JP4880440B2 - 着雪予測方法および着雪予測プログラム - Google Patents

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Description

本発明は、着雪予測方法および着雪予測プログラムに関する。さらに詳述すると、架線への着雪量の予測に好適な着雪予測方法および着雪予測プログラムに関する。
降雪時に送電線などの架線に大量の雪が付着することで架線の断線やそれに起因する停電等の電力被害が発生するおそれがある。本明細書において架線とは、例えば、送電線、通信線、鉄道の架線等を主に指すが、メッセンジャワイヤ、架空地線、張力線等の線状の支持構造物を含むものとして用いられている。また、架線支持物とは、上記架線の支持物をいい、例えば送電線の場合であれば送電鉄塔である。
電力会社等では、送電線への着雪による雪害に早急に対応し、被害の最小化を図るため、各地域毎に予測される雪害の程度を考慮して予め作業員を配置し、巡視や設備強化にあたらせている。当該業務においては、限りある人員を効率よく配置することが要求され、細かい地域単位で精度良く送電線への着雪量を予測することが要求される。
例えば、発表される24時間先の予報データを補正し、ニューラルネットワークにより雪害発生の有無を判断し雪害の発生が予想される場合には警報を発生する送電線雪害警報システムが提案されている(特許文献1)。
また、送電線への着雪が着雪気象条件の下で筒状に脱落することなく成長すると仮定して着雪量の推定を行う筒雪モデルが提案されている(非特許文献1)。
特開平9−243757号 立崎、坂本 他「送電線の着雪予報システムの開発」電中研総合報告,T89001,1989
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ニューラルネットワークによる判定を行うため、事例を学習させる手間が掛かるという問題があった。更に、ニューラルネットワークへの教師信号となる気象データも3時間先予報データに基づいて補正しただけであり、気象データの推定精度が低いという問題も存在する。更に、各メッシュ毎の評価しかできないため、5km四方のメッシュ毎単位で着雪量を推定するにとどまり、各送電線毎に着雪量を評価することはできなかった。
また、非特許文献1の技術では、送電線に対して雪は筒型に均等に付着することを仮定し、送電線の径及び送電線に雪が筒状に付着した状態に基づいて更なる着雪量を推定しているが、実際には、雪は均等に付着することはなく、また途中で脱落する雪も考慮していないため上記推定モデルでは予測誤差が大きいという問題があった。
そこで本発明は、送電線等の架線への着雪量を簡易かつ精度良く予測することを可能とする着雪予測方法および着雪予測プログラムを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、請求項1記載の着雪予測方法は、架線の着雪予測を行う対象領域を任意の大きさのメッシュに区切り、予測時点での気象データに基づいて数値気象予報モデルにより任意のn時間後までの降水量、風速、風向、気温を各メッシュ毎に任意の出力時間間隔で予測し、予測された各メッシュ毎の気温および予め構築された気温と着雪率の関係を示す着雪率関数により各メッシュ毎の着雪率を求め、降水量、風速、風向および着雪率に基づいて着雪量に比例する着雪ポテンシャルを各メッシュについて風向別に求めるようにしている。
また、請求項4に記載の着雪予測プログラムは、記憶装置に記憶された地図データに対して架線の着雪予測を行う対象領域および該対象領域を分割する任意の大きさのメッシュを設定し、かつ予測時点での気象データの入力値に基づいて数値気象予報モデルにより任意のn時間後までの降水量、風速、風向、気温の各メッシュ毎に任意の出力時間間隔で予測した値を予め記憶装置に記憶させておき、予測された各メッシュ毎の気温を読み出して、予め記憶された気温と着雪率の関係を示す着雪率関数を演算することにより各メッシュ毎の着雪率を求めて記憶装置に記憶する処理と、降水量、風速、風向および着雪率を読み出して着雪量に比例する着雪ポテンシャルを各メッシュについて風向別に算出する処理とをコンピュータに実行させるものである。
したがって、対象領域内に任意の大きさで設定された各メッシュ毎に、数値気象モデルにより任意の出力時間間隔(例えば1時間毎)の「降水量」、「風速」、「風向」および「気温」を任意のn時間(例えば48時間)後までの予測を行ってデータベースを構築し、また、各メッシュ毎の「気温」を気温をパラメータとする着雪率関数に適用することで各メッシュ毎の「着雪率」を求めておく。そして、予測された「降水量」、「風速」、「風向」および「着雪率」の値から着雪量に比例する値として各風向別(架線の走行方向別)に着雪ポテンシャルを求めている。
