以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。尚、本願発明は、いわゆるパチンコ機などの弾球遊技機や、スロットマシンと呼ばれる回胴式遊技機などの各種遊技機に適用することができるが、以下では、パチンコ機に適用した場合を例に用いて説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.装置前面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.制御回路の構成:
B.遊技の概要:
C.制御の概要:
C−1.主制御部における制御の概要:
C−2.副制御部における制御の概要:
C−3.図柄制御部における制御の概要:
D.図柄制御処理:
E.変形例:
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例の遊技機1の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、遊技機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は、中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には、円形状の開口部4aが形成されている。この開口部4aにはガラス板等の透明板がはめ込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技効果を高めるための各種ランプ類4b〜4fが設けられている。
前面枠4の下方には、上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左側にはプリペイドカード式の球貸装置13(CRユニット)が設けられている。
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図5参照)に供給される。また、皿外縁部5aには、遊技球の球貸スイッチ5b、返却スイッチ5c、投入した遊技球を排出するための排出ボタンなど、各種のボタン類が設けられている。さらに、上皿部5の略中央部には複数の長孔とその上部に多数の小穴が形成された第1スピーカ5yが設けられている。更に、上皿部5の手前側(遊技者側)には、2つの操作スイッチSW1,SW2が設けられており、遊技者は、このスイッチを押すことによって、遊技中に遊技条件を変更するなど、遊技の進行に介入することが可能となっている。
下皿部6には、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。また、下皿部6の下面の左右には、第2スピーカ6cが設けられている。
下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。
遊技領域11の略中央には中央装置26が設けられており、また、遊技領域11の下方部分には変動入賞装置18が設けられ、そして、中央装置26と変動入賞装置18との間には始動口(普通電動役物)17が設けられている。始動口(普通電動役物)17は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆるチューリップ式の始動口である。始動口17の内部には、遊技球の通過を検出する始動口(普通電動役物)スイッチ17s(図5参照)と、翼片部を作動させるための普通電動役物(始動口)ソレノイド17m(図5参照)とが備えられている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開口状態となり、一対の翼片部が直立して、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。
中央装置26のほぼ中央には、変動表示装置27が設けられている。変動表示装置27は、液晶画面を搭載しており、意匠図柄や背景図柄などの種々の演出用図柄を変動停止表示することが可能となっている。尚、本実施例では変動表示装置27が、本発明における「表示画面」に対応している。
中央装置26の左下には、図柄表示装置28が設けられている。詳細な構成については後述するが、図柄表示装置28では普通図柄や特別図柄などを変動停止表示することが可能となっている。
遊技領域11の左端には、普通図柄作動ゲート36が設けられており、このゲートの内部には、遊技球の通過を検出するゲートスイッチ36sが設けられている。更に、普通図柄作動ゲート36と中央装置26との間には、ランプ風車24が設けられている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
中央装置26の下方に設けられた変動入賞装置18には、ほぼ中央に大入賞装置31が設けられている。この大入賞装置31は、略長方形状に大きく開口する大入賞口31dや、大入賞口31dを開閉するための大入賞口ソレノイド31m(図5参照)などから構成されている。大入賞口31dは、後述する所定の条件が成立すると開口状態となり、この結果、遊技球が高い確率で大入賞口31dに入球することとなって、遊技者にとって有利な遊技状態である大当り遊技状態が開始される。また、大入賞口31dの内部には、大入賞口スイッチ31sが設けられており、大入賞口31dに入賞した遊技球を検出することが可能となっている。
遊技盤10の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられている。バック球防止部材58は、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止する機能を有している。
図3は、本実施例の遊技機1に搭載された図柄表示装置28の構成を示す説明図である。本実施例の図柄表示装置28は、大きくは、普通図柄表示部29と、特別図柄表示部30とから構成されている。普通図柄表示部29は、左普通図柄表示部29aと右普通図柄表示部29bとから構成されており、特別図柄表示部30は、左特別図柄表示部30aと右特別図柄表示部30bとから構成されている。2つの普通図柄表示部29a,29bは、発光ダイオード(LED)を用いて構成されており、左普通図柄表示部29aは赤色の光を点灯し、右普通図柄表示部29bは緑色の光を点灯することが可能となっている。また、特別図柄表示部30には、いわゆる7セグメントLEDが用いられており、このうちの7セグメント部分が左特別図柄表示部30aを構成し、コンマ部分が右特別図柄表示部30bを構成している。この7セグメント部分およびコンマ部分は、赤色、橙色、緑色のいずれかの光を点灯可能となっている。また、図柄表示装置28には、普通図柄保留表示部29c、および特別図柄保留表示部30cも設けられている。これらは、それぞれ4つのLEDで構成されている。このような構成を有する図柄表示装置28の表示内容については後述する。
図4は、本実施例の遊技機1に搭載された変動表示装置27の画面構成を示す説明図である。前述したように、変動表示装置27は、主に液晶表示画面を用いて構成されており、液晶画面上には、3つの意匠図柄27a,27b,27cと、その背景の背景図柄27dが表示されている。このうち、3つの意匠図柄27a,27b,27cは、図3に示した特別図柄30の表示に合わせて種々の態様で変動表示され、遊技を演出することが可能となっている。また、背景図柄27dには、キャラクタ画像などが表示されている。尚、本実施例では3つの意匠図柄27a,27b,27cや、背景図柄27d、キャラクタ図柄などが、本発明における「演出用図柄」に該当している。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例の遊技機1における制御回路の構成について説明する。図5は、本実施例の遊技機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているように遊技機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、図柄やランプや効果音を用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御の下で変動表示装置27の具体的な制御を行う図柄制御基板230と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器とのデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)、定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマ・サーキット)など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。また、図5中に示した矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。
