以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1〜図15は本発明をパチンコ機に採用した一実施形態を例示している。図1において、遊技機本体1は、矩形状の外枠2と、この外枠2の前側に左右一側、例えば左側のヒンジ3により開閉自在に枢着された前枠4とを備えている。前枠4の前側には、ガラス扉5と前面板6とが上下に配置され、夫々ヒンジ3と同じ側のヒンジ7により前枠4に開閉自在に枢支されている。前枠4上には、例えば上部に2個、下部に1個の計3個のスピーカ8が配置されている。
また、前面板6の前側には、払い出し手段(図示省略)から払い出された遊技球を貯留して発射手段(図示省略)に供給する上皿9が上部側に配置され、またその上皿9の下側には、例えば上皿9が満杯のときにその余剰球を貯留する下皿10が左側に、発射手段を作動させるための発射ハンドル11が右側に夫々設けられている。
また前枠4には、ガラス扉5の後側に対応して遊技盤12が着脱自在に装着されている。遊技盤12の前面側には、発射手段から発射された遊技球を案内するガイドレール13が環状に装着されると共に、そのガイドレール13の内側の遊技領域14に、センターケース15、普通図柄始動手段16、特別図柄始動手段17、大入賞手段18、普通入賞手段19等の各種遊技部品が配置されている。
センターケース15には、液晶表示手段21、普通図柄表示手段22、特別図柄表示手段23、普通保留個数表示手段24等の各種表示手段の他、LED25、モータ26aにより作動する可動体26等の演出手段が設けられている。また、液晶表示手段21は、演出図柄表示手段27、特別保留個数表示手段28等を構成している。
普通図柄表示手段22は、普通図柄を変動表示するためのもので、例えば「○」「×」の2種類の普通図柄に対応する2個の発光体(例えばLED)により構成されており、通過ゲート等よりなる普通図柄始動手段16が遊技球を検出することを条件にそれら2つの発光体が所定時間交互に点滅して、普通図柄始動手段16による遊技球検出時に取得された当たり判定乱数値が予め定められた当たり判定値と一致する場合には当たり態様に対応する「○」側の発光体が発光した状態で、それ以外の場合には外れ態様に対応する「×」側の発光体が発光した状態で、点滅が終了するようになっている。
また、普通図柄表示手段22の変動表示中、又は後述する普通利益状態中に普通図柄始動手段16が遊技球を検出した場合には、その検出時に取得された当たり判定乱数値が予め定められた上限保留個数、例えば4個を限度として記憶されると共に、例えば上限保留個数と同数の発光体よりなる普通保留個数表示手段24がその発光個数により当たり判定乱数値の記憶個数(以下、普通保留個数という)を表示して、その時点での普通保留個数を遊技者に報知するようになっている。
特別図柄始動手段17は、特別図柄表示手段23による図柄変動を開始させるためのもので、上下2つの特別始動口17a,17bと、下特別始動口17bを開閉する開閉手段29とを備え、例えばセンターケース15の下側に配置されている。
上特別始動口17aは、開閉手段等を有しない非作動式入賞口である。下特別始動口17bは、開閉手段29により遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能な閉状態とに切り換え可能な作動式入賞口で、普通図柄表示手段22の変動後の停止図柄が当たり態様となって普通利益状態が発生したときに、開閉手段29が所定時間、所定回数だけ閉状態から開状態に変化するように構成されている。
特別図柄表示手段23は、1個又は複数個、例えば1個の特別図柄を変動表示可能な7セグメント式等の表示手段により構成されており、特別図柄始動手段17が遊技球を検出すること、即ち上下2つの特別始動口17a,17bの何れかに遊技球が入賞することを条件に特別図柄を所定時間変動表示して、特別始動口17a,17bへの入賞時に取得された大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致する場合には所定の大当たり態様で、それ以外の場合には外れ態様で停止するようになっている。
