JPH06173025A - 黒色皮膜形成用金属表面処理水系組成物 - Google Patents

黒色皮膜形成用金属表面処理水系組成物

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JPH06173025A
JPH06173025A JP35002992A JP35002992A JPH06173025A JP H06173025 A JPH06173025 A JP H06173025A JP 35002992 A JP35002992 A JP 35002992A JP 35002992 A JP35002992 A JP 35002992A JP H06173025 A JPH06173025 A JP H06173025A
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JP
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surfactant
monomer
carbon black
acrylic polymer
film
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Rikuo Ogino
陸雄 荻野
Yasuhiro Okano
泰裕 岡野
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Original Assignee
Nihon Parkerizing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 黒色皮膜形成用金属表面処理水系組成物及び
黒色皮膜形成方法の提供。 【構成】 ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン
ブロックポリマー系界面活性剤を含有するノニオン性界
面活性剤でカーボンブラックを水に分散したカーボンブ
ラック分散液と、無機化合物として6価クロムイオンと
3価クロムイオンと、有機化合物としてアクリル系重合
体エマルジョンとを含有し、かつpH3以下である黒色
皮膜形成用金属表面処理水系組成物及び黒色皮膜形成方
法。 【効果】 金属表面に優れた黒色度、耐食性、加工性、
スポット溶接性及び経済性を同時に満足する皮膜を形成
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属表面、特に亜鉛系メ
ッキ鋼板(電気亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛ニッケル合金
メッキ鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、溶融亜鉛アルミ合金
メッキ鋼板、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板)、アルミニウ
ム、鋼などの素材が帯状、板状、線状、棒状あるいは函
状等の時点で、その表面に同時に黒色皮膜処理、クロメ
ート処理、有機樹脂コーティング処理、およびスポット
溶接可能な皮膜形成用金属表面処理水系組成物及び黒色
皮膜形成方法に関する。
【0002】
【従来技術】最近、家庭用電気器具、音響機器、光学機
器等に、外観上の付加価値や意匠性付与等の目的で、黒
色皮膜処理を施した鋼板が使用されるようになりつつあ
る。鋼板を黒色化処理する方法としては、従来よりのP
CM鋼板の製造法と同一法である、いわゆる黒色塗装に
よる方法があるが、塗装による方法はスポット溶接性が
劣るという欠点を有する。一方、塗装によらない黒色処
理として近年各種金属イオンを含有する水溶液中で電解
する方法が多数考案されている。これらの従来技術とし
て具体的に例を挙げると、特開昭63−59377号公
報は亜鉛系電気メッキ鋼板の表面を予め化学的に黒色化
処理を施した上に樹脂固形分100重量部に対しカーボ
ンブラックを1〜12重量部添加した樹脂を0.2〜3
μmの膜厚で塗膜処理する方法が開示されているが、該
方法は黒色樹脂組成物の単独処理の場合防食性に対する
配慮がなされていないため亜鉛系メッキ鋼板に特有の白
錆発生が抑制できないという問題点と、耐白錆性向上の
ため前工程でクロメート皮膜を処理する場合2工程を要
するため経済的でなく、またスポット溶接性も不十分で
あるという欠点を有している。
【0003】特開昭63−157898号公報には亜鉛
系合金メッキ鋼板をAlイオンを添加した電解液を用
い、陽極で電解することにより黒色処理鋼板を製造する
方法が開示されている。特開平1−147093号公報
には特定量のNiを含有す亜鉛・ニッケル合金メッキ鋼
板を、硝酸イオンを含有する処理液中で陰極処理時間と
陽極処理時間および陰極電流密度と陽極電流密度のそれ
ぞれを特定の比率とし、且つ交番電解する方法が開示さ
れている。特開平1−255688号公報には硫酸塩と
特定量の過酸化水素を含有する中性または酸性水溶液
か、該水溶液に有機系金属イオン溶出抑制剤を添加した
水溶液のいずれかでNiを5%以上含有する亜鉛・ニッ
ケル合金メッキ鋼板を陽極処理する方法が開示されてい
る。上記方法はその何れもが基本的に亜鉛系合金メッキ
鋼板表面を陽極酸化により、メッキ皮膜中の亜鉛以外の
合金成分を選択的に濃化することにより黒色皮膜を形成
する方法に関するものであり、したがって本質的に亜鉛
より電位的に貴な金属が表面層に濃化されるものである
ため亜鉛の持つ犠牲防食作用が損なわれ耐食性が不足す
るという欠点を有していると共に比較的高電流密度を必
要とし経済的でない。
【0004】上記方法の欠点である耐食性を高める方法
として、特開平1−279792および特開平1−27
9793号公報は亜鉛・ニッケル合金メッキ鋼板の表面
の亜鉛を電解法により選択的に溶解することにより黒色
層を形成した後に該黒色層の上層にクロメート皮膜処理
を行うか、または樹脂および硅酸ゾルを主成分とする皮
膜を形成する方法が開示されている。しかしこの方法は
