JP5577666B2 - 薄板金属の孔明け装置及びそれに用いられるダイス - Google Patents

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本発明は、パンチとこのパンチが挿入される孔をもったダイスとを具備した薄板金属の孔明け装置及びそれに用いられるダイスに関する。
ダイスの孔径よりも小さい外径を有した円柱本体とこの円柱本体の一端面に円錐形の突起とを有したパンチを薄板金属に押し付け、パンチの突起により薄板金属に突き破り孔をあけ、突き破り孔に挿入された突起で薄板金属の移動を規制した状態で更にパンチをダイスの孔に挿入することによりパンチの円柱本体の一端面の周りで薄板金属を引っ張り破断させダイスの孔と略同径の貫通孔を薄板金属に形成するようにした孔明け装置が提案されている(特許文献1)。
また、突起でもって薄板金属を位置決めし、しかも、剪断力よりも主として引っ張り力を薄板金属に加えて貫通孔を形成する孔明け装置において、貫通孔を形成しようとする薄板金属の厚みが異なっても、また、薄板金属に形成しようとする貫通孔の大きさ、例えば径及び形状が異なっても、これら異なる厚みの薄板金属及び異なる大きさ及び形状の貫通孔に対して最適に孔明けを行うことができ、而して、バリのない上に正確な位置に貫通孔を形成することができる上に、貫通孔の形成後に生じるパンチ屑がダイスの孔内で倒れて排出できないような不都合をなくすべく、ダイスの孔に小円孔を設けて、パンチ屑を小円孔を介して排出し、次々に供給される薄板金属に貫通孔を連続的に形成できる技術も提案されている(特許文献2)。
特開2002−153920号公報 国際公開WO2004/096464号公報
ところで、特許文献2に記載の孔明け装置においては、ダイスの孔に小円孔を形成するために、単に、ダイスの孔を規定する内周面に環状の段部を設けたものであるために、パンチ屑を小円孔にパンチにより押し込む際に環状の段部とパンチとによりパンチ屑の外縁部が再び引っ張り破断されて糸状の二次的なパンチ屑が生じて、連続的作業においてこの二次的なパンチ屑がダイスの孔内で堆積して被加工物である薄板金属側に現出し、連続的な作業を中断させると共に所望の貫通孔を形成できなくなる虞がある。
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、二次的なパンチ屑の発生を回避でき、連続的な作業を中断させると共に所望の貫通孔を形成できなくなる虞をなくし得る薄板金属の孔明け装置及びそれに用いられるダイスを提供することにある。
本発明の薄板金属の孔明け装置用のダイスは、一方の端部に端面を有したパンチのパンチ本体が当該端面を先行させて挿入される大孔と、この大孔に傾斜段部面を介して連接した小孔とを有しており、傾斜段部面を介して大孔に連接している小孔は、当該大孔の外縁が内接する仮想円の直径D2よりも小さい一方、パンチ本体の一方の端部の端面の外縁が内接する仮想円の直径D1よりも大きい直径D3の仮想円に内接する外縁を有しており、大孔と小孔との間に介在された傾斜段部面は、大孔から小孔に向かうに連れて漸次小さくなる径を有している。
斯かるダイスの好ましい例では、傾斜段部面は、大孔を規定するダイスの内周面に対して135°から180°未満の角度θ2をもって傾斜している。
本発明の薄板金属の孔明け装置は、薄板金属の孔明け用のパンチと、このパンチが挿入される大孔及びこの大孔に傾斜段部面を介して連接した小孔を有したダイスとを具備しており、パンチは、パンチ本体と、このパンチ本体の一方の端面に当該端面の外縁が内接する仮想円の中心と同心であって当該仮想円の直径よりも小さな直径を有する仮想円に内接する外縁を有する底面をもって一体的に設けられた錐状の突起とを具備しており、端面の外縁が内接する仮想円の中心を通る軸心と交差すると共に端面の外縁が内接する仮想円と突起の先端面とに接する接線と端面とのなす角度θ1は25°以上であって60°以下であり、端面の外縁が内接する仮想円の半径D1/2と底面の外縁が内接する仮想円の半径d1/2との差eと端面の外縁が内接する仮想円の円周の長さLとの比e/Lが0.05以上であって0.14以下の値であり、端面の外縁が内接する仮想円の直径D1に対するダイスの大孔の外縁が内接する仮想円の直径D2の比D1/D2は0.80以上であって、孔明けすべき薄板金属の厚みをtとすると、端面の外縁が内接する仮想円の半径D1/2とダイスの大孔の外縁が内接する仮想円の半径D2/2との差fは0.15t以上であり、傾斜段部面を介して大孔に連接している小孔は、当該大孔の外縁が内接する仮想円の直径D2よりも小さい一方、端面の外縁が内接する仮想円の直径D1よりも大きい直径D3の仮想円に内接する外縁を有しており、大孔と小孔との間に介在された傾斜段部面は、大孔から小孔に向かうに連れて漸次小さくなる径を有している。
