以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る着雪予測システム1の一例を示す全体構成図である。
着雪予測システム1は、気象予報データ100を提供する気象予報システム10と、気象予報システム10により提供された気象予報データ100を取得し、気象予報データ100に基づいて着雪情報200を予測する着雪予測装置2と、各ユーザが使用し、着雪予測装置2により予測された着雪情報200を各ユーザに出力するユーザ端末11と、各装置間を相互に通信可能に接続するネットワーク12と、を備える。なお、ネットワーク12は、有線でも無線でもよく、また、インターネット回線でも専用回線でもよい。
気象予報システム10は、気象庁、外国の気象機関、国内外の気象会社等により運営されるシステムである。気象予報システム10は、複数の観測地点で収集された現在又は過去の観測データに基づいて気象状況の推移を予測することにより、気象予報データ100を生成し、その気象予報データ100を所定の提供時刻(例えば、1日に8回、3時間毎の時刻)に外部に提供する。
気象予報データ100は、GPV(Grid Point Value:格子点値)データと呼ばれるものであり、各種の数値予報モデルを用いて、所定の時間間隔(例えば、30分、1時間、3時間、6時間)で区切られた各時間T(t)及び所定の大きさ(例えば、2kmメッシュ、5kmメッシュ、20kmメッシュ)で区切られた各領域R(r)に対する複数の気象要素110を予測したデータである。数値予報モデルとしては、例えば、全球数値用法モデル(GSM:Global Spectral Model)、メソ数値予報モデル(MSM:Meso Scale Model)、局地数値予報モデル(LFM:Local Forecast Model)等が用いられる。
複数の気象要素110は、気象状況を定量的に表現するための各種の要素であり、例えば、気温[℃]、相対湿度[%]、降水量[mm/h]、風ベクトル(東西成分及び南北成分の2要素)[m/s]、日射量[W/m2]、気圧[hPa]及び雲量[%]等である。
なお、本実施形態では、気象予報データ100は、メソ数値予報モデル(MSM)を用いて予測したGPVデータであるものとし、現時点から1時間間隔で区切られた39時間先までの各時間T(t)、及び、5kmメッシュで区切られた各領域R(r)に対する複数の気象要素110として、気温Temp、相対湿度Hr、降水量Pr、風ベクトルW(東西成分wu及び南北成分wv)、及び、日射量Srを含むデータであるものとして説明する。そのため、変数tは、1~39(=Tmax)の間の整数値であり、変数rは、1~各領域に通し番号を割り振った場合の最大値(=Rmax)の間の整数値である。
ユーザ端末11は、汎用のデスクトップ型コンピュータ等の情報処理装置や、ユーザが携帯可能なノートブック型コンピュータ、タブレット、スマートフォン、携帯電話、ウェアラブル端末等の携帯端末機器により構成されている。
ユーザ端末11は、表示画面に対するユーザの入力操作を受け付けて、表示情報生成要求を着雪予測装置2に送信するとともに、その表示情報生成要求に対する応答として、着雪予測装置2から表示情報を受信し、その表示情報に基づいて、表示画面に気象予報データ100や着雪情報200を表示する。
着雪予測装置2は、気象予報データ100に基づいて、各時間T(t)及び各領域R(r)における着雪情報200を、複数の方位D(d)をそれぞれ向いた複数の着雪面S(d)の方位毎に予測する装置である。
着雪情報200は、雪が着雪面S(d)に着雪する際の着雪量を示す情報であり、例えば、単位時間当たりの着雪重量(単位面積当たりに着雪した雪の重量)を示す着雪速度Ms[kg/m2/h]、単位面積当たりに着雪した雪の重量を累積値として示す着雪重量Mw[kg/m2]、又は、着雪した雪の高さを累積値として示す着雪高さMh[cm]で表される情報である。
複数の方位D(d)は、互いに異なる方位であり、全方位を、例えば、4等分、8等分、16等分、32等分等で均等に分けた場合には、4方位、8方位、16方位、32方位等の各方位を示すものである。また、複数の方位は、ユーザにより任意の方位が指定されたものでもよい。
着雪面S(d)は、雪が着雪する対象物を想定した仮想的な面であり、対象物が有する鉛直面、又は、水平面に対して傾斜した傾斜面を想定したものである。雪が着雪する対象物は、例えば、道路設備(交通信号機、道路標識、高架道路の側壁等)、鉄道設備(鉄道信号機、鉄道標識、踏切、高架線路の側壁等)、電力設備(電柱、鉄塔等)、建築物(屋根、壁等)及び看板等の屋外構造物並びに樹木である。
なお、本実施形態では、複数の方位D(d)は、8方位とし、8つの着雪面S(d)は、8方位の各方位D(d)をそれぞれ向いたものとして説明する。そのため、変数dは、1から8までの整数値であり、方位D(1)=「北」、方位D(2)=「北東」、方位D(3)=「東」、方位D(4)=「南東」、方位D(5)=「南」、方位D(6)=「南西」、方位D(7)=「西」、方位D(8)=「北西」である。したがって、方位D(1)=「北」を向いた着雪面S(1)に対する着雪情報200は、例えば、表示面が「北」又は「北」と近似できるような方向を向いて設置された実際の信号機や標識において、その表示面にどの程度の雪が着雪するのかを予測した情報である。
図2は、本発明の実施形態に係る着雪予測装置2を示すブロック図である。着雪予測装置2は、例えば、汎用のデスクトップ型コンピュータやサーバ等の情報処理装置により構成されている。
着雪予測装置2は、キーボード、タッチパネル等により構成される入力部20と、HDD、メモリ等により構成される記憶部21と、CPU等のプロセッサにより構成される制御部22と、ネットワーク12との通信インターフェースである通信部23と、ディスプレイ、スピーカ等により構成される出力部24と、を備える。なお、入力部20や出力部24は省略してもよく、その場合には、別の情報処理装置が、着雪予測装置2の入力部20や出力部24として機能するように構成すればよい。
記憶部21には、気象予報データ100を蓄積する気象予報データベース210と、着雪情報算定部221(詳細は後述する)により算定された着雪情報200を蓄積する着雪情報データベース211と、着雪予測プログラム212と、が記憶されている。
制御部22は、記憶部21に記憶された着雪予測プログラム212を実行することにより、データ取得部220、着雪情報算定部221、及び、表示情報生成部222として機能し、着雪予測処理(詳細は図4~8にて後述する)、及び、表示情報生成処理(詳細は図9~14にて後述する)を行う。
データ取得部220は、気象予報システム10から通信部23を介して気象予報データ100を取得する。また、データ取得部220は、取得した気象予報データ100を気象予報データベース210に登録する。なお、データ取得部220は、気象予報データ100が記憶された、例えば、USBメモリ等の外部記憶装置に接続されて、外部記憶装置から気象予報データ100を取得してもよいし、着雪予測装置2の管理者により入力部20を介して入力された気象予報データ100を取得してもよい。
着雪情報算定部221は、データ取得部220により取得された気象予報データ100に基づいて、各時間T(t)及び各領域R(r)における着雪情報200として、着雪速度Ms(t,r,d)、着雪重量Mw(t,r,d)及び着雪高さMh(t,r,d)を、複数の方位D(d)をそれぞれ向いた複数の着雪面S(d)の方位毎に算定する。また、着雪情報算定部221は、算定した着雪情報200を着雪情報データベース211に登録する。
本実施形態では、着雪情報算定部221は、各時間T(t)及び各領域R(r)における着雪情報200として、着雪速度Ms(t,r,d)、着雪重量Mw(t,r,d)及び着雪高さMh(t,r,d)を、8方位D(d)をそれぞれ向いた8つの着雪面S(d)の方位毎、すなわち、8方位毎に算定するものとして説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る着雪情報算定部221を示すブロック図である。
