JP4840790B2 - 化成処理用組成物、およびその組成物を用いた黒色皮膜を有する部材の製造方法 - Google Patents

化成処理用組成物、およびその組成物を用いた黒色皮膜を有する部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自然環境に有害な6価クロムイオンを実質的に含有せず3価クロムを含む黒色皮膜を部材の金属表面上に形成することが可能であって浴寿命の長い化成処理用組成物、その組成物を用いた黒色皮膜を有する部材の製造方法、およびその製造方法により形成された黒色皮膜を備える部材に関する。
近年、RoHS(Restriction of the Use of Certain Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment、電気・電子機器有害物質使用規制)指令や、ELV(End of Life Vehicles 使用済み自動車)指令など環境に配慮した指令により、有害物質(鉛、水銀、カドミウム、6価クロムイオンなど)の使用を規制することが求められてきている。
この流れを受け、亜鉛めっき部材などの金属表面を有する部材の防食用の化成皮膜として有効なクロメート皮膜は、6価クロムイオンを含むクロム酸塩を用いる化成処理のための組成物(本発明において、この組成物を「化成処理用組成物」または「化成処理液」という。)ではなく、3価クロムイオンを含む化成処理液によって形成するようになってきている。
この化成処理液の中には、黒色の外観を有する化成皮膜(本発明において、この化成皮膜を「黒色皮膜」という。)を形成するものがあり、事務機器、電気機器、自動車用などの部材(例えばプレート、ハウジング、ヒンジ、パネル等のプレス成形品)や部品(例えばボルト、ナットなどの締結部品、クランプ、クリップなどの留め具)などに多く使用されているが、化成処理液の安定性が低く、その化成処理液を用いて処理される部材等の処理面積の累積量(以下、「累積処理面積」という。)が増加すると、得られた黒色皮膜の外観が劣化する、すなわち黒色が維持されず灰色になってしまうことが問題となっていた。この問題に対して、例えば特許文献1のように硫黄化合物を添加する方法が提案されている。
特開2005−206872号公報
しかしながら、本発明者らが検討したところ、累積処理面積が増加しても外観が良好な黒色皮膜を安定的に形成することが可能な化成処理液は硫黄化合物を添加しただけでは必ずしも得ることができないことが明らかになった。
そこで、本発明は、累積処理面積が増加しても優れた黒色外観と高い耐食性とが両立した化成皮膜を形成することが可能な化成処理用組成物(化成処理液)を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく本発明者らは鋭意検討した。その結果、硫黄化合物に加えて、特定のリン化合物、具体的には有機ホスホン酸化合物を含有させることによって、累積処理面積が増加しても優れた黒色外観と高い耐食性とが両立した化成皮膜を形成することが可能な化成処理用組成物(化成処理液)が得られるとの知見を本発明者らは得た。
上記知見に基づき得られた本発明は、その一態様として、3価クロム含有物質と、コバルト含有物質と、有機物である硫黄化合物と、有機ホスホン酸ならびにそのイオンおよび塩からなる群から選ばれる一種または二種以上からなる有機ホスホン酸化合物とを含むことを特徴とする部材の金属表面上にL値が28未満の黒色皮膜を形成するための化成処理用組成物を提供する。
ここで、「有機ホスホン酸化合物」とは、有機ホスホン酸ならびにそのイオンおよび塩からなる群から選ばれる一種以上からなる化合物を意味し、「有機ホスホン酸」とは、示性式がR−P(=O)(OH)である(Rは有機基)、ホスホン基に有機基が結合したものを意味する。
また、L値とは明度を示す指標であって、ハンター式表色系における明度L値を意味し、JIS Z 8722に基づいた装置による色調測定により計測することができる。
上記の化成処理用組成物において、3価クロム含有物質の含有量がクロム換算で1〜10g/L、コバルト含有物質の含有量がコバルト換算で0.1〜10g/L、硫黄化合物の含有量が0.1〜10g/L、および有機ホスホン酸化合物の含有量が0.1〜20g/Lであることが好ましい。
本発明に係る化成処理用組成物はニッケル含有物質をさらに含有してもよい。すなわち、この化成処理用組成物は、3価クロム含有物質と、コバルト含有物質と、ニッケル含有物質と、硫黄化合物と、有機ホスホン酸化合物とを含む。この化成処理用組成物において、3価クロム含有物質の含有量がクロム換算で1〜10g/L、コバルト含有物質の含有量がコバルト換算で0.1〜10g/L、ニッケル含有物質の含有量がニッケル換算で0.10〜10g/L、硫黄化合物の含有量が0.1〜10g/L、および有機ホスホン酸化合物の含有量が0.1〜20g/Lであることが好ましい。