本発明に係る薄板金属の孔明け装置用のダイス及び薄板金属の孔明け装置によれば、傾斜段部面を介して大孔に連接している小孔が当該大孔の外縁が内接する仮想円の直径D2よりも小さい一方、端面の外縁が内接する仮想円の直径D1よりも大きい直径D3の仮想円に内接する外縁を有しているために、貫通孔の形成後に生じるパンチ屑(スクラップ)を斯かる小孔でもって倒れないように保持できて、例えば大孔及び小孔を斜め又は水平に配置しても、換言すれば、パンチを斜め又は水平に移動させて貫通孔の形成を斜め又は水平から行うようにしても、パンチ屑が小孔で倒れて小孔から排出できないような不都合をなくし得て、積み重ねられるパンチ屑を小孔を介して漸次外部に排出でき、次々に供給される薄板金属に貫通孔を連続的に形成できる上に、大孔と小孔との間に介在された傾斜段部面が大孔から小孔にかけて漸次小さくなる径を有しているために、パンチ屑を小孔にパンチにより押し込む際におけるパンチ屑の外縁部のパンチと傾斜段部面とによる引っ張り破断又は剪断を回避でき、糸状の二次的なパンチ屑の発生をなくし得て、連続的な作業を中断させると共に所望の貫通孔を形成できなくなる虞をなくし得る。
本発明の薄板金属の孔明け装置は、突起により薄板金属に突き破り孔を明け、突き破り孔に挿入された突起で薄板金属の移動を規制した状態で更にパンチをダイスの大孔に挿入することによりパンチ本体の端面の周りで薄板金属を破断させて薄板金属に貫通孔を形成するようになっている。
斯かる薄板金属の孔明け装置でも、好ましい例では、傾斜段部面は、大孔を規定するダイスの内周面に対して135°から180°未満の角度θ2をもって傾斜している。
本発明に係る薄板金属の孔明け装置は、突起によりまず薄板金属に突き破り孔を形成し、この突き破り孔に挿入された突起で薄板金属の移動を規制し、その後、パンチ本体の端面の周りで薄板金属を破断させて薄板金属に貫通孔を形成するのであるが、本発明は、斯かるパンチにおいては、突起が低すぎると突き破り孔から突起が抜け出して薄板金属の移動を規制することができなくなり、突起があまり高すぎると突起の曲がり、折損等を生じて頻繁な交換を要することになり、また、突起の底面が内接する仮想円の径がパンチ本体の端面が内接する仮想円の径に近づくと、突き破り孔の影響により薄板金属を良好に破断することができず、突起の底面が内接する仮想円の径がパンチ本体の端面が内接する仮想円の径よりも十分に小さいと、突起の曲がり、折損等を生じて頻繁な交換を要することになるという知見に基づくものである。
貫通孔を形成しようとする薄板金属の厚みが異なっても、また、薄板金属に形成しようとする貫通孔の大きさ、例えば径及び形状が異なっても、角度θ1が25°以上であると、突起の突き破り孔からの抜け出しを効果的に防止でき、比e/Lが0.05以上であると、突き破り孔の影響をなくし得て薄板金属を良好に破断することができ、しかも、角度θ1が60°以下であって、比e/Lが0.05以下であると、突起の曲がり、折損等を良好に回避でき、したがって、本発明の薄板金属の孔明け装置によれば、厚みの異なる薄板金属及び異なる大きさ及び形状の異なる貫通孔に対して最適に孔明けを行うことができ、而して、バリのない上に正確な位置に貫通孔を形成することができる。
本発明において、突起の先端は、尖っていても又は多少丸みが付けられていてもよい。
好ましくは、角度θ1は30°以上であって55°以下であり、比e/Lは0.09以上であって0.12以下である。
端面の外縁は、面取りされていなくてもよいのであるが、バリの原因となる剪断の効果を減じて薄板金属をより良好に引っ張り破断させるために、好ましくは、0.3mmから3mmの曲率半径Rをもって面取りされている。
