JP4832322B2 - 導電性金属膜、透光性電磁波シールドフィルム、光学フィルターおよびプラズマディスプレイパネル、及び導電性金属膜の製造方法 - Google Patents
導電性金属膜、透光性電磁波シールドフィルム、光学フィルターおよびプラズマディスプレイパネル、及び導電性金属膜の製造方法 Download PDFInfo
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Description
また、透明性に関する要求レベルは、CRT用として凡そ70%以上、PDP用として80%以上が要求されており、更により高い透明性が望まれている。
例えば、特許文献1には、導電性繊維からなる電磁波シールド材が開示されている。しかし、このシールド材はメッシュ線幅が太くディスプレイ画面をシールドすると、画面が暗くなり、ディスプレイに表示された文字が見えにくいという欠点があった。
無電解めっき触媒を印刷法で格子状パターンとして印刷し、次いで無電解めっきを行う方法が提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3など)。しかし、印刷される触媒の線幅は60μm程度と太く、比較的小さな線幅、緻密なパターンが要求されるディスプレイの用途としては不適切であった。
さらに、無電解めっき触媒を含有するフォトレジストを塗布して露光と現像を行うことにより無電解めっき触媒のパターンを形成した後、無電解めっきする方法が提案されている(例えば、特許文献4)。しかし、導電膜の可視光透過率は72%であり、透明性が不十分であった。更には、露光後に大部分を除去する無電解めっき触媒として極めて高価なパラジウムを用いる必要があるため、製造コストの面でも問題があった。
フォトリソグラフィー法を利用したエッチング加工により、透明基体上に金属薄膜のメッシュを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献5〜8など)。この方法では、微細加工が可能であるため、高開口率(高透過率)のメッシュを作成することができ、強力な電磁波が放出されても遮蔽できるという利点を有する。しかし、その製造工程は煩雑かつ複雑で、生産コストが高価になるという間題点があった。また、エッチング法によるところから、格子模様の交点部が直線部分の線幅より太い問題があることが知られている。また、モアレの問題も指摘され、改善が要望されていた。
ハロゲン化銀を現像して得られる導電性金属銀で導電性メッシュを形成する方法、あるいは該導電性メッシュにさらに金属銅をめっきしてメッシュを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献9、10)。
(無電解めっきによる低生産性)
また、特許文献10では、銀塩を用いた写真感光材料を利用して作る透光性導電膜は他の方式に比べて、細線パターンを精密に形成できることによる高い透明性、安価に大量生産が可能などのような優れた点があるが、このフィルムでは現像銀メッシュの抵抗が高いために、直接電解めっきを行うことが困難で、めっき処理を大面積フィルムに対して行う際には無電解めっきと電解めっきを併用する必要がある。
特許文献10のように、無電解めっきと電解めっきを併用すると、生産性が悪く、めっきコストが高い等の問題があり改善が望まれていた。
また、上記特許文献1では、電解めっき処理を枚葉処理でかつバッチ処理により行っている。表面抵抗が1Ω/sq以上と大きいフィルムに対して枚葉処理により電解めっきを行うと、めっき液と接触しているフィルム部分のうち、電流を流した側に近い部分で多くめっきされる。特に、めっき開始時、即ち最初の給電時にこの現象がおき、その後めっきを続けてもめっきを均一に付けることが困難であった。
また、従来のメッシュの形成方法は上述した繊維方式を除き、ある一定の面積しか断線のないメッシュを作成することができなかった。これはメッシュのパターンを形成する場合に無電解銅めっき方式ではめっきの触媒核のパターニングがスクリーン印刷の如き印刷方式であるためスクリーンまたは凹版などのサイズ単位でメッシュが途切れ、フォトリソグラフィーでは露光マスクサイズ単位にメッシュが途切れてしまっていた。つまりフォトリソグラフィーでは、メッシュパターンのない領域が存在していた。その理由は、露光方式が枚葉のフォトマスクである為に露光フォトレジストへの露光を長いロールフィルム全体に渡って連続で露光することができず、フォトマスクの大きさの範囲の露光を1回1回繰り返す方法によるものだからである。
とPDPのモジュールないしは前面板あるいはガラス等を基体とした光学フィルター材料に
シールド材料を位置あわせする製造方法がとられてきた。この方法ではシールド材料にロスが出るうえ、生産性を向上するために、シールド材料が連結されたロール状のシールド材料を使おうとしても、位置合せに時間がかかり、生産速度を十分に上げることができなかった。
この近赤外カット機能を付与することは、該機能層を電磁波シールド膜と貼り合わせるなどして得られると考えられるが、電磁波シールドフィルムが上記の様に断続的なものであって多量のロスを生じながら光学フィルターが製造される限り、近赤外カット機能を有するフィルムもまた、断続的にしか利用されない欠点を抱えている。
加えて、PDP用途において、上記の電磁波シールド能、近赤外線カット能に加え、反射
防止機能が不可欠である。この反射防止機能を有するフィルムまたは機能膜も、近赤外線カット機能を有するフィルムと同様、ロール状のフィルムであるため、電磁波シールドフィルムが不連続なメッシュパターンであると反射防止フィルムと貼り合せた場合に、反射防止フィルムの使用されないロス部分が生じる問題があった。
前述のように、プラズマディスプレイパネルに電磁波シールド機能を付与する手段は、電磁波シールドフィルムを画像表示パネルに接着剤を利用して貼り合わせる、ガラスやプラスチックシート、プラスチックフィルムなどの基材を有するPDP用光学フィルターに電
磁波シールドフィルムを貼り合わせる、などの方法が採られる。フィルムをガラスやプラスチックに貼り合わせる場合にも、接着剤が利用される。しかし、従来の銀塩感光材料に使用される接着剤(例えば、原料にゼラチンを利用するもの)では、支持体を接着剤でガラスに貼り合せた場合、貼り合せ面の剥離強度が不足し、経時で剥れが生じる問題があることが判明した。
一般に、プラスチック支持体をガラス基材に貼り合せる場合、易接着層を設ける方法が知られている。これは、プラスチック支持体上に、薄い樹脂層を塗布などにより形成する方法である。
しかしながら、感光性ハロゲン化銀乳剤を塗設した感光材料に易接着層を設けた場合、感光材料を現像すると、未露光部でも現像が起こることがわかった。なお、未露光部での現像銀の発生は、黒色のスポット・斑点状の欠陥を引き起こすという問題がある。
また第2の目的は、シールド材料のロスが少なく生産性を向上させ、安価に大量に、連続メッシュパターンを形成した透光性電磁波シールド膜を提供することにある。
また、第3の目的は、感光材料から得られる電磁波シールドフィルムのガラス基材などへの接着性(剥離強度)に優れた電磁波シールドフィルムを提供することである。
本発明のさらなる目的は、感光材料を現像して得られる導電性膜上の未露光部に現像銀が実質的に形成しない、即ちカブリを生じることのない、易接着層を有する感光材料、及び、電磁波シールドフィルムを提供することである。
さらに本発明の別目的は、高い電磁波シールド性と高い近赤外線カット性能が両立した透光性電磁波シールドフィルムを提供することである。
また、本発明のさらなる目的は、高い電磁波シールド性と高い近赤外線カット性能を有する光学フィルターおよびプラズマディスプレイを提供することである。
すなわち、本発明は、
支持体と、
前記支持体の一方の面上に設けられた銀塩を含有する銀塩乳剤層と、
前記支持体の他方面上に設けられた合成樹脂、カルボジイミド化合物、及び導電性粒子を含有する易接着層と、
を有するハロゲン化銀感光材料の前記銀塩乳剤層に露光及び現像処理を施して得られる導電性金属膜であって、
前記銀塩乳剤層は、銀及びバインダーを含有し、銀/バインダー体積比が1/3以上であり、
前記易接着層における前記導電性粒子の含有量が前記合成樹脂及びカルボジイミド化合物の合計に対して120〜440質量%であり、
かつ、導電性金属膜の前記易接着層面とガラス基板とを貼り合せて温度60℃、相対湿度90%のもとで72時間経時した後の剥離強度が20N/m以上である、導電性金属膜に関する。
上記ハロゲン化銀感光材料においては、前記合成樹脂が、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂およびスチレンブタジエンゴムからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、アクリル樹脂であることがより好ましい。
また、前記導電性粒子が、金属酸化物を含むことが好ましく、ZnO、TiO2、SnO2、Al2O3、In2O3、MgO、BaO及びMoO3の少なくとも1種であることがより好ましく、アンチモンがドープされたSnO2を含むことがさらに好ましい。
前記導電性粒子が針状粒子であり、その短軸に対する長軸の比が3〜50の範囲にあることが好ましい。このような形状にすることで、導電性粒子が易接着層で十分に分散する。
また、(1−1)前記銀塩乳剤層の膨潤率が150%以上であること、(1−2)前記支持体が透明支持フィルムであること、(1−4)前記銀塩乳剤層が最外層にあること、の態様をさらに満たすことが好ましい。また、導電性粒子の含有量を合成樹脂(例えば、アクリル樹脂)30質量部を基準とした場合には、導電性粒子の含有量は、10〜500質量部が好ましく、50〜150質量部がさらに好ましい。
写真用途の感光材料では、易接着層のバインダーとしてゼラチンが使用されていた。しかし、ゼラチンを使用した場合には、導電性金属膜を製造し、さらに加工しようとすると、他の部材との接着強度が不十分であった。これに対して、ゼラチンに代えて合成樹脂(特に、アクリル樹脂)を使用した場合には、十分な接着強度が得られた。なお、本発明においては、前記支持体の他方面上に設けられ、合成樹脂及び導電性粒子を含有する第一の易接着層を形成し、さらに合成樹脂を含有する第二の易接着層を形成してもよい。この場合には、導電粒子が易接着層の外部に析出することを防止することができる。
さらに、本発明は、前記導電性金属膜を用いて製造されたことを特徴とする電磁波シールドフィルム、プラズマディスプレイパネル用光学フィルター、又は、プラズマディスプレイパネルにもある。
またさらに、本発明は、
支持体と、
前記支持体の一方の面上に設けられた銀塩及びバインダーを含有し、銀/バインダー体積比が1/3以上である銀塩乳剤層と、
前記支持体の他方面上に設けられた合成樹脂、カルボジイミド化合物、及び導電性粒子を含有し、前記導電性粒子の含有量が前記合成樹脂及びカルボジイミド化合物の合計に対して120〜440質量%である易接着層と、
を有するハロゲン化銀感光材料の前記銀塩乳剤層に対し、露光して現像処理を施し、現像処理工程と、
更に物理現像処理及び/またはめっき処理を施して導電性金属部を形成し、導電性金属膜を得る導電性金属部形成工程と、
を有することを特徴とする導電性金属膜の製造方法にも関する。
ただし、前記導電性金属膜の前記易接着層面とガラス基板とを貼り合せて温度60℃、相対湿度90%のもとで72時間経時した後の剥離強度は20N/m以上である。