上記の化成処理用組成物における硫黄化合物が、チオグリコール酸およびジチオジグリコール酸ならびにそのイオンおよび塩からなる群から選ばれる一種以上を含み、前記有機ホスホン酸化合物が、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、2−ホスホブタノン1,2,4−トリカルボン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸およびジエチレントリアミンペンタラメチレンホスホン酸ならびにそのイオンおよび塩からなる群から選ばれる一種以上を含むことが好ましい。
上記の化成処理用組成物における1Lあたりの累積処理面積が1000dmのときに形成された黒色皮膜のL値が28未満であることが好ましく、26以下であることがさらに好ましい。
上記の化成処理用組成物がさらに亜鉛を含む成分を亜鉛イオン換算で15g/L以下で含有し、この化成処理用組成物を用いて亜鉛を含む金属表面に形成された黒色皮膜のL値が28未満であることが好ましく、26以下であることがさらに好ましい。
なお、従来技術に係る化成処理用組成物では、亜鉛イオンの濃度が2g/L以上の場合には黒色外観が得られにくくなる可能性が特に高くなる。
本発明は別の一態様として、上記の化成処理用組成物を調製するための液状組成物を提供する。
かかる液状組成物の一例は、3価クロムを含む成分の含有量がクロム換算で5〜150g/L、前記コバルトを含む成分の含有量がコバルト換算で0.5〜200g/L、硫黄化合物の含有量が5〜200g/L、および有機ホスホン酸化合物の含有量が0.5〜400g/Lからなる群から選ばれる一種または二種以上を含む液状組成物である。
また、上記の液状組成物の他の一例は、3価クロム含有物質の含有量がクロム換算で5〜150g/L、コバルト含有物質の含有量がコバルト換算で0.5〜200g/L、ニッケル含有物質の含有量がニッケル換算で0.50〜200g/L、硫黄化合物の含有量が0.5〜200g/L、ならびに有機ホスホン酸ならびにそのイオンおよび塩からなる群から選ばれる一種以上からなる有機ホスホン酸化合物の含有量が0.5〜400g/Lからなる群から選ばれる一種または二種以上を含む液状組成物である。
本発明は、さらに別の一態様として、上記の化成処理用組成物を部材の金属表面に接触させることにより黒色皮膜をその表面に形成することを特徴とする黒色皮膜を有する部材の製造方法を提供する。
上記の化成処理用組成物に含まれる有機ホスホン酸化合物の含有量を、当該化成処理用組成物における累積処理面積に応じて増加させることが好ましい。
本発明はさらにまた別の一態様として、上記の製造方法により形成された黒色皮膜を有する部材を提供する。
上記の発明に係る化成処理液を用いると、累積処理面積が増加しても外観が良好であってしかも耐食性に優れる黒色皮膜を安定的に形成することが実現される。このため、本発明に係る化成処理液は従来の化成処理液に比べて浴寿命が長い。したがって、廃液の発生量を低減させることが可能となり、黒色皮膜を金属表面に有する部材を生産性高く製造することが可能となる。
I.第1の実施形態
1.化成処理用組成物
本実施形態に係る化成処理用組成物(化成処理液)は、3価クロム含有物質と、コバルト含有物質と、有機物である硫黄化合物と、有機ホスホン酸ならびにそのイオンおよび塩からなる群から選ばれる一種または二種以上からなる有機ホスホン酸化合物とを含み、6価クロムイオンを実質的に含有しない水性の組成物である。
金属表面を有する部材に本実施形態に係る化成処理液を接触させる処理を行うことで、優れた黒色外観および高い耐食性を有する化成皮膜が形成される。しかも、累積処理面積が増えてもその外観は変化しにくいため、建浴から浴の廃棄までの期間、すなわち浴寿命が長い。
また、黒色外観の評価は、JIS Z8722に基づいた装置である市販の測色色差計を用いてL値を測定すればよい。一般には、黒色の外観であると安定的に認識されるためにはL値として28未満であることが求められる。本発明に係る化成処理液から得られる化成皮膜は、累積処理面積が1000dm/LであってもL値を28未満とすることが安定的に実現される。
以下にそれぞれの成分について詳しく説明する。
(1)3価クロム含有物質
本実施形態に係る化成処理液は3価クロム含有物質を備える。3価クロム含有物質は、3価クロムおよびこれを含有する水溶性物質の一種または二種からなる。3価クロム含有物質の原料物質として、水中で3価クロムを生成することが可能な水溶性化合物(以下「水溶性3価クロム化合物」という。)を用いることが好ましい。
