JP4833139B2 - 光コネクタ - Google Patents
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しかしながら、屈折率整合剤は温度によって性状が変化するため、環境条件によっては、使用は難しくなることがある。このため、屈折率整合剤を使用せず、光ファイバどうしをPC接続(PC:physical contact)する接続方法が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
PC接続における接続損失を小さくするには、十分な力で光ファイバを互いに突き当てることが必要となる。
特許文献2には、2本の光ファイバを突き合わせたときの、突き当て方向の光ファイバの縮み量がある程度大きいと、損失が小さくなることが示されている。
また、通常、成端するべき光ファイバは、光ファイバカッターによってクリーブされ、その端部に前記光コネクタが組み立てられるが、その端面は光軸方向に垂直な面に対し傾斜する場合があり、これが接続損失の原因となることがあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、長期間にわたって安定的な接続を実現できる光コネクタを提供することを目的とする。
また、前記光ファイバの突き当て力を低くするので、接続端面の劣化等を原因とする安定性の低下を防ぎ、長期間にわたって安定的な接続が可能となる。また、突き当て力を得るための構造を簡略にできる。
図1は、本発明の第1実施形態である光コネクタ60を示す側断面図である。図2は、光コネクタ60の外観を示す側面図である。図3は、光コネクタ60に用いられている接続機構付きフェルール1Aを示す側断面図である。図4は、図1に符号A1で示す光ファイバ接続部分を拡大した図である。図5は、可動受け片20および引留カバー40を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は平面図である。図6は、引留部品30を示す正面図である。図7および図8は、光コネクタ60の引留部品30のクランプ体22を示す断面図である。図10〜図13は、光コネクタ60の組み立て過程を示す工程図である。
以下の説明において、図1における左方、すなわちフェルール1の先端方向を前方といい、右方を後方ということがある。
コネクタ本体10は、接続機構付きフェルール1Aと、接続機構付きフェルール1Aの外側に装着されるプラグフレーム3と、プラグフレーム3に取り付けられたストップリング4と、ストップリング4内に設けられた付勢手段5とを備えている。
ストップリング4は、接続機構2を収納するスリーブ状に形成され、プラグフレーム3の後端に取り付けられている。
付勢手段5は、ストップリング4に反力をとって接続機構2を前方に押圧することで、接続機構付きフェルール1Aを前方に付勢するものであり、この光コネクタ60を他の光コネクタに接続するときにフェルール1に、相手側の光コネクタとの間の突き合わせ力を与える。付勢手段5としては、例えばコイルスプリングが使用できる。
フェルール1には、中心軸線に沿って光ファイバ導入孔1b(微細孔)が形成され、この光ファイバ導入孔1b内には、内蔵光ファイバ6(光ファイバ裸線など)が挿入され固定されている。内蔵光ファイバ6の先端は、フェルール1の先端面1aに露出され、後端はフェルール1の後端から突出し、接続機構2内に挿入されている。
フェルール1は、例えば、ジルコニア等のセラミックや、ガラスで形成されている。これらの材料は使用環境に応じて選択使用され、高温環境(例えば100℃以上)で用いる場合にはガラスが好適に用いられる。
フェルール1の後端部には、後端面から光ファイバ導入孔1bに向かって徐々に径が小さくなるテーパー状の孔部である導入部1dが形成されている。
先端部13aは、例えば光ファイバ心線、光ファイバ素線などの被覆13b付き光ファイバである光ファイバ13から口出しされた光ファイバであり、例えば光ファイバ裸線である。
フランジ部7aは、外筒体7の外面から径方向外方に環状に突出して形成され、外面には、平坦部7b、7bが形成されている。外筒体7は、金属、プラスチックなどで構成することができる。
外筒体7には、接着剤導入用の接着剤導入穴7cが形成されている。接着剤導入穴7cは、第1キャピラリ8に相当する位置に形成するのが好ましい。
