JP4839973B2 - セルロース混合エステル交絡マルチフィラメント - Google Patents
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Description
1.5≦(アセチル基の平均置換度)≦2.5
0.5≦(アシル基の平均置換度)≦1.5
上記式を満たすセルロース混合エステルは、布帛とした場合でも、熱軟化温度が高く、適度な吸湿性を有するものとなるため好ましい。また、必要に応じて添加することのできる可塑剤との相溶性も高いため、繊維製造工程中における可塑剤のブリードアウトを予防することができるため好ましい。
A.GPCによる重量平均分子量(Mw)測定
セルロース混合エステルの濃度が0.15重量%となるようにテトラヒドロフランに完全に溶解させ、GPC測定用試料とした。この試料を用い、以下の条件のもと、Waters2690でGPC測定を行い、ポリスチレン換算により重量平均分子量(Mw)を求めた。
検出器 :Waters2410 示差屈折計RI
移動層溶媒:テトラヒドロフラン
流速 :1.0ml/分
注入量 :200μl
B.強度、伸度、弾性率
温度20℃、湿度65%の環境下において、島津製作所製オートグラフAG−50NISMS形を用い、試料長20cm、引張速度20cm/minの条件で引張試験を行って、最大荷重の示す点の応力(cN)を繊度(dtex)で除した値を強度(cN/dtex)とした。またそのときの伸度を伸度(%)とした。弾性率(cN/dtex)は、JIS L 1013(1999)に基づいて測定した。すなわち、荷重−伸長曲線を描き、この曲線より原点の近くで伸長変化に対する荷重変化の最大点を求め、その値を繊度で除した値を弾性率とした。なお測定回数はそれぞれ5回とし、その平均値を強度、伸度、弾性率とした。
C.繊度変動値(U% Half)
U%測定は、ツェルベガーウースター社製ウースターテスター4−CXにより、下記条件にて測定して求めた。
測定時間 :2.5分
測定繊維長:500m
撚り :S撚り、12000/m
なお測定回数は5回であり、その平均値をU%値とした。
D.交絡数
交絡数は、JIS L 1013(1999)に記載の方法により測定を行った。すなわち試料の一端を適切な垂下装置の上部つかみに取り付け、つかみ部から1m下方の位置におもりをつり下げながら垂直に垂らし、試料の上部つかみから1cm下部の点に糸収束を2分割するようにフックを挿入し、フックの他端に所定荷重を取り付け、約2cm/秒の速度でフックを下降させ、フックが糸の交絡によって停止したまでのフックの下降距離を求め、次式により交絡数を求めた。
交絡数=1000/下降距離
なお、測定回数は3回であり、その平均値を交絡数とした。
E.糸/糸動摩擦係数
糸/糸動摩擦係数は、摩擦係数測定装置(英光産業(株)製)により測定した。糸の進行方向に沿って、入りのセパレートローラーの糸張力をT1、ローラーを介して出のセパレートローラーの糸張力をT2とし、ローラー上で2回捻りを入れた。糸/糸動摩擦係数は下記式及び条件により求めた。なお、測定回数は3回であり、その平均値を糸/糸動摩擦係数とした。
摩擦係数(μ)=ln(T2/T1)/π
供糸速度 :55m/分
測定時間 :30秒
F.糸/金属(鏡面)動摩擦係数
糸/金属摩擦係数は摩擦係数測定装置(英光産業(株)製)により測定した。糸の進行方向に沿って、入りのセパレートローラーの糸張力をT1とし、ローラーを介して、出のセパレートローラーの糸張力をT2として次式、下記式及び条件により糸/糸動摩擦係数を求めた。この時、入り及び出のセパレートローラーとローラーの角度は90°とした。また、測定回数は3回であり、その平均値を糸/金属動摩擦係数とした。なお、金属とは鏡面のことをいう。
摩擦係数(μ)=ln(T2/T1)/π
供糸速度 :2.5m/分
測定時間 :60秒
G.織物品位の評価
目視検査により織物の品位を評価した。品位に関しては、光沢性、毛羽及びフィブリルの有無を目視確認し、毛羽及びフィブリルが全くみられず、光沢性、風合いに優れた非常に高品位のものを◎、毛羽及びフィブリルは全くみられないが、光沢性、風合いが前者より若干劣り、やや高品位なものを○、毛羽やフィブリルが若干見られ、光沢性がやや失われ、風合いが硬いものを△、毛羽やフィブリルが著しく、光沢性が見られず、風合いが硬いものを×とした。これらのうち、◎と○を合格、△と×は不合格とした。
H.解舒性試験
