JP4844046B2 - フレーム - Google Patents
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Description
ところが、このような成膜処理の際にマスクが高温の環境に晒されるため、マスクの熱膨張を無視することができなくなり、このときマスクの上部には基板が当接しているため、熱膨張したマスクが下方に撓むこととなる。このようなマスクの撓みが発生すると、精度よくパターンを転写することが困難になってしまう。
ところが、このリブ部材も、成膜処理を行う際に高温の環境に晒されて熱膨張し、このときリブ部材の上部にマスクを介して基板が当接しているため、リブ部材もマスクと同様に下方に撓むこととなる。したがって、このようなリブ部材付きのフレームを用いてもマスクの撓みが抑制されないという問題があった。
この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、マスクの撓みを抑制することができるフレームを提供することを目的とする。
また、複数のリブ部材を備えることもでき、このとき、それぞれのリブ部材に対応して撓み防止手段を備えることが好ましい。
実施の形態1.
図1に、この発明の実施の形態1に係るフレームを示す。このフレームは、プラズマCVD等の薄膜形成法により複数の薄膜を積層形成してEL(エレクトロルミネッセンス)素子等を形成する際に用いられるマスクを支持するためのものである。このマスクは、矩形の枠形状に形成された枠部材1を有し、枠部材1の内部に開口2が形成されている。また、枠部材1の開口2の中間部には、この開口2を横切るようにリブ部材3が架け渡されている。
図2に示されるように、リブ部材3は、枠部材1に対し上方に向かって突出するアーチ形状に形成されたアーチ部4とこのアーチ部4の両端部にそれぞれ配置された一対の固定部5とを有しており、それぞれの固定部5が枠部材1に固定されている。
また、リブ部材3のアーチ部4上面がマスク6の下面に当接し、リブ部材3からマスク6に対してこのマスク6を上方に向かって押し上げる力、すなわちマスク6を基板8の下面に押し付けようとする力が働くため、成膜処理時にマスク6が熱膨張して下方に撓もうとしても、マスク6がリブ部材3を介してフレームにより支持され、これによりマスク6の下方への撓みを抑制することができる。
したがって、精度よくパターンを転写することが可能となる。
マスク6もフレームと同様の材料から形成することができるが、特に、熱膨張係数の小さい材料からマスク6を形成すれば、熱膨張による変形を小さく抑えることが可能となる。
次に図3(a)及び(b)を参照して、この発明の実施の形態2に係るフレームを説明する。このフレームは、実施の形態1に係るフレームにおいて、アーチ形状のリブ部材3の代わりに、その上面に複数の切り込み11を有するリブ部材12を備えたものである。図3(a)に示されるように、リブ部材12は、平坦な上面及び下面を有すると共に、リブ部材12の上面にはその中間部に複数の切り込み11が互いに間隔をあけて形成されている。なお、図3(a)では、常温時のリブ部材12を示している。
したがって、このフレーム上に支持されるマスク6が熱膨張により下方に撓もうとしても、マスク6がリブ部材12を介してフレームにより支持され、これによりマスク6の下方への撓みが抑制される。
次に図4(a)及び(b)を参照して、この発明の実施の形態3に係るフレームを説明する。このフレームは、実施の形態1に係るフレームにおいて、アーチ形状のリブ部材3の代わりに、互いに熱膨張係数の異なる第1の層21及び第2の層22を有するリブ部材23を備えたものである。図4(a)に示されるように、リブ部材23は、上下方向に互いに一体に形成された第1の層21及び第2の層22からなり、平坦な上面及び下面を有している。また、第1の層21がマスク6側の上部に配置されると共に第2の層22がマスク6とは反対側の下部に配置され、第1の層21は第2の層22よりも大きい熱膨張係数を有している。なお、図4(a)では、常温時のリブ部材23を示している。