着雪情報算定部221は、気象予報データ100に基づいて、各時間T(t)及び各領域R(r)における風向Wd(t、r)及び風速Ws(t、r)を計算する風向風速計算部221aと、気象予報データ100に基づいて、各時間T(t)及び各領域R(r)において所定の湿雪降雪条件を満たすか否かを判定する湿雪降雪判定部221bと、気象予報データ100に基づいて、各時間T(t)及び各領域R(r)における単位時間当たりの衝突重量Pn(t,r)[kg/hr]を計算する衝突重量計算部221cと、気象予報データ100に基づいて、各時間T(t)及び各領域R(r)における着雪密度Ps(t,r)[kg/m3]を計算する着雪密度計算部221dと、複数の方位D(d)及び風向Wd(t、r)の間の関係に基づいて、各時間T(t)及び各領域R(r)における着雪率α(t,r,d)[%]を方位毎に計算する着雪率計算部221eと、衝突重量計算部221cにより計算された衝突重量Pn(t,r)と着雪率計算部221eにより計算された方位毎の着雪率α(t,r,d)とに基づいて、各時間T(t)及び各領域R(r)における単位時間当たりの着雪重量を示す着雪速度Ms(t,r,d)を着雪情報200として方位毎に計算する着雪速度計算部221fと、着雪速度計算部221fにより計算された方位毎の着雪速度Ms(t,r,d)を所定の単位時間分、方位毎に累積することにより、所定の単位時間後の各領域R(r)における着雪重量Mw(t,r,d)及び着雪高さMh(t,r,d)を着雪情報200として方位毎に計算する着雪情報累積部221gと、を備える。
また、着雪情報算定部221は、気象予報データ100に基づいて、各時間T(t)及び各領域R(r)において所定の落雪条件を満たすか否かを判定する落雪判定部221hと、落雪判定部221hにより所定の落雪条件を満たすと判定された時間T(t)及び領域R(r)における着雪情報200をリセットする着雪情報リセット部221iと、をさらに備える。
風向風速計算部221aは、気象予報データ100に含まれる時間T(t)及び領域R(r)に対する風ベクトルW(東西成分wu及び南北成分wv)に基づいて、風向Wd(t、r)及び風速Ws(t、r)を計算する。
湿雪降雪判定部221bは、気象予報データ100に含まれる時間T(t)及び領域R(r)に対する気温Temp、相対湿度Hr及び降水量Prに基づいて、図6に示すフローチャートのステップS301~S303(詳細は後述する)により、所定の湿雪降雪条件を満たすか否かを判定する。湿雪降雪判定部221bが、所定の湿雪降雪条件を満たすと判定した場合には、衝突重量計算部221c及び着雪密度計算部221dによる処理が実行され、所定の湿雪降雪条件を満たさないと判定した場合には、落雪判定部221hによる処理が実行される。
衝突重量計算部221cは、風向風速計算部221aにより計算された風速Ws(t、r)と、気象予報データ100に含まれる時間T(t)及び領域R(r)に対する降水量Prとに基づいて、衝突重量Pn(t,r)を計算する。
着雪密度計算部221dは、風向風速計算部221aにより計算された風速Ws(t、r)に基づいて、着雪密度Ps(t,r)を計算する。
着雪率計算部221eは、複数の方位D(d)と、気象予報データ100に含まれる時間T(t)及び領域R(r)に対する風向Wd(t、r)との間の関係に基づいて、図7に示すフローチャートのステップS420~S427(詳細は後述する)により、着雪率α(t,r,d)を方位毎に計算する。
また、着雪率計算部221eは、各時間T(t)及び各領域R(r)における衝突率β(t,r,d)を方位毎に計算する。なお、本実施形態では、衝突率β(t,r,d)は、「60」[%]の定数であるものとして説明する。
着雪速度計算部221fは、衝突重量計算部221cにより計算された衝突重量Pn(t,r)と、着雪率計算部221eにより計算された方位毎の着雪率α(t,r,d)及び衝突率β(t,r,d)とに基づいて、時間T(t)及び領域R(r)における着雪速度Ms(t,r,d)を方位毎に計算する。
着雪情報累積部221gは、時間T(t)及び領域R(r)における着雪重量Mw(t,r,d)を方位毎に計算する着雪重量累積部221g1と、時間T(t)及び領域R(r)における着雪高さMh(t,r,d)を方位毎に計算する着雪高さ累積部221g2とを備える。
落雪判定部221hは、気象予報データ100に含まれる時間T(t)及び領域R(r)に対する気温Temp、降水量Pr及び日射量Srに基づいて、図8に示すフローチャートのステップS501~S525(詳細は後述する)により、所定の落雪条件を満たすか否かを判定する。
着雪情報リセット部221iは、落雪判定部221hにより所定の落雪条件を満たすと判定された時間T(t)及び領域R(r)における着雪情報200として、着雪重量Mw(t,r,d)及び着雪高さMh(t,r,d)を「0」にリセットする。
なお、本実施形態では、着雪情報リセット部221iは、着雪重量Mw(t,r,d)及び着雪高さMh(t,r,d)をリセットする際に、着雪面S(d)に着雪した雪の全てが落雪することを想定して、「0」にリセットするものとして説明するが、着雪面S(d)に着雪した雪の一部が落雪することを想定した場合には、一定の割合(例えば、50%)又は一定の値(例えば、5kg/m2及び10cm)を減算することによりリセットしてもよいし、着雪面S(d)に着雪した雪が時間の経過に伴って段階的に落雪することを想定した場合には、時間が経過する毎に、一定の割合(例えば、10%)又は一定の値(例えば、1kg/m2及び2cm)を減算することによりリセットしてもよい。
表示情報生成部222は、ユーザ端末11により送信された表示情報生成要求に応じて、気象予報データベース210及び着雪情報データベース211を参照することにより、各種の気象情報として、気象予報データ100に含まれる気象要素110と、着雪情報算定部221により算定された風速Ws(t,r)、風向Wd(t,r)及び着雪情報200とを、ユーザ端末11の表示画面に表示させる表示情報を生成し、その表示情報をユーザ端末11に通信部23を介して送信する。
表示情報生成部222は、ユーザ端末11に表示させる表示画面として、例えば、気象情報を表示する際に表示の対象とする表示日時及び表示要素を選択する初期表示画面3A(詳細は図10にて後述する)、初期表示画面3Aにて選択された日時の気象情報を地図上に重畳して表示する選択表示画面3B(詳細は図11にて後述する)、特定地点における気象情報の時間的な推移を表示する時系列グラフ表示画面4(詳細は図12にて後述する)、及び、方位毎の着雪情報200を比較可能に表示する第1乃至第3の複数方位時系列グラフ表示画面5A~5C(詳細は図13~14、16にて後述する)等を表示させる表示情報を生成する。
(着雪予測処理について)
以下に、着雪予測装置2が着雪情報200を予測する際の動作(着雪予測処理)について、図4~8を参照しつつ説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る着雪予測装置2の動作(着雪予測処理)を示すフローチャートである。着雪予測装置2は、気象予報システム10により気象予報データ100が外部に提供される所定の提供時刻になると、図4に示すフローチャートに従って、着雪予測処理を開始する。なお、着雪予測装置2は、所定の提供時刻とは異なる任意のタイミングで着雪予測処理を開始してもよいし、着雪予測装置2の管理者から指示を受け付けた場合に着雪予測処理を開始してもよい。
まず、データ取得部220が、気象予報システム10から通信部23を介して気象予報データ100を取得する(ステップS1)。気象予報データ100は、上述したように、メソ数値予報モデル(MSM)を用いて予測したGPVデータであるものとし、1時間間隔で区切られた39時間先までの各時間T(t)、及び、5kmメッシュで区切られた各領域R(r)に対する複数の気象要素110として、気温Temp、相対湿度Hr、降水量Pr、風ベクトルW(東西成分wu及び南北成分wv)、及び、日射量Srを含むデータであるものとして説明する。
次に、データ取得部220は、ステップS1にて取得した気象予報データ100を気象予報データベース210に登録する(ステップS2)。
