JP4841279B2 - 被検物質の発がん性予測方法 - Google Patents
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(1)発がん性を予測する被検物質にAmes試験を行い、該被検物質がAmes試験陽性又は陰性の何れに属するかを決定する第1工程、
(2)発がん性を予測する被検物質を試験動物に投与して所定期間経過後、試験動物からmRNAを採取してその発現パターンを得る第2工程、
(3)被検物質が前記第1工程でAmes試験陽性に属する場合は、予め準備したAmes試験陽性の発がん物質(C+M+)のmRNAの発現パターンと前記第2工程で得られたmRNAの発現パターンとの一致度を算出し、被検物質が前記第1工程でAmes試験陰性に属する場合は、予め準備したAmes試験陰性の発がん物質(C+M-)のmRNAの発現パターンと前記第2工程で得られたmRNAの発現パターンとの一致度を算出し、算出した一致度から被検物質の発がん性を予測する第3工程、
を行うことを特徴とする被検物質の発がん性予測方法。
(1)完全長cDNA クローン及びライブラリーの作製(理化学研究所法)
発がん剤投与成獣(6週齢)ラット由来の肝臓、腎臓、脾臓及び大腸組織から、株式会社ダナフォームが作製したラット完全長cDNAライブラリーを利用して完全長cDNAクローンを得た。なお当該ラット完全長cDNAライブラリーの作製手順の概略は以下の通りであった。
発がん物質投与成獣由来完全長cDNA ライブラリー中のクローンの3'端の塩基配列からクローン間の相同性を調べた。発がん物質投与成獣由来遺伝子の合計数は15,762 で、このうちの肝臓由来の遺伝子数は4,139 であった。また、UniGene ID を元にした非重複塩基配列数は6,954 であった。
選定した遺伝子の塩基配列からお互いに非相補的な部分配列を設計し、(2) で選択した8,862 クローンをテンプレートとして、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法により遺伝子断片を増幅した。増幅遺伝子の長さは、一部の遺伝子を除いて約300bpに設計した。cDNAマイクロアレイに搭載する遺伝子断片をPCR法で増幅するためのプライマーはタカラバイオ株式会社の設計アルゴリズムを用いて設計した。フォワードプライマー、リバースプライマーを各35pmol、Ex-Taq ポリメラーゼ2.5 unit 及び酵素に添付されたバッファーを用いて、反応液量を100μL としてPCR 反応を行った。反応は、95℃ 30 秒間の後、95℃ 45 秒間、54℃ 30 秒間、72℃ 60 秒間を1 サイクルとしてこれを37 サイクル行い、さらに72℃ 3 分間行った。反応終了後、反応液の一部をアガロース電気泳動に供することで、PCR 産物を確認した。
(1)total RNAの取得
表1〜4に示す化学物質をそれぞれ媒体に溶解し、溶液を調製した。化学物質とその物質番号、発がん性、使用した媒体、試験動物に投与した用量を表1〜4に示す。
精製total RNA 20 または10 μg を用いて、CyScript 逆転写酵素を用いて蛍光ラベル化cDNA を作製した。
最終的なハイブリダイゼーション溶液12μL 当たりにCy3 ラベル体4.2 μL、Cy5ラベル体4.2 μL、20×SSC 3 μL、10%SDS 0.6μL になるように混合した後、95℃ 2分遮光静置した。室温3 分遮光静置した後、BSA ブロッキング処理済みのcDNAマイクロアレイに12μL/アレイでスポットした。速やかに24 mm × 32 mm カバーグラス(松浪硝子製)でカバーした後、ハイブリカセット(Telechem 社製、日立ソフトウェア社製等)にセットし55℃で一晩遮光静置した。その後ハイブリカセットからcDNAマイクロアレイを取り出し,2×SSC/0.1%SDS 溶液に浸漬してカバーグラスを取り除いた。室温で2×SSC/0.1%SDS溶液に20 分遮光浸漬し、さらに0.2×SSC/0.1%SDS 溶液に20 分遮光浸漬した。42℃の0.2×SSC/0.1%SDS 溶液に2 回20 分遮光浸漬した後、0.2×SSC/0.1%SDS 溶液、0.05×SSC溶液で洗浄した。遠心器を用いて乾燥させた後、Agilent 社製MicroArray Scanner を用いて検出した。検出感度を示すPMT 値は100%を用いた。スキャン画像から各スポットの蛍光値の数値化はAxon Instruments 社製GenePix Pro ver.4.0.1.17 を用いて行った。
