JP4843241B2 - 光強度分布シミュレーションシステム、光強度分布シミュレーション方法、マスクパターン補正方法、及び光強度分布シミュレーションプログラム - Google Patents
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Description
本発明の第1の実施の形態に係る図1に示す光強度分布シミュレーションシステムは、投影光学系の開口数で決まる最大入射角の光で直射可能な基板上の第1の領域と、基板上の凸部により最大入射角の光で直射できない基板上の第2の領域とに区分けする領域区分け部309、第1の領域の光強度を光の直射成分を用いて計算する第1の光強度計算部310、第2の領域の光強度を、光の凸部の側面からの反射光を用いて計算する第2の光強度計算部311、及び第1の領域の光強度及び第2の領域の光強度に基づいて基板上に投影されるマスクパターンの投影像の光強度分布を予測する投影像予測部351を備える中央演算処理装置(CPU)300を含む。
したがって、凸部28の影になり、基板27上で凸部28から距離Dmax以下の距離Dの位置の計算対象像点Fsにおける図6に示す投影光学系42の開口127の像にはけられ23が生じ、射出瞳25は円形ではなくなる。一方、基板27の表面において、凸部28の端部から距離Dmax以上離れた領域は、入射する光ψiが凸部28で遮られることはなく、直射可能である。したがって、凸部28の影にならない領域の像点における射出瞳にはけられは生じない。図1に示す領域区分け部309は、光が照射される基板27の表面形状のCADデータ等を解析し、上記(1)式を用いて図4に示す基板27表面を凸部28の影にならず、最大入射角αの光ψiで直射可能な「第1の領域10」と、凸部28の影になり最大入射角αの光ψiで直射できない「第2の領域20」とに区分けする。
(2)式においてP0(ξ, η) は開口関数を示し、瞳の内側では1、瞳の外側では0である。kは光の波数を表し、λを光の波長として下記(3)式で与えられる。
透過照明された図3に示すフォトマスク5のマスクパターンの像が図2に示す投影光学系42によって結像されるとき、その像の光強度I(x, y)は(4)式で与えられる。
凸部28の側面で反射する光ψrは、仮に基板27表面に凸部28がないとした場合に、計算対象像点Fsと凸部28の側面を挟んで対称の位置にある仮想像点Fiにおける図8に示す射出瞳125のうち、反射寄与部223から到達する光である。けられ23及び反射寄与部223のそれぞれは、共に入射角β乃至αで基板27表面に入射する光に対応する部分であるので、けられ23及び反射寄与部223のそれぞれの形状は合同である。投影光学系42の開口127のけられ23の部分を透過した光ψbは計算対象像点Fsにおける結像には寄与しなくなるが、けられ23に対して鏡面対称の関係にある反射寄与部223を透過した光ψrが計算対象像点Fsにおける結像に寄与することになる。したがって、図7に示す計算対象像点Fsでは、図8に示す反射寄与部223がけられ23の位置に見えることになる。そのため、図1に示す第2の光強度計算部311は、図8に示すけられ23の面積、及び凸部28の側面の反射率rwに基づいて「第2の領域20」の光強度I2(x, y)を計算する。ここで、けられ23の面積を算出するために必要な、図8に示す開口中心Oからけられ23の直線部分に直角に下ろした線分の長さd及びけられ23の直線部分の半分の長さeは下記(7)式及び(8)式で与えられる。
e = (NAp 2 - d2)1/2 …(8)
図1に示す投影像予測部351は、第1の光強度計算部310が計算した図4に示す「第1の領域10」の光強度I1(x, y)と、第2の光強度計算部311が計算した「第2の領域20」の光強度I2(x, y)との論理和をとり、図3に示すフォトマスク5のマスクパターンの投影像の基板27上における光強度分布を予測する。
