JP4841961B2 - 感光性フィルムロールの梱包材 - Google Patents

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この発明は、感光性フィルムロール(感光性フィルムが円筒状のコアに巻き付けてあるロール)の梱包材に関する。
プリント配線板用のドライフィルムレジストは、支持フィルム上に感光性樹脂層が形成された構造(あるいは、さらに保護フィルムが積層された3層構造)を有し、円筒状のコアに巻き付けてロールとして供給される。このロールを製品として出荷する際には、遮光性を有する合成樹脂製の袋に入れ、さらに防塵性を有する合成樹脂製の袋に入れたものを、前記コアの長さ方向両端部に支持板の軸部を嵌め、この支持板を掴んで箱に入れることにより、ドライフィルムレジストが箱内で浮いた状態となるように梱包している。
そして、使用時にドライフィルムレジストをラミネータに取り付ける際には、支持板を掴んで箱から取出した後に、ロールから支持板を取り外す作業が必要である。この取り外し作業中にドライフィルムレジストに傷が付くことを防止するため、例えば、ロールの長さ方向中央部を受ける凹部を設けた台をラミネータの近くに設置し、この台にロールを載せて支持板を取り外している。
下記の特許文献1には、ロールの梱包方法として、ロールを入れる箱の対向する側面を、コアの両端を支持する紙製の支持板で構成し、バンドによりロールと支持板を固定して組み立て物とした後、この組み立て物の寸法を計測して、その寸法に合った段ボールシートを作製して組み立て物に巻き付け、巻き付けられた段ボールシートと支持板を固定する方法が記載されている。この方法でも、ロールの使用に際しては、ロールから支持板を取り外す作業が必要である。
特開平7−40923号公報
上述のように、コアの長さ方向両端を支持板で挟んで支持する梱包方法では、ロールを梱包材から取り出して使用する装置に取り付ける際に、感光性フィルムが浮いた状態を保持し続けることができない。そのため、感光性フィルムに傷が付かないように上述のような工夫が必要となり、使用する装置に取り付ける作業が煩雑になる。
本発明の課題は、感光性フィルムロール(感光性フィルムが円筒状のコアに巻き付けてあるロール)の梱包材として、感光性フィルムが浮いた状態を保持したままで、梱包材からロールを取り出して、使用時の取り付け作業ができるものを提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明は、感光性フィルムが円筒状のコアに巻き付けてあるロールを、袋に入れた状態で、コアの長さ方向両端部を支持部材で支持することにより、感光性フィルムが箱体内で浮いた状態に梱包する梱包材であって、(1) 上板が着脱できる箱体と、(2) 箱体内に、コアの長さ方向両端に配置される箱体の側板とは別に設けた、コアの長さ方向端部を下側から受ける支持部材と、からなり、前記支持部材は、上側がV字状に形成された受け部材を有することを特徴とする感光性フィルムロールの梱包を提供する。
本発明の梱包材によれば、上板を外してコアの両端部を持ち上げることにより、支持部材からロールを外すことができるため、感光性フィルムが浮いた状態を保持したままで、梱包材からロールを取り出して、ロールを使用する装置に取り付けることができる。
本発明の梱包材が、さらに前記側板も着脱できれば、上板と側板を外した状態でコアの両端部を持ち上げることにより、支持部材からロールを外すことができる。この場合には、側板がない状態でコアの両端部を持ち上げることができるため、側板が外れない場合と比較して、コアの両端に吊り上げ装置の先端を係合することが容易にできる。そのため、この梱包材は、重量が重い(例えば30kg以上、あるいは50kg以上である)感光性フィルムロールの場合のように、ロールを吊り上げ移動する場合に好適である。
本発明の梱包材によれば、感光性フィルムが浮いた状態を保持したままで、梱包材からロールを取り出して、使用する装置に取り付けることができるため、使用時の取り付け作業を効率的に行うことができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、この実施形態の梱包材を説明するための斜視図である。