cDNAマイクロアレイに搭載した各遺伝子の発現量データに対して、以下に示すデータクレンジングを行い、解析に使用する遺伝子の選定を行った。
発がん物質39物質(表1〜4に示した発がん物質からジ(2-エチルヘキシル)フタレートとフェノバルビタールを除外)及び非発がん物質20物質(表1〜4に示した非発がん物質)の投与期間28日間の投与群について、各物質のAmes試験結果をもとに化合物の分類を行った。その結果、Ames陽性発がん物質は19物質、Ames陽性非発がん物質は14物質であった。また、Ames陰性発がん物質は20物質、そしてAmes陰性非発がん物質は6物質であった。
まず、Ames陽性発がん物質群とAmes陽性非発がん物質群の間で発現量差が有意である遺伝子セットを統計量の一つであるウェルチt値(Welch's t-value)とフィルタリングの手法をもちいて表5〜26に示す遺伝子群より選定し、それぞれの手法で選定した遺伝子セットを併せたものを次の予測式作成へと用いた。ウエルチt値については、発がん物質グループのLogRatioの平均値の絶対値が、非発がん物質グループのLogRatioの平均値の絶対値より大きい遺伝子を選定した。フィルタリングの手法とは、ウェルチt値では選定しにくい一部の発がん物質の予測に有効な遺伝子セットを探索する為の方法である。具体的には、発がん物質群でLogRatioの絶対値が0.8以上であった物質がX個以上で、非発がん物質群でLogRatioの絶対値が0.8以下であった物質がY個以上を示す遺伝子をXとYを変化させて選定し、ウェルチt値で選定した遺伝子セットを合わせて予測式を作成し、最も予測率のよい遺伝子セットを探索した。また、Ames陰性発がん物質群とAmes陰性非発がん物質群の間で発現量差が有意である遺伝子セットについても同様にウェルチt値とフィルタリングの手法で選定を行った。
Ames陽性物質の発がん性予測式は、(6)a)〜e)の手順に従い遺伝子を選定し、クローンIDが11648、14929、17343、22524、23126、26054、29775、31823、33592、33615、33649、35603、35953、36476、38445、38980、39147、40318、40694、41351、41608、41764、41875、42265、42759、42763、45500、45533、46291、46451、46526の発現量データを用いて作成した。そして、構築した予測式を用いて、トレーニングセットとテストセットの予測を行なった結果を表27に示す。
(7)で作成したAmes陽性物質グループと、Ames陰性物質グループの予測式を組み合わせ、発がん物質を予測する予測フローを構築した(図1)。予測式作成に用いた59物質のデータを、予測フローに適用した結果、Ames陽性物質の発がん性予測式では発がん物質が18物質予測できたが、非発がん物質4物質を発がん物質と誤って予測した。一方、Ames陰性物質の発がん性予測式では発がん物質が18物質予測できた。両予測式の結果を集約させた結果、36物質の発がん物質を予測することができた。
実施例1(1)〜(5)で得られたデータを使用してAmes陽性発がん物質、Ames陽性非発がん物質の発現パターンを更に下記の手順に従ってグループに分類し、化学物質の発がん性の予測を行った。
発がん物質39物質(表1〜4に示した発がん物質からジ(2-エチルヘキシル)フタレートとフェノバルビタールを除外)及び非発がん物質20物質(表1〜4に示した非発がん物質)について、遺伝子の発現パターンが近い物質ごとに発がん物質を分類して予測式を作成するために、次のような処理を行った。
