JP5058093B2 - ネガ型感光性レジストのパターン形成方法および印刷版 - Google Patents
ネガ型感光性レジストのパターン形成方法および印刷版Info
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Description
また、金属又は金属酸化物の遮光性を利用したモールドを用いた薄膜トランジスタの製造方法が公開されている(特許文献2参照)。この方法では、フォトマスクを兼ねたモールドにより、エッチング等を行うことなく、直接パターンの深さを形成できる。しかしながら、この方法では、深さの異なるパターンを形成するには適応できない上に、金属または金属酸化物の厚膜化が困難であるという問題がある。
これに対して、凸版印刷法はインクジェット法に比べて装置が比較的簡略で一括印刷による印刷時間の短縮、低コストが期待される製造方法であり、液晶パネルの配向膜印刷において、印刷版凸部表面に複数の微小突起や格子状パターンを設けることにより所定量のインクを凸部に保持することができ、均一な配向膜用の印刷版技術が開発されている(特許文献3、特許文献4参照)。ただし、これらに記載の方法によると、印刷版の支持体は光(紫外線)を透過するものしか使用することができない。さらに、本発明者らが鋭意検討した結果、印刷版レリーフを薄くすることや、表面の凹凸の微細化が難しく、高精細なパターン印刷に適応される樹脂印刷版を製造することには対応できない。
微細な凹凸を付与する試みはされていない。
加えて、樹脂モールドを使用する印刷版の製造方法としては下記技術が公開されている(特許文献6参照)。この手法では、まず、紫外線を透過する基板上に紫外線に対して不透明な材料をパターニング後、ネガ型の感光性樹脂を積層し基材側から露光、現像を行うことにより樹脂モールドを作成する。次にこの樹脂モールドに硬化性シリコンゴムを充填、硬化し、剥離することにより印刷版を作成する。しかしながら、この方法においても微細な凹部の形状を付与するためには複数の工程が必要であり、高精細で任意の形状を簡便かつ安定に付与するにはまだ課題が残されている。
I.少なくとも、
1.基材の表面に紫外線吸収層を形成する工程と、
2.フォトマスクと該紫外線吸収層との間に、ネガ型感光性レジスト層を形成する工程と、
3.フォトマスクを介して、平行光の紫外線で露光する工程と、
4.フォトマスクと該ネガ型感光性レジストとを引き剥がし、現像する工程と、
を経て、凸型レリーフパターンと、該凸型レリーフ頂面上に少なくとも一つ以上の微小窪みを同時に形成することを特徴とするネガ型感光性レジストのパターン形成方法であって、
該紫外線吸収層の厚みが1.0μm以上100.0μm以下であり、
該ネガ型感光性レジスト層の厚みが10μm以上500μm以下であり、
該フォトマスクが、
凸型レリーフ形成用遮光部と、
少なくとも1つ以上の4μm2以上1600μm2以下の面積を有する窪み形成用微細遮光部と、
該凸型レリーフ形成用遮光部と窪み形成用微細遮光部以外の光透過部と、から構成されることを特徴とするネガ型感光性レジストパターンの形成方法。
II.該フォトマスクが、少なくとも3つ以上の相互に接する短辺又は短軸が50μm以上の矩形または楕円形の該凸型レリーフ形成用遮光部で囲まれた光透過部中に、少なくとも1つの該窪み形成用微細遮光部を有することを特徴とする上記Iに記載のネガ型感光性レジストパターンの形成方法。
III.該フォトマスクが、少なくとも3つ以上の相互に接する短辺又は短軸が50μm以上の矩形または楕円形の該凸型レリーフ形成用遮光部で囲まれた矩形の光透過部中に、複数の該窪み形成用微細遮光部を有することを特徴とする上記IIに記載のネガ型感光性レジ
ストパターンの形成方法。
IV.該窪み形成用微細遮光部の最短径をA(μm)、該ネガ型感光性レジスト層の厚みをB(μm)、該紫外線吸収層の紫外線透過率(350nm以上370nm以下における平均%)をCとしたときに、下記式により計算されるKを3.0以上30.0以下の範囲にすることを特徴とする上記I乃至IIIのいずれか1項に記載のネガ型感光性レジストのパターン形成方法。