以下、本発明の作用効果を説明する。本発明に係るハロゲン化銀感光材料を用いることで、黒色スポットやメッシュ細線の途切れなどの欠陥が抑制された導電性金属膜が得られる。導電性金属膜を製造する際に、ハロゲン化銀感光材料に合成樹脂(特に、アクリル樹脂)を含有する易接着層が設けられている場合には、かかる易接着層が帯電し易くなり、製造工程中において静電気が発生すると考えられる。かかる静電気によって発光が起きると、銀塩乳剤層にかぶりが発生し、そのかぶり部分が製品の黒色スポットの問題となる。また上記発光の際には多量のエネルギー(例えば、熱)が発生し、銀塩乳剤層の発光ポイントに対応する部分で空隙(バインダーが熱により焼失することで形成すると考えられる)が発生し、導電性金属部(メッシュなどの細線)の形成が阻害される。ここで、導電性金属膜の導電性金属部のパターンに抜けが生じると、電磁波遮蔽が不十分になると考えられる。例えば、導電性金属部をメッシュ状の細線として形成しようとした場合には、その細線が形成されない虞がある。より具体的には、金属導電膜では、黒色スポットと併せて、メッシュ細線の途切れが観察され、これは、露光部に現像銀が生じていないことを意味している。従って、従来の写真用途の感光材料で生じるカブリ現象では理解できない特有の現象が、(従来のカブリと同時に)併発している。しかしながら、本発明では、易接着層に導電性粒子が含有されていることで、製造工程中で発生する静電気が過剰に帯電せず、外部に逃げることで、静電気に起因する発光が抑制され、導電性金属膜の黒色スポットやメッシュ細線の途切れなどの欠陥が十分に抑制できると推察される。
なお、本発明は上記導電性金属膜、及び導電性金属膜の製造方法に関するものであるが、参考のためその他の事項(例えば下記事項)についても記載した。
支持体と、
前記支持体の一方の面上に設けられ、銀塩を含有する銀塩乳剤層と、
前記支持体の他方面上に設けられ、合成樹脂及び導電性粒子を含有する易接着層と、
を有することを特徴とするハロゲン化銀感光材料。
支持体と、
前記支持体の一方の面上に設けられ、銀塩を含有する銀塩乳剤層と、
前記支持体の他方面上に設けられ、合成樹脂を含有する易接着層と、
を有することを特徴とするハロゲン化銀感光材料。なお、この形態の場合には、合成樹脂は他方面上の最表面に設けられていることが好ましい。
2−1)支持体の一方の側に設けられた銀塩乳剤層に露光と現像処理を施すことにより導電性金属膜を得るハロゲン化銀感光材料であって、前記銀塩乳剤層と支持体をはさんで反対側の最表面に合成樹脂からなる易接着層を設けたことを特徴とするハロゲン化銀感光材料。
2−2)前記易接着層が、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂およびスチレンブタジエンゴムからなる群から選択された少なくとも1種を含有することを特徴とする上記2−1)に記載のハロゲン化銀感光材料。
2−3)前記易接着層が、アクリル樹脂からなることを特徴とする上記2−2)に記載のハロゲン化銀感光材料。
2−4)前記易接着層が、導電性金属酸化物粒子を含有することを特徴とする上記2−1)〜3)のいずれかに記載のハロゲン化銀感光材料。
2−5)前記導電性金属酸化物粒子が針状粒子であり、その短軸に対する長軸の比が3〜50の範囲にあることを特徴とする上記2−4)に記載のハロゲン化銀感光材料。
2−6)前記導電性金属酸化物粒子が、アンチモンがドープされたSnO2粒子であることを特徴とする上記2−4)または5)に記載のハロゲン化銀感光材料。
2−7)前記銀塩乳剤層の膨潤率が150%以上であることを特徴とする上記2−1)〜6)のいずれかに記載のハロゲン化銀感光材料。
2−8)上記2−1)〜7)のいずれかに記載のハロゲン化銀感光材料を用いて形成されたことを特徴とする導電性金属膜。
2−9)前記銀塩乳剤層を露光して現像処理を施した後、更に物理現像処理及び/またはめっき処理を施して形成されたことを特徴とする上記2−8)に記載の導電性金属膜。
2−10)上記2−9)に記載の導電性金属膜がプラスチックフィルム支持体に担持されていることを特徴とする透光性電磁波シールドフィルム。
2−11)前記導電性金属膜が線幅1μmから40μmのメッシュ状の細線から形成され、かつ前記メッシュ状の細線が、透光性電磁波シールドフィルムの長手方向に3m以上連続していることを特徴とする上記2−10)に記載の透光性電磁波シールドフィルム。
2−12)上記2−10)〜11)のいずれかに記載の透光性電磁波シールドフィルムを有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル用光学フィルター。
2−13)上記2−10)〜11)のいずれかに記載の透光性電磁波シールドフィルムを有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
また本発明によれば、シールド材料のロスが少なく生産性を向上させ、安価に大量に、連続メッシュパターンを形成した透光性電磁波シールド膜を提供することができる。
また、感光材料から得られる電磁波シールドフィルムのガラス基材などへの接着性(剥離強度)に優れた電磁波シールドフィルムを提供することができる。
さらにまた、感光材料を現像して得られる導電性膜上の未露光部に現像銀が実質的に形成しない、即ちカブリを生じることのない、易接着層を有する感光材料、及び、電磁波シールドフィルムを提供することができる。
加えて、高い電磁波シールド性と高い近赤外線カット性能が両立した透光性電磁波シールド膜を提供することができ、高い電磁波シールド性と高い近赤外線カット性能を有する光学フィルターおよびプラズマディスプレイを提供することができる。
また、本明細書で、「連続メッシュパターン」等における「メッシュ」とは、当業界の用例にしたがって複数の細線からなる網目パターンまたは複数の細線からなる網を指す。さらに「連続」の意味は、ロール状などの長尺フィルムを指し、かつ、メッシュパターンが途切れずに連続していることを意味する。
また、「導電性金属膜(電磁波シールド膜)」はフィルム状の透明支持体に担持されているので、積層される他の構成要素(構成フィルム)との混乱がない限り「電磁波シールドフィルム」又は単に「フィルム」と呼ぶこともある。
(1−1)支持体
本発明に用いられる感光材料の支持体としては、透明支持フィルムを用いることが好ましく、プラスチックフィルム、プラスチック板、およびガラス板などを用いることができる。
上記プラスチックフィルムおよびプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂;その他、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。
本発明においては、透明性、耐熱性、取り扱いやすさおよび価格の点から、上記プラスチックフィルムはポリエチレンテレフタレートフィルム又はトリアセチルセルロース(TAC)であることが好ましい。
本発明におけるプラスチックフィルムおよびプラスチック板は、単層で用いることもできるが、2層以上を組み合わせた多層フィルムとして用いることも可能である。
用いられる感光材料は、後述する銀塩乳剤層(以下、単に乳剤層ということもある)上に保護層を設けていてもよい。本発明において「保護層」とは、ゼラチンや高分子材料などのバインダーからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために乳剤層上に形成される。上記保護層はめっき処理する上では設けない方が好ましく、設けるとしても薄い方が好ましい。その厚みは0.2μm以下が好ましい。上記保護層の形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法を適宜選択することができる。
本発明に用いられる感光材料は、支持体上に、光センサーとして銀塩乳剤層を有する。本発明における乳剤層には、銀塩のほか、必要に応じて染料、バインダー、溶媒等を含有することができる。
<染料>
乳剤層には染料が含まれていてもよい。該染料は、フィルター染料として若しくはイラジエーション防止その他種々の目的で乳剤層に含まれる。上記染料としては、固体分散染料を含有してよい。本発明に好ましく用いられる染料としては、特開平9−179243号公報記載の一般式(FA)、一般式(FA1)、一般式(FA2)、一般式(FA3)で表される染料が挙げられ、具体的には同公報記載の化合物F1〜F34が好ましい。また、特開平7−152112号公報記載の(II−2)〜(II−24)、特開平7−152112号公報記載の(III−5)〜(III−18)、特開平7−152112号公報記載の(IV−2)〜(IV−7)等も好ましく用いられる。
本発明で用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀などの無機銀塩が挙げられる。本発明においては、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
本発明では、光センサーとして機能させるためにハロゲン化銀を使用することが好ましく、ハロゲン化銀に関する銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術は、本発明においても用いることができる。
尚、ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、粒子形状が球形の同じ体積を有する粒子の直径である。
ハロゲン化銀粒子は内部と表層が均一な相からなっていても異なっていてもよい。また粒子内部或いは表面にハロゲン組成の異なる局在層を有していてもよい。
また、銀粒子の形成方法としては、粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。さらに、同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
またアンモニア、チオエーテル、四置換チオ尿素等のいわゆるハロゲン化銀溶剤を使用して粒子形成させることも好ましい。係る方法としてより好ましくは四置換チオ尿素化合物であり、特開昭53−82408号、同55−77737号などの各公報に記載されている。好ましいチオ尿素化合物としてはテトラメチルチオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンチオンなどが挙げられる。ハロゲン化銀溶剤の添加量は用いる化合物の種類および目的とする粒子サイズ、ハロゲン組成により異なるが、ハロゲン化銀1モルあたり10-5〜10-2モルが好ましい。
また、粒子サイズを均一にするためには、英国特許第1,535,016号明細書、特公昭48−36890号公報、同52−16364号公報に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリの添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、英国特許第4,242,445号明細書、特開昭55−158124号公報に記載されているように水溶液の濃度を変化させる方法を用いて、臨界飽和度を越えない範囲において速く銀を成長させることが好ましい。本発明における乳剤層の形成に用いられるハロゲン化銀乳剤は単分散乳剤が好ましく、{(粒子サイズの標準偏差)/(平均粒子サイズ)}×100で表される変動係数が20%以下、より好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下であることが好ましい。