請求項2に記載の着雪予測方法は、架線の着雪予測を行う対象領域を任意の大きさのメッシュに区切り、予測時点での気象データに基づいて数値気象予報モデルにより任意のn時間後までの降水量、風速、風向、気温を各メッシュ毎に任意の出力時間間隔で予測し、かつ予め各架線支持物に対し緯度、経度、標高および架線の走行方位を関連づけておき、緯度、経度および標高に基づいて予測された気温を補正し、補正された気温および予め構築された気温と着雪率の関係を示す着雪率関数により各架線支持物毎の着雪率、並びに、風速、風向および架線の走行方位に基づいて架線に直角な速度成分を求め、降水量、架線に直角な速度成分および着雪率に基づいて着雪量に比例する着雪ポテンシャルを各架線毎に求めるようにしている。
また、請求項5に記載の着雪予測プログラムは、記憶装置に記憶された地図データに対して架線の着雪予測を行う対象領域および該対象領域を分割する任意の大きさのメッシュを設定し、かつ予測時点での気象データの入力値に基づいて数値気象予報モデルにより任意のn時間後までの降水量、風速、風向、気温の各メッシュ毎に任意の出力時間間隔で予測した値を予め記憶装置に記憶させておき、更に、各架線支持物に対し緯度、経度、標高および架線の走行方位を関連づけて予め記憶装置に記憶させておき、各架線支持物毎に記憶された緯度、経度および標高を読み出して、予測された気温を補正して補正値を記憶装置に記憶する処理と、補正値を読み出して予め記憶された気温と着雪率の関係を示す着雪率関数を演算することにより各メッシュ毎の着雪率を求めて記憶装置に記憶させる処理と、風速、風向および架線の走行方位を読み出して架線に直角な速度成分を求めて記憶装置に記憶する処理と、降水量、架線に直角な速度成分および着雪率に基づいて着雪量に比例する着雪ポテンシャルを各架線毎に算出する処理とをコンピュータに実行させるものである。
したがって、対象領域に任意の大きさで設定された各メッシュ毎に、数値気象モデルにより任意の出力時間間隔(例えば1時間毎)の「降水量」、「風速」、「風向」および「気温」を任意のn時間(例えば48時間)後までの予測を行ってデータベースを構築しておく。また、各架線支持物について、その位置情報(緯度、経度、標高)およびそれぞれの架線の走行方位を入力しデータベースを構築しておく。そして、架線支持物の「標高」により当該架線支持物が存在するメッシュに対して予測された「気温」の補正を行い、当該補正値を気温をパラメータとする着雪率関数に適用することで各メッシュ毎の「着雪率」を求めておく。更に、各架線支持物に対応する架線の走行方位に直角な風速の速度成分を求め、「降水量」、「架線に直角な速度成分」および「着雪率」から、着雪量に比例する値として各架線別に着雪ポテンシャルを求めている。
請求項3に記載の発明は請求項1または2のいずれかに記載の着雪予測方法において、更に、着雪ポテンシャルを時間積分し、その統計量に応じて各メッシュの着雪ポテンシャルの分布を示す着雪ポテンシャル分布を作成するようにしている。また、請求項6に記載の発明は請求項4または5のいずれかに記載の着雪予測プログラムにおいて、更に、着雪ポテンシャルを時間積分し、出力装置に表示された対象領域の地図データに、着雪ポテンシャルの統計量の分布をオーバレイ表示させる処理をコンピュータに実行させるものである。
したがって、各メッシュ毎に算出された着雪ポテンシャルを任意の時間間隔(例えば12時間毎)で時間積分した統計量に応じて、対象領域の各メッシュを示す箇所を色分けし、出力装置上に表示することで着雪ポテンシャル分布を可視化表示させている。
本発明にかかる着雪予測方法および着雪予測プログラムによれば、風向別に各メッシュ毎の着雪量を精度良く予測することができる。これにより、予め着雪による事故が発生する可能性の高い地域および時間帯の予測を行うことができる。よって、上述の電力会社の巡視業務等において、作業員や設備の配置等を適切な場所と時間で行うことが可能となり、被害を最小限に抑えることができる。また、被害発生時の復旧作業を迅速に行うことが可能となる。これにより、被害対策コストの削減を図ることが可能となる。
請求項2に記載の着雪予測方法および請求項5に記載の着雪予測プログラムによれば、各架線毎の着雪量を精度良く予測することができるので、更にミクロな視点での架線の着雪予測が可能となる。これにより、予め着雪による事故が発生する可能性の高い架線および時間帯の予測を行うことができる。同様に、上述の電力会社の巡視業務等において、作業員や設備の配置等を適切な場所と時間で行うことが可能となり、被害を最小限に抑えることができる。また、被害発生時の復旧作業を迅速に行うことが可能となる。これにより、被害対策コストの削減を図ることが可能となる。
また、請求項3に記載の着雪予測方法および請求項6に記載の着雪予測プログラムによれば、モニタに表示される着雪ポテンシャル分布を参照すれば、雪害の発生する可能性の高いメッシュ(エリア)を一目で視覚的に認識することができるので、作業員の配置位置の決定等を迅速かつ正確に行うことが可能となる。
以下、本発明の構成を図1〜図8に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。本実施形態では、一例として送電線への着雪予測について説明する。
