは別の異なるインキを用いて形成する必要があった。本来、潜像合成画像(5)は、凸画線表面に光沢度や色相の異なる画線で形成されていればよく、必ずしも異なるインキで別々に印刷して形成する必要はないのだが、立体的な構造を有する凸画線を印刷するとともに、その凸画線上の一部分のみに光沢度や色相の異なる画線を同時に形成することは困難であり、再現性の高い実用的な方法は異なるインキを用いて印刷する方法以外にはレーザー照射による切削しか存在しなかった。そのため、凸画線を印刷したのちに、潜像合成画像(5)を異なるインキで印刷したり、あるいはレーザー照射によって凸画線を切削加工する必要があり、少なくとも2色の印刷を行うか、印刷工程を経たのちにレーザーを照射する工程を経る必要があった。
しかし、本発明の製造方法では凹凸構造をエンボス加工、レーザー照射又はすき入れによって施すことから、反射層自体は、凹凸構造のない平坦な形状で良い。一回の印刷によって、立体的な構造を有する蒲鉾状の画線と、その画線表面の一部分に存在する潜像合成画像とを形成することは不可能だが、平坦な反射層(14)中に、潜像合成画像(5)にあたる画像を白抜き画線で付与することはできる。印刷された画像において、白抜き画線にあたる領域は、基材(2)が露出することになるが、基材(2)が平坦な反射層(14)よりも低光沢であれば、平坦な反射層(14)と基材(2)との相対的な光沢差によって、白抜きの潜像合成画像(18)は暗く、それ以外の平坦な反射層(14)は明るく見えるため、反射光の強弱が生じる。よって、基材(2)が一般的な上質紙やコート紙等であれば平坦な反射層(14)よりも低光沢となるため、潜像画像が可視化されて、本発明の効果が生じ得る。よって、図13(c)に示すように、基材(2)上に白抜きの潜像合成画像(18)を含む平坦な反射層(14)を印刷するだけで、中間生成物(15´)を形成することができる。
また、基材(2)が平坦な反射層(14)よりも相対的に高い光沢度を有するプラスティックや金属である場合、図14(c)に示すように、平坦な反射層(14)より反射率の低い第三の色要素を使用したマットな下地層(19)をあらかじめ形成した上に、白抜きの潜像合成画像(18)を含んだ平坦な反射層(14)を形成することで、図14(a)に示す中間生成物(15´´)を作ることができる。
なお、このような中間生成物(15´、15´´)を形成する場合、潜像合成画像(18)の白抜き画線は基材(2)の色が反映されることから、通常の観察条件下での白抜きの潜像合成画像(18)の隠蔽性を考えると、平坦な反射層(14)は、基材(2)と等色か、あるいは透明、もしくは半透明な色彩で形成することが望ましい。
以上のように、白抜きの潜像合成画像(18)を含んだ平坦な反射層(14)の構成を用いることで、平坦な反射層(14)と潜像合成画像(5)を別々に印刷することなく、中間生成物(15´、15´´)を形成することができる。中間生成物(15´、15´´)は、エンボス加工することで図15(b)及び図15(c)に示すような断面構造を有する潜像印刷物(1´、1´´)となる。
なお、本発明の潜像合成画像(5)を、これまで2つの潜像画像が含まれる形態でのみ説明したが、潜像合成画像(5)の構成はこの形態に限定されるものではない。特許文献1の特許第4682283号公報及び特許文献2の特許第4660775号公報に記載の画線構成を用いることで、3つ以上の潜像画像も容易に付与することができる。ここで一例として、以下に3つの潜像画像が含まれる潜像印刷物(1)を形成する形態について図16及び図17を用いて説明する。
図16に示すのが、3つの潜像画像が含まれる潜像印刷物(1)の概要図である。本潜像印刷物(1)は、傾けて観察することで、これまで同様にアルファベットの「A」の文字を表す第一の潜像要素群(8A)とアルファベットの「B」の文字を表す第二の潜像要素群(8B)に加えて、さらにアルファベットの「C」の文字を表す第三の潜像要素群(8C)の3種類の潜像要素群がそれぞれ別々に出現する効果を有する。本潜像印刷物(1)と、実施の形態1で説明した潜像印刷物(1)は、図16の点線で囲んだ構成、すなわち潜像合成画像(5)のみ構成が異なる。
