JP4832341B2 - 印刷版製造方法 - Google Patents
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例えば、印刷法の中で特にインクジェット法は下地層へのダメージがなく、所定の場所に所定量の導電性インク等の機能性インクを描画することが可能であり、カラーフィルターなどで実用化が進みつつある。反面、高精細になると描画時間の増大、微細ノズルの詰りなどの問題がある。
また、樹脂モールドを使用する印刷版の製造方法としては下記技術が公開されている(特許文献4参照)。この手法では、まず、紫外線を透過する基板上に紫外線に対して不透明な材料をパターニング後、ネガ型の感光性樹脂を積層し透明基材側から露光、現像を行うことにより樹脂モールドを作成する。次にこの樹脂モールドに硬化性シリコンゴムを充填、硬化し、剥離することにより印刷版を作成する。
容易に得られるものの、モールドの製造が極めて高コストであり、作成できる面積が限られていること、深さの異なる形状の組合せが困難なことなど実用化にはまだ多くの課題が残されている。
また、樹脂モールドを使用する上記印刷版の製造方法(特許文献4参照)では、印刷版凸部の形状付与方法として感光性黒色ガラスペーストの曲面形状を利用しているため、高精細で任意の形状を付与することは困難である。
つまり、上述した方法では、凸版印刷版において、凸部に任意の形状を高精細に付与することのできる印刷版を安定に製造することができなかった。
[1]1.紫外線を透過する基板(1)上に、樹脂モールドを形成するためのネガ型感光性樹脂層(3)を形成し、
2.前記ネガ型感光性樹脂層(3)上に、フォトマスク(4)を配置した後、フォトマスク(4)側から露光し、その後フォトマスク(4)を取り外した後、現像を行い、該基板上に硬化したネガ型感光性樹脂の凸状体が配置された樹脂モールド前駆体(3’)を製造し、
3.更に、前記樹脂モールド前駆体(3’)の該凸状体の表面を紫外線透過性の低い色材で被覆して樹脂モールドを製造する工程と、
4.引き続き、前記樹脂モールド(3’’)の凸状体が配置されている側に、印刷版を形成するためのネガ型感光性樹脂層(5)およびその上に、拡散反射板(6)を配置し、
5.前記基板(1)側から、露光した後、樹脂モールド(3’’)を取り外して製造する工程とを、経て製造されることを特徴とする
ネガ型感光性樹脂(5)が硬化してなる印刷版(5’)の製造方法。
[2] 紫外線透過方向から見た前記フォトマスク(4)の紫外線透過部の形状が、円状または多角形状であることを特徴とする[1]に記載の印刷版(5’)の製造方法。
さらに、印刷パターンの形状変更、インク塗布量制御のための凸部表面に形成する複数の微細凹部の形状の仕様変更に対しては、フォトマスクの設計変更により簡便に対応することができ、設計の自由度が広がる。
[樹脂モールド用のネガ型感光性樹脂層の製造工程]
図1は、本発明の樹脂モールド前駆体を製造する工程における露光工程を示す模式図である。以下、図1を用いて説明する。
本工程は、紫外線を透過する基板1に、ネガ型感光性樹脂層3を塗布形成する工程である。その際、基板1上に、接着剤を塗布することで、接着層2を形成し、該接着層表面にネガ型感光性樹脂3を塗布することで、基板とネガ型感光性樹脂との接着性を高めることができる。
ネガ型感光性樹脂は、通常市販の液状樹脂、固体樹脂が利用できる。高精細な凸部表面の微細凹部形状を作成する場合は半導体領域等で使用されるリソグラフィー用高感度・高解像フォトレジスト、深い表面形状を作成する場合はMEMS領域等で使用されるメッキ用高アスペクト厚膜フォトレジスト等を使用すればよい。感光性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル系、ゴム系などを使用することができる。
接着剤としては、市販の接着剤、例えばゴム系、ポリエステル系、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系、シラン系などの接着剤を用いることができる。接着剤の塗布には、例えば、スピンコート等の一般的な塗布方法を用いることができる。カップリング剤によるアンカー処理を施してもよい。
図2は、本発明における現像後の樹脂モールド前駆体3’を示す模式図である。以下、図1、図2を用いて説明する。
