以下、本発明の一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る露光装置100の全体構成が概略的に示されている。この露光装置100は、露光装置本体22を収容する本体チャンバ12と、この本体チャンバ12に隣接して配置された機械室14とを備えている。本体チャンバ12と機械室14とは、クリーンルーム内の床面F上に設置されている。
<露光室>
本体チャンバ12の内部は、環境条件(清浄度、圧力、温度、湿度等)がほぼ一定に維持されており、その内部空間内には、機械室14側の大部屋16と、2つの小部屋18、20が設けられている。この大部屋16は、その内部に露光装置本体22が収容された露光室となっている。以下では、この大部屋16を、「露光室16」と呼ぶ。
<レチクルローダ室>
2つの小部屋18、20は、大部屋16の機械室14と反対側に、上下2段に配置されている。一方の小部屋18は、その内部に、複数枚のレチクルを保管するレチクルライブラリ80、水平多関節型ロボットから成るレチクルローダ82が、露光室16と反対側から順次配置されている。レチクルローダ82によって、レチクルRが露光装置本体22を構成する後述するレチクルステージRSTに搬入され、かつレチクルステージRSTから搬出される。本実施形態では、これらレチクルライブラリ80とレチクルローダ82とによってレチクルローダ系が構成され、このレチクルローダ系が小部屋18に収納されている。そこで、以下においては、小部屋18を、「レチクルローダ室18」と呼ぶものとする。
<ウエハローダ室>
他方の小部屋20は、その内部に、複数枚のウエハを保管するウエハキャリア84、このウエハキャリア84に対してウエハを出し入れする水平多関節型ロボット86及び該ロボット86と露光装置本体22を構成するウエハステージWSTとの間でウエハを搬送するウエハ搬送装置88とが収容されている。本実施形態では、これらウエハキャリア84、ロボット86及びウエハ搬送装置88によってウエハローダ系が構成され、このウエハローダ系が小部屋20に収納されている。そこで、以下においては、小部屋20を「ウエハローダ室20」と呼ぶものとする。
<露光装置本体>
露光室16に収容された露光装置本体22は、露光室16上部に配置されたミラーM1、M2と、このミラーM1の下方に配置されレチクルRを保持するレチクルステージRSTと、その下方(−Z側)に配置された投影光学系PLと、投影光学系PLのさらに下方に配置されウエハWを保持するウエハステージWSTとを含んで構成されている。
露光室16の外部に配置された不図示の照明系から出射された例えばKrFエキシマレーザや、ArFエキシマレーザなどの照明光は、露光室16内に入射した後、ミラーM2、M1によって折り曲げられ、レチクルステージRSTに保持されたレチクルRを照明する。この照明により、このレチクルR上の回路パターン等が、投影光学系PLを介して、不図示のウエハホルダを介してウエハステージWST上に保持されたウエハW上に縮小転写される。
レチクルステージRSTは、不図示のレチクルベース上をXY平面内で、平面モータやリニアモータ等の不図示の駆動装置によって2次元方向に駆動される。そのXY位置及びヨーイング量(Z軸回りの回転量θz)は、レーザ干渉計IF1によって例えば0.5〜1.0nm程度の分解能で計測されている。投影光学系PLは、メインコラム34の天井面を成すメインフレームに保持されている。ウエハステージWSTは、メインコラム34の底板上で不図示の平面モータやリニアモータ等の駆動装置によって2次元方向に駆動される。ウエハステージWSTのXY面内の位置及び姿勢(ヨーイング量、ピッチング量(X軸回りの回転量θx)、ローリング量(Y軸回りの回転量θy))は、レーザ干渉計IF2によって例えば0.5〜1.0nm程度の分解能で計測されている。メインコラム34内部の空間は、露光室16からは隔絶されており、以下ではこの空間を、露光室16とは区別して、「ウエハステージ室30」と呼ぶものとする。
なお、この露光装置本体22においては、露光の際には、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとが、投影光学系PLの投影倍率に応じた速度比でY軸方向に同期走査された状態で、レチクルRのパターンがウエハW上に転写される。すなわち、露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置である。
<空調設備>
次に、露光装置100内の空調設備について説明する。
本体チャンバ12内、特に露光室16内は、内部の清浄度を保つために、外部に対して常に陽圧に保たれているが、不図示のインラインインターフェイス等からの空気の漏れなどを考慮して、外気を取り入れるための外気取り入れ口としてのOA(Outlet Air)口50が機械室14底部に設けられている。このOA口50には、例えばウエハW上に塗布された化学増幅型レジストの劣化を防止するために、空気中の化学的汚染物質(不純物)を除去して清浄な空気のみを装置内に取り入れるべく、後述する流量調整絞り50aを介してケミカルフィルタCF2bが設けられている。
機械室14内部の高さ方向中央やや下側の位置には、クーラ(ドライコイル)52が設けられている。なお、このクーラ52の下方には、ドレインパン68が配置されている。
機械室14内の空気通路のクーラ52の上方には、クーラ52から所定間隔を隔てて第1ヒータ56が配置されている。さらに、この第1ヒータ56上方の機械室14の出口部分には、第1送風機58が配置されている。
第1送風機58の送風口は、蛇腹状の接続部26を介して、本体チャンバ12内に設けられた給気管路24の一端に接続されている。この一端には、ケミカルフィルタCF1aが設けられている。給気管路24の他端側は、2つに分岐され、その一方の分岐路24aは、レチクルローダ室18に接続されている。そのレチクルローダ室18側の噴き出し口の部分には、後述する流量調整絞り19aを介してレチクルローダ室18内に流入する空気中のパーティクルを除去するULPAフィルタ(Ultra Low Penetrarion Air-filter)及びフィルタプレナムを備えるフィルタボックスAF1が設けられている。また、レチクルローダ室18のフィルタボックスAF1と反対側には、リターン部40が設けられ、このリターン部40の外側の一部に排気経路としてのリターンダクト42の一端が接続され、このリターンダクト42の他端側は、機械室14の底面の一部に接続されている。
前記分岐路24aには、更に分岐路24cが設けられ、この分岐路24cは、ウエハローダ室20に接続されている。そのウエハローダ室20側の噴き出し口の部分には、流量調整絞り21aを介して、ウエハローダ室20内に流入する空気中のパーティクルを除去するULPAフィルタ及びフィルタプレナムから成るフィルタボックスAF2が設けられている。このフィルタボックスAF2は、ケミカルフィルタを含むものとすることができる。また、ウエハローダ室20のフィルタボックスAF2と反対側には、リターン部44が設けられ、このリターン部44のウエハローダ室20と反対側には、リターンダクト42に連通する排気口が設けられている。
また、前記他方の分岐路24bは、レチクルローダ室18の露光室16との境界部に形成された噴き出し口90のレチクルローダ室18側に配置された露光室16内に流入する空気中のパーティクルを除去するULPAフィルタ及びフィルタプレナムから成るフィルタボックスAF3に接続されている。そして、噴き出し口90から均一な気流がサイドフローにて露光室16の上部空間に送り込まれるようになっている。噴き出し口90が形成されたレチクルローダ室18と露光室16との境界部分には、図1のA−A線断面図である図2に示されるように、レチクル搬送エリア92を除いて、その周囲に複数のフィルタボックスAF3が配置されている。