特別図柄には、例えば大当たり態様及び外れ態様が夫々一又は複数種類ずつ設けられている。なお、それら各態様には夫々数字図柄等を割り当ててもよいし、遊技者がその特別図柄の種類を容易に区別できないように、任意の線や点の組み合わせのような特別な意味を持たない図柄を割り当ててもよい。
また、特別図柄の変動表示中、又は後述する特別利益状態中に特別始動口17a,17bに遊技球が入賞した場合には、その入賞時に取得された大当たり判定乱数値等が夫々所定の上限保留個数、例えば各4個を限度として記憶されると共に、特別保留個数表示手段28が大当たり判定乱数値の記憶個数(以下、特別保留個数という)を表示して、その時点での特別保留個数を遊技者に報知するようになっている。
演出図柄表示手段27は、例えば特別図柄表示手段23による特別図柄の変動表示と並行して演出図柄を変動表示するもので、1個又は複数個、例えば左右方向に3個の演出図柄を例えば各種の演出画像と共に液晶表示手段21の表示画面21aに変動表示可能に構成されており、特別図柄始動手段17が遊技球を検出すること、即ち上下2つの特別始動口17a,17bの何れかに遊技球が入賞することを条件に特別図柄の変動開始と同時に所定の変動パターンに従って演出図柄の変動を開始すると共に、特別図柄の変動停止と同時に最終停止するように、演出図柄を左、右、中等の所定の順序で停止させるようになっている。
演出図柄には、例えば「0」〜「9」の10種類の数字図柄が用いられ、「6・6・6」「7・7・7」等、3つの図柄が全て同じ図柄で揃ったものが大当たり態様、少なくとも1つの図柄が異なるものが外れ態様となっている。本実施形態では、特別図柄が大当たり態様となる場合には演出図柄も大当たり態様となり、特別図柄が外れ態様となる場合には演出図柄も外れ態様となるものとする。なお、演出図柄表示手段27は、特別図柄の変動内容とは直接関係のない演出を行う場合があってもよい。
演出図柄の変動パターンには、大きく分けて、リーチ状態を経ることなく外れ態様となるリーチなし外れ変動パターン、リーチ状態を経由して外れ態様となるリーチ外れ変動パターン、リーチ状態を経由して大当たり態様となるリーチ大当たり変動パターンがあり、更に変動時間の違い等によって夫々複数種類用意されるため、その種類数は膨大となるのが通常であるが、本実施形態では、リーチの有無や大当たり/外れの別を無視した5種類の変動パターン1〜5に簡略化して説明する。
特別保留個数表示手段28は、特別保留個数分の保留表示画像Xの表示個数により特別保留個数を表示するもので、表示画面21a上の所定部分、例えば下部側に特別保留個数分の保留表示画像Xを表示するようになっている。
大入賞手段18は、遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能な閉状態とに切り換え可能な開閉板30を備えた開閉式入賞手段で、特別図柄表示手段23の変動後の特別図柄が大当たり態様となることに基づいて発生する特別利益状態中に、開閉板30が所定の開放パターンに従って前側に開放して、その上に落下した遊技球を内部へと入賞させるようになっている。
図2は本パチンコ機の制御系のブロック図である。図2において、31は主制御基板、32は演出制御基板で、これら各制御基板31,32は、遊技盤12に装着されたセンターケース15、その他の複数個の遊技部品を裏側から一括して覆う裏カバーの裏側等、前枠4及び遊技盤12を含む遊技機本体1の裏側の適宜箇所に着脱自在に装着された基板ケースに夫々収納されている。なお、図2では演出制御基板32以外のサブ制御基板、例えば払い出し制御基板等については省略している。
主制御基板31は、主に遊技盤12側の遊技動作に関わる制御を行うためのもので、CPU,ROM,RAM等により構成される普通乱数作成処理手段41、普通始動口チェック処理手段42、普通乱数記憶手段43、普通図柄処理手段44、普通利益状態発生手段45、普通図柄表示制御手段46、特別乱数作成処理手段51、特別始動口チェック処理手段52、特別乱数記憶手段53、特別図柄処理手段54、特別利益状態発生手段55、特別図柄表示制御手段56、特別遊技状態発生手段57、コマンド送信手段58等を備えている。