したがって、このフレーム上に支持されるマスク6が熱膨張により下方に撓もうとしても、マスク6がリブ部材23を介してフレームにより支持され、これによりマスク6の下方への撓みが抑制される。
また、リブ部材23は2つの層から形成されていたが、互いに異なる熱膨張係数を有する3つ以上の層を互いに一体にしてリブ部材を形成することもできる。例えば、マスク6に近い側の層ほど大きい熱膨張係数を有するように配置してリブ部材を形成すれば、熱膨張時に上反りするように構成される。
次に図5及び6を参照して、この発明の実施の形態4に係るフレームを説明する。このフレームは、実施の形態1に係るフレームにおいて、互いに一体に形成された枠部材1及びリブ部材3の代わりに、互いに別体に形成された枠部材31及びリブ部材32を備え、枠部材31のリブ部材32との接続部分に逃がし部33を形成したものである。ここで、リブ部材32は平坦な上面及び下面を有している。また、枠部材31にはリブ部材32の両端部が接続される部分にそれぞれ凹状に切り欠かれた逃がし部33が形成されている。これら一対の逃がし部33にリブ部材32の両端部をそれぞれ挿入すると、リブ部材32のそれぞれの端部が対応する逃がし部33内に遊嵌されると共にその逃がし部33の底面により支持され、リブ部材32が枠部材31の開口34に架け渡される。
したがって、このフレーム上に支持されるマスク6が熱膨張により下方に撓もうとしても、マスク6の下面にフレームのリブ部材32及び枠部材31が当接してマスク6が支持され、これによりマスク6の下方への撓みが抑制される。
次に図7を参照して、この発明の実施の形態5に係るフレームを説明する。このフレームは、実施の形態4に係るフレームにおいて、直線状に延びるリブ部材32の代わりに、アーチ形状に形成されたリブ部材41を備えたものである。このリブ部材41は、枠部材31に対し上方に向かって突出するアーチ形状に形成されたアーチ部42とこのアーチ部42の両端部にそれぞれ配置された一対の支持部43とを有しており、それぞれの支持部43が枠部材31の対応する逃がし部33内に遊嵌され支持されている。
また、リブ部材41のアーチ部42上面がマスク6の下面に当接してマスク6に押し上げ力が働くため、マスク6の下方への撓みをさらに抑制することができる。
同様に、上述の実施の形態4及び5においても、図9に示されるように、枠部材31の開口34に架け渡された2つのリブ部材32,41を有することもでき、このとき2つのリブ部材32,41の両端部が接続される枠部材31の部分にそれぞれ逃がし部33を設けることが好ましい。また、3つ以上のリブ部材32,41を有していてもよい。
同様に、実施の形態4及び5においても、枠部材31の開口34に対して十字形状やその他各種の形状に架け渡されるリブ部材を用いることができる。
なお、リブ部材はマスク6の開口パターンの転写を妨げないような配置、形状及び寸法等を有することが好ましい。
Claims (4)
- 枠形状に形成されてその内部に開口を有する枠部材とこの枠部材の開口に架け渡されるリブ部材とを有すると共に、所定の開口パターンを有する薄膜形成法により薄膜を形成する際に用いられるマスクの下部に配置されて該マスクの下面を支持することにより前記マスクを補強するフレームにおいて、
前記リブ部材が熱膨張により下方へ撓むことを防止するための撓み防止手段
を備え、
前記撓み防止手段は、前記リブ部材の上面に切り込みを形成することによって、熱膨張により前記リブ部材を上方に向かって突出するように湾曲変形させるものであることを特徴とするフレーム。 - 前記撓み防止手段は、前記リブ部材を、互いに熱膨張係数の異なる複数の層から形成し、前記マスクに近い側の層ほど大きい熱膨張係数を有することを特徴とする請求項1に記載のフレーム。
- 前記枠部材と前記リブ部材とは互いに一体に形成されている請求項1または2に記載のフレーム。
- 複数の前記リブ部材を備え、それぞれの前記リブ部材に対応して前記撓み防止手段を備える請求項1〜3のいずれか一項に記載のフレーム。
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