先ず、本実施形態の着雪予測プログラムについて説明する。本実施形態の着雪予測プログラムは、例えば、次のようなハードウェア(以下、着雪予測装置1という)により実行される。本実施形態の着雪予測装置1について説明する。図1に本実施形態の着雪予測装置1の構成の一例を示す。本実施形態の着雪予測装置1は、ディスプレイ等の出力装置2と、キーボード、マウス等の入力装置3と、演算処理を行う中央処理演算装置(CPU)4と、計算中のデータ、パラメータ等が記憶される主記憶装置(RAM)5と、計算結果等が記録される補助記憶装置としてのハードディスク6、外部との通信を行う通信インタフェース7等を備えている。以下、主記憶装置5及び補助記憶装置6を総称して単に記憶装置ともいう。また、上記のハードウェア資源は例えばバス8を通じて電気的に接続されている。
また、本実施形態の着雪予測プログラム9は、例えば補助記憶装置6に記録されており、当該プログラムがCPU4に読み込まれ実行されることによって、コンピュータが着雪予測装置1として機能する。その実行の際に必要なデータは、RAM5にロードされる。また、着雪予測装置1は、着雪ポテンシャルを算出する処理全般を実行する着雪ポテンシャル算出手段10、着雪ポテンシャル分布を作成する処理全般を実行する着雪ポテンシャル分布作成手段11を備えるものである。
また、補助記憶装置6には、気象データベース12および支持物データベース(本実施形態では、送電鉄塔データベース13という)が構成される。気象データベース12は、各メッシュの位置情報に対して各メッシュ毎に算出される「気温」、「風向」、「風速」および「降水量」の値が関連づけられて記憶される。更に、「湿度」および「日射量」についても算出し、記憶させておくことが好ましい。また、送電鉄塔データベース13は、各送電鉄塔に付される一意の送電鉄塔番号に「緯度・経度」、「標高」、「架線の走行方位」が関連づけられて記憶される。更に、「架線高さ」についても併せて記憶させておくことが好ましい。
尚、上述のハードウェア構成は一例であってこれに限られるものではなく、例えば、補助記憶装置6を外部の記憶装置として設けLAN等のネットワーク14を通じて読み込むようにしても良い。
次に、本実施形態の着雪予測方法について説明する。本実施形態の着雪予測方法は、送電線の着雪予測を行う対象領域を任意の大きさのメッシュに区切り、予測時点での気象データに基づいて数値気象予報モデルにより任意のn時間後までの降水量、風速、風向、気温を各メッシュ毎に任意の出力時間間隔で予測し、予測された各メッシュ毎の気温および予め構築された気温と着雪率の関係を示す着雪率関数により各メッシュ毎の着雪率を求め、降水量、風速、風向および着雪率に基づいて着雪量に比例する着雪ポテンシャルを各メッシュについて風向別に求めるようにしている。
本実施形態の着雪予測方法では、先ず着雪予測を行う対象領域を設定し、当該対象領域を任意の大きさのメッシュで区切る。メッシュの大きさは例えば5km四方と設定することができるが特に限られるものではない。
対象領域およびメッシュの設定は、例えば対象領域の設定は既存の地図データ(図示せず)を補助記憶装置6に記憶しておき、当該地図データをメモリ5に読み出し、当該地図データにメッシュを設定するものである。尚、メッシュの設定には既存の方法を用いれば良く、例えば、各メッシュを構成する四隅の緯度・経度を記憶装置に記憶することにより設定することができる。
また、本実施形態では、送電鉄塔データベース13の構築を予め行い補助記憶装置6に記憶させておく。具体的には、送電鉄塔毎にその「位置(緯度・経度)」、「標高」および「架線の走行方位」情報を入力する。「架線の走行方位」とは送電線の向いている方向をいい、本実施形態では、例えば北から南方向を0°、西から東方向を90°、南から北方向を180°とする0〜180°の値で表している。しかしながら、「架線の走行方位」はこれに限られるものではなく、例えば16方位により表すようにしても良い。尚、電力の送られる向きは考慮しないため、反対側は同じ値(例えば、東から西方向は90°)となる。これにより各送電鉄塔がどのメッシュに含まれるかが関連づけられる。また、「架線高さ」情報についても入力させておくことが好ましい。「架線高さ」は、架線の地上からの高さ(m)であり、「標高」情報に「架線高さ」を考慮することにより、架線の高さ位置をより正確な値とすることができる。
次に、数値気象予報モデルにより気象データの予測を行う。本実施形態では、設定された各メッシュ毎の「気温」、「風向」、「風速」および「降水量」(以下、これらを気象データともいう)の予測を行うものである。
数値気象予報モデルには、公知または新規の数値気象予報モデルを用いれば良く、特に限られるものではない。本実施形態では数値気象予報モデルとして、例えば電力中央研究所地域気象予測・解析システム(Meteorological Application and Research System: 以下、MARSという)を用いることとしている。MARSは、数時間から数日先の地域的な気象を計算するモデルである。
MARSによる気象データの予測方法の一例を図2のフローチャートを用いて概説する。図2に示すようにMARSによる処理は前処理部分(S1)、本計算部分(S2)、後処理部分(S3)の3つのブロックに大別される。
前処理部分(S1)では、先ず、予測時点での気象データとして、気象庁の天気予報値あるいは米国海洋気象庁の天気予報値を取得し、これを初期値としている。尚、初期値の基となる予報値は特に限られるものではない。
