JP4838511B2 - 軸継手及びこれを備えた歯車伝動装置 - Google Patents
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Description
前記はすば歯車を用いる場合は、該歯車の円周方向のトルク伝達力Ftとともに歯車の軸方向のスラスト力が作用する。このスラスト力Faは、はすば角をβとすると、
Fa=Ft・tanβとなる。
蒸気タービンを主機関とする船舶用減速機のような容量の大きな歯車では前記スラスト力Faが大きくなることから、従来より種々の手段が講じられてきており、一般には前記はすば角(β)が逆方向になる2つの歯を組み合わせてなる両はすば歯車(ダブルヘリカルギヤ)が用いられている。
図10の(A)は、互いに噛合う2つの歯車Aと歯車Bとが軸方向調心機構を備えず軸方向に調心されていない場合を示し、図10の(B)は軸方向調心機構を備えて軸方向に調心されている場合を示す。
図10の(A)に示されている軸方向調心機構を備えない場合は、互いに噛合う歯車A及び歯車Bの左列の歯は右列の歯よりも歯当たりが強く、そのために噛合い反力(歯に直角方向の力)F1またはF2、トルク伝達力(噛合い反力Fの周方向成分)FT1またはFT2、スラスト力(噛合い反力Fの軸方向成分)FA1またはFA2ともに、左列の歯が右列の歯よりも大きくなる。
かかる力の作用状態から、歯車Aあるいは歯車Bを軸方向に移動可能にした軸方向調心機構を備えておれば、図10(B)のように、歯車A及び歯車Bは、両側(左側及び右側)のスラスト力FAがバランスする(FA1=FA2)位置に調心される。
図6において、1は蒸気タービンの高圧タービン(図示省略)からの高圧側入力軸、2は低圧タービン(図示省略)からの低圧側入力軸である。この2段減速機は、船首側に第1段噛合い部Aが、船尾側に第2段噛合い部Bがそれぞれ構成されている。
以下の説明は低圧側について行うが、高圧側も同様な構成である。
第1段噛合い部Aは、前記低圧側入力軸2に連結される第1ピニオン3と、これに噛合う上下の第1ホイール4,4からなる。該第1ホイール4,4はそれぞれに対応する第2段噛合い部Bの第2ピニオン5,5を駆動する。
該第2段噛合い部Bの第2ピニオン5,5は第2ホイール6と噛合う。該第2ホイール6の回転力は、出力軸(プロペラ軸)7に伝達され、前記第1段噛合い部A及び第2段噛合い部Bにおいて2段減速された回転力により出力軸(プロペラ軸)7が駆動される。
図7〜図8において、4は前記第1ホイール、5は前記第2ピニオンで、前記第1ホイール及び第2ピニオンは中空の歯車軸06及び歯車軸05にそれぞれ固定されている。8は前記歯車軸05及び歯車軸06の中空部に挿入されたクイル軸で、船尾側の端部が前記歯車軸05にリジットカップリング9により連結されている。
前記クイル軸8は、トルクを伝達するとともに、曲げ剛性及び捩り剛性を小さく構成することにより、前記第1ホイール4と第2ピニオン5との間でのアライメント誤差及び上下の歯車のトルク分担の平準化をなすようにしている。
従って、前記第1ホイール4の回転力は、前記ギアカップリング10からクイル軸8に伝達され、該クイル軸8からリジットカップリング9を介して第2ピニオン5に伝達されることとなる。16は前記クロー11の固定用ナットである。
かかる船舶用2段減速機においては、軸方向に相対移動可能なクロー(凸歯車)11とスリーブ(凹歯車)12とを組み合わせた前記ギアカップリング10を、第1ホイール4と第2ピニオン5との間に前記クイル軸8を介して設置することにより、前記第1ホイール4側と第2ピニオン5側とを軸方向に移動可能にした軸方向調心機構を構成している。
このため、かかる従来技術にあっては、前記第1ピニオン3と第1ホイール4との第1噛合い部A及び第2ピニオン5と第2ホイール6との第2噛合い部Bにおける軸方向調心作用が円滑に行われず、前記第1噛合い部A及び第2噛合い部Bにおける歯車の負荷分担に不均等が生じ、歯面の片当たりや歯車の損傷が誘発される恐れがある。
また、前記特許文献1(特開2004−138608号公報)の技術は、かかる問題点を解決するものではない。
また、かかる発明によれば、従来のギアカップリングのようなカップリングの歯面の潤滑が一切不要となるので、潤滑用の配管が不要となって潤滑設備が簡単かつ低コストとなるとともに潤滑油の消費量を低減できる。
これにより、前記各歯車軸に設けられて互いに噛合う歯車の負荷分担を均等化できて、該負荷分担の不均等に伴う歯面の片当たりや歯車の損傷の誘発を防止でき、歯車伝動装置の耐久性が向上するとともに、動力伝達の安定性、信頼性を向上できる。
