JP2005350429A - 海洋性養殖魚のための寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物とその使用方法 - Google Patents

海洋性養殖魚のための寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物とその使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐性菌の発現や魚体へ残留するおそれがない、海洋性養殖魚のための安全かつ有効な寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物を提供すること及びその飼料添加物を用いて海洋性養殖魚の寄生虫を予防及び/又は駆除する安全かつ有効な方法を提供すること。
【解決手段】ぶどうポリフェノールを配合してあり、ハマチ、タイ、カンパチ、シマアジなど海洋性養殖魚のための、ハダムシなどの寄生虫の予防及び/又は駆除用飼料添加物。この飼料添加物を海洋性養殖魚に経口投与して寄生虫を予防及び/又は駆除する方法。
【選択図】 なし




Description

本発明は、海洋性養殖魚のための寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物とその使用方法に関する。詳しくは、海洋性養殖魚の体表へ寄生する寄生虫の予防及び/又は駆除用の飼料添加物とその飼料添加物を用いてハマチ、タイ、カンパチ、シマアジなどの海洋性養殖魚の体表へ寄生するハダムシなどの寄生虫を予防及び/又は駆除する方法に関する。本発明の寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物は、ぶどうポリフェノールを配合してあることを特徴とする。
近年、養殖魚における外部寄生虫の被害が大きな問題となっている。特に海洋性養殖魚では、例えば、ハマチ、タイ、カンパチ、シマアジ、ヒラメ、ヒラマサなどに被害が発生している。なかでも、ハマチ、タイ、カンパチ、シマアジの被害が大きい。
魚類の外部寄生虫としては、体表に寄生する通称ハダムシと鰓に寄生する通称エラムシが知られている。これらの寄生虫が多量に寄生すると、魚は、皮膚の紊爛、食欲の低下、鰓の貧血などを惹起し、最終的には衰弱して死亡するに至る。
これらの寄生虫を駆除する方法としては、淡水浴、過酸化水素浴、ホルマリン浴などが用いられるが、この駆除方法には種々の欠点がある。例えば、淡水浴では、大量の淡水を運搬・供給しなればならない。過酸化水素浴は、ハダムシには有効であるが、エラムシには効果がない。また、過酸化水素を希釈した製剤が商品化されているが、ホルマリンに比べると駆虫効果が小さい上、価格が高いという問題がある。ホルマリン浴は、薬浴後のホルマリンが大量に海洋に投棄されることになるので、海洋汚染や環境ホルモンの問題があって使用を禁止されている。いずれにしても、これら淡水浴法や薬浴法は、魚を一旦取り上げて、淡水や薬液の中に移し替える作業が必要であり、作業する人間にとって相当な重労働であると共に、魚に対しても大きなストレスを与えることになる。
一方、外部寄生虫の駆除方法としては、有効成分を魚に経口投与する方法がある。従来から海洋性養殖魚のための外部寄生虫の経口投与による予防治療用組成物については多くの特許出願がみられる。例えば、最近の公開特許公報を調べただけでも、以下に示すとおり、特許文献1から特許文献8までの公知資料がただちに検出される。
特開2002−306083号公報 特開2002−338538号公報 特開2001−316255号公報 特開2001−69922号公報 特開2000−281568号公報 特開平11−92309号公報 特開平7−213234号公報 WO00/10558号公報 特開2003−52315号公報 特開平10−225266号公報 2004年1月30日発行「みなと新聞(日刊)」の6面の記事