また、高感度化のためにはK4〔Fe(CN)6〕やK4〔Ru(CN)6〕、K3〔Cr
(CN)6〕のごとき六シアノ化金属錯体のドープが有利に行われる。
これらのロジウム化合物は、水或いは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、或いはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
上記ルテニウム化合物としては、ヘキサクロロルテニウム、ペンタクロロニトロシルルテニウム、K4〔Ru(CN)6〕等が挙げられる。
上記鉄化合物としては、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、チオシアン酸第一鉄が挙げられる。
〔ML6〕-n
(ここで、MはRu、またはOsを表し、nは0、1、2、3または4を表す。)
この場合、対イオンは重要性を持たず、例えば、アンモニウム若しくはアルカリ金属イオンが用いられる。また好ましい配位子としてはハロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。以下に本発明に用いられる具体的錯体の例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
あることが好ましく、10-9〜10-3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
このようなハロゲン化銀粒子は、ハロゲン化銀粒子を形成する途中でPdを添加することにより作製することができ、銀イオンとハロゲンイオンとをそれぞれ総添加量の50%以上添加した後に、Pdを添加することが好ましい。またPd(II)イオンを後熟時に添加するなどの方法でハロゲン化銀表層に存在させることも好ましい。
このPd含有ハロゲン化銀粒子は、物理現像や無電解めっきの速度を速め、所望の電磁波シールド材の生産効率を上げ、生産コストの低減に寄与する。Pdは、無電解めっき触媒としてよく知られて用いられているが、本発明では、ハロゲン化銀粒子の表層にPdを偏在させることが可能なため、極めて高価なPdを節約することが可能である。
使用するPd化合物の例としては、PdCl4や、Na2PdCl4等が挙げられる。
乳剤層には、銀塩粒子を均一に分散させ、かつ乳剤層と支持体との密着を補助する目的でバインダーを用いることができる。本発明において上記バインダーとしては、非水溶性ポリマーおよび水溶性ポリマーのいずれもバインダーとして用いることができるが、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
上記バインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロースおよびその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
上記乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等アルコール類、アセトンなどケトン類、ホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、酢酸エチルなどのエステル類、エーテル類等)、およびこれらの混合溶媒を挙げることができる。
本発明の乳剤層に用いられる溶媒の含有量は、前記乳剤層に含まれる銀塩、バインダー等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であり、50〜80質量%の範囲であることが好ましい。
本発明に係る感光材料の乳剤層およびその他の親水性コロイド層は、硬膜剤によって硬膜されることが好ましい。
硬膜剤としては、無機又は有機のゼラチン硬化剤を単独又は組合せて用いることができる。例えば活性ビニル化合物(1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビス(ビニルスルホニルメチル)エーテル、N,N′−メチレンビス−〔β−(ビニルスルホニル)プロピオンアミド〕など)活性ハロゲン化合物(2,4−ジクロル−6−ヒドロキシ−s−トリアジンなど)、ムコハロゲン酸類(ムコクロル酸など)、N−カルバモイルピリジニウム塩類、ハロアミジニウム塩類(1−(1−クロロ−1−ピリジノメチレン)ピロリジニウム−2−ナフタレンスルホナートなど)を単独または組合せて用いることができる。なかでも、特開昭53−41220号、同53−57257号、同59−162546号、同60−80846号などの各公報に記載の活性ビニル化合物および米国特許3,325,287号明細書に記載の活性ハロゲン化合物が好ましい。以下にゼラチン硬化剤の代表的な化合物例を示す。
膨潤率は、乾燥時のサンプルの切片を走査型電子顕微鏡で観察することにより乾燥時の乳剤層の膜厚(a)を求め、25℃の蒸留水に1分間浸漬した後液体窒素により凍結乾燥したサンプルの切片を走査型電子顕微鏡で観察することにより膨潤時の乳剤層の膜厚(b)を求め、次式から算出した値である。
膨潤率(%)=100×((b)−(a))/(a)
乳剤層へ添加する硬膜剤量の好ましい範囲は、硬膜剤添加後の感光材料の保存温湿度、保存期間、感光材料の膜pHおよび感光材料に含まれるバインダー量等によって異なるため、一概には決まらない。特に硬膜剤はバインダーと反応する前に感光材料の同一面側に位置する全層にわたって拡散し得るため、硬膜剤の好ましい添加量は乳剤層を含む感光材料の同一面側の全バインダー量に依存する。本発明の感光材料の、好ましい硬膜剤の含有量は、乳剤層を含む感光材料の同一面側の総バインダー量に対して0.2質量%〜15質量%の範囲であり、より好ましくは0.5質量%〜6質量%の範囲である。
また前述のように硬膜剤は拡散し得るため、硬膜剤の添加位置は乳剤層である必要は無く、乳剤層と同一面側のいずれの層にも好ましく添加でき、また複数の層に分割して添加することも好ましい。
本発明のハロゲン化銀感光材料において、前記銀塩乳剤層は最外層にあることが好ましい。
(2−1)露光
本発明では、支持体上に設けられた乳剤層にパターン形成用、すなわち照射部がパターン状または非照射部がパターン状(反転)露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線などの光、X線などの放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
露光のエネルギーとしては、ハロゲン化銀を用いる場合には、照射エネルギー量は1mJ/cm2以下が好ましく、100μJ/cm2以下がより好ましく、50μJ/cm2以下がさらに好ましい。
G結晶により波長変換して取り出した約530nmの緑色レーザー、波長約685nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6738MG)、波長約650nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6501MG)などが好ましく用いられる。
本発明では、乳剤層を露光した後、さらに現像処理が行われる。現像処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、市販品では、例えば、富士フィルム社処方のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社処方のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72などの各現像液、またはそれらのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもできる。
リス現像液としては、KODAK社処方のD85などを用いることができる。本発明では、上記の露光および現像処理を行うことにより露光部に金属銀部、好ましくはパターン状金属銀部が形成されると共に、未露光部に後述する光透過性部が形成される。
金属銀部は本発明においては導電性を具備するように形成されるので導電性金属銀部であり、これと光透過性部とによって透光性電磁波シールド膜が形成される。
上記p−アミノフェノール系補助現像主薬としては、N−メチル−p−アミノフェノール、p−アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシエチル)−p−アミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)グリシン等があるが、なかでもN−メチル−p−アミノフェノールが好ましい。ジヒドロキシベンゼン系現像主薬は、通常0.05〜0.8モル/リットルの量で用いられるのが好ましいが、本発明においては、0.23モル/リットル以上で使用するのが特に好ましい。さらに好ましくは、0.23〜0.6モル/リットルの範囲である。またジヒドロキシベンゼン類と1−フェニル−3−ピラゾリドン類若しくはp−アミノフェノール類との組合せを用いる場合には、前者を0.23〜0.6モル/リットル、さらに好ましくは0.23〜0.5モル/リットル、後者を0.06モル/リットル以下、さらに好ましくは0.03モル/リットル〜0.003モル/リットルの量で用いるのが好ましい。
上記有機カルボン酸としては、アクリル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コハク酸、アシエライン酸、セバチン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
上記アミノホスホン酸としては、アミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸等が挙げられるが、その他上記リサーチ・ディスクロージャー18170号、特開昭57−208554号、同54−61125号、同55−29883号の各公報および同56−97347号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
上記湿潤剤としては、例えば、アルカノールアミン、アルキレングリコールなどが挙げられる。また、上記定着促進剤としては、例えば特公昭45−35754号、同58−122535号、同58−122536号の各公報に記載のチオ尿素誘導体;分子内に3重結合を持つアルコール;米国特許US第4126459号明細書記載のチオエーテル化合物;特開平4−229860号公報記載のメソイオン化合物などが挙げられ、特開平2−44355号公報記載の化合物を用いてもよい。また、上記pH緩衝剤としては、例えば酢酸、リンゴ酸、こはく酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、グリコール酸、アジピン酸などの有機酸や、ホウ酸、リン酸塩、亜硫酸塩などの無機緩衝剤が使用できる。上記pH緩衝剤として好ましくは、酢酸、酒石酸、亜硫酸塩が用いられる。ここでpH緩衝剤は、現像液の持ち込みによる定着剤のpH上昇を防ぐ目的で使用され、好ましくは0.01〜1.0モル/リットル、より好ましくは0.02〜0.6モル/リットル程度用いる。定着液のpHは4.0〜6.5が好ましく、特に好ましくは4.5〜6.0の範囲である。また、上記色素溶出促進剤として、特開昭64−4739号公報記載の化合物を用いることもできる。
