実施の形態1
この発明の実施の形態1について、図1〜図4を参照して説明する。この実施の形態1は、車両が駅で停車中に、車両に搭載された車上無線装置と駅などの地上に設置された地上無線装置の間で無線通信を行うものである。以下、この実施の形態1を一実施例に基づいて説明する。
図1は、この発明の実施の形態1に係る車両無線通信システムを示す説明図である。
図1において、車両1は、始発駅2から出発して、軌道3を移動方向Aの方向に走行し、駅4,5,6に順次停車後、終着駅7に到着する。始発駅から終着駅に至るまでの各駅2,4〜7には、運転席などがある車両の先頭部に設置された車上無線装置8と無線通信するための地上無線装置9〜13が設置されている。この地上無線装置9〜13は、通常、地形状などに合わせて、設置場所が制限される。そして車上無線装置8は、最良の受信状態を得るように、地上無線装置9〜13の指向性アンテナから送信される電波に対して、車上無線装置8の指向性アンテナの指向方向が対向するように制御される。図1には、車上無線装置8の指向性アンテナの指向方向と各駅2,4〜7に設置された地上無線装置9〜13の指向性アンテナの指向方向がそれぞれ互いに対向して無線通信可能な状態を示す。図1には、8aで車上無線装置8の指向性アンテナの電波の指向方向を示し、9a,10a,11a,12a,13aで各駅2,4〜7に設置された地上無線装置9〜13の指向性アンテナの電波の指向方向を示している。
図2は、この発明の実施の形態1に係る車上無線装置を含むブロック構成図である。
図2において、水平(L,R)方向および垂直(U,D)方向に動作可能な可動部21は、地上無線装置9〜13からの電波を受信する指向性のアンテナ22と受信した電波を所定の情報に変換する送受信部23を備えている。記憶部24は、地上無線装置9〜13の指向性アンテナ(無図示)に車上無線装置8の指向性アンテナ22の指向方向を対向させて、無線通信を行うためのアンテナ制御情報(後述)を保管しておくものである。この記憶部24に保管されるアンテナ制御情報は、通常、運行前に入力端末25より入力端末インターフェース部26を介して入力される。車両情報管理装置27は、車両1に搭載され車両の運行管理や状態管理を行うものであり、その管理項目の一つに、始発駅2からの車両の走行距離をキロ呈として管理する走行位置情報がある。アンテナ指向方向制御部28は、車両情報管理装置27からの走行位置情報と記憶部24に保管されたアンテナ制御情報を比較し、地上無線装置9〜13の中から、対応する地上無線装置のアンテナ角度のデータを取得して、指向性アンテナ22の指向方向を、この取得したアンテナ角度に動作させる角度制御情報を可動部21に出力する。またアンテナ指向方向制御部27は、指向性アンテナ22で受信した電波をモニターし、その受信電力が最も強くなるように、可動部21にアンテナ22の指向方向を修正するための角度制御情報を出力する。通信装置29は、コンテンツなどのデータの保管や配信を行うものである。
図3は、記憶部24に保管されるアンテナ制御情報を示す説明図である。
図3において、アンテナ制御情報34はリスト形式で保管され、順に通信エリア35、通信エリア位置36およびアンテナ角度37の情報で構成され、更に、通信エリア位置36は、開始位置と終了位置の情報で構成され、アンテナ角度37は、水平方向と垂直方向の情報で構成されている。
通信エリア35は、駅2,4〜7に設置された各地上無線装置9〜13毎に割当てたもので、それぞれID番号が割当てられる。ここでは、地上無線装置9はID番号1に、地上無線装置10はID番号2に、地上無線装置11はID番号3に、地上無線装置12はID番号4に、地上無線装置7はID番号5に設定している。
通信エリア位置36は、ID番号1〜5で管理された地上無線装置9〜13の通信可能範囲を、開始位置および終了位置として、車両情報管理装置27が管理する走行位置情報であるキロ呈で管理している。ここでは、ID番号1は開始位置が0m、終了位置が100mに、ID番号2は開始位置が900m、終了位置が1000mに、ID番号3は開始位置が2100m、終了位置が2200mに、ID番号4は開始位置が4200m、終了位置が4300mに、ID番号5は開始位置が15000m、終了位置が15100mに設定している。
アンテナ角度37は、ID番号1〜5で管理された地上無線装置9〜13に対応して設定されるものであり、地上無線装置9〜13から送信される電波に対して、車上無線装置8の指向性アンテナ22の指向方向を対向させて、無線通信が可能になるように、指向性アンテナ22の水平方向(図2におけるR,L方向)および垂直方向(図2におけるU,D方向)の角度を設定している。ここでは、アンテナ角度37は、水平方向が、R側をプラス(+)、L側をマイナス(−)とし、垂直方向が、U側をプラス(+)、D側をマイナス(−)とし、アンテナ角度37として、ID番号1は水平方向−15度,垂直方向+5度に、ID番号2は水平方向+30度,垂直方向−10度に、ID番号3は水平方向−23度,垂直方向+10度に、ID番号4は水平方向+34度,垂直方向+6度に、ID番号5は水平方向−15度,垂直方向0度に設定している。