普通乱数作成処理手段41は、変動後の普通図柄を当たり態様とするか否かの判定に用いる当たり判定乱数等を所定時間毎に繰り返し発生するように構成されている。普通始動口チェック処理手段42は、普通図柄始動手段16による遊技球の検出に基づく処理を行うもので、普通図柄始動手段16が遊技球を検出することに基づいて、普通乱数作成処理手段41で作成された当たり判定乱数値を1個取得し、その当たり判定乱数値を予め定められた上限保留個数(例えば4個)を限度として普通乱数記憶手段43に記憶させるように構成されている。
普通図柄処理手段44は、普通図柄の変動表示に関する処理を行うもので、普通図柄表示手段22が変動表示可能な状態となり且つ普通乱数記憶手段43に1個以上の当たり判定乱数値が記憶されていること(普通保留個数が1以上であること)を条件に、普通乱数記憶手段43に最も早く記憶された当たり判定乱数値を取り出し、その当たり判定乱数値が予め定められた当たり判定値と一致するか否かに応じて当たり/外れの判定を行う当たり判定機能、当たり/外れの判定結果に基づいて普通図柄の変動後の停止図柄の種類を選択する普通停止図柄選択機能、普通図柄の変動時間を選択する変動時間選択機能等を備えている。
普通利益状態発生手段45は、普通図柄処理手段44による判定結果が当たり判定となり、普通図柄表示手段22の変動後の停止図柄が当たり態様となったときに、特別図柄始動手段17を構成する下特別始動口17bの開閉手段29を例えば複数種類の開閉パターンの何れかに従って開状態に変化させるようになっている。
普通図柄表示制御手段46は、普通図柄処理手段44による普通図柄処理に基づいて普通図柄表示手段22の表示制御を行うもので、普通図柄表示手段22が変動表示可能な状態となり且つ普通乱数記憶手段43に1個以上の当たり判定乱数値が記憶されていること(普通保留個数が1以上であること)を条件に普通図柄表示手段22による普通図柄の変動を開始させ、普通図柄処理手段44で選択された変動時間が経過することに基づいて、同じく普通図柄処理手段44で選択された停止図柄で普通図柄の変動を停止させるようになっている。
特別乱数作成処理手段51は、変動後の特別図柄を大当たり態様、外れ態様の何れにするかについての判定に用いる大当たり判定乱数の他、変動後の特別図柄が大当たり態様となる場合の停止図柄の選択に用いる大当たり図柄乱数、変動後の特別図柄が外れ態様となる場合の停止図柄の選択に用いる外れ図柄乱数、演出図柄の変動パターンの選択に用いる変動パターン乱数、その他の所定の乱数を繰り返し発生する特別乱数作成処理を行うように構成されている。
特別始動口チェック処理手段52は、特別図柄始動手段17への遊技球の入賞に基づく処理を行うもので、特別図柄始動手段17が遊技球を検出すること、即ち特別始動口17a,17bに遊技球が入賞することに基づいて、特別乱数作成処理手段51で作成された大当たり判定乱数値及び大当たり図柄乱数値を1個ずつ取得し、それら当たり判定乱数値及び当たり図柄乱数値を予め定められた上限保留個数(例えば各4個)を限度として特別乱数記憶手段53に記憶させるように構成されている。
特別図柄処理手段54は、特別図柄の変動表示に関する処理を行うもので、特別図柄表示手段23が変動表示可能な状態となり且つ特別乱数記憶手段53に1個以上の大当たり判定乱数値が記憶されていること(特別保留個数が1以上であること)を条件に、特別乱数記憶手段53に最も早く記憶された大当たり判定乱数値を取り出し、その大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致するか否かに応じて大当たり/外れの判定を行う大当たり判定機能、大当たり/外れの判定結果と、特別乱数記憶手段53に大当たり判定乱数値と共に記憶されている大当たり図柄乱数値又は新たに取得された外れ図柄乱数値とに基づいて、特別図柄の変動後の停止図柄を選択する特別停止図柄選択機能、大当たり/外れの判定結果と新たに取得された変動パターン乱数値とに基づいて、演出図柄の変動パターンを例えば図7等に示す5種類の中から選択する変動パターン選択機能等を備えている。