本工程は、前工程で作成したネガ型感光性樹脂層3(図1)の上にフォトマスク4(図1)を配置し、図1中の矢印方向から露光を行い、その後現像を行うことで、基板1上に硬化したネガ型感光性樹脂の凸状体が配置された樹脂モールドの前駆体3’を製造する工程である。この際、ネガ感光性樹脂層3に付与する形状が光透過部となるようなフォトマスク4を用いる。これにより図2に示される樹脂モールドの前駆体3’(図2)が形成される。
本工程は、前工程で作成した樹脂モールド前駆体3’である硬化したネガ型感光性樹脂の凸状体3’(図2)を紫外線透過性の低い色材で被覆する工程である。色材としては、カチオン染料、酸性染料、分散染料、反応性染料、含金染料など一般的な染料が利用でき、特に紫外線遮光性の高い染料、顔料を選択することが重要である。
また染料、顔料で被覆する場合、樹脂表面を粗化しておくと被覆性が高まり紫外線の透過率を低減することができる。粗化方法は従来の方法を用いることができ、例えば、サンドブラスト処理のような物理的な方法、感光性樹脂に予め艶消し成分として酸化チタン、シリカ粉、アルミナ粉などの無機物を添加する方法が知られている。また、被覆方法としては、例えば、ディップコートを用いることができる。
図3は、本発明における印刷版形成のための露光工程を示す模式図である。以下、図3を用いて説明する。
本工程は、前工程で得られた樹脂モールド3’’に、印刷版材としてネガ型感光性樹脂層5を塗布形成する工程である。
この際、樹脂モールドに離型処理を行うことで、樹脂モールド3’’からの印刷版樹脂5の剥離を容易にし、転写性を向上させることができる。
離型処理としては市販のシリコン系、テフロン(登録商標)系の離型剤をディップ法やスプレー法でコーティングする方法や、蒸着法、CVD法、スパッタ−法による表面処理を適用することができる。
また、固体樹脂であっても充填時に粘度が低く樹脂モールド3’’に充填できるものであれば問題はない。だだし、使用するインク溶剤の種類により耐溶剤性樹脂が必須であり、また寸法安定性や耐刷性などの実用特性を満足するものでなければならない。
固体樹脂としては、例えば、ポリエステル系、ポリウレタン系、アクリレート系、ポリアミド系、ポリイミド系、各種ゴム系化合物を利用することができる。
なお、後述するように、透明な基板1と反対側に拡散反射率の高い拡散反射板6を貼り合わせることが好ましい。
図4は、本発明における印刷板を示す模式図である。以下、図3、図4を用いて説明する。
本工程は、紫外線を透過する基板側から樹脂モールドを構成する紫外線遮光性の色材で被覆された硬化したネガ型感光性樹脂の凸形状体3(図3)がフォトマスク遮光部となるように露光し、前工程で塗布したネガ型感光性樹脂5(図3)を硬化させた後樹脂モールドを剥離して得られることを特徴とする印刷版(図4)製造工程である。本工程では、フォトマスク側から一般的に用いられる露光機を用いて露光を行えばよい。マスクの遮光部直下の樹脂を光硬化する必要があるため、平行光露光機より散乱光の発生するUV照射機が好ましく、また、通常の露光量より多いオーバー露光の状態で露光することで印刷版凸部全体を硬化することが出来る。また、露光後にアフターベークを行い架橋反応を促進することも効果的である。
さらに、透明な基板と反対側に拡散反射率の高い基板6(図3)を貼り合わせても効果的である。拡散反射率の高い基板としては、例えば、サンドブラスト処理を行ったアルミ
箔等が用いられる。アルミ箔はラミネート処理等によって、ネガ型感光性樹脂に貼り付けることができる。拡散反射率の高い基板6を使用することにより、入射紫外線が該基板6表面で拡散反射し凸部壁部、及び紫外線遮光性の色材で被覆された樹脂モールド3’’の直下部分も硬化することができ、印刷版凸部の強度を向上させることができる。
本工程は、必要に応じて上記印刷版に現像および/またはリンスを行った後、露光する仕上げ工程である。
剥離後の印刷版5’には未硬化樹脂などが付着していることが多く、現像およびリンスにより除去することができる。
また、架橋反応を完了し樹脂硬度を高めるために印刷版全体に後露光を行うことも効果的である。この場合酸素遮断下で行うことが一般的である。
[実施例1]
厚さ100μmのポリエステル基板(1)上に、東洋モートン社製ウレタン系接着剤(2)を乾燥後厚みが0.5μmになるように塗布し、乾燥・熟成を行った。ネガ型感光性樹脂は、旭化成ケミカルズ社製液状感光性樹脂APR(G系樹脂)につや消し成分としてDENKA社製微粒子状シリカ(粒径1μm以下)7wt%を添加し、攪拌・混合により調合した。
次に、旭化成ケミカルズ社製SRB装置を用いて、上記ポリエステル基板にネガ型感光性樹脂(3)を所定の厚みになるように塗布後、フォトマスク(4)を介して露光、シャワー現像(0.3wt%炭酸ナトリウム)を行った。