(Ames陽性発がん物質グループ1)
TS011,013,014,025,041,042,046,047,048,049,063,065
(Ames陽性発がん物質グループ2)
TS004,006,045,052,077
(Ames陰性発がん物質グループ1)
TS001,003,019,021,022,023,024,051,055,056,066,067,068,070,078
(2)予測式作成手順と検証方法
予測に有効な遺伝子は、Ames陽性発がん物質グループ1、2に対してはAmes陽性非発がん物質グループ、そしてAmes陰性発がん物質グループ1に対してはAmes陰性非発がん物質グループを組み合わせ、各々の発がん物質グループと非発がん物質グループの間で、発現量差が有意である遺伝子セットを統計量の一つであるウエルチt値とフィルタリングの手法によって、表5〜26に示す遺伝子群から選定した。そして、それぞれの手法で選定した遺伝子セットを併せたものを次の予測式作成へと用いた。ウエルチt値については、発がん物質グループのLogRatioの平均値の絶対値が、非発がん物質グループのLogRatioの平均値の絶対値より大きい遺伝子を選定した。また、フィルタリングの手法により発がん物質群でLogRatioの絶対値が0.8以上であった物質がX個以上で、非発がん物質群でLogRatioの絶対値が0.8以下であった物質がY個以上を示す遺伝子をXとYを変化させて選定し、ウェルチt値で選定した遺伝子セットを合わせて予測式を作成し、最も予測率のよい遺伝子セットを探索した。Ames陰性発がん物質群とAmes陰性非発がん物質群の間で発現量差が有意である遺伝子セットについても同様にウェルチt値とフィルタリングの手法で選定を行った。
Ames陽性物質グループ1の発がん性予測式は、(2)の手順に従い遺伝子を選定し、クローンIDが01371、05376、17343、34871、40104、41764、46526の発現量データを用いて作成した。構築した予測式を用いて、トレーニングセットとテストセットの予測を行なった結果を表31に示す。
(3)で作成したAmes陽性物質グループと、Ames陰性物質グループの予測式を組み合わせ、発がん物質を予測する予測フローを構築した(図8)。予測式作成に用いた59物質のデータを、予測フローに適用した結果、Ames陽性物質の発がん性予測式では発がん物質が19物質予測できたが、非発がん物質6物質を発がん物質と誤って予測した。一方、Ames陰性物質の発がん性予測式では発がん物質が18物質予測できたが、非発がん物質1物質を発がん物質と誤って予測した。両予測式の結果を集約させた結果、37物質の発がん物質を予測することができた。
(1)オリゴマイクロアレイに搭載する遺伝子の選択
オリゴマイクロアレイに搭載する遺伝子は、以下の基準から6,785遺伝子を選定した。
選定した遺伝子の塩基配列からタカラバイオ株式会社の設計アルゴリズムを用いてお互いに非相補的な60塩基長の部分配列を設計した。(1) で選択した6,785遺伝子の内有効な配列を設計できなかった遺伝子を除く6,722遺伝子について6,726の60塩基長の部分配列を設計し、オリゴを合成した。60塩基オリゴの合成はオリゴの5'末端に基盤との共有結合に用いるアミノ基を加えてタカラバイオ株式会社に委託した。得られた60塩基オリゴを3次元表面構造のガラス基板(Amersham Bioscience社製)上にスポットし、オリゴマイクロアレイを得た。1ガラス当たり1アレイをスポットし、ハイブリダイゼーション操作の簡略化のために表面にチャンバーシールを貼り付けた。
(1)total RNAの取得
表1〜4に示す化学物質から1-ニトロプロパンを除く62物質と、表34に示す化学物質11物質とをそれぞれ媒体に溶解し、溶液を調製した。
(1)で得た精製total RNA 5μgを用いて、SuperScript Indirect RNA Amplification System(Invitrogen社製)を用いて蛍光cRNAを作製した。投与群では各検体毎に、コントロール群は等重量を混合した後に、以下の反応条件で蛍光ラベル化を行った。
