JP4831745B2 - 3層交差管接手 - Google Patents

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Description

本発明は、温室、サクランボハウス、畜舎、露地野菜用防虫ハウス等の簡易建物の骨組み、特に棟木と平面視X字状に立体交差するアーチ材とを接合するための3層構造の交差管接手の構造に関するものである。
従来、枠組構成が簡単かつ強固にしてシート等の被覆体と枠体の自重による変形の防止と保形を完璧ならしめると共に大型化を図りうるハウスを得ることを目的として、複数のPC鋼線からなる枠体を弧状に彎曲せしめて、その両外端を地中に挿し込み適宜連結して骨組構成しビニールその他のシートまたはフィルムを展張してなる農業用または園芸用ハウスにおいて、前記枠体を交互に反対方向に傾斜させて地中に挿し込み、少くとも各枠体の交叉部を斜金または金具等により固縛連結すると共に各枠体を引締部材により枠体を彎曲する方向に引締めてなる農業用または園芸用ハウスが提案されている。
実開昭53−106449号公報(図7参照)
他方、従来の農業用ハウスは、複数本のアーチ型彎曲材を左右の基礎台へ間隔をおいて平行状に装着し、これら複数のアーチ型彎曲材はブレース及びタイバーにより連結して枠体を組成した後、該枠体の表面を覆膜で覆って構成されていたことから、従前の枠組みにあっては同一材により梁間の増減と柱ピッチの増減ができないため、その組成に際しては農業ハウスの大きさに合わせてアーチ型彎曲材は勿論のこと、ブレースやタイバーも異なる寸法のものをいちいち用意する必要が生じ、製作費が高価となるばかりか、組立に多くの時間がかかる外、強度的にも弱くなる等の欠点が生じ、これを改善することを目的として、左右基礎台の対称位置に間隔を置いて複数設けた連結金具へ、基端側をそれぞれ装着した同一部材の彎曲材を4本宛交叉状に付き合せ、該彎曲材の付き合せ部は、枢支軸を軸として互いに回動できるよう交叉状に連結された一対の継合金具で順次連結して形成した交叉式アーチ枠を、複数組連続に隣接して組成せしめると共に前記連続に組成された交叉式アーチ枠の表面に補助部材をもって覆膜を覆った交叉式アーチ型農業用ハウスが提案されている。
特開昭57−181621号公報(図8参照)
前記特許文献1及び前記特許文献2に記載された発明の農業用ハウスの棟部はいずれも、棟木を具備しないものであるから、アーチ枠同士をX字状に接合する金具は開示されているものの、棟木とX字状に重なり合って交差するアーチ材とを接合する3層で立体的に交差する管を接合する器具は開示されていない。
以上の実状に鑑み、本発明は前記従来技術の欠点を克服することを課題とし、棟木と平面視X字状に立体交差するアーチ材を接合するための、新規の3層構造の棟木部接手を提供することを目的とするものである。
請求項1に係る発明は、湾曲板と取付板とからなる棟木固定部と、複数本の鋼管パイプをその開口部から挿入固定して立体的に交差接合するX字接続管と、 から構成される3層交差管接手において、前記取付板は、正面視中央に棟木5と固定具15の頭部を受け入れる凹部が形成された上板の両端に下縁がテーパー状とされた脚を備えて前記X字接続管の上方に一体的に取り付けられ、前記湾曲板と係脱可能に形成されたクサビであり、前記湾曲板は、正面視逆U字状を呈し、両側の側板の内方下端部に、下縁がテーパー状とされた脚を備えた前記取付板が側面視して左右いずれの側からでも打ち込める、中央部位が頂となる山形に形成された溝を備え、前記X字接続管に前記複数本の鋼管パイプを挿入固定してX字骨組みユニットを組み立てた状態において、前記棟木に沿って滑ることにより、前記X字接続管とその上方において一体化されている前記取付板と係合されて、前記棟木と前記X字骨組みユニットとが接合されることを特徴としている。
本発明に係る3層交差管接手は、棟木と平面視X字状に立体交差するアーチ材を接合するための新規の3層構造の棟木部接手を提供することができる。
図1は、簡易建物の骨組み構造の実施例の斜視図、図2は、同側面図、図3は、簡易建物の骨組みの骨組みユニットを示す図である。図4は、(a)が本発明に係る棟木材とアーチ材を接合する3層交差管接手を示す斜視図、(b)が正面図、(c)が側面図である。図5は、アーチ材同士をX字状に接合するX字接手を示す図、図6は、水平の桁材と垂直からやや傾いたアーチ材を接合する十字接手を示す図である。図7,8は、従来の簡易建物の骨組み構造を示す図面である。
図1乃至図6を参照して、簡易建物の骨組み構造の実施例について詳細に説明する。
1は、一般構造用炭素鋼管から組成された簡易建物の骨組み構造を表わすものであり、通常この骨組みには、ビニル系、ポリオレフィン系、フッ素系等のフィルム、シート、防虫ネット等の被覆材が被覆されて、温室、サクランボハウス、畜舎、露地野菜用防虫ハウス、倉庫等の簡易な建物として利用される。
