JP4837623B2 - 強風時の鉄道運行管理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、風向風速予報、実際の風向風速観測データ、現地特有の地形に即した風速変動、列車の運行ダイヤといった判定因子から、危険な状況に直面した列車の運行を規制する強風時の鉄道運行管理方法に関する。
従来、この種の列車運行管理方法として、風速予測システムおよび風速予測方法(特許文献1)が知られている。この特許文献1に示される技術は、風速計で測定された風速及び予め記憶されている過去の風速記録に基づき、確率的な変動を示す時系列モデルを作成し、この時系列モデルによって当該地点での所定の時間先までの風速を予測するものである。そして、この予測した所定時間経過後の風速に基づき、危険が生じる恐れがある列車を対象とした運行規制を行い、列車ダイヤへの影響を最小限に抑えるものである。
特開2005−30988号公報
ところで、列車が走行する路線の周辺エリアは、高低差があるなど様々な地形が入り乱れ、その特有の地形によって局地的に風速が高まることがあり、きめ細かな風速予測が必要である。しかしながら、上述した特許文献1に示される技術では、それまでに観測された風速時系列のみを使って風の予測を行っており、また、従来の地形因子解析では、方位を考慮せず、対象地点を中心とする半径Rkm以内またはRkm四方の領域内で算出された地形因子に基づく、画一的な風向風速予測しかできず、この点において改良する必要があった。
本発明は、従来の有していた問題を解決しようとするものであって、列車が通過する強風規制区間にて、周囲の特有の地形を考慮した風速変動特性に基づく最大瞬間風速の予測を行うことができ、精度の高い運行規制を実施することができる強風時の鉄道運行管理方法の提供を目的とする。
そして、上記目的を達成するために本発明の課題解決手段では、現地における過去の風向風速観測値が記憶された風向風速観測値データベースと気象庁の風予報値との相関関係に基づき、気象庁の風予報値から現地の平均風向及び平均風速を予測する平均風速予報段階Aと、強風規制区間を含む現地の対象エリア内における過去の風観測結果と風向別地形因子とを基に、風向別の風速変動特性を予測する風速変動特性予測段階Bと、列車ダイヤデータベースと列車運行情報とから、強風規制区間に列車が到達する時刻を予測する列車通過時刻予測段階Cと、平均風速予報段階A及び風速変動特性予測段階Bにて予測された対象エリア内における風向別の風速変動特性に基づく最大瞬間風速とその瞬間風向の予測値を時系列で出力するとともに、これら予測値と、列車通過時刻予測段階Cにて予測された強風規制区間における列車の到達時刻とから、強風規制区間における列車通過時刻の最大瞬間風速とその瞬間風向を予測する最大瞬間風速予測段階Dと、接近中の列車種別と最大瞬間風速予測段階Dで予測した最大瞬間風速とその瞬間風向から、強風規制区間を列車が通過する際の列車の転覆限界風速を検出する転覆限界風速出力段階Eと、最大瞬間風速予測段階Dで予測された時刻における最大瞬間風速予測値と、転覆限界風速出力段階Eで検出された転覆限界風速とを比較し、最大瞬間風速予測値が転覆限界風速より大きい場合に、列車を抑止又は列車の走行速度を規制する措置を発令する危険判定段階Fと、を有する。
また、本発明の課題解決手段では、危険判定段階Fで予測される最大瞬間風速が転覆限界風速未満であり、かつ観測された瞬間風速が規制の基準となる風速を上回った場合には、列車を抑止又は列車の走行速度を規制する措置を発令する。
本発明に示される強風時の鉄道運行管理方法では、平均風速予報段階Aにて、現地における過去の風向風速観測値が記憶された風向風速観測値データベースと気象庁の風予報値との相関関係に基づき、気象庁の風予報値から現地の平均風向・平均風速を予測し、また、風速変動特性予測段階Bにて、強風規制区間を含む対象エリア内における過去の風観測結果と風向別地形因子とを基に、風向別の風速変動特性を予測し、また、列車通過時刻予測段階Cでは、列車ダイヤデータベースと列車運行情報とから、強風規制区間に列車が到達する時刻を予測する。一方、最大瞬間風速予測段階Dでは、平均風速予報段階A及び風速変動特性予測段階Bにて予測された対象エリア内の風向別の風速変動特性に基づく最大瞬間風速とその瞬間風向の予測値を時系列で出力するとともに、これら予測値と、列車通過時刻予測段階Cにて予測された強風規制区間における列車の到達時刻とから、強風規制区間における列車通過時刻の最大瞬間風速とその瞬間風向を予測する。