津田駒工業(株)製のAJLを用いて製織を行い、解舒速度を1000mpmとし、解舒性を目視確認し、糸が進行方向に対してスムーズに解舒され、糸切れがなかったものを◎、解舒にやや引っ掛かりがあるが、糸切れなく解舒されたものを○、解舒がスムーズではなく、そして単糸割れや、糸切れが発生したものを×とした。
I.毛羽測定
東レエンジニアリング(株)製のフライカウンター測定機を用いて毛羽数の測定を行った。サンプル糸を500m/分で回転する第1ホットローラーにて引き取り、第1ホットローラーと同じ速度で回転する第2ホットローラーを介してサンプル糸をサクションガンで吸引した。フライカウンター測定機は第1ホットローラーと第2ホットローラーの間に設置し、毛羽数の測定を行った。なお、測定長は100000mである。
セルロース(日本製紙(株)製溶解パルプ)100重量部に、酢酸240重量部とプロピオン酸67重量部を加え、50℃で30分間混合した。混合物を室温まで冷却した後、氷浴中で冷却した無水酢酸172重量部と無水プロピオン酸168重量部をエステル化剤として、硫酸4重量部をエステル化触媒として加えて、150分間撹拌を行い、エステル化反応を行った。エステル化反応において、40℃を越える時は、水浴で冷却した。反応後、反応停止剤として酢酸100重量部と水33重量部の混合溶液を20分間かけて添加して、過剰の無水物を加水分解した。その後、酢酸333重量部と水100重量部を加えて、80℃で1時間加熱撹拌した。反応終了後、炭酸ナトリウム6重量部を含む水溶液を加えて、析出したセルロースアセテートプロピオネート(CAP)を濾別し、続いて水で洗浄した後、60℃で4時間乾燥した。得られたセルロースアセテートプロピオネートのアセチル基およびプロピオニル基の平均置換度は各々1.9、0.7であり、重量平均分子量(Mw)は17.8万であった。
合成例1で製造したセルロースアセテートプロピオネート82重量%と平均分子量600のポリエチレングリコール(PEG600)17.9重量%およびホスファイト系着色防止剤としてビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト0.1重量%を二軸エクストルーダーを用いて230℃で混練し、5mm程度にカッティングしてセルロースエステル組成物ペレット(Mw16.0万)を得た。
交絡処理の作動圧空圧を0.2〜1.0MPaと変更する以外は実施例1と同じ条件で実施した。実施例1と同様に紡糸、交絡処理とも製糸性はいずれも良好であり、糸切れは発生しなかった。弾性率はすべて40cN/dtex以下であり、十分に柔軟な繊維であったので、得られる織物の柔軟性は優れており、毛羽及びフィブリルの発生は見られない光沢性に優れた高品位の織物が得られた。また、得られた繊維(100デシテックス−48フィラメント)は強度が1.2cN/dtex〜1.3cN/dtex、伸度が23%〜26%であり、物性は良好であり、得られたマルチフィラメントを経糸および緯糸に用いて、津田駒工業(株)製のAJLにて製織を行ったところ、糸の解舒性は良好であった。
実施例1での可塑剤の含有率を24.9重量%、乾燥後の含水分率を850ppm、と変更する以外は実施例1と同じ条件で実施した。実施例1と同様に紡糸、交絡処理とも製糸性はいずれも良好であり、糸切れは発生しなかった。弾性率は24cN/dtexであり、実施例2〜5よりさらに柔軟な繊維であったので、得られる織物の柔軟性および織物品位については優れたものが得られた。また、得られた繊維(100デシテックス−48フィラメント)は強度が1.1cN/dtex、伸度が35%であり、得られたマルチフィラメントを経糸および緯糸に用いて、津田駒工業(株)製のAJLにて製織を行ったところ、表面に顕在化したPEGのため、滑りが良く、糸の解舒性はさらに良好であった。
実施例1での可塑剤の含有率を14.9重量%、乾燥後の水分率を550ppmと変更する以外は実施例1と同じ条件で実施した。実施例1と同様に紡糸、交絡処理とも製糸性はいずれも良好であり、糸切れは発生しなかった。弾性率は37cN/dtexであり、実施例2〜5より剛性は大きいため、得られる織物の柔軟性はやや劣るものの、毛羽やフィブリルの発生は無く、得られる織物の織物品位については良好であった。また、得られた繊維(100デシテックス−48フィラメント)は強度が1.4cN/dtex、伸度が21%であり、得られたマルチフィラメントを経糸および緯糸に用いて、津田駒工業(株)製のAJLにて製織を行ったところ、ガイドの箇所でやや引っ掛かりがあるように見られたが、糸の解舒性は問題なかった。
