JP4831530B2 - 交流電動機のインバータ制御装置とその制御方法 - Google Patents
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Description
また、第2の従来技術は、検出された直流電圧(平滑コンデンサの端子電圧に相当)が過電圧として可変速装置をトリップさせる直流母線電圧過電圧レベルより低く設定された基準値を超えた場合に、上昇させる出力周波数を前記検出された直流電圧値と前記基準値との差に一定の比例ゲインをかけて求めて、出力周波数を上昇させるように制御するようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
また、第2の従来技術では、直流母線電圧が上昇した場合に速度を上昇させ、直流母線電圧が下がれば減速させるという手順を繰り返し行うので、加速、減速あるいは減速、減速停止を繰り返してトルクリップルを発生させるという問題もあった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、回生運転状態において、トルクリップルを発生させること無く、直流母線電圧の上昇による過電圧トリップの防止を確実に行うことができる交流電動機のインバータ制御装置、およびその過電圧防止方法を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、交流電動機を負荷とし、交流電源からの交流電圧を直流電圧に変換する整流回路と、前記整流回路からの直流電圧を平滑する平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの端子電圧を検出する電圧検出回路と、前記直流電圧を可変周波数、可変電圧の交流電圧に変換するインバータと、周波数指令設定器からの周波数指令1を基に出力電圧指令を演算する出力電圧指令演算回路と、を備え、前記インバータは前記出力電圧指令に基づいた電圧を前記交流電動機に印加するインバータ制御装置であって、前記インバータのパワー出力値を演算するパワー出力演算回路と、前記平滑コンデンサの端子電圧の目標値およびその検出値を用いてパワー出力目標値を演算し、前記パワー出力目標値と前記パワー出力値との偏差に基づき周波数指令2を演算する周波数指令演算回路と、前記平滑コンデンサの端子電圧が基準値を越えると、前記出力電圧指令演算回路に入力する周波数指令を、前記周波数指令1から前記周波数指令2に切り替えるシーケンス回路とを有することを特徴とするものである。
請求項3記載の発明は、請求項1記載のインバータ制御装置において、前記周波数指令演算回路では、前記パワー出力目標値の符号に基づいて、前記交流電動機を含む機械でのパワー損失分を加算あるいは減算してパワー出力目標値を補正演算することを特徴とするものである。
請求項5記載の発明は、請求項1記載のインバータ制御装置において、特に前記交流電動機が誘導電動機である場合に、前記周波数指令演算回路では、前記パワー出力目標値と前記パワー出力値との偏差および前回出力した周波数指令値を用いてトルク目標値を演算し、前記トルク目標値を用いてすべり周波数指令を演算し、すべり補償することを特徴とするものである。
請求項6記載の発明は、交流電動機を負荷とし、交流電源からの交流電圧を直流電圧に変換する整流回路と、前記整流回路からの直流電圧を平滑する平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの端子電圧を検出する電圧検出回路と、前記直流電圧を可変周波数、可変電圧の交流電圧に変換するインバータと、周波数指令設定器からの周波数指令1を基に出力電圧指令を演算する出力電圧指令演算回路と、を備え、前記インバータは前記出力電圧指令に基づいた電圧を前記交流電動機に印加するインバータ制御装置の制御方法であって、
パワー出力演算回路では、前記インバータのパワー出力値を演算し、周波数指令演算回路では、前記平滑コンデンサの端子電圧の目標値およびその検出値を用いてパワー出力目標値を演算し、前記パワー出力目標値と前記パワー出力値との偏差に基づき周波数指令2を演算し、シーケンス回路では、前記平滑コンデンサの端子電圧が基準値を越えると、前記出力電圧指令演算回路に入力する周波数指令を、前記周波数指令1から前記周波数指令2に切り替えるという手順をとったのである。