黒色化処理と耐食性を高めるためのクロメート処理もし
くは樹脂ないし硅酸ゾル処理を行う工程の2つの工程を
必要とし製造設備上の不経済は否めない。
【0005】陽極電解酸化によらない方法として、特開
昭64−31982、特開平1−255675が有る。
特開平64−31982号公報はメッキ層の少なくとも
最上層が200℃以上の加熱合金化処理によって形成し
たNi含有率10〜70%のNi−Zn合金層、または
Sn含有率2〜50%のNi−Zn−Sn合金層を有す
るメッキ鋼板を、硫酸、または硫酸を主体として硝酸塩
等の酸化剤を添加した酸溶液中で酸溶解処理することに
より黒色メッキ鋼板とすることが開示されている。ま
た、特開平1−255675号公報はNiを5%以上含
有するZn−Ni合金メッキ鋼板を1〜20%のリン酸
および0.5〜10%の過酸化水素を添加したpH3以
下の酸性水溶液または該水溶液に更に有機系金属イオン
溶出抑制剤を添加した水溶液に浸漬処理することにより
黒色皮膜を形成する方法が開示されている。上記に開示
された方法はその何れもが合金メッキ表面の酸によるエ
ッチングによるものであり防食性能は非常に不満足なも
のである。
【0006】陰極電解フラッシュ処理の範中に分類され
る方法としては、例えば特開昭63−65086、特開
昭63−109188、特開平1−195286号公報
に開示された方法がある。特開昭63−65086号公
報はZn2+およびFe2+、Co2+、Ni2+、Cr3+の1
種以上と酸化性イオンおよび縮合リン酸化合物を主成分
とする酸性水溶液中で陰極電解することによりZnおよ
びFe,Co,Ni,Crの1種以上からなる酸化物と
リン酸塩を主成分とする黒色皮膜を形成しガードコート
を有することを特徴とする黒色表面処理鋼板を開示して
いる。特開昭63−109188号公報にはZnおよび
Niイオンを含みpHが5.3〜5.8の浴中で鋼板表
面を陰極処理する方法が開示されている。特開平1−1
95286号公報はZn2+およびFe2+、Co2+、Ni
2+、Cr3+の1種以上と酸化性イオンおよびチオ化合物
を主成分とする酸性溶液中で鋼板もしくはメッキ鋼板を
陰極として電解した後ガードコートを被覆する黒色処理
鋼板の製造方法が開示されている。上記に開示された方
法はその何れも耐食性能を付与するため通常知られると
ころのクロメート処理ないしシーリング処理を必要とし
製造工程が増加するという欠点を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上に概説した通り、
従来技術では黒色皮膜処理に電解もしくは合金メッキ層
中の特定金属を選択的にエッチングすることにより黒色
皮膜を形成し、更に黒色皮膜自身が耐食性を有しない為
に、別工程による防食処理を施す必要があり、そのため
必然的に製造工程が増加し製造上の不利益が免れ得ない
欠点を有していた。本発明はかかる製造工程上の不利益
を解消し、更に、対象となる素材金属表面の選択性が無
く、一般に使用されている亜鉛系メッキ鋼板(電気亜鉛
メッキ鋼板、電気亜鉛ニッケル合金メッキ鋼板、溶融亜
鉛メッキ鋼板、溶融亜鉛アルミ合金メッキ鋼板、合金化
溶融亜鉛メッキ鋼板)、アルミニウム、鋼などの素材が
帯状、板状、線状、棒状あるいは函状等の時点で、その
表面に処理を行うことにより、その表面に同時に黒色皮
膜処理、クロメート処理、および有機樹脂コーティング
処理を施す新規な皮膜形成用組成物および皮膜形成方法
を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、優れた黒
色度、耐食性、加工性、スポット溶接性および経済性を
同時に満足するために鋭意研究を重ねた結果、本発明即
ち、カーボンブラックを予めポリオキシエチレンーポリ
オキシプロピレンブロックポリマー系界面活性剤を用
い、水に特定の濃度で分散したカーボンブラック分散液
と、無機化合物と、ある特定のモノマー組成において、
エマルジョン製造時における乳化剤としてポリオキシエ
チレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー系界面
活性剤を含有するノニオン性界面活性剤を使用した有機
化合物とを含有し、pH1〜3である水系組成物を塗布
した後に水洗することなく乾燥することにより金属表面
へ、同時に黒色皮膜処理、クロメート処理、有機樹脂コ
ーティング処理、およびスポット溶接可能な皮膜形成用
組成物及びその形成方法を完成するに至った。
【0009】即ち本発明はポリオキシエチレン−ポリオ
キシプロピレンブロックポリマー系界面活性剤を含有す
るノニオン性界面活性剤でカーボンブラックを水に分散
したカーボンブラック分散液と、無機化合物として6価
クロムイオンと3価クロムイオンと、有機化合物として
下記(1)〜(3)に示したアクリル系重合体エマルジ
ョンとを含有し、かつpH3以下である黒色皮膜形成用
金属表面処理水系組成物。 (1):エチレン系不飽和カルボン酸単量体、 (2):(イ)少なくとも1個のN−置換メチロール基
を含有する(メタ)アクリルアミドとその誘導体、
(ロ)アシッドホスホオキシアルキル(メタ)アクリレ
ート、及び(ハ)アルコキシアルキル(メタ)アクリレ
ートから選ばれる1又は2以上の単量体、及び (3):(1)及び(2)の(イ)と(ロ)を除くアク
リル系単量体と(2)の(ハ)とから選ばれる1又は2
以上を含有する、又は、これらと共重合性を有する単量
体をさらに含有する骨格用単量体 からなる単量体を、ポリオキシエチレン−ポリオキシプ
ロピレンブロックポリマー系界面活性剤を含有するノニ
オン性界面活性剤、又はポリオキシエチレン−ポリオキ
シプロピレンブロックポリマー系界面活性剤を含有する
ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを用い
て乳化重合して得たアクリル系重合体エマルジョンを提
供する。
【0010】また、本発明はポリオキシエチレン−ポリ
オキシプロピレンブロックポリマー系界面活性剤を含有