図17に3つの潜像画像が含まれる潜像合成画像(5)の具体的な構成を示す。図17(a)に示すのは、潜像合成画像(5)であり、アルファベットの「A」の文字を表す第一の潜像要素群(8A)、アルファベットの「B」の文字を表す第二の潜像要素群(8B)及びアルファベットの「C」の文字を表す第三の潜像要素群(8C)を含んで成る。アルファベットの「A」の文字を表す第一の潜像要素群(8A)は、画線幅W2の第一の潜像要素(11A)が第一の方向にピッチP1で連続して配置されて成り、アルファベットの「B」の文字を表す第二の潜像要素群(8B)は、画線幅W3の第二の潜像要素(11B)が第一の方向にピッチP1で連続して配置されて成り、アルファベットの「C」の文字を表す第三の潜像要素群(8C)は、画線幅W4の第三の潜像要素(11C)が第一の方向にピッチP1で連続して配置されて成る。それぞれの潜像要素(11A、11B、11C)は、第一の方向にピッチPの3分の1の距離だけ位相がずれ、お互いに重なり合うことはない。
以上のような構成の潜像合成画像(5)を実施の形態1で示したように反射層上に重ね合わせて印刷し、エンボス加工をすることで、3つの潜像画像が含まれる潜像印刷物(1)を形成することができる。この例においては、ピッチP1の3分の1だけお互いの潜像要素の位相をずらしたが、お互いに重なり合わず、それぞれの潜像要素が1ピッチ中に収まるのであれば位相のずらし量については特に制約はない。以上の構成の潜像合成画像(5)を形成することで3つの潜像画像を有する潜像印刷物(1)を形成することができる。
また、ここでは一例として3つの潜像画像が出現する構成について説明したが、3つ以下の潜像画像の数に限定するものではない。すなわちn個の潜像画像を付与するのであれば、第一の潜像要素群から第nの潜像要素群までを有する潜像合成画像(5)を構成し、それぞれの潜像要素が重なりあわないように配置すれば良い。
また、本発明の潜像印刷物(1)の構成は、潜像が別々に出現する効果だけに留まらず、潜像合成画像(5)に、特許文献3の特許第4844894号公報や特許文献4の再表2009−139396号公報に記載の技術のように、圧縮した微細な画線や画像を蒲鉾状画線とわずかにずれたピッチで連続配置することによってモアレ画像を出現させる画線構成を用いたり、特許文献5の特開2011−126028号公報に記載のインテグラルフォトグラフィ方式の画線構成を用いれば、出現する潜像画像に動画的な視覚効果を付与することができる。これらの形態はいずれも本発明の技術的範囲に含まれることはいうまでもない。
反射層(7、14)や潜像合成画像(5)にカラーフリップフロップ性を付与するための機能性材料の一例としては、パール顔料、コレステリック液晶、ガラスフレーク顔料、金属粉顔料及び鱗片状金属顔料等が考えられる。特にパール顔料のうち、虹彩色パール顔料と呼ばれる、物体色を有さずに正反射の観察時に特定の干渉色を呈するパール顔料は、優れたカラーフリップフロップ性を有するだけでなく、印刷しても無色透明又は半透明であることから本発明のあらゆる形態に適している。
エンボス加工で形成する凹凸画線の盛り上がりの高さは、特に制限するものではないが流通適性を考えると1mm以上の高さを有することは望ましくない。反射層(7、14)をインキ皮膜によって形成する場合には2μm以上1mm以下であることが望ましい。
本発明の潜像印刷物における全ての構造や画線に共通する一定のピッチ(P1)は、0.01mm以上5.0mm以下で形成することが望ましい。0.01mm以下のピッチで、潜像要素に2μm以上の盛り上がりを形成する場合には、一般的な印刷で再現できる潜像要素のピッチとしてはほぼ限界のピッチであり、印刷物品質の安定性に欠ける上に、たとえ、0.01mm以下のピッチで潜像要素を形成できた場合でも、ほとんどの場合、出現する潜像画像の視認性が極端に低くなるため適当ではない。また、逆に、5.0mm以上のピッチで形成した場合には、潜像画像として再現できる画像の解像度が極端に低くなってしまうため同様に適切ではない。
また、潜像合成画像(5)を印刷で形成する場合は、使用する第二の色要素のインキの光沢度の低い方が、反射層(7)との光沢の違いによって潜像画像の視認性は向上することから、よりマットなインキ樹脂を選択することが望ましい。加えて、第二の色要素にパールインキを用いて潜像要素群を形成することも可能であるが、反射層(7)を形成する第一の色要素にパールインキを使用する場合には、これとは異なるパールの干渉色か、より低いパール効果を有するインキを用いることが好ましい。潜像合成画像(5)を印刷で形成する場合には、比較的高解像度な印刷が可能なオフセット印刷方式やフレキソ印刷方式等が適しているほか、インクジェットプリンターやレーザプリンター等のデジタル印刷機を用いて形成することも可能である。これらのデジタル印刷機を用いる場合には一枚一枚異なる情報を与える可変情報を容易に付与できるという特徴がある。