これにより、以上のように構成された2個のダイヤフラムを備えた軸継手を歯車伝動装置に適用すれば、歯車軸の軸方向調心の調整幅を広くすることができる。
また、入力側回転軸と出力側回転軸との間に設けたストッパー装置によって、前記2軸の過大な相対移動を回避できる。
よって本発明によれば、従来のギアカップリングのような、軸方向摩擦力が過大となってスプライン結合部における軸方向の移動が円滑に行われなくなるという不具合の発生を回避できて、該ギアカップリングに比べて耐久性が向上するとともに、動力伝達の安定性、信頼性が向上した軸継手が得られる。
従って、かかる軸継手を供えた歯車伝動装置においては、互いに噛合う歯車の負荷分担を均等化できて、該負荷分担の不均等に伴う歯面の片当たりや歯車の損傷の誘発を防止でき、歯車伝動装置の耐久性が向上するとともに、動力伝達の安定性、信頼性を向上できる。
また、軸継手の潤滑が一切不要となるので、潤滑用の配管が不要となって潤滑設備が簡単かつ低コストとなるとともに潤滑油の消費量を低減できる。
これにより、前記のように構成された2個のダイヤフラムを備えた軸継手を歯車伝動装置に適用すれば、歯車軸の軸方向調心の調整幅を広くすることができる。
図6において、1は蒸気タービンの高圧タービン(図示省略)に連結される高圧側入力軸、2は低圧タービン(図示省略)に連結される低圧側入力軸である。この2段減速機は、船首側に第1段噛合い部Aが、船尾側に第2段噛合い部Bがそれぞれ構成されている。
以下の説明は低圧側について行うが、高圧側も同様な構成である。
第1段噛合い部Aは、前記低圧側入力軸2に連結される第1ピニオン3と、これに噛合う上下の第1ホイール4,4からなる。該第1ホイール4,4はそれぞれに対応する第2段噛合い部Bの第2ピニオン5,5を、後述するクイル軸8(図5参照)を介して駆動する。
該第2段噛合い部Bの第2ピニオン5,5は第2ホイール6と噛合う。該第2ホイール6の回転力は出力軸(プロペラ軸)7に伝達され、前記第1段噛合い部A及び第2段噛合い部Bにおいて2段減速された回転力により出力軸(プロペラ軸)7が駆動される。
図5は、本発明の実施例に係る軸方向調心機構を備えた歯車軸の斜視断面図である。
図5において、4は前記第1ホイール、4aは外周に該第1ホイール4が固定された中空のホイール歯車軸、5は前記第2ピニオン、5aは外周に該第2ピニオン5が固定された中空のピニオン歯車軸である。
8は前記ホイール歯車軸4a及びピニオン歯車軸5aの中空部に挿入されたクイル軸で、船尾側の端部が前記ピニオン歯車軸5aにリジットカップリング9により連結されている。
前記クイル軸8は、トルクを伝達するとともに、曲げ剛性及び捩り剛性を小さく構成することにより、前記第1ホイール4と第2ピニオン5との間でのアライメント誤差及び上下の歯車のトルク分担の平準化をなすようにしている。
従って、前記第1ホイール4の回転力は、ホイール歯車軸4aから前記ダイヤフラム式軸継手20を介してクイル軸8に伝達され、該クイル軸8からリジットカップリング9を介してピニオン歯車軸5a及び第2ピニオン5に伝達されることとなる。
図1は、本発明の参考例に係る船舶用減速機の歯車伝動装置におけるダイヤフラム式軸継手20の軸心線に沿う断面図である。
図1において、13は前記ホイール歯車軸4aの前端部に連結されたフランジ、22は前記クイル軸8の前端部に固定された連結部材である。26は該連結部材22の抜け止め用のナットである。
21はラバー、ステンレス薄板等の可撓性材料からなるダイヤフラムである。該ダイヤフラム21は、軸の半径方向に延びる板状体で構成されており、該ダイヤフラム21の外周部がスペーサ24を介して前記フランジ13にボルト25によって固定されるとともに、内周部が前記連結部材22にボルト23によって固定されている。
これにより、前記第1ホイール4と噛合う第1ピニオン3(図6参照)、あるいは第2ピニオン5と噛合う第2ホイール6の負荷分担を均等化できて、該負荷分担の不均等に伴う歯面の片当たりや歯車の損傷の誘発を防止でき、歯車伝動装置の耐久性が向上する。
また、かかるダイヤフラム式軸継手20は、従来のギアカップリング10のようなカップリングの歯面の潤滑が一切不要となるので、潤滑用の配管が不要となる。
図2は、本発明の実施例を示す図1対応図である。
かかる実施例においては、前記参考例と同様なダイヤフラムを2個設けて内周側をボルト23によって連結し、一方のダイヤフラム28の外周側を前記クイル軸8及び第2ピニオン5側に連結される連結部材22の外周に連結し、他方のダイヤフラム21の外周側を前記ホイール歯車軸4a及び第1ホイール4側に連結されるフランジ13の外周に連結している。これにより、前記連結部材22とフランジ13との間に、ボルト29を介して2個のダイヤフラム28,21を直列に配置した回転力伝達系となる。
