JP4833692B2 - 銅箔、銅箔の製造方法および前記銅箔を用いた積層回路基板 - Google Patents
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Description
また、スルーホールめっき法による積層回路基板では、スルーホールの直上には回路部品を実装できず、配線の自由度が低い欠点もある。
更に現代では、さらなる工程の短縮などの要求から、一括プレスによる積層回路基板の製造方法も開発されており、この製造方法においても導電性ペーストが用いられている。
積層回路基板の層間接続に用いられる導電性ペーストは銀ペースト、銅ペーストを主成分とし、製造工程の安定性向上及び時間短縮のために、該主成分に低融点金属を含有させ多層配線用基板を形成するプレス温度に近い温度で軟化し配線層と圧着させやすい状態にしている。
上記、銀ペースト、銅ペーストに添加する低融点金属は導電率、積層回路基板を形成する時のプレス温度を考慮に入れて低融点金属の種類、量を決めている。
また、本発明は前記銅箔を使用した積層回路基板において、銅箔と低融点金属を含む導電性ペーストとの界面にボイドや亀裂が発生せず、接続信頼性の高い積層回路基板を提供することを目的とする。
また、本発明は前記銅箔を使用した積層回路基板においては、銅箔と低融点金属を含む導電性ペーストとの界面にボイドや亀裂が発生せず、接続信頼性の高い積層回路基板を提供することができる、優れた効果を有する。
本発明で用いる元箔表面に突起物群を設けた銅箔(以下表面処理銅箔ということがある)は、絶縁基板であるエポキシ樹脂フィルム、ポリイミドフィルム、吸湿性が著しく低いために誘電特性の変化が少なく半田付けに耐えられる耐熱性を有する液晶ポリマーフィルム、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂フィルム等と張り合わせた際、密着強度が大きく、ファインパターン化が可能で、銅箔と低融点金属含有導電性ペーストとの界面においてボイドや亀裂が発生するようなことのない銅箔である。
なわち、本発明の銅箔は、突起物群の形成において、200面の成長を減少させ、111面の成長を優先させることにより、突起物群(主成分である銅)と導電性ペースト(主として低融点金属)との相互拡散の速度差を小さくした。
このように、111面と200面の積分強度比率(111面/200面)を大きくすることによって、ボイド発生を防止した。特に、111面/200面の積分強度比率が3以上であればボイド抑制効果が大きくなり、望ましくは、4以上、さらに望ましくは、5以上とすることが好ましい。
200面の成長を抑制し、111面を成長させるために、めっき浴に含まれる添加剤、銅濃度、めっき条件(電流密度、浴温)を後述するように適正化した。
特に、突起物群の配向性を制御するには、めっき液中の銅濃度、添加物を適正に選定することが有効であることを突き止めた。一般に用いられる硫酸銅めっき液を用いる場合、銅の金属濃度30g/L以下、かつ、過硫酸塩を0.1g/L以上20g/L以下添加すると、200面の成長を抑制し、111面の成長を促す効果が大きいことを見出した。過硫酸塩は、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、あるいは、過硫酸アンモニウムが好適である。
銅箔の厚さは、厚さが1μm以下の場合はその銅箔の表面上に突起物群を形成することが非常に難しく、また、実用性を考慮すると、例えば高周波プリント配線板用に使用する銅箔としては、200μm以上の箔は現実的でないと考えられるためである。
銅箔に柔軟性を付与するためには粒状晶で構成されている銅箔が好ましい。特に、粒状結晶のサイズは平均0.3μm以上が好ましく、1μm以上の結晶サイズのものが銅箔断面の10%以上を占めているものが特に好ましい。
測定条件は、CuKα線を用い、入射角1°、電圧40kV、電流70mAとした。一般に、入射角1度でのX線の浸透深さは、次式によって求められる。
