JP4841717B2 - プロピレン系ブロック共重合体粒子およびその製造方法 - Google Patents

プロピレン系ブロック共重合体粒子およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、剛性に優れるとともに耐衝撃性にも優れるプロピレン系ブロック共重合体粒子およびその製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
プロピレン系ブロック共重合体たとえば結晶性プロピレン重合体部(樹脂部)と非晶性プロピレン・エチレン共重合体部(ゴム部)とからなるプロピレン系ブロック共重合体は、剛性が高く、かつ耐低温衝撃性に優れる成形品を調製することができることから、自動車部品、家電部品等の用途に広く使用されている。
【0003】
これらの用途の中でも、特に優れた耐低温衝撃性が要求される自動車部品用途では、高い耐衝撃強度が要求されるため、従来は、プロピレン系ブロック共重合体に、エチレン・プロピレンゴム等のオレフィン系エラストマーやスチレン系のエラストマーを配合して耐衝撃強度を向上させ、更にタルク等の無機フィラーを配合して剛性を向上させる方法が採用されていた。
【0004】
このようにプロピレン系ブロック共重合体にエラストマーを配合する処方を採用しているのは、従来、プロピレン系ブロック共重合体粒子においては、ゴム部の量が多くなるにつれて、この重合体粒子が粘着しあうため、重合体の流動性が低下してしまったり、またプロピレン系ブロック共重合体粒子を気相重合で製造する場合は、重合器の壁に重合体粒子が粘着して、重合を停止しなければならない等のトラブルを招くことがあり、プロピレン系ブロック共重合体粒子におけるゴム部の割合が制限されていたためである。
【0005】
また、プロピレン系ブロック共重合体をスラリー重合で製造する場合、ゴム部の量が多くなるにつれて溶媒に溶解するゴム分の量が増し、スラリーの粘度の上昇をもたらすという問題があった。さらに溶剤に残存するゴム分が多く、製造されたゴム分と得られるプロピレン系ブロック共重合体粒子中のゴム分とが必ずしも一致しないという問題があった。
【0006】
プロピレン系ブロック共重合体粒子において、ゴム部を多量に含んだ粒子を製造する技術としては、従来いくつかの提案がなされている。たとえば、特開平3−203908号公報には、予めマグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体状チタン触媒成分と、周期律表第I族〜第 III族金属の有機金属化合物成分とからなるオレフィン用重合触媒に、エチレン・プロピレンランダム共重合体を予備重合させる技術が提案されている。
【0007】
また、特開平9−506319号公報には、第一の重合工程でマグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体状チタン触媒成分を用いて、結晶性ポリプロピレン部分を製造し、第二の重合工程でいわゆるメタロセン触媒を用いて、非晶性プロピレン・エチレン共重合体部分を製造する技術が開示されている。しかしながら、この技術では、第一の重合工程後、触媒を失活させる工程が必要であり、工程が複雑になるという欠点がある。
【0008】
したがって、安価で流動性に優れ、剛性と耐衝撃性に優れる成形品を調製することができ、自動車内外装材用途に好適なプロピレン系ブロック共重合体粒子およびその製造方法の出現が望まれている。
【0009】
【発明の目的】
本発明の第1の目的は、ゴム含量の多いプロピレン系ブロック共重合体粒子およびその製造方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、剛性と耐衝撃性に優れる成形品を調製することができ、自動車内外装材用途に好適なプロピレン系ブロック共重合体粒子およびその製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明の第3の目的は、上記プロプレン系ブロック共重合体粒子を安価に製造する方法を提供することにある。
【0011】
【発明の概要】
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体粒子は、
触媒成分としてマグネシウム、チタン、ハロゲン、電子供与体およびアルミニウムを含有するオレフィン重合用触媒を用いて調製されるプロピレン系ブロック共重合体粒子であり、
該プロピレン系ブロック共重合体粒子は、
(a)該共重合体の23℃n-デカン不溶成分の13C−NMRで測定されるペンタッド分率(mmmm分率)が97.5%以上であり、
(b)該23℃n-デカン不溶成分の135℃デカリン中で測定される極限粘度 [η]ncが、0.4〜2.0dl/gであり、
(c)該23℃n-デカン不溶成分のプロピレン系ブロック共重合体における割合が50〜80重量%であり、
(d)該共重合体の23℃n-デカン可溶成分の135℃デカリン溶媒中で測定される極限粘度[η]naが1.0〜10.0dl/gであり、
(e)該23℃n-デカン可溶成分のプロピレンから誘導される構成単位/エチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα- オレフィンから誘導される全構成単位の重量比が40/60〜80/20であり、
(f)該23℃n-デカン可溶成分のプロピレン系ブロック共重合体における割合が50〜20重量%であり、
(g)平均粒径が0.8〜10mmであり、
(h)嵩密度が0.3〜0.5g/cm3であり、
(i)流動特性(パウダー落下秒数)が5〜20秒/100ml-ポリマーであることを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体粒子の製造方法は、
マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび内部電子供与体を必須成分とする固体状チタン触媒成分[a]と、周期律表第I族〜第 III族金属を含む有機金属化合物触媒成分[b]と外部電子供与体触媒成分[c]とを含む高立体規則性触媒(オレフィン重合用触媒)の存在下に、
第一の重合工程で、プロピレン、またはプロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα- オレフィンとを含む混合物を1段または多段で、液状プロピレンを溶媒とする懸濁重合法、または気相重合法により重合させてプロピレン単独重合体粒子、またはエチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα- オレフィン含量が5重量%以下のプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体粒子を形成し、
次いで、第二の重合工程において、前記第一の重合工程で得られたプロピレン単独重合体粒子またはプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体粒子の存在下に、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα- オレフィンとを含む混合物を1段または多段で気相重合法により共重合させてゴム状プロピレン・α- オレフィン共重合体の粒子を形成させることにより、プロピレン系ブロック共重合体粒子を製造する方法であり、
該プロピレン系ブロック共重合体粒子は、
(a)該共重合体の23℃n-デカン不溶成分の13C−NMRで測定されるペンタッド分率(mmmm分率)が97.5%以上であり、
(b)該23℃n-デカン不溶成分の135℃デカリン中で測定される極限粘度 [η]ncが、0.4〜2.0dl/gであり、
(c)該23℃n-デカン不溶成分のプロピレン系ブロック共重合体における割合が50〜80重量%であり、
(d)該共重合体の23℃n-デカン可溶成分の135℃デカリン溶媒中で測定される極限粘度[η]naが1.0〜10.0dl/gであり、
(e)該23℃n-デカン可溶成分のプロピレンから誘導される構成単位/エチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα- オレフィンから誘導される全構成単位の重量比が40/60〜80/20であり、
(f)該23℃n-デカン可溶成分のプロピレン系ブロック共重合体における割合が50〜20重量%である
ことを特徴としている。
【0013】
前記固体状チタン触媒成分[a]は、アルコールを含有するマグネシウム化合物と、四塩化チタンとを炭化水素溶媒中で反応させた反応生成物であることが好ましい。前記固体状チタン触媒成分[a]は、無機多孔微粉体に担持させた固体状チタン触媒成分であることが好ましい。
【0014】
前記無機多孔微粉体に担持された固体状チタン触媒成分[a]の比表面積は、200〜800m2/gであることが好ましい。
前記外部電子供与体触媒成分[c]は、ジエーテル化合物および/またはシラン化合物であることが好ましい。
前記第一の重合工程で形成されたプロピレン単独重合体粒子またはプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体粒子の平均粒径は、800〜3,000μmの範囲であることが好ましい。
【0015】
前記第一の重合工程で形成されたプロピレン単独重合体粒子またはエチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα- オレフィン含量が5重量%以下のプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体粒子の空隙率が10〜50%であることが好ましい。
上記のような、本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体粒子の製造方法により製造されたプロピレン系ブロック共重合体粒子の平均粒径は、1〜5mmであることが好ましい。
【0016】
また、プロピレン系ブロック共重合体粒子の好ましい嵩密度は、0.35〜0.5g/cm3であり、好ましい流動特性(パウダー秒数)は、5〜15秒/100ml-ポリマーである。
なお、本明細書においては、「エチレン」を「α- オレフィン」に含めて取り扱うこととする。また、「重合」は、単独重合だけでなく、共重合をも含めて用いる場合がある。
【0017】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体粒子およびその製造方法について具体的に説明する。
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体粒子は、触媒成分としてマグネシウム、チタン、ハロゲン、電子供与体(内部電子供与体および/または外部電子供与体)およびアルミニウムを含有する触媒を用いて調製される、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα- オレフィンとからなる。
【0018】
