JP4841617B2 - 抗線虫用組成物および抗線虫性組成物を用いる線虫制圧法 - Google Patents

抗線虫用組成物および抗線虫性組成物を用いる線虫制圧法 Download PDF

Info

Publication number
JP4841617B2
JP4841617B2 JP2008502875A JP2008502875A JP4841617B2 JP 4841617 B2 JP4841617 B2 JP 4841617B2 JP 2008502875 A JP2008502875 A JP 2008502875A JP 2008502875 A JP2008502875 A JP 2008502875A JP 4841617 B2 JP4841617 B2 JP 4841617B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
psicose
nematode
composition
tannin
tea
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008502875A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2007100102A1 (ja
Inventor
徹 山崎
正資 佐藤
健 何森
雅明 徳田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Izumoring Co Ltd
Original Assignee
Izumoring Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Izumoring Co Ltd filed Critical Izumoring Co Ltd
Priority to JP2008502875A priority Critical patent/JP4841617B2/ja
Publication of JPWO2007100102A1 publication Critical patent/JPWO2007100102A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4841617B2 publication Critical patent/JP4841617B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/335Heterocyclic compounds having oxygen as the only ring hetero atom, e.g. fungichromin
    • A61K31/35Heterocyclic compounds having oxygen as the only ring hetero atom, e.g. fungichromin having six-membered rings with one oxygen as the only ring hetero atom
    • A61K31/352Heterocyclic compounds having oxygen as the only ring hetero atom, e.g. fungichromin having six-membered rings with one oxygen as the only ring hetero atom condensed with carbocyclic rings, e.g. methantheline 
    • A61K31/3533,4-Dihydrobenzopyrans, e.g. chroman, catechin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/70Carbohydrates; Sugars; Derivatives thereof
    • A61K31/7004Monosaccharides having only carbon, hydrogen and oxygen atoms
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P33/00Antiparasitic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P33/00Antiparasitic agents
    • A61P33/10Anthelmintics

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)
  • Fodder In General (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)