また、露光室16の底部の機械室14側には、図1に示されるように、リターン部46が設けられ、このリターン部46下方の本体チャンバ12の底壁には、排気経路としてのリターンダクト48の一端側に連通する排気口が形成され、リターンダクト48の他端側は機械室14の底面の一部に接続されている。
一方、機械室14内の第1ヒータ56の下方には、クーラ52を下方から上方に通過した空気の約1/5が流れ込む分岐路60が設けられている。この分岐路60の機械室14側の端部は、伸縮可能な蛇腹状部材60aにより構成されている。分岐路60の蛇腹状部材60aより機械室14と反対側の部分は、露光室16内に配置されている。分岐路60内には、第2ヒータ62、第2送風機64が順次配置されている。この第2送風機64の機械室14と反対側に、ウエハステージ室30内のウエハステージWST近傍に対する空気の噴出し口が形成されている。
ウエハステージWST近傍の、第2送風機64から送られる空気の噴出し口部分にケミカルフィルタCF1b、ULPAフィルタ及びフィルタプレナムから成るフィルタボックスAF4が配置されている。これらケミカルフィルタCF1b、フィルタボックスAF4が設けられた噴き出し口に対向して、ウエハステージ室30のウエハローダ室20側の一部には、排気経路としてのリターンダクト66の一端側の開口端が配置され、このリターンダクト66の他端側は、機械室14の底部の一部に接続されている。リターンダクト66内には、後述する流量調整絞り66aが設けられている。
前記リターンダクト42、48、66が接続された機械室14の底面の一部には、開口が形成されている。この開口部に対向してケミカルフィルタCF2aが設けられている。このケミカルフィルタCF2aは、機械室14に設けられた不図示の開閉扉を介して容易に出し入れできるようになっている。
ケミカルフィルタCF1a、CF2a、CF1b、CF2bは、例えばハニカム構造の炭素繊維などのフィルタ媒体(メディア)を有しており、このフィルタ媒体により、アンモニアガス等の塩基ガスの他、シロキサン、シラザン等のシリコン系の有機物、ハイドロカーボンは勿論、可塑剤や難燃剤その他の化学的汚染物質が除去される。
図3には、露光装置100の環境制御に関連する制御系の構成が簡略化して示されている。この制御系は、マイクロコンピュータ(又はワークステーション)から構成される制御装置70を中心として構成されている。
図3に示されるように、露光装置100内の各所には、温度センサ54、55、72、74が設置されている。第1温度センサ54は、このクーラ52の出口部分に設けられており(図1参照)、クーラ表面の温度を検出する。第1温度センサ54の検出値は、制御装置70に供給されている。第2温度センサ55は、第1ヒータ56の出口付近に設けられており(図1参照)、第1ヒータ56からの加熱された空気の温度を検出する。この第2温度センサ55の検出値は、制御装置70に供給されている。第3温度センサ72は、給気管路24の分岐部の機械室14寄りの部分に設けられており(図1参照)、この第3温度センサ72の検出値は、制御装置70に供給されている。また、第4温度センサ74は、ケミカルフィルタCF1bの上流側に設けられており(図1参照)、第2送風機64から送り出されるガスの温度を検出する。この第4温度センサ74の検出値は、制御装置70に供給されている。
また、図3に示されるように、露光装置100内部の各所には、その場所でのガス圧をサンプリングするための圧力サンプリングボード34a、18a、20a、16a、CR1が設置されている。各圧力サンプリングボード34a、18a、20a、16a、CR1は、洗浄済のテフロン(登録商標)コート管やSUS管など、露光処理に悪影響を与える脱ガス(アウトガス)の発生が抑えられた材質が用いられている。
図1に示されるように、圧力サンプリングボード34aはウエハステージ室30の内部に、圧力サンプリングボード18aはレチクルローダ室18内に、圧力サンプリングボード20aはウエハローダ室20内に、圧力サンプリングボード16aは露光室16内に設けられている。また、圧力サンプリングボードCR1は本体チャンバ12の外部にそれぞれ設けられている(図1では不図示、図3参照)。図3に示されるように、圧力サンプリングボード34a、18a、20a、16a、CR1は、対応する電磁弁34b、18b、20b、16b、CR2を介して圧力センサPM1にそれぞれ接続されている。この電磁弁34b、18b、20b、16b、CR2を制御することにより、各空調室の圧力及び本体チャンバ12の外部、すなわち露光装置が設置されるクリーンルーム内の大気圧を検出可能となっている。この圧力サンプリングボード34a、18a、20a、16a、CR1と、電磁弁34b、18b、20b、16b、CR2と、圧力センサPM1とで、圧力検出器10が構成されている。この圧力検出器10は、例えば0.5Pa以下の微小な圧力変化を検出できるとともに、その検出値(圧力情報)を制御装置70に出力する。
なお、この圧力サンプリングボード34a、18a、20a、16a、CR1の管は、ガスの動圧成分の影響を排除すべく、その口が、ガスの流れに対して交差する方向に向くように配置されるように配慮する必要がある。
メインコラム34に接続した排気流路であるリターンダクト66途中には、流路の開口率を調整することによってリターンダクト66を流れるガスの流量を調整する流量調整絞り66aが設けられている。流量調整絞り66aによる流路の開口率は、制御装置70によって制御される。流量調整絞り66aは、流路の開口率を大きくしてリターンダクト66を流れるガス流量を多くすることにより、すなわち、ウエハステージ室30からの排気量を多くすることにより、ウエハステージ室30内の圧力を低下させることができる。一方、流路の開口率を小さくしてリターンダクト66を流れるガス流量を小さくすることにより、すなわち、ウエハステージ室30からの排気量を少なくすることにより、ウエハステージ室30内の圧力を上昇させる。
また、レチクルローダ室18に接続した給気流路としての分岐路24aには、流路の開口率を調整することによってフィルタボックスAF1を流れるガスの流量を調整する流量調整絞り(流路率調整部、圧力調整装置)19aが設けられている。この流量調整絞り19aにより設定された流路の開口率によってレチクルローダ室18に対するガス給気量を調整することにより、レチクルローダ室18内の圧力が調整される。
ウエハローダ室20に接続した給気経路としての分岐路24cの途中には、流路の会効率を調整することによって分岐路24cを流れるガスの流量を調整する流量調整絞り(流路開口率調整部、圧力調整装置)21aが設けられている。この流量調整絞り21aにより設定された流路の開口率によってウエハローダ室20に対するガス給気量を調整することにより、ウエハローダ室20内の圧力が調整される。
本体チャンバ12に対して外気を取り入れるためのOA口50には、流路の開口率を調整することによって本体チャンバ12内に取り入れられるガスの流量を調整する流量調整絞り50aが設けられている。この流量調整絞り50aにより設定された流路の開口率によってOA口50から取り入れられ、機械室14、接続部26、給気管路24を介して本体チャンバ12の露光室14に給気されるガス給気量が調整される。ここで、流量調整絞り50aは、流路の開口率を大きくして全ての空調室に対するガス給気量を多くすることにより、各空調室(特に露光室16)内の圧力を上昇させる一方、流路の開口率を小さくしてすべての空調室に対するガス給気量を少なくすることにより、各空調室(特に露光室16)内の圧力を低下させる。これにより、露光装置100が設置されるクリーンルーム内の大気圧、あるいは露光装置100とインライン接続される基板処理装置、コータ・デベロッパ内の圧力との差圧を調整することができ、各空調室内の圧力をクリーンルーム内の圧力またはコータ・デベロッパ内の圧力と同程度以上(例えば陽圧)に設定することが可能となっている。