特別利益状態発生手段55は、大入賞手段18を所定の開放パターンに従って開放する特別利益状態を発生させるためのもので、特別図柄処理手段54による大当たり/外れの判定結果が大当たり判定となり、特別図柄表示手段23による特別図柄の変動後の停止図柄が大当たり態様となることに基づいて特別利益状態を発生させるようになっている。本実施形態の開放パターンは、大入賞手段18の開放から所定時間(例えば28秒)経過するか、それまでに所定個数(例えば9個)の遊技球が入賞することを条件に大入賞手段18を閉鎖する動作を、所定ラウンド数(例えば15ラウンド)繰り返すように設定されているものとするが、複数種類の開放パターンを設け、例えば大当たり図柄乱数値に基づいてそれらの何れかを選択するように構成してもよい。
特別図柄表示制御手段56は、特別図柄表示手段23の表示制御を行うもので、特別図柄処理手段54による特別図柄処理に基づいて、特別図柄表示手段23による特別図柄の変動を開始させると共に、選択された演出図柄の変動パターンに対応する変動時間が経過することに基づいて所定の停止図柄で特別図柄の変動を停止させるようになっている。
特別遊技状態発生手段57は、特別利益状態発生後の所定期間に遊技者に有利な特別遊技状態を発生させるためのもので、例えば特別乱数記憶手段53に記憶された大当たり判定乱数値が大当たり判定値と一致した場合の大当たり図柄乱数値に応じて、時短状態と確変状態との何れかの特別遊技状態を発生させるように構成されている。
時短状態中は、例えば特別図柄に関して特別図柄表示手段23の変動時間が通常変動時間よりも短い短縮変動時間に切り換えられる他、普通図柄に関して、当たり確率が通常確率(例えば1/10)から高確率(例えば1/1.3)へ、変動時間が通常変動時間(例えば27秒)から短縮変動時間(例えば2.7秒)へ、下特別始動口17bの開閉手段29の開閉パターンが通常開閉パターン(例えば0.2秒×1回開放)から特別開閉パターン(例えば2秒×3回開放)へ、夫々切り換えられるようになっている。なお、時短状態は例えばその開始後に特別図柄が所定回数(例えば50回)変動するか、次の特別利益状態が発生した時点で終了する。
確変状態中は、それ以外の通常確率状態中よりも大当たり判定値の数が例えば1個から10個へ増加されることにより、特別図柄が大当たり態様となる確率が通常確率(例えば1/350)よりも高い高確率(例えば1/35)に切り換えられると共に、例えば時短状態と同様の処理も併せて行われるようになっている。なお、確変状態は例えば次の特別利益状態が発生した時点で終了する。
コマンド送信手段58は、所定の制御コマンドを一方向通信により演出制御基板32等のサブ制御基板側に送信して制御指令を与えるためのものである。各サブ制御基板のうちの演出制御基板32に対しては、例えば特別保留個数の増加時に、増加後の特別保留個数等を指定する保留加算コマンドが送信され、また特別図柄の変動時には、まず変動開始時に、減少後の特別保留個数等を指定する保留減算コマンド、演出図柄の変動パターンを指定する変動パターンコマンド、特別図柄の停止図柄を指定する図柄指定コマンドが例えばこの順序で送信され、変動終了時に、演出図柄の変動停止を指示する変動停止コマンドが送信される等、所定のタイミングで各種コマンドが送信されるようになっている。
なお、主制御基板31にはケーブルを介してサブ制御基板と接続するためのコネクタ59が一又は複数設けられており、コマンド送信手段58からの各コマンドはこのコネクタ59から出力される。
演出制御基板32は、液晶表示手段21、スピーカ8、LED25、可動体26等の各種演出手段を制御するもので、コマンド受信手段61、コマンド出力部(出力部)62、演出制御手段63、特別保留個数表示制御手段64、演出図柄制御手段65等を備えている。
