JP4830583B2 - ワニス含浸方法及びワニス含浸装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に開示されるワニスの滴下含浸方法においては、巻線コイルを挿入配設したステータコアを、その軸方向が水平方向になるようにして保持する。そして、このステータコアを回転させながら、巻線コイルの一部がステータコアの軸方向端部から突出してなるコイルエンド部へワニスを滴下している。
これにより、コイルエンド部に滴下したワニスを、ステータコアのスロット内に挿入配設されている巻線コイルの内部へ毛細管現象によって浸透させ、巻線コイルの全体にワニスを含浸させている。
上記ステータコアを保持するためのチャック部に設けた突起部を、上記スロットの開口部の内周側から外周側に向けて挿入して、該突起部により上記ウエッジを押圧して上記スロット絶縁紙及び上記ウエッジに囲まれた空間を減少させるウエッジ押圧工程を行い、
その後、上記ステータコアの軸線を水平方向に向けた状態で、上記巻線コイルのコイルエンド部に対してワニスの滴下を行う滴下工程を行うことを特徴とするワニス含浸方法にある(請求項1)。
このように、本発明によれば、ステータコアのスロット内に挿入された巻線コイルとスロット絶縁紙及びウエッジとの間の空隙を低減してワニス含浸率を高めることができるワニス含浸方法を提供することができる。
上記回転手段は、上記ステータコアの内周面に当接して該ステータコアを保持するチャック部を有しており、
該チャック部は、径方向に拡縮可能に配設された複数の爪部を有しており、該爪部の外周面には、上記ステータコアを保持した際に上記スロットの開口部から内部に挿入される突起部が設けられており、該突起部によって上記ウエッジを内周側から外周側に押圧できるよう構成されていることを特徴とするワニス含浸装置にある(請求項5)。
さらに、上記チャック部による保持は、上記ワニス滴下手段によって上述した滴下工程を実施している間も行われる。そのため、滴下工程においてもウエッジ押圧状態を維持したままの状態とすることができる。それ故、ウエッジ押圧工程の効果を最大限発揮した状態でワニス含浸を完了させることができ、優れたワニス含浸率の向上効果を得ることができる。
このような効果低減を回避するためには、上記滴下工程では、上記ウエッジ押圧工程における上記ウエッジを押圧した状態を維持したまま、上記ワニスの滴下を行うことが好ましい(請求項2)。これにより、上記ウエッジ押圧工程を行う効果が最大限得られ、ワニス含浸率向上効果がより高くなる。
この予備乾燥工程を実施した場合には、その後に、上記滴下工程に適する温度まで冷却する冷却工程を行うことが好ましい。
上記突起部は、上記爪部に一体的に固定されたもので、爪部自体の移動に伴って上記ステータコアのスロット開口部からスロット内部に挿入される構成とすることができる。
また、上記突起部は、上記爪部に対して相対的に進退するよう設けて、その相対的な前進によって上記ステータコアのスロット開口部からスロット内部に挿入される構成とすることも可能である。構造としては、突起部が爪部に一体的に固定されたものが簡単であり好ましい。
以下に、本発明の実施例にかかるワニス含浸方法及びワニス含浸装置につき、図面を用いて説明する。
本例では、図9に示すごとく、スロット911内に配設されたスロット絶縁紙95及びウエッジ96に囲まれた状態で上記スロット911内に挿入配設された巻線コイル92を備えたステータコア91に対してワニスを含浸させる。
上記回転手段2は、図4〜図6に示すごとく、上記ステータコア91の内周面に当接して該ステータコア91を保持するチャック部3を有している。チャック部3は、径方向に拡縮可能に配設された複数の爪部31を有しており、該爪部31の外周面には、上記ステータコア91を保持した際に上記スロット911の開口部から内部に挿入される突起部32が設けられており、図10に示すごとく、該突起部32によってウエッジ96を内周側から外周側に押圧できるよう構成されている。
以下、さらに詳説する。
なお、回転モータ21により回転主軸22を一方向に向けて連続回転させるよう構成した場合には、捩れ防止機構24は、ケーブルベア(登録商標)を用いる代わりに、スリップリングを用いて構成することができる。このスリップリングは、通電ケーブル41の途中に配設し、通電ケーブル41の一方側と他方側とを電気的に接続すると共に、回転主軸22の中心軸線回りに形成した複数の接続リング部によって、電気的接続を行ったまま回転することができるものである。
そして、通電手段4は、ステータ9における巻線コイル92に通電を行い、巻線コイル92をその電気抵抗により自己発熱させると共に、通電による磁界の発生により、ステータコア91に渦電流を発生させ、ステータコア91を誘導加熱させることにより、ステータ9を各処理工程に適した温度に加熱することができる。
ワニス滴下ノズル51は、巻線コイル92のコイルエンド部922に均一にワニスを滴下できるように、複数箇所に設けてある。