K=(A/B)×(100−C) (式1)
(ただし、Cは90以下である)
V.該フォトマスクがクロムマスクであることを特徴とする上記I乃至IVのいずれか1項に記載のネガ型感光性レジストのパターン形成方法。
VI.該紫外線吸収層がヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤のいずれか1種以上の紫外線吸収剤を0.1質量%乃至15.0質量%含有することを特徴とする上記I乃至Vのいずれか1項に記載のネガ型感光性レジストのパターン形成方法。
VII.上記I乃至VIのいずれか1項に記載の方法を用いて形成された基材上に紫外線吸収層を介してネガ型感光性レジストの凸型パターンを有することを特徴とする印刷版。
VIII.金属製の基材上に紫外線吸収層を介して、厚さ20μm以上300μm以下のネガ型感光性レジストの凸型パターンが配置されていることを特徴とする上記VIIに記載の印刷版。
本発明の最も特徴的な点は、1.0μm乃至100.0μmの厚みの紫外線吸収層を有する基材と凸部パターン(凸型パターン)形成用光透過部内に窪み形成用微細遮光部を有するフォトマスクを用いることである。基材表面に紫外線吸収層を設けないで、該窪み形成用微細遮光部を有するフォトマスクを用いたネガ型感光性レジストのパターンニングを行うと、平行光での露光であっても屈折した入射光や基材表面における拡散反射光がフォトマスク表面との間で正反射を繰り返し、パターンの解像性が悪くなる。その結果、凸部パターン表面に所望深さの微小窪みを設けられない。所望深さの微小窪みを形成するために、露光量を下げた場合、ネガ型感光性樹脂の硬化が不十分となり、凸部パターンのうねりや倒壊、外周のうねりやパターンの破損が発生し、所望の形状で凹凸を付与することは汎用のネガ型感光性樹脂を使用する限り一度のフォトリソグラフィーで行うことは不可能であった。特に、ネガ型感光性レジスト層の厚みが厚くなるほど所望深さの微小窪みの形
成と凸部の解像性とが両立できなくなり(即ち、前者が達成できない。)、逆に薄くなるほど同じく凸部の解像性と所望深さの微小窪みの形成が両立できなくなる(即ち、後者が達成できない。)。以上の理由より、特にレジスト層の厚みが10μm以上500μm以下の領域では凸部パターンの形成と所望深さの微小窪みの形成をフォトリソグラフィーにより同時に形成することはできなかった。一方、紫外線吸収層を設けることで、上記したような反射光を任意に制御し、硬化させることにより、ネガ型感光性レジストの硬化に十分な露光量であっても高精細なフォトマスクのパターンを転写可能となる。即ち、図1に示すように、フォトマスクの表面に矩形または楕円型の凸部形成用遮光部1Cによって(図1では、短辺の長さが1c’の矩形の凸部形成用遮光部1個と、短辺の長さが1c’’の矩形の凸部形成用遮光部2個と、短辺の長さが1c’’’の矩形の凸部形成用遮光部1
個を組合わせた状態を表す)、光透過部1aが形成されている。本発明に使用されるフォトマスクとしては、さらに光透過部1aのパターン中に、4μm2以上1600μm2以下の面積を有する窪み形成用微細遮光部1bを一つ以上設けることによって、図2に示すように、凸部パターン2a上に微小な窪み2bを形成することが可能であることを見出したものである。
この微小な窪み2bは、窪み形成用微細遮光部1bの外周より散乱する光と制御された反射光による微細遮光部直下の硬化を制御することにより形成される。
一方、凸部パターン2a自体は凸部形成用遮光部1c(即ち、1c’、1c’’及び1c’’’)が大きいために、散乱光及び制御された反射光が1方向からしか影響しないため硬化反応のコントラストは高く、結果としてエッジ部のショルダー角は小さく、裾引きも押さえられる。この凸部形成用遮光部1cの大きさ(即ち、図1の光透過部1a同士間の距離又はスペース)は矩形または楕円型における短辺または短軸(1c’ 、1c’’及び1c’’’)で表現すると50μm以上となる。50μmより短い場合には、凸部パターンの解像性と所望深さの微小な窪みの形成を両立することができない。
