JP2005102404A - ワニス含浸装置 - Google Patents

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Hideaki Kimura
英明 木村
Toru Azeyanagi
徹 畔柳
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Abstract

【課題】回転電機の巻線コイルにワニスを均一に含浸させると共に含浸処理時間を短縮する。
【解決手段】回転電機の巻線コイルにワニスを含浸させる含浸装置は、巻線コイルを配したワークSの一端部側からワーク内に挿入可能なチャック3によりワークを内径側で支持して回転させる回転装置2と、回転装置のチャックの隙間からワークのチャック挿入側端部のコイルエンドSciにワニスを滴下するチャック内ノズル61dを備える。チャック内ノズルは、回転装置の中空回転軸20を貫通して回転装置の端部まで延びる供給路60により、ワニス供給源に接続された。これにより、ワーク両端のコイルエンドにワークの内径側から均等にワニスを供給することができ、巻線コイルへのワニスの浸透が均一化し、且つ浸透時間が短縮する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電動機、発電機、電動発電機等の回転電機の製造に係り、特に、回転電機の巻線コイルにワニスを含浸させる技術に関する。
電動機や発電機等の回転電機の固定子等の製造工程の中には、固定子のスロットに挿入された巻線コイルの絶縁強化、耐振、耐油、耐薬品、放熱性等の向上を目的として巻線コイルにワニスを含浸させて硬化させる含浸ワニス工程がある。この含浸ワニス工程には、ワニス滴下工程のほかに、その前処理及び後処理のための加熱処理を伴う工程として、図5に処理フローを示すような予備乾燥、ゲル化、硬化の工程がある。含浸ワニス工程では、ワークを回転させながらコアの外側、内側にワニスが付着しないようにコイルエンド及びスロットからの立ち上がり部分のみにワニスを滴下する滴下含浸処理が行われる。加熱処理を伴う工程には、水分除去、巻線ストレス緩和を行う予備乾燥やワニス垂れ防止にワークを回転しながらワニス硬化する工程があり、これらの工程での加熱方法としては、オーブンや熱風循環炉等を用いて加熱する方法がある。
従来の一般的加熱方法としては、オーブン加熱、熱風循環炉等による加熱が知られている。オーブン加熱では、巻線コイル挿入済みのワークをオーブン内に入れて、回転させながらヒータ加熱された空気により加熱する方法が採られる。また、熱風循環炉による加熱では、炉内のトンネルをワークを回転させながら通過させ、同じくヒータ加熱された空気で加熱する方法が採られる。
ところで、従来の含浸ワニス工程には、加熱処理工程との関係から、次のような問題点がある。
(1)予備乾燥、硬化の加熱処理にオーブンや熱風循環炉等を用いているが、この加熱方法では、ヒータからの熱が空気を温め、それからワークを温めることになるので、ワークの深部に当たるコイルエンド内、スロット内を確実に温めるには長時間を要し、予備乾燥では1.5〜2時間、硬化では1.5〜3時間程度と長くかかり、全体の処理時間が3.5〜6時間と長くかかる。また、含浸ワニス工程の各段階の工程毎にワークを移動させる必要が有り、作業効率が悪い。
(2)含浸ワニス工程全体を通じて、予備乾燥〜冷却、ワニス滴下〜硬化、硬化〜冷却とワークを加熱する工程の前後にオーブンや熱風循環炉等からワークを出し入している。そのため、ワークを出し入れする治具や装置及び作業時間が発生して、無駄な仕事をしている。
(3)ワニス滴下時は、図8に示すように、最初にワニス粘度(図に実線で示す)が最も低くなるような温度をワークに持たせた状態でワニス塗布しているが、ワニスを滴下すると、ワーク温度(図に破線で示す)がワニスに吸収されて滴下開始時と終了時ではワーク温度が高温から低温に変動すると共にワニス粘度も低粘度から高粘度へ変動してしまう。このように粘度が高くなると、マグネットワイヤ間へのワニスの浸透性が悪くなるため、ゆっくり時間をかけて(0.5〜1時間程度)ワニスを浸透させている。なお、回転電機のワニス含浸処理を開示する技術として、特許文献1記載の技術がある。
特開平7−31108号公報