その後、転覆限界風速出力段階Eにて、最大瞬間風速予測段階Dで予測した最大瞬間風速とその瞬間風向、及び接近中の列車情報とから、強風規制区間を通過する当該列車の転覆限界風速を検出した後、危険判定段階Fにて、これら最大瞬間風速予測段階Dで予測された時刻における最大瞬間風速予測値と、転覆限界風速出力段階Eで検出された転覆限界風速とを比較し、最大瞬間風速予測値が転覆限界風速より大きい場合に、列車を抑止又は列車の走行速度を規制する措置を発令する。すなわち、本発明の鉄道運行管理方法では、上記のような段階を順次経ることによって、列車が通過する強風規制区間にて、周囲の特有の地形を考慮した風速変動特性に基づく最大瞬間風速の予測を行うことができ、精度の高い運行規制を実施することが可能となる。
また、本発明に示される強風時の鉄道運行管理方法では、危険判定段階Fで予測される最大瞬間風速が転覆限界風速未満であっても、実際に観測された瞬間風速が規制の基準となる風速を上回った場合に、列車を抑止する又は列車の走行速度を規制する措置を発令するようにしたので、全て予測値に依存することなく、現実の観測値に即した運行規制ができ、これにより、より高い精度の運行制御が可能となる。
以下に本発明の実施の形態を図1〜図9に基づいて説明する。図1は本発明にかかる強風時の鉄道運行管理方法の行程を説明するための図であって、この図において符号Aで示すものは平均風速予報部である。平均風速予報部Aは、気象庁から提供された風向風速予報値(符号1で示す)と、測定地点に設置された風速計からの現地風速観測値(符号2で示す)が記憶された風向風速観測値データベース(符号3で示す)の過去の観測データとを比較してそれらの相関関係を求め(符号4で示す)、その相関関係から、強風規制区間において今後発生するであろう現地の平均風向風速を予測する(符号5で示す)。なお、気象庁から提供された風向風速予報値(符号1で示す)と風向風速観測値データベース(符号3で示す)の観測データとの相関関係は、例えば、気象庁の天気予報モデルの出力値と現地の風向風速との関係を、予めMOS法(統計的手法)やニューラルネットワークなどの方法で関連づけた予測式とし、この予測式に基づき現地の平均風向風速を予測する。
なお、上記風速計のデータは、該風速計が列車軌道に沿った位置にあるのであればその観測データを使用し、軌道から離れた位置にあるのであれば、軌道に最も近い位置にあるものをその観測データとして使用すると良い。
図1において符号Bで示すものは風速変動特性予測部であって、まず、この風速変動特性予測部Bには、上述したように、風向風速観測値データベース3に記憶されている過去の風向風速観測データが多数入力され、これら現地風向風速観測データと、強風規制区間PXにある各対象エリアQ内の地域情報から予め作成した風向別地形因子(符号6で示す工程)の関係式(符号7で示す工程)とに基づき、図2の概念図に示されるような、列車軌道の強風規制区間PX内に設定された対象地点P(P1・P2・P3・・・)を中心とした対象エリアQ(Q1・Q2・Q3・・・)の風向別の風速変動特性(符号8で示す工程)を求める。
ここで、多数の風観測結果から予め作成しておく風向別地形因子について説明する。風速の変動特性を表す各指標(乱れの強さ、乱れのスケール、突風率など)は、対象地点P(P1・P2・P3・・・)周辺の地形因子に大きく依存するものであるため、方位別に地形の特徴を把握する必要がある。そこで、風速変動特性を表す指標である風向別地形因子を方位別に求める。この風向別地形因子は、(1)標高、(2)起伏度、(3)方位別最高標高地点距離、(4)方位別平均勾配、(5)方位別平均勾配、(6)開放度、(7)陸度、(8)地上高さ(風速計の高さ)、(9)粗度長、等からなる。なお、これら風向別地形因子は、図2の概念図に示されるように、観測対象となる対象エリアQ(Q1・Q2・Q3・・・)を、予め設定しておいたメッシュに区分し、これらメッシュの中心にある対象地点P(P1・P2・P3・・・)の風速変動特性を数値で示すためのものである。また、これら対象地点P(P1・P2・P3・・・)は、実際に列車が走行する強風規制区間PXの鉄道線路に沿って設定されるものであり、また、対象エリアQ(Q1・Q2・Q3・・・)の一辺の長さ(2R)、区画をどの程度とするかは、適宜、設定されるものとする。