例えばライン/スペース形状のパターンを形成する場合、本発明の方法が適応できるのは該スペースが50μm以上のパターンとなる。
微小窪みの深さは、後述するように、窪み形成用微細遮光部の面積及びレジスト層の厚み、紫外線吸収層2cの紫外線吸収能を制御することにより設計可能である。つまり、一度のフォトリソグラフィーによって、基材上におけるネガ型感光性レジストパターンの凸部パターンの解像性と、凸部上面(頂面)の開口面積4μm2以上1600μm2以下の微小窪みの形成を同時に達成しつつ、その微小窪みの深さを独立に制御することが可能となることを見出した。ただし、窪み形成用微細遮光部1bの面積が4μm2未満である場合には、微小窪みの深さが浅くなりすぎ硬化との両立ができない。逆に1600μm2より大きい場合には、本発明における微小窪みとは呼べず、深さを調整しようとすれば、凸部パターン自体の解像性に影響を与えてしまう。窪み形成用微細遮光部1bの形状は特に限定されず、多角形状や楕円形状の他、任意の形状を選択でき、フォトマスクの描画範囲内である限り適応可能である。また、微細遮光部1bの面積や形状は全て同じにする必要はない。面積の違う微細遮光部1bを配置することにより、深さの異なる窪みを設けることも可能となる。
このように本発明は、凸部形成用遮光部と窪み形成用微細遮光部との組合わせにより、換言すれば、上記2種類の遮光部によって形成される光透過部同士の間隔を制御することにより、凸型レリーフパターンと、該凸型レリーフ頂面上に少なくとも一つ以上の微小窪みを同時に形成することが可能となる。
反射光の照度差を生じさせることが可能となる。結果、高精細な凸部パターン2aの再現性と、屈折光及び散乱光の作用も受け、微小な窪み2bを形成させる効果を発現する。このような紫外線吸収層としては、1.0μm以上100.0μm以下の厚みであることが必要となる。1.0μm以下の場合には、紫外線吸収特性が十分得られない上に、基材表面の粗さを反映してしまい、吸収強度のむらや拡散反射の影響が大きくなる。逆に100.0μmより厚い場合には、均一な塗布が困難となり、膜厚分布にむらが発生してしまう上に経済的にも好ましくない。またネガ型感光性レジストの薄膜にする特徴や基材の物理的な特徴が損なわれてしまう。
K=(A/B)×(100−C) 式(1)
(式中、Aは窪み形成用微細遮光部1bの最短径(μm)、Bはネガ型感光性レジスト層3dの厚み(μm)、Cは紫外線吸収層2cの350nm以上370nm以下の波長領域における紫外線透過率の平均値(%)であり、Cは90以下である。)
る紫外線吸収剤の含有量は、微小窪み2bの深さを制御する点で重要である。本発明における紫外線吸収層2c中の紫外線吸収剤の含有量は、バインダーを含めた総重量に対して0.1乃至15.0質量%とすることが好ましい。さらに、バインダーとの相溶性もしくはその溶媒に対する溶解性等を考慮すれば、0.5乃至10.0質量%とすることがより好ましい。また、紫外線吸収剤の種類としては、ネガ型感光性レジストの感光波長に吸収特性から選ばれるものであるが、紫外線により分解しないもの、特に気体の発生がないものがよく、バインダーとの相溶性のよいものが特に好ましい。そのような紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤から選ばれるものが挙げられる。