端面の外縁が内接する仮想円の直径D1は、好ましくは、100mm以下であるが、より好ましくは、35mm以下であり、更により好ましくは、30mm以下である。
ダイスの孔は、パンチ本体が円柱状であってその端面の外縁が円形状である場合には、通常、円孔であるが、パンチ本体が円柱状以外であってその端面の外縁もまた円形状以外である場合には、パンチ本体及びその端面の外縁の形状に対応した形状を有しているのが好ましい。
好ましい例では、パンチ本体は円柱状であって、パンチ本体の端面の外縁は円形状であるが、パンチ本体は三角柱状を含む多角柱状であって、パンチ本体の端面の外縁は三角形状を含む多角形状であってもよく、これらに代えて、パンチ本体は楕円柱状であり、パンチ本体の端面の外縁は楕円形状であってもよい。このようにパンチ本体及びその端面の外縁は、形成する貫通孔との関連で種々の形状を有していてもよく、また、円柱状、多角柱状及び楕円柱状並びに円形状、多角形状及び楕円形状に限らないのであって、形成する貫通孔との関連でその他の形状であってもよい。
突起は円錐状であって、突起の底面の外縁は円形状であっても、突起は楕円錐状であって、突起の底面の外縁は楕円形状であっても、更には、突起は三角錐状を含む多角錐状であって、突起の底面の外縁は三角形状を含む多角形状であってもよく、斯かる突起及びその底面の外縁もまた、貫通孔を形成する薄板金属の厚み及び形成する貫通孔との関連で種々の形状を有していてもよく、また、円錐状、楕円錐状及び多角錐状並びに円形状、楕円形状及び多角形状に限らないのであって、貫通孔を形成する薄板金属の厚み及び形成する貫通孔との関連でその他の形状であってもよい。
本発明の孔明け装置は、パンチとダイスとにより薄板金属に多少の剪断に加えて主に引っ張り破断を生じさせて薄板金属に貫通孔を形成するのであるが、比D1/D2が小さすぎると剪断が殆どなされなくなり、差fが小さすぎると剪断が主となって引っ張り破断が殆どなされなくなり、比D1/D2が0.80以上であって、差fが0.15t以上であると、多少の剪断に加えて主に引っ張り破断を生じさせて効果的に薄板金属に貫通孔を形成することができる。
比D1/D2が0.85以上であると、より効果的に薄板金属に貫通孔を形成することができる。
ダイスの孔に対するパンチのクリアランスとしての差fは0.15t以上であればよいのであるが、好ましくは、2mm以下であるとよい。
孔及び小孔のうちの少なくとも一方は、パンチ本体の形状に対応して、円形、三角形を含む多角形又は楕円形であるとよい。
本発明の孔明け装置によって孔明けされる薄板金属は、良好な結果を得るには、その板厚が0.4mmから2.0mm程度のものであるが、より良好な結果を得るには、その板厚が0.6mmから1.6mm程度のものである。
本発明の薄板金属の孔明け装置の一例は、ケースと、ケースに上下方向に摺動自在に装着されていると共に内部にパンチを上下方向に移動自在に収容したスライダと、スライダ内に配されていると共にパンチ及びスライダを上方向に弾性的に付勢してパンチ及びスライダを初期位置に復帰させる復帰手段とを具備しており、斯かる例では、パンチの上下方向の移動を案内するようにケースに設けられた滑り案内部材を更に具備していてもよい。
スライダは、凹所を具備しており、復帰手段の弾性力によってケースから抜け出さないように、ケースに固着された抜け止めピンに凹所において係合するようになっているとよく、復帰手段は、好ましくは、コイルばねを具備しているが、本発明ではこれに限定されず、その他の弾性部材であってもよい。
本発明によれば、二次的なパンチ屑の発生を回避でき、連続的な作業を中断させると共に所望の貫通孔を形成できなくなる虞をなくし得る薄板金属の孔明け装置を提供することができる。
本発明の実施の形態の好ましい一例の断面図である。 図1に示す例に用いたパンチの一部の側面説明図である。 図2に示すパンチの正面図である。 図1に示す例に用いたパンチとダイスとの説明図である。 図1に示す例の動作説明図である。 図1に示す例の動作説明図である。 図1に示す例の動作説明図である。 図1に示す例の動作説明図である。