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体粒子は、23℃n-デカン溶媒により、23℃n-デカン不溶成分と23℃n-デカン可溶成分とに分別することができる。
23℃ n- デカン不溶成分
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体の23℃n-デカン不溶成分は、n-デカン溶媒を用い、濾過分離を23℃で行なったときに得られる固体部(樹脂成分)であり、プロピレンから誘導される構成単位を85〜100モル%、好ましくは95〜100モル%の量で、プロピレン以外の炭素原子数2〜10のα- オレフィンたとえばエチレンから誘導される構成単位を0〜15モル%、好ましくは0〜5モル%の量で含有しているプロピレン単独重合部分またはプロピレン・エチレンランダム共重合体等の結晶性のプロピレン・α- オレフィン共重合部分である。
【0019】
このようなプロピレン以外の炭素原子数2〜10のα- オレフィンとしては、具体的には、エチレン、1-ブテン、3-メチル-1- ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1- ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセンおよびこれらの組合わせなどが挙げられる。
この23℃n-デカン不溶成分は、135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]ncが0.4〜2.0dl/g、好ましくは0.5〜1.8dl/gdl/g、特に好ましくは0.7〜1.5dl/gである。
【0020】
また、この23℃n-デカン不溶成分は、13C−NMRで測定されるペンタッドアイソタクティシティ(I5)[ペンタッド分率(mmmm分率)]が97.5%以上、好ましくは98.0%以上である。このペンタッドアイソタクティシティ(I5)が97.5%以上であるプロピレン系ブロック共重合体粒子は、剛性に優れる成形品を調製することができる。
【0021】
なお、このペンタッドアイソタクティシティ(I5)は、エイ・ザムベル (A, Zambelli) らにより、Macromolecules 6, 925 (1973) に提案された方法、すなわち13C−NMR法(核磁気共鳴法)によって測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクティック分率であり、プロピレン単位が5個連続してアイソタクティック結合したプロピレンモノマー単位の分率である。
【0022】
13C−NMRスペクトルにおけるピークの帰属は、Macromolecules 8, 687 (1975)の記載に基づいて行なわれる。13C−NMRは、フーリエ変換NMR[500MHz(水素核測定時)]装置を用いて、周波数125MHzで、20,000回の積算測定することにより、シグナル検出限界を0.001まで向上させて測定することができる。
【0023】
また、上記のような23℃n-デカン不溶成分は、ASTM D1238に準拠して、230℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MFR)が、10〜300g/10分、好ましくは20〜200g/10分であることが望ましい。
23℃n-デカン不溶成分のプロピレン系ブロック共重合体における割合は、50〜80重量%、好ましくは55〜75重量%、特に好ましくは60〜70重量%である。
【0024】
23℃ n- デカン可溶成分
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体粒子の23℃n-デカン可溶成分は、実質的にプロピレン系ブロック共重合体の非晶質部分(ゴム成分)であり、プロピレン系ブロック共重合体中のプロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα- オレフィンとの共重合部分、主としてエチレンとプロピレンとの共重合部分である。
【0025】
炭素原子数4〜10のα- オレフィンとしては、具体的には、1-ブテン、3-メチル-1- ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1- ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセンおよびこれらの組合わせなどが挙げられる。
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体粒子の23℃n-デカン可溶成分は、エチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα- オレフィンから誘導される構成単位を20〜60モル%、好ましくは30〜50モル%、特に好ましくは30〜45モル%の量で含有し、プロピレンから誘導される構成単位を80〜40モル%、好ましくは70〜50モル%、特に好ましくは70〜55モル%の量で含有している。
【0026】
また、この23℃n-デカン可溶成分は、135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]naが1.0〜10.0dl/g、好ましくは1.5〜8dl/g、特に好ましくは2.0〜6dl/gである。
23℃n-デカン可溶成分のプロピレン系ブロック共重合体における割合は、50〜20重量%、好ましくは45〜25重量%、特に好ましくは40〜30重量%の範囲である。
【0027】
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体粒子は、前述のような高結晶性の23℃n-デカン不溶成分とともに、上記のような23℃n-デカン可溶成分を上記の特定割合で含有しているため、剛性に優れるとともに耐衝撃性にも優れる成形品を調製することができる。
プロピレン系ブロック共重合体粒子
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体粒子は、平均粒径が0.8〜10mm、好ましくは1〜5mm、特に好ましくは1.0〜4mmであり、嵩密度(見かけ嵩密度)が0.3〜0.5g/cm3、好ましくは0.35〜0.5g/cm3であり、パウダー落下秒数が5〜20秒/100ml-ポリマー、好ましくは5〜15秒/100ml-ポリマーの粒子であることが望ましい。
【0028】
なお、ポリマー粒子の落下秒数は、下記のように測定される。バイブレーターを装着した直径86mm、長さ168mm、出口直径10.5mmの円筒型ロートに100mlのプロピレン系ブロック共重合体(A)を入れる。バイブレーターでロートを振動させながら、100mlのプロピレン系ブロック重合体粒子が落下する時間(秒)を測定する。
【0029】
また、本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体粒子は、そのTダイ成形フィルム中に含有される直径0.1mm以上のゴム塊数が、5個/100cm2以下であることが望ましい。
上記のような本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体粒子は、メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)が、0.1〜150g/10分、好ましくは1.0〜100g/10分、特に好ましくは5〜50g/10分であることが望ましい。
【0030】
MFRが上記範囲内あるプロピレン系ブロック共重合体粒子は、流動性、成形性に優れており、大型品に成形することもできる。
プロピレン系ブロック共重合体粒子の製造方法
上記のような、本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体粒子は、たとえば特定の触媒の存在下に、第一の重合工程において、プロピレン単独重合体粒子、またはエチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα- オレフィン含量が5重量%以下のプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体粒子を形成し、次いで、第二の重合工程において、上記プロピレン単独重合体粒子またはプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体粒子の存在下に、ゴム状プロピレン・α- オレフィン共重合体の粒子を形成させることにより得られる。
【0031】
本発明においては、上記プロピレン・α- オレフィンランダム共重合体および/またはゴム状プロピレン・α- オレフィン共重合体中に、炭素原子数4〜10のα- オレフィンから誘導される構成単位を含んでいてもよい。
本発明で用いられる特定の触媒は、具体的には、マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分、好ましくはマグネシウム、チタン、ハロゲンおよび内部電子供与体を必須成分とする固体状チタン触媒成分[a]と、周期律表第I族〜第 III族金属たとえばアルミニウムを含む有機金属化合物触媒成分[b]と、外部電子供与体触媒成分[c]とを含む高立体規則性触媒などが挙げられる。
【0032】
(固体状チタン触媒成分[a])
固体状チタン触媒成分[a]の調製に用いられるマグネシウム化合物としては、還元性を有するマグネシウム化合物および還元性を有しないマグネシウム化合物を挙げることができる。
ここで、還元性を有するマグネシウム化合物としては、たとえばマグネシウム・炭素結合あるいはマグネシウム・水素結合を有するマグネシウム化合物を挙げることができる。
【0033】
このような還元性を有するマグネシウム化合物の具体的な例としては、
ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジデシルマグネシウム等のジアルキルマグネシウム;
エチル塩化マグネシウム、プロピル塩化マグネシウム、ブチル塩化マグネシウム、ヘキシル塩化マグネシウム、アミノ塩化マグネシウム等のアルキルマグネシウムハライド;
ブチルエトキシマグネシウム等のアルコキシマグネシウム;
エチルブチルマグネシウム、オクチルブチルマグネシウム等の異なるアルキル基を有するマグネシウム化合物;
ブチルマグネシウムハライド等のモノアルキルマグネシウムハライドなどを挙げることができる。
【0034】
これらのマグネシウム化合物は、単独で用いることもできるし、後述する有機アルミニウム化合物と錯化合物を形成していてもよい。また、これらのマグネシウム化合物は、液体であっても固体であってもよい。
還元性を有しないマグネシウム化合物の具体的な例としては、
塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、沃化マグネシウム、弗化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウム;
メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウム等のアルコキシマグネシウムハライド;