また、図1、図3に示すごとく、減圧タンク6の開口部側には、開口部側に位置するコイルエンド部922の外周面にワニスを滴下するためのワニス滴下ノズル51cがステータコア91の上方に3個配設されていると共に、開口部側に位置するコイルエンド部922の内周面にワニスを滴下するためのワニス滴下ノズル51dがコイルエンド部922内に位置するように配設されている。実際には、これらのワニス滴下ノズル51c、51dは、後述する減圧タンク6の開閉扉66に固定されている。
減圧タンク6には、この減圧タンク6内に空気を供給するための空気供給口62と、減圧ポンプ71を接続した吸引口61とが形成されている。また、空気供給口62には、減圧タンク6内に空気を供給する空気ブロア72が接続されている。
すなわち、制御手段10は、回転手段2がステータコア91を回転させるタイミング、通電手段4により巻線コイル92に通電を行うタイミング、及びワニス滴下手段5により巻線コイル92にワニスの滴下を行うタイミング、減圧ポンプ71により減圧タンク6内の減圧を行うタイミング、空気ブロア72により減圧タンク6内へ空気の供給を行うタイミング等を制御することができる。
また、上記接続治具8は、上記通電ケーブル端子とリード線端子とのみを接続したが、上記ワニス含浸を行う際のステータ9の温度を検出するために、上記温度検出器における温度検出線端子を、制御手段10における入力線端子と接続することもできる。
そして、この場合には、制御手段10は、温度検出器によって検出したステータコア91の温度を監視して、このステータコア91の温度が各工程を行うのに適した温度になるよう通電手段4を制御することができる。
まず、上記ウエッジ押圧工程S1は、ワーク取付と同時に行う工程であり、図1に示すごとく、巻線コイル92を挿入配設してなるステータコア91を、減圧タンク6内の回転手段2のチャック部3に保持させることにより実施する。
その後、チャック部3の爪部31を縮小させることによってステータコア91を自由状態とし、外部へ取り外すワーク取り出し工程S7を実施する。
2 回転手段
3 チャック部
31 爪部
32 突起部
4 通電手段
5 ワニス滴下手段
6 減圧タンク
71 減圧ポンプ
72 空気ブロア
9 ステータ
91 ステータコア
911 スロット
92 巻線コイル
921 挿入配設部
922 コイルエンド部
Claims (6)
- ステータコアのスロット内に配設されたスロット絶縁紙及びウエッジに囲まれた状態で上記スロット内に挿入配設された巻線コイルに対し、ワニスを含浸させるワニス含浸方法において、
上記ステータコアを保持するためのチャック部に設けた突起部を、上記スロットの開口部の内周側から外周側に向けて挿入して、該突起部により上記ウエッジを押圧して上記スロット絶縁紙及び上記ウエッジに囲まれた空間を減少させるウエッジ押圧工程を行い、
その後、上記ステータコアの軸線を水平方向に向けた状態で、上記巻線コイルのコイルエンド部に対してワニスの滴下を行う滴下工程を行うことを特徴とするワニス含浸方法。 - 請求項1において、上記滴下工程では、上記ウエッジ押圧工程における上記ウエッジを押圧した状態を維持したまま、上記ワニスの滴下を行うことを特徴とするワニス含浸方法。
- 請求項2において、上記滴下工程の後に、上記巻線コイルに浸透した上記ワニスを硬化させる加熱硬化工程を行う際に、上記ウエッジ押圧工程において上記ウエッジを押圧した状態を維持したままとすることを特徴とするワニス含浸方法。
- 請求項3において、上記加熱硬化工程では、上記巻線コイルに高周波電圧を直接投入することにより上記巻線コイルを加熱することを特徴とするワニス含浸方法。
- スロット内に配設されたスロット絶縁紙及びウエッジに囲まれた状態で上記スロット内に挿入配設された巻線コイルを備えたステータコアを軸線が水平方向となるよう保持して回転させる回転手段と、上記巻線コイルのコイルエンド部にワニスを滴下するためのワニス滴下手段とを有し、請求項1〜3のいずれか1項に記載のワニス含浸方法を実施するためのワニス含浸装置において、
上記回転手段は、上記ステータコアの内周面に当接して該ステータコアを保持するチャック部を有しており、
該チャック部は、径方向に拡縮可能に配設された複数の爪部を有しており、該爪部の外周面には、上記ステータコアを保持した際に上記スロットの開口部から内部に挿入される突起部が設けられており、該突起部によって上記ウエッジを内周側から外周側に押圧できるよう構成されていることを特徴とするワニス含浸装置。 - 請求項5において、上記ワニス含浸装置は、上記回転手段に上記ステータコアを保持した状態で、上記巻線コイルに高周波電圧を直接投入して該巻線コイルを加熱するための通電手段を有していることを特徴とするワニス含浸装置。
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