図示されているように主制御基板200は、始動口スイッチ17sや、大入賞口スイッチ31s、ゲートスイッチ36sなどから遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって、各種の動作を指令する制御コマンドを出力する。また、主制御基板200には、始動口17に設けられた一対の翼片部を開閉させるための普通電動役物ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、更には、普通図柄や特別図柄の変動停止表示を行う図柄表示装置28などが中継端子板を介して接続されており、これら各種ソレノイド17m,31m、および図柄表示装置28に向かって信号を出力することにより、動作の制御も行っている。
サブ制御基板220は、主制御基板200から各種の制御コマンドを受け取ると、制御コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。すなわち、前述した変動表示装置27の表示制御を行う図柄制御基板230に対して表示内容を指定する制御コマンドを出力したり、各種のスピーカ5y、6cを駆動するアンプ基板224、装飾用の各種LEDやランプを駆動する装飾駆動基板226に駆動信号を出力することにより、遊技の演出を行う。
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が前述した上皿部5に設けられた球貸スイッチ5bや返却スイッチ5cを操作すると、この信号は、球貸表示基板242から中継端子板を介して、球貸装置13に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240とデータをやり取りしながら、貸球の払出を行う。また、主制御基板200が賞球の払出を指示する制御コマンドを出力すると、この制御コマンドを払出制御基板240が受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。
上述したように、本実施例の遊技機1では、主制御基板200が中心になって遊技が進行し、主制御基板200が出力する制御コマンドに従って、他の制御基板が動作することによって遊技が行われている。従って、本実施例の主制御基板200は、本発明における「主制御部」に対応している。また、本実施例のサブ制御基板220は、本発明における「副制御部」に対応しており、本実施例の図柄制御基板230は、本発明における「図柄制御部」に対応するものとなっている。
B.遊技の概要 :
次に、上述した構成を有する本実施例の遊技機1で行われる遊技の概要について簡単に説明しておく。
本実施例の遊技機1では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が上皿部5の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
発射した遊技球が、遊技領域11の左側に設けられた普通図柄作動ゲート36を通過すると、図柄表示装置28において普通図柄の変動表示が開始される。図3を用いて前述したように、図柄表示装置28には左普通図柄表示部29aと、右普通図柄表示部29bとが設けられている。左普通図柄表示部29aは赤色の光を点灯可能に構成されており、右普通図柄表示部29bは緑色の光を点灯可能に構成されている。普通図柄の変動表示が開始されると、左右の普通図柄表示部29a,29bが点滅表示を行う。
図6は、普通図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。変動表示中の普通図柄は、図示されている4つの状態を取ることができる。先ず、図6(a)に示した状態は、左普通図柄表示部29aが点灯して、右普通図柄表示部29bが消灯している状態を表している。図6(b)は、左普通図柄表示部29aおよび右普通図柄表示部29bがいずれも点灯した状態を表している。図6(c)は、左普通図柄表示部29aが消灯し、右普通図柄表示部29bが点灯した状態を表しており、図6(d)は、左普通図柄表示部29aおよび右普通図柄表示部29bがいずれも消灯した状態を表している。普通図柄の変動表示中は、これら4つの表示状態が速い速度で次々と切り換わる態様で表示され、そして、所定時間が経過すると、4つの表示状態のいずれかの状態で停止表示される。このとき、所定の表示状態で停止表示されると、いわゆる普通図柄の当りとなって、始動口17が所定時間(例えば0.5秒間)だけ開口状態となる。本実施例では、図6(c)に示した表示状態、すなわち、左普通図柄表示部29aが消灯して右普通図柄表示部29bが点灯している状態が、普通図柄の当りに設定されている。
尚、普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過した場合は、この遊技球の通過が保留数として蓄えられて、現在の普通図柄の変動表示が終了後に、変動表示が行われる。普通図柄の保留は最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている普通図柄の保留数は、普通図柄保留表示部29c(図3参照)に表示される。
次いで、開口状態となった始動口17に遊技球が入球すると、今度は、特別図柄の変動表示が開始される。特別図柄は、図3を用いて説明したように特別図柄表示部30によって表示される。尚、前述したように、本実施例の特別図柄表示部30は、7セグメントLEDからなる左特別図柄表示部30aと、コンマ部分の右特別図柄表示部30bから構成されており、これら左右の特別図柄表示部30a,30bは、赤色、橙色、緑色のいずれかで点灯可能となっている。
図7は、特別図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。特別図柄の変動表示中は、左特別図柄表示部30aでは、「A」または「Y」のいずれかの図柄が表示され、右特別図柄表示部30bではコンマ「.」が表示される。また、左特別図柄表示部30aの「A」および「Y」、右特別図柄表示部30bのコンマ「.」は、赤色、橙色、緑色の3つの状態を取ることができる。本実施例の特別図柄表示部30では、これらの表示状態が組み合わされて、図7に示す12種類の状態を表示することが可能となっている。図中で7セグメントLEDあるいはコンマ部分に細かいハッチングが付されているのは、赤色の状態で点灯されていることを表している。また、少し粗いハッチングが付されているのは橙色の状態で点灯表示されていることを表しており、粗いハッチングが付されているのは緑色の状態で点灯表示されていることを表している。特別図柄の変動表示が開始されると、これら12種類の表示状態が速い速度で次々と切り換わる態様で表示され、所定時間が経過すると、いずれかの状態で停止表示される。
停止表示された図柄が「−」である場合は、特別図柄は外れとなるが、それ以外の図柄の組合せが停止表示された場合は特別図柄の当りとなって、遊技者にとって有利な遊技状態である特別遊技状態が開始される。すなわち、特別図柄が当りとなる図柄の組合せとしては、図7に示した12種類の図柄から、「−」を除いた10種類の組合せが存在することになる。また、本実施例の特別遊技状態は、大入賞口31dが開放状態となる遊技状態(ラウンド)が、所定ラウンドだけ繰り返されるように構成されている。大入賞口31dは大きく開口するために、遊技球が高い確率で入球する。その結果、所定回数のラウンドが繰り返される間に遊技者は多くの賞球を獲得することが可能となっている。