第1の実施の形態においては、図6に示す複数の遮光パターン100a, 100b, 100cのそれぞれの長手方向と、凸部28の長手方向とは平行である場合について説明した。これに対し第1の実施の形態の第1変形例では、図10に示すように、複数の遮光パターン100a, 100b, 100cのそれぞれの長手方向と、凸部28の長手方向とが垂直である場合を説明する。凸部28の影になる「第2の領域20」の計算対象像点Fsにおける図2に示す投影光学系42の射出瞳には、図10に示すようにけられ323が生じる。複数の遮光パターン100a, 100b, 100cのそれぞれの長手方向と、凸部28の長手方向とが垂直である場合、フォトマスク5で生じる0次光、+1次光、及び-1次光のそれぞれは均等にけられ323と重なるため、0次光、+1次光、及び-1次光のそれぞれは図2に示す投影光学系42の瞳面を部分的に通過する。+1次光、及び-1次光のそれぞれは均等に図10に示すけられ323と重なるため、+1次光及び-1次光のそれぞれの強度は同様であるとみなすことができる。したがって、「第2の領域20」上において結像計算する際、投影光学系42の瞳面の形状変化を考慮せず、投影光学系42の瞳面を部分的に通過する0次光の強度のみを考慮して計算すればよい。
またけられ423の曲線部を弧とする中心角の半角である角度γは下記(10)式で与えられる。
したがって、上記(7)式、(9)式、及び(10)式で与えられた長さd、長さe、及び角度γを用いて、反射寄与部523と合同なけられ423の面積Asは下記(11)式で与えられる。
なお、照明光学系14の開口227の面積Aiは下記(12)式で与えられる。
したがって、凸部28がない場合の計算対象像点Fsの光強度をI0(x, y)とすると、計算対象像点Fsの光強度I2(x, y)は、下記(13)式で与えられる。
I2(x, y) = (As - Ai + rw×Ai ) / As ×I0(x, y) …(13)
以上、図10に示すように複数の遮光パターン100a, 100b, 100cのそれぞれの長手方向と、凸部28の長手方向とが垂直である場合、図1に示す第2の光強度計算部311は、図9のステップS103で、上記(7)式、及び(9)乃至(13)式を用いて「第2の領域20」の光強度I2(x, y)を計算する。
第1の実施の形態及び第1変形例においては、図3及び図10に示すように、基板27上に配置される凸部28の側面が垂直である場合について説明した。しかし本発明の第1の実施の形態はこれらに限定されることはなく、基板27上に配置される凸部の側面が垂直でなく傾斜を有する場合にも適用することが可能である。例えば図14に示すように、基板27表面に配置された凸部128の側面が、基板27表面の垂直方向に対して、傾斜角度θを有していてもよい。ここで傾斜角度θが投影光学系42の入射角度αよりも大きい場合、基板27表面において射出瞳にけられが生じる像点は存在しない。したがって、この場合基板27表面に「第2の領域20」は存在しない。しかし傾斜角度θが投影光学系42の入射角度α以下である場合は、基板27表面において射出瞳にけられが生じる計算対象像点Fsが存在する。したがって、この場合基板27表面に「第2の領域20」が存在する。よって、図1に示す第2の光強度計算部311は、図9のステップS103で、凸部128の上底の端から基板27に下ろした垂線の接点からDmaxの距離の範囲内に含まれる基板27表面を「第2の領域20」として光強度I2(x, y)を計算すればよい。以上、図14に示すように基板27表面に配置された凸部128の側面が傾斜角度θを有する場合にも、図1に示す光強度分布シミュレーションシステムは高速かつ高精度な光強度分布シミュレーションを実施することが可能である。
図15に示すように、基板27上に配置された凸部28の垂直な側面に接して光透過物141が基板27上に配置されている場合にも、第1の実施の形態に係る光強度分布シミュレーション方法は適用可能である。光透過物141は凸部28と同じ高さhを有し、屈折率はn1である。光透過物141の上面に入射角度αで入射する光の一部の光ψtは、屈折角γ1で光透過物141に入射する。さらに光透過物141の側面に入射角γ2で入射した光ψtは、屈折角γ3で外部に進み、入射角ω1で基板27表面を照射する。なおスネルの法則により、角度α、γ1、γ2、γ3、及びω1は下記(14)式及び(15)式の関係を満たす。
γ1 + γ2 = γ3 + ω1 = π/2 …(15)
光透過物141が基板27上に配置されている場合、基板27表面を最大入射角αで入射する光ψiで照射可能な「第1の領域10」、最大入射角αで入射する光ψiが凸部28で遮られる「第2の領域20」、及び最大入射角αで入射し光透過物141を透過した光ψtが到達する「中間領域30」のいずれかに区分けすればよい。「中間領域30」の光強度は光透過物141の透過率を考慮して計算すればよい。