コマンド受信手段61は、主制御基板31等から送信される制御コマンドを受信してその後の処理のための初期処理を実行するためのものである。演出制御基板32には、ケーブルを介して主制御基板31と接続するためのコネクタ66が設けられており、コマンド受信手段61は、このコネクタ66を介して制御コマンドを受信可能となっている。
コマンド出力部(出力部)62は、基板外にデバッグ用のコマンドを出力するためのもので、図15に示すように、コネクタ67を電気的に接続された状態で装着可能なコネクタ装着部により構成されており、このコマンド出力部62に装着されたコネクタ67からケーブル等を介してデバッグ用のコマンドを取り出すことが可能となっている。このように、このコマンド出力部62から出力されるのは、開発段階でのみ使用するデバッグ用のコマンドであるため、開発(デバッグ)段階の遊技機に搭載される開発版の演出制御基板32ではこのコマンド出力部62にコネクタ67が装着されているが、販売される遊技機に搭載される量産版の演出制御基板32ではこのコマンド出力部62にはコネクタ67は装着されない。従って、量産版の演出制御基板32では、内部的には開発段階と同じくデバッグ用のコマンド出力処理も行われるが、それを外部に取り出すことはできない。
演出制御手段63は、各種演出手段を制御するもので、液晶表示手段21による画像表示を制御する液晶制御手段63a、スピーカ8からの音声出力を制御する音声制御手段63b、LED25等の発光を制御する発光制御手段63c、可動体26のモータ26aの駆動を制御するモータ制御手段63d等を備えている。
特別保留個数表示制御手段64は、液晶制御手段63aを介して特別保留個数表示手段28の表示制御を行うもので、特別図柄始動手段17により新たに遊技球が検出され、主制御基板31から保留加算コマンドを受信したときに、その保留加算コマンドに基づいて、液晶表示手段21の表示画面21a上の所定位置に増加後の特別保留個数分の保留表示画像Xを表示し、例えば主制御基板31から保留減算コマンドを受信することに基づいて、表示中の保留表示画像Xの数を1個減少させて前側にシフトさせるように構成されている。
演出図柄制御手段65は、演出図柄の変動に関する制御を行うもので、予告演出抽選手段65a、停止図柄抽選手段65b、演出実行手段65c等を備え、例えば主制御基板31から変動パターンコマンドを受信し且つその後所定時間以内に図柄指定コマンドを受信することに基づいて図3に示す図柄指定コマンド受信時処理を実行し、また演出図柄の変動開始後は所定時間間隔で図5に示す予告演出開始処理及び図6に示す予告演出実行処理を夫々実行するように構成されている。
まず、図柄指定コマンドを受信することに基づいて実行される図柄指定コマンド受信時処理(図3)について説明する。図3に示す図柄指定コマンド受信時処理では、図柄指定コマンドに先立って受信した変動パターンコマンドで指定された変動パターンと、今回受信した図柄指定コマンドで指定された特別図柄の停止図柄との整合性がチェックされる (S1)。そして、両者が整合していないと判定された場合(S2:No)にはS3以降の処理が実行されることなく図柄指定コマンド受信時処理は終了する。
S2において整合していると判定された場合には(S2:Yes)、主制御基板31から受信した変動パターンコマンド“A***H”(**は各変動パターンに固有の値)が、変動パターン情報として例えばそのままコマンド出力部62に向けて出力される(S3)と共に、予告演出抽選手段(演出抽選手段)65aによって予告演出抽選処理が実行される(S4)。
予告演出抽選処理(S4)では、例えば図4に示すように、まずその時点の演出モードを示す演出モード情報がコマンド出力部62に向けて出力される(S11)。本実施形態では、2種類の演出モード1,2が設けられているものとする。この演出モードは、例えば特別遊技状態中を演出モード1、それ以外の通常遊技状態中を演出モード2とするなど、任意に設定可能である。もちろん、演出モードを3種類以上設けてもよい。なお、演出モード情報には、例えば“9A**H”(**は各演出モードに固有の値)等のコマンドが割り当てられているものとする(図12参照)。