尚、特別図柄の変動表示中に遊技球が始動口17に入球した場合は、この遊技球の入球が特別図柄の保留数として蓄えられて、現在の特別図柄の変動表示が終了後に、変動表示が行われる。特別図柄の保留も最大4個まで蓄えることが可能となっており、蓄えられている特別図柄の保留数は、特別図柄保留表示部30c(図3参照)に表示される。
また、図7に示した特別図柄が当りとなる10種類の組合せのうち、実線で囲った5種類の組合せは、いわゆる「確変当り図柄」と呼ばれる組合せであり、変動表示された特別図柄が、これら確変当り図柄の組合せのいずれかで停止すると、特別遊技が終了してから次の特別遊技が開始されるまでの間、当り図柄で停止表示される確率が通常の状態よりも高くなる。このように、当り図柄で停止表示される確率が高くなっている遊技状態は、確変遊技状態(若しくは、単に確変状態)と呼ばれる。
更に、図7に示した特別図柄が当りとなる10種類の組合せのうち、破線で囲った5種類の組合せは、いわゆる「通常当り図柄」と呼ばれる組合せであり、変動表示された特別図柄が、これら通常当り図柄の組合せのいずれかで停止すると、特別遊技の終了後、特別図柄が所定回数(本実施例では100回)変動表示されるか、若しくは次回の特別遊技状態が開始されるまでの間、特別図柄の変動時間が短くなるとともに、始動口17の開放時間が長くなるように設定されている。このような遊技状態は、変動時間短縮状態(若しくは、時短状態)と呼ばれる。尚、本実施例の遊技機1においては、こうした時短機能は、通常当り図柄で停止表示された場合だけでなく、確変当り図柄で停止表示された場合にも作動するようになっている。結局、特別図柄が、図7に示した10種類の当り図柄のいずれかで停止表示された場合は、特別遊技状態の終了後、必ず時短機能が作動することになる。
上述した特別図柄の変動停止表示に合わせて、変動表示装置27では演出用図柄を用いた各種の演出が行われる。図8は、変動表示装置27で行われる演出の一態様を例示した説明図である。図4を用いて前述したように、変動表示装置27を構成する液晶表示画面には、3つの意匠図柄27a,27b,27cが表示されている。前述した図柄表示装置28で特別図柄の変動表示が開始されると、変動表示装置27においても、これら3つの意匠図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示を開始する。本実施例では、意匠図柄として「1」〜「9」までの9つの数字を意匠化した図柄が用意されている。
図8(a)には、3つの意匠図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左意匠図柄27aが「1」〜「9」のいずれかの図柄で停止表示され、次いで、右意匠図柄27cが停止表示され、最後に中意匠図柄27bが停止表示される。また、図4を用いて前述したように、3つの意匠図柄27a,27b,27cの変動表示による演出を盛り上げるべく、背景図柄27dでは、キャラクタ画像などを用いた演出が行われる。
これら変動表示装置27で停止表示される3つの意匠図柄27a,27b,27cの組合せは、前述した図柄表示装置28で停止表示される特別図柄の組合せと連動するように構成されている。たとえば、図柄表示装置28の特別図柄が当り図柄で停止する場合は、変動表示装置27の3つの意匠図柄27a,27b,27cが同じ図柄で停止表示される。特に、図柄表示装置28の特別図柄が、前述した確変当り図柄で停止する場合は、変動表示装置27の3つの意匠図柄27a,27b,27cが、奇数を表す同じ図柄で停止表示される。一方、図柄表示装置28の特別図柄が外れ図柄で停止する場合は、3つの意匠図柄27a,27b,27cは同じ図柄で揃わない任意の組合せで停止表示される。
このように、図柄表示装置28で表示される特別図柄と、変動表示装置27で表示される3つの意匠図柄27a,27b,27cとは、表示内容が互いに対応しており、それぞれの表示図柄が確定する(停止表示される)タイミングも同じに設定されている。しかも、図2に示すように、図柄表示装置28よりも変動表示装置27の方が目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、表示内容も分かり易いので、遊技者は変動表示装置27の画面を見ながら遊技を行うことが通常である。従って、変動表示装置27の表示画面上で初めに停止表示される左意匠図柄27aと、続いて停止表示される右意匠図柄27cとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中意匠図柄27bも同じ図柄で停止して、いわゆる大当り遊技状態になるのではないかと、遊技者は図柄の変動を注視することになる。このように、2つの意匠図柄を同じ図柄で停止した状態で、最後の図柄を変動表示させる演出は、リーチ演出と呼ばれており、リーチ演出を行うことで遊技者の興趣を高めることが可能となっている。
C.遊技機の制御内容 :
上述した遊技は、主制御基板200を中心として、サブ制御基板220や、図柄制御基板230などが、それぞれの処理を実行することによって実現されている。以下では、主制御基板200や、サブ制御基板220、図柄制御基板230で行われる制御の概要について説明する
C−1.主制御部における制御の概要 :
図9は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。図示されているように、遊技制御処理では、賞球関連処理、普通図柄遊技処理、普通電動役物停止処理、特別図柄遊技処理、特別電動役物遊技処理などの各処理が繰り返し実行されている。一周の処理に要する時間は、ほぼ4msecとなっており、従って、これら各種の処理は約4msec毎に繰り返し実行されることになる。以下、フローチャートに従って、主制御基板200に搭載されたCPU201が行う遊技制御処理について、概要を説明する。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、遊技制御処理を開始すると、遊技球を賞球として払い出すための処理(賞球関連処理)を行う(S100)。かかる処理では、主制御基板200に接続された各種スイッチの中で、遊技球の入賞に関わるスイッチ(始動口スイッチ17sや大入賞口スイッチ31sなど)について、遊技球が入球したか否かを検出する。そして、遊技球の入球が検出された場合には、払い出すべき賞球数を算出した後、払出制御基板240に向かって賞球数指定コマンドを出力する処理を行う。払出制御基板240は、主制御基板200から出力された賞球数指定コマンドを受け取るとコマンドの内容を解釈し、その結果に従って、払出装置109に搭載された払出モータ109mに駆動信号を出力することにより、実際に賞球を払い出す処理を行う。
主制御基板200のCPU201は、賞球数指定コマンドを出力すると(S100)、今度は、普通図柄遊技処理を行うか否か、すなわち普通図柄の変動停止表示を行うか否かを判断する(S102)。かかる判断は、普通電動役物が作動中であるか否か、換言すると始動口17が開口中であるか否かを検出することによって行う。普通電動役物が作動中でなければ普通図柄遊技処理を行うものと判断し(S102:yes)、普通電動役物が作動中であれば普通図柄遊技処理は行わないものと判断する(S102:no)。
普通図柄遊技処理(S102)では、大まかには次のような処理を行う。先ず、普通図柄の保留数が存在するか否か(「0」であるか否か)を判定し、保留数が存在する場合には普通図柄の当否判定を行う。ここで、普通図柄の保留数は遊技球が普通図柄作動ゲート36を通過することにより設定されるものであり、本実施例では、その保留数の上限値を「4」としている。そして、普通図柄の当否判定の結果に基づき、普通図柄を当り図柄(図6(c)参照)で停止表示させるか、それ以外の何れの外れ図柄で停止表示させるかを決定する。次いで、普通図柄の変動表示時間を設定した後、普通図柄の変動表示を開始する。そして、変動表示時間が経過すると、決定しておいた図柄で普通図柄を停止表示させ、このときに、普通図柄の当り図柄が停止表示された場合には、普通電動役物の作動を開始させる。こうして普通電動役物が作動すると、始動口17に設けられた一対の翼片部が外側に向かって回動し、始動口17が開口状態となる。