このように、本体チャンバ12内では、レチクルローダ室18、ウエハローダ室20、露光室16、ウエハステージ室30の複数の空調室に分割されており、これら空調室の圧力は、圧力検出器10によって検出され、制御装置70に送られる。制御装置70は、圧力検出器10の検出結果に基づいて、レチクルローダ室18、ウエハローダ室20、露光室16、ウエハステージ室30がそれぞれ互いに所定の圧力差を有するように、各空調室に対する給気経路又は排気経路に設けられた流量調整絞り66a、19a、21a、50aをそれぞれ制御するようになっている。
次に、上述のようにして構成された露光装置における空調について図3を適宜参照しつつ、図1に基づいて説明する。
まず、制御装置70により、第1、第2送風機58,64が作動され、これにより、フィルタボックスAF1,AF2,AF3,AF4をそれぞれ介してレチクルローダ室18、ウエハローダ室20、露光室16及びウエハステージ室30内のウエハステージWST近傍に、ガスが送り込まれ、前記各部の空調が行われる。この場合、レチクルローダ室18、ウエハローダ室20内では、ダウンフローにより空調が行われる。また、露光室16内では、前述した露光動作中の露光装置本体22の各部の空調がサイドフローにより行われる。そして、リターン部40,44をそれぞれ介してリターンダクト42に戻された空気、リターン部46を介してリターンダクト48に戻された空気、及びリターンダクト66に戻された空気は、これらのリターンダクトの機械室14側の出口(本実施形態では機械室14の入口)部分に設けられたケミカルフィルタCF2aを通過する。このケミカルフィルタCF2aを通過中に、各リターンダクト42,48,66内の空気に含まれる化学的汚染物質はそのフィルタ媒体に吸着除去される。
そして、このケミカルフィルタCF2aを通過したケミカルクリーンな空気は、OA口50を介して露光装置外から取り入れられ、ケミカルフィルタCF2bを通過したケミカルクリーンな空気と一緒になってクーラ52によって所定温度まで冷却される。この場合において、本実施形態では、制御装置70により、第1温度センサ54の出力をモニタしつつ、クーラ52の冷却動作が制御され、この際、クーラ部分を通過する空気の湿度、圧力においてクーラ表面に結露が生じない程度の温度、例えば5℃より僅かに高い温度ないしは15℃前後まで冷却される。このように、クーラ52表面には、結露が生じないので、本実施形態ではドレイン配管系を設けていない。但し、第1温度センサ54の故障や、クーラ52の何らかの不具合の発生により、上述したようなクーラ52の表面温度制御が困難となるおそれがある。そこで、本実施形態ではかかる非常事態を考慮して、ドレインパン68を設けているのである。
そして、クーラ52を通過して所定温度まで冷却された空気は、約80%が第1ヒータ56に送り込まれ、残りの約20%が分岐路60内の第2ヒータ62に送り込まれ、それぞれの目標温度まで加熱される。この場合、制御装置70では、第2温度センサ55、第3温度センサ72の検出値に基づいて第1ヒータ56をフィードバック制御するとともに、第4温度センサ74の検出値に基づいて第2ヒータ62をフィードバック制御する。この場合、給気管路24を介して露光室16等の内部に噴き出される空気の目標温度(温度制御範囲を含む)と、分岐路60を介してウエハステージWST近傍に噴き出される空気の目標温度(温度制御範囲を含む)とは、それぞれ個別に設定することができる。
そして、第1、第2ヒータ56,62によりそれぞれの目標温度まで加熱された化学的に相当に清浄なガスは、第1、第2送風機58,64により、ケミカルフィルタCF1a,CF1bにそれぞれ送り込まれる。そして、ケミカルフィルタCF1aを通過したガスは、本体チャンバ12内の給気管路24及びフィルタボックスAF1,AF2,AF3をそれぞれ介して、レチクルローダ室18、ウエハローダ室20、露光室16内にそれぞれ送り込まれる。また、ケミカルフィルタCF1bを通過した空気は、フィルタボックスAF4を通過してウエハステージWST(及びレーザ干渉計IF2)の近傍に送り込まれる。
空気中のパーティクルは、フィルタボックスAF1,AF2,AF3,AF4内のULPAフィルタをそれぞれ通過することにより、ほぼ確実に除去されるので、レチクルローダ室18、ウエハローダ室20、露光室16内及びウエハステージWST近傍には、パーティクル及び化学的汚染物質等の微小粒子を含まないという意味で清浄度の高い空気のみが供給され、この清浄な空気によってレチクルローダ系、ウエハローダ系、露光装置本体22が空調される。そして、この空調が終了し、露光装置本体22等からの脱ガスに起因する化学的汚染物質を含む化学的に汚れた空気が、リターンダクト42,48,66内に戻され、以後、上述したようにして各部の空調が繰り返し行われる。以下では、このような空調の動作を、露光装置の空調制御動作ともいう。
各部の空調を行うにあたり、各空調室に対する給気流路又は排気流路に設けられた圧力調整装置としての流量調整絞り66a、19a、21a、50aをそれぞれ制御しながら空調を行う。このとき、前述したように、本体チャンバ12内はOA口50から外気を取り入れることによって、外部(本実施形態においてはクリーンルーム)に対して常に陽圧に保たれている。本体チャンバ12内部の圧力は、OA口50に設けられた圧力調整装置としての流量調整絞り50aによる調整によって、外部(クリーンルーム)に対して、例えば0.5Pa程度陽圧に設定される。本体チャンバ12内を外部に対して陽圧に保つことにより、本体チャンバ12外部から内部へのガスの流入を防止し、清浄度を維持している。
さらに、ウエハステージ室30の圧力をPWST、レチクルローダ室18の圧力をPRL、ウエハローダ室20の圧力をPWL、露光室16の圧力をPEX、としたとき、制御装置70は、空調室のそれぞれに設けられた圧力サンプリングプレート34a、18a、20a、16aによりサンプリングされた各空調室の圧力の検出結果に基づいて、
PWST≧PWL≧PEX≧PRL
となるように、各流量調整絞りを用いて、圧力調整を行う。
また、露光装置100の設置環境(クリーンルーム)の圧力をPCRとしたとき、PRL≧PCRとなるように調整をする。さらに、露光装置100とインライン接続される基板処理装置(コータ・デベロッパなど)内の圧力をPCDとしたとき、PWL≧PCDなる関係を満たすようにする。
つまり、露光処理を精度良く行うためにウエハWに塗布されたレジストを保護する必要があり、そのため、露光装置内での一連の処理においてウエハWが最も長い時間配置される空調室における清浄度を最も高く維持する必要がある。したがって、露光処理されるウエハWを載置するウエハステージWSTが収納されているウエハステージ室30の圧力PWSTを、他の空調室であるレチクルローダ室18、ウエハローダ室20、露光室16の圧力より高く設定し、メインコラム34内部に外部からガスが流入しないようにする(即ち、PWST>PWL、PEX、PRLとすることが好ましい)。
なお、制御装置70により制御されるクーラ52、第1ヒータ56、第2ヒータ62、第1送風機62、第2送風機64、流量調整絞り66a、19a、21a、50aの動作は、制御装置70に規定された制御パラメータにより規定される。例えば、第1送風機62、第2送風機64に設けられたファンのインバータ周波数や、クーラ52、ヒータ56内のリファレンス電圧や、流量調整絞り66a、19a、21a、50aの絞り量はその一例である。
≪制御パラメータ最適化処理≫