次に、着雪情報算定部221は、気象予報データ100の各時間T(t)に対して、「t」を変数とする繰り返しループAを実行する(ステップS10、S11)。ステップS10における「t=1,Tmax,1」は、変数tの初期値、終値、インクリメント値をそれぞれ示すものであり、着雪情報算定部221は、ステップS10とステップS11との間に挟まれたステップS20~S21の処理を、変数tの初期値1に対して1ずつインクリメントしながら変数tが終値Tmax(=39)になるまで繰り返し行うことで、当該処理を各時間T(t)に対して行う。
次に、着雪情報算定部221は、気象予報データ100の各領域R(r)に対して、「r」を変数とする繰り返しループBを実行する(ステップS20、S21)。ステップS20における「r=1,Rmax,1」は、変数rの初期値、終値、インクリメント値をそれぞれ示すものであり、着雪情報算定部221は、ステップS20とステップS21との間に挟まれたステップS100~S600の処理を、変数rの初期値1に対して1ずつインクリメントしながら変数rが終値Rmaxになるまで繰り返し行うことで、当該処理を各領域R(r)に対して行う。
次に、風向風速計算部221aは、ステップS2にて気象予報データベース210に登録された気象予報データ100を参照し、気象予報データ100に含まれる時間T(t)及び領域R(r)に対する風ベクトルW(東西成分wu及び南北成分wv)に基づいて、下記の式(1)により風速Ws(t、r)を計算する(S100)。
次に、風向風速計算部221aは、ステップS2にて気象予報データベース210に登録された気象予報データ100を参照し、図5に示す風向計算処理により、気象予報データ100に含まれる時間T(t)及び領域R(r)に対する風ベクトルW(東西成分wu及び南北成分wv)に基づいて、風向Wd(t、r)を計算する(S200)。
図5は、本発明の実施形態に係る着雪予測装置2の動作(ステップS200の風向計算処理の詳細)を示すフローチャートである。
まず、風向風速計算部221aは、気象予報データ100に含まれる時間T(t)及び領域R(r)に対する風ベクトルWの東西成分wuの値と「0」とを比較し、その比較した結果に応じて場合分けを行う(ステップS210)。
ステップS210にて、風向風速計算部221aは、東西成分wuの値が「0」と等しいと判断した場合(ステップS210で「wu=0」)、風ベクトルWの南北成分wvの値と「0」とを比較し、その比較した結果に応じてさらに場合分けを行う(ステップS220)。
そして、ステップS220にて、風向風速計算部221aは、南北成分wvの値が「0」と等しいと判断した場合(ステップS220で「wv=0」)、風向Wd(t、r)に「0」(無風)を代入し(ステップS221)、南北成分wvの値が「0」より小さいと判断した場合(ステップS220で「wv<0」)、風向Wd(t、r)に「270」(東風)を代入し(ステップS222)、南北成分wvの値が「0」より大きいと判断した場合(ステップS220で「wv>0」)、風向Wd(t、r)に「90」(西風)を代入し(ステップS223)。
ステップS210にて、風向風速計算部221aは、東西成分wuの値が「0」より小さいと判断した場合(ステップS210で「wu<0」)、風ベクトルWの南北成分wvの値と「0」とを比較し、その比較した結果に応じてさらに場合分けを行う(ステップS230)。
そして、ステップS230にて、風向風速計算部221aは、南北成分wvの値が「0」と等しいと判断した場合(ステップS230で「wv=0」)、風向Wd(t、r)に「0」(北風)を代入し(ステップS231)、南北成分wvの値が「0」より小さいと判断した場合(ステップS230で「wv<0」)、風向Wd(t、r)に「tan-1(wu/wv)×180/π」の計算値を代入し(ステップS232)、南北成分wvの値が「0」より大きいと判断した場合(ステップS230で「wv>0」)、風向Wd(t、r)に「tan-1(wu/wv)×180/π+360」の計算値を代入する(ステップS233)。
ステップS210にて、風向風速計算部221aは、東西成分wuの値が「0」より大きいと判断した場合(ステップS210で「wu>0」)、風ベクトルWの南北成分wvの値と「0」とを比較し、その比較した結果に応じてさらに場合分けを行う(ステップS240)。
そして、ステップS240にて、風向風速計算部221aは、南北成分wvの値が「0」と等しいと判断した場合(ステップS240で「wv=0」)、風向Wd(t、r)に「180」(南風)を代入し(ステップS241)、南北成分wvの値が「0」と等しくないと判断した場合(ステップS240で「wv≠0」)、風向Wd(t、r)に「tan-1(wu/wv)×180/π+180」の計算値を代入する(ステップS242)。
以上のようにして、風向風速計算部221aは、風向Wd(t、r)を計算し、図5に示す風向計算処理を終了する。
次に、図4に戻り、着雪情報算定部221は、ステップS2にて気象予報データベース210に登録された気象予報データ100を参照し、図6に示す着雪情報算定処理により、時間T(t)及び領域R(r)の気象予報データ100に基づいて、時間T(t)及び領域R(r)における着雪速度Ms(t,r,d)、着雪重量Mw(t,r,d)及び着雪高さMh(t,r,d)を8方位毎に算定する(S300)。
図6は、本発明の実施形態に係る着雪予測装置2の動作(ステップS300の着雪情報算定処理の詳細)を示すフローチャートである。
まず、湿雪降雪判定部221bは、気象予報データ100に基づいて、時間T(t)及び領域R(r)において所定の湿雪降雪条件を満たすか否かを判定する(ステップS301~S303)。
具体的には、湿雪降雪判定部221bは、気象予報データ100に含まれる時間T(t)及び領域R(r)に対する気温Tempが、-0.5℃~2.5℃の範囲内にあるか否かの判定(ステップS301)、気象予報データ100に含まれる時間T(t)及び領域R(r)に対する相対湿度Hrが、80%以上であるか否かの判定(ステップS302)、気象予報データ100に含まれる時間T(t)及び領域R(r)に対する降水量Prが、0より大きいか否かの判定(ステップS303)を行い、全ての判定を満たす場合には(ステップS301で「Yes」、ステップS302で「Yes」、ステップS303で「Yes」)、所定の湿雪降雪条件を満たすとものとして、次のステップS310に進む。
次に、衝突重量計算部221cは、ステップS100にて風向風速計算部221aにより計算された風速Ws(t、r)と、気象予報データ100に含まれる時間T(t)及び領域R(r)に対する降水量Prとに基づいて、時間T(t)及び領域R(r)における単位時間当たりの衝突重量Pn(t,r)を、下記の式(2)により計算する(ステップS310)。
ただし、落下速度:Fs,水の密度:Pw=1
次に、着雪密度計算部221dは、ステップS100にて風向風速計算部221aにより計算された風速Ws(t、r)に基づいて、時間T(t)及び領域R(r)における着雪密度Ps(t,r)を、下記の式(3)により計算する(ステップS320)。
そして、着雪密度計算部221dは、計算した着雪密度Ps(t,r)が、850を超えていると判定した場合には(ステップS321で「Yes」)、着雪密度Ps(t,r)に「850」を代入する(ステップS322)。
次に、着雪情報算定部221は、ステップS2にて気象予報データベース210に登録された気象予報データ100を参照し、図7に示す方位別参照処理により、時間T(t)及び領域R(r)の気象予報データ100と、複数の方位D(d)及び風向Wd(t、r)の間の関係により規定される方位毎の着雪率α(t,r,d)とに基づいて、時間T(t)及び領域R(r)における着雪速度Ms(t,r,d)、着雪重量Mw(t,r,d)及び着雪高さMh(t,r,d)を8方位毎に算定する(S400)。
図7は、本発明の実施形態に係る着雪予測装置2の動作(ステップS400の方位別算定処理の詳細)を示すフローチャートである。