次に、取得した初期値のデータフォーマットを変換し、大気、海水温、地形、土地利用データの切り出しと計算格子点への内挿を行う。尚、海水温に関するデータは、例えば、米国海洋大気庁発表の海水温データを取得すれば良い。また、土地利用データには、例えばUSGS(アメリカ地質調査所)の24分類のデータセットが使用できる。
本計算部分(S2)では、この初期値を元に、数値気象モデル(WRF)により気象予測・再現計算を行うものである。WRF(Weather and Research Forecasting)は、米国大気科学研究所(NCAR)等によって開発された第五世代のメソスケールモデルであるMM5(The Fifth-Generation Penn State/NCAR Mesoscale Model)の後継モデルである。
WRFモデルの基礎方程式系は運動方程式・連続の式・熱力学の式・水蒸気の混合比の保存式からなり、この部分は力学モデルと呼ばれている。WRFモデルは、力学モデルと、放射・地表面・大気境界層・降水過程などの物理過程を表現する物理モデルから構成されているという点においてMM5と類似しているが、MM5よりも高精度の数値計算スキームや物理モデルが導入されている。
尚、WRFおよびそれを用いた気象データの予測は公知の技術であるので詳細な説明については省略する。WRFの処理の詳細は、例えば、Skamarock, W. C., J. B. Klemp, J. Dudhia, D. O. Gill, D. M. Barker, W. Wang, and J. G.Powers. (2005) A description lf the advanced research WRF version 2. NCAR/TN-468+STR, 88 ppに記載がある。
また、本実施形態の気象データの予測では、例えば図3示すように大きさの異なる3つの領域の計算を実施している。例えば、最も外側となる4500km×4500kmの範囲を第一領域15とし、その水平空間解像度は一格子45km間隔としている。また、2250km×2250kmの範囲を第二領域16とし、その水平空間解像度は一格子15km間隔としている。更に、1000km×1000kmの範囲を第三領域17とし、その水平空間解像度は一格子5kmとしている。このように徐々に格子を小さくしていきながら計算する手法をネスティング手法といい、第一領域15で得られた大きな場の結果は第二領域16の境界条件に、第二領域16で得られた結果は第三領域17の境界条件に影響を与えることが可能となる。さらに、第一領域15と第二領域16および第二領域16と第三領域17の間には、双方向ネスティング手法を用いて計算を用いることで、第三領域17で細かく計算した影響を第二領域16に、第二領域16で細かく計算した影響を第一領域15の計算結果にフィードバックすることができる。ネスティング手法および双方向ネスティング手法は公知の技術であるので説明は省略する。尚、双方向ネスティング手法の詳細は、例えばZhang, D.-L., H.-R. Chang, N.L. Seaman, T. T. Warner and J. M. Fritsch : A two-way interactive nesting procedure with variable terrain resolution. Mon. Wea. Rev., 114, 1330-1339,1986に記載がある。また、格子点数は第一領域15、第二領域16、第三領域17ともに東西方向150格子、南北方向150格子、鉛直層数を30層と設定し、モデルの最上層を50hPaと第一領域15から第三領域17まで同じ値とした。
数値気象予報モデルとしてWRFに替えて、上記MM5を用いても良いのは勿論である。MM5の詳細は例えば、Dudhia, J.:A multi-layer soil temperature model for MM5. Preprints, The Sixth PSU/NCAR Mesoscale Model Users' Workshop, 22-24 July 1996, Boulder, Colorado, 49-50, 1996等に記載がある。また、数値気象予報モデルとしては、例えば、ANEMOS(日本気象協会,鈴木・宇都宮・三嶋・橋本・永井:局所風況予測モデルLAWEPSによる海上風推定,海洋開発論文集,第19巻,土木学会,pp.49-52,2003参照)、LOCALS((株)CRCソリューションズ,谷川亮一、2003:LOCALSTM による風況シミュレーションモデルの開発と風況評価、ながれ22、405−415参照)、NHM(気象庁,気象庁予報部:気象庁非静力学モデル、数値予報課報告別冊第49号,2003参照)、RAMS(コロラド州立大学,Pielke, R. A., W. R. Cotton, R. L. Walko, C. J. Tremback, W. A. Lyons, L. D. Grasso, M. E. Nicholls, M. D. Moran, D. A. Wesley, T. J. Lee, and J. H. Copeland.:A comprehensive meteorological modeling system RAMS. Meteor. Atmos. Phys., 49, 69-91,1992参照)等を用いても良い。