次に、制御パラメータの最適化処理について説明する。上述したように、露光装置100においては、各空調室の圧力を目標値に保つために、制御パラメータを最適化する必要がある。以下では、この制御パラメータの最適化処理について説明する。ここでは、露光室16、ウエハステージ室30、レチクルローダ室18、ウエハローダ室20の圧力の目標値をそれぞれRS*、WS*、RL*、WL*とすると、この最適化に用いられる評価関数E(Xp)を、次式のように表すことができる。
ここで、RS(X
p)、WS(X
p)、RL(X
p)、WL(X
p)は、制御パラメータの設定値群のある組合せX
pを設定したときの露光室16、ウエハステージ室30、レチクルローダ室18、ウエハローダ室20の圧力の実測値(すなわち圧力検出器10の検出結果)である。これらの圧力の実測値は、制御パラメータの実測値を入力とする関数であるとみなすことができる。ここで、RS
*、WS
*、RL
*、WL
*は、前述した各空調室の圧力P
EX、P
WST、P
RL、P
WLに対応するため、上述した、P
WST≧P
WL≧P
EX≧P
RLの関係などに代表される圧力の大小関係(本体チャンバ外の圧力P
CDとの関係を含む)を満たす必要があることに留意する必要がある。
この評価関数E(Xp)では、露光室16、ウエハステージ室30、レチクルローダ室18、ウエハローダ室20の圧力の実測値が、目標値からずれればずれるほど、その値が大きくなる。したがって、この最適化方法では、この評価関数E(Xp)の値を最小とする制御パラメータ群Xpを最適値として見つける。
なお、本実施形態では、制御パラメータの数をk個とし、(x1,x2,x3,…,xk)を要素とする制御パラメータの最適解の候補のベクトルをXp(p=1,2,…,N)で表すものとする。添え字pは、最適化処理に用いられる解候補のベクトルの識別番号である。本実施形態では、このベクトルXpの最適解を求める。
本実施形態では、所定の最適化手法により、制御パラメータの最適化を行うが、露光装置100では、上記最適化手法として、以下の2つの方法を選択可能であるものとする。
(1)シンプレックス法を用いた最適化
(2)遺伝的アルゴリズム(GA)を用いた最適化
なお、上記(1)、(2)の方法のどちらを選択するかは、制御装置70内に保持される装置パラメータによって指定される。この装置パラメータでは、シンプレックス法を用いた最適化を選択する場合には、モード1が指定され、GAを用いた最適化を行う場合には、モード2が指定されるものとする。この装置パラメータに関しては、オペレータが、不図示の表示装置に表示されるパラメータに関する表示を確認しながら、キーボード等の不図示の入力装置を介して設定可能となっている。
本実施形態の露光装置100により、制御パラメータの最適化動作について、制御装置70内のCPUの処理手順を示す図4、図5のフローチャート及び図6に沿って説明する。
図4に示されるように、まず、ステップ401において、上記モード1が設定されているか否かを判断する。この判断が肯定されればサブルーチン403に進み、否定されればステップ405に進む。ここでは、モード1が設定されており、その判断が肯定され、サブルーチン403に進むものとする。
サブルーチン403では、図5に示されるように、まず、ステップ501において、上記制御パラメータのベクトルXpの最適解の候補として、解の候補を重複しないようにランダムにN個選択する(これらの解の候補を、それぞれX1,X2,X3,…,XNとする)。ただし、N≧k+1とする。このN個の解候補の集団を、「シンプレックス」と呼ぶ。次のステップ503では、上記ステップ501で計測されたシンプレックスのそれぞれの解の候補Xpを設定して、「露光装置100の空調制御動作」を実行して、それぞれの目的関数の値を算出する。
次のステップ505では、上記ステップ503で求めた、X1,X2,X3,…,XNをそれぞれ制御パラメータとして設定した場合に、露光装置100の空調制御動作により算出された評価関数E(Xp)を参照して、X1,X2,X3,…,XNの中から、次式で定義されるような、最適解の探索対象となるk次元のベクトル空間のシンプレックスにおける評価関数が最大(最悪)の頂点Xh(最大)、2番目に評価関数の値が大きい頂点XS、評価関数の値が最小となるXlを選択する。
次のステップ507では、シンプレックスが、停止条件を満たしているか、すなわちXpの中で、評価関数の値が、目標値(計算打ち切り評価値)に達しているものがあるか否かを判断する。この判断が肯定された場合には、最適解が得られたものとして処理を終了し、否定されればステップ509に進む。ここでは判断が否定され、ステップ509に進むものとして説明する。
次のステップ509では、上記式(2)に示される、最大頂点Xhを除く、シンプレックスの解候補の重心X0を算出する。次のステップ511では、k次元ベクトル空間内で、重心点X0に対し最大頂点Xhと対称の位置にある鏡像点Xrを算出し、鏡像点Xrを制御パラメータとして設定したときの「露光装置における環境制御動作」を実行して、その目的関数に対する評価関数の値を算出する。
図6には、制御パラメータの各頂点をk次元平面で表したときのベクトル空間図が示されている。図6では、シンプレックスにおいて、最大頂点Xhが紙面左側に示され、最小頂点Xlが上端に示されており、2番目に大きい頂点Xsが示されており、重心X0、鏡像点Xrが示されている。
以下では、最大頂点Xh、最小頂点Xl、2番目に大きい頂点XS、重心X0、鏡像点Xrの評価関数の値を比較して、シンプレックスの拡大又は縮小を繰り返し、極小値を探索する処理を行う。
図5に戻り、次のステップ513では、鏡像点Xrの評価関数の値E(Xr)が、2番目に評価関数の値が大きい頂点Xsの評価関数の値E(Xs)以下であるか否かを判断する。この判断が肯定されればステップ515に進み、否定されればステップ525に進む。
まず、上記ステップ513において判断が肯定され、ステップ515に進む場合について説明する。ステップ515では、鏡像点Xrの評価関数の値E(Xr)が最小頂点Xlの評価関数の値E(Xl)よりも小さいか否かを判断する。この判断が肯定されればステップ517に進み、否定されればステップ523に進む。ここでの判断が否定されたということは、鏡像点Xrの評価関数の値E(Xr)が、頂点Xsの評価関数の値E(XS)以下であり(E(Xr)≦E(Xs))、かつ最小頂点Xlの評価関数の値以上(E(Xr)≧E(Xl))であるということを意味する。この場合には、評価関数の値が極小となる頂点がシンプレックス内にあり、それは鏡映点Xr付近である可能性が高いとみなすことができる。そこで、ステップ523では、鏡映点Xrを最大頂点Xhに更新する。ステップ523終了後は、ステップ505に戻る。
一方、ステップ515で判断が肯定された場合では、鏡像点Xrの評価関数の値E(Xr)が、2番目に評価関数の値が大きい頂点Xsのその評価関数の値E(Xs)以下であり(E(Xr)≦E(Xs))、かつ最小頂点Xlの評価関数の値E(Xl)より小さい(E(Xr)<E(Xl))ということを意味する。この場合、評価関数の値が極小となる頂点は、シンプレックス外にある可能性が高いとみなすことができる。そこで、ステップ517では、次式に示される拡張点Xeを算出し、「露光装置の空調制御動作」を行って、その評価関数の値E(Xe)を求める。次のステップ519では、拡張点Xeの評価関数の値E(Xe)が、拡張点Xrの評価関数の値E(Xr)より小さいか否か(E(Xe)<E(Xr))を判断する。ここで、判断が否定された場合には、ステップ523に進み、最大頂点Xhを鏡映点Xrに更新し、ステップ505に戻る。一方、判断が肯定された場合には、ステップ521に進み、最大頂点Xhを拡張点Xeに更新し、ステップ505に戻る。
