JP4830759B2 - 薄板金属の孔明け用のパンチ及びそのパンチを具備した薄板金属の孔明け装置並びに薄板金属の孔明け方法 - Google Patents

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本発明は、薄板金属の孔明け用のパンチ及びそのパンチを具備した薄板金属の孔明け装置並びに薄板金属の孔明け方法に関する。
特開2002−153920号公報
ダイスの孔径よりも小さい外径を有した円柱状本体とこの円柱状本体の一端面に円錐形の突起とを有したパンチを薄板金属に押し付け、パンチの突起により薄板金属に突き破り孔をあけ、突き破り孔に挿入された突起で薄板金属の移動を規制した状態で更にパンチをダイスの孔に挿入することによりパンチの円柱状本体の一端面の周りで薄板金属を破断させダイスの孔と略同径の貫通孔を薄板金属に形成するようにした孔明け装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
斯かる孔明け装置は、突起でもって薄板金属を位置決めし、剪断力よりも主として引っ張り力を薄板金属に加えてダイスの孔を規定する角部で薄板金属を引き千切って貫通孔を形成するようになっており、バリを生じさせることなく正確に貫通孔を薄板金属に形成するには、パンチの円柱状本体の一端面の外周縁(角部)に丸みを付けてダイスの孔を規定する角部先端で薄板金属に応力を集中させることが好ましいのであるが、孔明けすべき貫通孔の径が小さい場合には、小さい径をもったパンチの円柱状本体を用いることになる結果、円柱状本体の一端面の角部に予め丸み付けを施すと、円錐形の突起と円柱状本体の角部との間に円柱状本体の環状の端面が形成されなくなり、薄板金属に所望の引っ張り力を加えられなくなって、円錐形の突起により形成された突き破り孔に円柱状本体が当該突き破り孔を拡径しながら続いて挿入されるような事態が生じ得る。
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的は、孔明けすべき貫通孔の径が小さい場合でも、ダイスの孔を規定する角部先端で薄板金属に応力を集中させることができ、ダイスの孔を規定する角部で薄板金属を引き千切って貫通孔を形成することができ、而して、バリのない上に正確な位置に貫通孔を形成することができる薄板金属の孔明け用のパンチ及びそのパンチを具備した薄板金属の孔明け装置並びに薄板金属の孔明け方法を提供することにある。
本発明の薄板金属の孔明け用のパンチは、柱状の本体部と、この本体部の一方の端面の中央部に一体的に設けられていると共に錐状の先端を有した柱状の突起部と、少なくともこの錐状の先端を除く突起部を囲繞していると共に本体部の一方の端面に設けられた弾性変形可能部材とを具備しており、ここで、弾性変形可能部材は、本体部及び孔明けすべき薄板金属の剛性よりも小さい剛性を有していると共に本体部の筒状の周面と面一の筒状の周面を有している。
本発明に係るパンチは、突起部の錐状の先端によりまず薄板金属に突き破り孔を形成し、この突き破り孔に挿入された突起部で薄板金属の移動を規制し、その後、ダイスの孔を規定する角部先端で薄板金属に集中した応力を生じさせて斯かる角部先端で薄板金属を引き千切って破断させて薄板金属に貫通孔を形成するのである。この場合、ダイスの角部先端に加えて、パンチの本体部の端面の外周縁(角部)でも薄板金属に集中した応力を生じさせると破断箇所が不定となってバリが生じ易くなるのであるが、本発明に係るパンチでは、本体部の一方の端面に設けられた弾性変形可能部材が本体部及び孔明けすべき薄板金属の剛性よりも小さい剛性を有しているので、薄板金属の破断において、弾性変形可能部材の外周縁(角部)が弾性変形して当該外周縁での薄板金属の応力集中を避けることができ、主にダイスの角部先端で薄板金属に集中応力を生じさせることができ、しかも、弾性変形可能部材の弾性変形する外周縁以外の部位で薄板金属を押すことができる結果、突起部の錐状の先端により形成された突き破り孔に本体部及び弾性変形可能部材が当該突き破り孔を拡径しながら続いて挿入されるような事態を避けることができると共に薄板金属に所望の引っ張り力を加えることができ、而して、バリのない上に正確な位置に貫通孔を形成することができる。
本発明のパンチでは、好ましくは、弾性変形可能部材は、その筒状の周面に直交すると共に突起部が突出する環状面を有している。
弾性変形可能部材は、柱状の本体部の一方の端面及び突起部に固着されていてもよいが、好ましくは、本体部の一方の端面に固着されていると共に突起部に摺動自在となるように突起部を囲繞している。