するノニオン性界面活性剤でカーボンブラックを水に分
散したカーボンブラック分散液と、無機化合物として6
価クロムイオンと3価クロムイオンと、有機化合物とし
て下記(1)〜(3)に示したアクリル系重合体エマル
ジョンとを含有し、かつpH3以下である黒色皮膜形成
用水系組成物を金属表面に塗布した後、水洗することな
く乾燥し、該アクリル重合体として膜厚0.5〜3.0
μの黒色皮膜を形成することを特徴とする金属表面への
黒色皮膜形成方法 。 (1):エチレン系不飽和カルボン酸単量体、 (2):(イ)少なくとも1個のN−置換メチロール基
を含有する(メタ)アクリルアミドとその誘導体、
(ロ)アシッドホスホオキシアルキル(メタ)アクリレ
ート、及び(ハ)アルコキシアルキル(メタ)アクリレ
ートから選ばれる1又は2以上の単量体、及び (3):(1)及び(2)の(イ)と(ロ)を除くアク
リル系単量体と(2)の(ハ)とから選ばれる1又は2
以上を含有する、又は、これらと共重合性を有する単量
体をさらに含有する骨格用単量体 からなる単量体を、ポリオキシエチレン−ポリオキシプ
ロピレンブロックポリマー系界面活性剤を含有するノニ
オン性界面活性剤、又はポリオキシエチレン−ポリオキ
シプロピレンブロックポリマー系界面活性剤を含有する
ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを用い
て乳化重合して得たアクリル系重合体エマルジョンをも
提供する。
【0011】以下本発明の構成を詳述する。本発明にお
ける特に重要な構成要素であるカーボンブラック分散液
について説明する。カーボンブラックは、通常その粒子
の表面に極性基を有していないが、有するとしてもその
数は非常に少ない。そのためにカーボンブラック粒子の
表面は疎水性が強く、通常、水には分散し難い性質を有
している。そこで、カーボンブラックの水分散液を得る
ために界面活性剤の添加が行われているが、通常のノニ
オン系の界面活性剤では親水基の極性が弱いために十分
なカーボンブラックの分散安定性を得ることができな
い。そこで、例えばナフタレンスルホン酸のナトリウム
塩ないし縮合ナフタレンスルホン酸のナトリウム塩等、
極性の強いアニオン性界面活性剤を多量に使用して水に
分散するのが通例である。ところが、この様なアニオン
性界面活性剤を使用したカーボンブラック分散液は、親
水性基であるスルホン酸基が多価のカチオンとの塩を形
成し、界面活性剤の親水性が非常に弱まるためカーボン
ブラック分散液の分散安定性が損なわれる。この様なカ
ーボンブラック分散液を本発明に適用した場合に、本発
明の構成要素である3価クロムイオンが多価カチオンで
あるために、当然3価クロムイオンと界面活性剤中に含
まれるスルホン酸基との塩を形成し、したがってカーボ
ンブラックの分散安定性が損なわれ均一な黒色外観が得
られない。
【0012】この様なカーボンブラック分散液の有する
問題点を解決するために、本発明者らは鋭意検討を重ね
た結果、ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブ
ロックポリマー系界面活性剤を分散剤として使用して得
られるカーボンブラック分散液のみが、本発明の目的で
ある金属の表面を同時にクローメート処理、有機樹脂コ
ーティング処理、黒色処理を施す皮膜形成をするのに好
適なものであることを見いだし本発明を完成するに至っ
た。
【0013】ここで使用するカーボンブラックとポリオ
キシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー
系界面活性剤の比率については特に限定するものではな
いが、カーボンブラック分散液を安定に保つ必要最低量
とすることが経済的で好ましい。具体的にはカーボンブ
ラック/活性剤の重量比で20/1〜20/15、より
好ましくは20/3〜20/10である。この様にして
水に均一に分散したカーボンブラック分散液の本発明に
おける混合比は特に限定するものではないが、好ましく
は不揮発分中のアクリル系重合体/カーボンブラックの
重量比で99/1〜60/40とすることが好ましい。
アクリル系重合体/カーボンブラックの重量比が99/
1超ではカーボンブラックの皮膜中の含有量が少なく十
分な黒色皮膜が得られらい。またアクリル系重合体/カ
ーボンブラックの重量比が60/40未満ではアクリル
重合体の皮膜中の含有量が少なくなり、皮膜の金属表面
への密着性が不足し好ましくない。
【0014】本発明に使用されるアクリル系重合体エマ
ルジョンとは、 (1):エチレン系不飽和カルボン酸単量体、 (2):(イ)少なくとも1個のN−置換メチロール基
を含有する(メタ)アクリルアミドとその誘導体、
(ロ)アシッドホスホオキシアルキル(メタ)アクリレ
ート、及び(ハ)アルコキシアルキル(メタ)アクリレ
ートから選ばれる1又は2以上の単量体、及び (3):(1)及び(2)の(イ)と(ロ)を除くアク
リル系単量体と(2)の(ハ)とから選ばれる1又は2
以上を含有する、又は、これらと共重合性を有する単量
体をさらに含有する骨格用単量体 からなる単量体を、ポリオキシエチレン−ポリオキシプ
ロピレンブロックポリマー系界面活性剤を含有するノニ
オン性界面活性剤、又はポリオキシエチレン−ポリオキ
シプロピレンブロックポリマー系界面活性剤を含有する
ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを用い
て乳化重合して得たアクリル系重合体エマルジョンであ
る。
【0015】該アクリル系重合体エマルジョンを構成す
る各群の単量体について以下に説明する。(1)のエチ
レン系不飽和カルボン酸単量体とは、不飽和モノまたは
ジカルボン酸を指す。エチレン系不飽和カルボン酸モノ
マーは、主として金属に対する密着性に寄与するカルボ
キシル基の供給源である。エチレン系不飽和カルボン酸
モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、
イタコン酸、マレイン酸あるいはフマール酸など、およ