まず、着雪情報算定部221は、8方位の各方位D(d)に対して、「d」を変数とする繰り返しループCを実行する(ステップS410、S411)。ステップS410における「d=1,Dmax,1」は、変数dの初期値、終値、インクリメント値をそれぞれ示すものであり、Dmaxは、8方位の場合には、「8」である。すなわち、着雪情報算定部221は、ステップS410とステップS411との間に挟まれたステップS420~S450の処理を、変数dの初期値1に対して1ずつインクリメントしながら変数dが終値Dmaxになるまで繰り返し行うことで、当該処理を8方位の各方位D(d)に対して行う。
次に、着雪率計算部221eは、方位D(d)を向いた着雪面S(d)に対する風向Wd(t、r)の入射角Φ
deg(d)を、下記の式(4)により計算する(ステップS420)。すなわち、入射角Φ
deg(d)は、風向Wd(t、r)と、方位D(d)との間の角度差を示すものである。
ただし、mod(x,y)は、xをyで除算したときの剰余を示す。
そして、着雪率計算部221eは、計算した入射角Φdeg(d)が、270度以上であると判定した場合には(ステップS421で「Yes」)、入射角Φdeg(d)に「abs(Φdeg(d)-360」(absは絶対値)の計算値を代入する(ステップS422)。
次に、着雪率計算部221eは、入射角Φdeg(d)の単位を度数法から弧度法(ラジアン)に変換することにより、入射角Φrad(d)を求める(ステップS423)。
次に、着雪率計算部221eは、入射角Φ
rad(d)に基づいて、時間T(t)及び領域R(r)における方位D(d)の着雪率α(t,r,d)を、下記の式(5)により計算する(ステップS424)。すなわち、着雪率α(t,r,d)は、風向Wd(t、r)と方位D(d)との間の角度差が「0」の場合には、最大値の100[%]と計算され、風向Wd(t、r)と方位D(d)との間の角度差が大きくなるほど、小さくなるような値として計算される。なお、式(5)の係数k
1、k
2は、降雪の状況や、着雪面として想定する部材の材質(金属、樹脂、木材等)や傾斜面の傾斜角等に応じて適宜変更してもよい。
ただし、k
1=0.0407,k
2=3.9444
次に、着雪率計算部221eは、入射角Φdeg(d)が、90度より大きく、かつ、270度より小さいと判定した場合には(ステップS425で「Yes」)、着雪率α(t,r,d)に「0」を代入する(ステップS426)。
次に、着雪率計算部221eは、衝突率β(t,r,d)に60[%]を示す「0.6」を代入する(ステップS427)。
次に、着雪速度計算部221fは、ステップS310にて衝突重量計算部221cにより計算された単位時間当たりの衝突重量Pn(t,r)と、ステップS424、S426にて着雪率計算部221eにより計算された時間T(t)及び領域R(r)における方位D(d)の着雪率α(t,r,d)と、ステップS427にて代入された衝突率β(t,r,d)とに基づいて、下記の式(6)により、時間T(t)及び領域R(r)における方位D(d)の着雪速度Ms(t,r,d)を計算する(ステップS430)。
次に、着雪重量累積部221g1は、時間T(t-1)及び領域R(r)における着雪重量Mw(t-1,r,d)と、ステップS430にて着雪速度計算部221fにより計算された着雪速度Ms(t,r,d)とに基づいて、下記の式(7)により、着雪高さMh(t-1,r,d)に着雪速度Ms(t,r,d)を加算することにより、時間T(t)及び領域R(r)における方位D(d)の着雪重量Mw(t,r,d)を計算する(ステップS440)。
次に、着雪高さ累積部221g2は、時間T(t-1)及び領域R(r)における着雪高さMh(t-1,r,d)と、ステップS430にて着雪速度計算部221fにより計算された着雪速度Ms(t,r,d)と、ステップS320にて着雪密度計算部221dにより計算された着雪密度Ps(t,r)とに基づいて、下記の式(8)により、着雪高さMh(t-1,r,d)に、着雪速度Ms(t,r,d)を着雪密度Ps(t,r)で除算した値を加算することにより、時間T(t)及び領域R(r)における方位D(d)の着雪高さMh(t,r,d)を計算する(ステップS450)。
なお、上記の式(7)、(8)において、t=1の場合の着雪重量Mw(t-1,r,d)及び着雪高さMh(t-1,r,d)は、現在時刻における着雪重量及び着雪高さに相当するため、実際の観測値を用いてもよいし、過去に行われた着雪予測処理の結果として、着雪情報データベース211に登録されている着雪重量及び着雪高さを用いてもよいし、それらのデータがない場合には「0」としてもよい。
以上のようにして、着雪情報算定部221は、繰り返しループCによりステップS420~S450をDmax回(=8回、すなわち、8方位分)繰り返すことにより、時間T(t)及び領域R(r)における着雪速度Ms(t,r,d)、着雪重量Mw(t,r,d)及び着雪高さMh(t,r,d)を8方位毎に算定し、図6~7に示す着雪情報算定処理を終了する。
次に、図4に戻り、落雪判定部221hは、ステップS2にて気象予報データベース210に登録された気象予報データ100を参照し、図8に示す落雪判定処理により、時間T(t)及び領域R(r)の気象予報データ100に基づいて、時間T(t)及び領域R(r)において所定の落雪条件を満たすか否かを判定する(ステップS500)。
図8は、本発明の実施形態に係る着雪予測装置2の動作(ステップS500の落雪判定処理の詳細)を示すフローチャートである。
まず、落雪判定部221hは、気象予報データ100に含まれる時間T(t)が、昼の時間帯か夜の時間帯かを判定する(ステップS501)。
次に、落雪判定部221hは、昼の時間帯であると判定した場合には(ステップS501で「昼」)、気象予報データ100に含まれる時間T(t)及び領域R(r)に対する気温Tempが5℃以上で1時間以上継続しているか否かの判定(ステップS510)、気温Tempが3℃以上で2時間以上継続しているか否かの判定(ステップS511)、気温Tempが2℃以上で4時間以上継続しているか否かの判定(ステップS512)、気温Tempが、1時間前の気温(時間T(t-1)及び領域R(r)に対する気温Temp)に比較して1.5℃以上上昇しているか否かの判定(ステップS513)、気象予報データ100に含まれる時間T(t)及び領域R(r)に対する日射量Srが「0」でない時間(日射が有る時間)が1時間以上継続しているか否かの判定(ステップS514)、気象予報データ100に含まれる時間T(t)及び領域R(r)に対する降水量Prが「0」である時間(無降水の時間)が6時間以上継続しているか否かの判定(ステップS515)を行い、いずかの判定を満たす場合には、所定の落雪条件を満たすとものとして、次のステップS530に進む。
一方、落雪判定部221hは、夜の時間帯であると判定した場合には(ステップS501で「夜」)、気象予報データ100に含まれる時間T(t)及び領域R(r)に対する気温Tempが5℃以上で2時間以上継続しているか否かの判定(ステップS520)、気温Tempが3℃以上で4時間以上継続しているか否かの判定(ステップS521)、気温Tempが2℃以上で8時間以上継続しているか否かの判定(ステップS522)、気温Tempが、1時間前の気温(時間T(t-1)及び領域R(r)に対する気温Temp)に比較して1.5℃以上上昇しているか否かの判定(ステップS523)、気象予報データ100に含まれる時間T(t)及び領域R(r)に対する日射量Srが「0」でない時間(日射が有る時間)が1時間以上継続しているか否かの判定(ステップS524)、気象予報データ100に含まれる時間T(t)及び領域R(r)に対する降水量Prが「0」である時間(無降水の時間)が12時間以上継続しているか否かの判定(ステップS525)を行い、いずかの判定を満たす場合には、所定の落雪条件を満たすとものとして、次のステップS530に進む。