具体的には、2−[4−[(2−Hydroxy−3−dodecyloxypropyl)oxy]−2−hydroxyphenyl]−4,6−bis(2,4−dimethylphenyl)−1,3,5−triazine、2−[4−[(2−Hydroxy−3−tridecyloxypropyl)oxy]−2−hydroxyphenyl]−4,6−bis(2,4−dimethylphenyl)−1,3,5−triazine、2−[4−[(2−Hydroxy−3−(2’−ethyl)hexyl)oxy]−2−hydroxyphenyl]−4,6−bis(2,4−dimethylphenyl)−1,3,5−triazine、2,4−Bis(2−Hydroxy−4−butyloxyphenyl)−6−(2,4−bis−butyloxyphenyl)−1,3,5−triazine、2−(2−Hydroxy−4−[1−octyloxycarbonylethoxy]phenyl)−4,6−bis(4−phenylphenyl)−1,3,5−triazine、2−(2H−benzotriazol−2−yl)−4,6−bis(1−methyl−1−phenylethyl)phenol、2−(2H−Benzotriazol−2−yl)−6−(1−methyl−1−phenylethyl)−4−(1,1,3,3−tetramethylbutyl)phenol、β−[3−(2−H−Benzotriazole−2−yl)−4−hydroxy−5−tert−buthlphenyl]−propionic acid poly(ethyleneglycol)300−ester、Bis{β−[3−(2−H−Benzotriazole−2−yl)−4−hydroxy−5−tert−buthlphenyl]−propionic acid}−poly(ethyleneglycol)300−ester、2−(2−Hydroxy−5−tert−butylphenyl)−2H−benzotriazole、Benzenepropanoic acid,3−(2H−benzotriazol−2−yl)−5−(1,1−dimethylethyl)−4−hydroxy−,C7−9−branched and linear
alkyl esters、Octyl−3−[3−tert−butyl−4−hydroxy−5−(5−chloro−2H−benzotriazol−2yl)phenyl]propionate、2−Ethylhexyl−3−[3−tert−butyl−4−hydroxy−5−(5−chloro−2H−benzotriazol−2yl)phenyl]propionate、2−Hydroxy−4−n−octoxybenzophenone、2,4−Dihydroxybenzophenone、2−Hydroxy−4−methoxy−benzophenone、2,4−Di−tert−butylphenyl−3,5−di−tert−butyl−4−hydroxybenzoate等を挙げることができる。
尚、本発明の紫外線吸収層2cにおいては、上記に挙げた紫外線吸収剤以外にも、市販の染料、顔料、カーボンブラック、無機微粒子等を含有させることも可能である。
また、本発明の特徴としては、フォトマスク3a(図3)上に直接(又は離型層を介して)ネガ型感光性レジスト層3dを形成する点である。フォトマスク3aとしては、特にクロムマスクが高精細なパターンを描画することが可能であり、平行光の紫外線の透過性能も優れている。本発明に使用されるクロムマスクは一般的なガラスクロムマスクを使用できる。合成石英やライムソーダガラス等のガラス板表面にクロムを蒸着して作成されるクロムマスクは、所望のパターンに応じて遮光部の形状とその配置を決定することが可能である。特に、描画精度、熱膨張性の観点から、合成石英のクロムマスクが最適である。尚、本発明では、必要に応じてフォトマスク表面に離型処理を行い、硬化後のネガ型感光性レジストとの剥離を容易にし、パターンの欠損を低減することも可能である。離型層としては市販のシリコン系、テフロン(登録商標)系に代表される離型剤のコーティング層や、シランカップリング剤等によるフォトマスク上の表面処理層や、ネガ型感光性レジストとの離型性を有する各種フィルムが適応される。又、ネガ型感光性レジスト層をクロムマスク上に形成する場合、クロム蒸着面とその裏面のどちらの面でも良い。高精細の場合には、クロム蒸着面に形成した方が、解像度の観点からより好ましい。