以下、前述の発明を実施するための形態にしたがって、具体的に作成した潜像印刷物の実施例について詳細に説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
実施例1について、図18から図23を用いて説明する。図18に、本発明の潜像印刷物(1−1)を示す。潜像印刷物(1−1)は、基材(2−1)上に銀色の印刷画像(3−1)を有してなる。基材(2)には、一般的なコート紙(日本製紙製)を用いた。なお、図18中では、説明の便宜上、潜像合成画像(5−1)が印刷画像(3−1)中に視認できる形態で付与されているが、潜像合成画像(5−1)は実際には不可視である。
図19に印刷画像(3−1)の構成について、概要を示す。印刷画像(3−1)は、基材に付与された凹凸画線群(6−1)と、その上に反射層(7−1)と、潜像合成画像(5−1)とが重ね合わさって成る。潜像合成画像(5−1)は第一の潜像画像であるアルファベットの「A」の文字を構成する第一の潜像要素群(8A−1)及び、第二の潜像画像であるアルファベットの「B」の文字を構成する第二の潜像要素群(8B−1)を含んで成る。
図20に、基材(2−1)上に形成した凹凸画線群(6−1)を示す。凹凸画線群(6−1)は、幅0.4mmの直線を成す凹凸画線(9−1)が、直線方向と直交する第一の方向(S1方向)にピッチ0.4mmで連続して配置されて成る。凹凸画線(9−1)の高さは約10μmである。
図21に反射層(7−1)を示す。反射層(7−1)は、第一の色要素として銀色の反射特性に優れた印刷皮膜で、凹凸画線群(6−1)を含む印刷画像(3−1)全面を被覆して形成した。反射層(7−1)は、凹凸画線群(6−1)の上に密着した一定膜厚のインキ層から成ることから、反射層(7−1)には凹凸画線群(6−1)の立体構造がそのまま反映されている。ここで、実施の形態での説明同様に、基材(2−1)上に形成された凹凸画線(9−1)自体と、凹凸画線(9−1)の立体構造が反映された凹凸構造を有する反射層(7−1)とを区別するために、凹凸画線(9−1)の立体構造が反映された反射層(7−1)を光輝性凹凸画線群(10−1)と呼ぶ。よって、反射層(7−1)は、直線方向と直交する第一の方向(S1方向)にピッチ0.4mmで連続して配置されて成る、幅0.4mmの直線を成す光輝性凹凸画線群(10−1)を有する。反射層(7―1)は、銀色の色彩を有し、光が入射した場合に、明度が大きく上昇する、優れた明暗フリップフロップ性を備えて成る。
続いて、潜像合成画像(5−1)について図22を用いて説明する。潜像合成画像(5−1)は、第一の有意情報である、アルファベトの「A」の文字と、第二の有意情報であるアルファベットの「B」の文字の2つの有意情報を含む。第一の有意情報は、図22(b)に示す第一の潜像要素群(8A−1)によって表され、第二の有意情報は図22(c)に示す第二の潜像要素群(8B−1)によって表される。第一の潜像要素群(8A−1)は、画線幅0.15mmの第一の潜像要素(11A−1)を、光輝性凹凸画線群(10−1)と同じ第一の方向(S1方向)に、ピッチ0.4mmで、連続して配置して成り、第二の潜像要素群(8B−1)は、画線幅0.15mmの第二の潜像要素(11B−1)を、光輝性凹凸画線群(10−1)と同じ第一の方向(S1方向)に、ピッチ0.4mmで、連続して配置して成る。第一の潜像要素(11A-1)と第二の潜像要素(11B−1)は、第一の方向(S1方向)にピッチの半分にあたる0.2mmだけずらして構成とした。以上のような構成の潜像合成画像(5−1)を第二の色要素として透明インキによる低光沢な画線で形成して成る。
反射層(7−1)と潜像合成画像(5−1)は密着して成り、第一の有意情報であるアルファベットの「A」の文字を表す第一の潜像要素(11A−1)が光輝性凹凸画線群(10−1)の盛りあがり中心からみて右側に、第二の有意情報であるアルファベットの「B」の文字を表す第二の潜像要素(11B−1)が光輝性凹凸画線群(10−1)の盛りあがり中心からみて左側に形成されて成る。以上が本発明の潜像印刷物(1−1)の構成である。