次に動作について、図1〜図3及び図4に示す車上無線装置の動作のフローチャートを参照し説明する。
まず車両1は、運行開始前に始発駅2に入線し所定の位置で停車する。この時、車上無線装置8は、地上無線装置9に対応した通信エリア35のID番号1の通信エリア位置36(開始位置0m,終了位置100m)の範囲にある。そして、運行する路線に係るアンテナ制御情報34を、入力端末25から入力端末インターフェース部26を介して記憶部24に入力し保管する。(ステップ1)
次に、車上無線装置8のアンテナ指向方向制御部28は、記憶部24から、地上無線装置9に対応した通信エリア35のID番号1のアンテナ角度37(水平方向−15度,垂直方向+5度)を取得し、可動部21に角度制御情報を出力する。可動部21は、この角度制御情報に基づいて、指向性アンテナ22が水平方向−15度および垂直方向+5度を指向するように動作する。これにより、車両1が駅2に停車中に、地上無線装置9の指向性アンテナと車上無線装置8の指向性アンテナ22の指向方向は対向し、無線通信が可能になる。(ステップ2)
以上の動作でも、地上無線装置9と車上無線装置8の間で無線通信は可能であるが、より通信品質を向上させるために、地上無線装置9の指向性アンテナと車上無線装置8の指向性アンテナ22の指向方向が正確に対向するように、車上無線装置8のアンテナ22の指向方向を修正する。
ここでは、地上無線装置9の指向性アンテナから送信される電波を車上無線装置8の指向性アンテナ22で受信し、送受信部23から得られる受信電力をアンテナ指向方向制御部28でモニターする。アンテナ指向方向制御部28は、モニター中の受信電力が最も強くなるように、例えばS/N比が最も大きくなるように、可動部21を動作させて、車上無線装置8の指向性アンテナ22の方向を修正する。これにより、車上無線装置8の指向性アンテナ22と地上無線装置9の指向性アンテナの指向方向は正確に対向する。(ステップ3)
そして車上無線装置8の指向性アンテナ22と地上無線装置9の指向性アンテナの指向方向が正確に対向した状態で、地上無線装置9と車上無線装置8の間で無線通信を行う。(ステップ4)
この無線通信により、例えば地上無線装置8から車上無線装置に送信されたコンテンツなどのデータは、送受信部23を介して乗客に配信可能なデータに変換され、通信装置29に保管された後、適宜乗客に配信される。
なお、以上の説明では、車両1が始発駅2に停車中に、アンテナ制御情報34を記憶部24に保管するようにしたが、始発駅2に入線中または車両基地において、アンテナ制御情報34を記憶部24に保管するようにしてもよい。この場合、地上無線装置9に対応したID番号1の通信エリア位置36の開始位置0mに進入する前に、ID番号1のアンテナ角度37(水平方向−15度,垂直方向+5度)を取得し、この方向に指向性アンテナ22を動作させておく。
始発駅2を出発した車両1は、次の停車駅である駅4に向かう。車両1に搭載された車上無線装置8は、地上無線装置9からの受信電波を受けない位置、即ち車両情報管理装置27から得られる距離(キロ呈)としての走行位置情報が、アンテナ制御情報34の通信エリア35のID番号1に対応した通信エリア位置36の終了位置の100mを越えるとと、地上無線装置9の通信エリア35を抜けたと判断する。(ステップ5)
車両1は、地上無線装置9と地上無線装置10の通信エリア間を走行中に、車上無線装置8のアンテナ指向方向制御部28が、記憶部24から、地上無線装置10に対応した通信エリア34のID番号2のアンテナ角度37(水平方向+30度,垂直方向−10度)を取得し、可動部21に角度制御情報を出力する。可動部21は、この角度制御情報に基づいて、指向性アンテナ22が水平方向+30度および垂直方向−10度を指向するように動作する。これにより、車両1が駅4に停車中に、地上無線装置10の指向性アンテナと車上無線装置8の指向性アンテナ22の指向方向は対向し、無線通信が可能になる。(ステップ6)
以上の動作でも、地上無線装置10と車上無線装置8の間で無線通信は可能であるが、より通信品質を向上させるために、地上無線装置9の指向性アンテナと車上無線装置8の指向性アンテナ22の指向性が正確に対向するように、車上無線装置8のアンテナ22の指向方向を修正する。
ここでは、地上無線装置10の指向性アンテナから送信される電波を、車上無線装置8の指向性アンテナ22で受信し、送受信部23から得られる受信電力をアンテナ指向方向制御部28でモニターする。アンテナ指向方向制御部28は、モニター中の受信電力が最も強くなるように、例えばS/N比が最も大きくなるように、可動部21を動作させて、車上無線装置8の指向性アンテナ22の方向を修正する。これにより、車上無線装置8の指向性アンテナ22と地上無線装置9の指向性アンテナの指向方向は正確に対向する。(ステップ7)