すなわち、特許文献1には、ハダムシ・エラムシなどの寄生虫又は病害を駆除・予防するための、過酢酸を有効成分とする魚介類用の飼料又は飼料添加物について開示されている。また、特許文献2には、特定のスルホンアミド誘導体又はその塩を有効成分とし、ハダムシなどの単生類にも有効な魚類用抗寄生虫薬剤について開示されている。特許文献3には、δ−アミノレブリン酸を有効成分として含有する魚類病原性微生物と寄生虫の感染予防及び治療用組成物について開示されている。また、特許文献4には、オイゲノールなどの成分を含む精油類を含有し、ハダムシ症などの魚類寄生虫症に対して有効な魚類用飼料について開示されている。また、特許文献5には、カプサイシン及び含有組成物を有効成分とする有用水産動物寄生虫症予防治療剤(ハダムシ対応を含む)について開示されている。さらに、特許文献6には、2−シクロヘキシルカルボニル−1,2,3,6,7,11b−ヘキサヒドロ−4H−ビラジノ〔2,1−a〕イソキノリン−4−オンを有効成分とする魚類寄生虫の駆除剤について開示されている。さらに、特許文献7には、有機化セレン含有菌体を有効成分とする養殖魚類外部寄生虫予防剤について開示されている。さらに、特許文献8には、ハダムシ症などの魚類寄生虫症に対し有効に作用する炭素数6ないし12の脂肪酸を含有する魚類用飼料について開示されている。さらに、非特許文献1には、コンブ粉末を添加した養魚用配合飼料を魚に給与すると、コンブ由来の成分によって体表のヌメリが増し、スレや寄生虫に強い魚ができる旨記載してある。
しかしながら、上記の説明からも理解できるように、特許文献1〜特許文献8や非特許文献1には、ぶどうポリフェノールを配合した飼料を海洋性養殖魚に経口投与するとハダムシなどの寄生虫を予防ないし駆除できることについては何ら開示されていない。また、特許文献1〜特許文献8や非特許文献1には、ぶどうポリフェノールを配合してある海洋性養殖魚のための寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物についても何ら開示されていない。
さらに、特許文献9には、ぶどうの実の種子と皮などに由来するポリフェノールを添加してなり、養殖魚の体表粘液量が従来の養殖魚よりも少ない状態で健全に育成することができる養殖魚用飼料及びその添加剤について開示されている。また、特許文献10には、魚類に対し、ぶどうの種子や果皮などから得ることができるプロアントシアニジンを投与して、魚類の健康の維持・増進をはかり、品質のすぐれた魚肉を得るための魚類の飼育方法について開示されている。
しかしながら、上記の説明からも理解できるように、特許文献9と特許文献10には、ぶどうポリフェノールを配合した飼料を海洋性養殖魚に経口投与するとハダムシなどの寄生虫を予防ないし駆除できることについては何ら開示されていない。また、特許文献9と特許文献10には、ぶどうポリフェノールを配合してある海洋性養殖魚のための寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物についても何ら開示されていない。
本発明者らは、養殖魚用飼料について抗生物質の耐性菌発現や魚体への残留が大きな社会問題となっていることに鑑み、抗生物質へ依存することなく、養殖現場で受け入れることができる海洋性養殖魚のための寄生虫防除用飼料添加物について研究を続けた結果、養殖魚にぶどうポリフェノール製剤を給与すると寄生虫の防除にきわめて有効であることを見出し、さらに研究の結果、本発明を完成するに至った。
上記の状況に鑑み、本発明は、耐性菌の発現や魚体へ残留するおそれがなく、安全にして有効な海洋性養殖魚のための寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物を提供することを第1の課題とする。また、本発明は、耐性菌の発現や魚体へ残留するおそれがなく、安全にして有効な海洋性養殖魚のための寄生虫を予防及び/又は駆除する方法を提供することを第2の課題とするものである。
上記第1の課題を解決するための本発明のうち特許請求の範囲・請求項1に記載する発明は、ぶどうポリフェノールを配合してあることを特徴とする海洋性養殖魚のための寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物である。