なお、上記のステップS510~S512、514~515、S520~S522、524~525は、特定の条件を満たす時間が所定の時間以上継続しているか否かの判定をそれぞれ行うものである。例えば、ステップS512における「気温Tempが2℃以上」という特定条件を満たす時間が「4時間」という所定の時間以上継続しているか否かの判定では、落雪判定部221hは、気象予報データ100に含まれるデータのうち、判定の対象としている時間の気温(時間T(t)及び領域R(r)に対する気温Temp)を参照するだけでなく、判定の対象としている時間よりも1時間前の気温(時間T(t-1)及び領域R(r)に対する気温Temp)と、判定の対象としている時間よりも2時間前の気温(時間T(t-2)及び領域R(r)に対する気温Temp)と、判定の対象としている時間よりも3時間前の気温(時間T(t-3)及び領域R(r)に対する気温Temp)についても参照することにより、3時間前の気温、2時間前の気温、1時間前の気温、及び、判定の対象としている時間の気温という「4時間」分の気温が、全て「2℃以上」であるか否かを判定することで、ステップS512の判定を即時的に行うものである。
また、上記のステップS513、S523における、気温Tempが1時間前の気温に比較して1.5℃以上上昇しているか否かの判定では、落雪判定部221hは、気象予報データ100に含まれるデータのうち、判定の対象としている時間の気温(時間T(t)及び領域R(r)に対する気温Temp)を参照するだけでなく、判定の対象としている時間よりも1時間前の気温(時間T(t-1)及び領域R(r)に対する気温Temp)についても参照することにより、1時間前の気温と、判定の対象としている時間の気温とを比較し、判定の対象としている時間の気温が1時間前の気温よりも1.5℃以上高いか否かを判定することで、ステップS513、S523の判定を即時的に行うものである。
そして、着雪情報リセット部221iは、落雪判定部221hにより所定の落雪条件を満たすと判定された時間T(t)及び領域R(r)における着雪情報200として、着雪重量Mw(t,r,d)及び着雪高さMh(t,r,d)を「0」にリセットする(ステップS530)。すなわち、着雪情報リセット部221iは、8方位の全ての方位に対する着雪重量Mw(t,r,d)及び着雪高さMh(t,r,d)を「0」にリセットし、図8に示す落雪判定処理を終了する。
次に、図4に戻り、着雪情報算定部221は、ステップS300の着雪情報算定処理(特にステップS400の方位別算定処理)及びステップ500の落雪判定処理で算定した時間T(t)及び領域R(r)における8方位毎の着雪速度Ms(t,r,d)、着雪重量Mw(t,r,d)及び着雪高さMh(t,r,d)を、着雪情報200として着雪情報データベース211に登録する(ステップS600)。
以上のようにして、着雪情報算定部221は、繰り返しループBによりステップS100~S600をRmax回繰り返すとともに、繰り返しループAによりステップS20~S21をTmax回繰り返すことにより、各時間T(t)及び各領域R(r)における着雪速度Ms(t,r,d)、着雪重量Mw(t,r,d)及び着雪高さMh(t,r,d)を8方位毎に算定し、その算定した8方位毎の着雪速度Ms(t,r,d)、着雪重量Mw(t,r,d)及び着雪高さMh(t,r,d)を着雪情報データベース211に登録し、図4~8に示す着雪予測処理を終了する。
(表示情報生成処理と、表示画面について)
以下に、着雪予測装置2が表示情報を生成する際の動作(表示情報生成処理)と、着雪予測装置2により生成された表示情報に基づく表示画面について、図9~14を参照しつつ説明する。
図9は、本発明の実施形態に係る着雪予測装置2の動作(表示情報生成処理)及びユーザ端末11の動作を示すフローチャートである。着雪予測装置2は、着雪予測処理により気象予報データベース210及び着雪情報データベース211に表示の対象となるデータが登録されている場合に、表示情報生成処理を開始可能であり、着雪予測処理とは異なるタイミングで表示情報生成処理を開始してもよいし、着雪予測処理と並行して表示情報生成処理を開始してもよい。
まず、ユーザ端末11は、例えば、着雪予測装置2にアクセスするためのURLを指定するユーザのアクセス操作を受け付けると(ステップS700)、その指定されたURLにアクセスするとともに、初期選択肢を含む表示情報生成要求を着雪予測装置2に送信する(ステップS701)。
そして、着雪予測装置2の表示情報生成部222は、ユーザ端末11により送信された表示情報生成要求に応じて、気象予報データベース210及び着雪情報データベース211を参照することにより、ユーザ端末11に初期表示画面3Aを表示させる表示情報を生成し、その生成した表示情報をユーザ端末11に送信する(ステップS800)。
次に、ユーザ端末11は、表示情報生成要求に対する応答として、着雪予測装置2から表示情報を受信し、その表示情報に基づいて、図10に示す初期表示画面3Aを表示する(ステップS702)。
図10は、本発明の実施形態に係る着雪予測システム1における初期表示画面3Aを示す図である。初期表示画面3Aは、画面左上側に配置された日時選択領域30と、画面左下側に配置された要素選択領域31と、画面右側に配置されて、各種の気象情報として、気象要素110及び着雪情報200等を地図上に重畳して表示する気象情報表示領域32と、を備える。なお、日時選択領域30、要素選択領域31及び気象情報表示領域32を表示する際の配置やサイズは適宜変更してもよい。
日時選択領域30は、気象情報表示領域32に気象情報を表示する際に、表示の対象とする表示日を、例えば、カレンダー形式で選択する日付選択部300と、表示の対象とする表示時間を、スライダーバーや、停止ボタン、再生ボタン及び一時停止ボタンで選択する時間選択部301と、を備える。
要素選択領域31は、気象情報表示領域32に気象情報を表示する際に、表示の対象とする表示要素を、例えば、コンボボックスで選択する要素選択部310と、表示の対象とする表示方位を、例えば、ラジオボタンで選択する方位選択部311と、要素選択部310で選択された表示要素とともに風向Wd(t、r)を表示するか否かを、例えば、チェックボックスで指定する風向指定部312と、を備える。
要素選択部310は、コンボボックスによる表示要素の選択肢として、気象予報データ100に含まれる気象要素110である気温Temp、相対湿度Hr、降水量Pr及び日射量Srと、着雪情報算定部221により風ベクトルW(東西成分Wu及び南北成分Wv)から計算された風速Ws(t,r)と、着雪情報算定部221により算定された着雪情報200としての着雪速度Ms(t,r,d)、着雪重量Mw(t,r,d)及び着雪高さMh(t,r,d)とが選択可能に構成されている。
方位選択部311は、要素選択部310にて、着雪速度Ms(t,r,d)、着雪重量Mw(t,r,d)及び着雪高さMh(t,r,d)のいずれかが選択された場合に有効となり、ラジオボタンによる表示方位の選択肢として、8方位のいずれかの方位が選択可能に構成されている。なお、方位選択部311は、表示方位の選択肢として、8方位の平均値をさらに選択可能に構成してもよい。
気象情報表示領域32は、その気象情報表示領域32の全体に地図を表示する地図表示部320と、地図表示部320に表示する地図の表示範囲や拡大率を指定する地図指定部321と、を備える。
地図表示部320は、地図指定部321により指定された表示範囲や拡大率に基づいて地図を表示するとともに、その地図上に、要素選択部310で選択された表示要素及び方位選択部311で選択された表示方位に対応する気象情報を重畳して表示するように構成されている。図10に示す初期表示画面3Aは、表示情報生成要求に含まれる初期選択肢として、日時選択領域30で現時点からの1時間後の「2018年9月20日13:00」が選択され、要素選択部310で「着雪重量Mw(t,r,d)」が選択され、方位選択部311で「北」が選択されている場合に表示される表示画面であり、地図表示部320は、方位「北」に対する着雪重量Mw(t,r,d)のコンター図を地図上に重畳して表示する。なお、コンター図は、カラースケールのコンター図でもよいし、グレースケールのコンター図でもよい。
また、地図表示部320は、地図上の任意の特定地点をマウスでダブルクリックするユーザの地点特定操作を受け付けることで、その特定地点に対する気象情報を時系列グラフで表示するように構成されている。