また、請求項2に記載の発明によると、交流電動機のインバータ制御装置でのパワー損失分を考慮したパワー出力目標値を演算することができ、請求項3に記載の発明によると、交流電動機を含む機械でのパワー損失分を考慮したパワー出力目標値を演算することができるので、平滑コンデンサの端子電圧の目標値とその検出値が一致した状態でも、スムーズに運転することができ、不必要な加減速や減速停止を繰り返すことがなくなる。
また、請求項4に記載の発明によると、トルク目標値を制限することができ、過度なトルクの発生を防止できるので適用機械を保護することができる。
また、請求項5に記載の発明によると、負荷である交流電動機が誘導電動機である場合、すべり周波数を補償することができるので、目論見のパワー出力になるまでの遅れ時間を短縮できる。
なお、11は通常運転時の周波数指令である周波数指令1(fref1)を出力する周波数指令設定器、12は負荷である誘導電動機である。なお、周波数指令設定器11には周波数指令を加減速レート付きで指令するように変換するソフトスタータ機能を内蔵している。
図2において、13はスイッチ、14は比較器、15は係数器である。ここで、係数器15には平滑コンデンサ端子電圧基準値を設定する。平滑コンデンサ端子電圧基準値は、通常運転を行うか、過電圧防止運転を行うかの閾値を決める基準値である。したがって、この基準値は通常運転時での平滑コンデンサ端子電圧値より大きな値を設定することが望ましい。
比較器14は、平滑コンデンサ電圧検出値Vpnと係数器15の設定値を比較し、Vpnの値が係数器15の設定値より小さければ、スイッチ13はA側を選択して、シーケンス回路6は周波数指令設定器11の出力である周波数指令1(fref1)を、逆に大きければスイッチ13はB側を選択して、シーケンス回路6は周波数指令演算回路7の出力である周波数指令2(fref2)を周波数指令(fref)として出力する。
このようにして、平滑コンデンサの端子電圧が基準値を越えているか否かで、周波数指令演算回路7および出力電圧指令演算回路8に入力する周波数指令(fref)を切り替える。
図3において、16、17は係数器、18はエネルギー目標値演算回路、19はエネルギー演算回路、20は減算器、21はリミット回路、22は係数器、23はパワー出力演算回路、24は加減算器、25は係数器、26は除算器、27はトルクリミット回路、28は係数器、29は加算器、30は加算器、31は減算器、32はすべり演算器、33は遅延回路である。
ここで、係数器16には平滑コンデンサ2の端子電圧の目標値Vpnc、係数器17には平滑コンデンサ2のコンデンサ容量C、係数器22には減算器20の出力値を0に制御するための制御ゲイン、係数器25にはインバータ制御装置での損失量と誘導電動機を含む機械での損失量の合計値、係数器28には1/J(Jは誘導電動機12を含む負荷全体の慣性モーメント値)を設定している。
また、係数器16の設定値であるVpncは、係数器15の設定値である平滑コンデンサ端子電圧基準値(通常運転を行うか、過電圧防止運転を行うかの閾値を決める基準値)
と同値かそれより大きな値を設定することが望ましい。
減算回路20では、エネルギー演算回路19の出力値からエネルギー目標値演算回路20の出力値を減算してエネルギー偏差を出力し、リミット回路21では減算器20の出力値を下限値ゼロでリミットし、リミット回路21の出力値は係数器22の設定値と乗算されてパワー出力目標値Prefとなる。なお、リミット回路21で上記エネルギー偏差を下限値ゼロでリミットするのは、平滑コンデンサの端子電圧の変動等で減速方向に動作することを防止するためである。
パワー出力演算回路23では、電流検出器4で得られたインバータ出力電流検出値と、出力電圧指令演算回路8から送出された出力電圧指令値を用いてインバータ制御装置のパワー出力値Pを演算する。
加減算器24では、上記パワー出力目標値Prefと上記パワー出力値Pの減算し、さらに、係数器25の設定値を減算して、パワー偏差ΔPを出力する。
また、すべり演算回路32では、トルクリミット回路27の出力値を用いてすべり周波数を演算する。減算器31では、遅延器33により出力された前回の周波数指令(fref)からすべり周波数を減算して、誘導電動機12の速度fを出力する。
加算器29では、誘導電動機12の速度fと係数器28から出力された加速度目標値を加算し、さらに、すべり演算回路32から出力されたすべり周波数を加算して周波数指令2(fref2)を演算する。
また、ここでは、インバータ制御装置や誘導電動機を含む機械での損失分を、係数器25の設定値として一定としたが、厳密にインバータ出力電流等の関数にして内蔵するようにしてもよいのは言うまでもない。
