JP4838481B2 - サイクル運転されるエレベータ - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、エレベータかごが、位相が互いにずれた状態で連続的に移動させられることによって、2つの階の間で乗員が搬送されるピストンタイプの乗員搬送システムに関する。
【0002】
【背景技術】
通常、昇降行程が小さい建物(モールなど)内では、通行人は、エスカレータによって、階間を移動する。通常、モールには、数台のエレベータが備えられているが、多くのモールでは、エスカレータが利用されている。周知のエレベータにおいては、乗客による呼びつまりかごの要求に基づいて、かごが分配される。このようなエレベータには、待ち時間、ドアが開く時間、停止時間などがあるため、エスカレータほど多数の乗客を迅速に搬送することができない。階間を迅速に移動でき、かつ待ち時間を挟まずに連続的に移動できることから、モール内の買い物客は、エスカレータを好む傾向がある。さらに、買い物客は、モール内を見まわすことができるという点でも、開放的な構造のエスカレータを好む。
【0003】
統計によると、平均的なエスカレータは、エレベータよりもはるかに多数の乗客を搬送する。しかし、エスカレータにも欠点はある。例えば、エスカレータは、エレベータのように、乳母車や車椅子などを搬送することができない。
【0004】
従って、本発明も目的は、エスカレータのように乗客が連続的に流れるエレベータ型システムを提供することである。
【0005】
【発明の開示】
本発明の開示された実施例によると、少なくとも3台のかごが、これらの位相が互いにずれた状態で2つの階間を移動するように、運転される。本願において、かごの位置に関して用いられる「位相がずれた」という用語については、移動のサイクルをまず定義することにより説明できる。通常運転中、制御装置によって、複数のかごが所望の移動サイクルで移動させられる。移動サイクルは、かごがまず最初にある階に到着した時点を起点として、かごがこの階を離れてもう一方の階へと移動し、最終的に元の階に戻るまでの過程として定義される。本発明によると、複数のかごが、様々な時点で前記サイクルのそれぞれ異なる点に位置した状態に維持される。このような意味で、これらのかごは、「位相がずれた」状態になっている。移動サイクルを360度として表すことができ、従って、3台のかごは、位相が120度ずれた状態に維持され、4台のかごは、位相が90度ずれた状態に維持される。本発明の主要な形態によると、制御システムによって、複数のエレベータかごが、周期的に変化する目的位置に基づいて移動させられる。通常は、乗員からの呼びつまり要求に応じて、かごが移動させられる。本発明は、システムの通常運転中に、単に、各階にかごが常に配備されるようにかごを目的位置まで移動させることによって、移動を制御するシステムに関する。
【0006】
好適な実施例によると、4台のかごがグループ分けされて2つの対とされ、1つの対における2台のかごが互いに180度だけ位相がずれた状態に維持され、他方の対とは90度だけずらされる。本願において、「他方の階まで移動する」という記載には、階に到着した後にドアが開く時間なども含まれる。
【0007】
本発明の実際の物理的システムにおいては、ある階に位置していたかごが出発する前に、この階に向かっている別のかごが到着する。従って、本願において、本発明は、かごを常に1つの階へと移動させ、各階には1台のかごを待機させるものとして記載されている。さらに、上述した制御は、通常状態で行われる。夜間モード(sleep mode)や特定の時間間隔に行われるモードといった他の運転が行われる場合もあるが、このような運転時には、上述した基本制御は行われない。単に一例として挙げると、モール内のシステムにおいては、モールの開店時には、全てのかごが、1階まで一斉に移動させられる。しかし、通常運転中は、上述した制御が行われる。
【0008】
さらに、4台よりも多数のかごを用いることも可能である。このようなシステムは、3台以上のかごがあれば、運転することができる。さらに、3対以上のかごを用いることも可能である。様々な台数のかごを用いることが開示されているが、本発明の主な特徴は、3台以上の何台のかごによっても、達成できる。
【0009】
本発明の好適な実施例によると、対をなす2つのかごが、ロープやケーブルを介して単一の機械により駆動される。かごの対を移動させるための好適な方法もまた、開示されている。
【0010】
