JP4843310B2 - プリント基板吊下用のハンガー - Google Patents
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Description
しかしこの公知のハンガーでは、保持対象とする板厚より薄いプリント基板では保持状態にガタツキが発生するから、結果として、板厚が異なる種々のプリント基板に対応できない、即ち、汎用性に乏しいという欠点があった。
そこで本出願人は、プリント基板に波板状の板バネを介して当接するようにした押圧部材を、フレーム本体の左右の縦桟に対して観音開き状に開閉自在な状態で設け、これら縦桟と板バネ付き押圧部材とでプリント基板をサンドイッチ状に挟み込み、更にこのサンドイッチ状態となった厚さ方向を、断面コ字状に形成されたクリップ具の外嵌で挟持させる構造のハンガーを開発し、特許出願した(特許文献3参照)。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、板厚の異なる種々のプリント基板にも安定保持ができるものとして、その汎用性を高めるようにし、そのうえで使用期間が長期にわたってもプリント基板をガタツキのない安定した保持状態にできるようにしたプリント基板吊下用のハンガーを提供することを目的とする。
即ち、本発明に係るプリント基板吊下用のハンガーは、上枠部、下枠部、及びこれらを連結する左右一対の縦枠部によってプリント基板の四周を取り囲むフレーム本体と、このフレーム本体の上枠部から上方へ突設されてメッキ槽上方を通る基板搬送路への吊り下げに用いられるフック部とを有したものである。
プリント基板の着脱に関しても、クサビ部材を少しだけ上下に動かすだけで基板受部とクサビ部材との間に対するプリント基板上端部の抜き差しができるため、非常に簡単且つ軽快に行えるものである。
クサビ部材は、プリント基板の上辺部に沿って線接触状に当接可能となる横長形に形成されたものとすればよい。例えばクサビ部材は断面円形の棒材によって形成することができる。このようにすることで、クサビ部材を1本の棒材として形成でき、構造の簡潔化、コンパクト化、低廉化、軽量化等にとって有益である。クサビ部材を断面円形の棒材とした場合には、断面形状としての方向性が無くなるのでクサビ部材の保持が容易であり、且つ構造簡潔になるという利点もある。
クサビ押下手段は、フレーム本体の上枠部に取り付けられる取付基部と、この取付基部を上下貫通する方向で螺合されるプッシュボルトとを有したものとすることができる。この場合、プッシュボルトの下端部でクサビ部材を押し下げ可能とする。
フレーム本体に対し、左右の縦枠部間に上下動自在な状態で架設されたウエイト桟を設け、このウエイト桟に、プリント基板の下端部を挟持する基板挟持手段を設けるのが好適である。
また本発明に係るプリント基板吊下用のハンガーでは、板厚の異なる種々のプリント基板にも安定保持ができ、またプリント基板の着脱も簡単且つ軽快に行えるものである。
図1乃至図5は、本発明に係るハンガー1の一実施形態を示している。このハンガー1は、プリント基板Wを立姿勢に保持するためのものであって、この保持状態でメッキ槽の上方に架設された基板搬送路へ吊り下げられ、この基板搬送路に設けられている爪送り装置の送り爪に押されながら、この基板搬送路に沿って搬送される。メッキ槽の位置では、保持したプリント基板Wが槽内のメッキ液中へ浸漬するように昇降動作を伴って案内されることになる。
上枠部5は長手方向を左右へ向けて帯板状に形成されたものであって、図3や図4に示すように、プリント基板Wを保持する側の面(以下、「正面」と言う)には基板受部12が設けられている。この基板受部12はプリント基板Wの上端部片面を当て止めするための部分であって、本実施形態では、上枠部5の下辺部に沿って正面部を凹ますように段差5aを設けて、この段差5aの下側(凹み面側)で、左右方向に長い平坦面として基板受部12を形成させてある。
また上枠部5には、基板受部12の正面(上枠部5の正面と同じ方向を向いた面であり、プリント基板Wを当て止めする面)に対応した位置付けでクサビ部材13が設けられている。またこの上枠部5には、クサビ誘導部材15及びクサビ押下手段16が設けられている。
本実施形態においてクサビ部材13は、断面円形の棒材により、基板受部12(上枠部5)の左右方向と略同じ長さを有して形成されたものとしてある。従って、プリント基板Wへの線接触状の当接も、当該プリント基板Wの上端部に沿って横長の範囲に及ぶことになる。
図3に示すように、クサビ誘導部材15は、基板受部12の正面で保持されるクサビ部材13に、所定範囲での遊び(動的性)と、動作の法則性とを与えるためのものである。なお、本実施形態では、基板受部12の正面に対してクサビ部材13が脱落しないようにさせる作用も、このクサビ誘導部材15が奏するようになっている。
クサビ誘導部材15は、取付基部20を貫通し上枠部5へ螺合される取付ボルト22により、この上枠部5に固定されている。
基板受部12の正面部から抱持部21の内面(カム面23)までの間には、基板受部12とクサビ部材13との間に、少なくともプリント基板Wの挟持隙間を発生させることができる遊びが確保されている。なお、このようなことから、抱持部21の裏側では取付基部20がクサビ部材13の上方向への移動を制限し、またカム面23がクサビ部材13の脱落を防止するものとなるが、クサビ部材13が僅かに上下動できる余裕は確保されている。
なお、本実施形態において、クサビ誘導部材15は上枠部5の長手方向に互いに所定間隔で点在するように、複数(図例では2個)設けられたものとしてある。
クサビ押下手段16は、取付基部25を貫通し上枠部5へ螺合される取付ボルト27により、この上枠部5に固定されている。