本実施形態では、気象データを予測する出力時間間隔は特に限られるものではないが、例えば、気象データを予測する出力時間間隔を1時間とし、48時間後までの値を出力することができる。また、計算量は増えるが、例えば10分間毎に出力することも可能である。尚、予測時間が長くなれば、ある程度の誤差が生じることが知られている。しかしながら、予測する最大時間は業務の必要性等に応じて適宜選択すれば良く、特に限られるものではない。
後処理部分(S3)では、計算結果を可視化し、ホームページへのアップロード等を行うものである。尚、本実施形態では、計算結果(予測値)を気象データベース12に記録すればよいので、本処理は必須ではない。
このように数値気象予報モデルにより計算された対象領域内の各メッシュ毎の「気温」、「風向」、「風速」および「降水量」の予測値を気象データベース12に記録する。尚、数値気象予報モデルによる計算は前述の着雪予測装置1とは異なる他のハードウェアにより実行し、計算結果のみをネットワーク14を介して取得し、気象データベース12に記憶するようにしても良いのは勿論である。
本実施形態では、出力時間間隔を1時間とした場合、数値気象予報モデルにより計算される値は次のようになる。「気温」および「降水量」については、各メッシュ毎の1時間の統計量が気象データベース12に記憶される。「風向」および「風速」については、0°〜360°で算出されるが、本実施形態では、16方位(8方向:北−南、北北西−南南東、北西−南東、西北西−東南東、南西−北東、南南西−北北東、西−東、西南西−東北東)別、即ち、45°の範囲別に8つの値として気象データベース12に記録されるようにしている。
更に、各送電線毎の着雪量の予測のため、予測された「気温」を送電鉄塔データベース13の「標高」値により補正した値についても記憶しておく。本実施形態では、数値気象予報モデルの鉛直層数により3次元的に上空の気温についても計算することができるため、各送電鉄塔の「標高」および「架線高さ」情報に基づいて気温の補正を行っている。尚、当該気温の補正方法は特に限られるものではないが、例えば、鉛直方向にみて地上に最も近いメッシュの気温値とその直上のメッシュとの気温差および高度差によって該当地点の気温を推定することができる。
また、本願発明者等が架線への着雪現象について種々検討を行ったところ、架線への着雪現象は「降水量」、「架線に直角な速度成分」および「気温」の3つの気象値が大きく関わるという知見に至った。
図4に示すように、架線(送電線18)に直角な風向とは送電鉄塔データベース13に記憶されている各送電鉄塔の「架線の走行方位」に対し直角な風向である。よって、架線に直角な風速とは、その風向の風速であり数式1で求めることができる。尚、本実施形態では、送電線は送電鉄塔と送電鉄塔の間に1つ存在するものとしている。ここで、実際の鉄塔間には複数の送電線が存在するが、これらを個別に評価する必要性はないため、一例として、以下、1つの送電鉄塔に1つの送電線が存在すると仮定し処理を行っている。
<数1>
=V×sinβ=V×cosθ
ここで、
:架線に直角な風速
V:架線高さ位置での実際の風速(絶対値)
β:架線と風向の成す角度
θ:架線の直角方向と風向との成す角度である。
また、「気温」は降雪の融け具合によって着雪率や着雪密度が変わってくるため非常に大きな要素となる。ここで、気温が氷点下の場合には、降水は固体粒子の比率が高くなるため着雪率は低い状態となる。一方、気温が2℃以上になるとほとんどが降雨になってしまうため着雪は問題とならない。これらから、0〜2℃の気温が着雪危険気温帯といえる。
そこで、本実施形態では、気温Tによる着雪率の変化を図5にしめすような1℃を極大値とする着雪率関数α(T)により表している(数式2)。尚、着雪率関数は一例であり、必ずしも上記の例には限られない。例えば1℃を最大値として非線形関数として表すようにしても良い。
本実施形態の着雪予測方法では、このように気温Tが0℃〜2℃のもののみ着雪率が計算されるので、予測された気温が当該範囲に含まれない間については、当該メッシュについては着雪率は0となる。
更に、湿度が低い場合は着雪率が低下する。また、日射量が多い場合には予測された気温より雪の表面の温度が高くなる。即ち、着雪率は「湿度」および「日射量」の値にも密接に関連するといえる。
そこで、例えば、数式2により求めた着雪率を、湿度が低い場合には着雪率を低く、日射量が多い場合には着雪率を高く補正するようにしても良い。当該補正により、「湿度」および「日射量」についても考慮した着雪率関数の高度化を図ることが可能となる。尚、「湿度」および「日射量」についても上述の数値気象予報モデル(例えば、WRF)により各メッシュ毎の1時間の統計量を算出し、他の気象データと同様に気象データベース12に併せて記憶させておけば良い。
更に、本願発明者等が鋭意研究を重ねた結果(実施例1参照)、数値気象予報モデルによる気象データの予測値およびその補正値、さらにそれに基づいて計算された「架線に直角な速度成分」、「着雪率」から求めることが可能な着雪予測の指標となる着雪量に比例する値(以下、着雪ポテンシャルという)を定義できることを新たに知見した。