本発明の以上の特徴および他の特徴については、以下の詳細な説明および図面(および簡単な説明)から、明確に理解できる。
【0011】
【発明を実施するための最良の形態】
図1には、システム20において、各階28,26で、かご22およびかご24が、乗員を待機している状態が示されている。さらに、別のかご30が階28に向かって移動し、かご32が階24に向かって移動している。理想的には、各階において、常に、かごが乗員のために開いている。従って、システム20には、待ち時間がない。このことによって、エレベータの主な、多くの利用者にとって望ましくない側面が取り除かれる。
【0012】
機械34によって、滑車36が駆動され、これによって、ケーブルもしくはワイヤ40が滑車38のまわりで移動する。かご22,24の位相が互いに正反対に維持されながら、ケーブル40によって、これらのかご22,24が階26と階28との間を移動させられる。同様な機械42によって、滑車43が駆動され、これによって、ケーブル44が別の滑車46のまわりで移動し、これによって、かご30,32が連動するようになっている。かご30,32もまた、互いに位相が180度ずれた状態に維持される。駆動滑車36,43は概略的に図示されている。かごを移動させるのに十分な荷重をケーブル44に伝達することが可能となるように、滑車の配列を適切なものにする必要がある。当業者であれば、そのような滑車の配列を設計することは可能であろう。後述するように、概略的に図示されている制御装置35によって、かごの移動が制御される。
【0013】
図2Aでは、かご22が階28に位置し、かご24が階26に位置している。かご20は、階28に向かって移動しており、かご32は、階26に向かって移動している。図示されているように、機械は、2台のかごのうちの隣接する方に取り付けられている。図1および図2Aから明らかなように、対をなすかごは、互いに隣接するのではなく、これらの間に、他の対のかごが配置される。このようにすることによって、かご22のドアがまさに閉じつつある時点でかご22に近づいている乗客は、次のかご30に乗ることができる位置に位置することになる。そして、かご30のドアは、直後に開かれる。同様に、かご24のドアが閉じた直後に、かご32のドアが開く。このことによっても、乗客の流れがより連続的になる。
【0014】
図2Aにさらに示されているように、各かごは、壁部54を備えており、外側ハウジング50がシステム全体を取り囲み、さらに、かごドア52が備えられている。好ましくは、このような構造50,52,54は、全て、ガラスもしくは透明なプラスティックからなる。構成要素の一部を、不透明な金属から形成しなければならない場合もあるが、このような構造の可能な限り多くの部分を、透明な材料から形成することが好ましい。モール内の客は、移動中にモール内を見回すことを好むと考えられているため、このような透明な構造とすることによりこのことが可能となる。
【0015】
図2Bは、図2Aと同様な図であるが、階におけるかご22,24の位置を前方から示している。さらに、明確なように、かご30,32は、各階へと移動している。対をなす2つのかごの間に機械34,42が配置されていることがわかる。
【0016】
図2Cには、図2Aもしくは図2Bに示されたような所望の位置にエレベータを配備するための他の実施例が示されている。図2Cでは、エレベータ60,62,64,66は、それぞれ、概略的に図示されている別個の機械68によって、上述した実施例と同様なパターンで階26と階28との間を移動するように駆動される。機械68は、概略的に示されており、通常は、周知のように、つりあいおもりが必要となる。
【0017】
図2Dでは、システム200において、1台のかご204が階202に配備されており、もう一方の階208ではかご210が待機している。さらに、これらの2つの階の間を、別のかご206が移動している。このようなシステムでは、これらの3台のかごは、単一の制御装置(212として概略的に図示されている)によって、互いに位相が120度ずれた状態に維持される。これらのかごは、それぞれ個別に、機械およびつりあいおもりを備えている。
【0018】