分光光度計を用いて得られた精製標識cRNAの濃度を決定した後、Cy3標識cRNA 0.75μg、Cy5標識cRNA 0.75μg及び5X Fragmentation Buffer 8μLを混合しDEPC処理水で総量40μLにした。94℃ 15分間遮光で静置した後、氷上に2分静置した。得られた溶液から30μLを分取し、DEPC処理水 46.5μL、20XSSC 37.5μL、10% SDS 7.5μL及び50Xデンハルト溶液 12μを添加した後、95℃ 2分間遮光で静置した。氷上に2分静置した後、Salmon Sperm DNA (Invitrogen社) 1.5μL及びホルムアミド 15μLを添加し、60℃ 3分間遮光で静置することで最終的なハイブリダイゼーション溶液を得た。オリゴマイクロアレイに120-140μLのハイブリダイゼーション溶液を注入した後に、注入口をシールし、60℃で一晩遮光静置した。その後オリゴマイクロアレイの表面シールを剥離し、素早く5×SSC/0.1%SDS 溶液に浸漬した。30℃の5×SSC/0.1%SDS溶液に10分遮光浸漬し、さらに30℃の0.5×SSC溶液に2回2分遮光浸漬した。0.5×SSC/0.01%Tween20溶液で洗浄した後、遠心器を用いて乾燥させた。Agilent Technologies社製Microarray Scanner を用いて検出し、検出感度を示すPMT 値は70-100%を用いた。スキャン画像から各スポットの蛍光値の数値化はAxon Instruments 社製GenePix Pro ver.4.0.1.17 を用いて行った。
b)の陰性対照遺伝子にjojG、bioD、creを使用した以外は、実施例1(4)のa)〜e)と同様にしてオリゴマイクロアレイに搭載した各遺伝子の発現量データに対してデータクレンジングを行い、解析に使用する遺伝子の選定を行った。さらに、以降の解析で得られる発がん物質グループで変動していることが確認された遺伝子を選定した結果、解析に有効な遺伝子数は922であった。これらの遺伝子の塩基配列を配列番号1436〜2357に示す。
発がん物質47物質(表1〜4及び34に示した発がん物質から四塩化炭素とグルタルアルデヒドを除外)及び非発がん物質24物質(表1〜4及び34に示した非発がん物質)の投与期間28日間の投与群について、各物質のAmes試験結果をもとに化合物の分類を行った。その結果、Ames陽性発がん物質は23物質、Ames陽性非発がん物質は13物質であった。また、Ames陰性発がん物質は24物質、そしてAmes陰性非発がん物質は11物質であった。
予測に有効な遺伝子は、Ames陽性発がん物質群とAmes陽性非発がん物質群の間で発現量差が有意である遺伝子セットを統計量の一つであるウェルチt値とフィルタリングの手法によって、表35〜48に示す遺伝子群から選定した。そして、それぞれの手法で選定した遺伝子セットを併せたものを次の予測式作成へと用いた。ウエルチt値については、発がん物質グループのLogRatioの平均値の絶対値が、非発がん物質グループのLogRatioの平均値の絶対値より大きい遺伝子を選定した。フィルタリングの手法とは、ウェルチt値では選定しにくい一部の発がん物質の予測に有効な遺伝子セットを探索する為の方法である。具体的には、発がん物質群でLogRatioの絶対値が0.8以上であった物質がX個以上で、非発がん物質群でLogRatioの絶対値が0.8以下であった物質がY個以上を示す遺伝子をXとYを変化させて選定し、ウェルチt値で選定した遺伝子セットを合わせて予測式を作成し、最も予測率のよい遺伝子セットを探索した。また、Ames陰性発がん物質群とAmes陰性非発がん物質群の間で発現量差が有意である遺伝子セットについても同様にウェルチt値とフィルタリングの手法により選定した。