びこれらのハーフエステルを含む。(2)の(イ)の少
なくとも1個のN−置換メチロール基を含有する(メ
タ)アクリルアミドとその誘導体は、N−メチロールア
クリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−
ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメ
タクリルアミド等を含む。(2)の(ロ)のアシッドホ
スホキシアルキルアクリレートは、アシッドホスホキシ
メチルアクリレート、アシッドホスホキシエチルアクリ
レート、アシッドホスホキシプロピルアクリレート、ア
シッドホスホキシメチルメタクリレート、アシッドホス
ホキシエチルメタクリレート、アシッドホスホキシプロ
ピルメタクリレート等を含む。(2)の(ハ)のアルコ
キシアルキル(メタ)アクリレートは、メトキシメチル
アクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシ
メチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレー
ト、エトキシメチルアクリレート、エトキシエチルアク
リレート、エトキシメチルメタクリレート、エトキシエ
チルメタクリレート等を含む。前記(イ)、(ロ)、
(ハ)の単量体は、各々が有するN−置換メチロール
基、リン酸基、アルコキシル基により、本発明の組成物
が形成する金属表面処理皮膜の密着性向上に寄与する。
【0016】(3)の(1)および(2)の(イ)と
(ロ)を除くアクリル系単量体は、メチルアクリレー
ト、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチ
ルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプ
ロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−
ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルアク
リレート、オクチルメタクリレート、アクリロニトリ
ル、メタクリルアミド等を含むものであり、(3)の
(2)の(ハ)はアルコキシアルキル(メタ)アクリレ
ートである。また、又はさらにこれらに含有させるこれ
らの共重合性単量体は、スチレン、メチルスチレン、酢
酸ビニル、α位で分岐した飽和カルボン酸のビニルエス
テル、塩化ビニル、ビニルトルエン、エチレン等を含
む。
【0017】従って、(3)には次の組み合わせがあ
る。 :(1)および(2)の(イ)と(ロ)を除くアクリ
ル系単量体。 : + アルコキシアルキル(メタ)アクリレー
ト。 :アルコキシアルキル(メタ)アクリレート。 : + 共重合性単量体。 : + 共重合性単量体。 : + 共重合性単量体。 (3)の単量体は、本発明で使用するアクリル系重合体
エマルジョンの骨格を構成し、樹脂の硬軟、可とう性、
強伸度、弾性、粘着性、ガラス転移温度、最低造膜温度
等の物性、及び化学的安定性等を支配する基本単量体で
ある。このようにして、アルコキシアルキル(メタ)ア
クリレートは、(2)の単量体として密着性向上作用を
有するとともに、骨格構成単量体としても作用する特異
な単量体であるため、本発明の構成は、アルコキシアル
キル(メタ)アクリレートが(2)と(3)の両方に含
まれる特殊な構成とした。従って、例えば(1)、
(2)、(3)の単量体の組合せの1つとして、アクリ
ル酸−アルコキシアルキル(メタ)アクリレートースチ
レンという組合せもあるが、得られたアクリル系重合体
エマルジョンは本発明で用いる有機化合物として十分な
効果を有する。
【0018】本発明に使用するアクリル系重合体エマル
ジョンの重合時に使用する乳化剤はノニオン性界面活性
剤であるが、そのノニオン性界面活性剤とは、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアル
キルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキル
エステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエ
チレンソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレ
ンーポリオキシプロピレンブロックポリマー等を含む。
カチオン性の界面活性剤が存在する場合は、ポリオキシ
エチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマー(E
O−POブロックポリマー)を用いたとしても、生成し
たエマルジョンの6価クロムイオンまたは3価クロムイ
オンとの混和安定性は著しく低下することからカチオン
性の界面活性剤は併用すべきではない。
【0019】本発明において特に重要なことは、重合時
に用いるノニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレ
ン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー(EO−P
Oブロックポリマー)を用いることにある。EO−PO
ブロックポリマーを用いて乳化重合を行うことによりク
ロム酸との混和安定性が著しく優れたエマルジョンを得
ることができる。ノニオン性界面活性剤中にEO−PO
ブロックポリマーが占める割合は好ましくは5重量%〜
100重量%の範囲内にある。EO−POブロックポリ
マー単独使用による重合によっても粗大エマルジョンの
生成を避けることができる。EO−POブロックポリマ
ーのノニオン性界面活性剤中に占める割合が5重量%未
満であるとクロム混和性は十分ではない。
【0020】本発明の無機化合物として使用する6価ク
ロムイオンは通常、無水クロム酸の水溶液の形で供給さ
れるほか、クロム酸塩又は重クロム酸のアンモニウム、
カリウム、ストロンチウム、バリウム、ナトリウム、亜