次に本発明を、図に示す好ましい実施の形態の例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
図1から図5において、本例の薄板金属の孔明け装置1は、油圧ラム等により昇降される上型ホルダ2と、上型ホルダ2に固着された押圧板3と、上型ホルダ2に弾性部材4を介して吊り下げられている押圧パッド5と、押圧パッド5にボルト6等を介して固着されたパンチユニットとして構成されたパンチホルダ7と、孔明け加工が施される薄板金属8が載置される下型9と、下型9に埋設されたダイス10とを具備している。
パンチホルダ7は、押圧パッド5にボルト6等を介して固着された円筒状のケース11と、ケース11に上下方向に摺動自在に装着された円筒状のスライダ12と、スライダ12の内部に上下方向に移動自在に収容された薄板金属の孔明け用のパンチ13と、スライダ12内に配されていると共にパンチ13及びパンチ13を介してスライダ12を上方向に弾性的に付勢してパンチ13及びスライダ12を初期位置に復帰させるコイルばね14を具備した復帰手段と、パンチ13の上下方向の移動を案内するようにケース11に設けられた滑り案内部材15とを具備している。
スライダ12は、凹所22を具備しており、コイルばね14の弾性力によってケース11から抜け出さないように、ケース11に固着された抜け止めピン21に凹所22において係合するようになっており、上型ホルダ2の下降において押圧板3により下方に押圧されるようになっている。
パンチ13は、円柱状のパンチ本体25と、パンチ本体25の一方の端部の円形状の端面26に当該端面26の円形状の外縁35が接する仮想円(斯かる仮想円は、円形状の端面26の場合には当該端面26の円形状の外縁35に一致する)の中心と同心であって当該仮想円の直径D1よりも小さな直径d1を有する仮想円に内接する円形状の外縁31を有する円形の底面27(直径d1を有する仮想円は円形状の底面27の場合には当該底面27の円形状の外縁31に一致する)をもって一体的に設けられた錐状、本例では円錐状の突起28と、パンチ本体25の他方の端部の円形の端面29に一体的に設けられた鍔部30とを具備している。
パンチ13において、端面26の外縁35が内接する仮想円の中心、即ち端面26の円形状の外縁35の中心を通るパンチ本体25の軸心Oと交差すると共に端面26の外縁35が内接する仮想円、即ち端面26の外縁35と突起28の先端面36とに接する接線37と端面26とのなす角度θ1は25°以上であって60°以下であり、端面26の外縁35が内接する仮想円、即ち円形状の外縁35自体の半径D1/2と突起28の底面27の円形状の外縁31が内接する仮想円、即ち円形状の外縁31自体の半径d1/2との差eと端面26の外縁35が内接する仮想円の長さ、即ち外縁35自体の長さL(=πD1)との比e/Lが0.05以上であって0.14以下の値であり、端面26の外縁35は0.3mm以上であって3mm以下の曲率半径Rをもって面取りされている。
角度θ1は30°以上であって55°以下であってもよく、比e/Lは0.09以上であって0.12以下であってもよい。
コイルばね14は、一端では鍔部30に他端では滑り案内部材15のフランジ部41に当接しており、滑り案内部材15は、フランジ部41に加えてフランジ部41と一体であると共にケース11の孔42において当該ケース11に嵌装されている円筒部43を有しており、円筒部43の内周面においてパンチ13のパンチ本体25の下端部を摺動自在に案内支持している。
ダイス10は、パンチ13のパンチ本体25が挿入される大孔である円孔51と、円孔51に傾斜段部面52を介して連接した小孔であってパンチ屑63(図6から図8参照)を外部に排出する円孔53と、円孔53と連続していると共に円孔51及び円孔53よりも大径であって円孔53と協働してパンチ屑63を外部に排出する円孔54とを有しており、而して、ダイス10は、傾斜段部面52に加えて、円孔51の外縁55を規定する内周面56と、円孔53の外縁57を規定する内周面58と、円孔54の外縁59を規定する内周面60とを具備している。