フェノキシ塩化マグネシウム、メチルフェノキシ塩化マグネシウム等のフェノキシマグネシウムハライド;
エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n-オクトキシマグネシウム、2-エチルヘキソキシマグネシウム等のアルコキシマグネシウム;
フェノキシマグネシウム、ジメチルフェノキシマグネシウム等のアリロキシマグネシウム;
ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム等のマグネシウムのカルボン酸塩などを挙げることができる。
【0035】
これらの還元性を有しないマグネシウム化合物は、上述した還元性を有するマグネシウム化合物から誘導した化合物、あるいは触媒成分の調製時に誘導した化合物であってもよい。
還元性を有しないマグネシウム化合物を、還元性を有するマグネシウム化合物から誘導するには、たとえば還元性を有するマグネシウム化合物を、ポリシロキサン化合物、ハロゲン含有シラン化合物、ハロゲン含有アルミニウム化合物、エステル、アルコールなどの化合物と接触させればよい。
【0036】
なお、本発明において、マグネシウム化合物は、上記の還元性を有するマグネシウム化合物および還元性を有しないマグネシウム化合物の外に、上記のマグネシウム化合物と他の金属との錯化合物、複化合物あるいは他の金属化合物との混合物であってもよい。さらに、上記の化合物を2種以上組み合わせた混合物であってもよい。
【0037】
本発明においては、これらの中でも、マグネシウムジハライド、ジアルコキシマグネシウム等のMg(OR12-pp (ここで、R1は炭化水素基、好ましくは炭素原子数1〜10程度の炭化水素基であり、Xはハロゲンを示し、pは0≦p≦2である。)で表わされるマグネシウム化合物が好ましく用いられる。
本発明において、固体状チタン触媒成分[a]の調製に用いられるチタン化合物としては、たとえばTi(OR)g4-g(Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、0≦g≦4である)、あるいはTi(OR)h4-h(RおよびXは上記と同じであり、0≦h≦3である)で示される4価のチタン化合物を挙げることができる。より具体的には、
TiCl4、TiBr4、TiI4等のテトラハロゲン化チタン;
TiCl3 等のトリハロゲン化チタン;
Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC25)Cl3 、Ti(On-C49)Cl3
Ti(OC25)Br3、Ti(Oiso-C49)Br3等のトリハロゲン化アルコキシチタン;
Ti(OCH32Cl2、Ti(OC252Cl2、Ti(On-C492Cl2
Ti(OC252Br2等のジハロゲン化ジアルコキシチタン;
Ti(OCH33Cl、Ti(OC253Cl、Ti(On-C493Cl、
Ti(OC253Br等のモノハロゲン化トリアルコキシチタン;
Ti(OCH34 、Ti(OC254 、Ti(On-C494
Ti(Oiso-C494、Ti(O-2- エチルヘキシル)4等のテトラアルコキシチタンなどを挙げることができる。
【0038】
これらの中では、ハロゲン含有チタン化合物、特にテトラハロゲン化チタンが好ましく、さらに好ましくは四塩化チタンが用いられる。これらチタン化合物は、単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、これらのチタン化合物は、炭化水素化合物あるいはハロゲン化炭化水素化合物などに希釈されていてもよい。
【0039】
本発明において、固体状チタン触媒成分[a]の調製に際して、電子供与体(内部電子供与体)を用いることが好ましい。電子供与体としては、有機カルボン酸エステル、好ましくは多価カルボン酸エステルまたは多価アルコールの有機カルボン酸エステルが挙げられ、具体的には、下記式で表わされる骨格を有する化合物が用いられる。
【0040】
【化1】
Figure 0004841717
【0041】
上記の式において、R1は、置換または非置換の炭化水素基であり、R2、R5、R6は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭化水素基であり、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭化水素基である。なお、R3、R4は、少なくとも一方が置換または非置換の炭化水素基であることが好ましい。また、R3とR4とは互いに連結されて環状構造を形成していてもよい。
【0042】
置換の炭化水素基としては、N、O、Sなどの異原子を含む置換の炭化水素基が挙げられ、たとえば−C−O−C−、−COOR、−COOH、−OH、−SO3H、−C−N−C−、−NH2などの構造を有する置換の炭化水素基が挙げられる。
これらの中では、R1、R2の少なくとも一方が、炭素原子数が2以上のアルキル基である、ジカルボン酸から誘導されるジエステルが好ましい。
【0043】
多価カルボン酸エステルの具体例としては、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、メチルコハク酸ジエチル、α- メチルグルタル酸ジイソブチル、マロン酸ジブチルメチル、マロン酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチル、イソプロピルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチル、フェニルマロン酸ジエチル、ジエチルマロン酸ジエチル、アリルマロン酸ジエチル、ジイソブチルマロン酸ジエチル、ジノルマルブチルマロン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸ジイソオクチル、マレイン酸ジイソブチル、ブチルマレイン酸ジイソブチル、ブチルマレイン酸ジエチル、β- メチルグルタル酸ジイソプロピル、エチルコハク酸ジアルリル、フマル酸ジ-2- エチルヘキシル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジイソブチル、シトラコン酸ジイソオクチル、シトラコン酸ジメチル等の脂肪族ポリカルボン酸エステル;
1,2-シクロヘキサンカルボン酸ジエチル、1,2-シクロヘキサンカルボン酸ジイソブチル、テトラヒドロフタル酸ジエチル、ナジック酸ジエチル等の脂肪族ポリカルボン酸エステル;
フタル酸モノエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸メチルエチル、フタル酸モノイソブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸エチルイソブチル、フタル酸モノノルマルブチル、フタル酸エチルノルマルブチル、フタル酸ジn-プロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジn-ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジn-ペンチル、フタル酸ジイソペンチル、フタル酸ジn-ヘキシル、フタル酸ジイソヘキシル、フタル酸ジn-ヘプチル、フタル酸ジイソヘプチル、フタル酸ジn-オクチル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジn-ヘプチル、フタル酸ジ-2- エチルヘキシル、フタル酸ジデシル、フタル酸ベンジルブチル、フタル酸ジフェニル、ナフタリンジカルボン酸ジブチル、ナフタリンジカルボン酸ジブチル、トリメリット酸トリエチル、トリメリット酸ジブチル等の芳香族ポリカルボン酸エステル;
3,4-フランジカルボン酸等の異節環ポリカルボン酸から誘導されるエステルなどを挙げることができる。
【0044】
多価カルボン酸エステルの他の例としては、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジn-ブチル、セバシン酸n-オクチル、セバシン酸ジ-2- エチルヘキシル等の長鎖ジカルボン酸から誘導されるエステルなどを挙げることができる。
これらの多価カルボン酸エステルの中では、前述した一般式で表わされる骨格を有する化合物が好ましく、中でも、フタル酸、マレイン酸、置換マロン酸などと、炭素原子数2以上のアルコールとから誘導されるエステルがさらに好ましく、フタル酸と炭素原子数2以上のアルコールとの反応により得られるジエステルが特に好ましい。
【0045】
本発明では、固体状チタン触媒成分を調製するに際して、多価カルボン酸エステル以外の電子供与体を必要に応じて用いることができる。このような電子供与体としては、アルコール類、フェノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸または無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水物、アルコキシシラン等の含酸素電子供与体;アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアネート等の含窒素電子供与体などを用いることができる。
【0046】
より具体的には、
メタノール、エタノール、プロパノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ドデカノール、オクタデシルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、クミルアルコール、イソプロピルアルコール、イソプロピルベンジルアルコール等の炭素原子数1〜18のアルコール類;
フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ノリルフェノール、クミルフェノール、ナフトール等の低級アルキル基を有してもよい炭素原子数6〜20のフェノール類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾキノン等の炭素原子数3〜15のケトン類;
アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド、ナフトアルデヒド等の炭素原子数2〜15のアルデヒド類;
ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピレン酸エチル、吉草酸エチル、クロル酢酸メチル、ジクロル酢酸エチル、メタクリル酸エチル、クロトン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、アニス酸メチル、シクロヘキセンカルボン酸ジn-ヘキシル、γ- ブチロラクトン、δ- バレロラクトン、クマリン、フタリド、炭酸エチレン等の炭素原子数2〜30の有機酸エステル;
アセチルクロリド、ベンゾイルクロリド、トルイル酸クロリド、アニス酸クロリド等の炭素原子数2〜15の酸ハライド類;
メチルエーテル、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、アミルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、ジフェニルエポキシ-p- メンタン等の炭素原子数2〜20のエーテル類やジエーテル類;