普通図柄遊技処理(S104)に続いて、普通電動役物が作動中か否かを判断する(S106)。そして、作動中である場合は(S106:yes)、普通電動役物を停止させるための処理(普通電動役物停止処理)を行う(S108)。一方、普通電動役物が作動していない場合は(S106:no)、普通電動役物停止処理(S108)を行う必要はないのでスキップして、後述する特別図柄遊技処理を行うか否かを判断する(S110)。
特別図柄遊技処理を行うか否かの判断は、次のようにして行う。先ず、始動口17に遊技球が入球したか否かを判断する。前述したように、始動口17の内部には、遊技球の入球を検出する始動口スイッチ17sが設けられており、遊技球が入球したことを検出することができる。始動口17に遊技球が入球していない場合は、特別図柄の保留数が残っているか否かを判断する。図3を用いて前述したように、特別図柄の保留数は、図柄表示装置28の特別図柄保留表示部30cに、最大4つまで蓄えておくことができる。そして、始動口17に遊技球が入球するか、あるいは特別図柄の保留数が残っている場合は、最後に、現在が大当り遊技を行っている最中ではないことを念のために確認し、大当り遊技中でなければ、特別図柄遊技処理を開始すると判断する(S110:yes)。一方、これらの条件が満たされていない場合は、特別図柄遊技処理は行わないものと判断する(S110:no)。
ここで、特別図柄遊技とは、図3に示した図柄表示装置28の特別図柄表示部30で、特別図柄を変動表示させた後、図7に例示した何れかの図柄組合せで停止表示させる遊技である。主制御基板200のCPU201は、特別図柄遊技を行うために、次のような特別図柄遊技処理を行っている。先ず、特別図柄を当り図柄で停止表示させるか、外れ図柄で停止表示させるかを決定し、次いで、図7に例示された何れの図柄で停止表示させるかを決定する。この段階で、特別図柄の当否態様、すなわち、特別図柄が当るのか外れるのか、そして当る場合は、確変当りなのか、通常当りなのかが決定される。また、これらすべての決定は、乱数を用いた抽選によって行われる。
特別図柄の当否態様を決定したら、今度は、特別図柄の変動パターンを決定する。変動パターンの決定も乱数抽選によって行われる。そして、変動パターンは、特別図柄の変動時間と対応付けられており、特別図柄の変動パターンを決めることによって、変動時間が決まるようになっている。
こうして特別図柄の当否対応、および変動パターンを決定したら、主制御基板200のCPU201は、図柄表示装置28に設けられた特別図柄表示部30で特別図柄の変動表示を開始するとともに、特別図柄の変動パターンを指定する制御コマンド(変動パターン指定コマンド)および、特別図柄の当否態様を指定する制御コマンド(特別図柄停止情報指定コマンド)を、サブ制御基板220に向かって出力する。そして、変動パターンによって決まる時間だけ、特別図柄を変動表示させたら、特別図柄を停止表示させることを表す制御コマンド(図柄停止コマンド)をサブ制御基板220に向かって出力するとともに、予め決定しておいた図柄で特別図柄を停止表示させる。
そして、停止表示させた特別図柄が当り図柄であった場合には、条件装置および役物連続作動装置の作動を開始させる。ここで条件装置とは、後述する役物連続作動装置が作動するための条件となる装置であり、特別図柄が前述した「確変当り図柄」または「通常当り図柄」の何れかで停止表示されると作動を開始して大入賞口31dを開口状態とする装置である。また、役物連続作動装置とは、一旦閉鎖された大入賞口31dを再び開口させる装置である。本実施例の遊技機1では、条件装置および役物連続作動装置は、何れも主制御基板200のCPU201によって主に構成されている。こうして条件装置および役物連続作動装置を作動させて、後述する特別電動役物遊技処理を実行することにより、いわゆる大当り遊技が開始されることになる。
以上に説明したように、特別図柄遊技処理(図9のS112)では、特別図柄の当否態様および停止図柄を決定して、特別図柄の変動表示および停止表示を行い、当り図柄が停止表示された場合には、条件装置および役物連続作動装置を作動させる処理を行う。また、こうした処理に合わせて各種の制御コマンドが、サブ制御基板220に向かって出力される。
主制御基板200のCPU201は、特別図柄遊技処理を終了すると、条件装置が作動中か否かを判断する(S114)。上述した特別図柄遊技処理で条件装置を作動させた場合(換言すれば、特別図柄が当り図柄で停止表示された場合)は、S114では「yes」と判断されて、後述する特別電動役物遊技処理が行われ、いわゆる大当り遊技が開始される。これに対して、条件装置が作動していない場合は(S114:no)、特別電動役物遊技処理を行うことなく、遊技制御処理の先頭に戻って、再び賞球関連処理(S100)以降の一連の処理を行う。
特別電動役物遊技処理では、大まかには次のような処理が行われる。先ず、遊技盤10の下方に設けられた大入賞口31d(図2を参照のこと)を開口状態とする。大入賞口31dは他の入賞口に比べて大きく開口するため、大入賞口31dが開口状態になると、高い確率で遊技球を入球させることができる。そして、開口時間が所定時間に達するか、大入賞口31dに所定個数の遊技球が入球すると、大入賞口31dを一旦閉鎖し、所定の閉鎖時間が経過すると、大入賞口31dを再び開口状態とする。また、大入賞口31dが開口してから閉鎖するまでの遊技は、「ラウンド」と呼ばれる。特別電動役物遊技処理では、こうしたラウンドを所定回数だけ繰り返して行う。また、所定回数のラウンドを行ったら、時短機能を作動させ、当り図柄が「確変当り図柄」であった場合は確変機能も作動させた後、特別電動役物遊技処理を終了する。そして、遊技制御処理の先頭に戻って、再び賞球関連処理(S100)以降の一連の処理を行う。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、以上のような遊技制御処理を繰り返し行うことによって、遊技機1の遊技を進行させる。また、遊技制御処理を行いながら各種の制御コマンドを出力している。サブ制御基板220は、このようにして主制御基板200から出力された制御コマンドを受け取って、以下に説明する演出制御処理を行う。
C−2.副制御基板における制御の概要 :
図10は、サブ制御基板220で行われる演出制御処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、遊技機1に電源が投入されて、サブ制御基板220の初期化動作が終了すると、サブ制御基板220に搭載されたCPU221によって実行される処理である。
図示されているように演出制御処理(S200)では、先ず初めに、主制御基板200から特別図柄の変動パターン指定コマンドを受信したか否かを判断する(S202)。特別図柄の変動パターン指定コマンドは、主制御基板200から出力される制御コマンドの一種であり、図9を用いて前述したように、特別図柄遊技処理の中で決定した特別図柄の変動パターンを受けて、サブ制御基板220に出力される。前述したように、特別図柄の変動パターンは特別図柄の変動時間を表しており、また、特別図柄変動パターン指定コマンドは、特別図柄表示部30における特別図柄の変動開始時に出力されるから、サブ制御基板220は、変動パターン指定コマンドを受け取ることによって、特別図柄の変動表示が開始されるタイミングおよび変動時間を知ることが可能となっている。このことから、特別図柄の変動パターン指定コマンドを受け取っていない場合は(S202:no)、特別図柄は未だ変動表示されないものと判断することができるので、コマンドを受け取るまで、そのまま待機状態となる。
やがて、主制御基板200から特別図柄の変動パターン指定コマンドが出力されると、サブ制御基板220のCPU221は、変動パターン指定コマンドを受け取ったと判断し(S202:yes)、次いで、特別図柄停止情報指定コマンドを受け取ったか否かを判断する(S204)。特別図柄停止情報指定コマンドを未だ受け取っていない場合は(S204:no)、そのまま待機状態となる。図9を用いて前述したように、特別図柄停止情報指定コマンドは、特別図柄を変動表示させた後、何れの図柄で停止表示させるかを示すコマンドであり、特別図柄の変動パターン指定コマンドに続いて出力される。従ってサブ制御基板220は、変動パターン指定コマンドを受信すると、程なくして、特別図柄停止情報指定コマンドも受信することができる。そして、特別図柄の変動パターン指定コマンドおよび特別図柄停止情報指定コマンドを受信することにより、サブ制御基板220のCPU221は、特別図柄の変動表示が開始されるタイミングや、変動時間、停止表示される特別図柄を知ることができる。