端面26の外縁35が内接する仮想円、即ち円形状の外縁35の直径D1に対する円孔51の円形状の外縁55が内接する仮想円(本例ではこの仮想円と円孔51の円形状の外縁55とが一致する)の直径D2の比D1/D2は0.80以上であって、孔明けすべき薄板金属8の厚みをtとすると、端面26の外縁35が内接する仮想円、即ち円形状の外縁35自体の半径D1/2とダイス10の円孔51の円形状の外縁55が内接する仮想円、即ち円孔51の円形状の外縁55自体の半径D2/2との差(クリアランス)fは0.15t以上であって2mm以下である。
傾斜段部面52を介して円孔51に連接している円孔53は、円孔51の外縁55が内接する仮想円、即ち円孔51の円形状の外縁55自体の直径D2よりも小さい一方、端面26の外縁35が内接する仮想円、即ち円形状の外縁35自体の直径D1よりも大きい直径D3の仮想円に内接する外縁57(斯かる円孔53の場合には直径D3の仮想円と円孔53の円形状の外縁57とが一致する)を有しており、円孔51と円孔53との間に介在されていると共に円孔51を規定するダイス10の内周面56に対して135°から180°未満の角度θ2をもって傾斜している傾斜段部面52は、円孔51から円孔53に向かうに連れて漸次小さくなる径、本例では漸次小さくなる直径を有している。
比D1/D2は0.85以上であってもよく、直径D1は100mm以下、35mm以下又は30mm以下であってもよい。
以上の孔明け装置1では、上型ホルダ2の下降と共に押圧板3、押圧パッド5及びパンチホルダ7が下降されると、下型9に載置された薄板金属8が押圧パッド5により押圧されて下型9と押圧パッド5との間に挟まれて固定されると共にスライダ12が押圧板3に押され、スライダ12の押下と共にパンチ13が下降され、パンチ13の下降で、図6に示すように突起28により薄板金属8に突き破り孔61が明けられ、突き破り孔61に挿入された突起28で薄板金属8の移動が規制された状態で更にパンチ13が下降されてダイス10の円孔51にパンチ13のパンチ本体25がその端面26を先行させて挿入されると、図7に示すようにパンチ本体25の端面26の周りで薄板金属8が破断されて薄板金属8に貫通孔62が形成される一方、突起28が貫通した突き破り孔61をもったパンチ屑63は、パンチ13の下降と共に円孔53に向かって下降され、貫通孔62の形成後に、更にパンチ13が下降して円孔53まで挿入されると、図8に示すようにパンチ屑63の円環状の外縁部64が傾斜段部面52に案内されて徐々に絞られ、外縁部64が傾斜段部面52を通過して外縁部64が完全に絞られると、パンチ13の下降が停止され、逆に、パンチ13が上昇され、パンチ13の上昇でパンチ屑63からパンチ13が離れて、パンチ屑63は、パンチ13の上昇と共に上昇されることがなく、外縁部64で内周面58に接触して円孔53においてダイス10に対して傾くことなしに既に保持されているパンチ屑63の上に積層されて保持される一方、上型ホルダ2の上昇と共に完全に上昇されたパンチ13は、次に、下型9と押圧パッド5との間に新たに挟まれて固定された薄板金属8の次の貫通孔62の形成のために、再び下降され、以上の動作を繰り返し、円孔53において積層されて保持されたパンチ屑63は、先行のものから漸次円孔53から円孔54に押し出されて円孔54を介してダイス10の外部に排出されるようになっている。
円孔51と円孔54との間に配された円孔53までパンチ13のパンチ本体25を挿入し円孔53を介してパンチ屑63を排出するようにすると、貫通孔62の形成後に生じるパンチ屑63を円孔53で保持することができるために、例えば円孔51、円孔54及び円孔53を斜め又は水平に配置しても、換言すれば、パンチ13を斜め又は水平に移動させて貫通孔62の形成を斜め又は水平から行うようにしても、パンチ屑63が円孔53で倒れて円孔53から排出できないような不都合をなくし得て、次々に供給される薄板金属8に貫通孔62を連続的に形成できる。
そして、孔明け装置1によれば、円孔51と円孔53との間に介在された傾斜段部面52が円孔51から円孔53にかけて漸次小さくなる直径を有しているために、パンチ屑63を円孔53にパンチ本体25により押し込む際におけるパンチ屑63の外縁部64のパンチ本体25と傾斜段部面52とによる引っ張り破断又は剪断を回避でき、糸状の二次的なパンチ屑の発生をなくし得て、連続的な作業を中断させると共に所望の貫通孔を形成できなくなる虞をなくし得る。