水溶性3価クロム化合物を例示すれば、塩化クロム、硫酸クロム、硝酸クロム、リン酸クロム、酢酸クロム等の3価クロム塩の他、クロム酸や重クロム酸塩等の6価クロム化合物を還元剤により3価に還元した化合物が挙げられる。水溶性3価クロム化合物は一種の化合物のみで構成されていてもよいし、複数種類で構成されていてもよい。好ましい水溶性3価クロム化合物の例は、硝酸クロムおよび塩化クロムである。なお、本発明に係る化成処理液に対して6価クロム化合物が原材料として積極的に添加されていないため、本発明に係る化成処理液は6価クロムを実質的に含有していない。
3価クロム含有物質の含有量は、化成皮膜を安定的に形成する観点からクロム換算で1g/L以上とすることが好ましい。3価クロム含有物質の上限は特に限定されないが、高い経済効率の観点や簡便な廃液処理の観点から10g/L程度を上限とすることが好ましい。さらに化成皮膜の形成のしやすさの観点から、3価クロム含有物質の含有量を2〜5g/Lとすることが好ましい。
(2)コバルト含有物質
本実施形態に係る化成処理液は、耐食性を向上させる観点から、コバルト含有物質を備える。コバルト含有物質は、コバルトイオンおよびこれを含有する水溶性物質の一種または二種からなる。コバルト含有物質の原料物質として、水中でコバルトイオンを生成することが可能な水溶性化合物(以下「水溶性コバルト化合物」という。)を用いることが好ましい。
水溶性コバルト化合物を例示すれば、塩化コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト、リン酸コバルト、酢酸コバルトが挙げられる。水溶性コバルト化合物は一種の化合物のみで構成されていてもよいし、複数種類で構成されていてもよい。
コバルト含有物質の含有量は、コバルト換算で0.1g/L以上10g/L以下とすることが好ましい。0.1g/L未満の場合には黒色外観を有する化成皮膜が得られにくくなる場合があり、10g/Lを超えて添加すると耐食性が低下する傾向を示す。好ましいコバルト含有物質の含有量は0.1〜5g/Lであり、0.1〜3g/Lとすれば特に好ましい。
(3)硫黄化合物
本実施形態に係る化成処理液は、硫黄をその構成元素として含む化合物である硫黄化合物を含有する。硫黄化合物には、亜硫酸、その塩、重亜硫酸、およびその塩のほか、−SH(メルカプト基)、−S−(チオエーテル基)、>C=S(チオアルデヒド基、チオケトン基)、−COSH(チオカルボシル基)、−CSSH(ジチオカルボシル基)、−CSNH(チオアミド基)、−SCN(チオシアネート基、イソチオシアネート基)を含む有機物または無機物が例示される。具体的には、チオグリコール酸アンモン、チオグリコール酸、チオマレイン酸、チオアセトアミド、ジチオグリコール酸、ジチオグリコール酸アンモン、ジチオジグリコール酸アンモン、ジチオジグリコール酸、システィン、サッカリン、チアミン硝酸塩、N,N−ジエチル−ジチオカルバミン酸ソーダ、1,3−ジエチル−2−チオ尿素、ジピリジン、N−チアゾール−2−スルファミルアマイド、1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリン−2−チオール、チアゾール、チオ尿素、チオゾール、チオインドキシル酸ソーダ、o−スルホンアミド安息香酸、スルファニル酸、オレンジ−2、メチルオレンジ、ナフチオン酸、ナフタレン-α- スルホン酸、2−メルカプトベンゾチアゾール、1−ナフトール−4−スルホン酸、シェファー酸、サルファダイアジン、ロダンアンモン、ロダンカリ、ロダンソーダ、ロダニン、硫化アンモン、硫化ソーダ、硫酸アンモン、チオグリセリン、チオ酢酸、チオ酢酸カリウム、チオ二酢酸、3,3−チオジプロピオン酸およびチオセミカルバジドが例示される。
これらの硫黄化合物の中でも、チオグリコール酸およびジチオジグリコール酸ならびにそのイオンおよび塩からなる群から選ばれる一種または二種以上を含むことが、優れた黒色皮膜を安定的に得る観点から好ましい。
硫黄化合物は化成皮膜の黒色化を直接的にもたらす成分の一つと考えられ、その含有量は0.1g/L以上10g/L以下とすることが好ましい。0.1g/L未満の場合には皮膜を黒色化させる効果が得られにくく、10g/Lを超えて添加しても皮膜を黒色化させる効果は飽和する。さらに好ましい硫黄化合物の含有量は0.3〜8g/Lであり、0.5〜6g/Lとすれば特に好ましい。
(4)有機ホスホン酸化合物
