JP4901665B2 - メッキ用基板固定治具 - Google Patents

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Description

この発明は、メッキ用基板固定治具に関し、特に電子回路基板を保持したメッキ用基板固定治具をメッキ槽内へ投入及び引き上げる時に前記メッキ用基板固定治具から垂れ落ちるメッキ液の液切りを良くすることで、メッキ液の持ち出し量を削減し、また、狭いスペースでの作業性を向上せしめるメッキ用基板固定治具に関する。
従来では、例えば電子回路基板をメッキ装置でメッキするために、単一の電子回路基板を保持するメッキ用基板固定治具が設けられている。例えば、前記メッキ用基板固定治具は、平板状の治具本体に電子回路基板を固定して保持し、前記電子回路基板の表面をほぼ垂直方向になるよう前記治具本体を吊り下げる構成であり、前記治具本体の底部はほぼ水平方向に平面的あるいは直線的な形状である。電子回路基板を保持したメッキ用基板固定治具が、例えば作業者による手動または電子回路基板の搬送装置でメッキ槽内へ投入されてメッキ処理が行われ、次いでメッキ槽から上方へ持ち上げられてから、次工程の例えば水洗い処理へ搬送される。
一方、複数枚の電子回路基板を保持する保持機構(上記のメッキ用基板固定治具に該当する部分)を用いてメッキ槽のメッキ液中に投入してメッキ処理を行うメッキ装置がある。
例えば、特許文献1では、半導体基板を処理槽内の処理液に浸漬して洗浄処理を施す半導体基板自動処理装置において、前記半導体基板を保持して処理槽を巡るべく搬送するための保持機構に、処理液の滴下を促す液切れ部材が設けられている。前記保持機構には複数枚の半導体基板をその主面同士が平行となるようにかつ各々が直立した状態で一定間隔で整列して保持するための基板挟持部材が備えられている。前記液切れ部材は全体としての形状が略三角の板状に形成されて、例えば前記基板挟持部材の下部に1枚の液切れ部材が設けられている。
また、特許文献2では、複数枚のウエハ(基板)を互いに並行に配列する基板保持部材が設けられており、ウエハの配列方向に沿って長く形成された複数のガイド部にはそれぞれ前記ウエハ配列方向に沿って長い保持板が取り付けられている。また、前記各保持板の上部には前記複数枚の各ウエハを保持するためのV字状の複数の保持溝が形成されている。
さらに、前記各保持溝は、幅がほぼ0である溝底部および溝底部から上方に向けて開くように対向する一対の傾斜面を有し、正面から見た場合、当該傾斜面の各傾斜辺によってV溝が形成されている。このV溝の下端部の幅はほぼ0である。したがって、ウエハの両面の周縁部が前記傾斜辺に当接するので、ウエハは保持溝に対して点接触するために、液が残らないようになり、液切り性能が向上する。
実開平5−90943号公報 特開平10−275846号公報
ところで、従来の単一の電子回路基板を保持するメッキ用基板固定治具においては、底部がほぼ水平方向に平面的あるいは直線的な形状であるため、液切りの際に液持ち出し量が多くなり、一方、この液持ち出し量を少なくしようとすると、液切りに時間がかかるという問題点があった。
そこで、液切りの効率を上げるためにメッキ用基板固定治具を斜めにして両端側の角部で液切りを行ったり、さらにはメッキ用基板固定治具を斜めにした状態で上下に振ったりすると、狭いスペースでの作業性が悪いという問題点があった。
また、たとえ、メッキ用基板固定治具の下部に、液が通る流路となる溝部を上下方向に延びるようにして複数本、並列に設けるとしても、このような複数本の溝部では、メッキ用基板固定治具をある程度傾斜させなければ、メッキ用基板固定治具に付着している液が上記の複数本の溝部に流れるようにはならないし、メッキ用基板固定治具の全体の表面に沿って落下する液を効率よく集めることができず、さらに上記の溝部では液切り性が良くないので、液持ち出し量を少なくする効果を期待できない。