酢酸アミド、安息香酸アミド、トルイル酸アミド等の酸アミド類;
メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリブチルアミン、ピペリジン、トリベンジルアミン、アニリン、ピリジン、ピコリン、テトラメチレンジアミン等のアミン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリル等のニトリル類;
無水酢酸、無水フタル酸、無水安息香酸等の酸無水物などが用いられる。
【0047】
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体の製造方法では、固体状チタン触媒成分[a]は、アルコールを含有するマグネシウム化合物と、四塩化チタンとの反応生成物、特に炭化水素溶媒中での反応生成物であると、第一の重合工程で得られる重合体が多孔質になるため好ましい。また、上記のようなマグネシウム化合物、チタン化合物および内部電子供与体を接触させる際に、下記のような粒子状担体を用い、担体担持型の固体状チタン触媒成分を調製することもできる。
【0048】
このような担体としては、たとえば、Al23 、SiO2、B23、MgO、CaO、TiO2 、ZnO、Zn2O、SnO2 、BaO、ThOおよびスチレン- ジビニルベンゼン共重合体等の樹脂などを挙げることができる。これらの担体の中でも、好ましくはSiO2、Al23、MgO、ZnO、Zn2Oなどを挙げることができる。中でも、比表面積、細孔容積の大きなSiO2、MgOが特に 好ましい。
【0049】
本発明においては、固体状チタン触媒成分[a]は、無機多孔微粉体に担持させたものであることが好ましい。
担持された固体状チタン触媒成分の比表面積は、200〜800m2/gであることが好ましい。
これら固体状チタン触媒成分[a]の具体的な製造方法を数例挙げて以下に簡単に述べる。
(1)マグネシウム化合物、電子供与体および炭化水素溶媒からなる溶液を、有機金属化合物と接触反応させて、固体を析出させた後、または析出させながらチタン化合物と接触反応させる方法。
(2)マグネシウム化合物と電子供与体とからなる錯体を、炭化水素中で有機金属化合物と接触、反応させた後、チタン化合物を接触反応させる方法。
(3)マグネシウム化合物、電子供与体および炭化水素溶媒を含む溶液と、無機または有機担体との混合物から、マグネシウム化合物の担持された無機または有機担体を調製し、
次いでチタン化合物を接触させる方法。
(4)アルコキシ基含有マグネシウム化合物を、炭化水素中でハロゲン含有チタン化合物と接触反応する方法。このとき電子供与体を1回は用いる。
(5)アルコキシ基含有マグネシウム化合物および電子供与体からなる錯体をチタン化合物と接触反応する方法。
(6)アルコキシ基含有マグネシウム化合物および電子供与体からなる錯体を、炭化水素中で有機金属化合物と接触させた後、チタン化合物と接触反応させる方法。
【0050】
これらのうちでは、(1)と(5)の方法が好ましい。
固体状チタン触媒成分[a]を構成する各成分の接触条件は、本発明の効果が認められる限り任意のものでありうるが、一般的には、次の条件が好ましい。
各成分の接触温度は、−50℃〜200℃程度、好ましくは0〜100℃である。接触方法としては、回転ボールミル、振動ミル、ジェットミル、媒体撹拌粉砕機などによる機械的な方法、不活性希釈剤の存在下に撹拌により各成分を接触させる方法などがある。
【0051】
この接触の際に使用する不活性希釈剤としては、脂肪族または芳香族の炭化水素およびハロゲン化炭化水素などが挙げられる。具体的には、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、n-デカン等の飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、オルトジクロルベンゼン、塩化メチレン、四塩化炭素、ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水素などが挙げられる。中でも、沸点が90〜150℃程度のn-デカンまたは芳香族炭化水素類たとえばトルエン、キシレン、エチルベンゼンが好ましく用いられる。
【0052】
固体状チタン触媒成分[a]を調製する際に用いられる上述したような各成分の使用量は、調製方法によって異なり一概に規定できないが、たとえばマグネシウム化合物1モル当たり、電子供与体は約0.01〜5モル、好ましくは0.05〜2モルの量で、チタン化合物は約0.01〜500モル、好ましくは0.05〜300モルの量で用いられる。
【0053】
このようにして得られた固体状チタン触媒成分[a]は、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび必要に応じて電子供与体を必須成分として含有している。
この固体状チタン触媒成分[a]において、ハロゲン/チタン(原子比)は約4〜200、好ましくは約5〜100であり、前記電子供与体/チタン(モル比)約0.1〜10、好ましくは約0.2〜約6であり、マグネシウム/チタン(原子比)は約1〜100、好ましくは約20〜50であることが望ましい。
【0054】
この固体状チタン触媒成分[a]は、市販のハロゲン化マグネシウムと比較すると、結晶サイズの小さいハロゲン化マグネシウムを含み、通常その比表面積が約50m2/g以上、好ましくは約80〜1,000m2/g、より好ましくは約100〜800m2/gである。
このような固体状チタン触媒成分[a]は、その平均粒径が10〜500μm、好ましくは20〜300μm、さらに好ましくは30〜200μmであることが好ましい。
【0055】
なお、固体状チタン触媒成分[a]の平均粒径は、下記のようにして測定することができる。具体的には、デカン溶媒に濃度が1〜5重量%になるように固体状チタン触媒成分[a]を投入して調製した分散液を空気と接触させないよう窒素雰囲気下で光学顕微鏡撮影用プレパラート上に採取する。そして、その上部をカバーガラスで覆った後、触媒の粒子群を光学顕微鏡を用いて100〜400倍の倍率で撮影する。撮影した画像により、その任意に選んだ100個の触媒粒子について長軸と短軸を測定し、その和の1/2の値を触媒粒径とする。そして、横軸を触媒粒径、縦軸を該触媒粒径以下の触媒粒子の個数とし、上記100個の触媒粒子に関し、対数確率紙上にプロットする。該プロットを結んで得られる曲線に基づき触媒粒子の個数が50個に相当する触媒粒径を平均粒径(D50)と見なす。一方、触媒粒子の個数が16個に相当する触媒粒径(D16)を求め、D50とD16との比(D50/D16)を算出し、これを幾何標準偏差(δg)とする。
【0056】
また、固体状チタン触媒成分[a]は、好ましくは真球状、楕円球状、顆粒状等の形状を有しており、粒子のアスペクト比が好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下、特に好ましくは1.5以下である。
このアスペクト比は、触媒粒径群を光学顕微鏡で観察し、その際に選んだ50個の触媒粒子について長軸と短軸を測定することにより求められる。
【0057】
(有機金属化合物触媒成分[b])
本発明の製造方法で固体状チタン触媒成分[a]とともに用いられる周期律表第I族〜第 III族金属の有機金属化合物触媒成分[b]としては、下記のようなトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジハライド等の有機アルミニウム化合物が好適である。
【0058】
なお、有機アルミニウム化合物は、使用するチタン触媒成分の種類に合わせて適宜選択することができる。
このような有機アルミニウム化合物としては、たとえば
(i)R1 mAl(OR2npq
(式中、R1およびR2は、炭素原子を通常1〜15個、好ましくは1〜4個含む炭化水素基であり、これらは互いに同一でも異なってもよい。Xは、ハロゲン原子を表わし、0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であって、しかも、m+n+p+q=3である)で表わされる有機アルミニウム化合物、
(ii)N1AlR1 m
(式中、N1はLi、Na、Kであり、R1は前記と同じ)で表わされる第I族 金属とアルミニウムとの錯アルキル化物、
(iii)R122
(式中、R1およびR2は上記と同様である。M2 はMg、ZnまたはCdである )で表わされる第II族または第 III族のジアルキル化合物が用いられる。
【0059】
前記の(i)に属する有機アルミニウム化合物としては、次のような化合物を例示できる。
一般式R1 mAl(OR23-m
(式中、R1およびR2は前記と同じ。mは好ましくは1.5≦m≦3の数である)、
一般式R1 mAlX3-m
(式中、R1は前記と同じ。Xはハロゲン、mは好ましくは0<m<3である)、
一般式R1 mAlH3-m
(式中、R1は前記と同じ。mは好ましくは2≦m<3である)、
一般式R1 mAl(OR2np
(式中、R1およびR2は前記と同じ。Xはハロゲン、0<m≦3、0≦n<3、0≦q<3で、m+n+q=3である)で表わされる化合物などを挙げることができる。
(i)に属するアルミニウム化合物としては、より具体的には、
トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;
トリイソプレニルアルミニウム等のトリアルケニルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシド、R1 2.5Al(OR20.5などで表わされる平均組成を有する部分的に、アルコキシ化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド;
エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミド等のアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリドなど、その他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムを挙げることができる。
【0060】
また、(i)に類似する化合物としては、酸素原子や窒素原子を介して2以上のアルミニウムが結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。このような化合物としては、たとえば、
【0061】
【化2】
Figure 0004841717
【0062】
などを挙げることができる。
(外部電子供与体触媒成分[c])
本発明の製造方法において、固体状チタン触媒成分[a]および周期律表第I族〜第 III族金属の有機金属化合物触媒成分[b]とともに任意成分好ましくは必須成分として触媒を構成する外部電子供与体触媒成分[c]として、内部電子供与体として用いられる前記化合物の他に、下記のような一般式[Ia]で示される有機ケイ素化合物を用いることもできる。