上記のような従来技術の問題点を踏まえて、出願人は、含浸ワニス工程と加熱処理工程をワークを移動させることなく実行可能なワニス含浸硬化処理装置を実現すべく、巻線コイルに高周波電力を投入することで、ワークを炉内に入れずに加熱する処理を可能とする装置を開発している。この装置では、図6に模式化して示すように、ワークSを内径側から把持するチャックCにより支持し、ワークの巻線コイルを端子台Tを経て高周波電源装置Pに接続して、回転させながら、巻線コイルのコイルエンドSco,Sciに指向するノズルによりワニスを滴下する工程が実行される。この装置によれば、ワークSを加熱して適温に維持しながらワニスを含浸させることができるため、ワークSの深部まで短時間で均一にワニスを含浸させることができる。
しかしながら、この装置では、ワークSを内径チャックCで支持し、端子台T経由で高周波電源装置Pに接続して回転させるため、ワークSと共に回転する端子台Tが障害となって、内径チャック支持側のコイルエンドSci内側への滴下ノズル配置によるワニス滴下ができない。このようにコイルエンド内側からのワニスの滴下が片方のコイルエンドScoへの供給のみとなるため、スロット内へのワニスの浸透に時間を要し、含浸率にもバラツキが生じる。こうした問題点への対処方法として、図7に示すようにワークSの回転軸線を内径チャックC挿入側が低くなるように設定し、反対側のコイルエンドScoから内径チャック支持側のコイルエンドSciへのスロット内を経るワニス浸透を促す方法もないではないが、この方法も浸透効果の改善は見られるものの、根本的な問題点の解決にはつながらない。
本発明は、上記のような事情に鑑み案出されたものであり、回転電機の製造における巻線コイルにワニスを含浸させる工程において、ワーク両端のコイルエンドに均等にワニスの滴下を可能とするワニス含浸装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、回転電機の巻線コイルにワニスを含浸させるべく、巻線コイルのコイルエンドにワニスを滴下するワニス含浸装置において、巻線コイルを配したワークの一端部側からワーク内に挿入可能な支持手段によりワークを内径側で支持して回転させる回転装置と、該回転装置の支持手段の隙間からワークの回転装置支持手段挿入側端部のコイルエンドにワニスを滴下するノズルを備えることを特徴とする。
前記ノズルは、前記回転装置の中空回転軸を貫通して回転装置の端部まで延びる供給路により、ワニス供給源に接続されるのが有効である。また、前記支持手段は、周方向に間隔を保ってワークを把持する複数の把持部材を有し、前記隙間は、把持部材の間に形成されるのが有効である。更に、前記支持手段は、ワークのコア側へのワニスの流出を規制する堰を有するのが望ましい。この場合の前記堰は、前記把持部材に形成した溝の端部により構成されるのが望ましい。
本発明の請求項1に記載の構成では、ワークを内径側で支持して回転させることで、ワニス塗布の周方向の均一化が可能となる。しかも、ワークを回転させるために支持手段により内径側を遮られる側のコイルエンドにも、これとは反対側のコイルエンドと同様に、コイルエンド内径側からのワニスの滴下が可能となるため、ワニス塗布の軸線方向の均一化も可能となる。したがって、この構成によれば、ワークに配した巻線コイルに、均等にワニスを浸透させることができる。更にワークへの均等なワニス滴下が可能となることで、滴下に要する時間を大幅に短縮することができる。次に、請求項2に記載の構成では、ノズルを回転装置側に付随する配置とすることができるため、ワークの回転装置への支持状態で奥側となるコイルエンドの内径側までワークの付け替えごとにノズルを挿入する作業が不要となり、ワニス含浸工程の段取り作業の能率化が可能となる。次に、請求項3に記載の構成では、本来拡縮のために周方向に分割される支持手段の把持部材間の隙間を滴下のための隙間に利用した合理的なワニス供給が可能となる。次に、請求項4に記載の構成では、ワニスが付着することが避けられない支持手段からワークのコア側へのワニスの流動を規制することができる。次に、請求項5に記載の構成では、把持部材に格別の付加的手段を設けることなく堰を構成することができる。