また、複数枚の電子回路基板を保持する保持機構を備えたメッキ装置においては、特許文献1では、保持機構の全体に対しては液切れ部材を設けて液切り性の向上を図っているが、単一の電子回路基板毎の液切り性を向上する点では不十分であるので、全体的に液持ち出し量を少なくするという点では、さらなる課題を有していた。
また、特許文献2では、複数枚のウエハ(基板)を処理するものであるが、各ウエハの液切りについては各ウエハを保持する保持溝に工夫が設けられており、各保持溝がV溝で、かつ前記V溝が斜め下方に傾斜していることで、液切り性能の向上を図っているが、上記の保持溝ではウエハと点接触する部分の液を速やかに排出する効果はあるとしても、ウエハの表面の全体に沿って落下する液を効率よく集めて液切り性を向上するという点では不十分であった。さらに、この場合は、上述したように各ウエハに対する液切り性能について考慮しているものであって、基板保持部材の全体に対する液切り性の向上を考慮したものではなかった。つまり、各処理槽にて処理した後の液持ち出し量を少なくするという点では、さらなる課題を有していた。
上記発明が解決しようとする課題を達成するために、この発明のメッキ用基板固定治具は、基板を固定すると共に前記基板の表面をほぼ垂直方向にして吊り下げる構成の治具本体部と、この治具本体部の下端に設けた複数の山形状の山切り部からなる鋸刃状の第1液切り部と、で構成され、前記治具本体部に、前記基板の上端側を挟み込んで固定する上部基板押え部材と、前記基板の下端側を挟み込んで固定する下部基板押え部材を備えると共に、この下部基板押え部材の下端に、前記治具本体部の液切り部と同形状で重ね合わされる第2液切り部を形成していることを特徴とするものである。
以上のごとき課題を解決するための手段から理解されるように、この発明によれば、メッキ用基板固定治具の下端に複数の山形状の山切り部からなる第1液切り部を設けたので、メッキ用基板固定治具の表面に沿って落下する処理液が複数の山切り部に分散して集まり易くなると共に、前記各山切り部の先端から液切りし易くなるので、液切りの速度が向上し、液持ち出し量を削減することができる。
また、上記の理由で液切り性が向上するので、メッキ用基板固定治具を斜めにする必要がなく、単に上下方向に振ることができることから、狭いスペースでの作業性および安全性を向上することができる。
また、このメッキ用基板固定治具は、単一の基板毎にメッキ処理することに適用されるので、基板およびメッキ用基板固定治具の両方に付着している液が効率よく集められてから、効率よく液切りを行うことができるという点で優れている。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1(A)、(B)及び図2を参照するに、この実施の形態に係るメッキ用基板固定治具1は、例えばプリント配線基板等の電子回路基板3の表面に配線パターンを形成する際に用いられるものである。すなわち、メッキ用基板固定治具1を構成する治具本体部5は、例えば塩化ビニル製であり、上枠5Aと下枠5Bと左枠5Cと右枠5Dでなる平面視で矩形の枠体形状をなし、枠体内は空間部7を形成している。また、前記上枠5Aには電子回路基板3の上端側を押さえて固定するため上押え面5Eが形成されており、前記下枠5Bには電子回路基板3の下端側を押さえて固定するため下押え面5Fが形成されている。また、左枠5Cと右枠5Dは、上記の上枠5Aと下枠5Bより板厚を厚くして強度部材としている。
また、上記の上枠5Aの上押え面5Eと下枠5Bの下押え面5Fには、電子回路基板3に設けた4箇所の位置決め用穴部9に嵌合する位置決め用ピン11がそれぞれ2箇所ずつで合計4箇所に設けられている。したがって、電子回路基板3は4箇所の位置決め用穴部9をそれぞれに対応する各位置決め用ピン11に嵌合することで治具本体部5に位置決めされる。