ラジカル重合性樹脂組成物の多くが本発明に適用し得るが、その中で代表的なものとしてプレポリマー、モノマー、開始剤、熱重合禁止剤を配合した組成物が使用可能である。
プレポリマーは重合性二重結合を分子中少なくとも1個以上有し、例えば不飽和ポリエステル、不飽和ポリウレタン、不飽和ポリアミド、不飽和ポリアクリレート樹脂、不飽和メタクリレート樹脂およびこれらの各種変性物などを少なくとも1種類用いたものを挙げることができる。
熱重合禁止剤は、ハイドロキノン、モノ第三ブチルハイドロキノン、ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、ピクリン酸、ジ−p−フルオロフェニルアミン、p−メトキシフェノール、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾールなどを挙げることができる。
上記したような本発明に使用されるネガ型感光性レジストの具体例としては、APR(旭化成(株)社製)、AFP(旭化成(株)社製)、サンフォート(旭化成(株)社製)、サイレル(デュポン(株)社製)、テビスタ(帝人(株)社製)等がある。
図3は、本発明におけるネガ型感光性レジストのパターン形成工程の例を示している。まず、前記したように、紫外線吸収層3cを有する基材3bと所望のパターンが描画されたフォトマスク3aを用意する。次の工程では、フォトマスクの表面と基材上の紫外線吸収層との間に、ネガ型感光性レジスト層3dを形成する工程である。この際、ネガ型感光性レジスト層3dの厚みは所望の凸パターン3eの高さとなる。ネガ型感光性レジスト層3dを形成する方法としては、特に限定されないが、基材及びレジスト材料に応じて最適な方法を選択すればよい。
必要に応じて現像処理および/またはリンスを行った後、乾燥やエアブローを行ってもよい。また、架橋反応を完了し樹脂硬度を高めるために後露光や加熱処理を行うことも可能である。この場合必要に応じて酸素遮断下(窒素雰囲気下や水中)で行うことができる。
本発明の方法を用いて形成されたネガ型感光性レジストパターンならびに本発明の方法により作製されたネガ型感光性レジストパターンをモールドに用いて作製されたパターン成型体の用途は特に限定されないが、ディスプレイ用光学フィルム、具体的には拡散シートや反射防止膜など、また、エッチング用マスク、バンクパターン、MEMS用パターン及び犠牲層、インプリント用モールド、マイクロチャンネル、マイクロチップ、細胞培養床、印刷版レリーフ等に適用できる。また、基材からレジストパターンもしくは紫外線吸収層を剥離して使用することも可能である。
本発明の印刷版について説明する。本発明の印刷版は前記のネガ型感光性レジストのパターン形成方法により作成され、プリンタブルエレクトロニクスに対応できる、高精細でかつ印刷特性に優れた印刷版であることを特徴とする。具体的には、高解像樹脂レリーフ先端(凸パターン上部)に複数の微小窪みが設けられた、安価で工業生産性に優れた印刷版である。このような印刷版の構成としては、支持体として金属シートを用いることが好ましい。金属シート上にレリーフ深度の浅い樹脂レリーフパターンが形成されていることによって、印刷機への取り付け精度が向上し、樹脂レリーフパターンの変形も抑えられる。特に延伸性や弾性の観点から、好ましい支持体としてはステンレスシートが挙げられる。このような金属シートを支持体に使用できる点も本発明の特徴である。
例としてトランジスタについて説明する。まず基板の上にゲート電極及び配線に相当す