本体部及び孔明けすべき薄板金属の剛性よりも小さい剛性を有する弾性変形可能部材としては、具体的には、フェノール樹脂、ポリアミド(ナイロン)樹脂、ポリエチレン樹脂などの合成樹脂、あるいは銅又はリン青銅、ベリリウム銅などの銅合金、チタンなどの非鉄金属から形成される。
上記のパンチと斯かるパンチが挿入される孔を有したダイスとを具備している孔明け装置により薄板金属に貫通孔を形成する本発明の方法は、突起部の先端により薄板金属に突き破り孔を明け、この突き破り孔に挿入された突起部で薄板金属の移動を規制した状態で更にパンチをダイスの孔に挿入することにより圧縮された弾性変形可能部材の周面の周りでダイスと協働して薄板金属を破断させて薄板金属に貫通孔を形成することにある。
本発明の方法において、弾性変形可能部材の圧縮で当該弾性変形可能部材を外方向に膨らませて、この膨らんだ弾性変形可能部材の周面の周りでダイスと協働して薄板金属を破断させて薄板金属に貫通孔を形成するようにしてもよい。
パンチは、突起部の先端により薄板金属に突き破り孔を明け、突き破り孔に挿入された突起部で薄板金属の移動を規制した状態で更にパンチをダイスの孔に挿入することにより圧縮された弾性変形可能部材の周面の周りで薄板金属を破断させて薄板金属に貫通孔を形成するようになっている薄板金属の孔明け装置に用いるものである。
本発明の薄板金属の孔明け装置は、上記のいずれかの態様のパンチと、このパンチが挿入される孔を有したダイスとを具備しており、パンチとダイスとにより薄板金属に多少の剪断に加えて主に引っ張り破断を生じさせて効果的に薄板金属に貫通孔を形成するのである。
孔明け装置は、突起部により薄板金属に突き破り孔を明け、突き破り孔に挿入された突起部で薄板金属の移動を規制した状態で更にパンチをダイスの孔に挿入することにより本体部の端面の周りで薄板金属を破断させて薄板金属に貫通孔を形成するようになっている。
本発明の孔明け装置によって孔明けされる薄板金属は、良好な結果を得るには、その板厚が0.4mmから2.0mm程度のものであるが、より良好な結果を得るには、その板厚が0.6mmから1.6mm程度のものである。
本発明のパンチは、パンチユニットとして用いることができ、斯かるパンチユニットは、ケースと、ケースに上下方向に摺動自在に装着されたスライダと、スライダ内に上下方向に摺動自在に装着されている上記のパンチと、スライダ内に配されていると共にパンチ及びスライダを上方向に弾性的に付勢してパンチ及びスライダを初期位置に復帰させる復帰手段とを具備しており、好ましくは、パンチの上下方向の移動を案内するようにケースに設けられた滑り案内部材を更に具備している。
スライダは、凹所を具備しており、復帰手段の弾性力によってケースから抜け出さないように、ケースに固着された抜け止めピンに凹所において係合するようになっているとよく、復帰手段は、好ましくは、コイルばねを具備しているが、本発明ではこれに限定されず、その他の弾性部材であってもよい。
本発明において、本体部、突起部及び弾性変形可能部材は、円柱状、四角柱状又は楕円柱状等であってもよく、突起部の先端もまた、円錐状、角錐状又は楕円錐状等であってもよく、斯かる本体部及び弾性変形可能部材に対応してダイスの孔は決定され、したがって、形成する貫通孔は、円形に限らないのであって、四角形、楕円形等であってもよい。
本発明によれば、孔明けすべき孔の径が小さい場合でも、ダイスの孔を規定する角部先端で薄板金属に応力を集中させることができ、ダイスの孔を規定する角部で薄板金属を引き千切って貫通孔を形成することができ、而して、バリのない上に正確な位置に貫通孔を形成することができる薄板金属の孔明け用のパンチ及びそのパンチを具備した薄板金属の孔明け装置並びに薄板金属の孔明け方法を提供することができる。
次に本発明を、図に示す好ましい実施の形態の例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
図1から図4において、本例の薄板金属の孔明け装置1は、油圧ラム等により昇降される上型ホルダ2と、上型ホルダ2に固着された押圧板3と、上型ホルダ2に弾性部材4を介して吊り下げられている押圧パッド5と、押圧パッド5にボルト6等を介して固着されたパンチユニットとして構成されたパンチホルダ7と、孔明け加工が施される薄板金属8が載置される下型9と、下型9に埋設されたダイス10とを具備している。