また、前記位置決め用ピン11で位置決めされた電子回路基板3の上端側は、上部基板押え部材13と上枠5Aの上押え面5Eで挟み込んで押さえる構成である。例えば、前記上枠5Aには前記電子回路基板3の設置位置から外れた箇所に3つの取付用ねじ部15が設けられており、上部基板押え部材13には3つの前記取付用ねじ穴15に対応する位置に3つの取付用穴部17が設けられている。したがって、上部基板押え部材13は電子回路基板3を挟んでから各取付用穴部17にボルト19を挿通してボルト19で治具本体部5の取付用ねじ穴15に螺着される構成である。なお、上記の上部基板押え部材13には、前述した位置決め用ピン11に嵌合するピン穴13Aが設けられている。
一方、前記位置決め用ピン11で位置決めされた電子回路基板3の下端側は、下部基板押え部材21と下枠5Bの下押え面5Fで挟み込んで押さえる構成である。例えば、前記下枠5Bには前記電子回路基板3の設置位置から外れた箇所に3つの取付用ねじ穴23が設けられており、下部基板押え部材21には3つの前記取付用ねじ穴23に対応する位置に3つの取付用穴部25が設けられている。したがって、下部基板押え部材21は電子回路基板3を挟んでから各取付用穴部25にボルト19を挿通してボルト19で治具本体部5の取付用ねじ穴23に螺着される構成である。なお、上記の下部基板押え部材21には、前述した位置決め用ピン11に嵌合するピン穴21Aが設けられている。
また、前記治具本体部5の上枠5Aの上部には、治具本体部5を垂下状態に保持するべく吊下げ保持部としての例えばクランプ用穴部27と左右両側に取っ手部29が設けられている。前記クランプ用穴部27は例えば後述するメッキ装置の治具搬送装置61のクランプ装置63で把持して搬送するためのものであり、前記取っ手部29は作業者がつかんで搬送したり、メッキ槽の左右の槽壁の上端に跨いで引っ掛けたりするためのものである。
また、前記治具本体部5の下枠5Bの下端には、複数の山形状の山切り部31からなる鋸刃状の液切り部33としての例えば第1液切り部35が設けられており、この実施の形態では合計5つの山切り部31で構成されている。このときの山形状の傾斜角θは例えばtanθ=1/2に該当する角度である。なお、山切り部31の数や上記の傾斜角θは、上記の例に限定されず、処理液の粘性に応じて設定することができる。つまり、傾斜角θを大きくすることで山切り部31の数も増加するので液切り効果は向上するが、その反面、山切り部31の先端角度が鋭角になると危険性が増すので、作業上の安全性と、処理液の粘性に応じた液切り効果性とを考慮して設定することができる。
また、上記の下部基板押え部材21は、治具本体部5の複数の山切り部31の第1液切り部35を含む下部表面に当接する部分に、治具本体部5の第1液切り部35と同形状の第2液切り部37が形成されている。第2液切り部37も治具本体部5の液切り部33として構成される。すなわち、下部基板押え部材21で電子回路基板3の下端側を治具本体部5に挟み込んで押さえたときに、図1に示されているように、第1液切り部35と第2液切り部37が重ね合わされて液切り部33を構成することとなる。
上記構成により、図2に示されているように、電子回路基板3を治具本体部5の上枠5Aの上押え面5Eと下枠5Bの下押え面5Fにセットする際に、電子回路基板3の4箇所の位置決め用穴部9を上枠5Aの上押え面5Eと下枠5Bの下押え面5Fの4つの位置決め用ピン11に嵌合することで位置決めされる。
次いで、電子回路基板3の上端側を上部基板押え部材13で上枠5Aの上押え面5Eに挟み込んで押さえる。このとき、上枠5Aの上押え面5Eの位置決め用ピン11がピン穴13Aに嵌挿されることで位置決めされる。また、上部基板押え部材13の各取付用穴部17にボルト19を挿通してボルト19が上枠5Aの上押え面5Eの取付用ねじ穴15に螺着することで電子回路基板3の上端側を治具本体部5に固定する。