(1)標高は、代表的な地形因子であって、実測又は予め計測されている数値標高データより求める。なお、この標高は、各対象地点P(P1・P2・P3・・・)の標高であっても良いし、各対象エリアQ(Q1・Q2・Q3・・・)内にあるメッシュの平均標高であっても良い。
(2)起伏度は、各対象地点P(P1・P2・P3・・・)がある対象エリアQ(Q1・Q2・Q3・・・)における各メッシュの標高の標準偏差(つまり、ばらつきの大きさ)とする。この起伏度は、全方位と対象とした全方位起伏度と、方向別に分割した起伏である方位別起伏度とからなるが、いずれの起伏度を採用しても良い。全方位起伏度は、図3(A)に示すように、地形因子を求める対象エリアQ(Q1・Q2・Q3・・・)内の対象地点P(P1・P2・P3・・・)座標(a,b)を中心とする一辺が2Rの正n角形(本例では正八角形)の対象領域を考える。そして、この正n角形の対象領域の起伏度Dを以下のように定義した計算式により算出する。
Figure 0004837623
一方、方位別起伏度は、図3(A)に示すように、全体領域を方位別にn個に分割した方位別地形因子に対応している。本例のように、方位の分割数を8(つまり8方位:N・NE・E・SE・S・SW・W・NW)とした場合、北(N)の起伏度を求めるときには、図3に斜線で示した「頂角22.5度の二等辺三角形領域内の平均標高」と、対象エリアQ内の測定対象エリア(斜線を含むエリア)にある各メッシュの平均標高とから標準偏差を求め、それを起伏度とする。なお、起伏度を求める際、当該メッシュの一辺の長さR(図3(A)に示される正方形領域の―辺長さの1/2)は、適宜、様々な値に設定することが可能である。
(3)方位別最高標高地点距離
おろし風は、山塊の風下側で発生することから、方位別の各三角形領域内における、最高標高地点までの距離を求める。図3(B)に、方位Nにある三角形領域内の最高標高地点を符号30で示す。また、本例では三角形領域は合計8あるために、その距離は8通り求められる。
(4)方位別最大勾配
図3(B)に示すように、上記(3)で求めた最大標高地点30の周辺500m四方の平均標高(符号31で示す)と、対象地点P(P1・P2・P3・・・)を中心とする500m四方(符号Sで示す)の平均標高との差を距離で除したものを、最大勾配とする。
図3(B)は、方位Nにある三角形領域内を例として示したものである。本例では、上述したように方位別最高標高地点距離は8通り求められるので、方位別最大勾配も8通り求められる。
(5)方位別平均勾配
図4に示すように、対象地点P(P1・P2・P3・・・)を中心とする500m四方(符号Sで示す)の平均標高と、当該対象地点PからR離れた地点(符号32で示す)周辺の500m四方(符号33で示す)の平均標高との差をR距離で割って、平均勾配を求める。Rは様々に変化させる。簡単のために、8方位の場合で考えると、図4に示すように、対象地点Pを中心とする高さRの二等辺三角形8つから成る正八角形領域を考え、二等辺三角形の底辺の中心位置を、対象地点PからR離れた地点32を各方位で平均標高を求める際の中心とする。
(6)開放度
図5に示すように、対象地点P(P1・P2・P3・・・)がある水平面(符号PMで示す工程)よりΔH高い水平面(符号PNで示す)で、対象地点Pを中心とする2R四方の領域を考え、2R四方の対象エリアQ(Q1・Q2・Q3・・・)の総メッシュ数に対して、山の高さが水平面PNより低いメッシュの領域を開放度とする(図5に斜線で示す)。ここでは、ΔHとRは様々に変化させる必要がある。開放度は、方位別にも求める必要があり、その際に用いる方位別の領域は、本例の場合、図3に示されるような二等辺三角形の形状をした8領域とする。
(7)陸度
上述した開放度と反対に、図5に示される2R四方の対象エリアQ(Q1・Q2・Q3・・・)内において、領域の全面積に対する陸地の割合を陸度とする。この陸度は、開放度と同様にRを様々に変化させ、また、方位別にも求める必要がある。その際に用いる方位別の領域は、本例の場合、図3に示されるような二等辺三角形の形状をした8領域とする。そして、このような方位別(θ)の領域面積当たりの陸度(Gr)は、以下のような領域面積に対する陸地面積の割合を示す式(数2)で計算される。なお、風向は北を基準(θ=0)とした時計方向の角度である。