図1に示すように、この実施形態の梱包材は、架台1、コア受け連結体2、蓋パネル3、サイドパネル4、正面パネル5、背面パネル6、腕部材7、および軸8で構成されている。すなわち、架台1、蓋パネル(上板)3、サイドパネル(側板)4、正面パネル(正面板)5、背面パネル(背面板)6、腕部材7、および軸8で、直方体の箱体が形成され、この箱体内に、コア受け連結体2を取り付けることにより、感光性フィルムロールのコアの両端を支持する支持部材(コア受け22)が、横方向に三対形成される。
架台1は金属製で、4本の中空の支柱11〜14と、底板15と、正面下側部材16と、背面下側部材17が、溶接により結合されたものである。底板15は支柱11〜14の高さ方向中間部に固定され、これにより、箱体の底板15の下側に空間Aができる。正面下側部材16と背面下側部材17も、支柱11〜14の下端より上側に固定されている。正面下側部材16および背面下側部材17の上面には、梱包材を折り畳んだときに底板15の上に置かれた板が、これらの部材16,17と正面パネル5および背面パネル6との隙間から落ちることを防止するストッパー16a,17aが固定されている。
また、底板15の上面に、コア受け連結体2を嵌める二対の受け溝15a,15bが形成され、内側の受け溝15bの間に底面パネル15cが固定されている。
コア受け連結体2は、レール21と3個のコア受け(支持部材)22とからなり、各コア受け22がレール21の長さ方向に等間隔で固定されている。コア受け22は、上側がV字状に形成された受け部材22aと、V字状部の外側に固定された抜け止め板22bとからなる。コア受け連結体2を底板15の受け溝15aまたは15bに嵌めた状態を、図2に示す。この図に示すように、受け部材22aのV字状部の角度と高さは、感光性フィルムロールRのコアKの直径に応じて、正面および背面パネル側から見てコアKの下側半分程度が隠れる値に設定されている。また、抜け止め板22bは、上端がコアKの中心より少し下の位置となるように固定されている。
蓋パネル3、サイドパネル4、正面パネル5、および背面パネル6は、プラスチック段ボール板であり、縁部が補強されている。なお、これらのパネルの材質としては、プラスチック段ボール以外に、アルミニウム合金やステンレス鋼などの金属、紙製ダンボール、ベニア板などの木材が挙げられる。
蓋パネル3には、箱体とした時に正面パネル5および背面パネル6の外側に配置される抜け止め部31が形成されている。また、正面パネル5および背面パネル6の両側部には、サイドパネル4を嵌める溝部材51,61が固定され、これらの側部が金属製の腕部材7に固定されている。
腕部材7の下部は、架台1の支柱11〜14に上側から内挿されて、軸8により結合されている。支柱11〜14の上部は、正面パネル5および背面パネル6の内側面に沿う面のみが、軸8を入れる穴より少し下の位置まで開口部11a〜14aとなっている。また、支柱11〜14の下端には、台座部11b〜14bが固定されている。台座部11bの底面は開口され、この開口を利用して支柱11を積み上げることができるようになっている。
図3に示すように、腕部材7の下部には長穴71が設けてあり、軸8はこの長穴71と支柱11〜14の穴を貫通している。これにより、腕部材7は支柱11〜14に対して、長穴71の範囲内で上下方向に移動できるようになっている。また、支柱11〜14は中空であるが、底板15の下端部付近に、腕部材7の下端を受ける止め部11cが形成されている。
図3(a)の状態では、腕部材7の下端が支柱の止め部11cに至り、長穴71の上端が軸8に接し、腕部材7が支柱11〜14に対して安定して立った状態になる。この状態から腕部材7を引き上げた図3(b)の状態では、長穴71の下端が軸8に接し、腕部材7の全体が支柱11〜14の開口部11a〜14aより上側になる。そのため、図3(b)の状態から図3(c)に示すように、腕部材7を底板15の上側に向けて倒すことができる。この状態で、腕部材7より上側に支柱11〜14が突出し、この部分に台座部11bを載せることができる。
このように、腕部材7に固定された正面パネル5および背面パネル6は底板15の上面に向けて倒せるが、反対側には倒せないようになっている。すなわち、軸8と、腕部材7の長穴71と、支柱11〜14の軸8を入れる穴および開口部11a〜14aが、底板15の上面に向けて倒す機構に相当する。
この梱包材は、図1の状態で、底板15の底面パネル15cの上に二枚のサイドパネル4を置き、その外側に、各側のコア受け連結体2を置いた後に、正面パネル5および背面パネル6を底板15の上面に向けて倒し、その上に蓋パネル3を置くことで、折り畳んだ状態とすることができる。