本実施形態に係る「有機ホスホン酸化合物」とは、有機ホスホン酸ならびにそのイオンおよび塩からなる群から選ばれる一種以上からなる化合物を意味する。ここで、「有機ホスホン酸」とは、示性式がR−P(=O)(OH)であって(Rは有機基)、ホスホン基に有機基が結合したものをいう。有機ホスホン酸として、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン1,2,4−トリカルボン酸、アミノ(トリメチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)およびジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)が例示される。これらの有機ホスホン酸の塩として、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸4ナトリウム塩、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸3ナトリウム塩、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)5ナトリウム塩、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)7ナトリウム塩が例示される。これらの塩は化成処理液中ではナトリウムイオンが乖離している場合が多い。
上記の有機ホスホン酸化合物を含有することにより、累積処理面積が多い化成処理液、いわゆる老化した化成処理液であっても、その化成処理液により得られる化成皮膜の黒色外観が維持される。このため化成処理液の長寿命化が実現される。
その理由は定かでないが、後述する実施例に示されるように、他のリン化合物、例えばオルトリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、亜リン酸、次亜リン酸では有機ホスホン酸化合物のような顕著な黒色外観の劣化抑制効果は認められないことから、他のリン化合物との比較において有機ホスホン酸化合物固有の構造が黒色外観の長期にわたる維持という現象に関与しているものと推測される。具体的には、有機ホスホン酸化合物は、黒色外観をもたらすもしくは促進する成分または黒色外観の発生を抑制する成分と相互作用しやすくなり、この相互作用によって化成皮膜における黒色外観の維持が達成されている可能性がある。
この点に関し、亜鉛系めっき(亜鉛もしくは亜鉛合金めっきまたはこれらが合金化処理されたもの)を備える部材を基材とした場合における累積処理面積が増加した老化液は、化成処理の過程で化成処理液に溶出した亜鉛が液中に蓄積し、1Lあたりの累積処理面積が1000dmのときにはおおむね15g/Lとなる。この化成処理液中の亜鉛濃度の上昇に応じて、換言すれば累積処理面積の増加に応じて有機ホスホン酸化合物の含有量を高めると、黒色外観の劣化が特に効率的に抑制される。このことから、黒色外観の発生を抑制する因子として化成処理液中の亜鉛が予想される。そして、有機ホスホン酸化合物がこの液中亜鉛と化学的な相互作用を起こすことにより、黒色外観の発生を抑制する成分としての亜鉛の働きを阻害している可能性がある。
その一方で、高いキレート作用を有しているEDTA2ナトリウム塩を含有させても有機ホスホン化合物のような黒色外観を維持する効果は得られない。したがって、有機ホスホン化合物は単なるキレート剤として作用しているのではないことも示唆される。
有機ホスホン酸化合物の含有量は0.1g/L以上20g/L以下とすることが好ましい。0.1g/L未満の場合には累積処理面積が増加したときに黒色皮膜を安定的に形成する効果が得られにくくなることが懸念される。一方、20g/Lを超えて過剰に添加しても上記効果は飽和し、有機ホスホン酸化合物の種類によっては副次的な作用によって不利益(例えば浴の安定性の低下、黒色外観の発生を抑制する成分となること)を生じることも懸念される。黒色皮膜の外観の安定および生産性を両立させる観点から、有機ホスホン酸化合物の含有量は0.2〜15g/Lとすることがさらに好ましく、0.3〜10g/Lとすれば特に好ましい。
また、上記のように化成処理の累積処理面積が増えるにつれて有機ホスホン酸化合物の含有量を増加させてもよい。その増加の割合は化成処理液の組成などに依存するため確定的には決定できない。一例として、建浴時に0.3g/Lとし、1Lあたりの累積処理面積が50dmとなった段階で1.5g/L、1Lあたりの累積処理面積が1000dmとなった段階で4g/Lとすることが挙げられる。
優れた黒色外観と高い耐食性とを兼ね備える観点から、硫黄化合物の含有量の有機ホスホン酸化合物の含有量に対する比(以下、「S/P比」という。)は0.1〜10程度であることが好ましく、0.3〜6であればさらに好ましい。
(5)その他の成分
本実施形態に係る化成処理液は、上記の物質に加え、金属イオン、有機酸およびその陰イオン、無機酸およびその陰イオン、無機コロイド、シランカップリング剤、窒素化合物ならびにフッ素化合物からなる群から選ばれる一種または二種以上を含んでもよい。また、ワックスなどポリマー、腐食抑制剤、ジオール、トリオール、アミンなどの界面活性剤、可塑性分散、染料、顔料、金属色素生成剤などの色素生成剤、乾燥剤および分散剤からなる群から選ばれる一種または二種以上の材料をさらに含有していてもよい。さらに、ポリフェノールのような6価クロムイオン溶出量を抑制することが可能な物質を同時に添加してもよい。