そして車上無線装置8の指向性アンテナ22と地上無線装置10の指向性アンテナの指向方向が正確に対向した状態で、地上無線装置10と車上無線装置8の間で無線通信を行う。(ステップ8)
この無線通信により、例えば地上無線装置8から車上無線装置に送信されたコンテンツなどのデータは、送受信部23を介して乗客に配信可能なデータに変換され、通信装置29に保管された後、適宜乗客に配信される。
その後、車両1は、駅4を出発し、駅5,6に順次停車した後、終着駅7に到着する。この各駅5〜7においても、車上無線装置8の指向性アンテナ22は、地上無線機11〜13の指向性アンテナに指向方向が対向するように動作するのであるが、その動作はステップ5〜8の動作と同じであるため、説明は省略する。
この実施の形態1によれば、車両に設置される車上無線装置の記憶部に、各駅毎に設置された地上無線装置の指向性アンテナに向かって、車上無線装置のアンテナの指向方向を対向させるためのアンテナ角度のデータを有したアンテナ方向制御情報を保管し、このアンテナ角度のデータに基づいて、各駅毎に、地上無線装置の指向性アンテナに向かって、車上無線装置の指向性アンテナの指向方向が対向するように、車上無線装置の指向性アンテナの可動部を動作させる構成にしたので、各駅毎に地上無線装置の指向性アンテナと車上無線装置の指向性アンテナの指向方向が対向するようになり、良好な受信状態が得られるため、高い通信品質を得ることが可能になる。また、車上無線装置の指向性アンテナのみが動作し、地上無線装置の指向性アンテナは固定にしたため、車両通信システムの簡略化並びにその簡略化に伴う設置および運用の低コスト化を実現する車上無線装置を得ることができる。
さらに、車上無線装置は、地上無線装置から受信電力をモニターしながら、受信電力が最も強くなる方向に車上無線装置の指向性アンテナが向くように可動部を動作させて、車上無線装置の指向性アンテナの指向方向を修正するような構成にしたので、各駅における車両の停車位置に関係なく、地上無線装置の指向性アンテナと車上無線装置の指向性アンテナの指向方向が、正確に対向するようになるため、一層良好な受信状態が得られるため、より高い通信品質を得ることが可能になる。
なお以上の説明では、駅の数やアンテナ方向制御情報に記載の数値として、具体的な数値を用いて説明したが、これはあくまで説明の便宜のために行うものであり、特に数値を限定するものではない。これらの数値は、実際の状況に合わせて適宜設定されるものである。
実施の形態2
実施の形態1では、車両が駅で停車中に、車上無線装置と地上無線装置の間でデータの送受信を行うものを示したが、地上無線装置を駅や軌道沿いに適宜設置することにより、車両は走行しながら、車上無線装置と各地上無線装置の間でデータの送受信を行うことが可能になる。以下、この実施の形態2を一実施例に基づいて説明する。なお実施の形態2の説明において、実施の形態1で説明したものと同等なものについては、同符号を付して、詳細な説明は省略する。
図5は、この発明の実施の形態2に係る車両無線通信システムを示す説明図である。
図5において、車両1が走行する軌道3沿いには、地上無線装置51〜54が適宜設置されている。車両1は、この軌道3を進行方向Bの方向に走行する。車両1の運転席などの先頭部に設置された車上無線装置8は、走行しながら最良の受信状態を得るように、地上無線装置51〜54の指向性アンテナから送信される電波に対して、車上無線装置8の指向性アンテナ22の指向方向が対向するように制御する。
図5では、車両1が軌道3を進行方向Bの方向に移動中に、順次、車上無線装置8の指向性アンテナ22と地上無線装置51,52の指向性アンテナの指向方向が互いに対向して、通信可能な状態を示している。
また、図5には、符号8aで車上無線装置8の指向性アンテナ22の電波の指向方向を示し、符号51a〜54aで、それぞれ地上無線装置51〜54の指向性アンテナの電波の指向方向を示している。この指向方向51a〜54aで示された範囲(図中の角度α)内であれば、車上無線装置8は通信可能である。図中には、この通信可能範囲をR,S,T,Uとして示している。また指向方向52a〜54aは、軌道3上で、通信可能範囲S,T,Uに示すように、一部が重複するようになっている。また、指向方向の一部が重複するように設置された地上無線装置52〜54は、データを送信する際の送信周波数を変えて(図中にf1〜f3で示す。)、隣接の地上無線装置との混信を防止している。
なお、車両1に搭載される車上無線装置8の構成は、実施の形態1の図2で示した構成を同じであるため、ここでの説明は省略する。
図6は、記憶部24に保管されるアンテナ制御情報を示す説明図であり、実施の形態1の図3と同じリスト形式で示されるものである。
図6において、アンテナ制御情報61はリスト形式で保管され、順に通信エリア62、通信エリア位置63およびアンテナ角度64の情報で構成され、更に、通信エリア位置63は、開始位置と終了位置の情報で構成され、アンテナ角度64は水平方向と垂直方向の情報で構成されている。