一方、電子回路基板3の下端側を下部基板押え部材21で下枠5Bの下押え面5Fに挟み込んで押さえる。このとき、下枠5Bの下押え面5Fの位置決め用ピン11がピン穴21Aに嵌挿されることで位置決めされる。また、下部基板押え部材21の各取付用穴部25にボルト19を挿通してボルト19が下枠5Bの下押え面5Fの取付用ねじ部23に螺着することで電子回路基板3の下端側を治具本体部5に固定する。このとき、下部基板押え部材21の第2液切り部37が治具本体部5の下端の第1液切り部35に重ね合わされることで、図1に示されているように、電子回路基板3がメッキ用基板固定治具1にセットされることになる。
このメッキ用基板固定治具1は、例えば作業者が取っ手部29をつかんで搬送し、例えばSnメッキ槽のメッキ液中に投入し、前記取っ手部29をメッキ槽の左右の槽壁の上端に跨いで引っ掛けて、所定の時間をかけてSnメッキ処理が行われる。このとき、メッキ用基板固定治具1には、治具本体部5の枠体内に空間部7が設けられているので、電子回路基板3の表裏面がSnメッキされることになる。
このメッキ処理の後に、作業者が取っ手部29をつかんでメッキ用基板固定治具1をメッキ液から上方へ引き上げる。このとき、メッキ用基板固定治具1の下端には複数の山形状の山切り部31からなる鋸刃状の液切り部33が設けられているために、メッキ液が集まり易くなるので、メッキ液の液切りのスピードが向上し、液持ち出し量が削減される。
つまり、メッキ用基板固定治具1の表面に沿って下方へ落ちてくるメッキ液は、図3に示されているように、5つの各山切り部31に分散して効率よく集められ、各山切り部31の山形状の斜辺に沿って流れて先端の角部から容易に落下することになる。さらに、単にメッキ用基板固定治具1を上下方向に振ることで、より一層効率よく液切りを行うことができる。
このように、この実施の形態のメッキ用基板固定治具1は、単一の電子回路基板3毎にメッキ処理することに適用されるので、電子回路基板3およびメッキ用基板固定治具1の両方に付着しているメッキ液が効率よく集められてから、効率よく液切りを行うことができるという点で優れている。
なお、山切り部31の数を多くして山形状の傾斜角θが大きくなるほど、液切り性能が向上するが、前述したように作業上の安全性を考慮して設定されるものである。
その結果、この実施の形態では、メッキ用基板固定治具1がメッキ液から引き上げられてから、例えば5秒間、そのままメッキ用基板固定治具1を保持したときの液持ち出し量は3ml(ミリリットル)であった。これに比較して、従来のメッキ用基板固定治具1は、底部がほぼ水平方向に直線的な形状であるので、同じように5秒間の保持時間後の液持ち出し量が4ml(ミリリットル)であった。
また、従来のメッキ用基板固定治具1では、液切りの効果性を上げるためにメッキ用基板固定治具1を斜めにして両端側の角部で液切りを行ったり、このメッキ用基板固定治具1を斜めにした状態で上下方向に振っていたので、狭いスペースでは作業の安全性に問題があったが、この実施の形態のメッキ用基板固定治具1は、斜めにすることなく、単に上下方向に振ることができるので、省スペースで液切りを効率よく行うことができる。このように、メッキ用基板固定治具1を上下方向に振ることで、上述した液持ち出し量はさらに少なくなる。
その後、作業者はメッキ用基板固定治具1を搬送して例えば次工程の水洗い処理を行う。この水洗い工程においても、前述したメッキ処理の場合と同じように水切りが行われる。以下、その他の各処理においても同様に効率よく液切りが行われるのである。
なお、上述した実施の形態では、作業者が手動でメッキ用基板固定治具1を搬送してメッキ処理することを例にとって説明したが、自動的にメッキ処理を行うためのメッキ装置を用いる場合にも適用される。