ましく、500ml/m2以下がさらに好ましく、300ml/m2以下が特に好ましい。
ットル以下で行われ、3リットル以下の補充量(0も含む、すなわちため水水洗)で行うこともできる。このため、節水処理が可能となるのみならず、自現機設置の配管を不要とすることができる。水洗水の補充量を少なくする方法としては、古くから多段向流方式(例えば2段、3段など)が知られている。この多段向流方式を本発明の製造方法に適用した場合、定着後の感光材料は徐々に正常な方向、即ち定着液で汚れていない処理液の方向に順次接触して処理されていくので、さらに効率のよい水洗がなされる。また、水洗を少量の水で行う場合は、特開昭63−18350号、同62−287252号各公報などに記載のスクイズローラー、クロスオーバーローラーの洗浄槽を設けることがより好ましい。また、少量水洗時に問題となる公害負荷低減のためには、種々の酸化剤添加やフィルター濾過を組み合わせてもよい。さらに、上記方法においては、水洗浴または安定化浴に防黴手段を施した水を、処理に応じて補充することによって生じた水洗浴または安定化浴からのオーバーフロー液の一部または全部を、特開昭60−235133号公報に記載されているようにその前の処理工程である定着能を有する処理液に利用することもできる。また、少量水洗時に発生し易い水泡ムラ防止および/またはスクイズローラーに付着する処理剤成分が処理されたフィルムに転写することを防止するために、水溶性界面活性剤や消泡剤を添加してもよい。
本発明の電磁波シールド膜はロール状などの連絡パターンを担持した形状で得られることが生産性や光学フィルター作製の容易さの点で好ましいので、ロール用現像機を用いることが有利であり、とくにローラー搬送型自動現像機を用いることが好ましい。
ローラー搬送型の自動現像機については米国特許US第3025779号明細書、同第3545971号明細書などに記載されており、本明細書においては単にローラー搬送型自動現像機として言及する。また、ローラー搬送型自動現像機は現像、定着、水洗および乾燥の四工程からことが好ましく、本発明においても、他の工程(例えば、停止工程)を除外しないが、この四工程を踏襲するのが最も好ましい。また、水洗工程の代わりに安定工程による四工程でも構わない。
好ましく、特に1.0〜5.0g/cm3のものが好ましい。
本発明では、前記露光および現像処理により形成された導電性金属膜における金属銀部に導電性を付与する目的で、前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させるための物理現像および/またはめっき処理を行うことができる。本発明では物理現像またはめっき処理のいずれか一方のみで導電性金属粒子を金属性銀部に担持させることが可能であるが、さらに物理現像とめっき処理とを組み合わせて導電性金属粒子を金属銀部に担持させることもできる。尚、金属銀部に物理現像および/またはめっき処理を施したものを「導電性金属部」と称する。
本発明における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオンなどの金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wフィルム、インスタントスライドフィルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。
また、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
<無電解めっき>
本発明では、露光および現像処理後の金属銀部を、さらに無電解めっき用溶液で処理することもできる。無電解めっきには、パラジウム化合物水溶液で処理する方法、還元剤又は銀イオン配位子あるいはその両方で処理する方法が好ましい。
前者については、露光および現像処理後の金属銀部を、Pdを含有する溶液で処理することによって行われる。Pdは、2価のパラジウムイオンであっても金属パラジウムであってもよい。この処理により無電解めっきまたは物理現像速度を促進させることができる。パラジウムによる無電解めっきは、日本科学会編、化学便覧応用化学編の「無電解めっき」の章に詳記されている。
本発明においては、還元剤又は銀イオン配位子による処理を行うことが好ましい。
還元剤としては、銀イオンを金属銀に還元可能であればよく、例えば、二酸化チオ尿素、ロンガリット、塩化錫(II)、水素化ホウ素ナトリウム、ソジウムトリアセトキシボロハイドライド、トリメチルアミンボラン、トリエチルアミンボラン、ピリジンボラン、ボランなどが挙げられる。
銀イオン配位子としては、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン等のハロゲンイオン、チオシアネートイオンなどの擬ハロゲンイオン、ピリジン、ビピリジン等の含窒素ヘテロ環化合物、亜硫酸イオン、また、1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート類(例えば、1,2,4-トリメチル-1,2,4-トリアゾリウム-3-チオラート)などのメソイ
オン化合物、3,6-ジチアオクタン-1,8-ジオールなどのチオエーテル化合物 など
が挙げられる。
以下に電解めっき処理方法の好ましい態様について図面を参照して具体的に説明する。上記の電解めっき処理を好適に実施するためのめっき装置は、乳剤層を露光し、現像処理したフィルムが巻き付けられた繰り出し用リール(図示せず)から、順次繰り出されたフィルムを電気めっき槽に送り込み、めっき後のフィルムを巻取り用リール(図示せず)に順次巻き取る構成となっている。
アノード板13は、電線(図示せず)を介して電源装置(図示せず)のプラス端子に接続され、給電ローラ12a,12bは、電源装置(図示せず)のマイナス端子に接続されている。
ム16とが接している面の最下部とめっき液面との距離(図1に示す距離La)は、0.5〜15cmとすることが好ましく、1〜10cmとすることがより好ましく、1〜7cmとすることがさらに好ましい。また、出口側の給電ローラ12bとフィルム16とが接している面の最下部とめっき液面との距離(図1に示す距離Lb)は、0.5〜15cmとすることが好ましい。
まずめっき浴11にめっき液15を貯留する。めっき液としては、銅めっきの場合は、硫酸銅5水塩を30g/L〜300g/L、硫酸を30g/L〜300g/Lを含むものを用いることができる。なお、ニッケルめっきの場合は、硫酸ニッケル、塩酸ニッケル等、鉄銀めっきの場合は、シアン化銀等を含むものを用いることができる。また、めっき液には、界面活性剤、硫黄化合物、窒素化合物等の添加剤を添加してもよい。
アノード板13および給電ローラ12a,12bに電圧を印加し、フィルム16を給電ローラ12a,12bに接触させながら搬送する。フィルム16をめっき浴11に導入し、めっき液15に浸せきして銅めっきを形成する。液切りローラ17間を通過する際に、フィルム16に付着しためっき液15を拭い取り、めっき浴11に回収する。これを複数の電解めっき槽で繰り返し、最後に水洗した後、巻取りリール(図示せず)に巻き取る。
フィルム16の搬送速度は、1〜30m/分の範囲で設定される。フィルム16の搬送速度は、好ましくは、1〜10m/分の範囲であり、より好ましくは、2〜5m/分の範囲である。
印加電圧は、1〜100Vの範囲であることが好ましく、2〜60Vの範囲であることがより好ましい。電解めっき槽が複数設置されている場合は、電解めっき槽の印加電圧を段階的に下げることが好ましい。また、第1槽目の入り口側の電流量としては、1〜30Aが好ましく、2〜10Aがより好ましい。
給電ローラ12a,12bはフィルム全面(接触している面積のうちの実質的に電気的に接触している部分が80%以上)と接触していることが好ましい。
無電解銅めっき液に含まれる化学種としては、硫酸銅や塩化銅、還元剤として、ホルマリンやグリオキシル酸、銅の配位子として、EDTA,トリエタノールアミン等、その他、浴の安定化やめっき皮膜の平滑性向上の為の添加剤としてポリエチレングリコール、黄血塩、ビピリジン等が挙げられる。
本発明では、現像処理後の金属銀部、並びに、物理現像および/またはめっき処理によって形成された導電性金属部には、酸化処理を施すことが好ましい。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
酸化処理としては、例えば、Fe(III)イオン処理など、種々の酸化剤を用いた公知の方法が挙げられる。上述の通り、酸化処理は、乳剤層の露光および現像処理後、或いは物理現像またはめっき処理後に行うことができ、さらに現像処理後と物理現像またはめっき処理後のそれぞれで行ってもよい。
本発明において、導電性金属部は、透光性電磁波シールド膜としての用途である場合、正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形などの四角形、(正)六角形、(正)八角形などの(正)n角形、円、楕円、星形などを組み合わせた幾何学図形であることが好ましく、これらの幾何学図形からなるメッシュ状であることがさらに好ましい。EMIシールド性の観点からは三角形の形状が最も有効であるが、可視光透過性の観点からは同一のライン幅なら(正)n角形のn数が大きいほど開口率が上がり可視光透過性が大きくなるので有利である。モアレを生じにくくする観点ではこれらの幾何学模様をランダムに配置したり、ライン幅を周期性なしに変化させることも好ましい。
なお、導電性配線材料の用途である場合、前記導電性金属部の形状は特に限定されず、目的に応じて任意の形状を適宜決定することができる。
本発明における「光透過性部」とは、透光性電磁波シールド膜のうち導電性金属部以外の透明性を有する部分を意味する。光透過性部における透過率は、前述のとおり、支持体の光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率が90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であり、さらにより好ましくは98%以上であり、最も好ましくは99%以上である。
同様の理由により支持体の厚みは200μm以下が好ましく、更に好ましくは20μm以上180μm以下、最も好ましくは50μm以上120μm以下である。
合をいう。
値の強度をとる。
本発明では銀塩乳剤層と支持体をはさんで反対側の面、すなわち、支持体の銀塩乳剤層とは他方面上に合成樹脂および導電性粒子を含有する易接着層を設ける。なお、易接着層は、支持体の銀塩乳剤層とは他方面上の最表面層としてもよい。以下、好ましい易接着層について説明する。易接着層は合成樹脂と導電性粒子を含有させて一層で構成されていてもよいが、下記のような二層以上で構成してもよい。
一層目:水分散性あるいは水溶性合成樹脂、カルボジイミド化合物および導電性粒子(特に、導電性金属酸化物粒子)を必須成分とした帯電防止層(第一の易接着層)
二層目:水分散性あるいは水溶性合成樹脂、および架橋剤を必須成分とした表面層(他の部材の構成層と積層することによって表面層ではなくなることがある場合もあるが、易接着層の最上層という意味(第二の易接着層))
易接着層としては、支持体上に合成樹脂および導電性粒子を含有する帯電防止層と導電性粒子を含有しない表面層がこの順で設けられる構成のものが好ましい。本発明の帯電防止層においては、支持体上に帯電防止層を設けて得られる低帯電性支持体のヘイズが3%以下にあり、そして得られる感材の表面層の表面電気抵抗が1×106〜1×1011 Ωの