また、同請求項2に記載する発明は、防除対象の寄生虫がハダムシである請求項1に記載の寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物である。
また、同請求項3に記載する発明は、海洋性養殖魚がハマチ、タイ、カンパチ、シマアジのうちのいずれかである請求項1又は2に記載の寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物である。
また、上記第2の課題を解決するための本発明のうち請求項4に記載する発明は、請求項1又は2に記載の寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物を海洋性養殖魚に経口投与して寄生虫を予防及び/又は駆除する方法である。
また、同請求項5に記載する発明は、防除対象の寄生虫がハダムシである請求項4に記載の寄生虫を予防及び/又は駆除する方法である。
また、同請求項6に記載する発明は、海洋性養殖魚がハマチ、タイ、カンパチ、シマアジのうちのいずれかである請求項4又は5に記載の寄生虫を予防及び/又は駆除する方法である。
本発明に係る海洋性養殖魚のための寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物は、ぶどうの種子や皮などから抽出・精製したぶどうポリフェノールを配合したものであるから、安全かつ有効であり、この飼料添加物を海洋性養殖魚に長期間投与しても耐性菌の発現や魚体へ残留するおそれがない。また、本発明に係る海洋性養殖魚のための寄生虫を予防及び/又は駆除する方法は、このぶどうポリフェノールを配合した飼料添加物を海洋性養殖魚に経口投与する方法であるから、安全かつ有効であり、この方法を長期間実施しても耐性菌の発現や魚体へ残留するおそれがない。
本発明において「寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物」とは、養殖魚用配合飼料に添加して魚に投与するか又は養殖魚用配合飼料とは別途に魚に投与して寄生虫を予防することができ、かつ、魚の体表に寄生した寄生虫を駆除することができる飼料添加物のことをいう。したがって、本発明に係る寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物は、寄生虫の駆除用として、又は寄生虫の予防用として、もしくは寄生虫の予防及び駆除用として用いることができる。なお、本発明において「寄生虫を予防及び/又は駆除する方法」というときも、寄生虫を予防する方法又は寄生虫を駆除する方法もしくは寄生虫を予防及び駆除する方法のことである。
本発明に係る寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物が海洋性養殖魚の体表に寄生する寄生虫の防除に有効である機作は、未だ定かではない。例えば、特許文献9には、ぶどうポリフェノールを養殖魚に投与すると、魚の体表粘液の分泌量が減少するので、魚を健康に飼育できる旨の説を紹介している。しかし、非特許文献1には、養殖魚にコンブ粉末を添加した飼料を給与すると、コンブ由来の成分によって魚の体表のヌメリが増し、スレや寄生虫に強い魚が得られる旨の説を紹介している。魚の表皮中の粘液細胞の分泌液には魚の生体防御に関わる何らかの成分が含まれているものと推察できるが、上記のとおり、海洋性養殖魚の寄生虫の防除作用については勿論のこと、魚の細菌性疾患を予防・治療し、魚を健康に維持させる機作についても諸説があり、未だ十分に解明されていない状況にある。
本発明で用いるぶどうポリフェノールとは、ぶどうの実や種子や果皮を原料として抽出・精製したポリフェノールであり、プロアントシアニジンを主成分とし、抗酸化力が特に強いことで知られている。現在、ぶどうポリフェノールに食品素材を配合した酸化防止剤製剤が市販されているが、本発明では、このような市販製剤を用いても差し支えない。また、本発明に係る寄生虫の予防及び/又は駆除用飼料添加物は、ぶどうポリフェノールを主材として、液状、粉状、ペレット状、クランブル状など任意の性状や形状に製剤化したものを適宜使用すればよい。