そして、この梱包材は、この折り畳んだ状態のものを、支柱の台座部11b〜14bを支柱11〜14の上部に嵌めて積み上げることにより、複数個を重ねて保管することができる。3個の梱包材を折り畳んで積み上げた状態を図4に示す。この図は、一番下の梱包材のみを断面で示した一部断面正面図であり、支柱の台座部の断面は、他の部分とは異なる位置での断面である。
図5は、折り畳んだ状態の一つの梱包材を示す斜視図である。梱包材を組み立てる際には、この状態から、先ず、蓋パネル3を外す。次に、正面パネル5および背面パネル6を起こして、腕部材7を支柱11〜14と平行に立てて支柱11〜14内に押し込み、腕部材7を支柱11〜14内で立てた状態で安定させる。図6は、正面パネル5を起こした後で、背面パネル6を起こす前の状態を示す斜視図である。
次に、底板15の上にあるコア受け連結体2およびサイドパネル4を取って、コア受け連結体2のレール21を受け溝15aまたは受け溝15bに嵌め、サイドパネル4は外した状態のままとしておく。これにより、ロールの長さに応じて図7(a)または(b)の状態とする。図7(a)は、コア受け連結体2のレール21を受け溝15aに嵌めた状態を示し、図7(b)は、コア受け連結体2のレール21を受け溝15bに嵌めた状態を示す。
これにより、この梱包材は、コアの長さ方向端部を下側から受けるコア受け(コア支持部材)22を、横方向に3対備えた状態となる。この梱包材に1本の感光性フィルムロールを梱包する場合には、図8(a)に示すように、横方向に3個あるうちの中央のコア受け22に、感光性フィルムロールRの長さ方向端部を載せる。
2本の感光性フィルムロールを梱包する場合には、図8(b)に示すように、横方向に3個あるうちの両端のコア受け22に、感光性フィルムロールRの長さ方向端部を載せる。3本の感光性フィルムロールを梱包する場合には、図8(c)に示すように、全てのコア受け22に、感光性フィルムロールRの長さ方向端部を載せる。なお、感光性フィルムロールは、通常、遮光性を有する合成樹脂製の袋に入れ、さらに防塵性を有する合成樹脂製の袋に入れた状態で梱包されるが、図8では、これらの袋を省略している。
次に、サイドパネル4を、正面パネル5および背面パネル6の溝部材51,61に嵌める。これにより、箱体の開口されている側面が上下方向全体でサイドパネル4により塞がれ、箱体の上面のみが開口された状態になる。次に、この上面に蓋パネル3を載せることにより、図9に示すように、箱体の全ての開口が塞がれた状態とする。この状態で、空間Aにフォークリフトのフォークを入れて持ち上げることで、感光性フィルムロールRの梱包体をそのまま運ぶことができる。
感光性フィルムロールRをラミネータに取り付ける際には、図9の状態の梱包体をラミネータの近くに運んだ後に、先ず、蓋パネル3を外す。次に、サイドパネル4を正面パネル5および背面パネル6の溝部材51,61から外して、図8に示す状態とする。
この状態で、感光性フィルムロールRの長さ方向両端側から、吊り上げ装置のベルトをコアKの両端のコア受け22に接触していない部分に取り付けるか、吊り上げ装置の棒状の先端部材をコアKに差し込んだ後に、吊り上げ装置を稼働して、コアKの両端を持ち上げて、ラミネータの所定位置まで移動する。次に、この状態で感光性フィルムロールRは合成樹脂製の袋に入っているため、この袋を外した後に、感光性フィルムロールRをラミネータに取り付ける。
このように、この実施形態の梱包材によれば、重量が重い(例えば30kg以上、あるいは50kg以上である)感光性フィルムロールを梱包材から外して使用する装置に取り付ける作業が、従来の梱包材を用いた場合よりも簡単にできる。また、感光性フィルムが浮いた状態を保持したままで、梱包材から感光性フィルムロールRを取り出して、使用する装置に取り付けることができるため、使用時の取り付け作業を効率的に行うことができる。
また、横方向に奇数本のロールを梱包した場合でも、偶数本のロールを梱包した場合でも、横方向の重量バランスがとれるため、3本、2本、1本のいずれの梱包用にも好適に使用できる。さらに、長さの異なるロールにも対応できるため、汎用性が高い。
加えて、折り畳んで積み重ねて保管できる構造であるため、梱包材の保管スペースが削減できる。
なお、この実施形態の梱包材では、コア受け(支持部材)22を横方向に3対備えているが、5対以上の奇数対備えているものであってもよい。また、図9の状態のものを、腕部7の上に支柱11〜14の台座部11b〜14bを載せることで、複数個の梱包体を積み上げることもできる。