る導電性のパターンの作成に使用できる。インクとしては金属微粒子を分散したものや導電性のポリマー等を用いることができる。次に形成したパターン上の所定の位置に合わせ、トランジスタのゲート絶縁膜に相当するパターンを印刷する。印刷版は絶縁膜のパターンに相当するものに交換しておく。以後パターンを変更するたびに版は変更する。インクとしては有機系の材料を溶剤に溶解したものや無機系の塗布材料、例えばポリシラザン系の材料等が使用可能である。次に所定の位置にソース電極、ドレイン電極、とこれらに接続される配線を形成する。次にソース、ドレイン電極を跨るように半導体のパターンを形成する。インクとしては溶剤に可溶なポリチオフェン系誘導体やポリアセン系などの有機半導体が使用可能である。次いで素子を保護するため、これらのパターンを覆うように保護膜パターンを形成する。材料としては高分子の樹脂材料などを溶剤に溶解したものが使用可能である。
つまり、本発明の印刷版には、上記のような使用するインク溶剤の種類により耐溶剤性を持たせておくことが好ましい。
<ネガ型感光性レジスト(A)のパターン形成例>
[実施例1]
フォトマスクとして、図5のようにライン(線幅)/スペース(間隔)形状において、光透過部の中に(窪み形成用)微細遮光部として四角形の遮光部を等間隔に有する石英クロムマスクを用意した。このクロムマスクの表面に離型層を形成した。形成方法としては、離型剤として旭硝子社製サイトップ(CTX−809AP2)の4wt%希釈液をスピンコーターにより、乾燥後厚みが0.5μmになるように塗布し、110℃で10分乾燥させた。
次に、基材として厚み150μmのアルミシートの表面に、10μmの厚みの紫外線吸収層を形成した。
紫外線吸収層は、280nmから360nmにかけて強い吸収ピークを有する紫外線吸収剤(チバ・スペシャリエティ・ケミカルズ株式会社製 TINUVIN479)を東洋モートン社製ウレタン系接着剤の固形分に対して3.0質量%溶解させたものをバーコーターにより塗布し、110℃20分乾燥、硬化させた。
次いで、クロムマスクからネガ型感光性樹脂層を有するアルミシートを剥離し、0.3wt%炭酸ナトリウム水溶液でシャワー現像、水洗を行った。乾燥後、窒素雰囲気下で後露光を行いネガ型感光性レジストパターン1を得た。
フォトマスクとして、図8のような四角形状において、光透過部の中に(窪み形成用)微細遮光部として四角形(一辺30.8μm、面積949.4μm2)の遮光部を等間隔に有する石英クロムマスクを用意した。このクロムマスクの表面に離型層を形成した。形
成方法としては、離型剤として旭硝子社製サイトップ(CTX−809AP2)の4wt%希釈液をスピンコーターにより、乾燥後厚みが0.5μmになるように塗布し、110℃で10分乾燥させた。
次に、基材として厚み0.7mmのガラス板の表面に、5μmの厚みの紫外線吸収層を形成した。
紫外線吸収層は、280nmから360nmにかけて強い吸収ピークを有する紫外線吸収剤(チバ・スペシャリエティ・ケミカルズ株式会社製 TINUVIN1130)を下記の配合で溶解させたものをスピンコーターにより塗布し、80℃30分乾燥させた。
・メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体
(共重合比50:50、Mw11000、Mn6500) 100.0質量部
・TINUVIN1113 2.0質量部
・メチルエチルケトン 100.0質量部
次いで、クロムマスクとネガ型感光性レジスト層を剥離し、0.3wt%炭酸ナトリウム水溶液でシャワー現像、水洗を行った。乾燥後、窒素雰囲気下で後露光を行いネガ型感光性レジストパターン2を得た。
得られたネガ型感光性レジストパターン2には、200μmの高さの一辺が350μmの四角形状でネガ型感光性レジストの凸部パターンが形成されており、さらに凸部先端(頂面)には、開口面積950μm2の四角形状の最深部3.2μmの窪みが複数等間隔に形成されていた。また、凸部パターンのエッジ部ショルダー角もほぼ90°であり、すそ引き部もごくわずかであることが確認された。尚、凸部先端の顕微鏡写真を図9に示す。
実施例2において、紫外線吸収層の配合をCが83.0となるように変更し、露光量を350mJ/cm2に変更した以外は同様にして、ネガ型感光性レジストパターン3を得た。
[実施例4]