【0063】
nSi(OR')4-n …[Ia]
[式中、RおよびR' は、炭化水素基であり、0<n<4である]
上記のような一般式[Ia]で示される有機ケイ素化合物としては、具体的には、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジエトキシシラン、t-アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo-トリルジメトキシシラン、ビスm-トリルジメトキシシラン、ビスp-トリルジメトキシシラン、ビスp-トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ- クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、iso-ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ- アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2-ノルボルナントリメトキシシラン、2-ノルボルナントリエトキシシラン、2-ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフェノキシシラン、メチルトリアリロキシ(allyloxy)シラン、ビニルトリス(β- メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサンなどが用いられる。
【0064】
このうち、エチルトリエトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビスp-トリルジメトキシシラン、p-トリルメチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、2-ノルボルナントリエトキシシラン、2-ノルボルナンメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランが好ましい。
【0065】
さらに電子供与体触媒成分[c]として、下記のような一般式[IIa]で示される有機ケイ素化合物を用いることもできる。
SiR12 m(OR33-m …[IIa]
[式中、R1は、シクロペンチル基もしくはアルキル基を有するシクロペンチル基であり、R2は、アルキル基、シクロペンチル基およびアルキル基を有するシ クロペンチル基からなる群より選ばれる基であり、R3は、炭化水素基であり、 mは0≦m≦2である。]
上記式[IIa]において、R1は、シクロペンチル基もしくはアルキル基を有するシクロペンチル基であり、R1としては、シクロペンチル基以外に、2-メチ ルシクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2-エチルシクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基などのアルキル基を有するシクロペンチル基を挙げることができる。
【0066】
また、式[IIa]において、R2は、アルキル基、シクロペンチル基もしくはアルキル基を有するシロペンチル基のいずれかの基であり、R2としては、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基などのアルキル基、またはR1として例示したシクロペンチル基およびアルキル基を有するシクロペンチル基を同様に挙げることができる。
【0067】
また、式[IIa]において、R3は、炭化水素基であり、R3としては、たとえばアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などの炭化水素基を挙げることができる。
これらのうちでは、R1がシクロペンチル基であり、R2がアルキル基またはシクロペンチル基であり、R3がアルキル基、特にメチル基またはエチル基である有機ケイ素化合物を用いることが好ましい。
【0068】
このような有機ケイ素化合物として、具体的には、シクロペンチルトリメトキシシラン、2-メチルシクロペンチルトリメトキシシラン、2,3-ジメチルシクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;
ジシクロペンチルジメトキシシラン、ビス(2-メチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(2,3-ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類;
トリシクロペンチルメトキシシラン、トリシクロペンチルエトキシシラン、ジシクロペンチルメチルメトキシシラン、ジシクロペンチルエチルメトキシシラン、ジシクロペンチルメチルエトキシシラン、シクロペンチルジメチルメトキシシラン、シクロペンチルジエチルメトキシシラン、シクロペンチルジメチルエトキシシラン等のモノアルコキシシラン類などを挙げることができる。
【0069】
これらの電子供与体のうち、有機カルボン酸エステル類あるいは有機ケイ素化合物類が好ましく、外部電子供与体触媒成分[c]としては、ジエーテル化合物および/またはシラン化合物が好ましい。
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体粒子の製造方法では、第一の重合工程で形成されるプロピレン単独重合体粒子またはプロピレン・エチレンランダム共重合体粒子等のプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体粒子の平均粒径は、800〜3000μmの範囲であることが好ましい。
【0070】
第一の重合工程で形成されたプロピレン単独重合体粒子、またはエチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα- オレフィン含量が5重量%以下のプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体粒子の空隙率は、10〜50%であることが好ましい。
最終的に、第二の重合工程で形成されるプロピレン系ブロック共重合体粒子の平均粒径は、0.8〜5mmであることが好ましい。
【0071】
本発明で好ましく用いられるオレフィン重合用触媒は、その粒径が好ましくは20〜100μm、特に好ましくは30〜80μmであり、粒径が大きく、かつ多孔質であるという特徴を有している。
このような大粒径の触媒は、たとえば、有機または無機担体に担持させた、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび内部電子供与体を必須成分とする固体状チタン触媒成分[a]と、周期律表第I族〜第III族金属を含む有機金属化合物触媒成分[b]と、外部電子供与体触媒成分[c]とを含む高立体規則性触媒の固体状チタン触媒成分[a]にα- オレフィンを予備重合することにより製造することができる。
【0072】
また、多孔質である触媒は、たとえば固体状チタン触媒成分[a]として、アルコールを含有するマグネシウム化合物と、四塩化チタンとを炭化水素溶媒中で反応させた反応生成物を用いることにより製造することができるし、この反応生成物あるいはこの反応生成物以外の固体状チタン触媒成分[a]を無機多孔微粉体に担持させることにより製造することもできる。
【0073】
本発明の重合方法においては、固体状チタン触媒成分[a]は、重合容積1リットル当りTi原子に換算して、通常は約0.0001〜0.5ミリモル、好ましくは約0.006〜0.1ミリモルの量で用いられる。また、有機金属化合物触媒成分[b]は、重合系中の予備重合触媒成分中のチタン原子1モルに対し、金属原子が、通常約1〜2000モル、好ましくは約5〜500モルとなるような量で用いられる。さらに、外部電子供与体触媒成分[c]は、必要に応じて用いられ、固体状チタン触媒成分[a]中のチタン原子1モル当り、通常、0.1〜100モル、好ましくは0.5〜50モル、特に好ましくは1〜30モルの量で用いられることが好ましい。
【0074】
(予備重合)
本発明では、上記のようなオレフィン重合用触媒を形成する固体状チタン触媒成分[a]にα- オレフィンを予備重合させて、予備重合触媒成分を形成して用いることが触媒崩壊に伴うプロピレン系ブロック共重合体の微粉の発生を抑制できるため好ましい。
【0075】
この予備重合は、上記のような固体状チタン触媒成分[a]に、たとえば不活性な炭化水素媒体の共存下に、炭素原子数2〜10のα- オレフィンを重合または共重合させることにより行なわれる。
炭素原子数2〜10のオレフィンとしては、たとえばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、3-メチル-1- ブテン、3,3-ジメチル-1- ブテン、3-メチル-1- ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、3-メチル-1- ヘキセン、3,5,5-トリメチル-1- ヘキセン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサンなどが挙げられ、これらのうち、プロピレン、3-メチル-1- ブテン、3,3-ジメチル-1- ブテン、3-メチル-1- ペンテン、3-メチル-1- ヘキセン、3,5,5-トリメチル-1- ヘキセン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサンなどが好ましく用いられる。
【0076】
予備重合に用いられる不活性炭化水素媒体としては、具体的には、
プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;
シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;
ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;
エチレンクロリド、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、
あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。これらのうち、脂肪族炭化水素を用いることが好ましく、特に沸点180℃以下の脂肪族炭化水素を用いることが好ましい。
【0077】
予備重合の際の反応温度は、生成する予備重合体が実質的に不活性炭化水素媒体中に溶解しないような温度であることが好ましく、通常約−20〜+100℃、好ましくは約−20〜+80℃、さらに好ましくは0〜+40℃であることが望ましい。
予備重合においては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。本発明では、予備重合は、上記のような固体状チタン触媒成分[a]1g当り0.01〜2000g、好ましくは1〜500g、特に好ましくは2〜200gの予備重合体が生成するように行なうことが望ましい。
【0078】