金属イオンとしては、Ni、Na、K、Ag、Au、Ru、Nb、Ta、Pt、Pd、Fe、Ca、Mg、Zr、Sc、Ti、V、Mn、Cu、Zn、Sn、Y、Nb、Mo、Hf、TeおよびWのイオンが例示され、タングステン酸イオンのように酸素酸イオンの形で存在していてもよい。これらの中でもNiおよび/またはTeを含有することが好ましい。
なお、化成処理される部材の表面が亜鉛系材料からなる場合には、累積処理面積の増加に伴い、化成処理液中に亜鉛を含む水溶性物質(具体的には亜鉛イオンやその錯体などが例示される。)が蓄積される。一般に、化成処理液中の亜鉛を含む水溶性物質の亜鉛換算濃度(本発明において、「亜鉛濃度」と略記する。)が高まると、化成皮膜における黒色外観を維持することが困難となる。ところが、本実施形態に係る化成処理液は、この亜鉛濃度が15g/Lの場合であっても、優れた黒色外観を得ることが可能である。したがって、本実施形態に係る化成処理液は亜鉛濃度が15g/L以下となる範囲で亜鉛を含む水溶性物質を含有してもよい。
有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のモノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸;トリカルバミル酸等のトリカルボン酸;グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等のヒドロキシカルボン酸;およびグリシン、アラニン等のアミノカルボン酸が例示される。好ましい有機酸はシュウ酸、マロン酸などの分子量が比較的小さいジカルボン酸である。
無機酸としては、塩化水素酸、フッ化水素酸、臭化水素酸などのハロゲン化水素酸、塩素酸、過塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、および亜硝酸が例示され、リン酸(オルトリン酸)、ポリリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、ウルトラリン酸、次亜リン酸、過リン酸のようなリンを含有する無機酸を含有していていもよい。
これらの酸および/または酸イオンの化成処理液中濃度は、特に限定されない。一般的には、3価クロムイオンおよび上記の金属イオンの合計モル濃度に対するこれらの合計モル濃度の比率として、0.1〜10であり、好ましくは、0.5〜3である。
無機コロイドとして、シリカゾル、アルミナゾル、チタンゾル、ジルコニアゾルが例示され、シランカップリング剤として、ビニルトリエトキシシランおよびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが例示される。
窒素化合物には、ピロールなどの複素環式化合物、尿素類、脂肪族アミン、酸アミド、アミノカルボン酸、アンモニウム塩尿素、アミン類、ニトロベンゼンスルホン酸などの有機窒素化合物、および尿素、アンモニウム塩、硝酸塩などの窒素化合物が例示され、これらの好ましい含有量は0.5〜50g/Lである。
(6)溶媒、pH
本実施形態に係る化成処理液の溶媒は水を主体とし、含有させた成分、特に有機ホスホン酸化合物の溶解度を高める観点から、アルコール、エーテル、エステルなど水に対して可溶な有機溶媒を混在させてもよい。有機溶媒の全溶媒に対する比率は特に限定されないが、排水処理のしやすさの観点などから、10質量%以下とすることが好ましい。
また、本実施形態に係る化成処理液のpHは酸性であれば特に限定されないが、1〜4.5の範囲が好ましく、2〜3とすれば液の安定性の観点から特に好ましい。pHの調整は水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニアなどのアルカリ性物質や、硫酸、硝酸、塩酸などの酸性物質を用いて行えばよい。
(7)処理方法、処理条件
本実施形態に係る化成処理液を用いた黒色皮膜を有する部材の製造方法は次のとおりである。まず、金属表面を有する部材と本実施形態に係る化成処理液とを接触させる。
その接触方法は特に限定されない。金属表面を有する部材を本実施形態に係る化成処理液に浸漬させたり、その部材に化成処理液をスプレー噴霧させたりすればよい。
また、その接触処理の処理条件は、化成処理液の組成や化成皮膜に求められる特性によって変化するため、確定的には規定することはできない。処理条件が過度に緩やかである(液温が低いおよび/または接触時間が短い)場合には化成皮膜の形成が不十分となる。処理条件が過度に厳しい(液温が高いおよび/または接触時間が長い)場合には、化成皮膜の形成が飽和するだけでなく、副生成物が生成して、これが液寿命を縮めたり化成皮膜に取り込まれたりすることが懸念される。これらを考慮して適切な条件を適宜設定すればよい。一般的には、化成処理液の温度は15〜60℃の範囲で使用され、接触時間は液温に依存するがおおむね5〜60秒間である。