着雪ポテンシャルを各メッシュ内の各架線毎または各メッシュ毎に求めることで、どの架線、またはどのメッシュで着雪の危険性が高いかを判断することが可能となる。
架線への着雪量の指標となる着雪ポテンシャルは数式3により求めることができる。
本実施形態では、数式3に各送電線毎の「降水量」、「架線に直角な速度成分」、「着雪率」を代入し時間積分することにより、各送電線毎の着雪ポテンシャル(1送電線につき1つの値)を計算することが可能となる。上述のように、「降水量」については当該送電線(送電鉄塔)が存在するメッシュの予測値を用い、「架線に直角な速度成分」については当該送電線の「架線の走行方位」に直角な風速成分を数式1により求めた値を用いる。「着雪率」についてはメッシュの「気温」の予測値を当該送電線(送電鉄塔)の存在する「標高」に基づいて補正した値を数式2に代入して求めた値を用いる。
また、各メッシュ毎の着雪ポテンシャルを求める場合は、数式3の「架線に直角な速度成分」に替えて、各メッシュ毎に記憶された8方向別の風速を用いて、それぞれについて計算することで、各メッシュ毎の16方位別着雪ポテンシャル(1メッシュにつき8つの値)を求めることができる。尚、「降水量」、「気温」については当該メッシュの予測値を用いればよい。したがって、各メッシュ毎の着雪ポテンシャルのみを算出することが目的であれば、上述した「気温」を「標高」および「架線高さ」により補正する処理および「架線に直角な速度成分」を算出する処理については不要となる。
このように本実施形態の着雪予測方法によれば、各送電線毎の着雪ポテンシャルを求めることで各送電線毎の着雪量の予測が可能となる。また、各メッシュの8方向別の着雪ポテンシャルを求めることで、各メッシュにおける送電線の走行方位別の着雪量を予測することが可能となる。
更に、本実施形態の着雪予測方法では、当該着雪ポテンシャル分布を出力装置2に可視化表示した着雪ポテンシャル分布を作成することができる。
着雪ポテンシャル分布は、各メッシュ毎に1時間毎に計算された着雪ポテンシャルの数時間毎の統計量を、その統計量に応じた色を出力装置2に表示された対象領域の地図上の対応する位置にオーバレイ表示させるものである。尚、マップの作成は、公知又は新規の作成手法を用いれば良く特に限られるものではない。本実施形態では、着雪ポテンシャル分布は8方向別に作成される。着雪ポテンシャル分布の一例を図6に示す。図6は、北西−南東向きの送電線の(a)12時間後(0〜12時間後までの合計)、(b)24時間後(12間後〜24時間後までの合計)、(c)36時間後(24間後〜36時間後までの合計)、(d)48時間後(36間後〜48時間後までの合計)の着雪ポテンシャル(kg・m/m)の分布である。
この着雪ポテンシャル分布を参考にすれば、どの地域にどの時間帯で着雪が多く発生するかを一目で判断することができ、いつどこにどれだけの人員を配置するか等の人員の配置位置決定支援として利用することが可能となる。また、着雪ポテンシャル分布の作成に併せて、またはそれに換えて、着雪ポテンシャルの値が大きいメッシュ順に、メッシュ位置をテキスト形式で出力するようにしても同様の効果を得ることができる。
次に、本実施形態の着雪予測プログラムが実行する処理について説明する。以下に、本実施形態の着雪予測プログラムが各メッシュ毎の着雪ポテンシャルを算出する場合に実行する処理について図7のフローチャートを用いて説明する。各処理の詳細にについては、上述のとおりである。
先ず、着雪予測の対象となるエリアの地図データの読み出して対象領域およびメッシュの設定し記憶装置に記憶させる(S101)。次に、数値気象予報モデル(WRF)による気象データの計算(S102)を行う。本処理では、上述の数値気象予報モデルを用いて、各メッシュについて「気温」、「降水量」および8方向別の「風向」、「風速」を算出し、その結果を気象データベース12に記憶させる。
次に、着雪率計算を行う(S103)。本処理では、気象データベース12から各メッシュ毎の「気温」の値を読み出して、前述の数式2に示す着雪率関数をCPU4で演算して「着雪率」を求め、各メッシュ毎の「着雪率」を記憶装置に記憶させる。
次に、着雪ポテンシャル計算を行う(S104)。本処理では、気象データベース12から「降水量」、8方向別の「風速」、「着雪率」等を読み出して前述の数式3をCPU4で「架線に直角な速度成分」に替えて8方向別の風速毎にそれぞれ演算し、例えば各メッシュの1時間毎の8方向別の着雪ポテンシャルを求め、記憶装置に記憶させる。
最後に、着雪ポテンシャル分布を作成する(S105)。本処理では、記憶装置に記憶された各メッシュ毎の着雪ポテンシャルを例えば12時間の合計の値に応じた分布として出力装置2に表示させる(S105)。以上、説明した本実施形態の着雪予測プログラムによれば、各メッシュにおける8方向の送電線別の着雪ポテンシャル量を求めることができる。
また、各送電線毎に着雪ポテンシャルを算出する場合に実行する処理について図8のフローチャートを用いて説明する。