予備重合は、バッチ式、半連続式あるいは連続式のいずれの方法で行なってもよい。
(第一の重合工程)
本発明では、第一の重合工程で、上記したオレフィン重合用触媒の存在下に、プロピレン、またはプロピレンと少量、好ましくは5モル%以下、特に好ましくは2モル%以下のエチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα- オレフィンとを含む混合物を重合させて、プロピレン単独重合体粒子、またはプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体粒子(好ましくはプロピレン・エチレンランダム共重合体粒子)を製造する。
【0079】
この重合方法としては、炭化水素溶媒下でのスラリー重合、プロピレン溶媒下での塊状重合、気相重合等の方法を採用することができる。これらのうちでは、プロピレン溶媒下での塊状重合法、気相重合法が好ましい。
第一の重合工程は、バッチ重合法でも連続法でも行なうことができるが、連続重合方法が好ましい。
【0080】
連続重合工程は、1つの重合器からなる単段でもよいし、複数の重合器を多段に用いる方法であってもよい。
第一の重合工程で重合されたプロピレン単独重合体、またはプロピレン・エチレンランダム共重合体の135℃デカリン中での極限粘度[η]は、0.4〜2.0dl/g、好ましくは0.8〜1.60dl/g、特に好ましくは1.0〜1.5dl/gの範囲内にあることが望ましい。
【0081】
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体粒子の製造方法では、第一の重合工程で製造される重合体粒子は、多孔質でかつ大粒径であるという特徴を有する。たとえば、重合体粒子の平均粒径は、0.8〜10mm、好ましくは1.0〜5mm、特に好ましくは1.0〜4mmの範囲である。
また、第一の重合工程で製造される重合体粒子の細孔容積は、通常、0.1〜2cc/g、好ましくは0.2〜1cc/gである。
【0082】
また、重合体粒子の比表面積は、5〜500m2/g、好ましくは10〜100m2/gの範囲にある。
(第二の重合工程)
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体粒子の製造方法においては、第一の重合工程に引き続く第二の重合工程において、好ましくは触媒を新たに添加することなく、前記第一の重合工程で得られたプロピレン単独重合体粒子またはプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体粒子の存在下に、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα- オレフィンとを含む混合物を共重合させてゴム状プロピレン・α- オレフィン共重合体粒子を形成させる。
【0083】
このゴム状プロピレン・α- オレフィン共重合体粒子のプロピレンから誘導される構成単位/エチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα- オレフィンから誘導される全構成単位の重量比は、40/60〜80/20、好ましくは50/50〜75/25、特に好ましくは55/45〜70/30の範囲である。
また、ゴム状プロピレン・α- オレフィン共重合体のプロピレン系ブロック共重合体全体における割合は、50〜20重量%、好ましくは45〜25重量%、特に好ましくは40〜30重量%の範囲にある。
【0084】
第二の重合工程は、気相重合方法によることが好ましい。
この気相重合方法は、バッチ重合法でもよいが、連続重合法が好ましい。また連続重合法による場合、単一の重合器からなる単段でもよいし、複数の段からなっていてもよい。
第二の重合工程で製造されたゴム状プロピレン・エチレン共重合体の135℃デカリン溶媒中での極限粘度[η]は、1.0〜10.0dl/g、好ましくは1.5〜8dl/g、特に好ましくは2〜6dl/gの範囲にあることが好ましい。
【0085】
第一の重合工程および第二の重合工程を経て製造されたプロピレン系ブロック共重合体粒子の平均粒径は、0.8〜10mm、好ましくは1〜5mm、特に1.0〜4mmの範囲にあることが望ましい。
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体粒子の製造方法により製造されたプロピレン系ブロック共重合体粒子の嵩密度は、0.3〜0.5g/cm3、好ましくは0.35〜0.5g/cm3の範囲にあることが望ましい。
【0086】
【発明の効果】
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体粒子は、流動性に優れ、しかも、エラストマー(ゴム)成分を添加することなく、剛性、耐衝撃性および外観に優れる成形品を提供することができる。
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体粒子の製造方法によれば、上記のような効果を有するプロピレン系ブロック共重合体粒子を安価に提供することができる。
【0087】
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体粒子は、上記のような効果を有するので、広範な用途に利用することができ、特に自動車用内外装材、電気部品筐体などの用途に好適に用いられる。
自動車内装材としては、たとえばドアトリム、フロントピラーガーニッシュ、センターピラーガーニッシュ、リアクォータトリム、キッキングプレート、ドアポケットなどを挙げることができる。
【0088】
また、自動車外装材としては、たとえばバンパーなどを挙げることができる。
【0089】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例に何ら限定されるものではない。
なお、下記の実施例、比較例において、各物性は以下のようにして測定した。
(1)MFR
MFRは、ASTM D1238に準拠して、230℃、2.16kg荷
重下で測定した。
(2)曲げ弾性率(FM)
曲げ弾性率(FM)は、ASTM D790に準拠して下記の条件で測定
した。
【0090】
<試験条件>
試験片 :12.7mm(幅)×6.4mm(厚さ)×127mm(長さ)
スパン間:100mm
曲げ速度:2mm/分
(3)アイゾット衝撃強度(IZ)
アイゾット衝撃強度(IZ)は、ASTM D256に準拠して下記の条件で測定した。
【0091】
<試験条件>
温 度:−30℃
試験片:12.7mm(幅)×6.4mm(厚さ)×64mm(長さ)
ノッチは機械加工
【0092】
【実施例1】
[前重合触媒の調製]
下記のようにして調製した固体触媒成分70g、トリエチルアルミニウム36ml、2,5-ジメチル-3,3- ビス(メトキシメチル)ヘプタン12mlおよびヘプタン70リットルを内容量200リットルのオートクレーブ内に挿入し、内温5℃に保ち、プロピレンを210g挿入し、60分間撹拌後、固体成分を沈降させ、上澄み液を除去した。再び、ヘプタン70リットルをオートクレーブ内に挿入した。再度この操作を繰り返し、前重合触媒スラリー調製した。
<固体触媒成分の調製>
窒素ガスで充分に置換され、撹拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコに、ジエトキシマグネシウム10gおよびトルエン500mlを装入し、懸濁状態とした。この中に、室温の四塩化チタン500mlを装入し、撹拌しながら50℃まで昇温し、次いで、ジ-iso-オクチルフタレート52mlを添加後、さらに昇温して100℃でジエチルフタレート15mlを添加し、次いで、系内の温度を115℃に昇温して室温での粘度が100cStのジメチルポリシロキサン40mlを添加して2時間反応させた。反応終了後、上澄み液を除去し、トルエン800mlおよび四塩化チタン200mlを用いて100℃で15分間処理し、さらにトルエン1000mlを用いて100℃で3回洗浄した。その後ステアリン酸ナトリウム8g、トルエン800mlおよび四塩化チタン200mlを新たに加え、100℃で2時間撹拌しながら処理し、その後40℃のn-ヘプタン1000mlを8回洗浄して固体触媒成分を得た。この固体触媒成分中のTi含有量を測定したところ、2.5重量%であった。
[プロピレン系ブロック共重合体の調製]
(第一重合工程)
内容量66リットルの環状反応器に、プロピレンを30kg/時間、水素を350Nリッター/時間、上記触媒スラリーを固体触媒成分として0.3g/時間、トリエチルアルミニウム1ml/時間、外部電子供与体としてジシクロペンチルジメトキシシラン0.4ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にてプロピレンを塊状重合した。環状反応器の温度は62℃であり、圧力は3.6MPaであった。
【0093】
次いで、上記のようにして得られたスラリーを、内容量70リットルのベッセル重合器へ連続的に送り、更にプロピレンの塊状重合を行なった。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を260Nリッター/時間で供給した。重合温度59℃、圧力3.4MPaでプロピレンの重合を行なった。
次いで、上記重合を行なって得られたスラリーをガス化させ、気固分離を行なってポリプロピレンホモポリマーパウダーを得た。
(第二重合工程)
内容量480リットルの気相重合器に連続的に上記ポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレンとプロピレンとの気相共重合を行なった。この共重合は、エチレンとエチレンおよびプロピレンとのモル比[エチレン/(エチレン+プロピレン)]0.38、水素とエチレンおよびプロピレンとのモル比[水素/(エチレン+プロピレン)]0.08、重合温度70℃、圧力0.5MPaの条件で行なった。
【0094】
上記のようにして得られたプロピレン系ブロック共重合体の性状等を第1表に示す。
【0095】
【実施例2】
[前重合触媒の調製]
実施例1で用いた固体触媒成分と同じ固体触媒成分70g、トリエチルアルミニウム36mlおよびヘプタン70リットルを内容量200リットルのオートクレーブ内に挿入し、内温5℃に保ち、プロピレンを210g挿入し、60分間撹拌後、固体成分を沈降させ、上澄み液を除去した。再び、ヘプタン70リットルをオートクレーブ内に挿入した。再度この操作を繰り返し、前重合触媒スラリーを調製した。
[プロピレン系ブロック共重合体の調製]
(第一重合工程)
内容量66リットルの環状反応器に、プロピレンを30kg/時間、水素を300Nリッター/時間、上記触媒スラリーを固体触媒成分として0.3g/時間、トリエチルアルミニウム1ml/時間、外部電子供与体としてジシクロペンチルジメトキシシラン0.4ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にてプロピレンを塊状重合した。環状反応器の温度は62℃であり、圧力は3.6MPaであった。
【0096】