通信エリア62は、各地上無線装置毎に割当てたもので、それぞれID番号が割当てられる。ここでは、地上無線装置51はID番号11に、地上無線装置52はID番号12に、地上無線装置53はID番号13に、地上無線装置54はID番号14に設定している。
通信エリア位置63は、ID番号51〜54で管理された地上無線装置51〜54の通信可能範囲を、開始位置および終了位置として、車両情報管理装置27が管理する走行位置情報であるキロ呈で管理している。ここでは、ID番号11は開始位置が900m、終了位置が1000mに、ID番号12は開始位置が2100m、終了位置が2200mに、ID番号13は開始位置が2200m、終了位置が2300mに、ID番号14は開始位置が2300m、終了位置が2400mに設定している。
アンテナ角度64は、ID番号11〜14で管理された地上無線装置51〜54に対応して設定されるものであり、地上無線装置51〜54から送信される指向性の電波に対して、車上無線装置8の指向性アンテナ22の指向方向が対向するように、指向性アンテナ22の水平方向(図2におけるR,L方向)および垂直方向(図2におけるU,D方向)の角度を設定している。ここでは、アンテナ角度64は、水平方向が、R側をプラス(+)、L側をマイナス(−)とし、垂直方向が、U側をプラス(+)、D側をマイナス(−)として、アンテナ角度64として、ID番号11は水平方向+10度,垂直方向+5度に、ID番号12は水平方向−15度,垂直方向+10度に、ID番号13は水平方向−23度,垂直方向0度に、ID番号14は水平方向−20度,垂直方向+6度に設定している。
次に動作について、図2、図5、図6及び図7に示す車上無線装置の動作のフローチャートを参照し説明する。
先ず始めに、地上に設置された地上無線装置の間隔が広く、地上無線装置51の通信可能範囲Rおよび地上無線装置52の通信可能範囲Sのように、通信可能範囲が重複しない場合について説明する。
まず車両1は、運行開始前に運行する路線に係るアンテナ制御情報61を、入力端末25から入力端末インターフェース部26を介して記憶部24に入力し保管する。(ステップ1)
次に、車両1は、通信エリア間を走行中に、車上無線装置8のアンテナ指向方向制御部28が、記憶部24から、地上無線装置51に対応した通信エリア62のID番号11のアンテナ角度64(水平方向+10度,垂直方向+5度)を取得し、可動部21に角度制御情報を出力する。可動部21は、この角度制御情報に基づいて、指向性アンテナ22が水平方向+10度および垂直方向+5度を指向するように動作する。(ステップ2)
次に、車両1が、地上無線装置51に対応した通信エリア62に進入すると、即ち車両情報管理装置27から得られる距離(キロ呈)としての走行位置情報が、アンテナ制御情報61の通信エリア62のID番号11に対応した通信エリア位置63の開始位置の900mに一致すると、地上無線装置51の指向性アンテナと車上無線装置8の指向性アンテナ22は指向方向が対向した状態にあるので、車上無線装置8は、地上無線装置51からの電波を受信し、通信を開始する。(ステップ3)
次に、地上無線装置51からの受信電波を受けない位置、即ち車両情報管理装置27から得られる距離(キロ呈)としての走行位置情報が、アンテナ制御情報61の通信エリア62のID番号11に対応した通信エリア位置63の終了位置の1000mに一致すると、通信を終了すると共に、車上無線装置8は、地上無線装置51の通信エリア62を抜けたと判断する。(ステップ4)
そして、通信エリア間を走行中に、車上無線装置8のアンテナ指向方向制御部28は、記憶部24から、地上無線装置52に対応した通信エリア62のID番号12のアンテナ角度64(水平方向−15度,垂直方向+10度)を取得し、可動部21に角度制御情報を出力する。可動部21は、この角度制御情報に基づいて、指向性アンテナ22が水平方向−10度および垂直方向+10度を指向するように動作する。その後の車上無線装置8と地上無線装置52の間で行われる通信方法については、車上無線装置8と地上無線装置51で示したものと同じである。
次に、地上に設置された地上無線装置の間隔が狭く、地上無線装置52,53,54の通信可能範囲S,T,U、のように、通信可能範囲が一部重複している場合について、車両1が、地上無線装置52の通信エリア62に進入する時点から説明する。
車両1が、車上無線装置8の指向性アンテナ22を、地上無線装置52に対応した通信エリア62のID番号12のアンテナ角度64(水平方向−15度,垂直方向+10度)にして、地上無線装置52に対応した通信エリア62に進入すると、即ち、車両情報管理装置27から得られる距離(キロ呈)としての走行位置情報が、アンテナ制御情報61の通信エリア62のID番号12に対応した通信エリア位置63の開始位置の2100mに一致すると、地上無線装置52の指向性アンテナと車上無線装置8の指向性アンテナ22は指向方向が対向した状態にあるので、車上無線装置8は、地上無線装置52からの電波を受信し、通信を開始する。(ステップ3)