図16に示す第2の実施の形態に係るマスクパターン補正システムは、投影像予測部351が予測した投影像と、マスクパターンで製造される回路パターンの設計パターンとの差分を求める差分算出部352、及び差分算出部352が算出した差分を減少させるようマスクパターンの線幅等の寸法の設計データを補正する補正部353を有する。また露光データ記憶装置320は、回路パターンの設計パターンをCAD等で保存する回路パターン記憶部305、及び差分算出部352が算出した差分を保存する差分記憶部204を有する。マスクパターン補正システムのその他の構成要素は、図1に示す光強度分布シミュレーションシステムと同様であるので、説明は省略する。
上記のように、本発明の実施の形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。例えば上述した光強度分布シミュレーション方法と現像シミュレーション方法を組み合わせることにより、現像後のレジストパターンの形状を正確に予測することも可能となる。図18及びA-A方向から見た断面図である図19に示す例では、基板27上に高さ200nmの凸部28が配置されている。凸部28に隣接して、レジストパターン62が形成され、凸部28から1μm離れたところにレジストパターン63が形成されている。レジストパターン62, 63の下底の幅は250nmで、高さ500nmを有する。フッ化クリプトン(KrF)レーザによる露光で、開口数(NA)が0.6及びコヒーレンシσが0.75の条件下で光強度分布シミュレーションを実行し、さらに現像シミュレーションを実行すると、図19に示すように、レジストパターン63は左右対称な形状を有するのに対し、レジストパターン62は左右非対称な形状が予測された。図3に示すように、+1次光、0次光、及び-1次光との間で、けれら23とかなり合う程度が異なるからである。また上述した光強度分布シミュレーション方法は、光が偏光である場合にも適用可能である。この場合、凸部の側面における反射率は偏光方向によって異なることを考慮して「第2の領域20」の光強度I2(x, y)を計算すればよい。また図17に示したマスクパターン補正方法では、投影像と回路パターンの設計パターンとの差分を減少させるようマスクパターンの線幅等の寸法を補正する方法を示した。これに対し、投影像と回路パターンの設計パターンとの差分を減少させるよう、図3に示した凸部28の高さhを変更あるいは凸部28の形状を変更する等の補正を加え、投影像をより設計パターンに近づけてもよい。さらに上述した光強度分布シミュレーション方法は、時系列的につながった一連の処理あるいは操作として表現可能である。したがって、光強度分布シミュレーション方法を図1に示すCPU300で実行するために、CPU300内のプロセッサなどが果たす複数の機能を特定するコンピュータプログラム製品で図9に示した光強度分布シミュレーション方法を実現可能である。ここで、コンピュータプログラム製品は、CPU300に入出力可能な記録媒体あるいは記録装置等をいう。記録媒体としては、メモリ装置、磁気ディスク装置、光ディスク装置、その他のプログラムを記録することができるような装置が含まれる。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明からは妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
310…第1の光強度計算部
311…第2の光強度計算部
351…投影像予測部
Claims (7)
- 投影光学系の開口数で決まる最大入射角の光で直射可能な基板上の第1の領域と、前記基板上の凸部により前記光で直射できない前記基板上の第2の領域とに区分けする領域区分け部と、
前記第1の領域の光強度を前記光の直射成分を用いて計算する第1の光強度計算部と、
前記第2の領域の光強度を、前記光の前記凸部の側面からの反射光を用いて、前記投影光学系の開口の像にけられるけられの面積、前記開口数で決まる開口角で決まる入射角、前記凸部の高さ及び前記凸部の側面の反射率に基づいて計算する第2の光強度計算部と、