実施例2において、紫外線吸収層の厚みを5μmから40μmに変更し、旭化成ケミカルズ社製、ネガ型液状感光性樹脂APR−G31の厚みを200μmから95μmに変更し、露光量を650mJ/cm2に変更した以外は同様にして、ネガ型感光性レジストパターン4を得た。
実施例1において、基材として、紫外線吸収層のない150μmの厚みのアルミシートを用い、露光量を200mj/cm2にした以外は同様にして、ネガ型感光性レジストパターン5を得た。ネガ型感光性レジストパターン5の凸部パターンでは硬化不足によるうねりが顕著に発生していた。特に25μmのラインでは、凸部の破損が確認された。
[比較例2]
比較例1において、露光量を600mj/cm2にした以外は同様にして、ネガ型感光性レジストパターン6を得た。ネガ型感光性レジストパターン6の凸部パターンでは解像性が悪く、特に25μmのラインではライン間がすそ引きにより繋がって一体となっていた。また、凸部先端には窪みの形成(深さ0.5μm以上)が見られなかった。
[比較例3]
実施例2において、フォトマスクのパターン中、光透過部の中に設けた微小窪みに対応する四角形の遮光部を(一辺30.8μm、面積949.4μm2)から(一辺50.0μm、面積2500.0μm2)に変更した石英クロムマスクを用いた以外は同様にして、ネガ型感光性レジストパターン7を得た。ネガ型感光性レジストパターン7では、窪み部の底部がガラス板まで到達しており、凸部のエッジはよれて直線性を保持していなかった。
[実施例5]
フォトマスクとして、図10のようにライン(線幅)/スペース(間隔)(L/S 200μm/400μm)形状において、光透過部の中に(窪み形成用)微細遮光部として四角形(一辺17.1μm、面積293.9μm2及び一辺28.0μm、面積784.0μm2)の遮光部を等間隔に有する石英クロムマスクを用意した。このクロムマスクの表面に離型層を形成した。形成方法としては、離型剤として旭硝子社製サイトップ(CTX−809AP2)の4wt%液をスピンコーターにより、乾燥後厚みが0.5μmになるように塗布し、110℃で10分乾燥させた。
次に、支持体として厚み150μmのステンレスシート(SUS304)の表面に、10μmの厚みの紫外線吸収層を形成した。
紫外線吸収層は、280nmから360nmにかけて強い吸収ピークを有する紫外線吸収剤(チバ・スペシャリエティ・ケミカルズ株式会社製 TINUVIN384−2)を東洋モートン社製ウレタン系接着剤の固形分に対して3.5質量%溶解させたものをバーコーターにより塗布し、110℃20分乾燥、硬化させた。
クロムマスクからネガ型感光性樹脂層を有するステンレスシートを剥離し、0.3wt%炭酸ナトリウム水溶液でシャワー現像、水洗を行った。乾燥後、後露光を行い印刷版1を得た。
得られた印刷版1には、100μmの高さのライン(線幅)/スペース(間隔)(L/S 200μm/400μm)形状で樹脂レリーフ部が形成されており、さらに樹脂レリーフ部先端には、以下のように四角形状の微小窪みが複数等間隔に形成されていた。
[比較例4]
実施例5において、フォトマスクのパターン中、光透過部の中に設けた微小窪みに対応する四角形の遮光部をなくしたものに変更した石英クロムマスクを用いた以外は同様にして、樹脂レリーフ部先端に微小窪みをもたない印刷版2を得た。
実施例5の印刷版1ならびに比較例4の印刷版2を用いて、印刷実験を行った。印刷方法としては、得られた印刷版を日本電子精機社製精密印刷機にテープで取り付け、印刷時の押し込み量を30μmの印圧にて印刷を行なった。印刷に用いたインクはアルバックマテリアル(株)社製Agナノメタルインク(L−Ag1TeH/粘度12mPa・S)を使用した。また、印刷基板としては、無アルカリガラスを使用し、銀インクを印刷後、150度にて30分間熱養生し、薄膜を作製した。得られた薄膜を光学顕微鏡(デジタルマイクロスコープVHX−900/株式会社キーエンス)を用いて観察した。