次に、車両1が地上無線装置52と通信中に、アンテナ制御情報61の通信エリア62のID番号12に対応した通信エリア位置63の終了位置であると同時に、地上無線装置53に対応した通信エリア62のID番号13の通信エリア位置63の開始位置の2200mに一致すると、車上無線装置8のアンテナ指向方向制御部28は、記憶部24から、地上無線装置53に対応した通信エリア62のID番号13のアンテナ角度64(水平方向−23度,垂直方向0度)を取得し、可動部21に角度制御情報を出力する。可動部21は、この角度制御情報に基づいて、指向性アンテナ22が水平方向−23度および垂直方向0度を指向するように動作するとともに、地上無線装置53からの電波を受信し、通信を継続する。(ステップ4)
なお、車両1が地上無線装置53の通信可能範囲T内を走行し、地上無線装置54に継続して通信が行われる動作についても同様である。
そして、地上無線装置54からの受信電波を受けない位置、即ち車両情報管理装置27から得られる距離(キロ呈)としての走行位置情報が、アンテナ制御情報61の通信エリア62のID番号14に対応した通信エリア位置63の終了位置の2400mに一致すると、通信を終了すると共に、車上無線装置8は、地上無線装置54の通信エリア62を抜けたと判断する。(ステップ5)
この実施の形態2によれば、車両に設置される車上無線装置の記憶部に、軌道に沿って適宜設置された地上無線装置の指向性アンテナに、車上無線装置の指向性アンテナの指向方向を対向させるためのアンテナ角度を備えたアンテナ方向制御情報を保管し、このアンテナ角度に基づいて、各地上無線装置の通信エリアが重複していない場合は、前もって地上無線装置の指向性アンテナに、車上無線装置の指向性アンテナの指向方向が対向するようにし、各地上無線装置の通信エリアが重複している場合は、地上無線装置の指向性アンテナに、車上無線装置の指向性アンテナの指向方向が、途切れることなく対向するように、車上無線装置の指向性アンテナの可動部を動作させる構成にしたので、走行中においても地上無線装置の指向性アンテナと車上無線装置の指向性アンテナの指向方向が対向するようになり、良好な受信状態が得られる。そのため、実施の形態1と同様に高い通信品質を得ることが可能になる。また、実施の形態1と同様に、車上無線装置の指向性アンテナのみが動作し、地上無線装置の指向性アンテナは固定のため、車両通信システムの簡略化並びにその簡略化に伴う設置および運用の低コスト化を実現する車上無線装置を得ることができる。
なお、実施の形態1で示したように、車上無線装置は、地上無線装置の指向性アンテナに車上無線装置の指向性アンテナの指向方向を対向させた後に、地上無線装置から受信電力をモニターしながら、受信電力が最も強くなる方向に車上無線装置の指向性アンテナが向くように可動部を動作させて、車上無線装置の指向性アンテナの指向方向を修正するようにしてもよい。この場合、列車1の移動に伴って連続的に指向性アンテナの指向方向が修正される。このように構成することにより、地上無線装置の指向性アンテナと車上無線装置の指向性アンテナの指向方向が、正確に対向するようになるため、一層良好な受信状態が得られる。そのため、より高い通信品質を得ることが可能になる。
実施の形態3
実施の形態1,2では、予め記憶部に保管されたアンテナ方向制御情報に基づいて、地上無線装置の指向性アンテナに列車無線装置の指向性アンテナの指向方向が対向するようにしたが、例えば、車両故障などにより、運行中の車両の経路が変更になり、予め記憶部に保管されたアンテナ方向制御情報が使用できなくなる場合がある。この実施の形態は、このような場合に、運行中においてもアンテナ方向制御情報の更新を可能にして、変更された経路においても運行可能にするものである。以下、この実施の形態3を一実施例に基づいて説明する。
図8は、この発明の実施の形態3に係る車両無線通信システムを示す説明図であり、終着駅で二つのホームがある場合を示している
図8は、車両70の終着駅71であり、2つのホーム71a,72bを有している。車両70は、通常運行、即ち予め記憶部に保管されたアンテナ方向制御情報に基づいて運行する場合、進行方向Bから軌道72に沿って駅71のホーム71aに到着する。そしてホーム71aから折り返し出発し、軌道73に軌道変更して、進行方向Cに進行する。運転席がある車両60の両側の先頭部には、ホーム71aへの到着時に駅71に設置された地上無線装置73と無線通信するための車上無線装置74と、ホーム71aからの出発時に駅71に設置された地上無線装置75と無線通信するための車上無線装置76が設置されている。そして車上無線装置74は地上無線装置73に対して、車上無線装置76は地上無線装置75に対して、互いの指向性アンテナの指向方向が対向するように制御されている。