先ず、S101と同様に対処領域・メッシュの設定を行う(S201)。次に、送電鉄塔位置情報入力を行う(S202)。本処理では、各対象領域内にあるすべての送電鉄塔についての「位置(緯度・経度)」、「標高」、「架線の走行方位」および「架線高さ」情報が入力されることで送電鉄塔データベース13が構築される。
次に、S102と同様に数値気象予報モデルによる気象データの計算(S203)を行って、各メッシュについて「気温」、「降水量」および8方向別の「風向」、「風速」を算出し、その結果を気象データベース12に記憶させる。
次に、気温の標高補正処理を行う(S204)。各送電鉄塔の位置情報に基づいて各送電鉄塔がどのメッシュ内であるかは関連づけられているので、各送電鉄塔毎に気象データベースから「気温」を読み出して、当該「気温」の値を当該送電鉄塔の「標高」および「架線高さ」情報に基づいて補正する。当該補正値は記憶装置に記憶される。
更に、補正された「気温」を記憶装置から読み出して、S103と同様に各送電線毎に着雪率計算(数式2)を演算して求めた着雪率を記憶装置に記憶させる(S205)。
次に、送電線の走行方位に直角な風速成分の計算を行う(S206)。各送電鉄塔の「架線の走行方位」および「風速」により前述の数式1をCPU4で演算することにより送電線の走行方位に直角な風速成分を求め、記憶装置に記憶させる。
最後に、S104と同様に着雪ポテンシャルの計算(数式3)を演算し、各送電鉄塔毎即ち各送電線毎の着雪ポテンシャル算出する(S207)。以上、説明した本実施形態の着雪予測プログラムによれば、送電線毎の着雪ポテンシャルを算出することができるので、着雪量が多いと予測される危険な送電線に対して、優先的に巡視等を行うことが可能となる。
また、出力装置2に表示される地図に全ての送電鉄塔の位置を×印等で表示し、上述の着雪量マップ作成処理と同様に、着雪ポテンシャルの値の大きさに応じて×印を色分け表示するようにすることで、雪害のおそれの高い送電線を一目で判別することが可能となる。また、分布を表示しないでも、着雪ポテンシャルの大きい順に送電鉄塔番号をテキスト出力することで、雪害発生の可能性のある送電線を判断することが可能となる。
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、数値気象予報モデルのベースとなる気象予報データは、一定時間置きに更新されるので、最新の気象予報データに基づいて気象データの予測を行うことが好ましい。したがって、例えば、気象予報データが発表される数時間毎に数値気象予報モデルにより再計算をし、S102〜S105およびS203〜S207のループ処理を行うことが好ましい。これにより、最新の気象予報データに基づく着雪予測を行うことが可能となる。
また、本発明の着雪予測方法および着雪予測プログラムによれば架線のような線状の形態には限らず、道路標識等への着雪量の予測にも応用することが可能である。
(実施例1)
2005年1月に富山県旧宇奈月町(現黒部市)付近において大雪による送電施設への大量の着雪が発生した。本実験では、同一の気象条件下での着雪ポテンシャルを予測することにより着雪ポテンシャルの有効性を確認した。
本実験では、先ず上述の数値気象予報モデル(MM5)により、降水量、風速、風向、気温の予測値を最小5kmのメッシュで48時間後まで求めた。その結果、着雪に危険な気温帯(0〜2℃)が宇奈月付近で長時間続いていたこと、および風向風速についも観測値とほぼ一致した結果を示すことを確認した。
更に、上記予測値を降水量、風速および気温をパラメータとする架線への着雪量に比例した概念(着雪ポテンシャル分布、数式3)に適用した。
上述の図6は、旧宇奈月町の架線と同方向の北西から南東に対しての着雪ポテンシャル量について計算開始時刻から12時間毎の分布をそれぞれ示したものである。図6は、24時間後以降において旧宇奈月町の着雪量が多くなることを示している。
また、図9に48時間後(図6(d))の架線の走行方位別の着雪ポテンシャル分布を示す。尚、図9に示す各着雪ポテンシャル分布上に記載している方位は架線の向きを示しており、例えば「北−南」とは北から南に架けられている送電線に対する着雪ポテンシャル分布という意味である。図9によれば、旧宇奈月町において異常着雪が発生した架線とほぼ同じ向きの「北西−南東」が最も大きな値となっていることが確認できた。
このように、富山県内において宇奈月付近における着雪ポテンシャルが他地域に比べて大きく、さらに北西から南東にむかって架せられている送電線における値が最も高くなる結果となり、実際の事故現場と状況が一致していることを確認した。尚、能登半島北部、石川県南部および石川・富山県境では「北−南」を中心に大きな着雪ポテンシャルとなっているが、旧宇奈月町と異なり標高が高いためである。また、降水量の多い白山、飛騨山脈においては気温が氷点下であることから着雪ポテンシャルは発生しない結果となっている。
本実験により、降水量、風速および気温のみから求められる着雪ポテンシャルの値が実際の着雪量に比例すること、また、着雪ポテンシャルを予測することで着雪予測が可能となることを確認できた。