次に、演出モードに対応した分岐抽選テーブルと変動パターンとに基づいて抽選グループを選択する分岐抽選が行われ(S12)、その分岐抽選で選択された抽選グループを示す抽選グループ情報がコマンド出力部62に向けて出力される(S13)。本実施形態では、図7に示すように2種類の演出モード1,2に対応する2種類の分岐抽選テーブル1,2が設けられており、その時点の演出モードに基づいてそれら2種類の分岐抽選テーブル1,2の何れかが用いられるようになっている。各分岐抽選テーブルでは、変動パターン毎に、例えば4種類の抽選グループA〜Dの選択率が規定されている。例えば、演出モード1で変動パターン1が選択されている場合には、図7(a)に示すように抽選グループA〜Dが夫々50,20,20,10の選択率となるように抽選される。なお、抽選グループ情報には、例えば“9B**H”(**は各抽選グループに固有の値)等のコマンドが割り当てられているものとする(図12参照)。
続いて、分岐抽選(S12)によって選択された抽選グループに対応する演出抽選テーブル選択テーブルに基づいて、複数種類の予告演出について、夫々シナリオの抽選を行うか否か(即ちその予告演出を実行するか否か)、及びシナリオの抽選を行う場合にはその抽選に用いる演出抽選テーブルについて特定され(S14)、その特定された情報、例えばシナリオの抽選を行うか否かについてのシナリオ抽選情報、及びシナリオの抽選に用いる演出抽選テーブルについての演出抽選テーブル情報がコマンド出力部62に向けて出力される(S15)。本実施形態では、図8に示すように4種類の抽選グループA〜Dに対応する4種類の演出抽選テーブル選択テーブルが設けられ、また予告演出は予告演出1〜7の7種類設けられているものとする。
図8に示す各演出抽選テーブル選択テーブルには、複数種類の予告演出毎に、シナリオの抽選に用いる演出抽選テーブルの種類を示す情報(例えばyo1_TBL1,yo4_TBL2等)、又はそのシナリオの抽選を行わない(予告演出を実行しない)旨の情報 (例えばyo1_0,yo2_0)が設定されている。例えば分岐抽選(S12)で抽選グループAが選択された場合には、図8(a)の演出抽選テーブル選択テーブルに基づいて、予告演出4,5についてのみシナリオの抽選が行われ、その抽選では夫々演出抽選テーブルyo4_TBL1,yo5_TBL1が用いられる。
なお、S15で出力される情報のうち、例えばシナリオ抽選情報には例えば“9C**H”(**は予告演出の種類とその予告演出についてシナリオ抽選を行うか否かに関する値)等のコマンドが、演出抽選テーブル情報には例えば“9D**H”(**は予告演出の種類と演出抽選テーブルに関する値)等のコマンドが夫々割り当てられているものとする(図12参照)。
そして、S14で特定された演出抽選テーブルを用いて予告演出シナリオの抽選が行われ(S16)、その抽選によって選択された予告演出シナリオを示す抽選結果情報がコマンド出力部62に向けて出力される(S17)と共に、その予告演出シナリオがセットされる(S18)。各演出抽選テーブルでは、図9に示すように、変動パターン(所定の遊技関連情報の一例)毎に、複数種類の予告演出シナリオ(演出内容を規定する演出実行情報の一例)及び予告演出なしについての選択率が規定されている。例えば、図9(a)に示す演出抽選テーブルyo1_TBL1では、変動パターン1の場合には予告演出なし、予告演出シナリオ1−1が夫々90,10%の選択率で選択され、変動パターン5の場合には予告演出なし、予告演出シナリオ1−1〜1−4が夫々10,40,10,30,10%の選択率で選択される設定となっている。なお、抽選結果情報には、例えば“9E**H”(**は各予告演出シナリオに固有の値)等のコマンドが割り当てられているものとする(図12参照)。