次に、化成処理液と接触した部材を洗浄し、さらに乾燥させることにより金属表面上に黒色皮膜が形成された部材が得られる。洗浄条件や乾燥条件は一般的な化成処理におけるこれらの条件と同じである。
2.化成処理液を調製するための液状組成物
上記の化成処理液の主要成分が5から20倍程度に濃縮された組成を有する水性の液状組成物(以下、「化成処理用濃厚液」という。)を用意すれば、各成分の含有量を個別に調製する手間が省ける上に、保管が容易であるから、好ましい。この化成処理用濃厚液を調製する場合には、上記の各成分の溶解度も考慮してその含有量に上限が設定される。具体的には、3価クロムイオンの含有量が5〜150g/L、コバルトイオンの含有量が0.5〜200g/L、前記硫黄化合物の含有量が0.5〜200g/L、および前記有機ホスホン酸化合物の含有量が0.5〜400g/Lからなる群から選ばれる一種または二種以上を含む組成物を準備すれば、適切な調製工程によって、3価クロムイオンの含有量が1〜10g/L、コバルトイオンの含有量が0.1〜10g/L、前記硫黄化合物の含有量が0.1〜10g/L、および前記有機ホスホン酸化合物の含有量が0.1〜20g/Lとなる上記の本実施形態に係る化成処理液を容易に得ることが実現される。化成処理用濃厚液が一種からなる場合(すなわち、上記成分の全ておよび必要に応じて添加される他の成分の全てを有する場合)には、調整工程とは、所定の溶媒(通常は水)を用いて適切な倍率(例えば5倍以上)で希釈する工程である。化成処理用濃厚液が二種以上からなる場合には、これらの組成物をそれぞれ所定の溶媒を用いて適切な倍率で希釈し各希釈液を混合する工程または所定量の溶媒に各組成物を添加して希釈する工程が調整工程となる。
3.化成処理が行われる部材
本実施形態に係る化成処理が行われる部材は、本実施形態に係る黒色皮膜を形成できる金属表面を有する素材から構成されていれば特に制限されない。好ましい表面材料は亜鉛系金属であり、素材としては、亜鉛系のめっきが施された鋼板が特に好ましい。この亜鉛系めっきの組成は、純亜鉛でもよいし、例えばアルミニウムを含有する亜鉛合金でもよい。めっき方法は電気めっきでも溶融めっきでもよく、溶融めっきの場合には合金化処理がめっき後に施されてもよい。
なお、上記の部材を本実施形態に係る化成処理液により処理して化成皮膜を形成したあとに、耐食性や耐疵付き性を高めるための仕上げ剤による処理を行ったりしてもよい。
II.第2の実施形態
本発明は、第2の実施形態として、3価クロム含有物質と、コバルト含有物質と、ニッケル含有物質と、有機物である硫黄化合物と、有機ホスホン酸ならびにそのイオンおよび塩からなる群から選ばれる一種または二種以上からなる有機ホスホン酸化合物とを含む化成処理用組成物を、部材の金属表面上に黒色皮膜を形成するための組成物として提供する。
3価クロム含有物質、コバルト含有物質、硫黄化合物、および有機ホスホン酸化合物の定義は、第1の実施形態において定義されたものと同じであるから、説明を省略する。
本実施形態に係る化成処理液は、耐食性を向上させる観点から、ニッケル含有物質を備える。ニッケル含有物質は、ニッケルイオンおよびこれを含有する水溶性物質の一種または二種からなる。ニッケル含有物質の原料物質として、水中でニッケルイオンを生成することが可能な水溶性化合物(以下「水溶性ニッケル化合物」という。)を用いることが好ましい。
水溶性ニッケル化合物を例示すれば、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、リン酸ニッケル、酢酸ニッケルが挙げられる。水溶性ニッケル化合物は一種の化合物のみで構成されていてもよいし、複数種類で構成されていてもよい。
ニッケル含有物質の含有量は、ニッケル換算で0.10g/L以上10g/L以下とすることが好ましい。0.10g/L未満の場合には外観を黒色化する効果が得られにくくなる場合があり、10g/Lを超えて添加すると耐食性の低下が懸念される。さらに好ましいニッケル含有物質の含有量は1〜6g/Lであり、1〜3g/Lとすれば特に好ましい。
なお、3価クロム含有物質、硫黄化合物、および有機ホスホン酸の好ましい含有量は、第1の実施形態の場合と同じであるから、説明を省略する。コバルト含有化合物の好ましい含有量も第1の実施形態の場合と同じであるが、ニッケルとコバルトとは同様の作用を有するため、ニッケル含有物質のニッケル換算含有量とコバルト含有物質のコバルト換算含有量との和が0.50〜20g/Lであるときには良好な黒色外観が得られるため、好ましい。