特別図柄停止情報指定コマンドを受け取ったら(S204:yes)、今度は、演出モードの切換条件が成立したか否かを判断する(S206)。本実施例の遊技機1には、電源の投入後に開始される一般的な演出モード(通常演出モード)と、所定の条件が成立したときに開始される演出モード(特別演出モード)の2つの演出モードが設けられている。また、演出モードが切り換わる条件としては、例えば、リーチ演出で連続して所定回数、外れが続いた場合や、特別なリーチ演出に続く大当り遊技が終了した場合など、予め種々の条件を設定しておくことができる。そこで、サブ制御基板220のCPU221は、特別図柄の変動パターン指定コマンドおよび特別図柄停止情報指定コマンドを受信すると、予め設定しておいた切換条件が成立しているか否かを判断するのである(S206)。そして、演出モードの切換条件が成立していた場合は(S206:yes)、演出モードを切り換える(S208)。これに対して、切換条件が成立していない場合は(S206:no)、演出モードの切り換えは行わない。
次いで、サブ制御基板220のCPU221は、現状の演出モードを取得した後(S210)、先に受け取った特別図柄の変動パターンや、現状の演出モードなどに基づいて、リーチ演出態様を決定する(S212)。
図11は、サブ制御基板220のCPU221が、リーチ演出態様を決定する様子を例示した説明図である。図示した例では、特別図柄の変動パターンとしては、「パターン特1」から「パターン特10」までの10種類の変動パターンが設けられており、変動パターンと、演出モードと、特別図柄の停止図柄との組合せに応じて、リーチ演出態様が決定されるようになっている。例えば、特別図柄の変動パターンが「パターン特3」であり、停止図柄が「当り図柄」の場合には、「通常演出モード」あるいは「特別演出モード」何れの場合でも、「時短当り1」というリーチ演出態様に決定される。また、「パターン特1」あるいは「パターン特2」という変動パターンは「当り図柄」の場合には発生しないため、これら変動パターンに対しては「外れ図柄」の場合にだけ、リーチ演出態様が決定される。更には、例えば「パターン特9」や「パターン特10」という変動パターンに対しては、演出モードによって、異なるリーチ演出態様が決定されるようになっている。
尚、図11では、特別図柄の停止図柄が「当り図柄」か「外れ図柄」かに応じてリーチ演出態様が異なっており、従って、特別図柄の変動パターンと、停止図柄と、演出モードとによって、リーチ演出態様が決定されるものとして説明した。しかし、停止図柄とは無関係に、特別図柄の変動パターンと演出モードとによってリーチ演出態様が決定され、決定された態様でリーチ演出を行った後に、指定された停止図柄でリーチ演出を終了させるようにしても良い。
図10に示した演出制御処理のS212では、このようにして、主制御基板200から受け取った特別図柄の変動パターンや現在の演出モードなどから、リーチ演出態様を決定する。本実施例の遊技機1では、この段階で、変動表示装置27の画面上で行われる具体的な演出の内容を特定することが可能となり、従って、図柄制御基板230に具体的な動作内容を指示することが可能となる。そこで、サブ制御基板220のCPU221は、具体的な動作内容を指示する制御コマンドを、図柄制御基板230に対して出力する(S214)。
図12は、サブ制御基板220から図柄制御基板230に出力される制御コマンドを例示した説明図である。図示されるように、制御コマンドは2バイトのデータとして出力され、上位バイトは制御コマンドの種類を表しており、下位バイトは制御コマンドによって指定された内容を表している。
図12(a)には、具体的な制御コマンドが例示されている。例えば、上位バイト「80」は、その制御コマンドが、特別図柄変動パターン指定コマンドであることを表しており、続く下位バイトは、そのコマンドで指定された変動パターンを表している。下位バイトは16進数表示で「00」〜「0A」の値を取ることができる。これは、図11を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では、特別図柄の変動パターンとして10種類の変動パターンが設けられており、何れかを指定できれば十分であることに対応したものである。もちろん、より多種類の変動パターンが設定されている場合には、それに応じて下位バイトの取り得る範囲は増加する。また、上位バイト「84」は、その制御コマンドが特別図柄停止情報指定コマンドであることを表している。図7を用いて前述したように、本実施例の特別図柄は12種類の図柄しか取り得ないから、上位バイト「84」に続く下位バイトは、「00」〜「0B」の値を取ることができる。更に、上位バイト「87」は、その制御コマンドが図柄停止コマンドであることを表している。このコマンドについては、図柄を停止する旨を指定するだけなので、下位バイトで指定する内容が存在せず、従って、下位バイトの値は「00」に固定されている。
以上に説明した3つの制御コマンドは、主制御基板200から出力された制御コマンドを、サブ制御基板220が、そのまま図柄制御基板230に転送しており、形式的にはサブ制御基板220から図柄制御基板230に出力されるのであるが、実質的には主制御基板200から図柄制御基板230に出力されている。従って、これらの制御コマンドについては、主制御基板200から図柄制御基板230に直接出力するようにしても構わない。
上位バイト「D1」は、その制御コマンドが、リーチ演出態様を指定するコマンドであることを表しており、続く下位バイトは、指定されるリーチ演出態様を表している。ここでは、図11に示したように、11種類のリーチ演出態様が設けられているから、下位バイトは16進数表示で「00」〜「0A」の値を取ることができる。もちろん、より多種類のリーチ演出態様を設けた場合には、それに応じて下位バイトの取り得る範囲も広くなる。また、上位バイト「B1」は、その制御コマンドが、リーチ演出後に停止させる左意匠図柄27aを指定するコマンドであることを表しており、上位バイト「B2」は、リーチ演出後に停止させる中意匠図柄27bを指定する制御コマンドであることを、そして上位バイト「B3」は、リーチ演出後に停止させる右意匠図柄27cを指定する制御コマンドであることを表している。前述したように本実施例の遊技機1では、意匠図柄として「1」〜「9」の数字を意匠化した図柄が用いられることに対応して、それぞれの下位バイトは「01」〜「09」の値を取ることができる。
これらの制御コマンドは、サブ制御基板220が図10の演出制御処理を実行する中で生成して、図柄制御基板230に出力するコマンドである。サブ制御基板220が生成する制御コマンドは、これらコマンドの他にも、図12(b)に示されるように、現在の演出モードを指定する制御コマンド(上位バイト「DB」のコマンド)や、演出モードを切り換えることとなった切換条件を指定する制御コマンド(上位バイト「E5」のコマンド)などが設けられている。図10に示した演出制御処理のS214では、このような制御コマンドを、図柄制御基板230に向かって出力する。
こうして図柄制御基板230に向かって制御コマンドを出力すると、変動表示装置27の画面上で各種の演出用図柄を表示させる処理は、図柄制御基板230によって行われる。そこで、サブ制御基板220は、変動表示装置27で行われる演出の内容に合わせて、効果音やランプ類などを用いた演出を実行する(S216)。
こうした演出が終了すると、今度は、大当りが発生したか否かを判断する(S218)。上述したようにサブ制御基板220は、主制御基板200から受け取った特別図柄の変動パターン指定コマンドおよび特別図柄停止情報指定コマンドによって、特別図柄の変動時間や何れの図柄で停止するかが分かっているから、大当りが発生するか否か、あるいは大当りが発生するタイミングを容易に判断することができる。そして、大当りが発生したと判断された場合は(S218:yes)、大当り遊技の演出内容を指示する制御コマンドを、図柄制御基板230に出力する(S220)。すると、変動表示装置27の画面上では、図柄制御基板230によって大当り遊技の演出が行われるので、サブ制御基板220は、この演出に合わせて、効果音やランプ類などを用いた大当り遊技の演出を実行する(S222)。一方、S218において、大当り遊技が発生していないと判断された場合は(S218:no)、これら大当り遊技用の演出を行う処理はスキップして、図10に示した演出制御処理の先頭に戻り、再び、上述した一連の処理を繰り返す。