以上のS14〜S18の処理が、演出抽選テーブル選択テーブル(図8)で特定された全ての演出抽選テーブルについて繰り返され(S19)、予告演出抽選処理は終了する。
ここまでの処理により、コマンド出力部62から出力される情報は図12に示すようになる。これらの情報のうち、変動パターン情報、演出モード情報、抽選グループ情報、シナリオ抽選情報及び演出抽選テーブル情報が、抽選の内容を示す抽選実行情報の一例である。
当該パチンコ機の開発段階では、演出制御基板32のコマンド出力部62にコネクタ67を装着し、そのコネクタ67からケーブルを介してデバッグ用のコンピュータに抽選実行情報と抽選結果情報とを取り込むことができる。これにより、抽選結果だけでなく、その抽選の内容、即ち例えばシナリオ抽選の前提となった変動パターン情報、演出モード情報、抽選グループ情報の他、各シナリオ抽選の条件等に基づいて、抽選フローの妥当性の検証を効率的且つ正確に行うことが可能となり、デバッグ作業の人的、時間的な負荷が軽減されることが期待される。
予告演出抽選手段65aによる予告演出抽選処理(S4)が終了すると、続いて、停止図柄抽選手段65bにより、演出図柄の停止図柄を選択する停止図柄抽選処理(S5)が実行された後、変動パターンコマンドで指定された変動パターンに基づいて、演出実行手段65cの制御により、演出制御手段63を介して演出図柄の変動が開始される(S6)。
演出図柄の変動開始後は、演出実行手段65cにより、所定時間間隔で図5に示す予告演出開始処理及び図6に示す予告演出実行処理が夫々実行される。予告演出開始処理(図5)では、予告演出抽選処理(S4)で選択された一又は複数の予告演出シナリオに基づいて、夫々の予告演出シナリオの開始タイミングが到来したか否かが判定される(S21)。ここで、各予告演出シナリオの開始タイミングは、例えば演出図柄の変動開始からの経過時間で規定され、図10に示すように例えば予告演出の種類毎に予め決められており、例えば予告演出1に関する予告演出シナリオの開始タイミングは演出図柄の変動開始から1000ms後、予告演出4に関する予告演出シナリオの開始タイミングは演出図柄の変動開始から5000ms後となっている。
S21において予告演出シナリオの開始タイミングが到来したと判定されない場合(S21:No)にはその時点で予告演出開始処理は終了するが、何れかの予告演出シナリオの開始タイミングが到来したと判定された場合には(S21:Yes)、その予告演出シナリオ(例えば図11)の演出データがセットされる(S22)と共に、その予告演出シナリオを示すシナリオ開始情報がコマンド出力部62に向けて出力される(S23)。なお、シナリオ開始情報は、抽選結果に基づいて演出制御手段65cが各演出手段を作動させる際の作動内容を示す演出作動情報を構成するもので、例えば“8A**H”(**は各予告演出シナリオに固有の値)等のコマンドが割り当てられているものとする(図14参照)。
また、予告演出実行処理(図6)では、予告演出開始処理(図5)で開始された予告演出シナリオに基づいて、その予告演出シナリオにおける各演出データの開始タイミングが到来したか否かが判定される(S31)。ここで、予告演出シナリオでは、例えば図11に示すように、演出手段毎の作動内容を示す演出データとその演出データによる演出の開始タイミングとが一又は複数組設定されている。また、演出データ毎の開始タイミングは、例えばその予告演出シナリオの開始からの経過時間で設定されている。
S31において演出データの開始タイミングが到来したと判定されない場合(S31:No)にはその時点で予告演出実行処理は終了するが、何れかの演出データの開始タイミングが到来したと判定された場合には(S31:Yes)、演出制御手段63の液晶制御手段63a,音声制御手段63b,発光制御手段63c,モータ制御手段63dの制御により、各演出データに基づく演出が開始される(S32)と共に、その演出データを示す演出開始情報がコマンド出力部62に向けて出力される(S33)。