鉛等の塩の形で供給することもできる。6価クロムイオ
ンは強酸化剤であり鋼、亜鉛、アルミニウムなどの金属
表面を不動態化し、金属を腐食から保護する作用を有す
る。また6価クロムイオンの一部は皮膜形成時の乾燥工
程での加熱により、アクリル重合体エマルジョン中の乳
化剤や樹脂中の官能基で還元され、3価クロムイオンと
なり、6価クロムの水難溶化と樹脂の高分子化に役立っ
ている。本発明において使用する3価クロムイオンは場
合により、6価クロムイオンを含む水溶液にメタノー
ル、エタノール、シュウ酸、デンプン、デキストリン、
スターチ、ピロガロール等の還元剤を加えて、6価クロ
ムイオンを部分還元することにより生成させることがで
きる。または、炭酸クロム、水酸化クロム、酸化クロム
をクロム酸水溶液に溶解させることによっても3価クロ
ムイオンを供給することができる。
【0021】6価クロムイオン、クロム酸は金属に対し
防錆作用を有するが水に溶解し易い性質があり、金属表
面上に皮膜として形成された後、皮膜が水分と接触した
際容易に溶解して皮膜中から離脱し、その結果皮膜によ
る防錆効果が著しく失われるだけでなく6価クロムイオ
ンによる環境汚染の問題を生じる恐れがある。3価クロ
ムイオンは6価クロムイオンと結合し水に難溶解性の化
合物を形成し、6価クロムイオンの膜中からの溶出を抑
制することにより防錆効果の維持と環境汚染防止の目的
に寄与している。従って硝酸クロム、硫酸クロム、塩化
クロム、クロム明ばんなど対アニオンが組成中に残る化
合物を用いると皮膜形成時に3価クロムイオンの一部な
いし大半が、これらのアニオンと結合して可溶性の3価
クロム化合物を形成し水に難溶であるクロムの生成量が
減少するので好ましくない。
【0022】また、3価クロムイオンは、樹脂中の官能
基と結合してアクリル重合体樹脂とのクロスリンクによ
る高分子化をもたらし、その結果、金属上に形成された
皮膜の耐アルカリ性を向上させるとともに、6価クロム
イオンの溶出防止を図ることができる。本発明において
使用する3価クロムイオンは、6価クロムイオンの部分
還元、あるいは炭酸クロム、水酸化クロムなどの3価ク
ロム化合物をクロム酸水溶液に溶解することにより供給
することができる。本発明の水系組成物中に3価クロム
イオンを安定に共存させるためには、水系組成物のpH
を3以下とする必要がある。pHが3を超えると3価ク
ロムイオンは水に対して難溶性となり水系組成物中で沈
殿を形成し、皮膜処理後の皮膜外観が不均一となる。こ
の様な皮膜外観の不良は外観を重要視する黒色処理とし
ては致命的な欠点である。
【0023】本発明におけるアクリル重合体エマルジョ
ン単独からなる皮膜は耐アルカリ性が乏しいため、アル
カリ脱脂等により金属表面から溶解、剥離を起こし易い
性質を有している。この様に樹脂単独皮膜は耐アルカリ
性に乏しいが、3価クロムイオンを混合することにより
著しく耐アルカリ性が向上する。顕著な耐アルカリ性を
付与するための好ましい全クロム(6価クロムイオン+
3価クロムイオンの合計)と本アクリル重合体エマルジ
ョンの重量比がアクリル重合体/全クロム=200/1
〜2/1である。この比が、200超では耐アルカリ性
が不十分となり好ましくない。また、2未満ではアクリ
ル重合体の効果が十分とは言えず、十分な皮膜密着性が
得られない。
【0024】本発明における水系組成物の基本組成は前
述の通りであるが、さらに以下に示す、4つの範疇に属
する無機化合物を本発明の基本組成に添加することによ
り次のような効果が得られる。まず第一にリン酸イオン
の添加はリン酸イオンと3価クロムイオンとの難溶性塩
を形成し金属上に形成された皮膜の耐アルカリ性、耐食
性を向上することができる。リン酸イオンは、オルソリ
ン酸のような酸、リン酸アンモニウム、リン酸ナトリウ
ム、リン酸カリウムのようなアルカリリン酸塩、リン酸
カルシウム、リン酸マグネシウムのようなアルカリ土類
リン酸塩、リン酸亜鉛、リン酸マンガン、リン酸ニッケ
ル、リン酸コバルト、リン酸アルミニウム、リン酸バリ
ウム、リン酸クロムなどの金属リン酸塩の形で供給する
ことができる。
【0025】第二にコロイダルシリカの添加は、処理液
中に分散した微粒子状のコロイダルシリカがその表面の
シラノール基とアクリル重合体の官能基間の縮合反応お
よびシラノール基自身の有する凝集力により、形成する
皮膜の強度と金属に対する密着力を向上することができ
る。コロイダルシリカの粒子径としては特に限定するも
のではないが5〜100nmの粒径を有するものが望ま
しい。その製法については水ガラスからイオン交換法に
より製造したものでもよく、また、4塩化シランからの
酸化分解により製造したものでよい。
【0026】第三にコバルト、ニッケル、マンガン、バ
リウム、亜鉛、アルミニウムなどの金属イオンの添加
は、これらの金属イオンが皮膜形成時にクロム酸と結合
して、水に難溶なクロム酸金属塩を形成するので、6価
クロムイオンの溶出を低減し、皮膜の耐食性を向上する
効果が得られる。コバルト、ニッケル、マンガン、バリ
ウム、亜鉛、アルミニウムなどの金属イオンは、炭酸
塩、水酸化物、酸化物、またはリン酸塩等で供給するこ
とが好ましい。これらの金属の硫酸塩、硝酸塩、塩化物
などは水に可溶な塩であるために、これらの金属イオン
とクロム酸との難溶性塩の形成を阻害するので好ましく
ない。
【0027】第四にフッ素イオンの添加効果についてで
あるが、フッ素イオンは皮膜形成時に金属表面の活性化
に寄与し金属と皮膜の密着性を向上させる効果がえられ
る。フッ素イオンはフッ化水素酸、硅フッ化水素酸、ジ
ルコンフッ化水素酸、チタンフッ化水素酸、硼フッ化水
素酸、およびこれらのアンモニウム塩、ナトリウム塩、
リチウム塩、カリウム塩などで添加することができる。
【0028】以上のように調整された水系組成物を金属
表面に塗布する方法については特に限定するものではな
く、刷毛塗り、スプレー塗布、流し掛け塗布、ロール塗
布等、公知の方法が適応できる。何れの塗布方法におい
ても重要な点は、アクリル重合体として、皮膜厚を0.