本発明に係る寄生虫の予防及び/又は駆除用飼料添加物を海洋性養殖魚に投与する方法は、特に制限はないが、通常の養殖魚用飼料に添加して投与することが好ましい。具体的には、飼料の全量に対してぶどうポリフェノールが0.01重量%以上になるように飼料中に添加・混合して給与することが好ましい。本発明に係る寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物の養殖魚への投与期間は任意であるが、30日ないし60日程度で十分な効果を得ることができる。
本発明に係る寄生虫の予防及び/又は駆除用飼料添加物と寄生虫の予防及び/又は駆除方法は、イワシ、サバ、アジ、ハマチ、カンパチ、タイ、ヒラメ、ヒラマサ、シマアジ、サケ、フグなどの海洋性養殖魚を対象として使用する。なかでも、ハマチ、カンパチ、タイ、シマアジに給与すると寄生虫の予防及び/又は駆除の効果が大きい。
本発明に係る海洋性養殖魚のための寄生虫の予防及び/又は駆除用飼料添加物と寄生虫の予防及び/又は駆除方法は、ハダムシの予防及び/又は駆除に特に有効である。ハダムシには、ブリの寄生虫として従来から存在していたBenedenia seriolacと輸入カンパチの稚魚が持ち込んだ外来種のNeobenedenia girellae の2種があるが、本発明に係る寄生虫の予防及び/又は駆除用飼料添加物(寄生虫症予防治療予防剤)及び寄生虫の予防及び/又は駆除方法は、その両方に対して有効である。
以下、試験例をもって本発明をさらに説明する。なお、本発明の説明において「%」の表示は、特に断らない限り、重量割合を表す。
試験例1
<ハマチについてハダムシ「予防」効果確認試験(その1)>
(1)試験方法
同一漁場において、平均魚体重約30gのハマチ稚魚8000尾を放養している生簀を2台設定し、それぞれを「試験区」と「対照区」とし、試験区の稚魚にはぶどうポリフェノールを0.1%添加した飼料(後掲する表8の「0.1%添加区」飼料)を投与し、対照区の稚魚にはぶどうポリフェノールを添加していない飼料(表8の「無添加区」飼料)を投与して、それぞれ飼養した。投与開始から30日目と60日目に、両区とも、任意のハマチ50尾についてハダムシの平均寄生数と魚体重を計測し、成長率を算出した。
なお、以下の全試験例において、例えば、ぶどうポリフェノールを0.1%添加した飼料のことを「0.1%添加区飼料」といい、その飼料を投与する飼養区のことを「0.1%飼料添加区」ということがある。
(2)試験結果
試験結果は表1に示すとおりである。
(3)所見
表1から、試験区(0.1%飼料添加区)のハマチは、対照区(無添加区)のハマチに比べて有意にハダムシの寄生数が少なく、かつ成長率がすぐれていることが確認された。また、0.1%添加区飼料を30日間投与するだけでも、十分な寄生虫予防効果を奏することが確認された。
試験例2
<ハマチについてハダムシ「駆除」効果確認試験>
(1)試験方法
同一漁場において、平均魚体重約35gのハマチ稚魚6000尾を放養している生簀を2台設定し、それぞれを「試験区」と「対照区」とし、試験区のハマチ稚魚にはぶどうポリフェノール無添加の飼料(表8の「無添加区」飼料)を30日間投与した後、ぶどうポリフェノールを0.1%添加した飼料(表8の「0.1%添加区」飼料)に切り替えてさらに30日間飼養した。一方、対照区のハマチ稚魚にはぶどうポリフェノールを0.1%添加した飼料(表8の「0.1%添加区」飼料)を60日間投与して飼養した。投与開始から30日目と60日目に、両区とも、任意のハマチ50尾についてハダムシの平均寄生数と魚体重を計測し、成長率を算出した。
(2)試験結果
試験結果は、表2に示すとおりである。
(3)所見
先の試験例1によって0.1%添加区飼料を30日間投与するだけで十分な寄生虫予防効果を奏することが確認されている。本試験例の対照区のハマチについても30日目のハダムシ寄生数は著しく少なく、ハダムシ寄生予防効果が認められる。一方、本試験例の試験区のハマチは、最初の30日間はぶどうポリフェノール無添加の飼料で飼養されていたため、ハダムシの寄生が著しいものと推察され、事実、表2から30日目のハダムシ寄生数が著しく多いことが確認できる。しかし、試験区のハマチは、30日目以降、0.1%添加区飼料の投与に切り替えられたので、60日目における成長率やハダムシ寄生数は、0.1%添加区飼料の投与を60日間続けた対照区のハマチのそれと遜色のないところまで回復したことが認められる。すなわち、本試験例によって、ぶどうポリフェノールを0.1%添加した飼料を30日間ハマチに投与すると、ハマチの体表に寄生したハダムシを駆除できることが確認された。