Description

本発明は、抗線虫用組成物および抗線虫性組成物を用いる線虫制圧法に関する。
今日、熱帯域から亜熱帯域にかけて広範に寄生虫病が蔓延している。腸管寄生虫についてみれば10億人が回虫(線虫類)に、5億人が鞭虫(線虫類)に、9億人が鉤虫(線虫類)に、5億人が赤痢アメーバ(原虫類)に感染している(非特許文献1, p.1-3)。先進国において問題となっている癌、循環器疾患などの疾病と異なって、寄生虫病対策は貧弱で、ここにも南北問題が横たわっている。日本では寄生虫病が激減したとされているが、最近では、人畜共通寄生虫病(非特許文献2)の他に、飽食の代償としての海産魚生食嗜好によって感染するアニキサス症(非特許文献3)や人間活動のグローバル化によってもたらされる輸入寄生虫病(非特許文献4, p.159-163)が問題となっている。寄生虫病は開発途上国、先進国を問わず、依然として世界的な現代病の一つであり、地球規模での寄生虫病対策を講じる必要がある。
寄生虫病を防圧するには寄生虫の生活環のどこかを断てばよい。治療は防圧戦略の一つである。治療の主力は薬物療法であり、虫体に対する糖、脂肪酸、ヌクレオチド、アミノ酸等の代謝阻害、タンパク合成阻害、痙攣性の運動麻痺あるいは生殖機能阻害作用などを示す薬物を投与し、殺滅あるいは宿主体外への排出をはかるのを通例としている。しかし、多細胞動物である条虫、吸虫、線虫などの蠕虫類は原虫より人体に近い体制・代謝様式をとっており、原虫以上に選択毒性を発揮させることは困難である(非特許文献1, p.295-304)。また、臓器組織寄生虫を殺滅する今日の薬剤は薬剤の吸収を前提としており、概して毒性が高く、強い副作用をともなうのが通例である。さらに、殺滅された虫体に起因するアレルギー反応などの宿主反応への対応も必要となってくる。ここで改めて寄生蠕虫の生活環をみてみると、臓器組織寄生虫も腸管寄生虫と同様、腸管で成虫となって産卵し、幼虫はここで孵化する。従って、臓器組織寄生虫、腸管寄生虫を問わず、腸管に生存する期間内に優れた薬効を示す薬剤の開発が望まれる。この場合、体内吸収が低い薬剤がより効果的であろう。言わば体外とも言える腸管で制圧できれば、副作用は大幅に低減しうることが期待される。日本が音頭をとって世界の寄生虫防圧を推進しようとする構想、いわゆる橋本イニシアチブはWHO(世界保健機関)や多くの国から歓迎されているにもかかわらず、抗蠕虫薬も含めて抗寄生虫薬の開発や生産は日本ではほとんど行われなくなっているのが現状である(非特許文献1, p. 1-3)。
従来の抗蠕虫薬はすべて発症患者に施される治療薬であり、予防薬ではない。ほとんどの治療薬は合成物質であり、サントニン・カイニン酸合剤が数少ない天然物起源である。この天然合剤は回虫、鉤虫、鞭虫などの土壌媒介寄生線虫の頭部神経節に作用し、腸管での前進運動を阻止するものであり、連用すると効果が低下し、副作用として黄視、頭痛、嘔吐、下痢、腹痛などがみられる(非特許文献4, p.187-194)。従来、蠕虫症予防と言えば、殺虫剤による貝や蚊などの中間寄主の制圧、集団検査、衛生教育、インストラクチャーの整備、農業施肥法の改善、手洗いの励行、調理法の改善などの感染予防(防圧)をさす(非特許文献4, p.200-203)。
多田,大友編「エッセンシャル寄生虫病学」, 医歯薬出版, 2002. 広島県阿佐医師会「寄生虫・害虫マニュアル」, p. 2, 杏林書院, 1994. 石井俊雄「獣医寄生虫学・寄生虫病学」p. 353, 講談社, 2003. 小島荘明編「New寄生虫病学」, 南江堂, 1993.
現在、発症予防という発想はない。成虫は一定期間産卵したのち、腸管から排除される。この排虫は蠕虫の寿命によるものではない。エフェクター(抗体や各種の液性因子)が蠕虫に作用し排虫が起こるとされている。しかし、いったん感染に成功した蠕虫は宿主の免疫系に変調をもたらしたり、宿主免疫防御反応を回避するエスケープ機構を備え生涯を全うするというのが免疫学的見解である(非特許文献4, p.97-102)。従って、免疫学的観点はおおいに蠕虫病診断に資すると考えられるが、発症予防にどの程度有効かは定かでない。発症予防を可能にする確度の高い方法は、侵入した蠕虫を腸管で殺滅するか、前進運動を減衰させ強制排虫することであると考えられる。連用が可能であれば、治療薬はもとより予防薬となりうる。第2の課題は副作用を可及的に軽減することである。
これまでに、香川大学農学部山崎らにより多くのタンニン化合物、即ち、サンシュユCornus officinalisのエラジタンニン標品(J Pesticide Sci 25, 405-409.,2000.)、コニシキソウEuphorbia supina から単離したエラジタンニン化合物tellimagrandin I及びrugosin A methyl ester(J Nat Toxins 11, 165-171, 2002.)、 ボタンPaeonia suffruticosaから単離したガロタンニン化合物1,2,3,6-tetra-O-galloyl-b-D-glucose、 1,2,3,4,6-penta-O-galloyl-b-D-glucose及び6-m-digalloyl-1,2,3,4-tetra-O-galloyl-b-D-glucoses、さらにアカマツPinus densifloraから単離した縮合型タンニン三量体epicatchin-(4b→8)-epicatechin-(4b→8)-catechin、 同四量体epicatchin-(4b→8)-epicatechin-(4b→8)-epicatechin-(4b→8)-catechin、 同オリゴマー及び同ポリマー(J Pesticide Sci 25, 410-415, 2000.)の殺線虫活性が明らかとなっている。
茶は世界中で愛飲され、最近の高齢化や健康意識の高まりからその効用への関心が高まっており、この趣旨に沿った研究結果がこれまでに幾多となく公表されている(村松他4名編「茶の機能」学会出版センター, 2002.、「茶学術研究20年のあゆみ」茶学術研究会, 2005)。
希少糖の生物活性への関心が高まっている(Rare Sugar Congress in Kagawa : 2005. Proc 2nd Symp Int Soc Rare Sugars, Takamatsu, Japan.)。
D-プシコースは希少糖と呼ばれている単糖類の一つである。従来、この糖は大量生産ができず入手困難であったため、その生理活性や薬理活性に関する研究はほとんどなされていなかった。最近、香川大学農学部何森らにより酵素を用いた大量生産方法が開発され、その生物活性が明らかにされてきている。
D-プシコースは、D-グルコースやD-フラクトースなどの単糖と比べて脂肪合成を促進せず、体脂肪、特に腹腔内脂肪を蓄積させない糖として、D-プシコースが注目されている(Matsuo T, et al., Asia Pacific J. Clin. Nutr. 10, 233-237, 2001.)。また、D-プシコースの有効エネルギー価はほぼゼロであることも報告されている(Matsuo T, et al., J. Nutr. Sci. Vitaminol 48, 77-80, 2002.)。D-プシコースは、D-フラクトースを含有する複合体結晶性糖質として大量生産する方法が確立される可能性が高く(特開2001−11090号公報)、甘味料としての用途が期待されている。
D-プシコースの生理活性や薬理活性に関して、国際公開番号WO03/097820には、グルコースは食物が消化分解され腸から吸収されて供給されているので、グルコース吸収における希少糖に属するケトヘキソースの影響について、D-プシコースおよび腸管を用いて検討し、D-プシコースが血糖値を緩やかに抑える作用を動物(ラット)で裏付け、D-プシコースが高血糖時の血糖降下とインスリン分泌促進作用があること、ならびに、D-プシコースにより蛋白質の糖化がほとんどおこらないことを確認したことが報告されている。そこには、希少糖に属するケトヘキソースの膵β細胞からのインスリン分泌刺激作用および高血糖状態における希少糖に属するケトヘキソースのインスリン分泌増強作用が判明され、希少糖に属するケトヘキソースは、今までにない新しい作用機序を有する物質として期待されること、また、臨床的に高血糖が認められる糖尿病患者において希少糖に属するケトヘキソースがインスリン分泌を促進し、血糖値を改善することが期待されること、また経腸管的に投与された希少糖に属するケトヘキソースがグルコースの吸収を抑制すること及び希少糖に属するケトヘキソースが糖代謝に影響を及ぼさないことは、糖尿病における食後過血糖を抑制する可能性があり、糖尿病における予防又は治療に有益な物質として期待されること、さらに、希少糖に属するケトヘキソースには糖尿病およびその合併症とも関連が大きい動脈硬化の予防効果も認められ、糖尿病の主死因は動脈硬化性疾患であるので、動脈硬化抑制作用もある希少糖に属するケトヘキソースは血糖値の改善および動脈硬化症の予防という画期的な糖尿病治療薬として期待されること、また、希少糖に属するケトヘキソースは、これらの治療効果や抗肥満等が期待される健康補助食品となり得ると期待されることなどが示されている。ケトヘキソースの生理活性、薬理活性、生物活性に関する従来の知識をさらに拡大することが期待される。
上記のとおり開発途上国における寄生虫病の蔓延は深刻であり、寄生虫防圧を推進する上で日本がはたすべき役割は大きいにもかかわらず、安価で多くの人々に恩恵をもたらす、優れた抗線虫薬の開発や生産は日本ではほとんど行われていない。
本発明は、タンニン化合物などのポリフェノール化合物および/または希少糖を用いる線虫制圧に関わる技術を提供することを目的とする。侵入した線虫(例、回虫)を腸管で殺滅するか、前進運動を減衰させ強制排虫することができる抗線虫性組成物およびそれを用いるヒトまたは動物における線虫制圧法を提供しようとしている。
より具体的には、本発明は、ポリフェノール化合物および希少糖D-プシコースの新規用途(線虫制圧の用途)を提供しようとするものである。
より具体的には、本発明は、食品添加物、食品素材、飲食品、健康飲食品、医薬品、飼料の形態で飲食、あるいは経口投与するだけで、線虫制圧ができる、ポリフェノール化合物および希少糖D-プシコースの使用技術を提供しようとするものである。
例えば食品の場合、本発明は、普通に食する食事にポリフェノール化合物および/または希少糖D-プシコース混ぜて食事をするだけで線虫制圧ができる(侵入した線虫を腸管で殺滅するか、前進運動を減衰させ強制排虫することができる)組成物およびヒトまたは動物における方法の提供を目的とする。
本発明者らはD-プシコース(ケトヘキソース)は線虫 Caenorhabditis elegans の成長を劇的に阻害することが明らかにした。これは、D-プシコースによる各種のL1ブラスト細胞ダメージが示唆されている。これらの背後に横たわるメカニズムについて研究を行っている。出願後に公表が予定されている(佐藤正資、飯本義一、何森 健、山崎 徹:2006. 希少糖D-プシコースの C. elegans成長阻害活性.日本農芸化学会2006年度大会講演要旨集)。また、本発明者らは、茶タンニン化合物(epigallocatechin-(2β→O→7',4β→8')-epicatechin-3'-O-gallate及びgallocatechin-(4α→8')-epigallocatechin)の単離、構造決定、各ステージ毎の殺C. elegans活性を明らかにした(松田典子、向井大輔、佐藤正資、山崎 徹:茶(Camellia sinensis L.)タンニン及び関連化合物の殺 Caenorhabditis elegans活性.日本農芸化学会2006年度大会講演要旨集)。さらに、D-プシコースとの併用効果について研究し、治療に用いられている抗線虫薬の薬効と比較し、併せて、今後の展望について出願後に公表が予定されている(向井大輔、吉岡 祐、佐藤正資、何森 健、山崎 徹:抗線虫薬開発の基礎研究茶タンニンとD-プシコースの併用in vitro効果.日本農芸化学会2006年度大会講演要旨集)。