印刷後の結果、良好な銀薄膜によるラインが形成されていることが確認された。開口部面積294μm2の窪みを有するラインでは、線幅が275μm以下で銀薄膜が印刷されていた。開口部面積785μm2の窪みを有するラインでは、線幅が235μm以下で銀薄膜が印刷されていた。一方、樹脂レリーフ先端に微小窪みをもたない印刷版2のラインでは、線幅は290μm以上であった。
1b 微小窪み形成用微細遮光部
1c 凸部形成用遮光部
1c’、1c’’、1c’’’ 矩形の凸部形成用遮光部の短辺
2a ネガ型感光性レジストの凸部パターン
2b 微小窪み部
2c 紫外線吸収層
3a フォトマスク
3b 基材
3c 紫外線吸収層
3d ネガ型感光性レジスト層
3e ネガ型感光性レジストの凸部パターン
3f 微小窪み部
Claims (8)
- 少なくとも、
1.基材の表面に紫外線吸収層を形成する工程と、
2.フォトマスクと該紫外線吸収層との間に、ネガ型感光性レジスト層を形成する工程と、
3.フォトマスクを介して、平行光の紫外線で露光する工程と、
4.フォトマスクと該ネガ型感光性レジストとを引き剥がし、現像する工程と、
を経て、凸型レリーフパターンと、該凸型レリーフ頂面上に少なくとも一つ以上の微小窪みを同時に形成することを特徴とするネガ型感光性レジストのパターン形成方法であって、
該紫外線吸収層の厚みが1.0μm以上100.0μm以下であり、
該ネガ型感光性レジスト層の厚みが10μm以上500μm以下であり、
該フォトマスクが、
凸型レリーフ形成用遮光部と、
少なくとも1つ以上の4μm2以上1600μm2以下の面積を有する窪み形成用微細遮光部と、
該凸型レリーフ形成用遮光部と窪み形成用微細遮光部以外の光透過部と、から構成されることを特徴とするネガ型感光性レジストパターンの形成方法。 - 該フォトマスクが、少なくとも3つ以上の相互に接する短辺又は短軸が50μm以上の矩形または楕円形の該凸型レリーフ形成用遮光部で囲まれた光透過部中に、少なくとも1つの該窪み形成用微細遮光部を有することを特徴とする請求項1に記載のネガ型感光性レジストパターンの形成方法。
- 該フォトマスクが、少なくとも3つ以上の相互に接する短辺又は短軸が50μm以上の矩形または楕円形の該凸型レリーフ形成用遮光部で囲まれた矩形の光透過部中に、複数の該窪み形成用微細遮光部を有することを特徴とする請求項2に記載のネガ型感光性レジストパターンの形成方法。
- 該窪み形成用微細遮光部の最短径をA(μm)、該ネガ型感光性レジスト層の厚みをB(μm)、該紫外線吸収層の紫外線透過率(350nm以上370nm以下における平均%)をCとしたときに、下記式により計算されるKを3.0以上30.0以下の範囲にすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のネガ型感光性レジストのパターン形成方法。
K=(A/B)×(100−C) (式1)
(ただし、Cは90以下である) - 該フォトマスクがクロムマスクであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のネガ型感光性レジストのパターン形成方法。
- 該紫外線吸収層がヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤のいずれか1種以上の紫外線吸収剤を0.1質量%乃至15.0質量%含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のネガ型感光性レジストのパターン形成方法。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法を用いて形成された基材上に紫外線吸収層を介してネガ型感光性レジストの凸型パターンを有することを特徴とする印刷版。
- 金属製の基材上に紫外線吸収層を介して、厚さ20μm以上300μm以下のネガ型感光性レジストの凸型パターンが配置されていることを特徴とする請求項7に記載の印刷版。
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