このように、本実施例のサブ制御基板220が行う演出制御処理では、主制御基板200から受け取った特別図柄変動パターン指定コマンドや、特別図柄停止情報指定コマンドなどの各種制御コマンドに基づいて、具体的な演出内容を決定し、そして決定した演出内容に対応する制御コマンドを、図柄制御基板230に出力する。図柄制御基板230では、こうして出力された制御コマンドに従って、変動表示装置27で各種の演出用図柄を用いて演出を行う。以下、図柄制御基板230が行う制御の内容について概要を説明する。
C−3.図柄制御基板における制御の概要 :
図13は、サブ制御基板220からの制御コマンドに基づいて、図柄制御基板230が変動表示装置27の画面上で各種の演出用図柄を用いた演出を行う様子を概念的に示した説明図である。先ず、サブ制御基板220からは図柄制御基板230に向かって、各種の制御コマンドが出力される。図13では、サブ制御基板220から図柄制御基板230に制御コマンドが出力される様子を矢印によって表している。このうち、実線の矢印で示した変動パターン指定コマンドと、特別図柄(図中では特図と表示)停止情報指定コマンドと、図柄停止コマンドの3つの制御コマンドは、主制御基板200から出力された制御コマンドをそのまま転送するコマンドである。尚、矢印の下に(丸カッコ)を付けて表示された数値は、各制御コマンドの上位バイトの値を表している。
また、図中に破線の矢印で示した4つの制御コマンドは、サブ制御基板220で具体的な演出内容が決定されたことによって出力される制御コマンドである。例えば、リーチ演出態様指定コマンドは、サブ制御基板220によって決定された具体的なリーチ演出の態様を指定する制御コマンドであり、下位バイトには、何れのリーチ演出を行うかを特定するデータが設定されている。そこで、図柄制御基板230は、リーチ演出態様指定コマンドを受け取ると、下位バイトに設定されているデータに基づいて、画像メモリ(ここでは、図柄制御基板230に搭載されたROM232の一部領域を画像メモリとして使用)の所定範囲に記憶されている画像のデータを、1フレーム(1画面)ずつ読み出して、順次、変動表示装置27の画面上に表示させる処理を行う。画像のデータを読み出す範囲は、リーチ演出態様指定コマンドに対応付けて、ROM232に予め記憶されている。
図14は、画像メモリ上の領域が、リーチ演出態様指定コマンドに対応付けて記憶されている様子を例示した説明図である。例えば、上位バイト「D1」、下位バイト「00」のリーチ演出態様指定コマンドに対しては、画像メモリ上の0000〜0C2Fの範囲に、200フレーム分の画像データが記憶されている。また、上位バイト「D1」、下位バイト「01」のリーチ演出態様指定コマンドに対しては、画像メモリ上の0C30〜155Fの範囲に、250フレーム分の画像データが記憶されている。
また、サブ制御基板220からは、演出用停止図柄指定コマンドも出力される。演出用停止図柄指定コマンドとは、変動表示装置27の画面上で変動表示している3つの意匠図柄27a,27b,27cを、何れの図柄で停止表示させるかを指定するコマンドである。意匠図柄が、左意匠図柄27a、中意匠図柄27b、右意匠図柄27cの3つ設けられていることに対応して、演出用停止図柄指定コマンドも、左意匠図柄用、中意匠図柄用、右意匠図柄用の3つのコマンドが出力される。そして、図柄制御基板230は、これら3つのコマンドの下位バイトに設定された値から画像メモリ上のアドレスを特定して、特定したアドレスの画像データを読み出して、変動表示装置27の画面上に表示させる処理を行う。
図13中に太い一点鎖線で示した矢印は、図柄制御基板230が、サブ制御基板220から受け取った制御コマンドに基づいて、画像メモリ上の所定領域に記憶されている画像データを読み出して、変動表示装置27の画面上に順次、表示している様子を概念的に表したものである。
尚、図13に示したように、サブ制御基板220からは演出モード指定コマンドや、演出モード切換条件指定コマンドなども出力されるが、これらの制御コマンドは、主にサブ制御基板220や図柄制御基板230などでの動作を確認するために用いられるコマンドである。また、図13中に太い破線で示した矢印は、動作確認のために、変動表示装置27の画面上にデータを表示している様子を概念的に表したものである。これらの動作確認は、図柄制御基板230に搭載されたCPU231が、以下に説明する図柄制御処理を行う中で実行することが可能となっている。以下では、図柄制御基板230で行われる図柄制御処理について詳しく説明する。
D.図柄制御処理 :
図15は、図柄制御基板230で行われる図柄制御処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理も、図柄制御基板230の初期化動作が終了すると、図柄制御基板230に搭載されたCPU231によって実行される処理である。
図示されているように図柄制御処理(S300)では、先ず初めに、サブ制御基板220から制御コマンドを受信したか否かを判断する(S302)。ここでいう制御コマンドとは、図12および図13を用いて前述した各種の制御コマンドである。これら何れの制御コマンドも受信していない場合は(S302:no)、そのまま待機状態となるが、何れかの制御コマンドを受信したと判断された場合は(S302:yes)、制御コマンドの内容を解析して、図14を用いて前述したように、図柄制御基板230に搭載された画像メモリ(ここではROM232の一部領域)上で、対応する画像データが格納されているアドレス(またはアドレス範囲)を特定する(S304)。
次いで、図柄制御基板230のCPU231は、変動表示装置27の画面の表示モードを、デバッグモードにするか否かを判断する(S306)。ここで、デバッグモードとは、サブ制御基板220や図柄制御基板230の動作を確認するための表示モードである。図柄制御基板230のCPU231は、普通に起動した場合は、変動表示装置27の画面の表示モードを通常モードに設定するが、所定の条件、例えば上皿部5の前面側に設けられた2つの操作スイッチSW1,SW2を押しながら遊技機1の電源を投入するなどの所定の動作が行われた場合や、主制御基板200やサブ制御基板220、図柄制御基板230などが何らかのエラーを検出した場合など、予め定められた条件が成立すると、変動表示装置27の画面の表示モードをデバッグモードに切り換えるようになっている。図15に示した図柄制御処理のS306では、デバッグモードに切り換えるための何れかの条件が成立したか否かを判断し、何れかの条件が成立した場合は、表示モードをデバッグモードで表示するものと判断して(S306:yes)、以下のような処理を行う。
先ず、デバッグモードで変動表示装置27の画面上に表示する項目を取得する(S308)。これは次のような処理である。図16は、変動表示装置27の画面がデバッグモードで表示された様子を例示した説明図である。図16(a)がデバッグモード中の表示画面である。また、図16(b)には、参考として、通常モードで表示した画面が示されている。図16に示されているように、デバッグモード中の変動表示装置27の画面には、通常の演出用の画像が表示された上に、サブ制御基板220や図柄制御基板230の動作を確認するための各種のデータが表示されている。