5〜3.0μに調整することであり、この範囲の皮膜厚
が、同時にクロメート処理、有機樹脂コーティング処
理、黒色皮膜処理、およびスポット溶接可能な皮膜形成
を満足することができる。より具体的に説明すると、金
属表面への皮膜厚が0.5μ未満では十分な黒色皮膜が
得られないだけでなく耐食性も不十分である。また皮膜
厚が3.0μ超では耐食性は非常に優れたものとなる
が、黒色度が飽和に達し経済的でないばかりか、溶接性
が劣化する。
【0029】
【実施例】以下に実施例を比較例と共に挙げ本発明の効
果を具体的に説明する。 (重合例1)以下の処方により、レドックス重合反応を
利用しアクリル重合体エマルジョンを得た、これを重合
体Xと称する。 (A)モノマー乳化液組成 イオン交換水 150重量部 エマルゲン840S(注1) 16重量部 プロノン208(注2) 2重量部 メタクリル酸 4重量部 N−メチロールアクリルアミド 2重量部 n−ブチルアクリレート 82重量部 メチルメタクリレート 112重量部 (B)乳化剤水溶液 イオン交換水 116重量部 エマルゲン840S 4重量部 プロノン208 4重量部 (C)重合開始剤 5%過硫酸アンモニウム水溶液 10重量部 5%酸性亜硫酸ナトリウム水溶液 10重量部 (注1)ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル
の70%水溶液(花王株式会社製、ノニオン界面活性
剤) (注2)ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブ
ロックポリマー(日本油脂株式会社製、ノニオン界面活
性剤) (重合方法) (I)容量1Lの撹拌装置を備えた4つ口フラスコに、
(B)を仕込んで加温溶解し40℃に保つ。 (II)別の容量0.5Lのビーカーに(A)を仕込んで
撹拌しモノマー乳化液を作る。 (III)(I)に(II)の10%と、(C)の25%をそ
れぞれ加え、40〜50℃で20分間重合を行う。つい
で(A)の残りの90%と、(C)の各々の残り75%
を40〜50℃において3時間かけて滴下する。滴下終
了後更に40〜50℃で1時間保持し重合を完結する。
こうして得られたエマルジョンは濃度48%、粘度30
0cp、pH2.2であった。
【0030】(重合例2) 下記処方により(重合例1)と同様の手順により重合体
エマルジョンを得た。これを重合体Yと称する。 (A)モノマー乳化液組成 イオン交換水 150重量部 エマルゲン840S 12重量部 プロノン208 1重量部 メタクリル酸 4重量部 メトキシエチルアクリレート 20重量部 n−ブチルアクリレート 62重量部 スチレン 114重量部 (B)乳化剤水溶液 イオン交換水 116重量部 エマルゲン840S 4重量部 プロノン208 1重量部 (C)重合開始剤 5%過硫酸アンモニウム水溶液 10重量部 5%酸性亜硫酸ナトリウム水溶液 10重量部
【0031】(比較重合例1)下記処方により(重合例
1)と同様の手順により重合体エマルジョンを得た。こ
れを重合体Zと称する。 (A)モノマー乳化液組成 イオン交換水 150重量部 エマルゲン840S 12重量部 コータミン24P(注3) 1重量部 メタクリル酸 4重量部 メトキシエチルアクリレート 20重量部 n−ブチルアクリレート 62重量部 スチレン 114重量部 (B)乳化剤水溶液 イオン交換水 116重量部 エマルゲン840S 4重量部 コータミン24P 4重量部 (C)重合開始剤 5%過硫酸アンモニウム水溶液 10重量部 5%酸性亜硫酸ナトリウム水溶液 10重量部 (注3)ラウリル硫酸ナトリウム(花王株式会社製、ア
ニオン界面活性剤)
【0032】(分散例1)下記処方にて各成分をスチー
ルボールミルに仕込み、24時間分散し、カーボンブラ
ック含有量24%の分散液を作製した。 イオン交換水 682重量部 カーボンブラック(注4) 240重量部 エマルゲン840S 60重量部 プロノン208 18重量部 このようにして作製したカーボンブラック分散液は1週
間経時後も安定な分散状態を保っていた。この分散液を
Iと称する。
【0033】(分散例2)下記処方にて(分散例1)と
同様に分散し、カーボンブラックとして24%分散液を
作製した。 イオン交換水 582重量部 カーボンブラック(注4) 240重量部 エマルゲン840S 110重量部 プロノン208 68重量部 このようにして作製したカーボンブラック分散液は1週
間経時後も安定な分散状態を保っていた。この分散液を
分散液IIと称する。
【0034】(比較分散例1)下記組成比にて(分散例
1)と同様に分散し、カーボンブラック分散液を作製し
た。 イオン交換水 582重量部 カーボンブラック(注4) 240重量部 デモールN(注5) 88重量部 (注4)三菱化成株式会社製、カーボンブラックMA1
00 (注5)β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の
ナトリウム塩(花王株式会社製、アニオン系界面活性
剤) このようにして作製したカーボンブラック分散液は1週
間経時後も安定な分散状態を保っていた。この分散液を
分散液IIIと称する。
【0035】(クロメート例1)無水クロム酸を100
g含有する水溶液800mLにメタノールを添加して6
価クロムイオンの一部を還元し、水を加えて全クロムイ
オン濃度52g/L、6価クロムイオン濃度37.4g
/Lのクロメート水溶液を作製した。これをクロメート
Aと称する。 (クロメート例2)無水クロム酸を100g、リン酸を
30g含有する水溶液800mLに、メタノールを添加
して6価クロムイオンの一部を還元し、水を加えて全ク
ロムイオン濃度52g/L、6価クロムイオン濃度26
g/Lのクロメート水溶液を作製した。これをクロメー
トBと称する。 (クロメート例3)無水クロム酸を100g、リン酸を
20g含有する水溶液800mLにメタノールを添加し
て6価クロムイオンの一部を還元した後、スノーテック
スーO(注6)を50g添加し、水を加えて全クロムイ
オン濃度52g/L、6価クロムイオン濃度36.4g
/L、シリカ濃度10g/Lのクロメート水溶液を作製
した。これをクロメートCと称する。 (注6)コロイダルシリカの20%水溶液(日産化学株
式会社製) (クロメート例4)無水クロム酸を100g、リン酸を
30g含有する水溶液800mLに酸化亜鉛2gを溶解
した後、メタノールを添加して6価クロムイオンの一部
を還元し、水を加えて全クロムイオン濃度52g/L、
6価クロムイオン濃度26g/L、亜鉛イオン濃度1.