次いで、上記のようにして得られたスラリーを、内容量70リットルのベッセル重合器へ連続的に送り、更にプロピレンの塊状重合を行なった。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を260Nリッター/時間で供給した。重合温度59℃、圧力3.4MPaでプロピレンの重合を行なった。
次いで、上記重合を行なって得られたスラリーをガス化させ、気固分離を行なってポリプロピレンホモポリマーパウダーを得た。
(第二重合工程)
内容量480リットルの気相重合器に連続的に上記ポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレンとプロピレンとのブロック共重合を行なった(気相重合)。この共重合は、エチレンとエチレンおよびプロピレンとのモル比[エチレン/(エチレン+プロピレン)]0.40、水素とエチレンおよびプロピレンとのモル比[水素/(エチレン+プロピレン)]0.11、重合温度70℃、圧力0.5MPaの条件で行なった。
【0097】
上記のようにして得られたプロピレン系ブロック共重合体の性状等を第1表に示す。
【0098】
参考例1
[前重合触媒の調製]
下記のようにして調製した固体触媒成分70g、トリエチルアルミニウム36ml、2,5-ジメチル-3,3- ビス(メトキシメチル)ヘプタン12mlおよびヘプタン70リットルを内容量200リットルのオートクレーブ内に挿入し、内温5℃に保ち、プロピレンを210g挿入し、60分間撹拌後、固体成分を沈降させ、上澄み液を除去した。再び、ヘプタン70リットルをオートクレーブ内に挿入した。再度この操作を繰り返し、前重合触媒スラリーを調製した。
<固体触媒成分の調製>
窒素ガスで充分に置換され、撹拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコに、ジエトキシマグネシウム10gおよびトルエン500mlを装入し、懸濁状態とした。この中に、室温の四塩化チタン500mlを装入し、撹拌しながら50℃まで昇温し、次いで、ジ-iso-オクチルフタレート52mlを添加後、さらに昇温して100℃でジエチルフタレート15mlを添加し、次いで、系内の温度を115℃に昇温して室温での粘度が100cStのジメチルポリシロキサン40mlを添加して2時間反応させた。反応終了後、上澄み液を除去し、トルエン800mlおよび四塩化チタン200mlを用いて100℃で15分間処理し、さらにトルエン1000mlを用いて100℃で3回洗浄した。その後ステアリン酸ナトリウム8g、トルエン800mlおよび四塩化チタン200mlを新たに加え、100℃で2時間撹拌しながら処理し、その後40℃のn-ヘプタン1000mlを8回洗浄して固体触媒成分を得た。この固体触媒成分中のTi含有量を測定したところ、2.5重量%であった。
[プロピレン系ブロック共重合体の調製]
(第一重合工程)
内容量66リットルの環状反応器に、プロピレンを30kg/時間、水素を270Nリッター/時間、上記触媒スラリーを固体触媒成分として0.3g/時間、トリエチルアルミニウム1ml/時間、外部電子供与体としてジシクロペンチルジメトキシシラン0.4ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にてプロピレンを塊状重合した。環状反応器の温度は65℃であり、圧力は3.6MPaであった。
【0099】
次いで、上記のようにして得られたスラリーを、内容量70リットルのベッセル重合器へ連続的に送り、更にプロピレンの塊状重合を行なった。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を220Nリッター/時間で供給した。重合温度63℃、圧力3.4MPaでプロピレンの重合を行なった。
次いで、上記重合を行なって得られたスラリーをガス化させ、気固分離を行なってポリプロピレンホモポリマーパウダーを得た。
(第二重合工程)
内容量480リットルの気相重合器に連続的に上記ポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレンとプロピレンとの気相共重合を行なった。この共重合は、エチレンとエチレンおよびプロピレンとのモル比[エチレン/(エチレン+プロピレン)]0.46、水素とエチレンおよびプロピレンとのモル比[水素/(エチレン+プロピレン)]0.03、重合温度70℃、圧力0.5MPaの条件で行なった。
【0100】
上記のようにして得られたプロピレン系ブロック共重合体の性状等を第1表に示す。
【0101】
【比較例1】
[前重合触媒の調製]
実施例1で用いた固体触媒成分と同じ固体触媒成分70g、トリエチルアルミニウム13mlおよびヘプタン65リットルを内容量200リットルのオートクレーブ内に挿入し、内温5℃に保ち、プロピレンを195g挿入し、60分間撹拌後、固体成分を沈降させ、上澄み液を除去した。再び、ヘプタン70リットルをオートクレーブ内に挿入した。再度この操作を繰り返し、前重合触媒スラリーを調製した。
[プロピレン系ブロック共重合体の調製]
(第一重合工程)
内容量66リットルの環状反応器に、プロピレンを30kg/時間、水素を230Nリッター/時間、上記触媒スラリーを固体触媒成分として0.4g/時間、トリエチルアルミニウム1.3ml/時間、外部電子供与体としてシクロヘキシルメチルジメトキシシラン(DH)0.4ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にてプロピレンを塊状重合した。環状反応器の温度は65℃であり、圧力は3.6MPaであった。
【0102】
次いで、上記のようにして得られたスラリーを、内容量70リットルのベッセル重合器へ連続的に送り、更にプロピレンの塊状重合を行なった。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を200Nリッター/時間で供給した。重合温度64℃、圧力3.4MPaで重合を行なった。
次いで、上記重合を行なって得られたスラリーをガス化させ、気固分離を行なってポリプロピレンホモポリマーパウダーを得た。
(第二重合工程)
内容量480リットルの気相重合器に連続的に上記ポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレンとプロピレンとの気相共重合を行なった。この共重合は、エチレンとエチレンおよびプロピレンとのモル比[エチレン/(エチレン+プロピレン)]0.40、水素とエチレンおよびプロピレンとのモル比[水素/(エチレン+プロピレン)]0.10、重合温度70℃、圧力0.5MPaの条件で行なった。
【0103】
上記のようにして得られたプロピレン系ブロック共重合体の性状等を第1表に示す。
【0104】
【比較例2】
[前重合触媒の調製]
下記のようにして調製した固体チタン触媒成分75g、トリエチルアルミニウム41ml、2,5-ジメチル-3,3- ビス(メトキシメチル)ヘプタン14mlおよびヘプタン75リットルを内容量200リットルのオートクレーブ内に挿入し、内温5℃に保ち、プロピレンを225g挿入し、60分間撹拌後、固体成分を沈降させ、上澄み液を除去した。再び、ヘプタン75リットルをオートクレーブ内に挿入した。再度この操作を繰り返し、前重合触媒スラリーを調製した。
<固体チタン触媒成分の調製>
無水塩化マグネシウム7.14g(75ミリモル)、デカン37.5mlおよび2-エチルヘキシルアルコール35.1ml(225ミリモル)を130℃で2時間加熱反応を行ない、均一溶液とした。その後、この溶液中に無水フタル酸1.67g(11.3ミリモル)を添加し、130℃にてさらに1時間撹拌混合を行ない、無水フタル酸を上記均一溶液に溶解させた。
【0105】
このようにして得られた均一溶液を室温まで冷却した後、−20℃に保持された四塩化チタン200ml(1.8モル)中に1時間にわたって全量滴下した。滴下後、得られた溶液の温度を4時間かけて110℃に昇温し、110℃に達したところでジイソブチルフタレート5.03ml(18.8ミリモル)を添加した。さらに2時間上記の温度で撹拌した。2時間の反応終了後、熱時濾過にて固体部を採取し、この固体部を275mlのTiCl4にて再懸濁させた後、再び110℃で2時間、加熱反応を行なった。反応終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、110℃デカンおよびヘキサンを用いて洗浄した。この洗浄を、洗浄液中にチタン化合物が検出されなくなるまで行なった。
【0106】
上記のようにして合成された固体チタン触媒成分は、ヘキサンスラリーとして得られた。この触媒の一部を採取して乾燥させた。この乾燥物を分析したところ、上記のようにして得られた固体チタン触媒成分の組成は、チタン2.5重量%、塩素58重量%、マグネシウム18重量%およびジイソブチルフタレート13.8重量%であった。
[プロピレン系ブロック共重合体の調製]
(第一重合工程)
内容量66リットルの環状反応器に、プロピレンを30kg/時間、水素を240Nリッター/時間、上記触媒スラリーを固体触媒成分として0.5g/時間、トリエチルアルミニウム1ml/時間、外部電子供与体としてジシクロペンチルジメトキシシラン0.8ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にてプロピレンを塊状重合した。環状反応器の温度は65℃であり、圧力は3.6MPaであった。
【0107】
次いで、上記のようにして得られたスラリーを、内容量70リットルのベッセル重合器へ連続的に送り、更にプロピレンの塊状重合を行なった。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を220Nリッター/時間で供給した。重合温度65℃、圧力3.4MPaで重合を行なった。
次いで、上記重合を行なって得られたスラリーをガス化させ、気固分離を行なってポリプロピレンホモポリマーを得た。
(第二重合工程)
内容量480リットルの気相重合器に連続的に上記ポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレンとプロピレンとの気相共重合を行なった。この共重合は、エチレンとエチレンおよびプロピレンとのモル比[エチレン/(エチレン+プロピレン)]0.38、水素とエチレンおよびプロピレンとのモル比[水素/(エチレン+プロピレン)]0.08、重合温度70℃、圧力0.5MPaの条件で行なった。ここで、リアクター内の重合体粒子の壁付着が著しくなったため、運転を停止した。
【0108】
【比較例3】
[前重合触媒の調製]
実施例1で用いた遷移金属触媒成分と同じ遷移金属触媒成分80g、トリエチルアルミニウム60ml、2,5-ジメチル-3,3- ビス(メトキシメチル)ヘプタン20mlおよびヘプタン80リットルを内容量200リットルのオートクレーブ内に挿入し、内温5℃に保ち、プロピレンを800g挿入し、60分間撹拌した。そして、さらにTiCl4 14.3mlを挿入し、再び撹拌した後、固体成分 を沈降させ、上澄み液を除去した。再び、ヘプタン80リットルをオートクレーブ内に挿入した。再度この操作を繰り返し、前重合触媒スラリーを調製した。
[プロピレン系ブロック共重合体の調製]