以下、この実施の形態のメッキ用基板固定治具1が使用されるメッキ装置39における各種処理作用について図面を参照して説明する。
図4を参照するに、メッキ装置39は、メッキすべき電子回路基板3を無電解Snメッキする装置であり、図4において右端から左側へ順に、第1シャワー水洗槽41、酸洗槽43、2つの第1水洗槽45、5つのSnメッキ槽47、3つの第2水洗槽49、第2シャワー水洗槽51、アンローダエリア53、ローダエリア55が備えられ、ほぼ一直線上に配置されている。さらに、このメッキ装置39には、上記の各処理槽のラインの上部に前記ラインとほぼ平行に配置した門型形状のメッキ装置本体57のLMガイドレール59に沿って走行移動して前記電子回路基板3を前記各処理槽へ搬送するための治具搬送装置61が備えられている。
なお、治具搬送装置61には、前記メッキ用基板固定治具1をクランプ・アンクランプするためのクランプ装置63と、このクランプ装置63でクランプしたメッキ用基板固定治具1を上記の各処理槽内へ投入するために下降させ、かつ、処理後のメッキ用基板固定治具1を各処理槽から引き上げるための治具上下動装置65が備えられている。
上記の図4のメッキ装置39における動作の概略を説明すると、上記のローダエリア55には、予め電子回路基板3を保持したメッキ用基板固定治具1が幾つも収容されており、この中の所望のメッキ用基板固定治具1が治具搬送装置61のクランプ装置63でクランプされ、次いで治具上下動装置65により引き上げられてから、図4の矢印で示されているように右端の第1シャワー水洗槽41へ搬送される。
メッキ用基板固定治具1が第1シャワー水洗槽41内へ投入され、メッキ用基板固定治具1内の電子回路基板3がシャワー水洗される。その後、酸洗槽43へ搬送され、この酸洗槽43内でSnメッキの前処理工程として前記電子回路基板3の表面が酸洗いされる。次いで、第1水洗槽45へ搬送され、この第1水洗槽45で水洗されることにより前記電子回路基板3の表面に付着した酸が除去される。
なお、2つの第1水洗槽45が設置されているのは、次に処理される電子回路基板3を保持したメッキ用基板固定治具1が水洗されるときに、もう一つの第1水洗槽45を用いるためにある。つまり、各第1水洗槽45にはきれいな水が常時流入して浄化するようになっており、上記のように酸洗い後の電子回路基板3が水洗されると、第1水洗槽45内の水が酸で汚れるので、浄化されるには少しの時間がかかることになる。したがって、続いて処理される電子回路基板3は、2つの第1水洗槽45を交互に用いて水洗されることで、各第1水洗槽45内の水がきれいになるように時間差を設けている。
上記のように水洗されたメッキ用基板固定治具1は、5つのSnメッキ槽47のうちの1番目のSnメッキ槽47へ搬送され、この1番目のSnメッキ槽47でSnメッキされる。このSnメッキ処理にはある程度の時間がかかる。したがって、治具搬送装置61は前記Snメッキ槽47内に投入してメッキ液へ浸漬されたメッキ用基板固定治具1の取っ手部29をメッキ槽の左右の槽壁の上端に跨いで引っ掛けておく。次いで、治具搬送装置61のクランプ装置63がメッキ用基板固定治具1をアンクランプした後に、ローダエリア55へ移動する。
そして、治具搬送装置61は、ローダエリア55の中の次に処理される2番目の電子回路基板3を保持したメッキ用基板固定治具1をクランプ装置63でクランプし、この2番目のメッキ用基板固定治具1を第1シャワー水洗槽41へ搬送する。前述した1番目のメッキ用基板固定治具1と同様に、第1シャワー水洗槽41にてシャワー水洗され、次いで酸洗槽43で酸洗いされてから、もう一つの第1水洗槽45にて水洗し、次いで2番目のSnメッキ槽47へ搬送されてSnメッキされる。