本発明の抗線虫用組成物および抗線虫性組成物は、例えば給餌あるいは投与することにより、侵入した線虫を腸管で殺滅するか、前進運動を減衰させ強制排虫することができるため、容易に蟯虫等の寄生虫線虫を駆除することができ、これらの線虫が主たる原因と考えられる疾病の治療や体力・食欲減退の改善に有用であるという、寄生虫制圧に効果・安全両面で完全な、新しい線虫駆除薬になるものと期待できる。寄生虫病は人間(ヒト)のみならず、家畜及び飼育動物、特に、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス、鳥及び魚にも関連する。本研究成果は、2つの新発見(希少糖D-プシコースの線虫成長抑制効果とタンニン化合物の殺線虫効果)に基づいた新しい線虫制圧に関わるものであり、次世代の抗線虫薬開発の土台をなすものである。
本発明は、以下の(1)ないし(7)の抗線虫用組成物を要旨とする。
(1)線虫成長抑制効果に基づく抗線虫性成分として希少糖D-プシコースまたは希少糖D-プシコースと茶ポリフェノールとの混合物を配合した、抗線虫用組成物。
(2)茶ポリフェノールが、茶Camellia sinensis由来のタンニン類および/またはカテキン類である(1)の抗線虫用組成物。
(3)希少糖D-プシコース、または希少糖D-プシコースとタンニン類との混合物が組成物中に全部で0.01〜50重量%含まれるように配合されている(1)または(2)の抗線虫用組成物。
(4)上記組成物が、希少糖D-プシコース、または希少糖D-プシコースと茶ポリフェノールとの混合物を有効成分として配合した、医薬品である(1)ないし(3)のいずれかの抗線虫用組成物。
(5)ヒト用医薬品である()の抗線虫用組成物。
(6)動物用医薬品である()の抗線虫用組成物。
(7)投与される動物が、ヒツジ、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、イヌ、ネコ、フェレット、マウス及びラットを含むげっ歯類、ニワトリ、ガチョウ及びシチメンチョウを含む鳥類、有袋類、魚類、霊長類及び爬虫類から成る群から選ばれる()の抗線虫用組成物。
また、本発明は、以下の()の線虫制圧法を要旨とする。
(8)ヒトを除く動物における線虫制圧法であって、()または()の抗線虫用組成物を投与することを含む、前記方法。
本発明により、ポリフェノール化合物(タンニン化合物)および希少糖D-プシコースの新規用途(線虫制圧の用途)を提供することができる。
本発明の抗線虫性組成物は、希少糖D-プシコースの線虫成長抑制効果とポリフェノール化合物の殺線虫効果)に基づき、人々に投与することにより、容易に蟯虫等の寄生虫線虫を駆除することができ、これらの線虫が主たる原因と考えられる疾病の治療や体力・食欲減退の改善に有用である。寄生虫病は人間のみならず、家畜及び飼育動物、特に、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス、鳥及び魚にも関連する。本発明の抗線虫性組成物は、それらの動物における線虫防圧に有用である。
本発明により、食品添加物、食品素材、飲食品、健康飲食品、医薬品、飼料の形態で飲食、あるいは経口投与するだけで、侵入した線虫を腸管で殺滅するか、前進運動を減衰させ強制排虫することができ、容易に蟯虫等の寄生虫線虫を駆除することができるという、ポリフェノール化合物および希少糖D-プシコースの寄生虫制圧に効果・安全両面で完全な、新しい線虫駆除用途を提供することができる。
例えば食品の場合、本発明は、普通に食する食事にポリフェノール化合物および/または希少糖D-プシコース混ぜて食事をするだけで線虫防圧ができる組成物および動物における方法の提供が可能となる。
L1ステージC. elegans を84 時間培養した結果(明視野顕微鏡写真 倍率100倍)を示す。 A D-プシコース(167 mM)を含む培地で培養 体長264μm(注)孵化直後の体長は195μm / B 正常培地で培養 体長1135μm 子宮内に受精卵を抱卵している。 タンニン毒性を示す明視野顕微鏡写真(倍率 400倍)を示す。 A エラジタンニン(化合物7)1000 ppmにC. elegans抱卵成虫を48時間暴露した結果を示す。体内器官がことごとく溶解している。しかし、卵割は進行している。死亡直前の結果。Motility index=1.0. / B コントロール 1 卵巣、2 卵母細胞、3 貯精のう、4 卵、5 子宮膜、6 陰門、7 腸、8 上皮組織と筋肉組織、9 溶解物が噴出している陰門 L3ステージC. elegansの生存曲線を示す。 Tococara canisの自発的運動能減衰曲線を示す。図中、motility index: 3, 活発な運動; 2, 弱々しい運動; 1, 体身の一部を微かに動かしている;0, 死亡。
ポリフェノールについては、タンニンのマツノマダラカミキリ(俗に、マツクイムシ)産卵刺激活性を見いだしたことが、ポリフェノールとの関わりの発端となった。種々のポリフェノール化合物を扱う中で、タンニン化合物は、線虫(Caenorhabditis elegans; 線虫研究のモデルとなる、非寄生性線虫)に対して強毒性の部類、低毒性の部類、毒性が中間の部類の3つの部類に分けられることを本発明者らは明かにした。このことは、茶ポリフェノールについてもいえる。市販の緑茶ポリフェノール中にも相当の殺線虫活性を示すポリフェノール化合物が含まれており(香川大学農学研究科向井大輔「修士論文」、向井他2名,茶のタンニンに関する研究「日本農芸化学会2005年度大会講演要旨集」)、最近、茶Camellia sinensis生葉アセトン-水可溶部から強い殺線虫活性を示すタンニン化合物(epigallocatechin-(2β→O→7',4β→8')-epicatechin-3'-O-gallate及びgallocatechin-(4α→8')-epigallocatechin)が単離され(松田典子、向井大輔、佐藤正資、山崎 徹:茶(Camellia sinensis L.)タンニン及び関連化合物の殺 C. elegans活性.日本農芸化学会2006年度大会講演要旨集)、本発明に到った。
前記のとおりこれまでに、多くのタンニン化合物、即ち、サンシュユCornus officinalisのエラジタンニン標品(J Pesticide Sci 25, 405-409.,2000.)、コニシキソウEuphorbia supina から単離したエラジタンニン化合物tellimagrandin I及びrugosin A methyl ester(J Nat.Toxins 11, 165-171, 2002.)、 ボタンPaeonia suffruticosaから単離したガロタンニン化合物1,2,3,6-tetra-O-galloyl-b-D-glucose、 1,2,3,4,6-penta-O-galloyl-b-D-glucose及び6-m-digalloyl-1,2,3,4-tetra-O-galloyl-b-D-glucoses、さらにアカマツPinus densifloraから単離した縮合型タンニン三量体epicatchin-(4b→8)-epicatechin-(4b→8)-catechin、 同四量体epicatchin-(4b→8)-epicatechin-(4b→8)-epicatechin-(4b→8)-catechin、同オリゴマー及び同ポリマー(J Pesticide Sci 25, 410-415., 2000.)の殺線虫活性がすでに明らかとなっている。市販の緑茶ポリフェノール中にも相当の殺線虫活性を示すポリフェノール化合物が含まれており、最近、茶Camellia sinensis生葉アセトン-水可溶部から強い殺線虫活性を示すタンニン化合物(epigallocatechin-(2β→O→7',4β→8')-epicatechin-3'-O-gallateが単離された。
本発明者らは種々のポリフェノール化合物の中から、C. elegans強毒性をもつポリフェノール化合物の単離、C. elegansに対する毒性評価を行い、茶から得たタンニン化合物(epigallocatechin-(2β→O→7',4β→8')-epicatechin-3'-O-gallateの効力は抗線虫薬(寄生虫駆除薬)の効力にまさるとも劣らない効力を示した(実施例2参照)。本発明は、このようなポリフェノール化合物を線虫殺滅剤とする用途発明である。
幾つかの希少糖ケトヘキソース(L-ソルボース、D-タガトース、D-プシコース)は低カロリーの甘味料として有望視されている。一方で、遺伝性糖不耐性の人はD-タガトース等により低血糖をきたして重篤な状態に陥るなど、ケトヘキソースの生物活性が指摘されている。
すべてのケトヘキソース(D-及びL-プシコース、タガトース、フルクトースの8種)の中で、唯一D-プシコースがL1ステージのC. elegansの成長と性的成熟を劇的に阻害した。しかし、D-プシコース効果はL4ステージと未成熟成虫では認められなかった。D-プシコースに暴露したL1ステージを通常のC. elegans増殖用培地に戻しても、見るべき成長の回復は認められなかった。L1ステージの特異的なブラスト細胞ダメージに起因していると推定した。
本発明は、D-プシコースはモデル生物の一つ、C. elegansに対して顕著な成長・性的成熟阻害を示すことを明らかとすることによって、ケトヘキソースの生物活性に関する従来の知識をさらに拡大することを目的とする。
D−プシコースについては、近年、エピメラーゼの出現(例えば、特開平6−125776号公報参照)により、たとえば自然界に豊富に存在する単糖であるD−フラクトースより生産できるようになるなど、依然高価ではあるが、比較的入手が容易となった。原料としてD−フラクトースを用いることにより、原料コストの問題を解決し、D−プシコースに基づく新たな生理活性を有することが期待できるヘテロオリゴ糖が得られることを見出した。
単糖類の中で、D−プシコースは、還元基としてケトン基を持つ六単糖である。このD−プシコースには光学異性体としてD体とL体とが有ることが知られている。ここで、D-プシコースは既知物質であるが自然界に希にしか存在しないので、国際希少糖学会の定義によれば「希少糖」と定義されている。
希少糖について説明すると、希少糖とは自然界に希にしか存在しない単糖(アルドース、ケトースおよび糖アルコール)と定義づけることができる。本発明においても上記の定義に基づく希少糖であり、好ましくはケトースのD-プシコースである。
この定義は糖の構造や性質による定義ではないため、あいまいである。すなわち、一定量以下の存在量を希少糖というなどの量の定義はなされていないためである。しかし、一般に自然界に多量に存在するアルドースとしてはD-グルコース、D-ガラクトース、D-マンノース、D-リボース、D-キシロース、L-アラビノースの6種類あり、それ以外のアルドースは希少糖と定義される。ケトースとしては、D-フラクトースが存在しており、他のケトースは希少糖といえる。他のケトースとして、D-タガトース、D-ソルボース、L-フラクトース、L-プシコース、L-タガトース、L-ソルボースが挙げられる。
また糖アルコールは単糖を還元してできるが、自然界にはD−ソルビトールが比較的多いがそれ以外のものは量的には少ないので、これらも希少糖といえる。
本発明で用いる希少糖D−プシコースは、これまで入手自体が困難であったが、自然界に多量に存在する単糖から希少糖を大量生産する方法が開発されつつあり、その技術を利用して製造することができる。