(第一重合工程)
内容量1000リットルの第1重合器に、プロピレンを162kg/時間、水素を1500Nリッター/時間、上記触媒スラリーを固体触媒成分として1.0g/時間、トリエチルアルミニウム25ml/時間、外部電子供与体としてジシクロペンチルジメトキシシラン2.5リットル/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にてプロピレンを塊状重合した。重合温度は68℃であり、圧力は3.4MPaであった。
【0109】
次いで、上記のようにして得られたスラリーを、内容量500リットルの第2重合器へ連続的に送り、更にプロピレンの塊状重合を行なった。第2重合器へは、プロピレンを50kg/時間で供給した。重合温度68℃、圧力3.4MPaで重合を行なった。
次いで、上記のようにして得られたスラリーを、内容量500リットルの第3重合器へ連続的に送り、更にプロピレンの塊状重合を行なった。第3重合器へは、プロピレンを20kg/時間、水素を200Nリッター/時間で供給した。重合温度69℃、圧力3.4MPaで重合を行なった。
(第二重合工程)
上記のようにして得られたスラリーを内容量500リットルの第4重合器へ連続的に送り、エチレンとプロピレンとの塊状共重合を行なった。第4重合器へは、プロピレンを15kg/時間供給し、重合器内の圧力が3.2MPa、気相部の水素濃度が2モル%、液相中のエチレンとプロピレンとのモル比[エチレン/プロピレン]0.13になるように、エチレンと水素を所定量挿入し重合を行なった。
【0110】
上記のように重合を行なって得られたスラリーを固液分離し、液相中のエチレン、プロピレンを除去したところ、ゴム成分の残存が確認された。
【0111】
【比較例4】
[前重合触媒の調製]
実施例1で用いた固体触媒成分と同じ固体触媒成分80g、トリエチルアルミニウム60ml、2,5-ジメチル-3,3- ビス(メトキシメチル)ヘプタン20mlおよびヘプタン80リットルを内容量200リットルのオートクレーブ内に挿入し、内温5℃に保ち、プロピレンを800g挿入し、60分間撹拌した。そして、さらにTiCl4 14.3mlを挿入し、再び撹拌した後、固体成分を沈降さ せ、上澄み液を除去した。再び、ヘプタン80リットルをオートクレーブ内に挿入した。再度この操作を繰り返し、前重合触媒スラリーを調製した。
[プロピレン系ブロック共重合体の調製]
(第一重合工程)
内容量200リットルの第1重合槽に、ヘプタンを67リットル/時間、水素を15Nリッター/時間、上記触媒スラリーを固体触媒成分として2.5g/時間、トリエチルアルミニウム28ml/時間、外部電子供与体としてジシクロペンチルジメトキシシラン4ml/時間を連続的に供給し、温度70℃で、重合槽の内圧を0.18MPaを保つようにプロピレンを連続的に挿入した。
【0112】
次いで、上記のようにして得られたスラリーを、内容量500リットルの第2重合槽へ連続的に送り、更にプロピレンのスラリー重合を行なった。第2重合器へは、ヘプタンを15リットル/時間、重合温度70℃、気相部の水素濃度30モル%、重合圧力0.16MPaとなるように、プロピレンと水素を連続挿入し、重合を行なった。
【0113】
次いで、上記のようにして得られたスラリーを、内容量500リットルの第3重合器へ連続的に送り、更にプロピレンのスラリー重合を行なった。第3重合器へは、ヘプタンを15リットル/時間、重合温度70℃、気相部の水素濃度30モル%、重合圧力0.27MPaとなるように、プロピレンと水素を連続挿入し、重合を行なった。
【0114】
上記のようにして得られたスラリーを内容量500リットルの第4重合器へ連続的に送り、エチレンとプロピレンとのスラリー共重合を行なった。第4重合器へは、ヘプタンを28リットル/時間、重合温度55℃、気相部の水素濃度が5モル%、気相部のエチレン濃度18モル%、重合圧力0.09MPaとなるように、プロピレン、水素、エチレンを連続挿入した。
(第二重合工程)
上記のようにして得られたスラリーを内容量500リットルの第5重合器へ連続的に送り、エチレンとプロピレンとのスラリー共重合を行なった。第5重合器へは、ヘプタンを20リットル/時間、重合温度55℃、気相部の水素濃度10モル%、気相部のエチレン濃度30モル、重合圧力0.17MPaとなるように、プロピレン、水素、エチレンを連続挿入した。
【0115】
上記のようにして得られたスラリーを内容量500リットルの第6重合器へ連続的に送り、エチレンとプロピレンとのスラリー共重合を行なった。第6重合器へは、ヘプタンを20リットル/時間、重合温度55℃、気相部の水素濃度10モル%、気相部のエチレン濃度30モル、重合圧力0.11MPaとなるように、プロピレン、水素、エチレンを連続挿入した。
【0116】
上記のようにして得られたスラリーを固液分離したところ、液相中にゴム成分が確認された。
【0117】
【表1】
Figure 0004841717

Claims (8)

  1. マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび内部電子供与体を必須成分とする固体状チタン触媒成分[a]と、周期律表第I族〜第 III族金属を含む有機金属化合物触媒成分[b]と外部電子供与体触媒成分[c]とを含む高立体規則性触媒の存在下に、
    第一の重合工程で、プロピレン、またはプロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα- オレフィンとを含む混合物を1段または多段で、液状プロピレンを溶媒とする懸濁重合法、または気相重合法により重合させてプロピレン単独重合体粒子、またはエチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα-オレフィン含量が5重量%以下のプ
    ロピレン・α- オレフィンランダム共重合体粒子を形成し、
    次いで、第二の重合工程において、前記第一の重合工程で得られたプロピレン単独重合体粒子またはプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体粒子の存在下に、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα- オレフィンとを含む混合物を1段または多段で気相重合法により共重合させてゴム状プロピレン・α- オレフィン共重合体の粒子を形成させることによって得られるプロピレン系ブロック共重合体粒子であり、
    該プロピレン系ブロック共重合体粒子は、
    (a)該共重合体の23℃n-デカン不溶成分の13C−NMRで測定されるペンタッド分率(mmmm分率)が97.5%以上であり、
    (b)該23℃n-デカン不溶成分の135℃デカリン中で測定される極限粘度[η]ncが0.4〜2.0dl/gであり、
    (c)該23℃n-デカン不溶成分のプロピレン系ブロック共重合体における割合が50〜80重量%であり、
    (d)該共重合体の23℃n-デカン可溶成分の135℃デカリン溶媒中で測定される極限粘度[η]naが2.2〜2.6dl/gであり、
    (e)該23℃n-デカン可溶成分のプロピレンから誘導される構成単位/エチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα- オレフィンから誘導される全構成単位の重量比が40/60〜80/20であり、
    (f)該23℃n-デカン可溶成分のプロピレン系ブロック共重合体における割合が50〜20重量%であり、
    (g)平均粒径が0.8〜10mmであり、
    (h)嵩密度が0.3〜0.5g/cm3であり、
    (i)流動特性(パウダー落下秒数)が5〜20秒/100ml-ポリマーである
    ことを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体粒子。
  2. マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび内部電子供与体を必須成分とする固体状チタン触媒成分[a]と、周期律表第I族〜第 III族金属を含む有機金属化合物触媒成分[b]と外部電子供与体触媒成分[c]とを含む高立体規則性触媒の存在下に、
    第一の重合工程で、プロピレン、またはプロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα- オレフィンとを含む混合物を1段または多段で、液状プロピレンを溶媒とする懸濁重合法、または気相重合法により重合させてプロピレン単独重合体粒子、またはエチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα-オレフィン含量が5重量%以下のプ
    ロピレン・α- オレフィンランダム共重合体粒子を形成し、
    次いで、第二の重合工程において、前記第一の重合工程で得られたプロピレン単独重合体粒子またはプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体粒子の存在下に、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα- オレフィンとを含む混合物を1段または多段で気相重合法により共重合させてゴム状プロピレン・α- オレフィン共重合体の粒子を形成させることを特徴とする請求項1に記載のプロピレン系ブロック共重合体粒子の製造方法。
  3. 前記固体状チタン触媒成分[a]が、アルコールを含有するマグネシウム化合物と、四塩化チタンとを炭化水素溶媒中で反応させた反応生成物であることを特徴とする請求項2に記載のプロピレン系ブロック共重合体粒子の製造方法。
  4. 前記固体状チタン触媒成分[a]が、無機多孔微粉体に担持させた固体状チタン触媒成分であることを特徴とする請求項2または3に記載のプロピレン系ブロック共重合体粒子の製造方法。
  5. 前記無機多孔微粉体に担持された固体状チタン触媒成分の比表面積が、200〜800m2/gであることを特徴とする請求項4に記載のプロピレン系ブロック共重合体粒子の製造方法。
  6. 前記外部電子供与体触媒成分[c]が、ジエーテル化合物および/またはシラン化合物であることを特徴とする請求項2に記載のプロピレン系ブロック共重合体粒子の製造方法。
  7. 前記第一の重合工程で形成されたプロピレン単独重合体粒子またはプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体粒子の平均粒径が、800〜3,000μmの範囲であることを特徴とする請求項2に記載のプロピレン系ブロック共重合体粒子の製造方法。
  8. 前記第一の重合工程で形成されたプロピレン単独重合体粒子またはエチレンおよび/または炭素原子数4〜10のα- オレフィン含量が5重量%以下のプロピレン・α- オレフィンランダム共重合体粒子の空隙率が10〜50%であることを特徴とする請求項2に記載のプロピレン系ブロック共重合体粒子の製造方法。
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