続いて、本発明の潜像印刷物(1−1)の作製方法を記載する。作製方法については実施の形態で示した図を用いて説明する。本発明の潜像印刷物(1−1)は、まず図9に示した順序で基材(2)に平坦な反射層(14)を銀インキ(ニューチャンピオン シルバー DIC製)によってオフセット印刷で形成したのち、平坦な反射層(14)上に、潜像合成画像(5)をマットニス(マットメジウム T&K TOKA製)によって同じくオフセット印刷で重ね合わせて図10に示す中間生成物(15)を作製した。続いて、ステンレス鋼にレーザーマーカー(MD―V9600 キーエンス製)で図11(a)に示したような逆蒲鉾形状の凹凸形状を彫刻したメス型(16)とフラットな鋼材とで挟みこみ、カードラミネーター(CP1300H Hutten holscher maschinenbau GmbH製)を用いて加圧し、中間生成物(15)にエンボス加工を施した。なお、使用したメス型(16)の逆蒲鉾部の最大深度は鋼材表面から約10μmの深さであった。このとき、中間生成物上の潜像合成画像(5)上の直線の方向と、型(16)上の直線の方向が完全に一致するように位置合わせを行った。以上のような作製方法で本発明の潜像印刷物(1−1)を作製した。
続いて、本発明の潜像印刷物(1−1)の効果について図23を用いて説明する。図23(a)のように右側から潜像印刷物(1−1)に光が入射した場合、観察者(13−1)には明るい銀色の光の中に、第一の有意情報であるアルファベットの「A」の文字が周囲より暗い状態で視認された。一方、図23(b)のように、左側から潜像印刷物(1−1)に光が入射した場合、観察者(13−1)には明るい銀色の光の中に、第二の有意情報であるアルファベットの「B」の周囲より暗い状態で視認された。以上のように、入射する光の角度の変化に応じて、印刷画像(3−1)中に視認できる画像がチェンジする効果を有することを確認できた。
実施例2について、図24から図26を用いて説明する。本実施例2は、オフセット印刷1色刷りで中間生成物(15)を作製し、エンボス加工によって潜像印刷物(1−2)を作製した例である。反射層(7―2)を形成する第一の色要素にパールインキを使用し、白抜きの潜像合成画像(18−2)を形成する第二の色要素としては、白抜き画線を使用した。図24に、本発明の潜像印刷物(1−2)を示す。潜像印刷物(1−2)は、基材(2−2)上に無色透明の印刷画像(3−2)を有して成る。基材(2−2)には、一般的なコート紙(日本製紙製)を用いた。なお、図24中では、説明の便宜上、白抜きの潜像合成画像(18−2)が印刷画像(3−2)中に視認できる形態で付与されているが、白抜きの潜像合成画像(18−2)は実際には不可視である。
印刷画像(3−2)は、白抜きの潜像合成画像(18−2)を有する反射層(7−2)と、凹凸画線群(6−2)が重なり合って成る。また、凹凸画線群(6−2)上には反射層(7−2)が重なり合って成る。凹凸画線群(6−2)と反射層(7−2)の構造は実施例1で図20と図21に示したものと同一であるため、ここでは説明を省略する。図25に、潜像印刷物(1−2)にエンボス加工を施す前の中間生成物(図示せず)における、平坦な反射層(14−2)中の白抜きの潜像合成画像(18−2)の構成について示す。平坦な反射層(14−2)の中の白抜きの潜像合成画像(18−2)は非画線で形成されて成る。白抜きの潜像合成画像(18−2)は第一の潜像画像であるアルファベットの「A」の文字を構成する第一の潜像要素群(8A−2)及び、第二の潜像画像であるアルファベットの「B」の文字を構成する第二の潜像要素群(8B−2)を含んで成る。第一の潜像要素群(8A−2)は、画線幅0.15mmの白抜きの第一の潜像要素(11A−2)を、光輝性凹凸画線群(10−2)と同じ第一の方向(S1方向)に、ピッチ0.4mmで、連続して配置して成り、第二の潜像要素群(8B−2)は、画線幅0.15mmの白抜きの第二の潜像要素(11B−2)を、光輝性凹凸画線群(10−2)と同じ第一の方向(S1方向)に、ピッチ0.4mmで、連続して配置して成る。第一の潜像要素(11A-2)と第二の潜像要素(11B−2)は、第一の方向(S1方向)にピッチの半分にあたる0.2mmだけずらした構成とした。以上のような構成の潜像合成画像(5−2)が平坦な反射層(14−2)の中に白抜きの画線(非画線)によって形成して成る。なお、平坦な反射層(14−2)は、無色透明であり、光が入射した場合に、やや青白い干渉色を呈する、優れたカラーフリップフロップ性を備えて成る。