例えば、画面中の左上には「レンジチェック」という項目とチェック結果とが表示されている。ここで、レンジチェックとは、図柄制御基板230がサブ制御基板220から制御コマンドを受け取るときに確認のために行う次のような点検動作をいう。例えば、図12(b)に示したように、上位バイトが「D1」の制御コマンド(リーチ演出態様指定コマンド)では、17種類のリーチ態様を指定可能であるから、その制御コマンドの下位バイトは、16進数表示で「00」〜「11」の範囲の値しか取り得ない。これを逆に言えば、制御コマンドの上位バイト「D1」に続く下位バイトが「12」(16進数表示)以上の大きな値であったとすると、何らかの異常が発生したものと考えられる。同様に、上位バイトが「B1」の制御コマンド(左意匠図柄の停止図柄指定コマンド)に続く下位バイトが「10」以上の値であった場合は、何らかの異常が発生したものと考えられる。レンジチェックでは、このように下位バイトの値が、上位バイトが表す制御コマンドに対して適切な範囲にあることを点検する。図柄制御基板230は制御コマンドを受け取る際に、必ずレンジチェックを行っており、図16に例示したデバッグモードの画面では、レンジチェックの確認結果が表示されている。
レンジチェックに関する項目の下方には、「80」という項目および、その項目についてのデータが表示されている。ここで、「80」という項目は、特別図柄変動パターン指定コマンドを表しており(図13参照のこと)、その項目についてのデータは、変動パターン指定コマンドで指定された変動パターンを表している。図12を用いて前述したように、制御コマンドは2バイトのデータとなっており、上位バイトはコマンドの種類を表している。そこで、デバッグモードにおいても、制御コマンドの上位バイトを表示することで、変動表示装置27の画面に表示した項目の内容を表している。
また、「80」という項目の下には、「84」という項目と「DB」という項目、およびそれら項目についてのデータが表示されている。ここで「84」という項目は、特別図柄停止情報指定コマンドを表しており、この項目についてのデータは、特別図柄停止情報指定コマンドで指定された特別図柄の停止図柄を表している。同様に、「DB」という項目は、演出モード指定コマンドを表しており、この項目についてのデータは、指定された演出モードを表している。
更に、変動表示装置27の画面の右下にも、4つの項目のデータが表示されている。先ず、一番上には、停止表示させる3つの意匠図柄27a,27b,27cが、3つ並べて表示されている。これらは、左意匠図柄、中意匠図柄、右意匠図柄のそれぞれの演出用停止図柄指定コマンド(上位バイトは「B1」,「B2」,「B3」)で指定された図柄である(図13参照のこと)。また、これら3つの意匠図柄の下には、リーチ演出態様の値が表示されている。これは、サブ制御基板220からリーチ演出態様指定コマンド(上位バイトは「D1」)の下位バイトで指定された値である。これらの項目については、デバッグモードでは必ずといって良いほど表示される項目なので、本実施例では、項目の表示は省略されて、項目のデータのみが表示されている。また、これら項目の下には、変動表示装置27の画面上で演出を行うために、画像メモリから読み出される総フレーム数と、現在、画面に表示されているフレームの番号が表示されている。総フレーム数は、図柄制御基板230のCPU231が、変動表示装置27の画面上で演出を行うために、画像メモリ上で画像データが格納されている領域を特定する際に取得されるデータである。また、フレームの番号は、画像データをフレーム単位で読み出して画面に表示する度に、1つずつ更新される値である。
デバッグモードで、変動表示装置27の画面上にどのような項目のデータを表示させるかは、図柄制御基板230のROM232の特定のアドレスに予め設定されている。そこで、図15に示した図柄制御処理のS308では、デバッグモードで表示した場合に、ROM232の特定のアドレスを読み出すことにより、デバッグモードで表示する項目についての設定を取得する処理を行う。尚、特定のアドレスに設定されているデータを変更したROM232に差し替えることで、デバッグモードで画面に表示する項目を変更することも可能である。あるいは、表示する項目のデータをRAM233のアドレスに設定することで、ROM232を差し替えずとも、画面に表示する項目を外部から変更可能としても良い。
次いで、取得した項目についてのデータを読み出して、図柄制御基板230に搭載されたRAM233の所定アドレスに記憶する処理を行う(S310)。このとき、既に記憶されているデータは、図柄制御基板230に搭載されたRAM233上の別のアドレスに退避させて、所定回数分(例えば10回分)のデータは残しておく。そして、読み出した項目のデータを変動表示装置27の画面上に表示した後(S312)、制御コマンドから特定した画像メモリ上のアドレスから、画像データをフレーム単位で読み出して、順番に変動表示装置27の画面上に表示する(S314)。
一方、変動表示装置27の画面の表示モードがデバッグモードではないと判断された場合は(S306:no)、画面上に各種の項目を表示するために行う処理(S308ないしS312)はスキップし、直ちに、画像メモリ上のアドレスからフレーム単位で画像で他を読み出して画面に表示する処理を行う(S314)。
こうして変動表示装置27の画面上で一連の演出を終了したら、再び先頭に戻って、続く一連の処理を行う。尚、変動表示装置27の画面を、通常モードあるいはデバッグモードの何れかの表示モードで表示する処理は、図柄制御基板230に搭載されたCPU231が、上述した図柄制御処理を実行する中で行われる。従って、本実施例の図柄制御基板230に搭載されたCPU231は、本発明における「通常態様表示手段」および「動作確認態様表示手段」に対応するものとなっている。また、変動表示装置27の画面上に表示された項目のデータを、所定回数分だけRAM233上に記憶しておく処理も、図柄制御基板230のCPU231が、上述した図柄制御処理を実行する中で行われている。従って、本実施例の図柄制御基板230に搭載されたCPU231は、本発明における「動作履歴記憶手段」に対応している。
以上に説明した図柄制御処理では、CPU231をデバッグモードで起動することで、サブ制御基板220から受け取った制御コマンドの内容と、これに対する図柄制御基板230の動作内容、および、その結果として表示された画面とを同時に確認することができるので、サブ制御基板220や図柄制御基板230の動作確認を容易に実行することができる。また、動作の異常が見つかった場合でも、異常の原因を容易に特定することができるので、異常に対して速やかに対策を取ることが可能となる。以下、この点について詳しく説明する。
例えば、図16に例示したデバッグモード中の画面では、左側に表示された項目の上から3番目に、「84:01」すなわち主制御基板200から出力された特別図柄停止情報指定コマンドの内容が表示されている。また、右側の項目の一番上には、「777」すなわちサブ制御基板220が決定した3つの意匠図柄の停止図柄が表示されている。これらの表示内容が整合しているか否かを確認することで、サブ制御基板220が正常に動作しているか否かを判断することができる。例えば、特別図柄停止情報指定コマンドによって指定された停止図柄が、「外れ図柄」や「通常当り図柄」であるにも拘わらず、サブ制御基板220が決定した意匠図柄の停止図柄が「777」であった場合には、サブ制御基板220の動作が異常と判断することができる。
また、サブ制御基板220が決定した意匠図柄の停止図柄が「777」であったにも関わらず、変動表示装置27の画面上で、3つの意匠図柄27a,27b,27cが、それ以外の図柄で停止表示した場合には、図柄制御基板230が画像メモリの誤ったアドレスのデータを読み出したか、あるいはアドレスに記憶されている画像データが間違っているかの何れかと考えられる。何れにしろ、図柄制御基板230の動作に問題があると判断することができる。
また、変動表示装置27の画面左側の上から2番目に表示された項目についても、同様にして、異常の有無および異常の原因を絞り込むことが可能である。すなわち、画面左側の上から2番目に表示された項目(「80:01」)は、主制御基板200から出力された特別図柄変動パターンを表している。また、画面右側の上から2番目に表示された項目(「0002」)は、サブ制御基板220によって決定されたリーチ演出態様を表している。従って、主制御基板200が決定した特別図柄変動パターンと、サブ制御基板220が決定したリーチ演出態様とが、互いに整合しているか否かを判断し、整合していればサブ制御基板220の動作は正常、整合していなければサブ制御基板220の動作が異常と判断することができる。更に、変動表示装置27の画面右側の上から3番目には、図柄制御基板230が画像メモリ(ここではROM232)から読み出す画像データの総フレーム数が表示されている。そして、画像データは1フレームずつ、所定の時間間隔(例えば、80msec)で読み出されるから、総フレーム数は変動表示装置27の画面上で行われる演出時間に対応している。そこで、総フレーム数から導かれた演出時間と、サブ制御基板220が決定したリーチ演出態様の演出時間(延いては、特別図柄変動パターンに示される変動時間)とが一致するか否かを判断する。そして、一致していれば、図柄制御基板230の動作は正常であり、一致していなければ、図柄制御基板230の動作が異常と判断することができる。