パンチホルダ7は、押圧パッド5にボルト6等を介して固着された円筒状のケース11と、ケース11に上下方向に摺動自在に装着された円筒状のスライダ12と、スライダ12内に上下方向に摺動自在に装着されたパンチ13と、スライダ12内に配されていると共にパンチ13及びパンチ13を介してスライダ12を上方向に弾性的に付勢してパンチ13及びスライダ12を初期位置に復帰させるコイルばね14を具備した復帰手段15と、パンチ13の上下方向の移動を案内するようにケース11に設けられた滑り案内部材16とを具備している。
スライダ12は、凹所21を具備しており、コイルばね14の弾性力によってケース11から抜け出さないように、ケース11に固着された抜け止めピン22に凹所21において係合するようになっており、上型ホルダ2の下降において押圧板3により下方に押圧されるようになっている。
薄板金属8の孔明け用のパンチ13は、柱状、本例では円柱状の本体部25と、本体部25の一方の円形の端面26の中央部に当該端面26と同心であって当該端面26の直径D1よりも小さな直径d1を有する円形の底面27をもって一体的に設けられていると共に錐状、具体的には円錐状の先端28を有した柱状、本例では円柱状の突起部29と、本体部25の他方の円形の端面30に一体的に設けられた鍔部31と、突起部29の円筒状の周面32に摺動自在となるように少なくとも先端28を除く突起部29の周面32を囲繞していると共に本体部25の端面26に接着剤等により固着されて設けられた弾性変形可能部材33とを具備している。
本体部25及び孔明けすべき薄板金属8の剛性よりも小さい剛性を有している弾性変形可能部材33は、本体部25の円筒状の周面34と面一の円筒状の周面35と、突起部29が突出する円形の環状面36と、本体部25の端面26に固着された円形の環状面37とを有しており、弾性変形可能部材33の周面35と環状面36及び37とは直交しており、環状面36と環状面37とは、互いに平行となっていると共に同一の外径を有している。
コイルばね14は、一端では鍔部31に他端では滑り案内部材16のフランジ部41に当接しており、滑り案内部材16は、フランジ部41に加えてフランジ部41と一体であると共にケース11の孔42において当該ケース11に嵌装されている円筒部43を有しており、円筒部43の内周面においてパンチ13の本体部25の下端部及び弾性変形可能部材33を摺動自在に案内支持している。
ダイス10は、パンチ13が挿入される円孔51と、円孔51と連通していると共に円孔51よりも大径であってパンチ屑を排出する円孔52とを有しており、弾性変形可能部材33の環状面36の直径D1に対する円孔51の直径D2の比D1/D2は0.80以上であって、孔明けすべき薄板金属8の厚みをtとすると、環状面36の半径D1/2とダイス10の円孔51の半径D2/2との差(クリアランス)fは0.15t以上であって2mm以下である。円孔51の開口端を形成するダイス10の円形角部53は直角となっている。
以上の孔明け装置1では、上型ホルダ2の下降と共に押圧板3、押圧パッド5及びパンチホルダ7が下降されると、下型9に載置された薄板金属8が押圧パッド5により押圧されて下型9と押圧パッド5との間に挟まれて固定されると共にスライダ12が押圧板3に押され、スライダ12の押下と共にパンチ13が下降され、パンチ13の下降で、図5に示すように突起部29の先端28により薄板金属8に突き破り孔55が明けられ、突き破り孔55に挿入された先端28又は先端28に続く突起部29の部位で薄板金属8の移動が規制された状態で更にパンチ13が下降されてダイス10の円孔51に弾性変形可能部材33が挿入されて弾性変形可能部材33がその環状面36で薄板金属8を押圧すると、図6に示すように、弾性変形可能部材33は、その全体的な上下方向での圧縮に加えて環状面36の環状の外周縁(角部)61で弾性的に変形されて丸み付られ、外周縁61が丸み付られた弾性変形可能部材33の残る環状面36と円孔51を規定するダイス10の環状の角部62の先端とでその間にある薄板金属8は、引っ張られて伸ばされて、その後、ダイス10の角部62側で薄板金属8は、図7に示すように、引き千切られて破断され、薄板金属8のダイス10の角部62側での破断後、図8に示すように、環状面36の環状の外周縁61での弾性的な変形による丸み付けが解消されてパンチ13は上昇される一方、パンチ屑65は円孔52を通って排出され、こうして薄板金属8には貫通孔66が形成される。