第1キャピラリ8は、略円筒状に形成され、中心軸線に沿って、光ファイバ調心孔8aが形成されている。光ファイバ調心孔8aは、光ファイバ6、13を挿脱自在に挿入することができる。光ファイバ調心孔8aは、内蔵光ファイバ6と、光ファイバ13の先端部13aとを位置決めする調心機構として機能し、光ファイバ6、13を突き合わせ接続可能に形成されている。光ファイバ調心孔8aは、光ファイバ裸線よりやや径が大きいが、光ファイバ6、13を接続したときに、光ファイバ6のコアと光ファイバ13のコアとが一致するように形成されている。
第1キャピラリ8の前端部には、前端面から光ファイバ調心孔8aに向かって徐々に径が小さくなる孔部である導入部8bが形成されている。第1キャピラリ8の後端部には、後端面から光ファイバ調心孔8aに向かって徐々に径が小さくなる孔部である導入部8cが形成されている。
光ファイバ挿通孔9dは、第2キャピラリ9の前端部の端面から後方に延びる案内孔9aと、案内孔9aから後方に延びる導入孔9bと、導入孔9bから後方に延びて第2キャピラリ9の後端部端面に達する定径部9cとを有する。
導入孔9bは、光ファイバ13を案内孔9aに導くものであり、第2キャピラリ9の後端から案内孔9aに向かって徐々に内径が小さくなるように形成されており、前端の内径は案内孔9aの内径にほぼ等しくするのが好ましい。
定径部9cの内径は、ほぼ一定とされ、導入孔9bの最大径にほぼ等しいことが好ましい。
端面6bは、アーク放電などにより溶融させることにより球面状とすることができる。具体的には、光ファイバカッタにより切断された光ファイバの後端部6aをアーク放電などで加熱し溶融させることにより、端面6bを球面状とすることができる。
端面6bは、光ファイバに加えられる熱量に応じた形状となる。熱量が小さければ一部のみが球面状となった端面6bが得られ、熱量が大きければ全面が球面状となった端面6bが得られる。熱量が過剰に大きいと、光ファイバ6より径が大きい球状部分が形成されるため、アーク放電のパワーと処理時間を調節する必要がある。
端面6bをこの形状とすることによって、この端面6bと光ファイバ13の先端面13cとを密着させ、PC接続(PC:physical contact)することができる。
PC接続の採用により、屈折率整合剤が不要となり、接続作業が容易となる。また、気泡やダストの混入による接続損失も防止できる。
なお、端面6bは、光ファイバ13の先端面13cとの接続部分を含む一部のみが球面状であってもよいし、全面が球面状であってもよい。
曲率半径をこの範囲とすることによって、光ファイバ13の先端面13cの傾斜角度が大きい場合でも、接続損失を低く抑えることができる。
曲率半径がこの範囲未満である場合には、接続損失が大きくなってしまう。また、曲率半径がこの範囲を越えると、光ファイバ13の先端面13cの傾斜角度が大きい場合に、接続損失が大きくなる。
光ファイバ13の先端面13cは、光ファイバカッターによって光ファイバ13がクリーブされて形成された切断面(劈開面)である。通常、光ファイバカッターによるクリーブでは、切断面が光軸方向に垂直な面に対し傾斜することがあり、傾斜角度は最大で0.9°程度となる。
突き当て力がこの範囲を越えると、接続の長期安定性が劣化することがある。また、後述するように、光ファイバ13をたわませて突き当て力を得る構造を採用する場合には、上記範囲を越える突き当て力を得ることができる程度のたわみを光ファイバ13に与えると、曲げ損失が発生するおそれがある。
この図は、前記傾斜角度を0.9°として、光ファイバ6、13のPC接続を試みた場合に、端面6bの曲率半径が光ファイバ6、13の接続に及ぼす影響を示すものである。図中の曲線から上の領域では、光ファイバ6、13はPC接続されることになる。
このシミュレーションでは、接続損失がほとんどなく、良好な光接続がなされた場合をPC接続が可能であったと認定した。
図9より、前記突き当て力が0.2Nであるときには、端面6bの曲率半径を0.05〜0.46mmとすると、PC接続が実現できることがわかる。
この図より、端面6bの曲率半径をこの範囲とすることによって、光ファイバ13の先端面13cの傾斜角度が大きい場合でも、PC接続が可能となることがわかる。
光ファイバ6、13としては、汎用の石英系光ファイバを使用できるが、種類は特に限定されない。