浸透深さ*=3sinθ/μ/(1/sin(1°)・sinθ+1)
=3sinθ/μ/(57.3sinθ+1)
θ:反射角(試料面と計数管との角度)
μ:線級数係数
浸透深さ:X線の95%を吸収する厚さを浸透深さとした。
(参考文献: カリティ X線回折要論 松村源太郎訳 (株)アグネ出版、の9−5章X線浸透深さ)
従って、2θが30度から90度でのX線の浸透深さは、0.2から0.6μm程度であり、突起物群の層のみの結晶方位の測定が可能である。
<元箔1>
厚さ:12μmで、マット面粗度:Rz=0.86μmの未処理電解銅箔、及び未処理圧延銅箔(元箔)を用意した。
<元箔2>
厚さ:12μmで、マット面粗度:Rz=1.24μmの未処理電解銅箔を用意した。
<元箔3>
厚さ:12μmで、マット面粗度:Rz=1.56μmの未処理電解銅箔を用意した。
電気めっきA
・めっき浴1
硫酸銅(Cu金属として) 1〜10g/L
硫酸 30〜100g/L
モリブデン酸アンモニウム(Mo金属として) 0.1〜5.0g/L
過硫酸ナトリウム 1〜10g/L
電流密度 10〜60A/dm2
通電時間 1秒〜20秒
浴温 20〜60℃
硫酸銅(Cu金属として) 20〜70g/L
硫酸 30〜100g/L、
電流密度 5〜45A/dm2
通電時間 1秒〜25秒
浴温 20℃〜60℃
・めっき浴1
硫酸銅(Cu金属として) 10〜20g/L
硫酸ニッケル(Ni金属として) 3〜25g/L
メタパナジン酸アンモニウム(V金属として) 0.1〜15g/L
過硫酸カリウム 10g〜20g/L
pH 1.0〜4.5
電流密度 10〜60A/dm2
通電時間 5秒〜20秒
浴温 20℃〜60℃
硫酸銅(Cu金属として) 10〜70g/L
硫酸 30〜120g/L
電流密度 20〜50A/dm2、
通電時間 5秒〜25秒
浴温 20℃〜65℃
・めっき浴1
硫酸銅(Cu金属として) 20〜30/L、
硫酸コバルト(Co金属として) 1〜50g/L
モリブデン酸アンモニウム(Mo金属として) 0.1〜10g/L
過硫酸アンモニウム 10g〜20g/L
pH 0.5〜4.0
電流密度 10〜60A/dm2
通電時間 5秒〜25秒
浴温 20℃〜60℃
硫酸銅(Cu金属として) 10〜70g/L
硫酸 30〜120g/L
電流密度 5〜60A/dm2
通電時間 1秒〜20秒
浴温 20℃〜65℃
上記原箔1〜3を下記電気めっきD〜Gの浴組成、めっき条件(浴温度・電流条件)にてめっき浴3→めっき浴4の順番で少なくとも1回のめっき(突起物群の形成)を行い、表1に示す表面形状の突起物群製膜し、更に、その処理面に、Niめっき(0.3mg/dm2)亜鉛めっき(0.1mg/dm2)を施し、その上にクロメート処理を施した。
・めっき浴3
硫酸銅(Cu金属として) 1〜10g/L
硫酸 30〜100g/L
モリブデン酸アンモニウム(Mo金属として) 0.1〜5.0g/L
電流密度 10〜60A/dm2
通電時間 1秒〜20秒
浴温 20〜60℃
硫酸銅(Cu金属として) 20〜70g/L
硫酸 30〜100g/L、
電流密度 5〜45A/dm2
通電時間 1秒〜25秒
浴温 20℃〜60℃
・めっき浴3
硫酸銅(Cu金属として) 30〜50g/L
硫酸ニッケル(Ni金属として) 3〜25g/L
メタパナジン酸アンモニウム(V金属として) 0.1〜15g/L
過硫酸カリウム 10〜20g/L
pH 1.0〜4.5
電流密度 10〜60A/dm2
通電時間 1秒〜20秒
浴温 20℃〜60℃
硫酸銅(Cu金属として) 10〜70g/L
硫酸 30〜120g/L
電流密度 20〜50A/dm2、
通電時間 1秒〜25秒
浴温 20℃〜65℃
・めっき浴3
硫酸銅(Cu金属として) 20〜30/L
硫酸コバルト(Co金属として) 1〜50g/L
モリブデン酸アンモニウム(Mo金属として) 0.1〜10g/L
過硫酸アンモニウム 20〜30g/L
pH 0.5〜4.0
電流密度 10〜60A/dm2