更には、これらの表示項目と、各種の演出用図柄を用いた演出とを、同じ画面上で確認することができるので、例えば、演出中に一瞬だけ不適切な画面が表示された場合でも、そのような現象が発生した状況を表示項目の内容から的確に把握して、速やかに適切な対策を取ることが可能となる。また、図16に例示されているように、デバッグモード中は、変動表示装置27の画面に、現在表示している画像のフレーム番号も表示されるので、この表示から、不適切な画像のフレーム番号を知ることも可能である。
加えて、変動表示装置27の画面の表示が通常モードであった場合でも、何らかの異常が検知されると、直ちにデバッグモードに切り換わり、画面上に各種項目が表示されるので、異常の内容や、異常が発生した状況を的確に把握することができる。その結果、異常に対して速やかに適切な対策を取ることが可能である。このような理由から、本実施例の遊技機1では、サブ制御基板220や図柄制御基板230の動作確認を迅速に行って、動作異常が見つかった場合には、速やかに適切な対策を取ることが可能となっているのである。
尚、以上の説明では、デバッグモード中は、図16に例示したように、通常モードで表示される演出用画像の上に表示項目が重ねて表示されるものとして説明した。また、図16では、表示項目のデータが、演出用画像によって見難くなることを回避するため、演出用画像は若干うすめに(コントラストや彩度を下げた状態で)表示するものとした。しかし、演出用画像と、各種の表示項目とを同じ画面上で確認可能であれば、どのような形態で表示しても良い。例えば、図17に例示したように、デバッグモード中は、演出用画像を小さめに表示して、周囲にできた枠外に、各種の表示項目を表示するようにしても構わない。このようにしても、演出用画像と各種項目とを同時に確認することができるので、サブ制御基板220や図柄制御基板230の動作確認を容易に実行することが可能となる。
E.変形例 :
上述した実施例では、デバッグモードが開始された場合にだけ、変動表示装置27の画面に表示する項目のデータを取得し、取得したデータを少なくとも所定回数分は遡って記憶しているが、通常モード中は、表示項目のデータを取得して記憶することは無いものとして説明した。しかし、通常モード中にも、各種の表示項目のデータを取得して、少なくとも所定回数分は遡って記憶しておくこととしても良い。以下では、このような変形例について説明する。
図18は、変形例の図柄制御処理の流れを示すフローチャートである。変形例の図柄制御処理は、図15を用いて前述した図柄制御処理に対して、デバッグモード中ではない場合にも、各種表示項目のデータを取得して記憶している点や、エラーが発生した場合には表示項目の更新を中止する点が大きく異なっている。以下では、これらの相違点を中心として、変形例の図柄制御処理について説明する。
変形例の図柄制御処理(S350)においても、先ず初めに、サブ制御基板220から制御コマンドを受信したか否かを判断し(S352)、制御コマンドを受信していない場合は(S352:no)、コマンドを受信するまで待機状態となる。
そして制御コマンドを受け取ったら(S352:yes)、それまでにエラーが発生したか否かを判断する(S354)。ここでエラーとは、各制御基板で検出される各種のエラーが含まれる。例えば、前述したレンジチェックでエラーが検出されていた場合や、データの通信に伴って行うサムチェックでエラーが検出されていた場合には、これらエラーがリセットされない限り、S354では「エラーが発生した」と判断される。
エラーが発生していないと判断された場合は(S354:no)、デバッグモードで変動表示装置27の画面上に表示する項目を取得し(S356)、取得した項目についてのデータを読み出して、図柄制御基板230に搭載されたRAM233の所定アドレスに記憶する(S358)。このとき、図15を用いて前述した図柄制御処理と同様に、既に記憶されているデータは、RAM233上の別のアドレスに退避させて、所定回数分(例えば10回分)のデータは残しておく。
一方、S354において「エラーが発生した」と判断された場合には(S354:yes)、表示項目のデータを取得して記憶する処理(S356、S358)はスキップする。この結果、新たなデータが記憶されないので、エラーが発生する直前から所定回数分のデータが保持されることになる。
変形例の図柄制御処理では、こうして各種の表示項目のデータを読み出して記憶した後に、変動表示装置27の画面の表示モードを、デバッグモードにするか否かを判断する(S360)。変形例の図柄制御処理においても、予め定められた条件、例えば上皿部5の前面側に設けられた2つの操作スイッチSW1,SW2を押しながら遊技機1の電源を投入するなどの所定の動作が行われた場合や、主制御基板200やサブ制御基板220、図柄制御基板230などが何らかのエラーを検出した場合など、所定の条件が成立すると、デバッグモードに切り換わるようになっている。
そして、デバッグモード中と判断した場合は(S360:yes)、読み出した各種表示項目のデータを変動表示装置27の画面上に表示する(S362)。これに対して、デバッグモード中ではないと判断した場合は(S360:no)、各種の表示項目のデータを画面上に表示する処理はスキップする。
次いで、図柄制御基板230のCPU231は、先に、サブ制御基板220から受け取った制御コマンドの内容を解析して、画像メモリ(ここではROM232の一部領域)上で画像データが格納されているアドレス(またはアドレス範囲)を特定した後(S364)、特定した画像メモリ上のアドレスから、画像データをフレーム単位で読み出して、順番に変動表示装置27の画面上に表示する(S366)。
こうして変動表示装置27の画面上で一連の演出を終了したら、再び先頭に戻って、続く一連の処理を行う。尚、エラーが発生したことを検出して、各種表示項目のデータの更新を中止する動作は、図柄制御基板230に搭載されたCPU231が、上述した変形例の図柄制御処理を実行する中で行われている。従って、変形例の図柄制御基板230に搭載されたCPU231は、本発明における「誤動作検知手段」に対応している。
以上に説明した変形例の図柄制御処理においても、変動表示装置27の画面をデバッグモードで表示させることで、サブ制御基板220や図柄制御基板230の動作確認を容易に実行することができる。また、画面の表示モードがデバッグモードではない場合でも、各種の表示項目のデータが取得されて、所定回数分が常に更新されて記憶されている。そして、何らかのエラーが検知されると、画面の表示がデバッグモードに切り換わるとともに、表示項目のデータの更新が中止される。このため、エラーが発生した直前の状況を容易に把握することができるので、エラーの発生原因を特定して、速やかに適切な対策を取ることが可能となる。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上述した実施例では、本願の発明を弾球遊技機に適用した場合について説明した。しかし本願発明は、弾球遊技機に限らず、演出用の画面を備えた他の遊技機にも適用することができる。例えば、図19に示すように、複数の回胴を回転させた後、回胴を停止表示させることによって、所定の図柄の組合せを揃える遊技を行ういわゆる回胴式遊技機に対しても、同様に適用することができる。
また、上述した実施例では、演出用の画面を制御する図柄制御基板230は、遊技の進行を司る主制御基板200から直接制御されるのではなく、サブ制御基板220を介して間接的に制御されるものとして説明した。しかし、図柄制御基板230を主制御基板200から直接制御する場合にも、同様に適用することが可能である。