本発明で用いるD-プシコースの誘導体について説明する。ある出発化合物から分子の構造を化学反応により変換した化合物を出発化合物の誘導体と呼称する。D-プシコースを含む六炭糖の誘導体には、糖アルコール(単糖類を還元すると、アルデヒド基およびケトン基はアルコール基となり、炭素原子と同数の多価アルコールとなる)や、ウロン酸(単糖類のアルコール基が酸化したもので、天然ではD-グルクロン酸、ガラクチュロン酸、マンヌロン酸が知られている)、アミノ糖(糖分子のOH基がNH2基で置換されたもの、グルコサミン、コンドロサミン、配糖体などがある)などが一般的であるが、それらに限定されるものではない。
本発明の抗線虫性組成物は、希少糖D-プシコース、および/または、その誘導体、および/または、天然ポリフェノール化合物および/または合成ポリフェノール化合物、および/または、それら2以上の混合物を有効成分として配合した、食品添加物、食品素材、飲食品、医薬品および飼料からなる群から選ばれる形態のものである。特に上記組成物が、希少糖D-プシコース、および/または、その誘導体、および/または、天然ポリフェノール化合物および/または合成ポリフェノール化合物、および/または、それら2以上の混合物を有効成分として配合した、線虫成長抑制効果および/または殺線虫効果により症状が改善される、あるいは発病が予防される疾患である寄生虫症の予防および治療に用いることができる食品添加物、食品素材、飲食品、医薬品および飼料からなる群から選ばれる形態のものである。
開発途上国における寄生虫病の蔓延は深刻であり、寄生虫防圧を推進する上で安価で多くの人々に恩恵をもたらす、優れた抗線虫薬を、医薬品としてだけではなく、寄生虫防圧を謳った食品の開発が可能となった。D-プシコース甘味は上品で爽やかで、サッカリンのような苦みや渋みを伴う不快感はなく、むしろフラクトースの甘味に類似している。甘味度は蔗糖の約70%である。D-プシコースは、酸味、塩から味、渋味、旨味、苦味など、各種の物質の他の呈味とよく調和し、普通一般の飲食物の甘味付、呈味改良に、また品質改良などに有利に利用できるので、ポリフェノール化合物との併用が可能である。食品添加物、食品素材、飲食品には緑茶ポリフェノールを用いるのが好ましい。茶は、発酵茶、半発酵茶又は未発酵茶であり、通常、茶緑葉を日光に晒した後、室温下で茶葉水分の30〜50%を除き、これを数時間撹拌し、釜でいり、揉みながら乾燥させた茶葉であるのが好ましい。各種発酵茶、半発酵茶およびその加工品が使用可能である。上記茶の抽出物の主たる有効成分は、茶ポリフェノール類である。この茶ポリフェノール類の組成としては、各種のAタイプ及びBタイプ縮合型タンニン化合物、及び、カテキン類(flavan-3-ol)カテキン類(flavan-3-ol)である。本発明は茶ポリフェノール類の線虫殺滅作用に基づいている。
例えば、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、フリカケ、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、中華の素、天つゆ、麺つゆ、ソース、ケチャップ、焼き肉のタレ、カレールウ、シチューの素、スープの素、ダシの素、複合調味料、みりん、新みりん、テーブルシュガー、コーヒーシュガーなど各種調味料への甘味、呈味、および/または品質改良のための食品添加剤として有利に利用できる。ただし、タンニンは蛋白を含む食品に混入できない。また、加熱調理できない。以下同じである。
また、例えば、せんべい、あられ、おこし、餅類、まんじゅう、ういろう、あん類、羊羹、水羊羹、錦玉、ゼリー、カステラ、飴玉などの各種和菓子、パン、ビスケット、クラッカー、クッキー、パイ、プリン、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナツ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、キャンデーなどの各種洋菓子、アイスクリーム、シャーベットなどの氷菓子、果実のシロップ漬、氷蜜などのシロップ類、フラワーペースト、ピーナッツペースト、フルーツペーストなどのペースト類、ジャム、マーマレード、シロップ漬、糖菓などの果実、野菜の加工食品類、パン類、麺類、米飯類、人造肉などの穀類加工食品類、福神漬、べったら漬、千枚漬、らっきょう漬などの漬物類、たくあん漬の素、白菜漬の素などの漬物の素類、ハム、ソーセージなどの畜産製品類、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、カマボコ、チクワ、天ぷらなどの魚肉製品、ウニ、イカの塩辛、酢コンブ、さきするめ、ふぐのみりん干しなどの各種珍味類、のり、山菜、するめ、小魚、貝などで製造される佃煮類、煮豆、ポテトサラダ、コンブ巻などの惣菜食品、乳製品、魚肉、畜肉、果実、野菜の瓶詰め、缶詰類、合成酒、果実酒、洋酒、リキュールなどの酒類、コーヒー、ココア、ジュース、炭酸飲料、乳酸飲料、乳酸菌飲料などの清涼飲料水、プリンミックス、ホットケーキミックスなどのプレミックス粉類、即席ジュース、即席コーヒー、即席汁粉、即席スープなど即席飲食品などの各種飲食物への甘味、呈味、および/または品質改良のための食品添加剤などとして有利に利用できる。
希少糖D-プシコース、および/または、その誘導体、および/または、天然タンニン化合物および/または合成タンニン化合物、および/または、それら2以上の混合物を有効成分として配合した組成物は、小麦粉やデンプンを用いて作るラーメン、ヌードル類、うどん、またジャガイモを主原料として作るマッシュポテトやサラダ、コロッケなど甘味をあまり要求しない食品に利用できる。これらの食品の炭水化物量(糖質量)に対し、一例としてD-プシコースを1〜5%混合し、またはタンニン化合物を併用して調理すると、これらの物質は甘味度がスクロースよりも低いこともあり、この程度の混合割合では、甘味を感じないか、若しくは極めて甘味が少ない。しかも得られた食品は、希少糖D-プシコースの線虫成長抑制効果とタンニン化合物の殺線虫効果に基づき、線虫制圧または防圧作用を有する食品となる。また、主原料として、小麦粉、デンプンや米粉を用いて作られ、甘味を余り要求しない菓子類やパン類にも同じ目的で利用できる。このように本発明の希少糖D-プシコース、および/または、その誘導体、および/または、天然タンニン化合物および/または合成タンニン化合物、および/または、それら2以上の混合物を有効成分として配合した、組成物は、使用量の範囲の幅が非常に広いものであることがわかる。
本発明の寄生虫症の予防および治療に用いることができる食品添加物、食品素材、飲食品、医薬品および飼料からなる群から選ばれる形態のものは、希少糖D-プシコース、および/または、その誘導体が、および/または、天然ポリフェノール化合物および/または合成ポリフェノール化合物、および/または、それら2以上の混合物が合計で組成物中に0.01〜50重量%含まれるように配合されている抗線虫性組成物であることを特徴とする。配合割合について、通常飲食品には下限に近い配合割合で用いることができるが、医薬品、錠剤やカプセルに入れて用いるような場合は上限に近い配合割合で用いることができる。本発明の抗線虫性組成物、例えば飲食品が摂取されたとき、線虫成長抑制効果および/または殺線虫効果により症状が改善される、あるいは発病が予防される疾患「寄生虫症」を予防および治療することができる。
本発明の食品が機能性食品である場合は、寄生虫症の疾病を予防する健康食品、予防医薬品の分野の利用に適している。寄生虫症の疾病を予防する健康食品においては、必須成分である希少糖D-プシコース、および/または、その誘導体、および/または、天然ポリフェノール化合物および/または合成ポリフェノール化合物、および/または、それら2以上の混合物の他に、任意的成分として、通常食品に添加されるビタミン類、炭水化物、色素、香料など適宜配合することができる。食品は液状または固形の任意の形態で食することができる。ゼラチンなどで外包してカプセル化した軟カプセル剤として食することができる。カプセルは、例えば、原料ゼラチンに水を加えて溶解し、これに可塑剤(グリセリン、D-ソルビトールなど)を加えることにより調製したゼラチン皮膜でつくられる。
本発明の飼料は、家畜、家禽、その他蜜蜂、蚕、魚などの飼育動物のための飼料であって、希少糖D-プシコース、および/または、その誘導体、および/または、天然ポリフェノール化合物および/または合成ポリフェノール化合物、および/または、それら2以上の混合物が合計で組成物中に0.01〜50重量%含まれるように配合されている抗線虫性組成物であることを特徴とする。配合割合について、通常は下限に近い配合割合で用いることができるが、錠剤やカプセルに入れて用いるような場合は上限に近い配合割合で用いることができる。
このような飼料を家畜、家禽、その他蜜蜂、蚕、魚などの飼育動物のための飼料動物に投与した場合、線虫成長抑制効果および/または殺線虫効果により症状が改善される、あるいは発病が予防される疾患「寄生虫症」を予防および治療することができる。
以上述べたような食品添加物、食品素材、飲食品、医薬品および飼料に希少糖D-プシコース、および/または、その誘導体、および/または、天然ポリフェノール化合物および/または合成ポリフェノール化合物、および/または、それら2以上の混合物を有効成分として配合した組成物の形態で含有せしめる方法は、その製品が完成するまでの工程で希少糖D-プシコース、および/または、その誘導体、および/または、天然ポリフェノール化合物および/または合成ポリフェノール化合物、および/または、それら2以上の混合物を0.01〜50重量%含まれるようにすればよく、例えば、混和、混捏、溶解、融解、浸漬、浸透、散布、塗布、被覆、噴霧、注入、晶析、固化などの公知の方法が適宜選ばれる。
本発明の希少糖D-プシコース、および/または、その誘導体、および/または、天然ポリフェノール化合物および/または合成ポリフェノール化合物、および/または、それら2以上の混合物は、組成物中に0. 01〜50重量%含まれるように配合されている。好ましくは0. 05〜30重量%、より好ましくは0.1〜10重量%である。特に食品、飲料または飼料における配合量は特に制限されないが0. 01〜5重量%程度が好ましい。組成物中において、0. 01重量%未満だと、線虫成長抑制効果および/または殺線虫効果が充分ではない。また、組成物中において、50重量%を越えると、経済的な意味で好ましくない。
医薬品の場合、カプセルや粉末、錠剤などとして経口投与することができ、水に溶けることから経口投与以外に、D-プシコース、および/または、その誘導体に限って静脈注射、筋肉注射などの投与方法を採用することが可能である。静脈注射、筋肉注射などで投与する場合、投与量は寄生虫症の症状の度合いや体重、年齢、性別などにより異なるものであり、使用に際して適当な量を症状に応じて決めることが望ましい。医薬品における配合量は特に制限はされないが、体重1kgあたり、経口投与の場合0.01〜2,000mg、静脈注射投与の場合0.01〜1,000mg、筋肉注射投与の場合0.01〜1,000mg程度が好ましい。
また本発明の希少糖は食品素材に微量に存在し、安全性が高く、大量生産技術が開発されればコスト面でも利用価値は高いものである。なお急性経口毒性試験では5,000mg/kg以上であった。
茶ポリフェノールの毒性や安全性については、段落[0059]、及び[0060]に明記した。