図示例では、ツマミ(カップリング)(図示略)を外した状態(いわゆるSC2形の状態)を示しており、ツマミを外側に装着することによって、SC形光コネクタとすることができる(SC:Single fiber Coupling optical fiber connector。JIS C 5973に制定されるF04形光コネクタ(光コネクタプラグ)など)。
図1および図5に示すように、可動受け片20は細長板状の部材である。可動受け片20は、ストップリング4の後端部に取付けられた後端ブロック部11を前後に貫通する案内孔14に挿入されており、光コネクタ60の前後方向に沿ってスライド移動できる。
可動受け片20は、このスライド移動によって、コネクタ本体10から後方への突出長さが可変になっている。
ジャケット21は、底板部23と、その側縁から上方に延びる側板部24、24と、天板部25とを備えた断面矩形の筒状とされている。ジャケット21の底板部23には、前後に貫通する収納孔28が形成されている。
ジャケット21は、収納孔28に挿入された可動受け片20の後端部に取り付けられている。
引留部品30は、収納孔28に可動受け片20を差し込んだ状態で、可動受け片20の長手方向に沿ってスライド移動する。
引留カバー40は、後端ブロック部11を介してコネクタ本体10のストップリング4に取り付けられている。具体的には、引留カバー40は、両側板32の長手方向一端部に形成された軸孔33に、後端ブロック部11に形成された枢軸11aが嵌め込まれることによって、後端ブロック部11に取り付けられている。
引留カバー40は、枢軸11aを中心として回動できるようになっている。
すなわち、引留カバー40は、可動受け片20上に被せた位置(図1、図2参照。閉位置)と、この閉位置から上方に回転して可動受け片20に対して開いた位置(可動受け片20に対して垂直に立てた状態。図11、図12参照。開位置)とを、回動によって切り替えることができる。
図12、図13に示すように、可動受け片20に形成された当接突起12が、ストップリング4後端(具体的には、後端ブロック部11)に後から当接すると、引留部品30のそれ以上の前方移動が規制される(この引留部品30の位置を移動限界位置という)。
光ファイバ13の先端部13aは、案内孔9aを経て第1キャピラリ8の光ファイバ調心孔8aに導入され、内蔵光ファイバ6と突き合わせ接続される。
光ファイバ13の被覆13bの一部は、案内孔9aに挿入され、収納される。
この閉位置では、引留カバー40の長手方向他端部、すなわち、枢軸11aから最も遠い端部に形成されている引留用突起34が、引留部品30の後端側に配置される。この引留用突起34は、引留部品30の後方への移動を規制するストッパとして機能する(図5(b)を参照)。
このため、引留カバー40は、引留部品30および光ファイバ13を引き留めて、後方への移動を規制する引留手段として機能する。
なお、引留機構の構成は、光ファイバ13の後方移動を規制する引留手段として機能するものであれば、図示例に限定されない。また、本発明の光コネクタは、引留手段を備えていない構成も可能である。
第2キャピラリ9の案内孔9aに光ファイバ13の被覆13bが挿入されることによって、先端部13aの位置および方向が安定し、光ファイバ13と内蔵光ファイバ6の接続が安定的に維持される。また、被覆13bが案内孔9aに挿入されることにより中心軸方向に向けられているため、たわみによる前方への付勢力が確実に先端部13aに伝えられ、光ファイバ13と内蔵光ファイバ6の接続が安定化する。
Claims (1)
- フェルール(1)に内挿固定された内蔵光ファイバ(6)の後端部(6a)が、別の光ファイバ(13)の先端部(13a)に屈折率整合剤を用いずに突き合わせてPC接続される光コネクタであって、
前記フェルールを備えたコネクタ本体(10)と、前記別の光ファイバを保持する引留部品(30)と、前記コネクタ本体に取り付けられ、前記引留部品を引き留め可能な引留手段(40)とを備え、
前記内蔵光ファイバの後端部の端面(6b)が、球面状に形成され、
前記別の光ファイバの先端面(13c)が、光ファイバカッターによるクリーブにより得られた略平坦面であり、この先端面の、光軸方向に垂直な面に対する傾斜角度が0.9°以下であり、かつ前記内蔵光ファイバに対する突き当て力が0.2N以下であり、
前記内蔵光ファイバの後端部の端面(6b)の曲率半径は、0.05〜0.46mmである光コネクタ(60)。
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