Ames陽性物質の発がん性予測式は、(6)の手順に従い遺伝子を選定し、クローンIDが0136、0297、0336、0518、0523、0580、0688、0719、0987、1091、1496、1512、1643、1662、1671、1754、1912、1940、2286、2372、2471、2654、2667、2754、2786、2788、2879、3211、3460、3469、3629、3942、4047、4096、4173、4476、4673、4688、4784、4830、4846、4975、5171、5231、5299、5500、5574、5600、5643、5670、5706、5791、6182、6196、6570、6670の発現量データを用いて作成した。そして、構築した予測式を用いて、トレーニングセットとテストセットの予測を行なった結果を表49に示す。
(7)で作成したAmes陽性物質グループと、Ames陰性物質グループの予測式を組み合わせ、発がん物質を予測する予測フローを構築した(図9)。予測式作成に用いた71物質のデータを、予測フローに適用した結果、Ames陽性物質の発がん性予測式では発がん物質が20物質予測できたが、非発がん物質1物質を発がん物質と誤って予測した。一方、Ames陰性物質の発がん性予測式では発がん物質が22物質予測できたが、非発がん物質1物質を発がん物質と誤って予測した。両予測式の結果を集約させた結果、42物質の発がん物質を予測することができた。
実施例3(1)〜(5)で得られたデータを使用してAmes陽性発がん物質、Ames陽性非発がん物質の発現パターンを更に下記の手順に従ってグループに分類し、化学物質の発がん性の予測を行った。
発がん物質47物質(表1〜4及び34に示した発がん物質から四塩化炭素とグルタルアルデヒドを除外)及び非発がん物質24物質(表1〜4及び34に示した非発がん物質)について、遺伝子の発現パターンが近い物質ごとに発がん物質を分類して予測式を作成するために、次のような処理を行った。
(Ames陽性発がん物質グループ1)
TS004,006,011,013,014,042,043,076
(Ames陽性発がん物質グループ2)
TS041,047,048,049,065
(Ames陽性発がん物質グループ3)
TS028,044,050,053,077
(Ames陰性発がん物質グループ1)
TS008,018,020,021,023,024,055,056,070
(Ames陰性発がん物質グループ2)
TS027,029,030,054,067
(2)予測式作成手順と検証方法
予測に有効な遺伝子は、Ames陽性発がん物質群とAmes陽性非発がん物質群の間で発現量差が有意である遺伝子セットを統計量の一つであるウェルチt値とフィルタリングの手法によって、表35〜48に示す遺伝子群から選定した。そして、それぞれの手法で選定した遺伝子セットを併せたものを次の予測式作成へと用いた。ウエルチt値については、発がん物質グループのLogRatioの平均値の絶対値が、非発がん物質グループのLogRatioの平均値の絶対値より大きい遺伝子を選定した。フィルタリングの手法により、発がん物質群でLogRatioの絶対値が0.8以上であった物質がX個以上で、非発がん物質群でLogRatioの絶対値が0.8以下であった物質がY個以上を示す遺伝子をXとYを変化させて選定し、ウェルチt値で選定した遺伝子セットを合わせて予測式を作成し、最も予測率のよい遺伝子セットを探索した。また、Ames陰性発がん物質群とAmes陰性非発がん物質群の間で発現量差が有意である遺伝子セットについても同様にウェルチt値とフィルタリングの手法により選定した。
Ames陽性物質グループ1の発がん性予測式は、(2)の手順に従い遺伝子を選定し、クローンIDが0065、0688、1974、2286、2654、3460、4673、4771、5231、5569の発現量データを用いて作成した。そして、構築した予測式を用いて、トレーニングセットとテストセットの予測を行なった結果を表54に示す。