医薬品においては、有効成分である希少糖D-プシコース、および/または、その誘導体、および/または、天然ポリフェノール化合物および/または合成ポリフェノール化合物、および/または、それら2以上の混合物はそれ自体のみならずそれの薬剤として許容される塩として使用される。該薬剤は、希少糖D-プシコース、および/または、その誘導体、および/または、ポリフェノール化合物、および/または、それら2以上の混合物を単独で製剤として用いることができるほか、製薬上使用できる担体もしくは希釈剤を加えた製剤組成物に加工したものを用いることもできる。このような製剤または薬剤組成物は、経口または非経口(D-プシコース、および/または、その誘導体に限る)で投与することができる。例えば、経口投与用の固体または流体(ゲルおよび液体)の製剤または薬剤組成物は、タブレット、カプセル、錠剤、丸剤、粉末、顆粒もしくはゲル調製品の形態をとる。製剤または薬剤組成物の正確な投与量は、その目的とする使用形態および処置時間により変化するため、担当の医師または獣医が適当であると考える量になる。服用および投与用量は製剤形態によって適宜調整できる。錠剤などの経口固形製剤、経口液剤などとして1日服用量を1回ないし数回に分けて服用してもよい。また、例えばシロップやトローチ、チュアブル錠などの幼児頓服として、局所で作用させるとともに内服による全身性作用をも発揮させる製剤形態では1日服用量の1/2〜1/10を1回量として配合し服用すればよく、この場合全服用量が1日量に満たなくてもよい。
逆に、製剤形態からみて無理な服用容量とならなければ1日服用量に相当する量を1回分として配合してもよい。製剤の調製にあたっては、通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤、コーティング剤、徐放化剤など、希釈剤や賦形剤を用いることができる。この他、必要に応じて溶解補助剤、緩衝剤、保存剤、可溶化剤、等張化剤、乳化剤、懸濁化剤、分散剤、増粘剤、ゲル化剤、硬化剤、吸収剤、粘着剤、弾性剤、可塑剤、吸着剤、香料、着色剤、矯味剤、抗酸化剤、保湿剤、遮光剤、光沢剤、帯電防止剤などを使用することができる。
すなわち、希少糖D-プシコース、および/または、その誘導体、および/または、天然ポリフェノール化合物および/または合成ポリフェノール化合物、および/または、それら2以上の混合物を有効成分として配合したヒトまたは動物用線虫駆除剤の場合は、単独または賦形剤あるいは担体と混合して注射剤(D-プシコース、および/または、その誘導体に限る)、経口剤、または坐剤などとして投与される。賦形剤及び担体としては薬剤学的に許容されるものが選ばれ、その種類及び組成物は投与経路や投与方法によって決まる。例えば液状担体として水、アルコール類もしくは大豆油、ピーナツ油、ゴマ油、ミネラル油等の動植物油、または合成油が用いられる。固体担体としてマルトース、シュクロースなどの糖類、アミノ酸類、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウムなどの有機塩などが使用される。
固型製剤用の賦形剤としては例えば小麦粉、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉等の澱粉類、ブドウ糖、果糖、ショ糖、乳糖、オリゴ糖等の糖類、コメヌカ油粕、ダイズ油粕、等の油粕類、魚粉、畜肉粉末、脱脂粉乳等の動物質類、ビール酵母、ふすま等の製造粕類、ダイズ粉、トウモロコシ粉、小麦粉等の植物質類、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム等の無機塩類等を使用できる。また、必要に応じて崩壊剤、結合剤、滑沢剤を用いる。固型製剤としては、散剤、錠剤、細粒剤、カプセル剤、ペレット剤等の剤形があげられる。又、蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖液糖等の注射用の適当な溶剤、また必要に応じて溶解補助剤を用いて溶解し、注射剤としても良い。
本発明の製剤はヒトまたは動物用であり、投与する動物は、ヒツジ、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、イヌ、ネコ、フェレット、マウス及びラットを含むげっ歯類、ニワトリ、ガチョウ及びシチメンチョウを含む鳥類、有袋類、魚類、霊長類及び爬虫類から成る群から選ばれる動物があげられる。動物に投与する方法は、経口製剤をそのまま経口投与しても良く、飼料、飲水に混合して投与しても良い。注射剤(D-プシコース、および/または、その誘導体に限る)は、皮下、筋肉、静脈、腹腔いずれの部位に投与しても良い。投与量としてはいずれの製剤においても、有効成分として体重1kg当り5mg以上、好ましくは10mg以上、より好ましくは20mg以上である
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
〈希少糖D-プシコースの線虫(Caenorhabditis elegans)成長並びに性的成熟阻害活性〉
[要旨]
すべてのケトヘキソース(D-及びL-プシコース、タガトース、フルクトースの8種)の中で、唯一D-プシコースがL1ステージのCaenorhabditis elegansの成長と性的成熟を劇的に阻害した。しかし、D-プシコース効果はL4ステージと未成熟成虫では認められなかった。D-プシコースに暴露したL1ステージを通常のC. elegans増殖用培地に戻しても、見るべき成長の回復は認められなかった。L1ステージの特異的なブラスト細胞の体細胞分裂・生殖細胞の減数分裂阻害に起因がしていると推定した。
[緒言]
幾つかの希少糖ケトヘキソース(L-ソルボース、D-タガトース、D-プシコース)は低カロリーの甘味料として有望視されている。一方で、遺伝性糖不耐性の人はD-タガトース等により低血糖をきたして重篤な状態に陥るなど、ケトヘキソースの生物活性が指摘されている。本研究は、D-プシコースはモデル生物の一つ、C. elegansに対して顕著な成長・性的成熟阻害を示すことを明らかとすることによって、ケトヘキソースの生物活性に関する従来の知識をさらに拡大することを目的とする。
[材料と方法]
(1)実験に用いた各ケトヘキソースの純度は99%以上であった。
(2)C. elegans N2株を同調培養し、L1、 L4、 未成熟成虫(卵巣は成熟しているが、いまだ、子宮内に受精卵を抱卵する段階に達していない成虫)を分離した。
(3)タンニン毒性試験法に準じて各ケトヘキソース暴露試験を行った。
(4)顕微鏡下で、自発的運動能、体長、抱卵率を計測した。自発的運動能はKiuchiの方法で数値化した。
(5)明視野顕微鏡写真を撮影した(図1)。
(6)D-プシコースに暴露したL1ステージを増殖用培地に移して、成長過程を追跡した。
(7)ANOVA法とBartlett法を用いて統計解析を行った。
[実験結果]
(1)立体配置異性とC. elegans自発的運動能・性的成熟
167 mM濃度で実験した。L-型ケトヘキソースはL1ステージの自発的運動能・性的成熟を阻害しなかったが、D-ケトヘキソースは若干の阻害活性を示した。D-ケトヘキソースの中でD-プシコースのみが著しい活性を示した。以上の結果から、ケトヘキソースの活性発現にはキラル中心の配置が(3R、 4R、 5R)でなければならないと結論できた。誘導体を合成する場合でもこの配置は重要と考えられる。
(2)D-プシコース濃度とC. elegans成長阻害活性
L1ステージを用いて、種々の濃度(167mM, 55.6mM, 16.7mM, 5.6mM)で実験した。167mMが各濃度の中で最大の活性を示した。即ち、コントロールC. elegansの体長は84時間後1132μmであったのに対して、Escherichia coli OP50フードを与えても、実験区(167 mM)の 体長は270μmにすぎなかった(図1の写真A)。ただし、E. coli フードを与えないと、体長は198μmにすぎなかったので、167mMのD-プシコース下でも)E.coli フードがあれば、孵化した直後のL1ステージの体長は195μmであったので)、若干成長したことが明かとなった。閾値は55.6mM付近であると推定された。
興味あることに、167mM D-プシコースはL4-ステージ及び未成熟成虫の自発的運動能・性的成熟にほとんど影響を及ぼさなかった。
(3)C. elegans成長回復試験結果
84 時間167mMのD-プシコースに暴露したL1ステージとコントロール(同時間絶食させたL1ステージ)をC。 elegans増殖用培地に移してそれぞれの成長回復過程を追跡した。コントロールは、移してから96時間で抱卵成熟成虫に成長したが、D-プシコースを経験したL1はコントロールの体長の25%までしか成長しなかった。288時間後でもコントロールの78%にすぎなかった。性的成熟度から成長回復度を見てみると、96時間後抱卵成熟成虫に成長したものはわずか4.6%(コントロール、100%)。288時間後でも46%であった。
[考察]
D-プシコースはC. elegansのエネルギー代謝能を著しく低下させると考えられる。L1ステージを構成する数多くの細胞の中で、ある特定の細胞(ブラスト細胞)の分裂(後胚発生)によってC.elegansは成長し、性的に成熟することが知られている。D-プシコースはこれらL1ステージブラスト細胞の活動(エネルギー代謝と細胞分裂)を阻害すると考えられる。
〈タンニンの殺Caenorhabditis elegans活性〉
[要旨]
サンシュユ、コニシキソウ、ボタン、アカマツ、チャから17種のタンニン化合物を単離し、殺線虫活性を調べた。その結果、きわめて有毒なタンニン化合物が存在する一方、ほとんど無毒といえるタンニン化合物も多種存在することが明らかとなった。この知見はタンニンの健康上の有効性と安全性を考える上で重要であるのみならず、有毒タンニン化合物は殺線虫剤としての潜在価値を有していることを示している。
[緒言]
タンニンは植物界に普遍的に分布し、ポリフェノールを代表する天然物の一群である。タンニンはタンパク質と不可逆的に結合し、また非常に酸化されやすい。タンニン化合物の抗酸化活性が断片的に研究されている一方で、牛や羊に致死的肝毒性を示すタンニン化合物punicalagin やterminalian(オーストラリアの牧場に自生する植物Terminalia oblongataが含む)も知られている。タンニンを含む食品は数多いが、タンニン化合物の有効性と安全性に関する研究はほとんどなされていない。タンニン化合物の単離は困難である。本研究ではタンニン化合物単離法を洗練し、単離した個々のタンニン化合物の毒性を明らかにし、有毒タンニン化合物の線虫殺滅剤としての潜在価値を明らかにする。
[材料と方法]
(1)植物材料
サンシュユCornus officinalis (新鮮葉)、コニシキソウEuphorbia supina (風乾全草)、ボタンPaeonia suffruticosa (新鮮葉)、アカマツPinus densiflora (風乾内樹皮)、チャCamellia sinensis (新鮮葉)
(2)タンニン化合物の抽出、単離、構造決定
上記植物材料をアセトン-水(7:3)またはメタノールで室温抽出し、濃縮後、析出した不溶部(クロロフィル)を除去した。水可溶部から、Sephadex LH 20、 Toyopearl HW-40FあるいはMCI GEL CHP 20Pオープンカラムクロマトグラフィーにより17種のタンニン化合物を単離した。構造決定は1H-NMR、13C-NMR、 1H-13C COSY、 1H-1H COSY、 HMBC 及び FAB-MS法によって行った。比旋光度を求めた。ガロタンニンの構造決定するときは加水分解法も採用した。
(3)タンニン化合物の殺C. elegans活性試験
抱卵C. elegans、 餌としてE. coli OP50、培地はS complete medium、20℃
[実験結果]
(1)タンニン化合物
17種のタンニン化合物を単離した。
[ガロタンニン] 3-O-galloyl-D-glucose (α,β-アノマー)(化合物1)
2,3-di-O-galloyl-D-glucose (α,β-アノマー)(2)
1,2,3-tri-O-galloyl-β-D-glucose (3)
1,2,3,6-tetra-O-galloyl-β-D-glucose (4)
1,2,3,4,6-penta-O-galloyl-β-D-glucose (5)
6-m-digalloyl-1,2,3,4-tetra-O-galloyl-β-D-glucose (6)