また図8において、車両70が到着予定にあったホーム71aが、例えば先に停車中の車両の遅れや故障などにより到着不可である場合に、車両70がホーム71bに到着した場合を示すものである。この場合においても、駅71のホーム71b側には、到着時に車上無線装置74と無線通信するための地上無線装置77と、出発時に車上無線装置76と無線通信するための地上無線装置78が設置されている。そして車上無線装置74は地上無線装置77に対して、車上無線装置76は地上無線装置78に対して、互いの指向性アンテナの指向方向が対向するように制御されている。
なお図8において、74a,76aは、それぞれ車上無線装置74,76から放射される電波の指向方向を示し、73a,75a,77a,78aは、それぞれ地上無線装置73,75,77,78から放射される電波の指向方向を示している。
図9は、この発明の実施の形態3に係る車上無線装置を含むブロック構成図である。
図9に示す車上無線装置74,76の構成において、実施の形態1の図2で示した車上無線装置8に同等または相当するものについては、同一の符号を付して説明は省略する。車上無線装置74,76の構成が、実施の形態1で示した車上無線装置8の構成と相違する点は、送受信部23に、地上無線装置からの受信データから、例えばコンテンツなどの通常のデータと、アンテナ制御情報を更新するためのアンテナ方向更新情報を分離する機能を備えて、分離されたアンテナ方向更新情報は記憶部更新部80に入力され、記憶部更新部80は、入力されたアンテナ方向更新情報により、記憶部24に保管されているアンテナ制御情報を更新するようにしたことである。
また、図10は地上無線装置から車上無線装置に送信される情報の流れを示した説明図であり、図11は地上無線装置から車上無線装置に送信されるパケットフォーマットを示した説明図である。
図11において、例えば地上無線装置73には、ネットワーク85から、例えばコンテンツなどの通常のデータと、アンテナ方向更新情報生成端末86から、車上無線装置74の記憶装置更新部80に入力されるアンテナ方向更新情報が入力される。地上無線装置73の送受信部87では、入力されるデータが通常のデータの場合は、送受信部87の拡張ヘッダA付与部87aにより、図11の(a)に示すような拡張ヘッダAをつけたフレームを生成し、また入力されるデータがアンテナ方向更新情報の場合は、送受信部87の拡張ヘッダB付与部87bにより、図11の(b)に示すような拡張ヘッダBをつけたフレームを生成し、指向性アンテナ88から車上無線装置74に送信する。車上無線装置74の送受信部23は、指向性アンテナ22で受信したフレームに、拡張ヘッダAが付与されている場合は、拡張ヘッダAを除いて通常のデータとして外部通信装置29に出力し、拡張ヘッダBが付与されている場合は、拡張ヘッダBを除いてアンテナ方向更新情報として、記憶部更新部80に出力する。なおこれは、地上無線装置75,77,78および車上無線装置75においても同様である。
図12は、車両1の駅71への到着時において、記憶部24に保管されるアンテナ制御情報の更新を示す説明図であり、(a)は更新前のものを示し、(b)は更新後のものを示している。アンテナ制御情報は実施の形態1の図3と同じリスト形式で示されるものである。
図12において、アンテナ制御情報90はリスト形式で保管され、順に通信エリア91、通信エリア位置92およびアンテナ角度93の情報で構成され、更に、通信エリア位置92は、開始位置と終了位置の情報で構成され、アンテナ角度93は水平方向と垂直方向の情報で構成されている。
通信エリア91は、各地上無線装置毎に割当てたもので、それぞれID番号が割当てられる。ここでは、地上無線装置73はID番号73に、地上無線装置77はID番号77に設定している。
通信エリア位置92は、ID番号73,77で管理された地上無線装置73,77の通信可能範囲を、開始位置および終了位置として、車両情報管理装置27が管理する走行位置情報であるキロ呈で管理している。ここでは、ID番号73,77共に開始位置が36000m、終了位置が36100mに設定している。
アンテナ角度93は、ID番号73,77で管理された地上無線装置73,77に対応して設定されるものであり、地上無線装置73,77から送信される指向性の電波に対して、車上無線装置74の指向性アンテナ22の指向方向が対向するように、指向性アンテナ22の水平方向(図2におけるR,L方向)および垂直方向(図2におけるU,D方向)の角度を設定している。ここでは、アンテナ角度93は、水平方向が、R側をプラス(+)、L側をマイナス(−)とし、垂直方向が、U側をプラス(+)、D側をマイナス(−)として、ID番号73は水平方向−15度,垂直方向0度に、ID番号77は水平方向+35度,垂直方向0度に設定している。
次に動作について、図9〜図12を参照して説明する。
まず、車両70が軌道72に沿って、進行方向Bから通常の運行経路である駅71のホーム71aに到着する場合について説明する。この場合は実施の形態1に示した動作と同じである。即ち、車両70が、通信エリア91のID番号73に進入するまでには、図8(a)に示す、車両70の車上無線装置74の記憶部24に予め保管されているアンテナ方向制御情報34により、車上無線装置64のアンテナ22の指向方向が制御される。