第一の有意情報であるアルファベットの「A」の文字を表す白抜きの第一の潜像要素(11A−2)が凹凸画線群(6−2)の盛りあがり中心からみて右側に、第二の有意情報であるアルファベットの「B」の文字を表す白抜きの第二の潜像要素(11B−2)が凹凸画線群(6−2)の盛りあがり中心からみて左側に形成されて成る。以上が本発明の潜像印刷物(1−2)の構成である。
続いて、本発明の潜像印刷物(1−2)の作製方法を記載する。作製方法については実施の形態で示した図を用いて説明する。本発明の潜像印刷物(1−2)は、まず図13(c)に示した順序で基材(2)に白抜きの潜像合成画像(18)を有する平坦な反射層(14)を、パールインキ(ファインインキ パールメジューム DIC製)を使用し、オフセット印刷で形成して図13(a)に示す中間生成物(15’)を作製した。続いて、ステンレス鋼にレーザーマーカー(MD―V9600 キーエンス製)で図11(a)に示したような逆蒲鉾形状の凹凸形状を彫刻したメス型(16)とフラットな鋼材とで挟みこみ、カードラミネーター(CP1300H Hutten holscher maschinenbau GmbH製)を用いて中間生成物(15’)にエンボス加工を施した。なお、使用したメス型(16)の逆蒲鉾部の最大深度は鋼材表面から約10μmの深さであった。このとき、中間生成物(15’)上の白抜きの潜像合成画像(18)上の直線の方向と、型(16)上の直線の方向が完全に一致するように位置合わせを行った。以上のような作製方法で本発明の潜像印刷物(1−2)を作製した。
続いて、本発明の潜像印刷物(1−2)の効果について図26を用いて説明する。図26(a)のように右側から潜像印刷物(1−2)に光が入射した場合、観察者(13−2)にはパールインキの干渉色である青白い光の中に、第一の有意情報であるアルファベットの「A」の文字が周囲より暗い状態で視認された。一方、図26(b)のように、左側から潜像印刷物(1−2)に光が入射した場合、観察者(13−2)には青白い銀色の光の中に、第二の有意情報であるアルファベットの「B」の周囲より暗い状態で視認できた。以上のように、入射する光の角度の変化に応じて、印刷画像(3−2)中に視認できる画像がチェンジする効果を有することが確認できた。
1、1´、1´´1−1、1−2、1−3 潜像印刷物
2、2−1、2−2、2−3 基材
3、3−1、3−2 印刷画像
4、4−1 基材と反射層
5、5−1、5−3 潜像合成画像
6、6−1、6−2 凹凸画線群
7、7−1、7−2 反射層
8A、8A−1、8A−2 第一の潜像要素群
8B、8B−1、8B−2 第二の潜像要素群
8C 第三の潜像要素群
9、9−1 凹凸画線
10、10−1 光輝性凹凸画線群
11A、11A−1、11A−2、11A−3 第一の潜像要素
11B、11B−1、11B−2、11B−3 第二の潜像要素
11C 第三の潜像要素
12、12−1、12−2 光源
13、13−1、13−2 観察者の視点
14、14−2 平坦な反射層
15、15´、15´´ 中間生成物
16 型
17 あらかじめ形成した凹凸画線群
18、18−2 白抜きの潜像合成画像
19 マットな下地層
20−3 蒲鉾状の画線
21−3 非画線部

Claims (8)

  1. 基材の少なくとも一部に、明暗フリップフロップ性を備えた光輝性を有する第一の色要素のベタ刷りの反射層が形成され、前記反射層には、一定幅の凹画線又は凸画線が第一のピッチ、かつ、第一の方向に複数配列された光輝性凹凸画線群が形成され、
    前記光輝性凹凸画線群上に、前記第一の色要素より反射率の低い第二の色要素から成る2個以上の有意情報を含む潜像合成画像が形成され、
    前記潜像合成画像は、第一の潜像要素を、前記第一のピッチ、かつ、前記第一の方向に複数配列して形成した第一の有意情報を構成する第一の潜像要素群と、
    第二の潜像要素を前記第一のピッチ、かつ、前記第一の方向に複数配列して形成した前記第一の有意情報と異なる第二の有意情報を構成する第二の潜像要素群から少なくとも成り、