前記第1の領域の光強度及び前記第2の領域の光強度の論理和をとることにより前記基板上に投影されるマスクパターンの投影像の光強度分布を予測する投影像予測部
とを備える中央演算処理装置を含むことを特徴とする光強度分布シミュレーションシステム。 - 領域区分け部が、投影光学系の開口数で決まる最大入射角の光で直射可能な基板上の第1の領域と、前記基板上の凸部により前記光で直射できない前記基板上の第2の領域とに区分けするステップと、
第1の光強度計算部が、前記第1の領域の光強度を前記光の直射成分を用いて計算し、該光強度を光強度記憶部に保存するステップと、
第2の光強度計算部が、前記第2の領域の光強度を前記光の前記凸部の側面からの反射光を用いて、前記投影光学系の開口の像にけられるけられの面積、前記開口数で決まる開口角で決まる入射角、前記凸部の高さ及び前記凸部の側面の反射率に基づいて計算し、該光強度を前記光強度記憶部に保存するステップと、
投影像予測部が、前記光強度記憶部に保存された前記第1及び第2の領域の光強度を読み出し、該第1及び第2の領域の光強度の論理和をとることにより前記基板上に投影されるマスクパターンの投影像の光強度分布を予測するステップ
とを有することを特徴とする光強度分布シミュレーション方法。 - 前記第2の領域の光強度を計算するステップは、前記第2の光強度計算部が、前記第2の領域の計算対象像点における射出瞳に前記凸部によって生じるけられの面積を計算する手順を含むことを特徴とする請求項2に記載の光強度分布シミュレーション方法。
- 前記第2の領域の光強度を計算するステップは、前記第2の光強度計算部が、前記計算対象像点に対し前記側面を挟んで対称の位置に仮想像点が存在すると仮定する手順を更に含むことを特徴とする請求項3に記載の光強度分布シミュレーション方法。
- 前記第2の領域の光強度を計算するステップは、前記第2の光強度計算部が、前記仮想像点における射出瞳のうち前記けられと合同な反射寄与部が、前記計算対象像点において前記けられの位置に見えると仮定する手順を更に含むことを特徴とする請求項4に記載の光強度分布シミュレーション方法。
- 領域区分け部が、投影光学系の開口数で決まる最大入射角の光で直射可能な基板上の第1の領域と、前記基板上の凸部により前記光で直射できない前記基板上の第2の領域とに区分けするステップと、
第1の光強度計算部が、前記第1の領域の光強度を前記光の直射成分を用いて計算し、該光強度を光強度記憶部に保存するステップと、
第2の光強度計算部が、前記第2の領域の光強度を前記光の前記凸部の側面からの反射光を用いて、前記投影光学系の開口の像にけられるけられの面積、前記開口数で決まる開口角で決まる入射角、前記凸部の高さ及び前記凸部の側面の反射率に基づいて計算し、該光強度を前記光強度記憶部に保存するステップと、
投影像予測部が、前記光強度記憶部に保存された前記第1及び第2の領域の光強度を読み出し、該第1及び第2の領域の光強度の論理和をとることにより前記基板上に投影されるマスクパターンの投影像の光強度分布を予測し、該投影像を投影像記憶部に保存するステップと、
差分算出部が、前記投影像記憶部に保存された前記投影像を読み出し、該投影像と前記マスクパターンで製造される回路パターンの設計パターンとの差分を求め、該差分を差分記憶部に保存するステップと、
補正部が前記差分記憶部に保存された前記差分を読み出し、該差分を減少させるよう前記マスクパターンの設計データを補正するステップ
とを有することを特徴とするマスクパターン補正方法。 - 光強度分布シミュレーションシステムの中央演算処理装置に、
投影光学系の開口数で決まる最大入射角の光で直射可能な基板上の第1の領域と、前記基板上の凸部により前記光で直射できない前記基板上の第2の領域とに区分けする手順と、
前記第1の領域の光強度を前記光の直射成分を用いて計算する手順と、
前記第2の領域の光強度を前記光の前記凸部の側面からの反射光を用いて、前記投影光学系の開口の像にけられるけられの面積、前記開口数で決まる開口角で決まる入射角、前記凸部の高さ及び前記凸部の側面の反射率に基づいて計算する手順と、
前記第1及び第2の領域の光強度の論理和をとることにより前記基板上に投影されるマスクパターンの投影像の光強度分布を予測する手順
とを実行させるための光強度分布シミュレーションプログラム。
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