6g/Lのクロメート水溶液を作製した。これをクロメ
ートDと称する。 (クロメート例5)無水クロム酸を100g、リン酸を
40g含有する水溶液800mLに炭酸ニッケル5gを
溶解した後、メタノールを添加して6価クロムイオンの
一部を還元し、水を加えて全クロムイオン濃度52g/
L、6価クロムイオン濃度30g/L、ニッケルイオン
濃度2.2g/Lのクロメート水溶液を作製した。これ
をクロメートEと称する。 (クロメート例6)無水クロム酸を100g、リン酸を
60g含有する水溶液800mLに塩基性炭酸コバルト
20gを溶解した後、メタノールを添加して6価クロム
イオンの一部を還元し、水を加えて全クロムイオン濃度
52g/L、6価クロムイオン濃度38g/L、コバル
トイオン濃度8.8g/Lのクロメート水溶液を作製し
た。これをクロメートFと称する。 (クロメート例7)無水クロム酸を100g、リン酸を
25g、硅フッ化水素酸を5g/L含有する水溶液80
0mLに酸化亜鉛2gを溶解した後、メタノールを添加
して6価クロムイオンの一部を還元し、水を加えて全ク
ロムイオン濃度52g/L、6価クロムイオン濃度26
g/L、フッ素イオン濃度4.0g/L、亜鉛イオン濃
度.1.6g/Lのクロメート水溶液を作製した。これ
をクロメートGと称する。 (比較クロメート1)無水クロム酸50gを水1000
mLに溶解し、6価クロムイオン濃度26g/Lのクロ
メート水溶液を作製した。これをクロメートHと称す
る。 (比較クロメート2)重クロム酸アンモニウム100g
を水1000mLに溶解し、6価クロムイオン濃度4
1.3g/Lのクロメート水溶液を作製した。これをク
ロメートIと称する。
【0036】2.水系組成物の液性状 表1、表2に示した内容の水系組成物を混合直後と室温
1週間放置後に液性状の外観を目視で判定した。 評価 ○ : 均一 △ : 分離、不均一、粘度上昇等の異常あり × : ゲル化、塗布できず 評価結果を表3に示した。
【0037】3.試験板の作製 表1、表2で示した水系組成物を市販の電気亜鉛メッキ
鋼板(板厚0.8mm)、5%アルミニウム−亜鉛合金
メッキ鋼板(板厚0.8mm)、合金化溶融亜鉛メッキ
鋼板(板厚0.8mm)、アルミニウム合金板(JI
S、A5052材、板厚0.8mm)に対し、下記処理
工程にて処理を行い各種性能試験を実施した。
【0038】 4.処理工程 (1)アルカリ脱脂:パルクリン#342(20g/L、60℃、20秒間、ス プレー) ↓ (2)水洗:水道水、20秒間、スプレー ↓ (3)水切り:ロール絞り ↓ (4)水系組成物塗布:表1に示した内容の水系組成物を塗装バーを使用して塗 布した。バーNoを調整し、所定の皮膜厚とした。 ↓ (5)乾燥:到達板温(PMT)150℃、昇温時間10秒間加熱乾燥した。
【0039】5.性能試験 作製した試験片について、黒色度、ゴバン目、エリクセ
ン押出、耐食性、耐アルカリ性、加工性、溶接性の試験
を実施した。
【0040】(1)黒色度 得られた試験片表面について黒色度の評価となるL値
を、スガ試験機(株)製SMカラーコンピューターによ
って測定した。 評価 ◎ : L値18未満(均一な黒色度) ○ : L値18以上23未満(若干不均一) △ : L値23以上(不均一) × : 不均一が甚だしい
【0041】(2)ゴバン目試験 得られた試験片に対し、1mm平方の碁盤目を10個平
方素地金属まで達するようにカッターで切り込み、セロ
テープを貼り付けて急速に剥し、皮膜の剥離程度を評価
した。 評価 ◎ : 皮膜剥離0% ○ : 皮膜剥離10%未満 △ : 皮膜剥離10%以上30%未満 × : 皮膜剥離30%以上
【0042】(3)エリクセン押出試験 得られた試験片に対し、エリクセン押出機により6mm
押出し、凸部にセロテープを貼り付けて急速に剥がし、
皮膜の剥離程度を評価した。 評価 ◎ : 皮膜剥離0% ○ : 皮膜剥離10%未満 △ : 皮膜剥離10%以上30%未満 × : 皮膜剥離30%以上
【0043】(4)耐食性試験 塩水噴霧試験をJIS−Z−2371に準じて、電気亜
鉛メッキ鋼板および合金化溶融亜鉛メッキ鋼板は300
時間、5%アルミニウム−亜鉛合金メッキ鋼板およびア
ルミニウム板は1000時間行い、白錆発生状況を評価
した。 評価 ◎ : 白錆発生が全面積の5%未満 ○ : 白錆発生が全面積の5%以上10%未満 △ : 白錆発生が全面積の10%以上20%未満 × : 白錆発生が全面積の20%以上
【0044】(5)耐アルカリ性試験 得られた試験片に対し、アルカリ洗浄剤CL−N364
S(日本パーカライジング(株)製)、2%、60℃、
スプレー2分間のアルカリ洗浄を行い、アルカリ洗浄
前、後の試験片のクロム付着量を式数1によって算出
し、耐アルカリ性を評価した。
【0045】
【数1】
【0046】評価 ◎ : 固定率90%以上 ○ : 固定率90%未満80%以上 △ : 固定率80%未満70%以上 × : 固定率70%未満
【0047】(6)スポット溶接性試験 CF型電極を取り付けたスポット溶接機を使用し、加圧
力270Kg、溶接電流8KA、通電時間10サイクル
でスポット溶接を行い、形成したナゲットの形成度合を
目視で判定した。 評価 ○ : きれいな円形状のナゲット形成が認め
られた。 △ : 不均一なナゲット形成 × : ナゲット形成なし
【0048】6.試験結果 表3、表4、表5、表6及び表7に性能試験結果を示し
た。性能試験結果から次のことが考察される。すなわ
ち、 本発明による実施例である水系組成物(ア)〜(ソ)
は液性状を保ち、これを用いて処理した被処理物は均一
な塗布外観と黒色度を示している。 これに対し、比較水系組成物(タ)〜(ト)は混合直
後にゲル化を起こし、被処理物に対し正常な処理が出来
なかった。また、混合直後は被処理物に塗布が可能であ
った比較水系組成物(ナ)〜(ハ)も1週間の経時によ
り均一な塗布は不可能な状態であった。 本発明による水系組成物(ア)〜(ソ)を用いた処理
板の性能試験結果については、実施例1〜63で見られ
るように、黒色度、碁盤目試験、エリクセン試験、耐食
性、溶接性が何れも良好である。 これに対し、比較水系組成物(ナ)〜(ハ)を用いた