2は、正面視左右対称形状の湾曲部材である2本の湾曲した鋼管パイプ2a、2bを公知の接手によって接合した逆U字状の端部アーチ部材であり、簡易建物の棟方向両端部において、梁間方向に配されている。この実施例では、所定の間隔をあけて2本の端部アーチ部材2が、建物両端部にそれぞれ設置されて端部アーチ材を構成しているが、その数は1本でも、3本でもよい。
3は、図3に示されるように、平面視X字状に、正面視アーチ状となるように、図4に示される棟木部接手11によって接合された骨組みユニットである。
この棟木部接手11は、上段に棟木材5に固定される棟木固定部12と、該棟木固定部の下方にボルト等の固定具15にて連結され、後述する4本の鋼管パイプの一端を開口部から挿入固定して接続するX字接続管16とから構成されている。
棟木固定部12は、棟木5に固定される湾曲板13と、X字接続管16と固定具15にて一体化された取付板14とから構成されており、鋼板を折曲げ加工したものを図5(b)に示される黒塗りされた部位において溶接して形成されたものである。
曲板12は、正面視逆U字状を呈し、両側の側板131、131の下端部には内方及び上方へ折曲げられたL字部材133、133が溶接されて溝134が形成されている。
該溝134は後述するテーパー状の脚141を備えた取付板14が、側面視して左右いずれの側からでも打ち込めるように、中央部位が頂となる山形に形成してある。
取付板14は、正面視中央に棟木5と固定具15の頭部を受け入れる凹部が形成された上板の両端に、下縁がテーパー状とされた脚141が溶接された、ある種のクサビである。
X字接続管16は、2本の接続管17、18がX字状に重なって立体的に交差しており、上記取付板14とともにボルト、ナット等の固定具15にて一体化されている。
骨組みユニット3は、上述の端部アーチ材用の鋼管パイプ2a、2bと同じ高さで、正面視したときの幅がやや広く、平面視して斜めに配置したときに端部アーチ材用の鋼管パイプの形状と同じになる、正面視左右対称形状の4本の湾曲した鋼管パイプ3a、3b、3c、3dの先端を、上述のX字接続管16に挿入固定して交差状に組み立てられている。
このとき、X字接続管16上方には取付板14が固定されているので、棟木5を挟持した状態で上記湾曲板13の溝134に取付板14の脚141を当接し、湾曲板13を棟木5に沿って滑らせて、棟木5と骨組みユニット3とを接合する。
このようにして組み立てられた骨組みユニット3は、平面視してX字状を、正面視してアーチ状を呈する。
この実施例では、4本の湾曲した鋼管パイプ3a、3b、3c、3dにて骨組みユニット3を構成したが、この実施例に限らず、それ自体アーチ形状をした2本の湾曲部材を上記のものとは異なるX字接手により立体的に交差した状態に接合してもよい。
4は、図1に示されるように、連続的に設置されたものの一つ置きのX字状骨組みユニット3に取り付けられるタイバーである。このタイバーは、骨組みユニット3の平面視右側に位置する湾曲部材3a、3dを連結している。
なお、タイバー4の取り付け方については、全ての骨組みユニット3に取り付けてもよい。また、骨組みユニット3の左側、あるいは両側に取り付けることも可能である。要するに、風の強さや降雪量等の地域特性を考慮して決定すればよい。
5は、上記端部アーチ材と上記アーチ材の頂部に接合された棟木、6、7は、該両アーチ材の肩部、柱部下端部に接合された桁材、裾材である。
以下、上述の端部アーチ材、アーチ材、棟材、桁材、裾材の具体的な設置例について説明する。
間口6m、地表面より桁材までの柱高2mの端部アーチ部材2aは、簡易建物の棟方向両端に1本ずつ、その内側に0.45〜0.55m間隔を設けてもう1本ずつ建て込まれ、柱部下端部が土中に挿入されて立設され、端部アーチ材2を構成している。
その中間には、複数単位の骨組みユニット3が連続的に0.8〜0.9mスパンで建て込まれているが、図1に示されるように、隣り合う骨組みユニット3、例えば図2に示される3の1と3の2の湾曲部材同士3aと3c、3dと3bは、棟木材5と桁材6との間において、X字接手21によって重なって交差するように配設され、また、一つ置きの骨組みユニット3、例えば3の1と3の3の湾曲部材の柱部下端同士が、略近接して位置するように配設され、その下端部が土中に挿入されている。
図5を参照して、X字接手21について説明する。
図5(b)は、パイプ3a、3cを実装した平面図である。
X字接手21は、短冊状の鋼板を折曲加工して形成されていて、短手方向に対して所定角度である20°傾斜した溝状受入部23を有している同一形状の2枚の鋼板22、22を、該溝状受入部23、23同士を対向させて重合して、図示しないボルト、蝶ナット等の固定具にて固定されている。