突起部29の先端28により薄板金属8に突き破り孔55を明け、突き破り孔55に挿入された突起部29で薄板金属8の移動を規制した状態で更にパンチ13をダイス10の円孔51に挿入することにより圧縮された弾性変形可能部材33の周面35の周りでダイス10と協働して薄板金属8を破断させて薄板金属8に貫通孔66を形成するパンチ13では、薄板金属8の破断において、弾性変形可能部材33の環状面36の外周縁61が弾性変形して丸み付られ当該外周縁61での薄板金属8の応力集中を避けることができ、主にダイス10の角部62の先端で薄板金属8に集中応力を生じさせることができる結果、薄板金属8の破断箇所を明確に特定でき、しかも、弾性変形可能部材33の弾性変形する外周縁61以外の部位で薄板金属8を押すことができる結果、突起部29の円錐状の先端28により形成された突き破り孔55に本体部25及び弾性変形可能部材33が当該突き破り孔55を拡径しながら続いて挿入されるような事態を避けることができると共に薄板金属8に所望の引っ張り力を加えることができ、而して、バリのない上に正確な位置に貫通孔66を形成することができる。
更に、本例のパンチ13では、外周縁61での弾性的な変形による丸み付けの解消において、図7に示すように、圧縮された弾性変形可能部材33の復帰弾性力により突き破り孔55から突起部29を強制的に抜き出させることができ、弾性変形可能部材33からのパンチ屑65の離脱を確実に行うことができ、パンチ13の上昇と共にパンチ屑65が上昇されるような事態を避けることができる。
孔明け装置1では、パンチ13を上下動させて貫通孔66を形成したが、パンチ13を斜めに移動させて薄板金属8の傾斜部に貫通孔66を形成するようにしてもよい。
上記の例は、直径D1が1mm以上のパンチ13に用いるとよいが、本発明はこれに限定されないのであって、直径D1が1mm未満のパンチ13に用いてもよく、更には、直径D1が25mm以下、10mm以下又は5mm以下のパンチ13に用いるとよい。この場合、d1/D1としては、0.05〜0.5であってもよい。
本発明の実施の形態の好ましい一例の断面図である。 図1に示す例に用いたパンチの一部の説明図である。 図2に示すパンチの正面図である。 図1に示す例に用いたパンチとダイスとの説明図である。 図1に示す例の動作説明図である。 図1に示す例の動作説明図である。 図1に示す例の動作説明図である。 図1に示す例の動作説明図である。
符号の説明
1 孔明け装置
2 上型ホルダ
3 押圧板
4 弾性部材
5 押圧パッド
7 パンチホルダ
8 薄板金属
9 下型
10 ダイス
13 パンチ
25 本体部
26 端面
27 底面
28 先端
29 突起部
32 周面
33 弾性変形可能部材

Claims (6)

  1. 柱状の本体部と、この本体部の一方の端面の中央部に一体的に設けられていると共に錐状の先端を有した柱状の突起部と、少なくともこの錐状の先端を除く突起部を囲繞していると共に本体部の一方の端面に設けられた弾性変形可能部材とを具備しており、弾性変形可能部材は、本体部及び孔明けすべき薄板金属の剛性よりも小さい剛性を有していると共に本体部の筒状の周面と面一の筒状の周面を有している薄板金属の孔明け用のパンチ。
  2. 弾性変形可能部材は、その筒状の周面に直交すると共に突起部が突出する環状面を有している請求項1に記載の薄板金属の孔明け用のパンチ。
  3. 弾性変形可能部材は、本体部の一方の端面に固着されていると共に突起部に摺動自在となるように突起部を囲繞している請求項1又は2に記載の薄板金属の孔明け用のパンチ。
  4. 突起部の先端により薄板金属に突き破り孔を明け、この突き破り孔に挿入された突起部で薄板金属の移動を規制した状態で更にパンチをダイスの孔に挿入することにより圧縮された弾性変形可能部材の周面の周りで薄板金属を破断させて薄板金属に貫通孔を形成するようになっている薄板金属の孔明け装置に用いる請求項1から3のいずれか一項に記載の薄板金属の孔明け用のパンチ。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の薄板金属の孔明け用のパンチと、このパンチが挿入される孔を有したダイスとを具備している薄板金属の孔明け装置。
  6. 請求項5に記載の薄板金属の孔明け装置により薄板金属に貫通孔を形成する方法であって、突起部の先端により薄板金属に突き破り孔を明け、突き破り孔に挿入された突起部で薄板金属の移動を規制した状態で更にパンチをダイスの孔に挿入することにより圧縮された弾性変形可能部材の周面の周りでダイスと協働して薄板金属を破断させて薄板金属に貫通孔を形成する方法。
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