図2Aおよび図2Bに示された実施例では、図2Cの実施例および図2Dの実施例と比較して、低コストでかつ小型に構成できるという利点が得られる。図2Aおよび図2Bの実施例では、つりあいおもりが不要となり、さらに、図2Cの実施例および図2Dの実施例ほど多数の機械は必要とならない。この反面、図2Cの実施例および図2Dの実施例は、ある特定の用途には適している。図2Cの実施例および図2Dの実施例では、このような好適なサイクル運転から抜け出ることが容易であり、このことが望ましい場合がある。例えば、ある用途においては、所定時間の間、1つの階に、複数のかごを配備することが望ましい。モールの開店時には、より多くのエレベータを1階付近に配備することが望ましい。図2Cもしくは図2Dに示されたシステムは、ある所望の位置に所定の時点でかごを配備する制御の点で優れている。
【0019】
図3は、かご22,24,30,32のタイミング図である。図2Cのシステムにも、同じタイミング図があてはまる。図からわかるように、第1の時間枠では、かご22,24が階で待機し、かご30,32は、これらの階に向かって移動する。第2の時間枠では、かご30,32は、各階に位置し、かご22,24は、それぞれ逆の階へと移動する。このようなサイクルは、2つの階の間を4台のかごがそれぞれ移動しながら続けられる。このタイミング図においては、全運転が幾らか簡略化されている。かごドアの開閉時間を斟酌するため、階で実際に経過する時間が移動時間よりも長くされる場合がある。しかし、図3に示されたようにかごの位相を維持するために、ドアの開閉時間は、移動ランプ(ramp)の一部とみなされる。
【0020】
図2Eには、3対のかごを用いた実施例300が示されている。これらの対は、それぞれ、かご302およびかご304,かご306およびかご312、かご310およびかご308を備え、これらのかごは、互いに約60度ずつ位相がずれた状態に維持される。この制御は、概ね、上述したとおりであるが、当業者であれば理解できるように、このような実施例によれば、かごが最初に階に到達してからこの階を離れるまでの時間を短縮することが可能である。
【0021】
このようなシステムに亘る乗員の流れは、同時係属中の「ピストン型乗員搬送システムのための改善された乗員の流れ」という名称の特許出願に開示されたようなものになることが好ましい。さらに、実際の問題を調整するための図3のタイミングの制御は、同時係属中の「ピストン型乗員搬送システムの分配アルゴリズム」という名称の特許出願第09/571,879号に開示されているものが好ましい。これらの特許出願は本願と同日に出願されたものである。
【0022】
図4A〜4Eには、対をなす2つのかごを支持しかつつり合わせるための配置が示されている。
【0023】
図4Aに示されているように、第1の実施例70は、1:1ローピングでかつアンダスラングである。すなわち、機械72は、ケーブル74を駆動し、かご底部近傍の連結部78を介してかご76を移動させるものとして、配置されている。ケーブル74は、さらに、かご80の底部82に連結されており、これによって、かご80が移動させられる。当然、滑車や他の適した取付け構造を、このような実施例に用いることも可能である。図4Bには、96として概略的に示されているオーバースラング連結部を介して、かご96がケーブル92により駆動される実施例90が示されている。ケーブル92は、さらに、2:1ローピングとなるように、98において枠に固定されている。ケーブル92は、かご102上のオーバースラング連結部96に通された後で、第2の位置98で枠に連結されている。
【0024】
図4Cには、更なる実施例110が示されており、この実施例では、機械112によってケーブル114が駆動され、これによって、かご118がオーバースラング連結部120を介して移動させられる。ケーブル114は、さらに、122において建物の枠に固定されている。このような実施例では、偏向滑車(deflection sheave)116が、機械112の垂直上方に配置される。
【0025】
図4Dには、ケーブル132が134において建物の枠に連結された実施例130が示されている。かご136は、アンダスラング連結部138を介して連結されており、機械140により駆動される。
【0026】