なお、演出開始情報は、上述したシナリオ開始情報と共に演出作動情報を構成するもので、例えばLED25の演出データに対しては“8B**H”(**はLED25の演出データ毎の固有の値)、スピーカ8からの音声出力に関する演出データに対しては“8C**H”(**はスピーカ8の演出データ毎の固有の値)、モータ26aの演出データに対しては“8D**H”(**はモータ26aの演出データ毎の固有の値)、液晶表示手段21の演出データに対しては“8E**H”(**は液晶表示手段21の演出データ毎の固有の値)等の各コマンドが割り当てられているものとする(図14参照)。
図13は、演出抽選テーブルyo1_TBL1(図9(a))による抽選で選択される予告演出シナリオ1−1(図11(a))と、演出抽選テーブルyo4_TBL1(図9(b))による抽選で選択される予告演出シナリオ4−3(図11(b))とに基づく各演出データの実行履歴を示したものである。
図13の例では、演出図柄の変動開始からまず1000ms後に予告演出シナリオ1−1(図11(a))による予告演出が開始され、0ms後、即ちこの予告演出シナリオの開始と同時に演出データLED_01に基づくLED25の発光が開始され、50ms後に演出データSP_01に基づく音声出力及び演出データMO_01−1に基づくモータ26aの駆動(可動体26の作動)が開始され、100ms後に演出データLCD_01に基づく液晶表示手段21による画像表示が開始され、3000ms後に演出データLED_02に基づくLED25の発光が開始される。
また、演出図柄の変動開始から5000ms後に予告演出シナリオ4−3(図11(b))による予告演出が開始され、0ms後、即ちこの予告演出シナリオの開始と同時に演出データLED_04に基づくLED25の発光及び演出データSP_04に基づく音声出力が開始され、100ms後に演出データLCD_04−0に基づく液晶表示手段21による画像表示が開始され、6000ms後に演出データLCD_04−3に基づく液晶表示手段21による画像表示が開始される。
そして、その図13の例の場合にコマンド出力部62から出力される演出作動情報は例えば図14に示すようになる。このように、当該パチンコ機の開発段階では、演出制御基板32のコマンド出力部62に装着したコネクタ67からケーブルを介してデバッグ用のコンピュータに抽選結果情報と演出作動情報とを取り込むことができる。これにより、抽選結果とそれに対応する実際の演出実行状況とに基づいて演出実行フローの妥当性の検証を効率的且つ正確に行うことが可能となり、デバッグ作業の人的、時間的な負荷が軽減されることが期待される。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、実施形態では、抽選結果情報と演出作動情報の他に抽選実行情報についてもコマンド出力部62を介して基板外へ出力可能に構成した例を示したが、本発明では抽選実行情報の出力は必須ではない。
予告演出の抽選内容は任意であり、抽選実行情報を出力する場合、その抽選実行情報は抽選内容に応じて設定すればよい。例えば、演出モードの移行抽選を行う場合には、その演出モード移行抽選に用いた抽選テーブル等の情報を抽選実行情報に含めればよい。また、例えば実施形態では、予告演出1〜7の全てについて、シナリオの抽選を行うか否かについてのシナリオ抽選情報とシナリオの抽選に用いる演出抽選テーブルについての演出抽選テーブル情報とを出力するように構成したが、シナリオの抽選を行う場合の演出抽選テーブルの情報のみを出力するように構成してもよい。
実施形態では、演出図柄変動中の予告演出に関するデバッグ情報の出力について説明したが、その他の演出、例えば特別保留個数表示手段28による保留個数表示について行われる演出(例えば大当たり/外れの事前判定結果に応じた予告演出)に関しても、例えば保留加算コマンド受信時に実施形態と同様の処理を行うことによりデバッグ情報の出力が可能である。
また実施形態では本発明をパチンコ機に適用した例を示したが、アレンジボール機等の他の弾球遊技機を含め、スロットマシン等の各種遊技機において同様に実施可能であることは言うまでもない。