次に、ステップ513において判断が否定されステップ525に進む場合について説明する。ステップ525では、鏡映点Xrでの評価関数の値E(Xr)が、最大頂点Xhでの評価関数の値E(Xh)よりも小さいか否かを判断する。この判断が肯定されればステップ527に進み、否定されればステップ529に進む。ステップ527では、最大頂点Xhを鏡映点Xrに更新し、ステップ529に進む。ステップ529では、次式に示される収縮点Xcを求め、「露光装置の空調制御動作」を行って、評価関数の値E(Xc)を求める。
次のステップ531では、拡張点Xcの評価関数の値E(Xc)が、最大頂点Xhの評価関数の値E(Xh)より小さいか否かが判断される。この判断が肯定されればステップ533に進み、否定されればステップ535に進む。ステップ533では、最大頂点Xhを、拡張点Xcに更新する。一方、ステップ535では、次式を用いて、縮小点Xi'を求めシンプレックスを更新する。
ここで、0<κ<1であり、縮小点X
i'は、鏡映点X
rと、重心X
0とを結ぶ線分を、κ:1−κに内分する点である。ステップ533及びステップ535終了後は、ステップ503に戻る。
以降、停止条件が満たされ、ステップ507における判断が肯定されるまで、上記処理が繰り返し実行され、評価関数の値が極小値となる制御パラメータの最適解が求められるようになる。ステップ507において判断が肯定された後は、サブルーチン403を終了し、図4のステップ407に進む。
ステップ407では、最適解のベクトルにおける各制御パラメータの値を、その制御パラメータの値として制御装置70内部に設定する。これにより、クーラ52、第1ヒータ56、第2ヒータ62、第1送風機58、第2送風機64、流量調整絞り66a、19a、21a、50aに対する制御の目標値が決定される。
次に、「モード2」が選択されており、ステップ401での判断が否定された場合について説明する。この場合には、ステップ405に進む。
ステップ405では、GA(遺伝的アルゴリズム)による制御パラメータの最適化が実行される。ここでは、上記制御パラメータの解の候補を重複しないようにN(N>2とする)個選択し、これを親集団とする。これを第0世代とする。このとき、最適化を行う特徴空間がk次元(すなわち制御パラメータの数がk個)であるとすると、1つの解候補は、k次元ベクトルとなる。
次に、この親集団の個体(親)それぞれに対し、「露光装置の空調制御動作」を行ってそれぞれの評価関数の値を求める。ここで、この世代で、目標値(計算打ち切り評価値)に達した個体が存在する場合には、その個体を最適解として処理を終了するが、そのような個体が存在しないものとして以下の処理を行う。
すなわち、この親集団の中から、3つの親をランダムに選択し、例えばUNDX交叉法を用いて、3つの親のうちの2つの親からM個の個体を生成する。このとき、3つの親のうちの残りの親は交叉の際の参照個体として利用する。そして、生成されたM個の個体を「子集団」とし、子集団の個体それぞれの評価関数の値(評価関数の値)を求める。さらに、2つの親と、子集団から成る家族集合から、ルーレット選択により2つの個体を選択し、選択された2個体を上記2つの親の代わりに親集団に戻す。ここで、2つの親がそのまま選択された場合には、親集団の構成に変化はないが、それ以外の場合には親集団の構成が変わることになる。
GAでは、上記処理を、世代を1つずつ進めながら実行し、評価関数の値が目標値に到達する個体が出現するまで繰り返す。このGAによる制御パラメータの最適化については、特開2002−163005号公報等に開示されているので詳細な説明を省略する。そして、評価関数の値が目標値に到達した個体が出現すると、ステップ405を終了し、ステップ407に進む。ステップ407では、上述した通りであるので、処理を省略する。
本実施形態では、このように制御パラメータの最適値が算出され設定された後、実際の露光が実行される。まず、レチクルローダ82等により、転写対象となる回路パターンが形成されたレチクルRがレチクルステージRSTにロードされる。一方、上記のレチクルRのロードと相前後して、ウエハローダ88等により、露光対象となるウエハWがウエハステージWSTにロードされる。次に、不図示のレチクルアライメント検出系、ウエハステージWST上の不図示の基準マーク板、アライメント系などを用いてレチクルアライメント、ベースライン計測等の準備作業が所定の手順に従って行われた後、アライメント検出系を用いてEGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)等のアライメント計測が実行される。こうしたアライメント計測の終了後、以下のようにしてステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行われる。
この時、本体チャンバ12内の各部屋は、最適な制御パラメータ(制御の目標値)の設定の下で、最適に調整され、上記露光動作を高精度に行うことが可能となる。
これまでの説明からもわかるように、本実施形態では、サブルーチン403及びステップ405が第1工程に対応し、ステップ407が第2工程に対応する。
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、露光装置100の内部のガス圧を制御するための環境制御パラメータ群(Xp)を、調整者のスキルを頼りに、トライ・アンド・エラーで調整するのではなく、それらの設定値を変更しながら、露光装置100の露光精度に影響を及ぼす露光装置100内の環境に関する情報(ここではガスの圧力)を圧力検出器10でモニタし、露光精度を評価指標とする評価関数E(Xp)の値を、そのモニタ結果に基づいて算出する処理を、シンプレックス法又はGAを用いて繰り返し自動的に行うので、短時間かつ高精度に、環境制御パラメータ群(Xp)を最適化することが可能となる。
本実施形態では、環境制御パラメータとしては、第1送風機62、第2送風機64に設けられたファンのインバータ周波数や、クーラ52、ヒータ56の電圧の目標値や、流量調整絞り66a、19a、21a、50aの絞り量であったが、露光装置100では、流量調整絞り66a、19a、21a、50aの代わりに、吸気用のファンを設けてもよい。この場合には、環境制御パラメータとして、絞り量の代わりにそれら吸気用ファンを回転させるインバータの周波数を含めることができる。
また、上記実施形態によれば、レチクルステージRST、ウエハステージWST、不図示のウエハホルダ、投影光学系PLのレンズなどを冷却するペルチェ素子における目標設定温度、あるいは冷媒として液体を用いた液体冷却回路の目標設定温度などの制御パラメータも、最適化対象として環境制御パラメータ群Xpの1要素として加えることができる。また、装置内の環境に間接的に影響を与えるクリーンルーム内の設定温度なども、環境制御パラメータ群Xpの1要素として含めるようにすることもできる。
また、本実施形態によれば、制御対象となる環境の一例として、露光装置100の内部の各空調室のガスの圧力を代表として取り上げたが、露光精度に影響を及ぼす露光装置100の内部の環境としては、これに限らず、例えば、そのガスの温度、湿度、流量、流れの向きなど様々なものがある。これらの環境を考慮して環境制御パラメータを最適化するには、環境制御パラメータの最適化に用いる評価関数を、ガスの圧力の制御偏差に依存するものではなく、例えば、各空調室の目標温度、目標湿度、目標流量に対する温度、湿度、流量の実測値の差の二乗和や、各空調室のガスの流れの向きの目標ベクトルに対する実施の流れの向きのベクトルの相関値の和とし、各空調室の環境を、それぞれの目標に最も近い形とする環境制御パラメータ群の最適値を見つけ出せるような形の評価関数とすればよい。なお、温度、湿度、流量などの実測値を計測するには、各空調室にそれらを計測するセンサが必要であり、湿度については、各空調室に加湿器を備える必要があるのは勿論である。