次に、車両70が通信エリア91のID番号73に進入すると、地上無線装置73の指向性アンテナから送信される電波を車上無線装置74の指向性アンテナ22で受信し、送受信部23から得られる受信電力をアンテナ指向方向制御部28でモニターする。アンテナ指向方向制御部28は、モニター中の受信電力が最も強くなるように、例えばS/N比が最も大きくなるように、可動部21を動作させて、車上無線装置8の指向性アンテナ22の指向方向を修正する。これにより、車上無線装置8の指向性アンテナ22と地上無線装置9の指向性アンテナの指向方向は正確に対向する。
そして車上無線装置74の指向性アンテナ22と地上無線装置73の指向性アンテナの指向方向が正確に対向した状態で、地上無線装置73と車上無線装置74の間で無線通信を行う。
また車両70が、終着駅71で折り返す場合は、駅71が始発駅となる。そのため車両70の車上無線装置76の記憶部24には、新たに運行する路線のアンテナ方向制御情報が、入力端末25から記憶部更新部80を介して入力され保管される。
次に車上無線装置76のアンテナ指向方向制御部28は、記憶部24から、地上無線装置75に対応した通信エリアのID番号のアンテナ角度を取得し、可動部21に角度制御情報を出力する。可動部21は、この角度制御情報に基づいて、指向性アンテナ22が設定された水平方向および垂直方向の角度を指向するように動作する。これにより、地上無線装置75のアンテナと車上無線装置76のアンテナ22の指向方向は対向し、無線通信が可能になる。
そして地上無線装置75の指向性アンテナから送信される電波を車上無線装置76の指向性アンテナ22で受信し、送受信部23から得られる受信電力をアンテナ指向方向制御部28でモニターする。アンテナ指向方向制御部28は、モニター中の受信電力が最も強くなるように、例えばS/N比が最も大きくなるように、可動部21を動作させて、車上無線装置76の指向性アンテナ22の指向方向を修正する。これにより、車上無線装置76の指向性アンテナ22と地上無線装置75の指向性アンテナの指向方向は正確に対向する。
そして車上無線装置76の指向性アンテナ22と地上無線装置75の指向性アンテナの指向方向が正確に対向した状態で、地上無線装置75と車上無線装置76の間で無線通信を行う。
以上示したような、通常の経路を運行する場合の車上無線装置74および76の動作は、実施の形態1で示した動作と同等である。
次に、車両70が当初の到着予定であった駅71のホーム61aではなく、ホーム71bに到着する場合について説明する。
まず車両70は、通信エリア91のID番号77に進入するまでに、例えば、終着駅71の前の駅に停車中に、地上無線装置から、駅71に対応した通信エリア91のアンテナ制御情報90の情報を更新するためのアンテナ方向更新情報を、車上無線装置74で受信する。このアンテナ方向更新情報は、図10に示すようにアンテナ方向更新情報生成端末86から地上無線装置の送受信部87に入力され、送受信部87の拡張ヘッダB付与部87bにおいて、図11に示すように拡張ヘッダBが付与されたフレームとなっている。車上無線装置74は、指向性アンテナ22で拡張ヘッダBが付与されたフレームであるアンテナ方向更新情報を受信する。車上無線装置74の送受信部23は、受信したデータに拡張ヘッダBが付与されていることを検出し、このデータがアンテナ方向更新情報であることを認識して、このアンテナ方向更新情報を記憶装置更新部80に出力する。記憶装置更新部80は、このアンテナ方向更新情報に基づいて、図8(b)に示すように、記憶部24に保管されているアンテナ制御情報90を更新する。図8(a)(b)では、地上無線装置73に対応した通信エリア91のID番号73のアンテナ角度93(水平方向−15度,垂直方向0度)が、地上無線装置77に対応した通信エリア91のID番号77のアンテナ角度93(水平方向+35度,垂直方向0度)に更新されている。
そして車両70が、通信エリア91のID番号77に進入するまでに、図8(b)に示す、記憶部24に更新されて保管されたアンテナ方向制御情報34の通信エリア91のID番号77に対応したアンテナ角度93(水平方向+35度,垂直方向0度)になるように、車上無線装置74のアンテナ22の指向方向が制御される。これにより、地上無線装置77のアンテナの指向性と車上無線装置74のアンテナ22の指向方向は対向し、無線通信が可能になる。
車両70が、ID番号77の通信エリア91に進入すると、地上無線装置77の指向性アンテナから送信される電波を車上無線装置74の指向性アンテナ22で受信し、送受信部23から得られる受信電力をアンテナ指向方向制御部28でモニターする。アンテナ指向方向制御部28は、モニター中の受信電力が最も強くなるように、例えばS/N比が最も大きくなるように、可動部21を動作させて、車上無線装置74の指向性アンテナ22の指向方向を修正する。これにより、車上無線装置74の指向性アンテナ22と地上無線装置77の指向性アンテナの指向方向は正確に対向する。