試験例3
<カンパチについてハダムシ「予防」効果確認試験>
(1)試験方法
同一漁場において、平均魚体重約1.2kgのカンパチ4000尾を放養している生簀を2台設定し、それぞれを「試験区」と「対照区」とし、試験区のカンパチにはぶどうポリフェノールを0.1%添加した飼料(表9の「0.1%添加区」飼料)を投与し、対照区のカンパチにはぶどうポリフェノールを添加していない飼料(表9の「無添加区」飼料)を給与して、どちらも4カ月間飼養した。飼養期間中、カンパチが頻繁に生簀網に魚体を擦りつけて、体表の寄生虫を落とす動作をするようになったら、過酸化水素水浴を実施し、その回数を比較した。
(2)試験結果
試験結果は、表3に示すとおりである。
(3)所見
表3から、対照区(無添加区)のカンパチは、薬浴を6回実施したのに対して、試験区(0.1%飼料添加区)のカンパチは薬浴が2回で済んでいる。このことは、明らかに、試験区では、ハダムシの寄生が少ないことを示すものである。すなわち、本試験例によって、ぶどうポリフェノールを0.1%添加した飼料をカンパチに投与すると、ハダムシ予防効果を奏することが確認された。
試験例4
<ハマチについてハダムシ「予防」効果確認試験(その2)>
(1)試験方法
魚体重約50gのハマチ稚魚200尾を1群として4つの試験区を設定した。各試験区について、ぶどうポリフェノールを0%、0.1%、0.2%、0.5%ずつ配合した飼料(表8の「無添加区」飼料、「0.1%添加」区飼料、「0.2%添加」区飼料、「0.5%添加」区飼料)をそれぞれ給与して、各50日間飼養した。50日の経過後、各試験区から任意に20尾を取り上げ、体表の寄生虫の数と魚体重を測定し、成長率を算出した。
(2)試験結果
試験結果は、表4に示すとおりである。
(3)所見
表4から明らかなとおり、ぶどうポリフェノールを0.1%添加した試験区でハダムシの予防効果がすでに見られた。すなわち、本試験例によって、ハマチ用飼料にぶどうポリフェノールを0.1%添加するとハダムシ予防効果を奏することが確認された。
試験例5
<マダイについてハダムシ「予防」効果確認試験>
(1)試験方法
同一漁場において、平均魚体重約120gのマダイ500尾を放養している生簀を2台設定し、それぞれを「試験区」と「対照区」とし、試験区のマダイはぶどうポリフェノールを0.2%添加した飼料(表10の「0.2%添加区」飼料)を投与し、対照区のマダイにはぶどうポリフェノールを添加していない飼料(表10の「無添加区」飼料)を投与してそれぞれ飼養した。投与開始から30日目と60日目と90日目に、両区とも、任意のマダイ20尾についてハダムシの平均寄生数と魚体重を計測し、成長率を算出した。
(2)試験結果
試験結果は表5に示すとおりである。
(3)所見
表5から、試験区(0.2%飼料添加区)のマダイは、対照区(無添加区)のマダイに比べて有意にハダムシの寄生数が少なく、かつ成長率がすぐれていることが確認された。また、マダイに対して0.2%添加区飼料を30日間投与するだけでも、十分な寄生虫予防効果を奏することが確認された。
試験例6
<マダイについてハダムシ「駆除」効果確認試験>
(1)試験方法
同一漁場において、平均魚体重約115gのマダイ300尾を放養している生簀を2台設定し、それぞれを「試験区」と「対照区」とし、試験区のマダイにはぶどうポリフェノール無添加の飼料(表10の「無添加区」飼料)を45日間投与した後、ぶどうポリフェノールを0.2%添加した飼料(表10の「0.2%添加区」飼料)に切り替えてさらに45日間飼養した。一方、対照区のマダイにはぶどうポリフェノールを0.1%添加した飼料(表10の「0.1%添加区」飼料)を90日間投与して飼養した。投与開始から30日目と45日目と90日目に、両区とも、任意のマダイ20尾についてハダムシの平均寄生数と魚体重を計測し、成長率を算出した。