前記2枚の鋼板のうちの一方22の1端部には円孔24が、他端部には前記円孔24を中心とする円弧に沿った長孔26が穿設されている。
そして、前記2枚の鋼板のうちの他の鋼板22の両端部には、前記円孔24と前記長孔26に対応する位置にそれぞれ円孔25,27が穿設されている。
円孔27は、鋼管パイプ3a、3cが40度の角度で交差するとき、長孔26の中心に位置するよう設定されている。
一方の鋼板22は、他の鋼板22に対して円孔24、25を貫通するボルト等の固定具を中心として±5度程度回動し得るから、鋼管パイプ3a、3c同士の交角が多少変化しても、鋼板22を相互に回動することにより微調整可能である。
次いで肩部における十字接手31について、図6を参照して説明する。
図6(a)は正面図、図6(b)は平面図、図6(c)は側面図である。
この肩部における十字接手31は、前記アーチ材2、3の肩部及び裾部において、桁材6または裾材7と該アーチ材とを、アーチ材がやや傾斜した十字状に接合する接手である。肩部における十字接手と裾部における接手とは構造が同一であるので、以下、肩部における十字接手について説明する。
十字接手31は、短冊状の鋼板を折曲加工して形成されるもので、水平方向に伸びる桁材6または裾材7を収容する半円形湾曲板32と、その側板35に形成された開口部33に挿通され、アーチ材2または端部アーチ材を収容するU字状係合片34と、半円形湾曲板32の側板下端に形成された内方折曲片37と鋼管パイプの間隙に打ち込まれる楔片38とから構成されている。
半円形湾曲板32に形成された開口部33の幅は、上記U字状係合片34の幅より大きくされて、開口部33の上縁には、U字状係合片34の端縁を直交方向と±10度の範囲で回動して、任意の角度で受け入れる係合凹部39が刻設されている。
また、U字状係合片34の上縁部には、桁材等6(7)を受け入れる円弧状凹部40が設けられている。
桁材6と裾材7は、この肩部接手31と同様の構造の裾部接手により、上記アーチ材2、3に固定される。
以上の説明から明らかなように、この実施例の簡易建物の骨組み構造によれば、棟部において、4本の鋼管パイプをX字接続管16にて一体化して骨組みユニット3を構成し、この骨組みユニット3を湾曲板13と取付板14にて棟木5に固定し、棟木5と桁材6の中間部位において、X字接手21にて隣り合う骨組みユニットのアーチ材同士を接合して、肩部において1つ置きに隣り合う骨組みユニット3のアーチ材同士を近接させて桁材6と接合して、屋根面を構成している。
屋根面の棟木5と桁材6の間では、棟木5を上弦材とし桁材6を下弦材とするトラスが二重に配置された構造となっており、強度的に優れた架構を構築することができる。
簡易建物の骨組み構造の斜視図である。 簡易建物の骨組み構造の側面図である。 骨組み構造の1単位の骨組みユニットの斜視図である。 (a)は本発明に係る3層交差管接手の全体斜視図、(b)は棟木固定部の正面図、(c)は同側面図である。 アーチ材同士をX字状に接合するX字接手を示す図である。 水平の桁材と垂直からやや傾いたアーチ材を接合する十字接手を示す図である。 従来例1の簡易建物の骨組み構造を示す図面である。 従来例2の簡易建物の骨組み構造を示す図面である。
符号の説明
1 簡易建物の骨組み構造
2 端部アーチ材
3 アーチ材
4 タイバー
5 棟木材
6 桁材
7 裾材
9 谷樋
11 3層交差管接手
12 棟木固定部
15 固定具
16 X字接続管
21 X字接手
22 鋼板
23 鋼板
31 十字接手
32 半円形湾曲板
34 U字状係合片
38 楔片

Claims (1)

  1. 湾曲板と取付板とからなる棟木固定部と、
    複数本の鋼管パイプをその開口部から挿入固定して立体的に交差接合するX字接続管と、
    から構成される3層交差管接手において、
    前記取付板は、正面視中央に棟木と固定具の頭部を受け入れる凹部が形成された上板の両端に下縁がテーパー状とされた脚を備えて前記X字接続管の上方に一体的に取り付けられ、前記湾曲板と係脱可能に形成されたクサビであり、
    前記湾曲板は、正面視逆U字状を呈し、両側の側板の内方下端部に、下縁がテーパー状とされた脚を備えた前記取付板が側面視して左右いずれの側からでも打ち込める、中央部位が頂となる山形に形成された溝を備え、前記X字接続管に前記複数本の鋼管パイプを挿入固定してX字骨組みユニットを組み立てた状態において、前記棟木に沿って滑ることにより、前記X字接続管とその上方において一体化されている前記取付板と係合されて、
    前記棟木と前記X字骨組みユニットとが接合されることを特徴とする3層交差管接手。
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