(以上、ボタンから単離)
[エラジタンニン] エラジタンニン標品 (7) (サンシュユから単離)
tellimagrandin I (8)
rugosin A methyl ester (9) (以上、コニシキソウから単離)
[縮合型タンニン]二量体procyanidin B-1 (10)
二量体procyanidin B-3 (11)
三量体epicatchin-(4β→8)-epicatechin-(4β→8)-catechin (12)、
四量体epicatchin-(4β→8)-epicatechin-(4β→8)-epicatechin-(4
β→8)-catechin (13)
オリゴマー (14) Mw=2100、 Mw/Mn=1.0
ポリマー (15) Mw=4530、 Mw/Mn=1.2
(以上, アカマツから単離)
二量体 (16)Mw=610 gallocatechin-(4α→8')-epigallocatechin
二量体 (17)Mw=744 epigallocatechin-(2β→O→7',4β→8')-
epicatechin-3'-O-gallate
(以上, チャから単離)
(2)タンニン化合物の殺線虫活性
[毒性の強いタンニン化合物]
ガロタンニン 化合物5、 6 (ボタン)
エラジタンニン 化合物9(コニシキソウ)
縮合型タンニン 化合物14、 15(アカマツ)
化合物17(チャ)
[毒性が中程度のタンニン化合物]
ガロタンニン 化合物4(ボタン)
エラジタンニン 化合物7(サンシュユ)
縮合型タンニン 化合物13(アカマツ)
化合物16(チャ)
[実際上無毒とみなしうるタンニン化合物]
ガロタンニン 化合物1、 2、 3(ボタン)
エラジタンニン 化合物8(コニシキソウ)
縮合型タンニン 化合物10、 11、 12(アカマツ)
(3)タンニン関連化合物(フラボノイド)の殺抱卵成虫活性
タンニン関連化合物(フラボノイド)epicatechin-3-O-gallate、epigallocatechin、epigallocatechin-3-O-gallateをチャ新鮮葉から、また、D-catechin、L-epicatechin, (-)-2、 3-trans-dihydroquercetin-3'-O-β-D-glucopyranosideをアカマツから単離し、暴露試験を行ったが、これらフラボノイド類は実際上無毒とみなしえた。
[考察]
本研究でタンニン単離法を洗練し、17種のタンニン化合物を単離した。微量のサンプルで毒性を評価しうる方法として、C. elegansへの暴露試験法を採用した。その結果、タンニン化合物を強毒性、毒性が中程度、実際上無毒の3つのクラスに分類することができた。茶は世界中で愛飲され、最近の高齢化や健康意識の高まりからその効用への関心が高まっており、この趣旨に沿った研究結果が幾多となく公表されている。しかし、市販の緑茶にも相当の殺線虫活性を示すポリフェノールが含まれており、本研究でチャ新鮮葉からも強毒性を示す縮合型タンニン化合物epigallocatechin-(2β→O→7', 4β→8')-epicatechin-3'-O-gallate及びgallocatechin-(4α→8')-epigallocatechinを単離した。ポリフェノール化合物は殺線虫剤としての潜在価値を有していることを示す結果である。
〈D-プシコースとポリフェノールの併用効果〉
[要旨]
C. elegansの自発的運動能を減衰させる点でも、殺滅するという点でも、幼虫、成虫双方に対してD-プシコース単剤よりもタンニン化合物 17単剤が優れた効果を示した。幼虫に対しては、タンニン化合物 17単剤よりもD-プシコースとタンニン化合物 17 合剤がさらに優れた効果を示した。
[緒言]
今日、熱帯域から亜熱帯域にかけて広範囲に寄生虫病が蔓延している。先進国において問題となっている癌、循環器疾患などの疾病と異なって寄生虫防圧対策は貧弱である。日本では寄生虫病が激減したとされているが、人畜共通寄生虫病、アニキサス症、輸入寄生虫病が問題となっており、開発途上国、先進国を問わず世界的規模で寄生虫防圧をすすめる必要がある。日本が音頭をとって世界の寄生虫防圧を推進しようとする橋本元総理の構想、いわゆる橋本イニシアチブがWHOや多くの国々から歓迎されているにもかかわらず、抗線虫薬の開発や生産は日本ではほとんど行われていない。安価で何億もの人々が使用しうる、優れた抗線虫薬の開発は日本の責務でもある。既に、D-プシコースの線虫抑制効果とタンニン化合物の殺線虫効果を明らかにした。本研究では、抗線虫薬開発の基礎的研究としてD-プシコース(発酵製品)とタンニン化合物(農産物、茶の成分)を用いた線虫制圧効果を明らかにする。
[材料と方法]
C. elegans を同調培養して得た幼虫の各ステージ(L1、 L2、 L3、 L4)、未成熟成虫及び抱卵成虫にD-プシコース(167 mM)、チャ(Camellia sinensis)新鮮葉から単離した縮合型タンニン(化合物 17)(1.4 mM)及び抗線虫薬(治療薬)サイアベンダゾール(1.4 mM)を暴露した。
[実験結果]
(1)C, elegans自発的運動能
[D-プシコース暴露試験及びサイアベンダゾール暴露試験結果]
L1-L4ステージ幼虫、未成熟成虫及び抱卵成虫の自発的運動能は漸次減衰し、84 hで1/2に低下した。
[タンニン化合物 17暴露試験結果]
L1-L4ステージ幼虫の自発的運動能は84 hで1/10に低下した。未成熟成虫の自発的運動能は60 hで0(全滅)、抱卵成虫の場合は36 hで0となった。
[D-プシコースとタンニン化合物 17合剤暴露試験結果]
タンニン化合物 17単剤よりもD-プシコースとの合剤がL1〜L4ステージ幼虫に対して高い活性を示した。しかし、未成熟成虫及び抱卵成虫に対しては合剤よりもタンニン化合物単剤の方が高い活性を示した。
(2)C. elegans生存率(図3)
[D-プシコース暴露試験及びサイアベンダゾール暴露試験結果]
L1〜L4ステージ幼虫、未成熟成虫及び抱卵成虫とも暴露期間(120 h)中生存率は100%であった。
[タンニン化合物 17暴露試験結果]
L1〜L4ステージ幼虫死亡率は暫時増加し、108 hで全滅した。未成熟成虫は60 hで、抱卵成虫は36 hで全滅した。
[D-プシコースとタンニン化合物 17合剤暴露試験結果]
L1〜L4ステージ幼虫は84 hで全滅した。未成熟成虫は60 hで、抱卵成虫は 48 hで全滅した。
[考察]
一般に、C. elegans に限らずどの線虫でも分散期(例えば、腸管から肝臓や肺、筋肉組織などに移行し、そこで生息する期間)の幼虫は、成虫よりも宿主体内因子に強い抵抗性を有している。従って、幼虫制圧は成虫制圧より困難である。本研究は、幼虫に対して線虫成長抑制作用を示すD-プシコースと殺線虫作用を示すタンニン化合物 17の合剤が、現在治療に用いられている抗線虫薬の一つ、サイアベンダゾールの効果をはるかに凌ぐことを明らかにした。これは抗線虫薬開発上きわめて重要な発見である。D-プシコースとタンニンを併用すれば双方の使用量を減らすことも可能である。
〈茶ポリプェノール及び希少糖D-プシコースを用いる線虫殺滅法〉
[バックグラウンド]
(1)線虫病は熱帯域を中心に世界中に蔓延している。ヒトでも(感染者、十億人以上)、家畜でもである。
(2)従来の抗線虫薬の副作用は無視できない。
(3)抗線虫薬耐性線虫が出現している。
(4)副作用がなく、安価で新しい抗線虫薬の出現が待たれる。
[実験]
茶(Camellia sinensis L.)新鮮葉からポリプェノール化合物(カテキン類 1, 2; タンニン類 3, 4)を単離した。すなわち、(-)-epicatechin-3-O-gallate (1), (-)-epigallocatechin-3-O-gallate (2), (+)-gallocatechin-(4aR8')-epigallocatechin (3) 及び (-)-epigallocatechin-(2bROR7', 4bR8')-epicatechin-3'-O-gallate (4)。以下、各化合物は1〜4で示す。
犬回虫(Tococara canis):小腸で孵化。成犬では小腸内で一生を過ごす。ヒトが感染すれば、2期(L2)幼虫は腸壁を穿通し、肝から心、肺に移行し、幼虫移行症をおこす。眼球に侵入すると、網膜腫瘍類似の病変を、脳に侵入すると、髄膜脳炎をおこす。
犬回虫L2幼虫は、容易に採集でき、長期保存が可能なため、抗線虫薬開発研究によく用いられている。
L2 期のT. canis(6 頭)を 所定量のサンプルを含むEagle MEM 1 培地に移し、37°Cでインキュベートした。各サンプルにつき、4〜6濃度で実験を行い、各濃度につき18〜30頭用いた。
(1)T. canisの自発的運動能の経時的減衰曲線を求めた。
(2)サンプルの線虫殺滅活性のパラメーターとして、サンプルの半数致死濃度LC50(値が低いほど線虫に対する毒性が強い)を求めた。
[結果]
(1)自発的運動能の減衰力
タンニン4の減衰力を図4に示す。タンニン4にD-プシコースを添加すると、抗線虫薬サイアベンダゾールに匹敵する減衰力を示した。
なお、腸管寄生線虫駆虫法には2つの方法がある。
(i)自発的運動能を減衰させ、便とともに排泄する方法。サイアベンダゾールなど
(ii)線虫を殺滅する方法。クエン酸ジエチルカルバマジンなど。
(2)ポリフェノール化合物の線虫殺滅活性 (LC50)
カテキン類 1 4.4 mM (0.19%) [3.0 mM (0.13%)]
2 3.5 mM (0.16%) [2.6 mM (0.12%)]
タンニン類 3 3.7 mM (0.23%) [2.1 mM (0.13%)]
4 2.8 mM (0.21%) [1.9 mM (0.14%)]
茶新鮮葉抽出物の水可溶部 0.40% [0.25%]
緑茶温水浸出液(所謂お茶) [0.54%]
D-プシコース 1340 mM (24.1%)
(注)[ ]内にD-プシコースを167 mM (3%)添加した時の線虫殺滅活性 (LC50値)を示した。例えば、0.40%が茶新鮮葉抽出物の水可溶部のLC50値。D-プシコース167 mMを含めば、水可溶部のLC50値は0.25%となる。ちなみに、市販のペットボトル入りのお茶の濃度は0.2〜0.3%。
なお、緑茶の毒性(緑茶ポリフェノール主成分2)について、最大無作用量(NOAEL)は500 mg/kg ラット/日である(下記文献参照)。
(文献)Isbrucker RA, Edwards JA, Wolz E, Davidovich A, Bausch J (2006) Saftey studies on epigallocatechin gallate (EGCG) preparations. Part 2: Dermal, acute and short-term toxicity studies. Food Chem Toxicol 44: 636-650
[結論]
NOAEL量以下の服用、例えば、市販の緑茶の2倍程度のポリフェノール濃度のお茶の服用で十分効果があげられると考えられる。ただし、利尿作用があるカフェインを除去したお茶が望ましい。勿論、ポリフェノールの微細な副作用には十分注意すべきである。
成人(体重50 kg)のNOAELは500 mg ´ 50 = 25 g、D-プシコース3%を添加した緑茶温水浸出液(所謂お茶)のLC50 = 0.54%だから25 g, 0.54g = 46 、1日に0.54 g (100 ml) を46回服用して、NOAEL量となる。
日本が音頭をとって世界の寄生虫防圧を推進しようとする構想,いわゆる橋本イニシアチブ(非特許文献1)はWHO(世界保健機関)や多くの国から歓迎されているにもかかわらず,抗蠕虫薬も含めて抗寄生虫薬の開発や生産は日本ではほとんど行われなくなっているのが現状である(非特許文献4)。こうした抗蠕虫薬も含めて抗寄生虫薬の開発や生産に貢献できることが期待される。