範囲にあるように、導電性が付与されている。帯電防止層を付与することで、プラスチック支持体をハンドリングする製造プロセスにおいて発生する静電気起因のゴミ付き故障の発生、および感光材料のスタチック放電カブリの発生を抑制することができる。易接着層を帯電防止層と表面層の2層で形成した場合には、帯電防止層の導電粒子が易接着層の外部に析出することを防止することができる。
なお本明細書でいうヘイズは、25℃,60%RHの測定条件において、ヘイズメーター(NDH−2000、日本電色製)を用い、JIS K−7105に従って測定した値である。
属酸化物に更に異種原子を含む金属酸化物を挙げることができる。金属酸化物としては、SnO2、ZnO、Al2 O3、TiO2 、In2 O3、及びMgOが好ましく、さらにSnO2 、ZnO、In2O2 及びTiO2が好ましく、SnO2が特に好ましい。異種原子を少量含む例としては、ZnOに対してAlあるいはIn、TiO2に対してNbあるいはTa、In2O3 に対してSn、及びSnO2 に対してSb、Nbあるいはハロゲン元素などの異種元素を0.01〜30モル%(好ましくは0.1〜10モル%)ドープしたものを挙げることができる。異種元素の添加量が、0.01モル%未満の場合は酸化物または複合酸化物に充分な導電性を付与することができず、30モル%を超えると粒子の黒化度が増し、帯電防止層が黒ずむため感光材料(以下感材ともいう)用としては適さない。従って、本発明では導電性金属酸化物粒子の材料としては、金属酸化物または複合金属酸化物に対し異種元素を少量含むものが好ましい。また結晶構造中に酸素欠陥を含むものも好ましい。上記異種原子を少量含む導電性金属酸化物粒子としては、アンチモンがドープされたSnO2粒子が好ましく、特にアンチモンが0.2〜2.0モル%ドープされた
SnO2 粒子が好ましい。従って、本発明では前記短軸、長軸の寸法を有するアンチモンドープSnO2等の金属酸化物粒子を使用することが、透明で、良好な導電性を有する帯
電防止層を形成するのに有利である。これにより、ヘイズが3%以下にある低帯電性支持体を有し、表面層の表面電気抵抗が8×106〜6×108Ωの範囲にある感材を容易に
得ることができる。
ポリカルボジイミドは、通常、有機ジイソシアネートの縮合反応により合成される。ここで分子内にカルボジイミド構造を複数有する化合物の合成に用いられる有機ジイソシアネートの有機基は特に限定されず、芳香族系、脂肪族系のいずれか、あるいはそれらの混合系も使用可能であるが、反応性の観点から脂肪族系が特に好ましい。
合成原料としては、有機イソシアネート、有機ジイソシアネート、有機トリイソシアネート等が使用される。
有機イソシアネートの例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及び、それらの混合物が使用可能である。
具体的には、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメ
チルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシア
ネート、1,3−フェニレンジイソシアネート等が用いられ、また、有機モノイソシアネートとしては、イソホロンイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が使用される。
また、本発明に用いうるカルボジイミド系化合物は、例えば、カルボジライトV−02−L2(商品名:日清紡社製)などの市販品としても入手可能である。
カルボジイミド系化合物はバインダーに対して1〜200質量%、より好ましくは5〜100質量%の範囲で添加することが好ましい。
10質量%未満の場合は、充分な帯電防止性が得られない傾向があり、1000質量%を超えた場合はヘイズが高くなり過ぎる傾向がある。また、400質量%を超えた場合は、接着剤を介してガラスと貼り合わせた後の剥離強度が弱まる傾向がある。
また導電性粒子の含有量を合成樹脂(例えば、アクリル樹脂(溶媒を含む)又はアクリル樹脂の分散物)30質量部を基準とした場合には、導電性粒子の含有量は、10〜500質量部が好ましく、50〜150質量部がさらに好ましい。
エポキシ化合物としては、1,4−ビス(2’,3’−エポキシプロピルオキシ)ブタン、1,3,5−トリグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジクリシジル−5−(γ−アセトキシ−β−オキシプロピル)イソシヌレート、ソルビトールポリグリシジルエーテル類、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、ジグリセロ−ルポリグルシジルエーテル、1,3,5−トリグリシジル(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリセロールエーテル類およびトリメチロ−ルプロパンポリグリシジルエーテル類等のエポキシ化合物が好ましく、その具体的な市販品としては、例えばデナコールEX−521やEX−614B(ナガセ化成工業(株)製)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、感光特性に影響を与えない添加量の範囲では、他の架橋性化合物との併用も可能であり、例えばC.E.K.Meers およびT.H.James著「The Theory of the Photographic Process」第3版(1966年)、米国特許第3316095号、同3232764号、同3288775号、同2732303号、同3635718号、同3232763号、同2732316号、同2586168号、同3103437号、同3017280号、同2983611号、同2725294号、同2725295号、同3100704号、同3091537号、同3321313号、同3543292号及び同3125449号、並びに英国特許994869号及び同1167207号の各明細書等に記載されている硬化剤などがあげられる。
代表的な例としては、二個以上(好ましくは三個以上)のメチロール基およびアルコキシメチル基の少なくとも一方を含有するメラミン化合物またはそれらの縮重合体であるメラミン樹脂あるいはメラミン・ユリア樹脂、さらにはムコクロル酸、ムコブロム酸、ムコフェノキシクロル酸、ムコフェノキシプロム酸、ホルムアルデヒド、グリオキザール、モノメチルギリオキザール、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン、2,3−ジヒドロキシ−5−メチル−1,4−ジオキサンサクシンアルデヒド、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン及びグルタルアルデヒド等のアルデヒド系化合物およびその誘導体;ジビニルスルホン−N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセトアミド)、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノール、メチレンビスマレイミド、5−アセチル−1,3−ジアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、1,3,5−トリアクリロイル−ヘサヒドロ−s−トリアジン及び1,3,5−トリビニルスルホニル−ヘキサヒドロ−s−トリアジンなどの活性ビニル系化合物;2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(4−スルホアニリノ)−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(2−スルホエチルアミノ)−s−トリアジン及びN,N’−ビス(2−クロロエチルカルバミル)ピペラジン等の活性ハロゲン系化合物;ビス(2,3−エポキシプロピル)メチルプロピルアンモニウム・p−トルエンスルホン酸塩、2,4,6−トリエチレン−s−トリアジン、1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素およびビス−β−エチレンイミノエチルチオエーテル等のエチレンイミン系化合物;1,2−ジ(メタンスルホンオキシ)エタン、1,4−ジ(メタンスルホンオキシ)ブタン及び1,5−ジ(メタンスルホンオキシ)ペンタン等のメタンスルホン酸エステル系化合物;ジシクロヘキシルカルボジイミド及び1−ジシクロヘキシル−3−(3−トリメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等のカルボジイミド化合物;2,5−ジメチルイソオキサゾール等のイソオキサゾール系化合物;クロム明ばん及び酢酸クロム等の無機系化合物;N−カルボエトキシ−2−イソプロポキシ−1,2−ジヒドロキノリン及びN−(1−モルホリノカルボキシ)−4−メチルピリジウムクロリド等の脱水縮合型ペプチド試薬;N,N’−アジポイルジオキシジサクシンイミド及びN,N’−テレフタロイルジオキシジサクシンイミド等の活性エステル系化合物:トルエン−2,4−ジイソシアネート及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート類;及びポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン反応物等のエピクロルヒドリン系化合物を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
本発明に好ましく用いられる接着剤層について説明する。
本発明の透光性電磁波シールド膜は、光学フィルターや、液晶表示板、プラズマディスプレイパネル、その他の画像表示パネルなどに組み込まれる際には、接着剤層を介して接合される。
上の加圧により流動性を示す接着剤であることが好ましい。流動できるので接着剤層を設けた透光性電磁波シールド膜(電磁波シールド性接着フィルム)を被着体にラミネートや加圧成形、特に加圧成形により貼りあわせることができる。また曲面、複雑形状を有する被着体にも容易に接着することができる。このためには、接着剤の軟化温度が200℃以下であると好ましい。電磁波シールド性接着フィルムの用途から、使用される環境が通常80℃未満であるので接着剤層の軟化温度は、80℃以上が好ましく、加工性から80〜120℃が最も好ましい。軟化温度は、粘度が1012ポイズ(1013Pa・s)以下になる温度のことで、通常その温度では1〜10秒程度の時間のうちに流動が認められる。
レン(n=1.521)、ポリ−1,2−ブタジエン(n=1.50)、ポリイソブテン(n=1.505〜1.51)、ポリブテン(n=1.513)、ポリ−2−ヘプチル−1,3−ブタジエン(n=1.50)、ポリ−2−
t−ブチル−1,3−ブタジエン(n=1.506)、ポリ−1,3−ブタジエン(n=1.515)などの(ジ)エン類、ポリオキシエチレン(n=1.456)、ポリオキシプロピレン(n=1.450)、ポリビニルエチルエーテル(n=1.454)、ポリビニルヘキシルエーテル(n=1.459)、ポリビニルブチルエーテル(n=1.456)などのポリエーテル類、ポリビニルアセテート(n=1.467)、ポリビニルプロピオネート(n=1.467)などのポリエステル類、ポリウレタン(n=1.5〜1.6)、エチル
セルロース(n=1.479)、ポリ塩化ビニル(n=1.54〜1.55)、ポリアクリロニトリル(n=1.52)