ただし、第2の実施形態に係る化成処理液では、S/P比(硫黄化合物の含有量の有機ホスホン酸化合物の含有量に対する比)は0.05〜2程度とすることが好ましく、0.1〜1.2程度とすればさらに好ましい。このように、第1の実施形態に係る化成処理液に比べて第2の実施形態に係る化成処理液におけるS/P比は低いことが好ましい。
第2の実施形態に係る化成処理液が上記の物質に加えて含有していてもよい物質、その溶媒、pH、処理方法・条件、および化成処理が行われる部材については、第1の実施形態と同様であるから説明を省略する。
また、第1の実施形態と同様に、第2の実施形態に係る化成処理液についても、化成処理用濃厚液を容易することが好ましい。その化成処理用濃厚液を例示的に示せば、3価クロム含有物質の含有量がクロム換算で5〜150g/L、コバルト含有物質の含有量がコバルト換算で0.5〜200g/L、ニッケル含有物質の含有量がニッケル換算で0.50〜200g/L、硫黄化合物の含有量が0.5〜200g/L、ならびに有機ホスホン酸ならびにそのイオンおよび塩からなる群から選ばれる一種以上からなる有機ホスホン酸化合物の含有量が0.5〜400g/Lからなる群から選ばれる一種または二種以上を含む液状組成物である。
以下、本発明の効果を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
黒色皮膜を形成しうる化成処理液に対して有機ホスホン酸化合物を含むリン含有化合物またはキレート機能を有する有機化合物を含有させたものを用いて化成処理を行い、それらの化成処理液による累積処理面積を増加させたときの黒色皮膜の外観変化を測定した。
(1)試験部材の準備
以下に試験部材の準備について具体的に説明する。
まず、表1から6に示される組成を有する化成処理液を、硝酸および水酸化ナトリウムを用いて、そのpHが2.2になるように調製した。なお、本実施例において用いた水溶性3価クロム化合物は硝酸クロム、塩化クロム、硫酸クロムまたは酢酸クロムであり、水溶性コバルト化合物は硝酸コバルト6水和物であり、水溶性ニッケル化合物は硫酸ニッケル6水和物であった。表中のCr、CoおよびNiの列に示される数値は、それぞれ、上記の化合物についてのクロム換算の含有量、コバルト換算の含有量およびニッケル換算の含有量である。
Figure 0004840790
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なお、表1から6におけるCr供給源の「硝酸」とは硝酸クロム、「塩化」とは塩化クロム、「硫酸」とは硫酸クロム、「酢酸」とは酢酸クロムを意味する。表4および5におけるCr供給源は全て硝酸クロムである。
続いて、常法に従って電気亜鉛めっきが施された鋼板(5cm×10cm×t1mm、表面積1dm)に対して公知のアルカリ脱脂洗浄を行い、水洗後、硝酸浸漬(67.5%硝酸3ml/L、液温は常温、浸漬時間10秒間)を行うことで表面を活性化させた。この試験部材をさらに常温で10秒間水洗した後、表1から5の組成を有し35℃に維持された化成処理液に45秒間浸漬させた。処理液から引き上げた試験部材を、水洗(常温、10秒間)後、80±10℃で10分間乾燥させた。
以上の化成処理を含む表面処理を多数の鋼板に対して行い、建浴直後の最初の化成処理により得られた試験部材、1Lあたりの累積処理面積が50dmとなったときの化成処理により得られた試験部材、および1Lあたりの累積処理面積が1000dmとなったときの化成処理により得られた試験部材を評価用の試験部材とした。なお、1Lあたりの累積処理面積が50dmとなったときの化成処理液に含まれる亜鉛イオン濃度は約2g/Lであり、1Lあたりの累積処理面積が1000dmとなったときの化成処理液に含まれる亜鉛イオン濃度は約15g/Lであった。
また、一部の試験(試験No.21および34)については、1Lあたりの累積処理面積に応じて有機ホスホン酸化合物の含有量を変化させながら鋼板の化成処理を行った。試験No.21を例として具体的に説明すれば、建浴時に0.3g/Lとし、1Lあたりの累積処理面積が50dmとなった段階で1.5g/L、1Lあたりの累積処理面積が1000dmとなった段階で4g/Lである。
(2)評価方法
A)色調
上記の抜き取った評価用の試験部材について、測色色差計(日本電色工業(株)製 Color meter ZE6000)を用いて、反射モードのL値(明度)を測定することで、黒色皮膜の黒さについて評価を行った。判定基準は次のとおりである。
◎(優):1Lあたりの累積処理面積が1000dmのときのL値が20以下
○(良):1Lあたりの累積処理面積が1000dmのときのL値が20超26以下
△(可):1Lあたりの累積処理面積が1000dmのときのL値が26超28未満