なお、地図表示部320に表示する地図には、例えば、都道府県名、市町村名、山、川、湖等の地名、行政区画の境界線、道路や鉄道の路線図等の補助情報が表示されていてもよく、地図に表示する補助情報をユーザにより選択可能に構成されていてもよい。また、地図指定部321は、地図をマウスでドラッグする操作を受け付けることで、地図の表示範囲を指定してもよいし、地図上でマウスホイールを回転する操作を受け付けることで、地図の拡大率を指定してもよい。
図10に示す初期表示画面3Aにおいて、ユーザ端末11は、日時選択領域30及び要素選択領域31に対するユーザの選択操作を受け付けると(ステップS710)、その選択操作により選択された表示日時及び表示要素を含む表示情報生成要求を着雪予測装置2に送信する(ステップS711)。そして、着雪予測装置2の表示情報生成部222は、その表示情報生成要求に応じて気象予報データベース210及び着雪情報データベース211を参照することにより、ユーザ端末11に選択表示画面3Bを表示させる表示情報を生成し、その生成した表示情報をユーザ端末11に送信すると(ステップS810)、ユーザ端末11は、その表示情報に基づいて、図11に示す選択表示画面3Bを表示する(ステップS712)。
図11は、本発明の実施形態に係る着雪予測システム1における選択表示画面3Bを示す図である。選択表示画面3Bは、図10に示す初期表示画面3Aと基本的な画面構成を共通にしたものであり、初期表示画面3Aにて、日時選択領域30で現時点からの18間後の「2018年9月21日6:00」が選択され、要素選択部310で「着雪高さMh(t,r,d)」が選択され、方位選択部311で「西」が選択された場合に表示される表示画面である。
地図表示部320は、地図指定部321により指定された表示範囲や拡大率に基づいて地図を表示するとともに、その地図上に、方位「西」に対する着雪高さMh(t,r,d)のコンター図を重畳して表示する。
図11に示す選択表示画面3Bにおいて、ユーザ端末11は、日時選択領域30及び要素選択領域31に対するユーザの選択操作をさらに受け付けると、初期表示画面3Aから選択表示画面3Bに切り換えたときと同様にして、その選択操作に応じた表示日時及び表示要素を表示する選択表示画面に切り換える。
また、図11に示す選択表示画面3Bにおいて、ユーザ端末11は、気象情報表示領域32に表示された地図上の任意の特定地点をマウスでダブルクリックするユーザの地点特定操作を受け付けると(ステップS720)、その地点特定操作で受け付けた特定地点及び表示要素を含む表示情報生成要求を着雪予測装置2に送信する(ステップS721)。そして、着雪予測装置2の表示情報生成部222は、その表示情報生成要求に応じて気象予報データベース210及び着雪情報データベース211を参照することにより、ユーザ端末11に時系列グラフ表示画面4を表示させる表示情報を生成し、その生成した表示情報をユーザ端末11に送信すると(ステップS820)、ユーザ端末11は、その表示情報に基づいて、図12に示す時系列グラフ表示画面4を表示する(ステップS722)。
図12は、本発明の実施形態に係る着雪予測システム1における時系列グラフ表示画面4を示す図である。時系列グラフ表示画面4は、図11に示す選択表示画面3Bが表示された状態、すなわち、要素選択部310で「着雪高さMh(t,r,d)」が選択され、方位選択部311で「西」が選択された状態にて、地図上の任意の特定地点がマウスでダブルクリックされた場合に表示される表示画面である。
時系列グラフ表示画面4は、画面右側に配置されて、時間を横軸とし、着雪高さMhを縦軸としたグラフに対して、特定地点を含む領域R(r)における方位「西」に対する着雪高さMh(t,r,d)の時間的な推移を、例えば、折れ線400で表示する時系列グラフ領域40と、画面左側に配置された要素選択領域41と、を備える。なお、図12に示す時系列グラフ領域40は、横軸として、例えば、2018年9月21日0:00~16:00の範囲(期間)を表示するものであるが、全ての期間を表示するようにしてもよいし、表示の対象とする期間をスクロールバーにより変更可能にしてもよいし、表示の対象とする期間の開始時刻及び終了時刻の少なくとも一方を変更可能にしてもよい。
要素選択領域41は、時系列グラフ領域40に折れ線400を表示する際に、折れ線400による表示の対象とする表示要素を、例えば、複数選択可能なリストボックスで選択する要素選択部410と、表示の対象とする表示方位を、例えば、複数選択可能なリストボックスで選択する方位選択部411と、を備える。
要素選択部410は、リストボックスによる表示要素の選択肢として、図10~11に示す要素選択部310と同様の表示要素の1つ又は複数が選択可能に構成されている。方位選択部411は、要素選択部410にて、着雪速度Ms(t,r,d)、着雪重量Mw(t,r,d)及び着雪高さMh(t,r,d)のいずれかが選択された場合に有効となり、コンボボックスによる表示方位の選択肢として、8方位の1つ又は複数が選択可能に構成されている。
図12に示す時系列グラフ表示画面4において、ユーザ端末11は、例えば、方位選択部411にて8方位のうち複数の方位を選択するユーザの複数方位選択操作を受け付けると(ステップS730)、その複数方位選択操作により選択された複数の表示方位を含む表示情報生成要求を着雪予測装置2に送信する(ステップS731)。そして、着雪予測装置2の表示情報生成部222は、その表示情報生成要求に応じて気象予報データベース210及び着雪情報データベース211を参照することにより、ユーザ端末11に第1又は第2の複数方位時系列グラフ表示画面5A、5Bを表示させる表示情報を生成し、その生成した表示情報をユーザ端末11に送信すると(ステップS830)、ユーザ端末11は、その表示情報に基づいて、図13に示す第1の複数方位時系列グラフ表示画面5A、又は、図14に示す第2の複数方位時系列グラフ表示画面5Bを表示する(ステップS732)。
図13は、本発明の実施形態に係る着雪予測システム1における第1の複数方位時系列グラフ表示画面5Aを示す図である。第1の複数方位時系列グラフ表示画面5Aは、要素選択部410で「着雪高さMh(t,r,d)」が選択され、方位選択部411にて「北」、[東]、「南」及び[西]の4方位が選択された場合に表示される表示画面である。
第1の複数方位時系列グラフ表示画面5Aは、画面右側に上下方向に並べて配置された4つの時系列グラフ領域50A~50Dと、画面左側に配置されて、図12に示す時系列グラフ表示画面4の要素選択領域41と同様の機能を有する要素選択領域51とを備える。
4つの時系列グラフ領域50A~50Dは、特定地点を含む領域R(r)における「北」、[東]、「南」及び[西]の4方位毎の着雪高さMh(t,r,d)の時間的な推移を示す4つの折れ線500A~500Dをそれぞれ表示することにより、領域R(r)における方位毎の着雪重量Mw(t,r,d)の時間的な推移を比較可能に表示する。
図14は、本発明の実施形態に係る着雪予測システム1における第2の複数方位時系列グラフ表示画面5Bを示す図である。第2の複数方位時系列グラフ表示画面5Bは、要素選択部410で「着雪高さMh(t,r,d)」が選択され、方位選択部411にて8方位の全てが選択された場合に表示される表示画面である。
第2の複数方位時系列グラフ表示画面5Bは、画面右側に配置された1つの時系列グラフ領域50と、画面左側に配置されて、図12に示す時系列グラフ表示画面4の要素選択領域41と同様の機能を有する要素選択領域51と、を備える。
1つの時系列グラフ領域50は、特定地点を含む領域R(r)における8方位毎の着雪高さMh(t,r,d)の時間的な推移を示す8つの折れ線500A~500Hを表示することにより、領域R(r)における方位毎の着雪高さMh(t,r,d)の時間的な推移を比較可能に表示する。
また、第2の複数方位時系列グラフ表示画面5Bは、時系列グラフ領域50における横軸の各時間T(t)に対応する位置に配置された6つの複数方位比較表示領域52A~52Fを備える。なお、図14に示す第2の複数方位時系列グラフ表示画面5Bでは、6つの複数方位比較表示領域52A~52Fを3時間間隔で配置したが、任意の時間間隔で配置してもよいし、1つの複数方位比較表示領域に対して、6つの複数方位比較表示領域52A~52Fを1秒間隔で時系列順に表示することでアニメーションのように表示してもよい。