治具搬送装置61は、1番目のSnメッキ槽47の場合と同様に、2番目のSnメッキ槽47内へ投入されたメッキ用基板固定治具1をアンクランプした後に、ローダエリア55へ移動し、3番目のメッキ用基板固定治具1をクランプしてから、1番目と2番目のメッキ用基板固定治具1と同様に各処理槽で処理してから3番目のSnメッキ槽47に搬送してSnメッキする。4番目、5番目のメッキ用基板固定治具1も同様に行われる。
以上のようにしてSnメッキ処理が完了した順から、各メッキ用基板固定治具1が治具搬送装置61で次工程へ搬送されて処理される。例えば、1番目のSnメッキ槽47内のメッキ用基板固定治具1が治具搬送装置61のクランプ装置63で再びクランプされ、次いで治具上下動装置65により引き上げられてから、図4の矢印で示されているように第2水洗槽49へ搬送される。
1番目のメッキ用基板固定治具1が第2水洗槽49内へ投入され、メッキ用基板固定治具1内の電子回路基板3が水洗されることにより前記電子回路基板3の表面に付着したメッキ液が除去される。上記のように水洗された1番目のメッキ用基板固定治具1は、第2シャワー水洗槽51へ搬送され、この第2シャワー水洗槽51内でメッキ用基板固定治具1内の電子回路基板3がシャワー水洗されるので確実に清浄される。その後、1番目のメッキ用基板固定治具1はアンローダエリア53の水槽内へ投入され、治具搬送装置61のクランプ装置63からアンクランプされる。
2番目、3番目及びそれ以降のメッキ用基板固定治具1は、上記の1番目のメッキ用基板固定治具1と同様に処理される。
以上のように、メッキ装置39を用いて自動的にメッキ処理を行う場合、前述した手動によるメッキ用基板固定治具1の液切りの場合で説明したように、各処理槽における工程毎に、効率よく液切りが行われるので、全体としての液持ち出し量が大幅に削減されることになる。しかも、この実施の形態のメッキ用基板固定治具1を用いることで、メッキ装置39の治具上下動装置65で単に上下方向に振ることができるので、より一層効率よく液切りを行うことができる。
(A)は、この実施の形態のメッキ用基板固定治具の正面図で、(B)は(A)の右側面図である。 この実施の形態のメッキ用基板固定治具の分解的な斜視図である。 この実施の形態のメッキ用基板固定治具の液切り部の液切り状態を示す概略的な状態説明図である。 この実施の形態のメッキ用基板固定治具を用いるメッキ装置の全体的なレイアウトを示す正面図である。
符号の説明
1 メッキ用基板固定治具
3 電子回路基板(基板)
5 治具本体部
5A 上枠
5B 下枠
5C 左枠
5D 右枠
5E 上押え面
5F 下押え面
7 空間部
9 位置決め用穴部
11 位置決め用ピン
13 上部基板押え部材
15 取付用ねじ穴
17 取付用穴部
19 ボルト
21 下部基板押え部材
23 取付用ねじ穴
25 取付用穴部
27 クランプ用穴部(吊下げ保持部)
29 取っ手部(吊下げ保持部)
31 山切り部
33 液切り部
35 第1液切り部
37 第2液切り部
39 メッキ装置
41 第1シャワー水洗槽
43 酸洗槽
45 第1水洗槽
47 メッキ槽
49 第2水洗槽
51 第2シャワー水洗槽
57 メッキ装置本体
61 治具搬送装置
63 クランプ装置
65 治具上下動装置

Claims (1)

  1. 基板を固定すると共に前記基板の表面をほぼ垂直方向にして吊り下げる構成の治具本体部と、この治具本体部の下端に設けた複数の山形状の山切り部からなる鋸刃状の第1液切り部と、で構成され、
    前記治具本体部に、前記基板の上端側を挟み込んで固定する上部基板押え部材と、前記基板の下端側を挟み込んで固定する下部基板押え部材を備えると共に、この下部基板押え部材の下端に、前記治具本体部の液切り部と同形状で重ね合わされる第2液切り部を形成していることを特徴とするメッキ用基板固定治具。
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