図5に示すように、ウエイト桟10は、フレーム本体2における左右の縦枠部7に対して連結される部分にスライドガイド部30が設けられている。このスライドガイド部30には上下に貫通する孔31が形成されており、この孔31内に縦枠部7がガタツキなく相対摺動自在な状態として挿通されている。そのためこのウエイト桟10は、左右の縦枠部7に沿って上下動自在となっている。
また挟持プレート36も長手方向を左右に向けた帯板状に形成されているが、長さ、帯幅、及び肉厚において桟本体35よりも一回り小さくなっている。この挟持プレート36を桟本体35へ重ね合わせることにより、この挟持プレート36の裏面と桟本体35の基板受部37との間に、段差35aによる凹み量に相当して、プリント基板Wを差し込む隙間38が形成される。
挟持プレート36には、重合ボルト39と交互配置となるように複数本のクランプ用ボルト40が螺合されている。これらクランプ用ボルト40はボルト先端を桟本体31の基板受部37へ対向させる配置とされており、この基板受部37へ向けた螺進によって、各ボルト先端でプリント基板Wを基板受部37へと押し付けることができる。なお、螺進操作性を良好にさせるため、このクランプ用ボルト40にも蝶ボルトを用いることができる。
クサビ部材13を下位置へ向けて移動させるために、クサビ押下手段16のプッシュボルト26を螺進操作すればよい。このようにすることにより、プリント基板Wは基板受部12とクサビ部材13とで挟持され、脱落することはなく、また位置ズレもしなくなる。
次に、ウエイト桟10に設けられた基板挟持手段32により、プリント基板Wの下端部を挟持させる。これにより、プリント基板Wにはウエイト桟10による下向きの引張荷重が負荷し、プリント基板Wの保持状態には適度な張りが与えられることになる。
この状態にあって、プリント基板Wは、ガタツキや位置ズレは生じないものであり、また、結果としてプリント基板Wの全面にわたり均一で確実な給電可能状態に保持されるものである。
例えば、ウエイト桟10に設けられる基板挟持手段32は、クサビ部材13、クサビ誘導部材15、クサビ押下手段16の組み合わせによって形成される構造としてもよい。
2 フレーム本体
3 フック部
5 上枠部
6 下枠部
7 縦枠部
10 ウエイト桟
12 基板受部
13 クサビ部材
15 クサビ誘導部材
16 クサビ押下手段
20 クサビ誘導部材の取付基部
21 抱持部
23 カム面
25 クサビ押下手段の取付基部
26 プッシュボルト
32 基板挟持手段
W プリント基板
Claims (8)
- 上枠部(5)、下枠部(6)、及びこれらを連結する左右一対の縦枠部(7)によってプリント基板(W)の四周を取り囲むフレーム本体(2)と、このフレーム本体(2)の上枠部(5)から上方へ突設されてメッキ槽上方を通る基板搬送路への吊り下げに用いられるフック部(3)とを有するハンガーにおいて、
上記フレーム本体(2)の上枠部(5)は、プリント基板(W)の上端部片面を当て止めする基板受部(12)と、
この基板受部(12)に当て止めされたプリント基板(W)を前記基板受部(12)との間で挟持可能にするクサビ部材(13)と、
前記クサビ部材(13)を前記基板受部(12)へ向けて抱き込ませる状態にして脱落不能に保持しつつ当該クサビ部材(13)の上下動を許容させ且つ基板受部(12)との間隔が下位ほど狭くなる方向へ傾斜するカム面(23)を備えたクサビ誘導部材(15)と、
前記クサビ部材(13)を前記クサビ誘導部材(15)に対して下向きに押し下げ可能にすることで前記カム面(23)へクサビ部材(13)を押し付けるほどに当該クサビ部材(13)を基板受部(12)側へ押すようにするクサビ押下手段(16)と、
を有していることを特徴とするプリント基板吊下用のハンガー。 - 前記クサビ誘導部材(15)は、フレーム本体(2)の上枠部(5)に対してその長手方向に互いに所定間隔をおいて点在状に複数設けられていることを特徴とする請求項1記載のプリント基板吊下用のハンガー。
- 前記クサビ部材(13)は、プリント基板(W)の上辺部に沿って線接触状に当接可能となる横長形に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のプリント基板吊下用のハンガー。
- 前記クサビ部材(13)は断面円形の棒材によって形成されていることを特徴とする請求項3記載のプリント基板吊下用のハンガー。
- 前記クサビ誘導部材(15)は、フレーム本体(2)の上枠部(5)に取り付けられる取付基部(20)と、この取付基部(20)から下方へ鉤型に突出して設けられた抱持部(21)とを有しており、
この抱持部(21)において前記基板受部(12)がプリント基板(W)を当て止めする面と対向する面に、前記カム面(23)が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のプリント基板吊下用のハンガー。 - 前記クサビ押下手段(16)は、フレーム本体(2)の上枠部(5)に取り付けられる取付基部(25)と、この取付基部(25)を上下貫通する方向で螺合されるプッシュボルト(26)とを有し、このプッシュボルト(26)の下端部でクサビ部材(13)を押し下げ可能とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のプリント基板吊下用のハンガー。
- 前記クサビ押下手段(16)がフレーム本体(2)の上枠部(5)中央に配置され、このクサビ押下手段(16)の両脇方にそれぞれクサビ誘導部材(15)が振り分け配置されていることを特徴とする請求項6記載のプリント基板吊下用のハンガー。
- 前記フレーム本体(2)には、左右の縦枠部(7)間に上下動自在な状態で架設されたウエイト桟(10)が設けられており、このウエイト桟(10)にプリント基板(W)の下端部を挟持する基板挟持手段(32)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のプリント基板吊下用のハンガー。
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