、ポリメタクリロニトリル(n=1.52)、ポリスルホン(n=1.633)、ポリスルフィド(n=1.6)、フェノキシ樹脂(n=1.5〜1.6)、ポリエチルアクリレート(n=1.469)、ポリブチルアクリレ
ート(n=1.466)、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレート(n=1.463)、ポリ−t−ブチルアクリレート(n=1.464)、ポリ−3−エトキシプロピルアクリレート(n=1.465)、ポリオキシカルボニルテトラメチレン(n=1.465)、ポリメチルアクリレート(n=1.472〜1.480)、ポリ
イソプロピルメタクリレート(n=1.473)、ポリドデシルメタクリレート(n=1.474)、ポリテトラデシルメタクリレート(n=1.475)、ポリ−n−プロピルメタクリレート(n=1.484)、ポリ−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート(n=1.484)、ポリエチルメタ
クリレート(n=1.485)、ポリ−2−ニトロ−2−メチルプロピルメタクリレート(n=1.487)、ポリ−1,1−ジエチルプロピルメタクリレート(n=1.489)、ポリメチルメタクリレート(n=1.489)などのポリ(メタ)アクリル酸エステルが使用可能である。これらのアクリルポリマーは必要に応じて、2種以上共重合してもよいし、2種類以上をブレンドして使用することも可能である。
次に、本発明の透光性電磁波シールド膜について説明する。
本発明の透光性電磁波シールド膜における支持体の厚みは200μm以下が好ましく、更に好ましくは20μm以上180μm以下、最も好ましくは50μm以上120μm以下である。この範囲であれば所望の可視光の透過率が得られ、かつ取り扱いも容易である。
本発明では、上述した乳剤層の塗布厚みをコントロールすることにより所望の厚さの金属銀部を形成し、さらに物理現像及び/又はめっき処理により導電性金属粒子からなる層の厚みを自在にコントロールできるため、5μm未満、好ましくは3μm未満の厚みを有する透光性電磁波シールド膜であっても容易に形成することができる。
本発明の透光性電磁波シールドフィルムとガラス基板との密着強度は、以下のようなものであることが好ましい。
フィルム試料をガラスに貼り付け、引っ張り速度100mm/minで接合方向に対して−180°方向に引っ張って剥離強度を測定した場合に、20N/m以上の剥離強度であることが好ましい。更には、60℃の温度で相対湿度90%のもとで72時間経時した後の上記剥離強度で、20N/m以上の剥離強度であることが好ましい。
本発明の透光性電磁波シールド膜は、好ましくは支持体上に感光性ハロゲン化銀塩を含有する乳剤層を有する感光材料を露光し、現像処理を施すことによって露光部および未露光部に、それぞれ金属銀部および光透過性部を形成して得られる。さらに必要に応じて前記金属銀部に物理現像および/またはめっき処理を施すことによって前記金属銀部に導電性金属を担持させてもよい。
本発明の透光性電磁波シールド膜の形成方法は、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
(I)物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる方法
(II)物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる方法
(III)物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる方法
上記(I)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に金属銀が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像銀であり、高比表面のフィラメントである点で後続するめっき又は物理現像過程で活性が高い。
上記(II)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に金属銀が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面は小さい球形である。
上記(III)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に金属銀が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
いずれの態様もネガ型現像処理および反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる)。
ここでいう化学現像、熱現像、及び溶解物理現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社、1955刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Processes, 第4版」(Mcmillan社、1977刊行)に解説されている。本件は液処理であるが、その他の出願については現像方式として、熱現像方式も適用される。例えば、特開2004−184693号、同2004−334077号、同2005−010752号、特願2004−244080号、同2004−085655号などの各公報が適用できる。
本発明の透光性電磁波シールド膜は、剥離可能な保護フィルムを設けることができる。保護フィルムは、透光性電磁波シールド膜の両面に設ける必要はなく、金属銀部あるいは導電性金属部上のみ、あるいはその逆側のみに設けることもできる。保護フィルムは、金属銀部あるいは導電性金属部上に設けた場合は、いわゆる剥離可能であることが望ましい。
本発明のロール状透光性電磁波シールド膜や、それを組み込んだ光学フィルムは、黒化処理を施したものであってもよい。
黒化処理については、例えば特開2003−188576号公報に開示されている。黒化処理により形成さえた黒化層は、防錆効果に加え、反射防止性を付与することができる。黒化層は、例えば、Co−Cu合金めっきによって形成され得るものであり、金属箔の表面の反射を防止することができる。さらにその上に防錆処理としてクロメート処理をしてもよい。クロメート処理は、クロム酸もしくは重クロム酸塩を主成分とする溶液中に浸漬し、乾燥させて防錆被膜を形成するもので、必要に応じ、金属箔の片面もしくは両面に行なうことができるが、市販のクロメート処理された銅箔等を利用してもよい。なお、予め黒化処理された金属箔を用いることもできるが、後の適宜な工程において、黒化処理してもよい。黒化層の形成は、レジスト層となり得る感光性樹脂層を、黒色に着色した組成物を用いて形成し、エッチングが終了した後に、レジスト層を除去せずに残留させることによっても形成できるし、黒色系の被膜を与えるめっき法によってもよい。
本発明では、必要に応じて、別途、機能性を有する機能層を設けていてもよい。この機能層は、用途ごとに種々の仕様とすることができる。例えば、ディスプレイ用電磁波シールド材用途としては、屈折率や膜厚を調整した反射防止機能を付与した反射防止層や、ノングレアー層またはアンチグレア層(共にぎらつき防止機能を有する)、近赤外線を吸収する化合物や金属からなる近赤外線吸収層、特定の波長域の可視光を吸収する色調調節機能をもった層、指紋などの汚れを除去しやすい機能を有した防汚層、傷のつき難いハードコート層、衝撃吸収機能を有する層、ガラス破損時のガラス飛散防止機能を有する層などを設けることができる。これらの機能層は、金属銀部あるいは導電性金属部と支持体とを挟んで反対側の面に設けてもよく、さらに同一面側に設けてもよい。
これらの機能層を設けた材料を光学フィルター(または単にフィルター)と呼ぶ。
透光性電磁波シールド膜をディスプレイ(特にプラズマディスプレイ)に用いる場合には、以下に説明する機能層(機能性フィルム)を貼付することにより、各機能性を付与することが好ましい。機能性フィルムは接着剤等を介して透光性電磁波シールド膜に直接または間接的に貼付することができる。機能性フィルムは、適当な透明基材上に反射防止性・防眩性を有する機能層を設けることにより形成することができる。
(反射防止性・防眩性)
透光性電磁波シールド膜には、外光反射を抑制するための反射防止(AR:アンチリフレクション)性、または、鏡像の映り込みを防止する防眩(AG:アンチグレア)性、またはその両特性を備えた反射防止防眩(ARAG)性のいずれかの機能性を付与することが好ましい。
これらの性能により、照明器具等の映り込みによって表示画面が見づらくなってしまうのを防止できる。また、膜表面の可視光線反射率が低くすることにより、映り込み防止だけではなく、コントラスト等を向上させることができる。反射防止性・防眩性を有する機能性フィルムを透光性電磁波シールド膜に貼付した場合の可視光線反射率は、2%以下であることが好ましく、より好ましくは1.3%以下、さらに好ましくは0.8%以下である。
また、防眩性層としては、上記の熱硬化型または光硬化型樹脂を塗布した後、所望のグロス値または表面状態を有する型を押しつけ硬化することによっても形成することができる。
防眩性層を設けた場合の透光性電磁波シールド膜の光透過の際に生じるヘイズは0.5%以上20%以下であることが好ましく、より好ましくは1%以上10%以下である。ヘイズが小さすぎると防眩性が不十分であり、ヘイズが大きすぎると透過像鮮明度が低くなる傾向がある。
透光性電磁波シールド膜に耐擦傷性を付加するために、機能性フィルムがハードコート性を有していることも好適である。ハードコート層としてはアクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型または光硬化型樹脂等が挙げられるが、その種類も形成方法も特に限定されない。ハードコート層の厚さは、1〜50μm程度であることが好ましい。ハードコート層上に上記の反射防止層および/または防眩層を形成すると、耐擦傷性・反射防止性および/または防眩性を有する機能性フィルムが得られ好適である。
ハードコート性が付与された透光性電磁波シールド膜の表面硬度は、JIS(K―5400)に従った鉛筆硬度が少なくともHであることが好ましく、より好ましくは2H、さらに好ましくは3H以上である。
静電気帯電によるホコリの付着や、人体との接触による静電気放電を防止するため、透過性電磁波シールド膜には、帯電防止性が付与されることが好ましい。
帯電防止性を有する機能性フィルムとしては、導電性の高いフィルムを用いることができ、例えば導電性が面抵抗で1011Ω/sq程度以下であればよい。
導電性の高いフィルムは、透明基材上に帯電防止層を設けることにより形成することができる。帯電防止層に用いる帯電防止剤としては、具体的には、商品名ペレスタット(三洋化成社製)、商品名エレクトロスリッパー(花王社製)等が挙げられる。他に、ITOをはじめとする公知の透明導電膜やITO超微粒子や酸化スズ超微粒子をはじめとする導電性超微粒子を分散させた導電膜で帯電防止層を形成してもよい。上述のハードコート層、反射防止層、防眩層等に、導電性微粒子を含有させる等して帯電防止性を付与してもよい。
透光性電磁波シールド膜が防汚性を有していると、指紋等の汚れ防止や汚れが付いたときに簡単に取り除くことができるので好適である。