(3)で作成したAmes陽性物質グループと、Ames陰性物質グループの予測式を組み合わせ、発がん物質を予測する予測フローを構築した(図19)。予測式作成に用いた71物質のデータを、予測フローに適用した結果、Ames陽性物質の発がん性予測式では発がん物質が20物質予測できたが、非発がん物質1物質を発がん物質と誤って予測した。一方、Ames陰性物質の発がん性予測式では発がん物質が21物質予測でき、非発がん物質は全て正しく予測できた。両予測式の結果を集約させた結果、41物質の発がん物質を予測することができた。
Claims (4)
- Ames試験陽性の少なくとも1の発がん物質(C+M+)及びAmes試験陰性の少なくとも1の発がん物質(C+M−)を試験動物(ヒトを除く)に投与し、所定時間経過後に試験動物からmRNAを採取してその発現パターンをそれぞれ予め準備しておき、発がん性未知の被検物質の発がん性を予測するに際しては、
(1)発がん性を予測する被検物質にAmes試験を行い、該被検物質がAmes試験陽性又は陰性の何れに属するかを決定する第1工程、
(2)発がん性を予測する被検物質を試験動物に投与して所定期間経過後、試験動物からmRNAを採取してその発現パターンを得る第2工程、
(3)第1工程で決定される被検物質のAmes属性に応じて、被検物質が前記第1工程でAmes試験陽性に属する場合は、予め準備したAmes試験陽性の発がん物質(C+M+)のmRNAの発現パターンと前記第2工程で得られたmRNAの発現パターンとの一致度を算出し、被検物質が前記第1工程でAmes試験陰性に属する場合は、予め準備したAmes試験陰性の発がん物質(C+M−)のmRNAの発現パターンと前記第2工程で得られたmRNAの発現パターンとの一致度を算出し、算出した一致度から被検物質の発がん性を予測する第3工程、を行い、
mRNAの発現パターンが、Ames試験陽性の発がん物質(C+M+)を投与した試験動物とAmes試験陽性の非発がん物質(C−M+)を投与した試験動物の間又はAmes試験陰性の発がん物質(C+M−)を投与した試験動物とAmes試験陰性の非発がん物質(C−M−)を投与した試験動物の間で発現量の差が有意なmRNAを用いて得られる、配列番号1〜1435又は配列番号1436〜2357に記載する塩基配列の遺伝子から選定された3つ以上の遺伝子を搭載したDNAマイクロアレイに、前記第2工程で試験動物から採取したmRNAから調製した蛍光標識cDNA又はcRNAをハイブリダイゼーションさせて得られるDNAマイクロアレイの蛍光パターンを使用するものである被検物質の発がん性予測方法。 - mRNAの発現パターンが、Ames試験陽性の発がん物質(C+M+)を投与した試験動物とAmes試験陽性の非発がん物質(C−M+)を投与した試験動物の間又はAmes試験陰性の発がん物質(C+M−)を投与した試験動物とAmes試験陰性の非発がん物質(C−M−)を投与した試験動物の間で発現量の差が有意なmRNAを逆転写し、前記逆転写反応により合成したcDNA配列の全部又は一部を、PCRにより、少なくともフォワードプライマー又はリバースプライマーのいずれかを用いて増幅して得たDNAを搭載したDNAマイクロアレイ、又は、前記逆転写反応により合成したcDNA配列の一部を化学合成して得たDNAを搭載したオリゴマイクロアレイに、前記第2工程で試験動物から採取したmRNAから調製した蛍光標識cDNA又はcRNAをハイブリダイゼーションさせて得られるDNAマイクロアレイ、又はオリゴマイクロアレイの蛍光パターンを使用するものである、請求項1に記載の被検物質の発がん性予測方法。
- Ames試験陽性の発がん物質(C+M+)又はAmes試験陰性の発がん物質(C+M−)を複数試験動物に投与し、Ames試験陽性の発がん物質(C+M+)又はAmes試験陰性の発がん物質(C+M−)について得られた複数のmRNAの発現パターンをその類似性により2以上のグループに分類し、グループ毎にmRNAの発現パターンを準備する請求項1又は請求項2に記載の被検物質の発がん性予測方法。
- 前記第2工程において、被検物質を1〜90日間試験動物に連続投与した後、試験動物からmRNAを採取する請求項1乃至3のいずれかに記載の被検物質の発がん性予測方法。
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