処理板の性能試験結果で見られるように、比較例4、
6、12、14、20、22、28、30は黒色度は本
発明による実施例と同等であるが、他の性能、特に耐食
性、耐アルカリ性において本発明と比較し大幅に劣った
結果を示している。 また、比較例1、2、3、5、9、10、11、1
3、17、18、19、21、25、26、27、29
は黒色度が不十分であり本発明の趣旨を外れるものであ
る。 一方、比較例7、15、23、31は水系組成物
(ケ)を処理剤として使用しているが、処理皮膜厚が本
発明における皮膜厚である3.0μを超えるため黒色
度、耐食性、耐アルカリ性は良好であるが、溶接性が大
幅に劣り本発明の目的とするところを満たしていない。 さらに、実施例8、16、24、32は水系組成物
(ス)を用いているが皮膜厚が本発明の0.5μ未満で
あるため、溶接性は良好だが他の性能は大幅に劣った結
果を示している。
【発明の効果】
【0049】本発明の組成物及び方法を用いることによ
り、金属表面に優れた黒色度、耐食性、加工性、スポッ
ト溶接性及び経済性を同時に満足する皮膜を形成でき
る。また、本発明による黒色皮膜を形成した金属材料を
使用することにより家電、音響機器、光学機器等、黒色
塗装に代わる、黒色皮膜処理板を供給することが可能で
あり、組み立てメーカーにおいて省工程化、コスト低
減、作業環境改善等の利点が生じる。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】
【表7】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレ
    ンブロックポリマー系界面活性剤を含有するノニオン性
    界面活性剤でカーボンブラックを水に分散したカーボン
    ブラック分散液と、無機化合物として6価クロムイオン
    と3価クロムイオンと、有機化合物として下記(1)〜
    (3)に示したアクリル系重合体エマルジョンとを含有
    し、かつpH3以下である黒色皮膜形成用金属表面処理
    水系組成物。 (1):エチレン系不飽和カルボン酸単量体、 (2):(イ)少なくとも1個のN−置換メチロール基
    を含有する(メタ)アクリルアミドとその誘導体、
    (ロ)アシッドホスホオキシアルキル(メタ)アクリレ
    ート、及び(ハ)アルコキシアルキル(メタ)アクリレ
    ートから選ばれる1又は2以上の単量体、及び (3):(1)及び(2)の(イ)と(ロ)を除くアク
    リル系単量体と(2)の(ハ)とから選ばれる1又は2
    以上を含有する、又は、これらと共重合性を有する単量
    体をさらに含有する骨格用単量体 からなる単量体を、ポリオキシエチレン−ポリオキシプ
    ロピレンブロックポリマー系界面活性剤を含有するノニ
    オン性界面活性剤、又はポリオキシエチレン−ポリオキ
    シプロピレンブロックポリマー系界面活性剤を含有する
    ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを用い
    て乳化重合して得たアクリル系重合体エマルジョン。
  2. 【請求項2】前記アクリル系重合体エマルジョンとカー
    ボンブラック分散液の混合比が不揮発分中のアクリル系
    重合体/カーボンブラックの重量比で99/1〜60/
    40であり、かつ同様に不揮発分中のアクリル系重合体
    と全クロムイオン(6価クロムイオン+3価クロムイオ
    ンの合計)の重量比でアクリル系重合体/全クロム(金
    属クロム換算)=200/1〜2/1である請求項1に
    記載の組成物
  3. 【請求項3】前記無機化合物として、さらに (a)リン酸イオン。 (b)コロイダルシリカ。 (c)コバルト、ニッケル、マンガン、バリウム、亜
    鉛、アルミニウムから選ばれる1種以上の金属イオンか
    らなる群。 (a)、(b)及び(c)の1種以上が含まれている請
    求項1又は2に記載の組成物。
  4. 【請求項4】前記無機化合物として、フッ化物を含む請
    求項1又は請求項2記載の組成物。
  5. 【請求項5】ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレ
    ンブロックポリマー系界面活性剤を含有するノニオン性
    界面活性剤でカーボンブラックを水に分散したカーボン
    ブラック分散液と、無機化合物として6価クロムイオン
    と3価クロムイオンと、有機化合物として下記(1)〜
    (3)に示したアクリル系重合体エマルジョンとを含有
    し、かつpH3以下である黒色皮膜形成用水系組成物を
    金属表面に塗布した後、水洗することなく乾燥し、該ア
    クリル重合体として膜厚0.5〜3.0μの黒色皮膜を
    形成することを特徴とする金属表面への黒色皮膜形成方
    法 。 (1):エチレン系不飽和カルボン酸単量体、 (2):(イ)少なくとも1個のN−置換メチロール基
    を含有する(メタ)アクリルアミドとその誘導体、
    (ロ)アシッドホスホオキシアルキル(メタ)アクリレ
    ート、及び(ハ)アルコキシアルキル(メタ)アクリレ
    ートから選ばれる1又は2以上の単量体、及び (3):(1)及び(2)の(イ)と(ロ)を除くアク
    リル系単量体と(2)の(ハ)とから選ばれる1又は2
    以上を含有する、又は、これらと共重合性を有する単量
    体さらにを含有する骨格用単量体 からなる単量体を、ポリオキシエチレン−ポリオキシプ
    ロピレンブロックポリマー系界面活性剤を含有するノニ
    オン性界面活性剤、又はポリオキシエチレン−ポリオキ
    シプロピレンブロックポリマー系界面活性剤を含有する
    ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを用い
    て乳化重合して得たアクリル系重合体エマルジョン。
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