また、パンチ13では、角度θ1が25°以上であるために、薄板金属8に形成しようとする貫通孔62の径が異なっても突起28の突き破り孔61からの抜け出しを効果的に防止でき、また比e/Lが0.05以上であるために、突き破り孔61の影響をなくし得て薄板金属8を良好に引っ張り破断することができ、しかも、角度θ1が60°以下であって、比e/Lが0.05以下であるために、突起28の曲がり、折損等を良好に回避でき、而して、厚みtの異なる薄板金属8及び異なる径の貫通孔62に対して最適に孔明けを行うことができ、而して、バリのない上に正確な位置に貫通孔62を形成することができる。
しかも、端面26の外縁35が0.3mmから3mmの曲率半径Rをもって面取りされているために、バリの原因となる剪断の効果を減じて薄板金属8をより良好に引っ張り破断させることができる上に、比D1/D2が0.80以上であって、差fが0.15t以上であるために、多少の剪断に加えて主に引っ張り破断を生じさせて効果的に薄板金属8に貫通孔62を形成することができる。
孔明け装置1では、パンチ13を上下動させて貫通孔62を形成したが、パンチ13を斜めに移動させて薄板金属8の傾斜部に貫通孔62を形成するようにしてもよい。
以上の孔明け装置1において、パンチ本体25が円柱状であって、ダイス10の孔もパンチ本体25の形状に対応した円孔51であるが、これに代えて、パンチ本体25が正四角柱状、四角柱状又は楕円柱状であって、パンチ本体25の端面26の外縁35が正四角形(正方形)状、四角形(長方形)状又は楕円形状であってもよく、この場合、ダイス10としては、その孔がパンチ本体25の形状に対応した正四角形(正方形)、四角形(長方形)又は楕円形の孔51であるものが用いられる。
また、孔明け装置1においては、円錐状の突起28を用いたが、これに代えて、例えば三角錐状を含む多角錐状の一つである六角錐状の突起を用いてもよい。
1 孔明け装置
2 上型ホルダ
3 押圧板
4 弾性部材
5 押圧パッド
6 ボルト
7 パンチホルダ
8 薄板金属
9 下型
10 ダイス

Claims (3)

  1. 薄板金属の孔明け用のパンチと、このパンチが挿入される大孔及びこの大孔に傾斜段部面を介して連接した小孔を有したダイスとを具備しており、パンチは、パンチ本体と、このパンチ本体の一方の端面に当該端面の外縁が内接する仮想円の中心と同心であって当該仮想円の直径よりも小さな直径を有する仮想円に内接する外縁を有する底面をもって一体的に設けられた錐状の突起とを具備しており、端面の外縁が内接する仮想円の中心を通る軸心と交差すると共に端面の外縁が内接する仮想円と突起の先端面とに接する接線と端面とのなす角度θ1は25°以上であって60°以下であり、端面の外縁が内接する仮想円の半径D1/2と底面の外縁が内接する仮想円の半径d1/2との差eと端面の外縁が内接する仮想円の円周の長さLとの比e/Lが0.05以上であって0.14以下の値であり、端面の外縁が内接する仮想円の直径D1に対するダイスの大孔の外縁が内接する仮想円の直径D2の比D1/D2は0.80以上であって、孔明けすべき薄板金属の厚みをtとすると、端面の外縁が内接する仮想円の半径D1/2とダイスの大孔の外縁が内接する仮想円の半径D2/2との差fは0.15t以上であり、傾斜段部面を介して大孔に連接している小孔は、当該大孔の外縁が内接する仮想円の直径D2よりも小さい一方、端面の外縁が内接する仮想円の直径D1よりも大きい直径D3の仮想円に内接する外縁を有しており、大孔と小孔との間に介在された傾斜段部面は、大孔から小孔に向かうに連れて漸次小さくなる径を有している薄板金属の孔明け装置。
  2. 突起により薄板金属に突き破り孔を明け、突き破り孔に挿入された突起で薄板金属の移動を規制した状態で更にパンチをダイスの大孔に挿入することによりパンチ本体の端面の周りで薄板金属を破断させて薄板金属に貫通孔を形成するようになっている請求項1に記載の薄板金属の孔明け装置。
  3. 傾斜段部面は、大孔を規定するダイスの内周面に対して135°から180°未満の角度θ2をもって傾斜している請求項1又は2に記載の薄板金属の孔明け装置。
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