複数方位比較表示領域52A~52Fの各々は、複数方位比較表示領域52A~52Fの中心部521を基準として8方位の各々に対応する各位置に配置された8つの着雪情報表示部520A~520Hを備える。8つの着雪情報表示部520A~520Hは、着雪情報表示部520A~520Hの各位置に対応する8方位毎の着雪高さMh(t,r,d)をそれぞれ表示することにより、時間T(t)及び領域R(r)における方位毎の着雪高さMh(t,r,d)を比較可能に表示する。
複数方位比較表示領域52A~52Fの各々は、例えば、正八角形とし、その正八角形の内側に同心状の正八角形を配置し、外側の正八角形の各頂点と内側の正八角形の各頂点とを直線でそれぞれ結ぶことにより、8つの着雪情報表示部520A~520Hが、中心部521からみて8方位の各々に対応する各位置に配置される。そして、8つの着雪情報表示部520A~520Hは、着雪情報表示部520A~520Hの各位置に対応する8方位毎の着雪高さMh(t,r,d)を、例えば、その着雪高さMh(t,r,d)の値が大きくなるほど、中心部521から放射方向に長くなるようなバーグラフ522により表示する。なお、複数方位比較表示領域52A~52Fは、正八角形に代えて円形でもよいし、バーグラフ522による表示に代えてレーダーチャートやポーラチャートによる表示でもよい。
なお、図13~14に示す第1及び第2の複数方位時系列グラフ表示画面5A、5Bにおいて、要素選択部410にて表示要素として、例えば、気温Tempがさらに選択された場合には、第1の複数方位時系列グラフ表示画面5Aは、気温Tempに対応する時系列グラフ領域をさらに備え、その時系列グラフ領域に、気温Tempの時間的な推移を示す折れ線を表示するようにしてもよいし、第2の複数方位時系列グラフ表示画面5Bは、時系列グラフ領域50に、気温Tempの時間的な推移を示す折れ線をさらに表示するようにしてもよい。
また、図10に示す初期表示画面3A又は図11に示す選択表示画面3Bにおいて、地図表示部320は、地図上の任意の特定地点にてマウスで右クリックするユーザの操作を受け付けることで、その特定地点を含む領域R(r)における方位毎の着雪情報200を、図14に示す複数方位比較表示領域52A~52Fを含むポップアップ画面で表示するように構成してもよい。
また、図9に示すフローチャートでは、図10に示す初期表示画面3Aを表示した後、図11~14の順番に表示画面を表示するものとして説明したが、表示画面を表示する順番は、図11~14の順番に限られず、ユーザの操作に応じて表示画面を表示すればよい。
(落雪判定処理の変形例について)
上記実施形態において、着雪情報算定部221は、落雪判定部221hと、着雪情報リセット部221iとを備えるものとして説明したが、落雪判定部221h及び着雪情報リセット部221iの変形例として、落雪判定部221hは、気象予報データ100に基づいて、各時間T(t)及び各領域R(r)において所定の落雪条件を満たすか否かを方位毎に判定し、着雪情報リセット部221iは、落雪判定部221hにより所定の落雪条件を満たすと判定された時間T(t)及び領域R(r)における特定の方位の着雪情報200をリセットするようにしてもよい。
具体的には、落雪判定部221hは、気象予報データベース210に登録された気象予報データ100を参照し、図15に示す落雪判定処理により、気象予報データ100に含まれる各時間T(t)及び各領域R(r)に対する気象要素110が複数の方位D(d)にそれぞれ及ぼす落雪への影響を考慮することにより、所定の落雪条件を満たすか否かを方位毎に判定する。
図15は、本発明の実施形態に係る着雪予測装置2の動作の変形例(ステップS500の落雪判定処理の変形例)を示すフローチャートである。図15に示す落雪判定処理では、落雪判定部221hが、気象要素110が複数の方位D(d)にそれぞれ及ぼす落雪への影響を考慮する方法の一例として、複数の方位D(d)と、各時間T(t)及び各領域R(r)における太陽の方位角Sdと、気象予報データ100に含まれる各時間T(t)及び各領域R(r)に対する日射量Srとの間の関係に基づいて、各時間T(t)及び各領域R(r)における所定の落雪条件を方位毎に設定し、気象予報データ100に基づいて、各時間T(t)及び各領域R(r)においてその設定した所定の落雪条件を満たすか否かを方位毎に判定するものとして説明する。
まず、落雪判定部221hは、気象予報データ100に含まれる時間T(t)が、昼の時間帯か夜の時間帯かを判定する(ステップS541)。
次に、落雪判定部221hは、昼の時間帯であると判定した場合には(ステップS541で「昼」)、時間T(t)及び領域R(r)における太陽の方位角Sdを特定する(ステップS550)。
次に、落雪判定部221hは、8方位の各方位D(d)に対して、「d」を変数とする繰り返しループDを実行する(ステップS560、S561)。ステップS560における「d=1,Dmax,1」は、変数dの初期値、終値、インクリメント値をそれぞれ示し、落雪判定部221hは、ステップS560とステップS561との間に挟まれたステップS570~S572の処理を、変数dの初期値1に対して1ずつインクリメントしながら変数dが終値Dmaxになるまで繰り返し行うことで、当該処理を8方位の各方位D(d)に対して行う。
次に、落雪判定部221hは、方位D(d)と、ステップS550で特定した太陽の方位角Sdと、気象予報データ100に含まれる時間T(t)及び領域R(r)に対する日射量Srとの間の関係に基づいて、所定の落雪条件を設定する(ステップS570)。
すなわち、落雪判定部221hは、太陽の方位角Sdと方位D(d)との間の角度差が小さくなるほど(方位D(d)を向いた着雪面S(d)が太陽の方位角Sdを向いているほど)、日射量Srが、方位D(d)を向いた着雪面S(d)に及ぼす落雪への影響は大きくなるように作用するため、図8に示すステップS510~S515の落雪条件を緩和する方向(落雪条件を満たすと判定しやすくする方向)に変更することにより、所定の落雪条件を設定する。反対に、落雪判定部221hは、太陽の方位角Sdと方位D(d)との間の角度差が大きくなるほど、図8に示すステップS510~S515の落雪条件をより厳しくする方向(落雪条件を満たすと判定しにくくする方向)に変更することにより、所定の落雪条件を設定する。
例えば、ステップS512における気温Tempが2℃以上で4時間以上継続しているか否かの判定では、4時間という継続時間を短くすることにより、落雪条件を緩和する方向に変更し、反対に、4時間という継続時間を長くすることにより、落雪条件を厳しくする方向に変更する。ステップS514における日射量Srが「0」でない時間が1時間以上継続しているか否かの判定では、1時間という継続時間を短くすることにより、落雪条件を緩和する方向に変更し、反対に、1時間という継続時間を長くすることにより、落雪条件を厳しくする方向に変更する。ステップS515における降水量Prが「0」である時間が6時間以上継続しているか否かの判定では、6時間という継続時間を短くすることにより、落雪条件を緩和する方向に変更し、反対に、6時間という継続時間を長くすることにより、落雪条件を厳しくする方向に変更する。
そして、落雪判定部221hは、ステップS570で設定した所定の落雪条件を満たすか否かを判定し(ステップS571)、所定の落雪条件を満たすと判定した場合には(ステップS571で「Yes」)、着雪情報リセット部221iが、落雪判定部221hにより所定の落雪条件を満たすと判定された時間T(t)及び領域R(r)における方位D(d)に対する着雪重量Mw(t,r,d)及び着雪高さMh(t,r,d)を「0」にリセットする(ステップS572)。
以上のようにして、落雪判定部221h及び着雪情報リセット部221iは、繰り返しループDによりステップS570~S572をDmax回(=8回、すなわち、8方位分)繰り返すことにより、落雪判定部221hが、気象予報データ100に含まれる時間T(t)及び領域R(r)に対する気象要素110が、複数の方位D(d)にそれぞれ及ぼす落雪への影響を考慮することにより、所定の落雪条件を満たすか否かを方位毎に判定し、着雪情報リセット部221iが、落雪判定部221hにより所定の落雪条件を満たすと判定された時間T(t)及び領域R(r)における特定の方位に対する着雪情報200をリセットする。