Claims (8)

  1. 線虫成長抑制効果に基づく抗線虫性成分として希少糖D-プシコースまたは希少糖D-プシコースと茶ポリフェノールとの混合物を配合した、抗線虫用組成物。
  2. 茶ポリフェノールが、茶Camellia sinensis由来のタンニン類および/またはカテキン類である請求項1の抗線虫用組成物。
  3. 希少糖D-プシコース、または希少糖D-プシコースとタンニン類との混合物が組成物中に全部で0.01〜50重量%含まれるように配合されている請求項1または2の抗線虫用組成物。
  4. 上記組成物が、希少糖D-プシコース、または希少糖D-プシコースと茶ポリフェノールとの混合物を有効成分として配合した、医薬品である請求項1ないし3のいずれかの抗線虫用組成物。
  5. ヒト用医薬品である請求項の抗線虫用組成物。
  6. 動物用医薬品である請求項の抗線虫用組成物。
  7. 投与される動物が、ヒツジ、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、イヌ、ネコ、フェレット、マウス及びラットを含むげっ歯類、ニワトリ、ガチョウ及びシチメンチョウを含む鳥類、有袋類、魚類、霊長類及び爬虫類から成る群から選ばれる請求項の抗線虫用組成物。
  8. ヒトを除く動物における線虫制圧法であって、請求項またはの抗線虫用組成物を投与することを含む、前記方法。
JP2008502875A 2006-03-03 2007-03-02 抗線虫用組成物および抗線虫性組成物を用いる線虫制圧法 Active JP4841617B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008502875A JP4841617B2 (ja) 2006-03-03 2007-03-02 抗線虫用組成物および抗線虫性組成物を用いる線虫制圧法