×(不良):1Lあたりの累積処理面積が1000dmのときのL値が28以上
なお、L値が20以下の場合には、漆黒(真っ黒)であると一般的には認識され、逆にL値が30以上の場合には、もはや黒色とは認識されず灰色と認識されることが多い。
B)耐食性
一部の試験片については、JIS Z2371に準拠して塩水噴霧試験を行った。24時間ごとに目視で白錆の発生の有無を確認し、目視で白錆面積率が全体の5%に達したと判断したときに、その試験部材の累積塩水噴霧時間を白錆発生時間として、その試験部材の耐食性の指標とした。
(3)評価結果
評価結果を表7および8に示す。
Figure 0004840790
Figure 0004840790

Claims (12)

  1. 3価クロム含有物質と、コバルト含有物質と、有機物である硫黄化合物と、有機ホスホン酸ならびにそのイオンおよび塩からなる群から選ばれる一種または二種以上からなる有機ホスホン酸化合物とを含むことを特徴とする部材の金属表面上にL値が28未満の黒色皮膜を形成するための化成処理用組成物。
  2. 前記3価クロム含有物質の含有量がクロム換算で1〜10g/L、前記コバルト含有物質の含有量がコバルト換算で0.1〜10g/L、前記硫黄化合物の含有量が0.1〜10g/L、および前記有機ホスホン酸化合物の含有量が0.1〜20g/Lである請求項1記載の化成処理用組成物。
  3. ニッケル含有物質をさらに含有する請求項1記載の化成処理用組成物。
  4. 前記3価クロム含有物質の含有量がクロム換算で1〜10g/L、前記コバルト含有物質の含有量がコバルト換算で0.1〜10g/L、前記ニッケル含有物質の含有量がニッケル換算で0.10〜10g/L、前記硫黄化合物の含有量が0.1〜10g/L、および前記有機ホスホン酸化合物の含有量が0.1〜20g/Lである請求項3記載の化成処理用組成物。
  5. 前記硫黄化合物が、チオグリコール酸およびジチオジグリコール酸ならびにそれらのイオンおよび塩からなる群から選ばれる一種または二種以上を含み、
    前記有機ホスホン酸化合物が、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン1,2,4−トリカルボン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸およびジエチレントリアミンペンタラメチレンホスホン酸ならびにそのイオンおよび塩からなる群から選ばれる一種または二種以上を含む請求項1から4のいずれかに記載の化成処理用組成物。
  6. 前記化成処理用組成物における1Lあたりの累積処理面積が1000dmのときに形成された黒色皮膜のL値が28未満である、請求項1から5のいずれかに記載の化成処理用組成物。
  7. 前記化成処理用組成物がさらに亜鉛を含む水溶性物質を亜鉛換算で15g/L以下で含有し、当該化成処理用組成物を用いて亜鉛を含む金属表面に形成された黒色皮膜のL値が28未満である、請求項1から6のいずれかに記載の化成処理用組成物。
  8. 請求項2に記載される化成処理のための組成物を調製するための液状組成物であって、3価クロム含有物質の含有量がクロム換算で5〜150g/L、コバルト含有物質の含有量がコバルト換算で0.5〜200g/L、硫黄化合物の含有量が0.5〜200g/L、ならびに有機ホスホン酸ならびにそのイオンおよび塩からなる群から選ばれる一種以上からなる有機ホスホン酸化合物の含有量が0.5〜400g/Lからなる群から選ばれる一種または二種以上を含むことを特徴とする液状組成物。
  9. 請求項4に記載される化成処理のための組成物を調製するための液状組成物であって、3価クロム含有物質の含有量がクロム換算で5〜150g/L、コバルト含有物質の含有量がコバルト換算で0.5〜200g/L、ニッケル含有物質の含有量がニッケル換算で0.50〜200g/L、硫黄化合物の含有量が0.5〜200g/L、ならびに有機ホスホン酸ならびにそのイオンおよび塩からなる群から選ばれる一種以上からなる有機ホスホン酸化合物の含有量が0.5〜400g/Lからなる群から選ばれる一種または二種以上を含むことを特徴とする液状組成物。
  10. 請求項1から7のいずれかに記載の化成処理用組成物を部材の金属表面に接触させることにより黒色皮膜を前記部材の表面に形成することを特徴とする黒色皮膜を有する部材の製造方法。
  11. 前記化成処理用組成物に含まれる有機ホスホン酸化合物の含有量を、当該化成処理用組成物における累積処理面積に応じて増加させる、請求項10記載の黒色皮膜を有する部材の製造方法。
  12. 請求項10または11に記載される製造方法により形成された黒色皮膜を有する部材。
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