また、圧力と温度、圧力と温度と湿度若しくは流量というように、数種類の環境に対して同時に最適化を行う場合には、それらの数種類の環境の目標値と実測値との偏差の重み付け和を評価関数として用いることができる。
本実施形態では、露光中における露光装置100の内部の環境を露光精度の観点から最適に保つことを目的とするものであるため、環境制御パラメータの最適化において露光装置100内の環境に関する情報を監視する際には、例えば、レチクルローダ82、ウエハローダ86、ウエハステージWSTなどを、実際のプロセスでの稼動状態と同様に稼動させるようにするのが望ましい。この場合、実際のプロセスでのショットマップ等を含むプロセス条件に応じて、プロセスウエハのロード、アンロードや、照明光による照明、その間の両ステージWST、RSTの同期走査(加速減速動作)を行い、その状態で、各種環境に関する情報や、干渉計の計測再現性などのを計測を行なうようにする。このようにすれば、実際の運用中に近い形で、露光装置100内の環境に関する情報を監視することができるようになり、環境制御パラメータ群(Xp)の最適化をさらに高精度なものとすることができる。
また、上記実施形態では、制御パラメータ群の最適化を図るための評価関数を、露光装置100の内部の各空調室の目標値と実測値との差の二乗和としたが、各空調室の目標値と実測値との差の絶対値の和としてもよい。要は、評価関数としては、目標値と実測値とのずれに応じてその値が増減する関数を用いればよい。
また、上記実施形態では、上記式(1)に示される、露光装置100内の各空調室の環境の目標値と実値との偏差の大きさに応じた評価関数を用いて環境制御パラメータの最適化を行った。すなわち、上記実施形態は、露光精度に影響を及ぼす装置内の環境に関する情報をモニタし、装置内の環境が露光精度が最適となるであろうと思われる状態となったときに、その値が最も良好となる評価関数を用いて環境パラメータ群を最適化するものであった。しかしながら、本発明はこれには限られず、露光精度を直接評価指標とする評価関数を用いて制御パラメータ群を最適化するようにしてもよい。
例えば、装置内の環境に最も影響を受けやすい装置内のものとしては、レチクルステージRSTやウエハステージWSTの変位を計測するレーザ干渉計IF1、IF2がある。このレーザ干渉計IF1、IF2の計測値の再現性は、露光室16、ウエハステージ室30の温度やガスの圧力に影響を受ける。そこで、このレーザ干渉計IF1、IF2等の計測値の再現性そのものを数式化し、その再現性に応じて値が増減するような評価関数を用いて、環境パラメータ群の最適化を行うこともできる。この場合の評価関数E(Xp)としては、例えば次式を採用することができる。
ここで、I
i(X)(i=1〜N)は、レーザ干渉計IF1、IF2の各測長軸での単位時間当たりの計測再現性(分散)を示している。この単位時間としては、数分間を規定するなど、任意の時間を設定することができるが、一例として、走査露光時において、ウエハW上の一点を照明光が照射される露光領域が通過する時間を採用することができる。例えば、ステージが走査される走査方向の露光領域の幅が8mmであり、ウエハステージWSTの走査速度が360mm/sであったとすると、単位時間を、約0.022秒とすることができる。すなわち、ある一点の像の転写が行われる間のステージの振動に影響を与える干渉計の計測再現性を評価指標とするのが望ましい。
すなわち、Ii(Xp)は、ステージ(レチクルステージRST又はウエハステージWST)を静止させたまま、環境制御パラメータ群Xpを設定したときに、所定のサンプリング間隔(例えば1msec間隔)で、単位時間内に計測されたレーザ干渉計の計測値(11個のサンプル値に)のふれ幅に基づく値(すなわち分散)とすることができる。
このようなふれ幅に基づく値としては、例えば、レーザ干渉計の計測誤差が正規分布に従うものとすれば、サンプルされた計測値群から、その正規分布を推定し、推定された正規分布の分散、標準偏差σに基づく値、例えば、標準偏差の1倍(1σ)、3倍(3σ)、6倍(6σ)などとするのが適当であり、上述のように、計測結果の分散を、評価関数の各項の値として用いるのは統計的に見て妥当であるといえる。
上記式(7)に示される評価関数を用いた場合でも、上記実施形態と同様に、式(7)の評価関数の制御パラメータの最適な設定値の組合せをシンプレックス法又はGAにより求めることは勿論である。すなわち、この評価関数を用いて最適化を行えば、露光装置100内の環境を制御するための環境制御パラメータ群の最適値をトライ・アンド・エラーで探索するのではなく、それらの設定値を変更しながら、露光装置100の露光精度に関する情報(すなわち干渉計の計測再現性)を監視し、露光精度を評価指標とする評価関数の値を、その監視結果に基づいて算出する処理を、所定の最適化手法を用いて自動的に行うので、短時間かつ確実に、環境制御パラメータ群を最適化することができる。
なお、露光精度を直接評価指標とする場合には、干渉計の計測再現性によるものに限られず、実際にウエハW上に対する露光を行い、その露光結果(例えば、ラインパターンの線幅ずれや位置ずれ量)に基づく、評価関数を設定し、その評価関数の値をラインパターンの線幅ずれや位置ずれ量の実測結果から算出し、シンプレックス法やGAにより自動最適かを行うようにしてもよいことは勿論である。
このように、本発明では、監視する情報としては、露光装置の露光精度に関する情報でもよいし、その露光精度に影響を及ぼす装置内の環境に関する情報でもよいし、それらの両方を同時に監視するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、シミュレーション上に構築された露光装置100の環境モデルを使用して、制御パラメータの最適化を最適化手法を適用して行うようにしてもよい。このようにしても、その環境モデルが、実機の環境を良く再現しているものであれば、実機による実計測を繰り返し行うことなく環境制御パラメータの最適化を図ることができる。
なお、このシミュレーションでは、上記式(1)又は式(7)をそのまま評価関数として適用することもできるが、シミュレーション上の環境モデルでは、実機のハードウエアに依存した制限(すなわち制約条件)が考慮されておらず、必ずしも適正な探索範囲を抽出できるとは限らない。そこで、上記最適化処理に先立って、上記式(1)の評価関数に代えて、次式に示される評価関数を用いて、制御パラメータの解候補に対する「装置内の環境制御動作」を、シミュレーション上の装置内の環境モデルを用いて仮想的に行うようにしても良い。
ここで、h(η)は、ペナルティ項である。このh(η)としては、制御パラメータの設定値に応じてその値が変化する項、例えば、制御パラメータの解の候補の中に、実機では設定しえない値が含まれるような場合には、巨大な値を有する項とし、制御パラメータが、すべて実機で設定可能な値であった場合には、h(η)=0とするように設定することができる。このようなペナルティ項を評価関数に設けることにより、実機で設定可能な制御パラメータの範囲内で、最適解の探索範囲を制限することができるようになり、最適化に要する時間を短縮することができるようになる。
このように、実際には、環境制御パラメータには、制約条件が付加されるのが一般的であり、例えば、インバータの周波数にも設定可能な範囲があり、投影光学系PLのレンズを冷却するための設定温度には許容範囲がある。それらの最適化は、この制約条件を考慮して行われる必要がある。評価関数への上記ペナルティ項の付加は、このような場合に特に有効である。また、前述のとおり、シミュレーションにおいても、評価関数の各係数、例えば式(1)の各空調室の圧力の目標値RS*、WS*、RL*、WL*について、上述のようにWS*≧WL*≧RS*≧RL*となるような値が設定される必要があることに留意しなければならない。