本発明に関する着雪予測装置のハードウェア構成の一例を示す図である。 本実施形態の数値気象予報モデルによる処理の概要の一例を示すフローチャートである。 数値気象予報モデルによる気象データの予測におけるネスティング手法を説明するための図である。 架線に直角な速度成分を説明するための図である。 着雪率α(T)を示すグラフであり、横軸は気温、縦軸は着雪率を表す。 出力装置に表示される着雪ポテンシャル分布の一例を示す図であり、旧宇奈月町の架線と同方向の北西から南東に対しての計算開始時刻から12時間毎の着雪ポテンシャル分布である。 本発明の着雪予測プログラムにより各メッシュ毎の着雪ポテンシャルを算出する処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の着雪予測プログラムにより各送電線毎の着雪ポテンシャルを算出する処理の一例を示すフローチャートである。 図6(d)に示した48時間後の架線の走行方位別の着雪ポテンシャル分布である。
符号の説明
1 着雪予測装置
9 着雪予測プログラム

Claims (6)

  1. 架線の着雪予測を行う対象領域を任意の大きさのメッシュに区切り、予測時点での気象データに基づいて数値気象予報モデルにより任意のn時間後までの降水量、風速、風向、気温を前記各メッシュ毎に任意の出力時間間隔で予測し、予測された前記各メッシュ毎の前記気温および予め構築された気温と着雪率の関係を示す着雪率関数により前記各メッシュ毎の着雪率を求め、前記降水量、前記風速、前記風向および前記着雪率に基づいて着雪量に比例する着雪ポテンシャルを各メッシュについて前記風向別に求めることを特徴とする着雪予測方法。
  2. 架線の着雪予測を行う対象領域を任意の大きさのメッシュに区切り、予測時点での気象データに基づいて数値気象予報モデルにより任意のn時間後までの降水量、風速、風向、気温を前記各メッシュ毎に任意の出力時間間隔で予測し、かつ予め各架線支持物に対し緯度、経度、標高および架線の走行方位を関連づけておき、前記緯度、前記経度および前記標高に基づいて予測された前記気温を補正し、該補正された気温および予め構築された気温と着雪率の関係を示す着雪率関数により前記各架線支持物毎の着雪率、並びに、前記風速、前記風向および前記架線の走行方位に基づいて架線に直角な速度成分を求め、前記降水量、前記架線に直角な速度成分および前記着雪率に基づいて着雪量に比例する着雪ポテンシャルを前記各架線毎に求めることを特徴とする着雪予測方法。
  3. 更に、前記着雪ポテンシャルを時間積分し、その統計量に応じて前記各メッシュの着雪ポテンシャルの分布を示す着雪ポテンシャル分布を作成することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の着雪予測方法。
  4. 記憶装置に記憶された地図データに対して架線の着雪予測を行う対象領域および該対象領域を分割する任意の大きさのメッシュを設定し、かつ予測時点での気象データの入力値に基づいて数値気象予報モデルにより任意のn時間後までの降水量、風速、風向、気温の前記各メッシュ毎に任意の出力時間間隔で予測した値を予め記憶装置に記憶させておき、予測された前記各メッシュ毎の前記気温を読み出して、予め記憶された気温と着雪率の関係を示す着雪率関数を演算することにより前記各メッシュ毎の着雪率を求めて記憶装置に記憶する処理と、前記降水量、前記風速、前記風向および前記着雪率を読み出して着雪量に比例する着雪ポテンシャルを各メッシュについて前記風向別に算出する処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする着雪予測プログラム。
  5. 記憶装置に記憶された地図データに対して架線の着雪予測を行う対象領域および該対象領域を分割する任意の大きさのメッシュを設定し、かつ予測時点での気象データの入力値に基づいて数値気象予報モデルにより任意のn時間後までの降水量、風速、風向、気温の前記各メッシュ毎に任意の出力時間間隔で予測した値を予め記憶装置に記憶させておき、更に、各架線支持物に対し緯度、経度、標高および架線の走行方位を関連づけて予め記憶装置に記憶させておき、前記各架線支持物毎に記憶された前記緯度、前記経度および前記標高を読み出して、予測された前記気温を補正して補正値を記憶装置に記憶する処理と、前記補正値を読み出して予め記憶された気温と着雪率の関係を示す着雪率関数を演算することにより前記各メッシュ毎の着雪率を求めて記憶装置に記憶させる処理と、前記風速、前記風向および前記架線の走行方位を読み出して架線に直角な速度成分を求めて記憶装置に記憶する処理と、前記降水量、前記架線に直角な速度成分および前記着雪率に基づいて着雪量に比例する着雪ポテンシャルを前記各架線毎に算出する処理とをコンピュータに実行させることを特徴とする着雪予測プログラム。
  6. 更に、前記着雪ポテンシャルを時間積分し、出力装置に表示された前記対象領域の前記地図データに、前記着雪ポテンシャルの統計量の分布をオーバレイ表示させる処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載の着雪予測プログラム。
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