そして車上無線装置74の指向性アンテナ22と地上無線装置77の指向性アンテナの指向方向が正確に対向した状態で、地上無線装置77と車上無線装置74の間で無線通信を行う。
また車両70が、終着駅71で折り返す場合は、駅71が始発駅となる。そのため車両70の車上無線装置76の記憶部24には、新たに運行する路線のアンテナ方向制御情報が、入力端末25から記憶部更新部80を介して入力され保管される。
次に車上無線装置76のアンテナ指向方向制御部28は、記憶部24から、地上無線装置78に対応した通信エリアのID番号のアンテナ角度を取得し、可動部21に角度制御情報を出力する。可動部21は、この角度制御情報に基づいて、指向性アンテナ22が設定された水平方向および垂直方向の角度を指向するように動作する。これにより、地上無線装置78のアンテナと車上無線装置76のアンテナ22の指向方向は対向し、無線通信が可能になる。
そして地上無線装置78の指向性アンテナから送信される電波を車上無線装置76の指向性アンテナ22で受信し、送受信部23から得られる受信電力をアンテナ指向方向制御部28でモニターする。アンテナ指向方向制御部28は、モニター中の受信電力が最も強くなるように、例えばS/N比が最も大きくなるように、可動部21を動作させて、車上無線装置76の指向性アンテナ22の指向方向を修正する。これにより、車上無線装置76の指向性アンテナ22と地上無線装置78の指向性アンテナの指向方向は正確に対向する。
そして車上無線装置76の指向性アンテナ22と地上無線装置78の指向性アンテナの指向方向が正確に対向した状態で、地上無線装置78と車上無線装置76の間で無線通信を行う。
この実施の形態3によれば、アンテナ方向制御情報を、地上無線装置から車上無線装置に送信するアンテナ方向更新情報により更新可能にしたので、実施の形態1および2の効果に加えて、運行中の運行経路の変更があった場合でも、迅速な対応が可能になり、円滑な運行が可能となる効果を奏する。
なお実施の形態3では、車両70が終着駅である駅71で折り返す形態のものを示しているが、特に終着駅に限定する必要はなく、列車が停車するホームが複数有る駅であれば、運行途中の駅においても当然適用可能なものである。
また実施の形態3では、車上無線装置76のアンテナ制御情報は、折り返し時に入力端末25から入力するものとしたが、アンテナ方向更新情報により車上無線装置76の記憶部24に保管することも可能であり、この場合、より円滑な運行が可能となる。
なお以上の説明では、駅やアンテナ方向制御情報に記載の数値として、具体的な数値を用いて説明しているが、これはあくまで説明の便宜のために行うものであり、特に数値を限定するものではない。これらの数値は、実際の状況に合わせて適宜設定されるものである。
実施の形態4
実施の形態3によれば、駅に設置された地上無線装置から車両に設けられた車上無線装置にアンテナ方向更新情報を送信して、車上無線装置の記憶部に予め保管されているアンテナ方向制御情報を更新するものを示したが、この更新を、図8に示すように、駅71に設置された無指向性アンテナ100と車両70に搭載された無指向性アンテナ101の間で行ってもよい。
更新動作としては、図9に示すように、無指向性アンテナ100から送信され、無指向性アンテナ101で受信したアンテナ方向更新情報は、送受信部102を介して記憶部更新部80に入力され、この記憶部更新部80のアンテナ方向更新情報に基づいて、記憶部24に予め保管されていたアンテナ制御情報90を更新する。その他の動作については、実施の形態3で示した動作と同様である。
この実施の形態4によれば、アンテナ制御情報を、駅に設置された無指向性アンテナから車両に搭載された無指向性アンテナに送信するアンテナ方向更新情報に基づいて更新可能にしたので、実施の形態3と同等の効果に加えて、例えば終着駅に停車中の時においても更新可能となるため、より円滑な運行が可能となる。
なお以上の説明では、駅やアンテナ方向制御情報に記載の数値として、具体的な数値を用いて説明しているが、これはあくまで説明の便宜のために行うものであり、特に数値を限定するものではない。これらの数値は、実際の状況に合わせて適宜設定されるものである。
なお実施の形態1〜4では、車上無線装置の指向性アンテナの指向方向を制御するのに、指向性アンテナを可動部に載せて、可動部を動作させて指向性アンテナの指向方向を変えるものを示したが、要は地上無線装置のアンテナの指向方向に対して、車上無線装置のアンテナの指向方向が対向するように制御可能であればよく、例えば、アンテナ自体を動作させず指向方向の制御が可能なフェーズドアレイアンテナを用いることも可能である。この場合、指向性アンテナの指向方向を制御するために、指向性アンテナ自体を動作させる必要が無く、アンテナ指向方向制御部からの角度制御情報に基づいて指向方向を変えることが可能になるため、可動部が不要となり、車上無線装置が一層簡略化出来る効果がある。