また、上記では誘導電動機を用いて説明したが、誘導電動機の代わりに同期電動機を用いても本発明は同様に実施できる。その場合はすべり演算回路32の出力をゼロとすればよい。
また、インバータ制御装置での損失や交流電動機を含む機械での損失、機械保護の考慮、および誘導電動機適用時のすべり周波数補償についての考慮を含む構成として説明したが、これら考慮はどれか1つだけでも、複数個の任意の組み合わせで実施してもよい。また、その場合でもそれぞれの効果に変わりはない。
2 平滑コンデンサ
3 PWMインバータ回路
4 電流検出回路
5 電圧検出回路
6 シーケンス回路
7 周波数指令演算回路
8 出力電圧指令演算回路
9 PWM制御回路
10 ベースドライブ回路
11 周波数指令設定器
12 誘導電動機
13 スイッチ
14 比較器
15、16、17、22、25、28 係数器
18 エネルギー目標値演算回路
19 エネルギー演算回路
20、31 減算器
21 パワー出力演算回路
23 リミット回路
24 加減算器
26 除算器
27 トルクリミット回路
29、30 加算器
32 すべり演算回路
33 遅延回路
Claims (6)
- 交流電動機を負荷とし、交流電源からの交流電圧を直流電圧に変換する整流回路と、前記整流回路からの直流電圧を平滑する平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの端子電圧を検出する電圧検出回路と、前記直流電圧を可変周波数、可変電圧の交流電圧に変換するインバータと、周波数指令設定器からの周波数指令1を基に出力電圧指令を演算する出力電圧指令演算回路と、を備え、
前記インバータは前記出力電圧指令に基づいた電圧を前記交流電動機に印加するインバータ制御装置であって、
前記インバータのパワー出力値を演算するパワー出力演算回路と、
前記平滑コンデンサの端子電圧の目標値およびその検出値を用いてパワー出力目標値を演算し、前記パワー出力目標値と前記パワー出力値との偏差に基づき周波数指令2を演算する周波数指令演算回路と、
前記平滑コンデンサの端子電圧が基準値を越えると、前記出力電圧指令演算回路に入力する周波数指令を、前記周波数指令1から前記周波数指令2に切り替えるシーケンス回路とを有することを特徴とするインバータ制御装置。 - 前記周波数指令演算回路では、前記パワー出力値の符号に基づいて、前記インバータでのパワー損失分を加算あるいは減算してパワー出力目標値を補正演算することを特徴とする請求項1記載のインバータ制御装置。
- 前記周波数指令演算回路では、前記パワー出力目標値の符号に基づいて、前記交流電動機を含む機械でのパワー損失分を加算あるいは減算してパワー出力目標値を補正演算することを特徴とする請求項1記載のインバータ制御装置。
- 前記周波数指令演算回路では、前記パワー出力目標値と前記パワー出力値との偏差および前回出力した周波数指令値を用いてトルク目標値を演算し、前記トルク目標値を用いて前記周波数指令2を演算することを特徴とする請求項1記載のインバータ制御装置。
- 特に前記交流電動機が誘導電動機である場合に、前記周波数指令演算回路では、前記パワー出力目標値と前記パワー出力値との偏差および前回出力した周波数指令値を用いてトルク目標値を演算し、前記トルク目標値を用いてすべり周波数指令を演算し、すべり補償することを特徴とする請求項1記載のインバータ制御装置。
- 交流電動機を負荷とし、交流電源からの交流電圧を直流電圧に変換する整流回路と、前記整流回路からの直流電圧を平滑する平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの端子電圧を検出する電圧検出回路と、前記直流電圧を可変周波数、可変電圧の交流電圧に変換するインバータと、周波数指令設定器からの周波数指令1を基に出力電圧指令を演算する出力電圧指令演算回路と、を備え、
前記インバータは前記出力電圧指令に基づいた電圧を前記交流電動機に印加するインバータ制御装置の制御方法であって、
パワー出力演算回路では、前記インバータのパワー出力値を演算し、
周波数指令演算回路では、前記平滑コンデンサの端子電圧の目標値およびその検出値を用いてパワー出力目標値を演算し、前記パワー出力目標値と前記パワー出力値との偏差に基づき周波数指令2を演算し、
シーケンス回路では、前記平滑コンデンサの端子電圧が基準値を越えると、前記出力電圧指令演算回路に入力する周波数指令を、前記周波数指令1から前記周波数指令2に切り替えることを特徴とするインバータ制御装置の制御方法。
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