特に、これらの機械は、2つのかごの間に配置されることが好ましい。このことによって、機械室が不要となり、システムのオーバーヘッド部を縮小することができる。機械は、好ましくは、長さが大きく厚さが小さいもの、すなわち、長さに対する径の比が1未満であるものが好ましい。このような機械を、ディスク状とすることも可能である。このことによって、2つのかごの間に要するスペースを小さくすることができる。ロープとしては、平形ベルトや一般的な円形ロープを機械に用いることができる。さらに、ロープとしては、金属、非金属、もしくはハイブリッド材料(hybrid material)からなるものを用いることができる。かごを対にする実施例においては、ロープ端部のばね剛性(spring stiffness)を比較的高く維持することが好ましい。具体的には、空室から満室までの荷重の変化によるかご底部の変位は、6mm未満となることが好ましい。このようにすれば、再レベリングするための装置を別個に用いる必要がなくなる。さらに、単一のモータにより一対のかごを駆動する場合、これらのかごが空室の状態、もしくはこれらのかご内部の荷重がほぼ等しい状態では、モータの出力が比較的小さくなる。上昇するかごの荷重が大きくかつ下降するかごの荷重が小さい状態でのみ、高い入力電力が必要となる。このことによって、エネルギーを著しく節減することができる。さらに、単一の機械により一対のかごを駆動することによって、関連装置(エレベータ制御装置、電気式駆動装置、機械用ブレーキなど)の数を減少させることができる。このことによって、コストを削減できるとともに、信頼性を向上させることができる。
【0027】
特定の駆動機構が開示されたが、牽引駆動装置以外の駆動機構を用いることも可能である。例えば、油圧駆動システム、ドラム駆動システム、リニアモータシステム、自動推進かごシステムなどを用いることができる。
【0028】
本発明の好適な実施例が開示されたが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、ある変更を加えることができることは、理解できるだろう。従って、以下の請求項は、真の範囲および内容を決定するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における、4台のかごの移動を示す概略図。
【図2A】 4台のかごおよびこれらの駆動装置の一部を示す図。
【図2B】 図2Aの構造の前面図。
【図2C】 他の実施例を示す図。
【図2D】 他の実施例を示す図。
【図2E】 他の実施例を示す図。
【図3】 4台のかごの移動を制御するためのタイミング図。
【図4A】 対をなすかごを駆動するための第1の構成を示す図。
【図4B】 第2の構成を示す図。
【図4C】 第3の構成を示す図。
【図4D】 第4の構成を示す図。

Claims (11)

  1. 乗員搬送システムであって、
    少なくとも3台のかごを備えており、これらのかごは、周期的に変化する目的位置に基づいてかごが移動される通常のサイクルで制御され、前記の周期的に変化する目的位置は、2つの階でそれぞれ少なくとも1台のかごが常に位置し、かつ少なくとも1台のかごが常に各階に向かって移動するようなものであり、
    前記かごのうちの少なくとも4台のかごが、2台のかごからなる対へとグループ分けされており、これらの対をなす2台のかごは、互いに180度だけ位相がずらされ、かつ他の対から離間されていることを特徴とする乗員搬送システム。
  2. 前記の対をなすかごが、それぞれ、別の対をなすかごと隣接するように、前記かごが配置されていることによって、乗員が流れる時間が改善されていることを特徴とする請求項記載の乗員搬送システム。
  3. 各対は、単一の駆動モータを有することを特徴とする請求項記載の乗員搬送システム。
  4. 前記の単一の駆動モータは、各対をなす2台のかごの間に、配置されていることを特徴とする請求項記載の乗員搬送システム。
  5. 前記の2台のかごが、アンダスラング構造において、ケーブルにより支持されており、前記ケーブルが前記駆動モータにより駆動されることを特徴とする請求項記載の乗員搬送システム。
  6. 前記の単一の駆動モータは、オーバスラング構造において、前記かごを支持していることを特徴とする請求項記載の乗員搬送システム。
  7. 前記ケーブルの2つの端部が、それぞれ、建物の枠に固定されていることを特徴とする請求項記載の乗員搬送システム。
  8. 前記ケーブルの端部が、前記の2台のかごに固定されていることを特徴とする請求項記載の乗員搬送システム。
  9. 各対において、前記かごが、互いにつり合った状態であることを特徴とする請求項記載の乗員搬送システム。
  10. 前記かごが、透明な構成要素を備えたハウジングにより取り囲まれていることを特徴とする請求項1記載の乗員搬送システム。
  11. 前記かごが、それぞれ、個別のモータにより駆動されることを特徴とする請求項1記載の乗員搬送システム。
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