Figure 0004837623
(8)地上高さ(風速計の地上高さ)
風速計の設置位置の地上高さである。地表面付近の地上数百mまでは、風速は地表面に近いほど風速が小さくなり、地上からの高さが高いほど風速が指数関数的に大きくなるような分布をしていることが知られている。なお、この風速計は、例えば図2に符号W1・W2・W3・・・に示すように設置されている場合、各対象地点P(P1・P2・P3・・・)の風速変動特性を求めるに際して、当該対象地点P(P1・P2・P3・・・)と最も近い位置にある風速計の地上高さデータを使用する。
(9)粗度長
地表面の状況を表す量のひとつで、地表面の空気力学的な抵抗を示す指標である。粗度長が大きい程、空気抵抗が大きくなって風速が小さくなる。粗度長の計算方法は、いくつかの提案がなされているが、ここでは簡便な既存の資料を用いる方式を採用する。すなわち、国土交通省が公開している100mメッシュ土地利用データでは、図6に示すように、地表面の状態を11項目に分類しており、これらそれぞれの分類に、適当な粗度長の大きさ(m)を割り当て(本例では図6の右欄に示すように規定される)、割り当てられた粗度長の大きさを、領域内で平均すれば(領域内にあるメッシュ毎の粗度長を平均する)、粗度長z0を算出することができる。
そして、図7に示されるように上記に説明したような(1)〜(9)で示される風向別地形因子は、風速変動特性指標を算出するために定数(R、ΔH)を変化させることによって(工程7A)、重回帰分析などの方法を用いた相関解析を実施し(工程7B)、その解析結果に基づき、風向別地形因子に対応した風速変動特性指標の推定式を算出する(工程7C)。そして、ここで算出された風速変動特性指標の推定式は、図1の工程7に出力され、この風速変動特性指標の推定式を基にして、現地の強風規制区間PXにおける風向別の風速変動特性(風の乱れの発生、突風など)を検出する(符号8で示す工程)。
以下に、工程7Bで示される相関解析の一例を示す。風速変動特性を表す指標の例として、日最大風速(10分間平均風速の日最大値)に対する日最大瞬間風速の比を考え、これを日突風率と呼ぶこととする。具体的には、図8に示すような、西日本地域の気象官署にある26箇所の観測地点を抽出して、これら観測地点における日突風率を風向別に求める(その結果を図8に示す)。ここでは、強風時を対象とするために日最大風速が10m/s以上のデータを用い、またデータの期間は1989年4月1日から2005年12月31日までの16年8ヶ月間とした。この期間中に、風速計の設置箇所や地上からの高さが変更されていた場合には、最後の変更以降、2005年12月31日時点と同じ位置で観測された風向風速データのみを解析に用いた。なお、表中のグレーで示す欄は、風速観測値に影響を及ぼす建物や樹木などが存在しているため解析対象としなかった風向と、期間中に日最大風速10m/s以上が観測されなかった風向である。
重回帰分析を行った結果、風向θ(=北、北東、東、南東、南、南西、西、北西)の日突風率(Gday)の推定式として、次式の数3を得た。
Figure 0004837623
なお、この数式において、zは風速計の地上高さ(図8参照)、z0は粗度長(図6参照)である。OP(ALL,200,10)は、200mより高くかつ領域の大きさをR=10kmと仮定した領域の中心点を対象地点とし、この対象地点を中心とした全方位の開放度を示すものである。Gr(θ,R)は前述したように陸度を表し、Gr(θ,3)は、領域の大きさをR=3kmとした場合における方位(θ)の陸度を示している。
そして、西日本地域にある気象官署にある26箇所の観測地点で観測された風速から求めた日突風率と、上記数3の式を用いて推定した日突風率との関係を図9に示す。これら日突風率の重相関係数は0.673であり、上記数2の式を用いて、特定の方位(θ)の日突風率を比較的精度良く推定することができる。