その他の構成は図1に示される参考例と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示す。
かかる実施例においては、前記ダイヤフラム28,21が許容変位Sを超える過大変位を起こそうとすると、前記段部30と段部31とが当たりあるいは前記前記フランジ13と連結部材22とが当たることによって、前記ダイヤフラム28,21の前記許容変位S以上の過大な相対移動を回避できる。
2 低圧側入力軸
A 第1段噛合い部
B 第2段噛合い部
3 第1ピニオン
4 第1ホイール
5 第2ピニオン
4a ホイール歯車軸
5a ピニオン歯車軸
6 第2ホイール
7 出力軸(プロペラ軸)
8 クイル軸
13 フランジ
20 ダイヤフラム式軸継手
21、28 ダイヤフラム
22 連結部材
24 スペーサ
30、31 段部
200 ストッパー装置
Claims (2)
- ピニオンとこれに噛み合うホイールとからなり入力軸に連結される第1段噛合い部と、ピニオンとこれに噛み合うホイールとからなり出力軸に連結される第2段噛合い部とを歯車軸の軸方向に並設し、前記第1段噛合い部と第2段噛合い部において2段減速される船舶用2段減速機の歯車伝達装置を構成し、前記第1段噛合い部のホイールが外周に固定された中空のホイール歯車軸と、前記第2段噛合い部のピニオンが外周に固定された中空のピニオン歯車軸との中空部にクイル軸が挿入され、該クイル軸の一端部が前記第2段噛合い部のピニオン歯車軸にリジッドカップリングによって固定され、前記クイル軸の他端部と前記第1段噛合い部のホイール歯車軸とを連結して、前記第1段噛合い部の回転力を、前記クイル軸を介して前記第2段噛合い部に伝達する軸継手において、
可撓性材料からなるダイヤフラムを前記クイル軸およびホイール歯車軸の半径方向に延びる板状体で構成するとともに、軸方向に2個並設し、両ダイヤフラムの内周部同士を連結し、該2個のダイヤフラムのうち軸方向端部側に設けられるダイヤフラムの外周部を前記ホイール歯車軸の軸端部に径方向に延びるフランジに軸方向に伸びるスペーサを介して軸端部側からボルトで固定し、前記軸方向端部側に設けられるダイヤフラムの内側に設けられるダイヤフラムの外周部を前記クイル軸の軸端部に固定され軸方向断面形状がL字形状の連結部材の径方向部分に軸端部側からボルトで固定し、前記2個のダイヤフラムを直列に配置し、前記連結部材の外周部に前記クイル軸と前記ホイール歯車軸との間の軸方向における移動量を規制するストッパー装置を設けてなることを特徴とする軸継手。 - 入力軸に連結される第1の歯車軸に連結された第1の歯車列と、出力軸に連結される第2の歯車軸に連結された第2の歯車列とを前記歯車軸の軸方向に並設し、前記第1の歯車軸と第2の歯車軸との間に前記第1の歯車列と第2の歯車列との間の軸方向位置を調整可能にした軸継手を介装してなり、前記第1の歯車列と第2の歯車列とによって2段減速される船舶用2段減速機の歯車伝動装置において、
前記第1の歯車列を構成するホイールが外周に固定された中空のホイール歯車軸と、前記第2の歯車列を構成するピニオンが外周に固定された中空のピニオン歯車軸とを設け、前記ホイール歯車軸の中空部および前記ピニオン歯車軸の中空部にクイル軸が挿入され、該クイル軸の一端部が前記ピニオン歯車軸にリジッドカップリングによって固定され、前記クイル軸の他端部と前記ホイール歯車軸と連結して、前記第1歯車列の回転力を、前記クイル軸を介して前記第2歯車列に伝達する軸継手を備え、
可撓性材料からなるダイヤフラムを前記クイル軸およびホイール歯車軸の半径方向に延びる板状体で構成するとともに、軸方向に2個並設し、両ダイヤフラムの内周部同士を連結し、該2個のダイヤフラムのうち軸方向端部側に設けられるダイヤフラムの外周部を前記ホイール歯車軸の軸端部に径方向に延びるフランジに軸方向に伸びるスペーサを介して軸端部側からボルトで固定し、前記軸方向端部側に設けられるダイヤフラムの内側に設けられるダイヤフラムの外周部を前記クイル軸の軸端部に固定され軸方向断面形状がL字形状の連結部材の径方向部分に軸端部側からボルトで固定し、前記2個のダイヤフラムを直列に配置し、前記連結部材の外周部に前記クイル軸と前記ホイール歯車軸との間の軸方向における移動量を規制するストッパー装置を設けてなることを特徴とする歯車伝動装置。
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