また、この実施形態の梱包材では、コア受け連結体2を嵌める溝を底板15に二対設けることで、支持部材をコアの長さ方向の二カ所に配置できるようにしているが、コア受け連結体2が底板15に対してスライドし、且つ任意の位置で固定できる機構を設ければ、任意の長さの感光性フィルムロールの梱包が可能になる。
また、この実施形態の梱包材では、箱体内の高さ方向には1個の感光性フィルムロールを配置しているが、箱体内の高さ方向に複数個の感光性フィルムロールを配置できるような構成になっていてもよい。そのためには、例えば、支柱の長さを二段分の高さに対応させ、この支柱に、上段用のコア受け連結体2が形成された枠体を取り付け、サイドパネル4および正面パネル5および背面パネル6も二段分に対応させること等が必要となる。
また、図9の状態と図5の状態で、マジックテープ(登録商標)を使用して、梱包体とした状態および梱包材の折り畳み状態でのガタツキを押さえるようにしてもよい。そのためには、マジックテープ(登録商標)のフックおよびパイルの一方を、蓋パネル3、正面下側部材16、背面下側部材17、正面パネル5、および背面パネル6の所定位置に固定し、他方を適当な長さのテープ状で用意する。
なお、本発明の梱包材で梱包する感光性フィルムロールの具体的な例としては、支持体フィルムと保護フィルムの間に感光性樹脂組成物層を挟み込んだ積層フィルムであり、感光性エレメント、感光性フィルムあるいはドライフィルム(レジスト)と呼ばれるものがある。感光性樹脂積層体を得るには、感光性樹脂組成物をメチルエチルケトン等適当な溶媒に溶解し、支持フィルム上に塗工し乾燥工程を経て溶媒を除去し、支持フィルム面とは反対側の感光性樹脂組成物層表面に、前保護フィルムを積層して得ることが出来る。
感光性樹脂組成物層は、バインダーポリマーと、分子内に少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物と、光重合開始剤と、を含有する感光性樹脂組成物からなるものであることが好ましい。
ドライフィルムレジストとしては、例えば、旭化成エレクトロニクス(株)製サンフォート(登録商標)、日立化成工業(株)製商品名フォテック、ニチゴー・モートン(株)製商品名アルフォ、ラミナー、ダイナマスク、コンフォマスク、デュポン社製商品名リストン等が挙げられる。
これらドライフィルムレジストは、プリント配線板、プラットパネルディスプレイの前面板や背面板、リードフレームなどを作製するために用いられる。
実施形態の梱包材を説明する斜視図である。 実施形態の梱包材を構成するコア受け(支持部材)の形状を説明する図である。 実施形態の梱包材で、正面パネル(正面板)および背面パネル(背面板)を底板の上面に向けて倒す機構を説明する図である。 実施形態の梱包材を折り畳んで積み上げた状態を示す部分断面正面図である。 実施形態の梱包材を折り畳んだ状態を示す斜視図である。 実施形態の折り畳んだ梱包材の組み立て途中の状態を示す斜視図である。 実施形態の梱包材を、ロールの長さに応じてコア支持部材の設置位置を変えて使用している状態を示す斜視図である。 実施形態の梱包材により、1本、2本、3本の感光性フィルムロールを梱包する例を示す斜視図である。 実施形態の梱包材の組み立て完了状態を示す斜視図である。
符号の説明
1 架台
11〜14 支柱
11a〜14a 支柱の開口部
15 底板
15a,15b 受け溝
16 正面下側部材
17 背面下側部材
2 コア受け連結体
22 コア受け(支持部材)
3 蓋パネル(上板)
4 サイドパネル(側板)
5 正面パネル(正面板)
6 背面パネル(背面板)
7 腕部材
71 長穴
8 軸
K 感光性フィルムロールのコア
R 感光性フィルムロール

Claims (3)

  1. 感光性フィルムが円筒状のコアに巻き付けてあるロールを、袋に入れた状態で、コアの長さ方向両端部を支持部材で支持することにより、感光性フィルムが箱体内で浮いた状態となるように梱包する梱包材であって、
    上板が着脱できる箱体と、
    箱体内に、コアの長さ方向両端に配置される箱体の側板とは別に設けた、コアの長さ方向端部を下側から受ける支持部材と、からなり、
    前記支持部材は、上側がV字状に形成された受け部材を有することを特徴とする感光性フィルムロールの梱包材。
  2. 前記側板が着脱できる請求項1記載の梱包材。
  3. 重量が30kg以上の感光性フィルムロールを請求項1または2記載の梱包材で梱包することを特徴とする感光性フィルムロールの梱包方法。
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