防汚性を有する機能性フィルムは、例えば透明基材上に防汚性を有する化合物を付与することにより得られる。防汚性を有する化合物としては、水および/または油脂に対して非濡性を有する化合物であればよく、例えばフッ素化合物やケイ素化合物が挙げられる。フッ素化合物として具体的には商品名オプツール(ダイキン社製)等が挙げられ、ケイ素化合物としては、商品名タカタクォンタム(日本油脂社製)等が挙げられる。
透光性電磁波シールド膜には、後述する色素や支持体の劣化等を防ぐ目的で紫外線カット性を付与することが好ましい。紫外線カット性を有する機能性フィルムは、支持体自体に紫外線吸収剤を含有させる方法や支持体上に紫外線吸収層を設けることにより形成することができる。
色素を保護するのに必要な紫外線カット能としては、波長380nmより短い紫外線領域の透過率が、20%以下、好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下である。紫外線カット性を有する機能性フィルムは、紫外線吸収剤や紫外線を反射または吸収する無機化合物を含有する層を透明基材上に形成することにより得られる。紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系等、従来公知のものを使用でき、その種類・濃度は、分散または溶解させる媒体への分散性・溶解性、吸収波長・吸収係数、媒体の厚さ等から決まり、特に限定されるものではない。
また、機能性フィルムに後述する色素を含有する層が形成されている場合は、その層よりも外側に紫外線カット性を有する層が存在することが望ましい。
透光性電磁波シールド膜を常温常湿よりも高い温度・湿度環境化で使用すると、水分により後述する色素が劣化したり、貼り合せに用いる接着剤中や貼合界面に水分が凝集して曇ったり、水分による影響で接着剤が相分離して析出して曇ったりすることがあるので、透光性電磁波シールド膜はガスバリア性を有していることが好ましい。
このような色素劣化や曇りを防ぐためには、色素を含有する層や接着剤層への水分の侵入を防ぐことが肝要であり、機能性フィルムの水蒸気透過度が10g/m2・day以下、好ましくは5g/m2・day以下であることが好適である。
プラズマディスプレイは強度の近赤外線を発生するため、透光性電磁波シールド膜を特にプラズマディスプレイに用いる場合は、近赤外線カット性を付与することが好ましい。
近赤外線カット性を有する機能性フィルムとしては、波長領域800〜1000nmにおける透過率を25%以下であるものが好ましく、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。
また、色素によっては耐光性に乏しいものもあるが、このような色素を用いることでプラズマディスプレイの発光や外光の紫外線・可視光線による劣化が問題になる場合は、前述のように機能性フィルムに紫外線吸収剤を含有させたり、紫外線を透過しない層を設けることによって、紫外線や可視光線による色素の劣化を防止することが好ましい。
熱、光に加えて、湿度や、これらの複合した環境においても同様である。劣化すると光学フィルターの透過特性が変わってしまい、色調が変化したり近赤外線カット能が低下する場合がある。
また、支持体を形成するための樹脂組成物や、塗布層を形成するための塗布組成物中に溶解又は分散させるために、色素は溶媒への溶解性や分散性も高いことが好ましい。
機能性フィルムに色素を含有させる場合、支持体の内部に含有していてもよいし、支持体表面に色素を含有する層をコーティングしてもよい。また、異なる吸収波長を有する色
素2種類以上を混合して一つの層中に含有させてもよいし、色素を含有する層を2層以上有していてもよい。
ここで、透光性電磁波シールド膜の電磁波シールド能が低下させないために、金属銀部或いは導電性金属部にアースをとることが望ましい。このため、透光性電磁波シールド膜上にアースをとるための導通部を形成し、この導通部がディスプレイ本体のアース部に電気的に接触するようにすることが望ましい。導通部は、透光性電磁波シールド膜の周縁部に沿って金属銀部或いは導電性金属部の周りに設けられていることが好適である。
導通部はメッシュパターンにより形成されていてもよいし、パターニングされていない、例えば金属箔ベタにより形成されていてもよいが、ディスプレイ本体のアース部との電気的接触を良好とする為には、金属箔ベタのようにパターニングされていないことが好ましい。
電極に用いる材料は、導電性、耐触性および透明導電膜との密着性等の点から、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、クロム、鉄、亜鉛、カーボン等の単体もしくは2種以上からなる合金や、合成樹脂とこれら単体または合金の混合物、もしくは、ホウケイ酸ガラスとこれら単体または合金の混合物からなるペーストを使用できる。ペーストの印刷、塗工には従来公知の方法を採用できる。また市販の導電性テープも好適に使用できる。導電性テープは両面ともに導電性を有するものであって、カーボン分散の導電性接着剤を用いた片面接着タイプ、両面接着タイプが好適に使用できる。電極の厚さは、これもまた特に限定されるものではないが、数μm〜数mm程度である。
・1液:
水 750ml
ゼラチン 20g
塩化ナトリウム 1.6g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
・2液
水 300ml
硝酸銀 150g
・3液
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム(0.005% KCl 20%水溶液) 5ml
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム(0.001% NaCl 20%水溶液) 7ml
3液に用いるヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム(0.005% KCl 20%水溶液)および
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム(0.001% NaCl20% 水溶液)は、粉末をそれぞれKCl 20%水溶液、NaCl20%水溶液に溶解し、40℃で120分間加熱して調製した。
水 100ml
硝酸銀 50g
・5液
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
<乳剤層>
乳剤Aに増感色素(sd-2)5.7×10-4モル/モルAgを加えて分光増感を施した。さらにKBr3.4×10-4モル/モルAg、化合物(Cpd-3)8.0×10-4モル/モルAgを加え、
良く混合した。
次いで1,3,3a,7-テトラアザインデン1.2×10-4モル/モルAg、ハイドロキノン1.2×10-2モル/モルAg、クエン酸3.0×10-4モル/モルAg、界面活性剤(Sa-1)、(Sa-2)、(Sa-3)を各々塗布量が60mg/m2、40mg/m2、2mg/m2になるように添加し、クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整した。このようにして調製した乳剤層塗布液を支持体上にAg7.6
g/m2、ゼラチン1.1g/m2になるように塗布した。なお、銀/バインダー(体積比)は、約1/1であった。
ゼラチン 0.23g/m2
化合物(Cpd-7) 40mg/m2
化合物(Cpd-YF) 7mg/m2
防腐剤(プロキセル) 1.5mg/m2
三酸化アンチモンを主触媒として重縮合した固有粘度0.66のポリエチレンテレフタレート樹脂を含水率50ppm以下に乾燥させ、ヒーター温度が280〜300℃設定の押し出し機内で溶融させた。
溶融させたPET樹脂をダイ部より静電印加されたチルロール上に吐出させ、非結晶ベースを得る。得られた非結晶ベースをベース進行方向に3.3倍に延伸後、巾方向に3.8倍に延伸し、厚さ96μmの支持体をロール形態で製造した。
支持体上に下記組成の塗布液を下記塗布条件にて、逐次、塗工、乾燥し、バック層(易接着層)1を形成した。
蒸留水 781.7質量部
ポリアクリル樹脂(ジュリマーET-410:日本純薬製、固形分30%) 30.9質量部
針状構造酸化スズ粒子(FS-10D:石原産業製、固形分20%) 131.1質量部
カルボジイミド化合物(カルボジライトV-02-L2:日清紡製、固形分40%) 6.4質量部
界面活性剤(サンデットBL:三洋化成工業製 固形分44.6%) 1.4質量部
界面活性剤(ナロアクティーHN-100:三洋化成工業製 固形分100%) 0.7質量部
シリカ微粒子分散液(シーホスターKE-W30:日本触媒製 0.3μm 固形分20%) 5.0質量部
蒸留水 941.0質量部
ポリアクリル樹脂(ジュリマーET-410:日本純薬製、固形分30%) 57.3質量部
エポキシ化合物(デナコールEX-521:ナガセ化成工業製、固形分100%) 1.2質量部
界面活性剤(サンデットBL:三洋化成工業製 固形分44.6%) 0.5質量部
易接着層1に対し、針状構造酸化スズ粒子(FS-10D:石原産業製、固形分20%)を含有さ
せることなく、塗布液を調整し、易接着層2を形成した。
上記の1層目塗布液と、2層目塗布液とを下記組成に変更して易接着層4を形成した。(1層目塗布液)
蒸留水 578.7質量部
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス
(Nipol Latex LX407C4C:日本ゼオン製 固形分43%) 192.2質量部
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス
(Nipol Latex LX407C4E:日本ゼオン製 固形分43%) 54.4質量部
ポリアクリルラテックス
(ダイセル化学工業製 固形分20%) 2.7質量部
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩 25.0質量部
ポリスチレン微粒子(平均粒径2μm)
(Nipol UFN1008:日本ゼオン製 固形分10%) 0.5質量部
界面活性剤(三協化学製 Cpd-23) 0.5質量部
蒸留水 988.4質量部
ゼラチン(アルカリ処理) 10.0質量部
酢酸(特 純良氷酢酸:ダイセル化学工業製、固形分99%) 0.42質量部
化合物(Cpd-21) 0.23質量部
プロキセル(Cpd-22 固形分3.5%) 1.0質量部
上記支持体のバック層を形成する面とは反対面に、下記組成の下塗層塗布液を、バック層塗工時に同時塗工することで、乳剤層用の下塗層とした。
蒸留水 823.0質量部
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス
(Nipol Latex LX407C5:日本ゼオン製 固形分40%) 151.5質量部
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩
25.0質量部
ポリスチレン微粒子(平均粒径2μ)
(Nipol UFN1008:日本ゼオン製 固形分10%) 0.5質量部
とし、エアー浮上乾燥ゾーンで160℃1分乾燥することで2層構成の下塗層を得た。
蒸留水 982.4質量部
ゼラチン(アルカリ処理) 14.8質量部
メチルセルロース(TC-5:信越化学工業製) 0.46質量部
化合物(Cpd-21) 0.33質量部
プロキセル(Cpd-22 固形分3.5%) 2.0質量部