このとき、表示情報生成部222は、ユーザ端末11に表示させる表示画面として、第3の複数方位時系列グラフ表示画面5Cを表示させる表示情報を生成することにより、ユーザ端末11は、その表示情報に基づいて、図16に示す第3の複数方位時系列グラフ表示画面5Cを表示する。
図16は、本発明の実施形態に係る着雪予測システム1における第3の複数方位時系列グラフ表示画面5Cを示す図である。第3の複数方位時系列グラフ表示画面5Cは、図14に示す第2の複数方位時系列グラフ表示画面5Bと基本的な画面構成を共通にしたものである。
第3の複数方位時系列グラフ表示画面5Cは、落雪判定部221hにより、時刻「12:00」に方位「南」及び「南西」に対して落雪条件を満たすと判定され、着雪情報リセット部221iにより、時刻「12:00」における方位「南」及び「南西」の着雪情報200がリセットされるととともに、落雪判定部221hにより、時刻「15:00」に方位「西」に対して落雪条件を満たすと判定され、着雪情報リセット部221iにより、時刻「15:00」における方位「西」の着雪情報200がリセットされた場合に表示される表示画面である。
一方、落雪判定部221hは、夜の時間帯であると判定した場合には(ステップS541で「夜」)、図8に示すステップS520~S525と同様の落雪条件を、所定の落雪条件として設定する(ステップS580)。
そして、落雪判定部221hは、ステップS580で設定した所定の落雪条件を満たすか否かを判定し(ステップS581)、所定の落雪条件を満たすと判定した場合には(ステップS581で「Yes」)、着雪情報リセット部221iが、落雪判定部221hにより所定の落雪条件を満たすと判定された時間T(t)及び領域R(r)における着雪重量Mw(t,r,d)及び着雪高さMh(t,r,d)を「0」にリセットする(ステップS582)。すなわち、着雪情報リセット部221iは、8方位の全ての方位に対する着雪重量Mw(t,r,d)及び着雪高さMh(t,r,d)を「0」にリセットし、図15に示す落雪判定処理を終了する。
以上のように、上記実施形態に係る着雪予測装置2において、着雪情報算定部221は、気象予報データ100に基づいて、各時間T(t)及び各領域R(r)における着雪情報200を、複数の方位D(d)をそれぞれ向いた複数の着雪面S(d)の方位毎に算定するので、各方位を向いた複数の着雪面に対する着雪量が方位毎に異なるような状況に応じて、着雪量を的確に予測することができる。
また、着雪情報算定部221は、気象予報データ100と、複数の方位D(d)及び風向Wd(t,r)の間の関係により規定される方位毎の着雪率α(t,r,d)とに基づいて、各時間T(t)及び各領域R(r)における着雪情報200を方位毎に算定するので、風向が各方位を向いた複数の着雪面にそれぞれ及ぼす着雪への影響を方位毎の着雪率に反映することで、方位毎の着雪情報を的確に算定することができる。
また、着雪情報算定部221は、気象予報データ100に基づいて、各時間T(t)及び各領域R(r)における風向Wd(t、r)及び風速Ws(t、r)を計算する風向風速計算部221aと、気象予報データ100に基づいて、各時間T(t)及び各領域R(r)における単位時間当たりの衝突重量Pn(t,r)[kg/hr]を計算する衝突重量計算部221cと、複数の方位D(d)及び風向Wd(t、r)の間の関係に基づいて、各時間T(t)及び各領域R(r)における着雪率α(t,r,d)[%]を方位毎に計算する着雪率計算部221eと、衝突重量計算部221cにより計算された衝突重量Pn(t,r)と、着雪率計算部221eにより計算された方位毎の着雪率α(t,r,d)とに基づいて、各時間T(t)及び各領域R(r)における単位時間当たりの着雪重量を示す着雪速度Ms(t,r,d)を着雪情報200として方位毎に計算する着雪速度計算部221fと、着雪速度計算部221fにより計算された方位毎の着雪速度Ms(t,r,d)を所定の単位時間分、方位毎に累積することにより、所定の単位時間後の各領域R(r)における着雪重量Mw(t,r,d)及び着雪高さMh(t,r,d)を着雪情報200として方位毎に計算する着雪情報累積部221gと、を備えるので、着雪情報として、着雪速度と、着雪重量又は着雪高さとを方位毎に算定することができる。
また、着雪情報算定部221は、気象予報データ100に基づいて、各時間T(t)及び各領域R(r)において所定の落雪条件を満たすか否かを判定する落雪判定部221hと、落雪判定部221hにより所定の落雪条件を満たすと判定された時間T(t)及び領域R(r)における着雪情報200をリセットする着雪情報リセット部221iと、をさらに備えるので、着雪した雪が落雪することを考慮することで、実際の着雪量に即した着雪情報を算定することができる。
また、着雪情報算定部221は、気象予報データ100に基づいて、各時間T(t)及び各領域R(r)において所定の落雪条件を満たすか否かを方位毎に判定する落雪判定部221hと、落雪判定部221hにより所定の落雪条件を満たすと判定された時間T(t)及び領域R(r)における方位の着雪情報200をリセットする着雪情報リセット部221iと、をさらに備えるので、着雪した雪が落雪することを方位毎に考慮することで、実際の着雪量に即した着雪情報を算定することができる。
また、落雪判定部221hは、気象要素110が複数の方位D(d)にそれぞれ及ぼす落雪への影響を考慮することにより、所定の落雪条件を満たすか否かを方位毎に判定するので、気象要素が各方位にそれぞれ及ぼす落雪への影響が異なることにより、各方位を向いた複数の着雪面に着雪した雪が、方位毎に異なる条件で落雪するような状況に応じて、気象要素が各方位にそれぞれ及ぼす落雪への影響を所定の落雪条件に反映することで、実際の着雪量に即した着雪情報を算定することができる。
また、表示情報生成部222は、方位毎の着雪情報200を比較可能に第1又は第2の複数方位時系列グラフ表示画面5A、5Bに表示させる表示情報を生成するので、着雪量が方位毎にどの程度異なるのかを視覚的に把握することができる。
また、第2の複数方位時系列グラフ表示画面5Bは、方位毎の着雪情報200を比較可能に表示する複数方位比較表示領域52A~52Fを備え、複数方位比較表示領域52A~52Fは、複数方位比較表示領域52A~52Fの中心部521を基準として方位の各々に対応する各位置に配置された複数の着雪情報表示部520A~520Hを備え、複数の着雪情報表示部520A~520Hは、各位置に対応する方位の着雪情報200をそれぞれ表示するので、各方位と、各方位に対する着雪情報とが、着雪情報を表示する位置で対応付けられることで、着雪量が方位毎にどの程度異なるのかを視覚的に把握することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、気象予報データ100は、風速Ws及び風向Wdを示す気象要素110として、風ベクトルW(東西成分wu及び南北成分wv)を含むものとして説明したが、気象予報データ100が、気象要素110として、風速Ws及び風向Wdを含むようにしてしてもよく、その場合には、風向風速計算部221aを省略してもよい。
また、上記実施形態では、着雪予測装置2は、単一の情報処理装置で構成されているものとして説明したが、複数の情報処理装置で構成されていてもよく、例えば、データ取得部220及び着雪情報算定部221を備えた計算用サーバと、気象予報データベース210及び着雪情報データベース211を備えたデータサーバと、表示情報生成部222を備えた表示用サーバとで構成されていてもよい。
また、上記実施形態では、着雪予測プログラム212は、記憶部21に記憶されたものとして説明したが、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、ネットワーク12に接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供されてもよい。