使用したフォトマスクの形状はライン/スペース(L/S)であり、遮光部の中に口型の透過部を幅方向に2ヶ所作成した。使用したフォトマスクマスクおよびその時の樹脂膜厚を表1に示す。
得られた樹脂モールド前駆体(3’)に後露光を行った後、日本化薬社製分散染料(Kayakalan Blue Black RL)0.5wt%、80℃、10分間、浸析染色し、水洗・乾燥した。
この樹脂モールド(3’’)を信越化学社製離型剤(溶剤型)でスプレー処理した後、旭化成ケミカルズ社製ネガ型液状感光性樹脂APR(F系樹脂)(5)を50μmの厚みになるようにSRB装置を用いて塗布した後、上記表面にサンドブラスト処理を施した東洋アルミ製、厚み200μmアルミ箔(6)をラミネートした。なお、アルミ箔表面の拡散反射率は74%であった。露光は樹脂モールドのPETフィルム(1)側から行い、染色した樹脂モールド(3’’)がフォトマスク遮光部となるようにした。露光は、AFP製版システム910Fで1〜12j/cm2で行った。
樹脂モールドから硬化した樹脂を剥離し、0.1wt%炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、後露光を行い、凸部表面に所定の口型の開口したL/Sパターン印刷版(5’)を得た。
得られた印刷版(5’)を日本電子精機社製精密凸版印刷機に取り付け、ハリマ化成社製銀ナノペーストをガラス基板上に印刷した。なお、印刷後、銀ナノペーストを100℃×3分間乾燥し、表面形状をレーザー顕微鏡で観察した。結果を表2に示す。
厚さ0.7mmのガラス基板(1)上に接着層(2)0.2μmをコーティングした後、長瀬産業社製ネガ型液状感光性樹脂(アクリレート系)(3)をスピンコートにより所定厚みになるように塗布後、ガラスクロムマスクを介して平行光露光、ディップ現像(0.3wt%炭酸ナトリウム)を行った。使用したガラスマスクの形態は実施例1と同様である。
ライン/スペース(L/S)とその時の樹脂膜厚を表3に示す。
さらに実施例1と同様に染色、離型剤処理を行なった後、旭化成ケミカルズ社製ネガ型液状感光性樹脂APR(F系樹脂)を50μmの厚みになるようにスペーサーを設置して上部から接着剤コーティング済みガラス板で挟み込み、さらにその上から拡散反射率45%に調整したアルミ箔を設置し(以上の工程は図示していない)、染色した樹脂モールド(3’’)がフォトマスク遮光部となるように露光した。露光は、AFP製版システム910Fで1〜8j/cm2で行った。
ガラス基板(1)上の樹脂モールド(3’’)から硬化した樹脂を剥離し、0.1wt%炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、後露光を行い、凸部表面に所定の口型の開口したL/Sパターン印刷版(5’)を得た。
得られた印刷版(5’)表面に実施例1と同様の方法でハリマ化成社製銀ナノペーストをスピンコートし、ガラス基板上に押し付けるようにして印刷した。
印刷物を光学顕微鏡で観察した結果を表4に示す。
2 接着層
3 ネガ型感光性樹脂
3’ 樹脂モールド前駆体
3’’ 樹脂モールド
4 フォトマスク
4’ 遮光部
5 ネガ型感光性樹脂
5’ 印刷版
6 拡散反射板
7 印刷版凸部表面の複数の微細な凹部
8 印刷版凸部表面の円柱の穴部
Claims (2)
- 1.紫外線を透過する基板(1)上に、樹脂モールドを形成するためのネガ型感光性樹脂層(3)を形成し、
2.前記ネガ型感光性樹脂層(3)上に、フォトマスク(4)を配置した後、フォトマスク(4)側から露光し、その後フォトマスク(4)を取り外した後、現像を行い、該基板上に硬化したネガ型感光性樹脂の凸状体が配置された樹脂モールド前駆体(3’)を製造し、
3.更に、前記樹脂モールド前駆体(3’)の該凸状体の表面を紫外線透過性の低い色材で被覆して樹脂モールドを製造する工程と、
4.引き続き、前記樹脂モールド(3’’)の凸状体が配置されている側に、印刷版を形成するためのネガ型感光性樹脂層(5)およびその上に、拡散反射板(6)を配置し、
5.前記基板(1)側から、露光した後、樹脂モールド(3’’)を取り外して製造する工程とを、経て製造されることを特徴とする
ネガ型感光性樹脂(5)が硬化してなる印刷版(5’)の製造方法。 - 紫外線透過方向から見た前記フォトマスク(4)の紫外線透過部の形状が、円状または多角形状であることを特徴とする請求項1に記載の印刷版(5’)の製造方法。
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