なお、本実施形態では、上述した(1)〜(9)に示される風向別地形因子によって各対象地点P(P1・P2・P3・・・)の風速変動特性を検出したが、各地形因子に基づき風向・風速を予測することは、例えば、特開平11−93824号公報、特開2003−185762号公報などにより知られている。しかし、本発明の鉄道運行管理方法では、現地の対象エリア内において画一的に風速風向を求めるのではなく、対象エリアを方位別にn個(本例では8領域)に細分化した三角形状の領域で、風向別に風速変動特性を求めたことに特徴を有している。
符号Cで示される列車通過時予測部では、列車ダイヤが記憶されている列車ダイヤデータベース(符号9で示す工程)と、列車の遅延、運休、時刻変更などの実際の列車運行状況情報(符号10で示す工程)とから、軌道の対象地点P(P1・P2・P3・・・)における列車の通過時刻をそれぞれ予測する(符号11で示す工程)。
符号Dで示される最大瞬間風速予測部では、前述した平均風速予報部Aで予測された現地の平均風向風速予測値(符号5で示す工程)を、実際の現地風速観測値(符号2で示す工程)に基づき修正する(符号12で示す工程)。そして、この修正値と、前述した風速変動特性予測部Bで検出された風向別の風速変動特性(符号8で示す工程)と、列車通過時刻予測部Cで予測した列車通過予測時刻(符号11で示す工程)といった3つの判定因子から、軌道の対象地点P(P1・P2・P3・・・)を列車が通過する予測時刻における最大瞬間風速を予測する(符号13で示す工程)。なお、この最大瞬間風速予測部Dでは、平均風速予報部A及び風速変動特性予測部Bにて予測された軌道の対象地点P(P1・P2・P3・・・)における最大瞬間風速とその瞬間風向の予測値を時系列的に出力した後、これら予測値と、列車通過時刻予測部Cにて予測された強風規制区間PXにおける列車の到達時刻とから、強風規制区間PX内の軌道の対象地点P(P1・P2・P3・・・)における列車通過時刻の最大瞬間風速とその瞬間風向を予測する。
符号Eで示される転覆限界風速出力部では、車両ダイヤデータベースから読み出したデータ(符号9で示す工程)に基づく、軌道の対象地点P(P1・P2・P3・・・)に接近中の列車の情報、例えば車両形式、編成などを検出し(符号14で示す工程)、この列車の情報を、車両の転覆限界風速データベース(符号15で示す工程)に記憶されているデータと照会する。そして、このようなデータの照会により、現在、接近中の列車の転覆限界風速を検出する(符号16で示す工程)。
符号Fで示される危険判定部では、最大瞬間風速予測部Dで予測された列車通過予測時刻における最大瞬間風速と、転覆限界風速出力部Eで検出された接近中の列車の転覆限界風速とを比較し、予測される最大瞬間風速が、接近中の列車の転覆限界風速より大きい場合(YESの場合)に列車を抑止又は列車の運行速度を規制する運転規制を実施する(符号17で示す工程)。また、予測される最大瞬間風速が、接近中の列車の転覆限界風速未満である場合(NOの場合)には、予め定められている規制の基準となる風速(基準風速)と、工程2で観測された現地の実際の瞬間風速とを比較し、観測された瞬間風速が基準風速より大きい場合(YESの場合)に列車を抑止又は列車の運行速度を規制する運転規制を実施し、小さい場合(NOの場合)にそのまま通常運行を実施する(符号18で示す工程)。
以上詳細に説明したように本実施形態に示される鉄道運行管理方法によれば、現地における過去の風向風速観測値が記憶された風向風速観測値データベースと気象庁の風予報値との相関関係を予め調べ、気象庁の風予報値から現地の平均風向・平均風速を予測し(平均風速予報部A)、また、強風規制区間を含む現地の領域内における過去の風観測結果と風向別地形因子とを基に風向別の風速変動特性を予測し(風速変動特性予測部B)、また、列車ダイヤデータベースと列車運行情報から、強風規制区間PX内の対象地点P(P1・P2・P3・・・)に列車が到達する時刻を予測する(列車通過時刻予測部C)。その後、最大瞬間風速予測部Dでは、平均風速予報部A及び風速変動特性予測部Bにて予測された現地における風速変動特性に基づく最大瞬間風速とその瞬間風向の予測値を時系列で出力するとともに、これら予測値と、列車通過時刻予測部Cにて予測された強風規制区間PX内の対象地点P(P1・P2・P3・・・)における列車の到達時刻とから、強風規制区間PXにおける列車通過時刻の最大瞬間風速とその瞬間風向を予測する。