(2)試験結果
試験結果は、表6に示すとおりである。
(3)所見
表6から、0.1%添加区飼料を45日間投与した対照区のマダイは、ハダムシ寄生数が著しく少なく、ハダムシ予防効果が認められた。一方、試験区のマダイは、最初の45日間はぶどうポリフェノール無添加の飼料で飼養されていたため、ハダムシの寄生が著しいものと推察され、事実、表2から、45日目のハダムシ寄生数が著しく多いことが確認できる。しかし、試験区のマダイは、45日目以降、0.2%添加区飼料の投与に切り替えられたので、90日目における成長率やハダムシ寄生数は、0.1%添加区飼料の投与を90日間続けた対照区のマダイのそれとほとんど遜色のないところまで回復したことが認められた。すなわち、本試験例によって、ぶどうポリフェノールを0.2%添加した飼料を45日間マダイに投与すると、マダイの体表に寄生したハダムシを駆除できることが確認された。
試験例7
<シマアジについてハダムシ「予防」効果確認試験>
(1)試験方法
同一漁場において、平均魚体重約250gのシマアジ500尾を放養している生簀を2台設定し、それぞれ「試験区」と「対照区」とし、試験区のシマアジにはぶどう種子ポリフェノールを0.1%添加した飼料(表11の「0.1%添加区」飼料)を投与し、対照区のシマアジにはぶどうポリフェノールを添加していない飼料(表11の「無添加区」飼料)を投与して、それぞれ飼養した。投与開始から30日目と60日目に、両区とも、任意のシマアジ20尾についてハダムシの平均寄生数と魚体重を計測し、成長率を算出した。
(2)試験結果
試験結果は、表7に示すとおりである。
(3)所見
表7から明らかなとおり、ぶどうポリフェノールを0.1%添加した試験区では投与開始30日目にしてハダムシの予防効果がすでに見られた。すなわち、本試験例によって、シマアジ用飼料にぶどうポリフェノールを0.1%添加するとハダムシ予防効果を奏することが確認された。
上記各試験例において、ハマチ、カンパチ、マダイ及びシマアジに給与した飼料の配合を表8〜表11に示す。
以上詳細に説明するとおり、本発明に係る海洋性養殖魚のための寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物は、ぶどうの種子や皮などから抽出・精製したぶどうポリフェノールを配合したものであるから、安全かつ有効であり、この飼料添加物を海洋性養殖魚に長期間投与しても耐性菌の発現や魚体へ残留するおそれがない。また、本発明に係る海洋性養殖魚のための寄生虫を予防及び/又は駆除する方法は、このぶどうポリフェノールを配合した飼料添加物を海洋性養殖魚に経口投与する方法であるから、安全かつ有効であり、この方法を長期間実施しても耐性菌の発現や魚体へ残留するおそれがない。
以上の次第であるから、本発明は、海洋性魚類の養殖現場において大いに有用である。



Claims (6)

  1. ぶどうポリフェノールを配合してあることを特徴とする海洋性養殖魚のための寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物。
  2. 防除対象の寄生虫がハダムシである請求項1に記載の寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物。
  3. 海洋性養殖魚がハマチ、タイ、カンパチ、シマアジのうちのいずれかである請求項1又は2に記載の寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物。
  4. 請求項1又は2に記載の寄生虫予防及び/又は駆除用飼料添加物を海洋性養殖魚に経口投与して寄生虫を予防及び/又は駆除する方法。
  5. 防除対象の寄生虫がハダムシである請求項4に記載の寄生虫を予防及び/又は駆除する方法。
  6. 海洋性養殖魚がハマチ、タイ、カンパチ、シマアジのうちのいずれかである請求項4又は5に記載の寄生虫を予防及び/又は駆除する方法。






























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