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006058583 2006-03-03
JP2006058583 2006-03-03
PCT/JP2007/054082 WO2007100102A1 (ja) 2006-03-03 2007-03-02 抗線虫用組成物および抗線虫性組成物を用いる線虫制圧法
JP2008502875A JP4841617B2 (ja) 2006-03-03 2007-03-02 抗線虫用組成物および抗線虫性組成物を用いる線虫制圧法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2007100102A1 JPWO2007100102A1 (ja) 2009-07-23
JP4841617B2 true JP4841617B2 (ja) 2011-12-21

Family

ID=38459197

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008502875A Active JP4841617B2 (ja) 2006-03-03 2007-03-02 抗線虫用組成物および抗線虫性組成物を用いる線虫制圧法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP4841617B2 (ja)
WO (1) WO2007100102A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5800297B2 (ja) * 2011-10-06 2015-10-28 国立大学法人 香川大学 食品害虫の防除剤および食品における食品害虫を防除する方法
US11324763B2 (en) 2014-03-25 2022-05-10 National University Corporation Kagawa University Malaria transmission prevention agent having rare sugar as effective component thereof and malarial parasite growth regulating agent
EP3524066A4 (en) * 2016-10-06 2020-05-20 CJ CheilJedang Corporation TOMATO KETCHUP WITH IMPROVED STORAGE STABILITY

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06125776A (ja) * 1992-10-08 1994-05-10 Hayashibara Biochem Lab Inc D−ケトヘキソース・3−エピメラーゼとその製造方法並びに用途
JPH0987196A (ja) * 1995-09-25 1997-03-31 Masatoshi Nakano 寄生虫駆除・駆虫剤
JP2003171217A (ja) * 2001-09-28 2003-06-17 Jukankyo Kojo Jumoku Seibun Riyo Gijutsu Kenkyu Kumiai 線虫防除剤及び土壌活性化剤
WO2003097820A1 (fr) * 2002-05-22 2003-11-27 Fushimi Pharmaceutical Co.,Ltd. Procede pour utiliser l'activite physiologique d'un saccharide rare et compositions contenant un saccharide rare
JP2004256492A (ja) * 2003-02-27 2004-09-16 Japan Tobacco Inc 抗菌剤およびそれを含有する飲食品
JP2007051135A (ja) * 2005-07-20 2007-03-01 Teikoku Seiyaku Co Ltd D−アロースの血糖上昇抑制効果の利用
JP2007051134A (ja) * 2005-07-20 2007-03-01 Teikoku Seiyaku Co Ltd D−アロースおよびd−プシコースの抗神経因性疼痛効果の利用
JP2007051137A (ja) * 2005-07-20 2007-03-01 Teikoku Seiyaku Co Ltd D−プシコースを含有する体重増加抑制性組成物およびその利用方法
JP2007051136A (ja) * 2005-07-20 2007-03-01 Teikoku Seiyaku Co Ltd D−プシコースの血中d−フラクトース濃度上昇抑制への使用

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0395294A3 (en) * 1989-04-25 1991-05-22 Takeda Chemical Industries, Ltd. Control of protozoal disease
JP2002068992A (ja) * 2000-08-25 2002-03-08 Ito En Ltd ヘリコバクター・ピロリ菌除菌剤及びこの除菌効果を有する飲食物乃至食品添加物
JP2005350429A (ja) * 2004-06-14 2005-12-22 Kyodo Shiryo Kk 海洋性養殖魚のための寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物とその使用方法

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06125776A (ja) * 1992-10-08 1994-05-10 Hayashibara Biochem Lab Inc D−ケトヘキソース・3−エピメラーゼとその製造方法並びに用途
JPH0987196A (ja) * 1995-09-25 1997-03-31 Masatoshi Nakano 寄生虫駆除・駆虫剤
JP2003171217A (ja) * 2001-09-28 2003-06-17 Jukankyo Kojo Jumoku Seibun Riyo Gijutsu Kenkyu Kumiai 線虫防除剤及び土壌活性化剤
WO2003097820A1 (fr) * 2002-05-22 2003-11-27 Fushimi Pharmaceutical Co.,Ltd. Procede pour utiliser l'activite physiologique d'un saccharide rare et compositions contenant un saccharide rare
JP2004256492A (ja) * 2003-02-27 2004-09-16 Japan Tobacco Inc 抗菌剤およびそれを含有する飲食品
JP2007051135A (ja) * 2005-07-20 2007-03-01 Teikoku Seiyaku Co Ltd D−アロースの血糖上昇抑制効果の利用
JP2007051134A (ja) * 2005-07-20 2007-03-01 Teikoku Seiyaku Co Ltd D−アロースおよびd−プシコースの抗神経因性疼痛効果の利用
JP2007051137A (ja) * 2005-07-20 2007-03-01 Teikoku Seiyaku Co Ltd D−プシコースを含有する体重増加抑制性組成物およびその利用方法
JP2007051136A (ja) * 2005-07-20 2007-03-01 Teikoku Seiyaku Co Ltd D−プシコースの血中d−フラクトース濃度上昇抑制への使用

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2007100102A1 (ja) 2009-07-23
WO2007100102A1 (ja) 2007-09-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101974975B1 (ko) 생체 대사 파라미터를 개선하기 위한 조성물
US20080113938A1 (en) Accelerator for mineral absorption and use thereof
EP1913943B1 (en) Prophylactic or therapeutic composition for hemoglobinuria or myoglobinuria
US8940715B2 (en) Lipid-regulating agent and use thereof
EP2537422B1 (en) Lifespan extending agent
CN102481325B (zh) 用于预防或治疗由ampk的激活介导的与肥胖有关的疾病、且含有作为活性成分的2,5-二芳基-3,4-二甲基四氢呋喃木脂素的组合物
JP5240810B2 (ja) D−プシコースの血中d−フラクトース濃度上昇抑制への使用
JP6928988B2 (ja) アリトールを有効成分とする経口抗肥満活性剤および肥満抑制方法
EP1254658A1 (en) Remedies
JP4841617B2 (ja) 抗線虫用組成物および抗線虫性組成物を用いる線虫制圧法
JPWO2003006037A1 (ja) 治療剤
JP2007230973A (ja) 抗ガン活性作用を有する組成物。
JP6391959B2 (ja) 非アルコール性脂肪性肝炎の改善剤および改善用栄養組成物
JP4358515B2 (ja) 治療剤
JP2004323469A (ja) Ii型糖尿病の予防、治療用の医薬組成物および食品
KR102157413B1 (ko) 톱니모자반 추출물을 유효성분으로 포함하는 간 보호, 간질환 예방 또는 치료용 조성물
KR20060111341A (ko) 1-데옥시노지리마이신을 포함하는 비만 예방 또는 치료용조성물
KR20060121273A (ko) 치료제
KR20200004013A (ko) 왕귀뚜라미 추출물의 헥센 분획물 또는 부탄올 분획물을 유효성분으로 포함하는 항균 조성물

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110701

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110829

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110921

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111004

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4841617

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141014

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313114

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250