上記下塗層を施した支持体上に、まず乳剤層面側として支持体に近い側よりUL層、乳剤層の順に2層を、35℃に保ちながらスライドビードコーター方式により同時重層塗布し、冷風セットゾーン(5℃)を通過させた。ここで、硬膜剤であるCpd-7は塗布直前に
UL層へ前述の量添加し、UL層から拡散させることにより乳剤層へ含有させた。そして、冷風セットゾーン(5℃)を通過させた。各々のセットゾーンを通過した時点では、塗布液は充分なセット性を示した。引き続き乾燥ゾーンにて両面を同時に乾燥した。
膨潤率が209%、Ag/ゼラチン質量比と膨潤率の積が13.2である乳剤層を、最上層に有する感光材料であった。ここで乳剤層の膨潤率は以下のように求めた。すなわち、乾燥時のサンプルの切片を走査型電子顕微鏡で観察することにより乾燥時の乳剤層の膜厚(a)を求め、25℃の蒸留水に1分間浸漬した後液体窒素により凍結乾燥したサンプルの切片を走査型電子顕微鏡で観察することにより膨潤時の乳剤層の膜厚(b)を求め、膨潤率を次式で算出した。
膨潤率(%)=100×((b)−(a))/(a)
乾燥させた各サンプルの乳剤層上に青色半導体レーザーを搭載したイメージセッター(ESCHER−GRAD社製Cobalt8、レーザー波長410nm)を用いて、線幅15μm、ピッチ300μmのメッシュパターン状の露光を与えた。
このとき露光量は各試料に合わせて最適となるよう調節した。
露光後の試料に対し、続いて現像処理を施し、金属銀部を作成し、引き続き、メッキ処理を施すことにより、導電性金属部が現像銀及び銅からなる導電性膜を作成した。
処理工程 温 度 時 間
黒白現像 20℃ 60秒
定着 35℃ 40秒
リンス1* 35℃ 60秒
リンス2* 35℃ 60秒
乾 燥 50℃ 60秒
酸洗浄 35℃ 30秒
電解めっき1 35℃ 30秒 電圧 70V
電解めっき2 35℃ 30秒 電圧 20V
電解めっき3 35℃ 30秒 電圧 10V
電解めっき4 35℃ 30秒 電圧 5V
リンス3* 35℃ 10秒
リンス4* 35℃ 10秒
防錆液 35℃ 30秒
リンス5* 25℃ 60秒
リンス6* 25℃ 60秒
乾 燥 50℃ 60秒
* 水洗過程は、リンス2から1、リンス4から3、リンス6から5への2タンク向流
方式とした。
〔黒白現像液 1L処方〕
ハイドロキノン 20 g
亜硫酸ナトリウム 50 g
炭酸カリウム 40 g
エチレンジアミン・四酢酸 2 g
臭化カリウム 3 g
ポリエチレングリコール2000 1 g
水酸化カリウム 4 g
pH 10.3に調整
ATS 1.2 モル
沃化アンモニウム 5 g
亜硫酸アンモニウム・1水塩 25 g
酢酸 5 g
アンモニア水(27%) 1 g
pH 6.2に調整
硫酸 190 g
塩酸(35%) 0.06 mL
カパーグリームPCM 5 mL
(ローム・アンド・ハース電子材料(株)製)
純水を加えて 1 L
・電解銅めっき液組成(補充液も同組成)
硫酸銅五水塩 75 g
硫酸 190 g
塩酸(35%) 0.06 mL
カパーグリームPCM 5 mL
(ローム・アンド・ハース電子材料(株)製)
純水を加えて 1 L
脱イオン水(導電率5μS/cm以下) 1000 mL
pH 6.5に調製
(評価1:黒色スポットの評価)
各サンプルを未露光のまま現像処理を行い、目視により各試料上を観察して黒色でスポット状の欠陥が形成されているか否かを評価した。この黒色スポットは、メッシュ状パターンの細線の途切れを伴なっている特徴を持っていた。
従来、ネガ型ハロゲン化銀写真感光材料においてよく知られているカブリは、未露光部に現像銀が生じる現象を指す。しかし、本願の黒色スポットに見られるメッシュ細線の途切れは、露光部に現像銀が生じていないことを意味しており、従来のカブリ現象では理解できない、本系に特有の現象である。
なお、評価基準は以下の通りとした。
<メッシュ細線の途切れを伴なった黒色スポットの発生頻度の評価基準(現像後の試料1m2を観察)>
レベルA:黒色スポット数0〜3個。
レベルB:黒色スポット数4個〜10個。
レベルC:黒色スポット数10個超。
得られた評価結果を表1に示す。
各試料の易接着層側にシート状接着剤を貼付し、ガラス基板に貼合した。
上記の測定方法に従い180°剥離強度を測定した。また、60℃湿度90%下に72時間保存した後、やはり180°剥離強度を測定した。
評価結果を表1に示す。
また、表中、×は添付したフィルムがガラスから一部分剥れて浮いて欠陥が生じたことを示す。△は添付したフィルムがガラスから「×」よりも程度が軽いが、一部分剥れて浮いて欠陥が生じたことを示す。〇はこの問題が観察されなかったことを示す。
なお、従来ハロゲン化銀写真感光材料で多用されてきたゼラチンを利用した易接着層では、湿熱経時後の剥離強度の点で問題があることが分かる(サンプル4)。これに対し、アクリル樹脂を易接着層最上層に有するもの(サンプル2)は、優れた剥離強度を持つことが分かる。
但し、ゼラチンを用いたサンプル4では、メッシュ途切れを伴なった黒色スポットの発生頻度は少なく、大きな問題ではなかった。しかし、アクリル樹脂を用いたサンプル2では、剥離強度に優れるものの、メッシュ途切れを伴なった黒色スポットが頻発した。この問題に対し、本発明のサンプル1は、メッシュ途切れ(黒色スポット)を顕著に改善することが分かった。尚、メッシュの開口部のいわゆるカブリ濃度は、易接着層成分がゼラチンでもアクリル樹脂でも同程度であったことから、導電性金属酸化物の作用効果は、単なるカブリ防止ではないと考えられる。
尚、従来産業上利用されるハロゲン化銀感光材料の殆どは、ハロゲン化銀乳剤層が最上層ではなく、乳剤層上に保護層を有する感光材料である。上記実施例に対し、乳剤層上にゼラチンからなる保護層を設けることによっても、メッシュ途切れを伴なった黒色スポットは見られなかった。また、ハロゲン化銀乳剤層の銀/バインダー体積比が1/4以下の感光材料では、該欠陥は見られなかった。以上のことから、該欠陥が、導電性金属膜を形成可能な本系に特有の問題であることが分かる。
尚、実施例1作成の感光材料の乳剤層側の最外層に保護層を設けると、10Ω/□以上の導電性の低い部分ができやすく、導電性金属膜や電磁波シールドフィルムを得るという本願の目的には好ましくなかった。また、ハロゲン化銀乳剤層の銀/バインダー体積比が1/4以下の感光材料では10Ω/□以上の導電性の低い部分ができやすく、導電性金属膜や電磁波シールドフィルムを得るという本願の目的には好ましくなかった。
上記サンプルNo.1で得た透光性電磁波シールド能を有するフィルムを用い、外縁部20mmを除いた内側の透光性電磁波シールド膜上に、厚さ25μmのアクリル系透光性粘着材を介して、ガラス板を貼り合わせた。該アクリル系透光性粘着材層中には光学フィルターの透過特性を調整する調色色素(三井化学製PS−Red−G、PS−Violet−RC)を含有させた。さらに、該ガラス板の反対の主面には、粘着材を介して近赤外線カット能を有する反射防止フィルム(日本油脂(株)製 商品名リアルック772UV)を貼り合わせ、光学フィルターを作製した。
11 めっき浴
12a,12b 給電ローラ
13 アノード板
14 ガイドローラー
15 めっき液
16 フィルム
17 液切ローラー
21 導電性膜
22 導電性機能層
23 支持体
24 露光部(金属銀部)
25 未露光部
26 電解めっき処理部
27 電解めっき処理部
28 ハロゲン化銀乳剤層
Claims (13)
- 支持体と、
前記支持体の一方の面上に設けられた銀塩を含有する銀塩乳剤層と、
前記支持体の他方面上に設けられた合成樹脂、カルボジイミド化合物、及び導電性粒子を含有する易接着層と、
を有するハロゲン化銀感光材料の前記銀塩乳剤層に露光及び現像処理を施して得られる導電性金属膜であって、
前記銀塩乳剤層は、銀及びバインダーを含有し、銀/バインダー体積比が1/3以上であり、
前記易接着層における前記導電性粒子の含有量が前記合成樹脂及びカルボジイミド化合物の合計に対して120〜440質量%であり、
かつ、導電性金属膜の前記易接着層面とガラス基板とを貼り合せて温度60℃、相対湿度90%のもとで72時間経時した後の剥離強度が20N/m以上である、導電性金属膜。 - 前記易接着層における前記導電性粒子の含有量が前記合成樹脂及びカルボジイミド化合物の合計に対して170〜370質量%であることを特徴とする請求項1に記載の導電性金属膜。
- 前記易接着層の温度60℃、相対湿度90%のもとで72時間経時した後のガラス基板との剥離強度が20N/m以上76N/m以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性金属膜。
- 前記合成樹脂が、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂およびスチレンブタジエンゴムからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性金属膜。
- 前記合成樹脂が、アクリル樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性金属膜。
- 前記導電性粒子が、金属酸化物を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の導電性金属膜。
- 前記金属酸化物が、ZnO、TiO2 、SnO2 、Al2 O3 、In2O3、MgO、BaO及びMoO3からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項6に記載の導電性金属膜。
- 前記導電性粒子が、アンチモンがドープされたSnO2 を含むことを特徴とする請求項6に記載の導電性金属膜。
- 前記導電性粒子が針状粒子であり、その短軸に対する長軸の比が3〜50の範囲にあることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の導電性金属膜。
- 前記銀塩乳剤層の膨潤率が150%以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の導電性金属膜。
- 前記銀塩乳剤層が前記ハロゲン化銀感光材料の最外層にあることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の導電性金属膜。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の導電性金属膜を用いて製造されたことを特徴とする電磁波シールドフィルム、プラズマディスプレイパネル用光学フィルター、又は、プラズマディスプレイパネル。
- 支持体と、
前記支持体の一方の面上に設けられた銀塩及びバインダーを含有し、銀/バインダー体積比が1/3以上である銀塩乳剤層と、
前記支持体の他方面上に設けられた合成樹脂、カルボジイミド化合物、及び導電性粒子を含有し、前記導電性粒子の含有量が前記合成樹脂及びカルボジイミド化合物の合計に対して120〜440質量%である易接着層と、
を有するハロゲン化銀感光材料の前記銀塩乳剤層に対し、露光して現像処理を施し、現像処理工程と、
更に物理現像処理及び/またはめっき処理を施して導電性金属部を形成し、導電性金属膜を得る導電性金属部形成工程と、
を有することを特徴とする導電性金属膜の製造方法。
ただし、前記導電性金属膜の前記易接着層面とガラス基板とを貼り合せて温度60℃、相対湿度90%のもとで72時間経時した後の剥離強度は20N/m以上である。
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