また、上記最適化手法を用いる場合には、その最適化を終了させるための終了条件として、評価関数の許容値を設定する必要がある。この許容値は、その露光装置が稼動するクリーンルーム内の環境にも左右されるので、露光装置を運用するユーザにより設定可能となっているのが望ましい。したがって、露光装置100では、最適化手法を選択するためのモード設定のパラメータとともに、このような評価関数の許容値もユーザにより設定できるようにしておくのが望ましい。また、環境制御パラメータに制約条件がある場合には、それらの制約条件もユーザにより設定できるようにしておくのが望ましい。
さらに、露光装置の経時変化等により、運用開始当初に最適化されていた環境制御パラメータが現在の運用に適さなくなってきた場合には、露光装置のメンテナンス時に、環境制御パラメータの再最適化を行えるようにしてもよい。この場合、露光装置のユーザが、環境制御パラメータの再最適化を行うことができるように、最適化手法の選択や、評価関数の許容値、環境制御パラメータの制約条件などの一連の最適化処理に必要な情報の設定や、実際の再最適化の実行方法などを説明する操作マニュアルなどに記載しておくのが望ましい。
また、環境制御パラメータの最適化にある程度の時間を要する場合には、評価関数の値が収束状態にあるか否かをユーザが確認できるようにしておくのが望ましい。したがって露光装置100では、環境制御パラメータの最適化に、例えば、評価関数の値がどのように推移していくかを、露光装置のディスプレイにリアルタイムにグラフ表示することができるようにしておいてもよい。
また、上記実施形態では、最適化手法として、シンプレックス法を用いるかGAを用いるのかは、オペレータが、制御装置の動作モードを設定することにより、選択可能となっていたが、その選択は、上記2つの最適化手法の特徴をふまえて行われるのが望ましい。すなわち、できるだけ速やかに制御パラメータの最適化を行いたい場合には、シンプレックス法を用いるようにし、時間的に余裕があり、局所解に陥らずに大域的な最適解を求めたい場合にはGAを用いるようにするのが望ましい。また、上記シミュレーションによる最適化についてはGAを採用し、実機における最適化についてはシンプレックス法を採用するようにしても良い。なお、上記2つの最適化手法以外の手法を採用することができることはいうまでもない。例えば、最急降下法、ニュートン法などを用いることができる。この場合も、各方法の特徴を踏まえたうえで、どの方法を選択するかを決めるのが望ましい。
なお、本発明は、内部環境を制御可能な露光装置であれば、適用可能であり、図1に示されるような構成を有するものに限られないことは勿論である。例えば、機械室は、クリーンルームの床下に設けられていてもよいし、機械室と本体チャンバとは一体であってもよい。また、各空調室は別のチャンバに一緒あるいはそれぞれ単独に設けられていてもよい。また、空調室は幾つであってもよいし、供給されるガスの割合も80:20には限られない。また、内部の環境を制御する制御系の検出器及びコントローラの数及び配置に限られず、必要に応じて設置されていればよい。例えば、ケミカルフィルタなどは、レチクルローダ室18、ウエハローダ室20の供給口部分に設けることも可能である。
また、レチクルローダ系は、上記実施形態の構成に限られるものではなく、例えば複数枚のレチクルを収納可能なボトムオープンタイプの密閉式カセット(コンテナ)をレチクルライブラリ80の代わりに用いてもよいし、あるいはレチクルローダとして搬送アームをスライドさせる機構を用いてもよい。また、レチクル保管部(レチクルライブラリ80)とレチクルローダ82とを異なる部屋に配置してもよいし、あるいは前述の密閉式カセットをレチクルローダ室18の上部に載置し、その気密性を維持した状態でボトムオープンにてレチクルをレチクルローダ室18内に搬入するようにしてもよい。さらに、レチクルローダ室18の外部に配置された密閉式カセット(スミフポッドなど)から搬入されるレチクルを一時的に保管する棚又はケースなどをレチクルローダ室18内に設けてもよい。要は、小部屋18には、レチクルローダのみが配置されていてもよい。
なお、ウエハローダ系は、上記構成に限られるものではなく、例えば多関節型のロボットのみでウエハローダ系を構成してもよいし、ウエハローダ室20内にウエハローダのみを配置してもよい。
また、上記実施形態では、露光装置100が1つのウエハステージを備えるものとしたが、例えば国際公開WO98/24115号やWO98/40791号などに開示されているような、2つのウエハステージを備える露光装置にも本発明を適用することができる。
また、本発明は、露光光源には限定されない。露光光を発する照明系の光源としては、KrFエキシマレーザ光源(発振波長248nm)などの遠紫外光、ArFエキシマレーザ光源(発振波長193nm)、あるいはF2レーザ光源(発振波長157nm)などの真空紫外光などを発生させるものを用いることができる。また、紫外域の輝線(g線、i線等)を発生させる超高圧水銀ランプを用いることも可能である。さらには、Ar2レーザ光源(出力波長126nm)などの他の真空紫外光源を用いても良い。また、例えば、真空紫外光として上記各光源から出力されるレーザ光源に限らず、DFB(Distributed Feedback、分布帰還)半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(Er)(又はエルビウムとイッテルビウム(Yb)の両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を照明光として照射する光源を用いても良い。また、EUV光、X線、あるいは電子線及びイオンビームなどの荷電粒子線を露光ビームとして用いる露光装置に本発明を適用しても良い。さらに、例えば国際公開WO99/49504号などに開示される、投影光学系PLとウエハWとの間に液体が満たされる液浸型露光装置に本発明を適用しても良い。
ArFエキシマレーザ光(波長193nm)を照明光として用いる場合には、投影光学系PLの鏡筒内、あるいは投影光学系PLを収容する筐体内にも不活性ガス(窒素など)が供給される。さらに、F2レーザ光(波長157nm)を露光光として用いる場合には、レチクルステージ及びウエハステージがそれぞれサブチャンバ内に配置され、不図示の照明光学系と投影光学系PLに加えて、その照明光学系と投影光学系PLとの間、及び投影光学系PLとウエハWとの間にもそれぞれ不活性ガス(ヘリウムなど)が供給される。従って、光源内を含めてその光源からウエハWに至る照明光路の少なくとも一部を密閉してその内部に不活性ガスなどを供給する露光装置では、例えば照明光学系に供給された不活性ガスが通る排気経路の途中、又は出口にも、化学物質除去フィルタ(ケミカルフィルタ)を設けておくことが好ましい。勿論、不活性ガスの流入経路の途中又は入口にもケミカルフィルタを設けても良く、これは特に回収した不活性ガスを清浄化して再利用する場合に有効である。また、上述のように、例えば波長120nm〜200nm程度の真空紫外域に属する光を露光光として用いる場合などには、空調用気体として上記不活性ガス(窒素ガス、ヘリウムガスなど)が用いられる。
なお、上記実施形態の露光装置における投影光学系の倍率は縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでも良いし、投影光学系PLは屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、その投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。