    前記第一の潜像要素と前記第二の潜像要素は、重ならないように配置され、
    前記第一の色要素から成る前記反射層は、前記第二の色要素から成る前記潜像合成画像よりも反射率が高く、
    前記基材を傾けた角度に応じて、前記第一の有意情報と、前記第二の有意情報がそれぞれ単独に出現して視認できることを特徴とする潜像印刷物。
  2. 前記潜像合成画像は、前記第二の色要素による、第三の潜像要素、第四の潜像要素・・・第nの潜像要素(nは、5以上の整数)の各々の前記潜像要素を、前記第一のピッチ、かつ、前記第一の方向に複数配列して形成した第三の有意情報を構成する第三の潜像要素群、第四の有意情報を構成する第四の潜像要素群・・・第nの有意情報を構成する第nの潜像要素群を更に有し、前記第一の潜像要素、前記第二の潜像要素、前記第三の潜像要素、前記第四の潜像要素・・・前記第nの潜像要素の各々が重ならないように配置され、前記基材を傾けた角度に応じて、前記第一の有意情報と、前記第二の有意情報、前記第三の有意情報、前記第四の有意情報・・・前記第nの有意情報がそれぞれ単独に出現して視認できることを特徴とする請求項1記載の潜像印刷物。
  3. 前記第一の潜像要素、前記第二の潜像要素、前記第三の潜像要素、前記第四の潜像要素、・・・前記第nの潜像要素が、前記反射層の中に非画線で形成されて成る白抜き画線であることを特徴とする請求項2記載の潜像印刷物。
  4. 前記反射層は、前記反射層より反射率の低い第三の色要素から成る低光沢層上に形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の潜像印刷物。
  5. 基材を傾けた角度に応じて、第一の有意情報と、第二の有意情報がそれぞれ単独に出現して視認できることを特徴とする潜像印刷物の作製方法において、
    前記基材の少なくとも一部に、明暗フリップフロップ性を備えた光輝性を有する第一の色要素を積層して反射層を形成する工程と、
    前記反射層上に、前記第一の色要素より反射率の低い第二の色要素から成る第一の潜像要素を、第一のピッチ、かつ、第一の方向に複数配列して形成した前記第一の有意情報を構成する第一の潜像要素群と、前記第一の潜像要素と重ならないように、前記第二の色要素から成る第二の潜像要素を、前記第一のピッチ、かつ、前記第一の方向に複数配列して形成した前記第二の有意情報を構成する第二の潜像要素群を各々配置して潜像合成画像を形成する工程と、
    前記潜像合成画像が形成された前記反射層に、一定幅の凹画線又は凸画線を前記第一のピッチ、かつ、前記第一の方向に複数配列して形成された凹凸画線群を有する凹凸形状版を前記反射層の表面又は裏面から加圧し、前記潜像合成画像が形成された前記反射層の全面に、前記凹凸画線群を形成することにより印刷画像を作製する工程から成ることを特徴とする潜像印刷物の作製方法。
  6. 前記潜像合成画像を形成する工程は、更に、前記第二の色要素により、第三の潜像要素、第四の潜像要素・・・第nの潜像要素(nは、5以上の整数)の各々の前記潜像要素を、前記第一の潜像要素、前記第二の潜像要素、前記第三の潜像要素、前記第四の潜像要素・・・前記第nの潜像要素の各々が重ならないように、前記第一のピッチ、かつ、前記第一の方向に複数配列して形成した第三の有意情報を構成する第三の潜像要素群、第四の有意情報を構成する第四の潜像要素群・・・第nの有意情報を構成する第nの潜像要素群を配置する工程を有することを特徴とする請求項5記載の潜像印刷物の作製方法。
  7. 前記潜像合成画像を形成する工程は、前記反射層の一部を除去し、白抜き画線により前記第一の潜像要素、前記第二の潜像要素、前記第三の潜像要素、前記第四の潜像要素・・・前記第nの潜像要素を形成することを特徴とする請求項6記載の潜像印刷物の作製方法。
  8. 前記反射層を形成する前に、前記基材の少なくとも一部に、前記反射層より反射率の低い第三の色要素により低光沢層を形成し、前記低光沢層上に前記反射層を形成する工程を有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項記載の潜像印刷物の作製方法。
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