その後、転覆限界風速出力部Eにて、最大瞬間風速予測部Dで予測した最大瞬間風速とその瞬間風向、及び接近中の列車情報とから、強風規制区間PX内の対象地点P(P1・P2・P3・・・)を通過する当該列車の転覆限界風速を検出した後、危険判定部Fにて、これら最大瞬間風速予測部Dで予測された時刻における最大瞬間風速予測値と、転覆限界風速出力部Eで検出された転覆限界風速とを比較し、その結果、最大瞬間風速予測値の方が大きい場合に、列車を抑止するあるいは列車の走行速度を規制する措置を発令する。すなわち、上述した鉄道運行管理方法では、上記のような段階を順次経ることによって、列車が通過する強風規制区間にて、周囲の特有の地形を考慮した風速変動特性に基づく最大瞬間風速の予測を行うことができ、精度の高い列車の走行規制を実施することができる。
また、本実施形態に示される鉄道運行管理方法では、危険判定部Fで予測される最大瞬間風速が転覆限界風速未満であっても、実際に観測された瞬間風速が規制の基準となる風速を上回った場合に、列車を抑止するあるいは列車の運行速度を規制する措置を発令するようにしたので、全て予測値に依存することなく、現実の観測値に即した運行規制ができ、これにより、より高い精度の運行制御が可能となる。
本発明の鉄道運行管理方法の行程を説明するための図 列車軌道の強風規制区間PXの対象エリアQ及びその中心に位置する対象地点Pを示す概念図 (A)方向別地形因子を求める際の領域を示す図、(B)方位別最高標高地点距離と方位別最大勾配を説明するための図 方位別平均勾配を説明するための図 開放度、陸度を説明するための図 土地利用データによる地表面の状態の分類と、対応する粗度長との関係を示す表 風速変動特性指標の算出フローを示す図 解析対象の各気象官署と風向別の日突風率の平均値を示す表 気象官署の観測値から求めた日突風率と、推定式を用いて求めた日突風率との関係を示す図
符号の説明
A 平均風速予報部(平均風速予報段階)
B 風速変動特性予測部(風速変動特性予測段階)
C 列車通過時刻予測部(列車通過時刻予測段階)
D 最大瞬間風速予測部(最大瞬間風速予測段階)
E 転覆限界風速出力部(転覆限界風速出力段階)
F 危険判定部(危険判定段階)
P 対象地点
Q 対象エリア
PX 強風規制区間

Claims (2)

  1. 現地における過去の風向風速観測値が記憶された風向風速観測値データベースと気象庁の風予報値との相関関係に基づき、気象庁の風予報値から現地の平均風向及び平均風速を予測する平均風速予報段階Aと、
    強風規制区間を含む現地の対象エリア内における過去の風観測結果と風向別地形因子とを基にして、風向別の風速変動特性を予測する風速変動特性予測段階Bと、
    列車ダイヤデータベースと列車運行情報とから、強風規制区間に列車が到達する時刻を予測する列車通過時刻予測段階Cと、
    平均風速予報段階A及び風速変動特性予測段階Bにて予測された対象エリア内における風向別の風速変動特性に基づく最大瞬間風速とその瞬間風向の予測値を時系列で出力するとともに、これら予測値と、列車通過時刻予測段階Cにて予測された強風規制区間における列車の到達時刻とから、強風規制区間における列車通過時刻の最大瞬間風速とその瞬間風向を予測する最大瞬間風速予測段階Dと、
    接近中の列車種別と最大瞬間風速予測段階Dで予測した最大瞬間風速とその瞬間風向から、強風規制区間を列車が通過する際の列車の転覆限界風速を検出する転覆限界風速出力段階Eと、
    最大瞬間風速予測段階Dで予測された時刻における最大瞬間風速予測値と、転覆限界風速出力段階Eで検出された転覆限界風速とを比較し、最大瞬間風速予測値が転覆限界風速より大きい場合に、列車を抑止又は列車の走行速度を規制する措置を発令する危険判定段階Fと、からなる強風時の鉄道運行管理方法。
  2. 危険判定段階Fで予測される最大瞬間風速が転覆限界風速未満であり、かつ実際に観測された瞬間風速が規制の基準となる風速を上回った場合には、列車を抑止又は列車の走行速度を規制する措置を発令する請求項1記載の強風時の鉄道運行管理方法。
JP2007142123A 2007-03-30 2007-05-29 強風時の鉄道運行管理方法 Expired - Fee Related JP4837623B2 (ja)

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