また、上記実施形態では、露光装置の照明光としては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことはいうまでもない。例えば、近年、70nm以下のパターンを露光するために、SORやプラズマレーザを光源として、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を発生させるとともに、その露光波長(例えば13.5nm)の下で設計されたオール反射縮小光学系、及び反射型マスクを用いたEUV露光装置の開発が行われている。この装置においては、円弧照明を用いてマスクとウエハを同期走査してスキャン露光する構成が考えられる。
なお、上記実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式等の走査型露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、本発明の適用範囲がこれに限定されるものではなく、ステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置、又はステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置、プロキシミティー方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナー、などにも本発明を適用することができる。また、ウエハステージを2基備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
なお、複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み、光学調整をするとともに、多数の機械部品からなるレチクルステージやウエハステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより、上記実施形態の露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(または位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク、あるいは光反射性の基板上に所定の反射パターンを形成した光反射型マスクを用いたが、これらのマスクに代えて、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターンまたは反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスクを用いてもよい。このような電子マスクは、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されている。ここではこの米国特許第6,778,257号公報を参照して援用する。
なお、上述の電子マスクとは、非発光型画像表示素子と自発光型画像表示素子との双方を含む概念である。ここで、非発光型画像表示素子は、空間光変調器(Spatial Light Modulator)とも呼ばれ、光の振幅、位相あるいは偏光の状態を空間的に変調する素子であり、透過型空間光変調器と反射型空間光変調器とに分けられる。透過型空間光変調器には、透過型液晶表示素子(LCD:Liquid Crystral Display)、エレクトロクロミックディスプレイ(ECD)等が含まれる。また、反射型空間光変調器には、DMD(Digital Mirror DeviceまたはDigital Micro-mirror Device)、反射ミラーアレイ、反射型液晶表示素子、電気泳動ディスプレイ(EPD:ElectroPhoretic Display)、電子ペーパ(又は電子インク)、光回折ライトバルブ(Grating Light Value)等が含まれる。
また、自発光型画像表示素子には、CRT(Cathod Ray Tube)、無機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)や、複数の発光点を有する固体光源チップ、チップを複数個アレイ状に配列した固体光源チップアレイ、または複数の発光点を1枚の基板に作り込んだ固体光源アレイ(例えばLED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ、LD(Laser Diode)ディスプレイ等)等が含まれる。なお、周知のプラズマディスプレイ(PDP)の各画素に設けられている蛍光物質を取り除くと、紫外域の光を発光する自発光型画像表示素子となる。
半導体デバイスは、デバイスの製造、性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハWを製作するステップ、上記実施形態の露光装置100によりレチクルのパターンをウエハWに転写するステップ、メモリリペアステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。
また、上記実施形態では、本発明が半導体製造用の露光装置に適用された場合について説明したが、本発明はこれには限られない。例えば、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用することができる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では、一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウエハなどが用いられる。
また、本発明は、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、液晶表示素子などを含むディスプレイの製造に用いられるデバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、及び撮像素子(CCDなど)、有機EL、マイクロマシン、DNAチップなどの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。
さらに、露光装置以外の検査装置、加工装置などの装置であっても、装置内の環境を制御する必要がある処理装置であれば、本発明を好適に適用することができる。
10…圧力検出器、12…本体チャンバ、14…機械室、16…露光室(大部屋)、16a…圧力サンプリングボード、16b…電磁弁、18…レチクルローダ室(小部屋)、18a…圧力サンプリングボード、18b…電磁弁、19a…流量調整絞り、20…ウエハローダ室(小部屋)、20a…圧力サンプリングボード、20b…電磁弁、21a…流量調整絞り、22…露光装置本体、24…給気管路、24a、24b、24c…分岐路、26…接続部、30…ウエハステージ室、34…メインコラム、34a…圧力サンプリングボード、34b…電磁弁、40…リターン部、42…リターンダクト、44…リターン部、46…リターン部、48…リターンダクト、50…OA口、50a…流量調整絞り、52…クーラ(ドライコイル)、54…第1温度センサ、55…第2温度センサ、56…第1ヒータ、58…第1送風機、60…分岐路、60a…蛇腹用部材、62…第2ヒータ、64…第2送風機、66…リターンダクト、66a…流量調整絞り、68…ドレインパン、70…制御装置、72…第3温度センサ、74…第4温度センサ、80…レチクルライブラリ、82…レチクルローダ、84…ウエハキャリア、86…ロボット、88…ウエハ搬送装置、90…噴き出し口、92…レチクル搬送エリア、100…露光装置、AF1、AF2、AF3、AF4…フィルタボックス、CF1a、CF2a、CF1b、CF2b…ケミカルフィルタ、CR1…圧力サンプリングボード、CR2…電磁弁、F…床面、IF1、IF2…レーザ干渉計、M1,M2…ミラー、PM1…圧力センサ、PL…投影光学系、R…レチクル、RST…レチクルステージ、W…ウエハ、WST…ウエハステージ。