実施例1での可塑剤をグリセリンジアセトモノオレート(G−AAO)17.9重量%に変更する以外は実施例1と同じ条件で実施した。実施例1と同様に紡糸、交絡処理とも製糸性はいずれも良好であり、糸切れは発生しなかった。弾性率は30cN/dtexであり、毛羽やフィブリルの発生は無く、得られる織物の柔軟性及び得られる織物の織物品位については良好であった。また、得られた繊維(100デシテックス−48フィラメント)は強度が1.1cN/dtex、伸度が24%であり、得られたマルチフィラメントを経糸および緯糸に用いて、津田駒工業(株)製のAJLにて製織を行ったところ、表面に顕在化した可塑剤の影響により滑りが良く、糸の解舒性は良好であった。
交絡処理の作動圧空圧を0MPa、実質的には交絡を付与しない条件で実施した以外は実施例1と同じ条件で実施した。紡糸、交絡処理とも製糸性は良好であり、糸切れは発生しなかった。得られた繊維(100デシテックス−48フィラメント)は、強度が1.2cN/dtex、伸度が24%、弾性率が28cN/dtex、U%(H)が0.90%、交絡数0個/mであり、かつ毛羽数は6個/100000mであった。
交絡処理の作動圧空圧を1.1MPa、とした以外は実施例1と同じ条件で実施した。紡糸時には過度の圧空量により、油剤が飛散し、糸切れが発生したため、製糸安定性は良好ではなかった。得られた繊維(100デシテックス−48フィラメント)は、強度が1.1cN/dtex、伸度が21%、弾性率が29cN/dtex、U%(H)が0.80%、交絡数131個/mであり、かつ毛羽数は4個/100000mであった。
実施例1での可塑剤の含有率を4.5重量%としメルター温度280℃にて溶融させ紡糸温度280℃とした溶融紡糸パックへ導入して、吐出量6.1g/分の条件で第1ゴデットローラと第2ゴデットローラーの回転速度を600m/分と変更する以外は実施例1と同じ条件で実施した。紡糸時の糸の伸長粘度が高く、既に巻取り糸への毛羽の発生が確認された。また、得られた糸の弾性率は45cN/dtexであり、糸の剛性が大きく、得られた織物の風合いは硬く、毛羽やフィブリルの発生が確認されており、織物品位は乏しいものであった。また、得られたマルチフィラメントを経糸および緯糸に用いて、津田駒工業(株)製のAJLにて製織を行ったところ、解舒時にガイドとの擦過による、糸切れが多発し、織機の停台回数が多いため、実用的化するためには乏しいものであった。
置換度が2.9、平均重合度が360であるセルローストリアセテート(CTA)を用いて塩化メチレン/メタノール=9/1の混合溶媒とする乾式紡糸法により、セルローストリアセテートフィラメントを得た。得られたマルチフィラメント(84デシテックス−20フィラメント)を実施例1と同様に圧空圧0.6MPaで交絡処理をしたところ、時折単糸切れを引き起こし製糸安定性は不良であった。また、得られたマルチフィラメントを経糸および緯糸に用いて、津田駒工業(株)製のAJLにて製織を行ったところ、糸切れ停台が発生し、得られた織物には毛羽やフィブリルの発生が確認され、織物品位に乏しいものであった。
2:溶融紡糸パック
3:紡糸口金
4:冷却装置
5:紡出糸条
6:給油装置
7:第1ゴデットローラー
8:第2ゴデットローラー
9:交絡処理装置
10:巻取機
Claims (4)
- セルロース混合エステルを主成分とし、可塑剤5〜30重量%を少なくとも含有する組成物からなるマルチフィラメントであって、交絡数が53〜120個/mであり、弾性率が40cN/dtex以下であることを特徴とするセルロース混合エステル交絡マルチフィラメント。
- セルロース混合エステルがセルロースアセテートプロピオネートまたはセルロースアセテートブチレートであることを特徴とする請求項1記載のセルロース混合エステル交絡マルチフィラメント。
- セルロース混合エステルを主成分とする組成物が、セルロース混合エステル70〜95重量%と可塑剤5〜30重量%とを少なくとも含有するものであることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のセルロース混合エステル交絡マルチフィラメント。
- 強度が1.1〜3.0cN/dtexであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロース混合エステル交絡マルチフィラメント。
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