通電時間 1秒〜25秒
浴温 20℃〜60℃
硫酸銅(Cu金属として) 10〜70g/L
硫酸 30〜120g/L
電流密度 5〜60A/dm2
通電時間 1秒〜20秒
浴温 20℃〜65℃
・めっき浴3
硫酸銅(Cu金属として) 40〜50g/L
硫酸 30〜100g/L
モリブデン酸アンモニウム(Mo金属として) 0.1〜5.0g/L
過硫酸ナトリウム 25〜35g/L
電流密度 10〜60A/dm2
通電時間 1秒〜20秒
浴温 20〜60℃
硫酸銅(Cu金属として) 20〜70g/L
硫酸 30〜100g/L、
電流密度 5〜45A/dm2
通電時間 1秒〜25秒
浴温 20℃〜60℃
突起物群の結晶配向性は、前述した薄膜X線回折法により、リガクGeigerflex RAD・B装置を用い、加速電圧40kV、70mA、入射角度1度の条件で測定を行った。それぞれの条件で形成した突起物群の結晶配向性を調べた。
実施例及び比較例で作成した銅箔に、熱可塑性樹脂として、液晶ポリマーフィルム、および、ポリエーテルエーテルケトンフィルムを下記ラミネート方法で貼り付け、ピール強度を測定した。
銅箔とフィルム1を積層し、280℃で一定圧力をかけ、10分間保持した後冷却し、基板用複合材とした。
・ポリエーテルエーテルケトンフィルムと表面処理銅箔のラミネート方法
銅箔とフィルム2を積層し、205℃で一定圧力をかけ、10分間保持した後冷却し、基板用複合材とした。
導電性ペーストと銅箔界面におけるボイド発生の確認は次のように実施した。
熱可塑性樹脂の表面に、50μm厚になるように導電性ペーストを塗布した。導電性ペーストは、平均粒径5μmの錫粒子と平均粒径1μmの銀粒子各300gに、有機溶剤であるテルピネオール60gを添加し、ミキサーによって混練しペースト化した。この導電性ペーストを熱可塑性樹脂に塗布後、140℃〜160℃にてテルピネオールを気散させた。次に、銅箔を導電性ペースト面に2〜10MPaの圧力で押しつけながら、320℃にて加熱処理を行い、金属粒子を焼結一体化し、銅箔との接合をおこなった。その後、導電性ペーストと銅箔との断面を観察し、ボイド及び亀裂の発生状況を確認した。結果を表1に示す。
一方、本発明とほぼ同じ突起物付着量を形成した比較例1〜12においては、ピール強度は0.3〜0.8kN/mであるが、界面にボイドが多く発生し、半数近くに亀裂が見られた。比較例13〜17においては、突起物付着量を1.0ミクロン以下と小さくしたためボイド発生は低減したが、ピール強度が0.3kN/m以下であり、実用に適さなかった。
Claims (5)
- 銅、または、銅合金からなる元箔表面に、銅を主成分とする突起物群を電気めっき法で形成してなる銅箔において、前記突起物群の結晶方位が、X線回折法により測定した111面がもっとも多く、前記突起物群の111面と200面との結晶方位の積分強度比率(111面/200面)が3以上であることを特徴とする銅箔。
- 前記突起物群を含む銅箔の表面粗さが十点平均高さ(Rz)で0.5μmから4μmであることを特徴とする請求項1に記載の銅箔。
- 銅、または、銅合金からなる元箔表面に、結晶方位が、X線回折法により測定した111面がもっとも多く、111面と200面との結晶方位の積分強度比率(111面/200面)が3以上である突起物群を設けた銅箔の製造方法であって、前記突起物群を銅の金属濃度30g/L以下、かつ、過硫酸塩を0.1g/L以上20g/L以下の比率で添加した硫酸銅めっき液を用いて、電気めっき法にて析出させることを特徴とする銅箔の製造方法。
- 請求項1または2に記載の銅箔を、樹脂基板に穿設した貫通孔に低融点金属を含有する導電性ペーストを充填した基板に積層したことを特徴とする積層回路基板。
- 請求項3に記載の製造方法で製造された銅箔を、樹脂基板に穿設した貫通孔に低融点金属を含有する導電性ペーストを充填した基板に積層したことを特徴とする積層回路基板。
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