本発明におけるノズルへのワニス供給路は、回転装置の内部にベアリングを介して非回転状態に支持した配置とするのが有効である。これによりノズルとワニス供給路を回転装置側に付随する手段とすることができるため、滴下のためのノズル配置の錯綜を避けることができると共に、ワークの回転装置への支持状態で奥側となるコイルエンドの内径側までワークの付け替えごとにノズルを挿入する作業が不要となり、ワニス含浸工程の段取り作業の能率化が可能となる。また、把持部材の数は、それらの間にワニス供給のために最大の隙間を確保した上で、ワークの心だしを可能とする意味で、3個するのが有効である。
本発明を3相コイルを組込んだ固定子を処理対象のワークとして適用する場合を例として説明する。図1及び図2は実施例のワニス含浸装置を組込んだワニス含浸硬化処理装置の全体構成を示す。図示するように、この装置は、装置機台1上に回転装置2と、それに付随するワーク支持手段としてのチャック3と、別位置に設置されるため図示しない高周波電源装置と、ワークSのチャック3による把持までワークSを支持する載置台5を配した構成とされている。ワニス滴下含浸装置6は、装置機台1とは別の支持枠に支持して配置され、その滴下ノズル61a〜61cがワークSの各部に向かって垂下されている。
回転装置2は、装置機台1に両端をベアリング11を介して回転自在に支持した回転軸としての主軸20と、主軸20をその一端側で、本例においてタイミングベルトとプーリからなるベルト伝動機構で構成される伝動機構21を介して往復回転駆動するモータ22とから構成されている。そして、この往復回転駆動に伴う給電線7の暴れを防ぐべく、主軸20を支持するベアリング11の間に、ケーブルベヤからなる給電線ねじれ防止機構70が配置され、これに高周波電源装置からの給電線7が支持されている。主軸20の他端には回転台23が付設され、この回転台23にワークSを内径側から把持するチャック3が設けられている。チャック3は、図2を参照して分かるように、この実施例において、回転台23に周方向等間隔に配置された3つの把持部材31で構成され、各把持部材31は、図1を参照して分かるように、側面視でL字形とされ、装置の軸線方向に延びる部分の先端がワークSの把持部とされ、軸線に直交する方向に延びる部分が、回転台23に形成した放射方向溝に摺動自在に嵌め込まれ、全体としてワーク把持のために放射方向に拡縮可能とされている。この装置によりワニス滴下工程を実施する場合に、回転装置2の反転によるワニス塗布の不均一を分散させるために、反転位置を反転角度0〜360°で、10°間隔に任意に可変できる制御を可能とされている。載置台5は、ワークSの下方に配置され、その支持枠内にワニスを受けるバット62が配置されている。
ワニス滴下含浸装置6は、ワークSの両端のコイルエンドSco,Sciにそれぞれ指向する第1及び第2の組のそれぞれが単数又は複数の滴下ノズル61a,61bと、一方のコイルエンドScoの内径側に指向する第3の組の単数又は複数の滴下ノズル61cを備えるほか、本発明の主題に係る第4の組の単数又は複数の滴下ノズル(以下説明の便宜上、実施例の説明において、チャック内ノズルという)61dを備える。チャック内ノズル61dは、ワニス供給路60に設けられており、この供給路60は、中空の管の両端部を回転装置2の中空回転軸としての主軸20の両端部でベアリングにより支持し、且つ装置機台1に後端側を固定して非回転とし、回転台23側の端部でチャック内ノズル61dに連通している。この支持関係によりワニス供給路60は、主軸20を貫通して延びて、回転台23の端部で終端し、そこから先の部分が回転台23の内部からチャック内に達するチャック内ノズル61dとされている。こうしてワークSの回転装置支持部挿入側端部(図において右側の端部)のコイルエンドSciにノズル61dの滴下部が指向するものとされている。このチャック内ノズル61dは、水平方向に延びるワニス供給路60に対して先端を直角に下向きに屈曲させて、最小径のワークを把持した状態でも把持部材31の回転域と干渉しない程度に先端が回転域に接近して終端している。このチャック内ノズル61dは、それによる滴下位置を適宜軸線方向に調節可能とすべく、ワニス供給路60に対して伸縮自在とするのが望ましい。主軸20を貫通して延びるワニス供給路60は、回転装置2の端部側がワニス供給源に接続されている。
上記のようにワークSのチャック3は、周方向に間隔を保ってワークSを把持する3個の把持部材31を有することから、チャック内ノズル61dは、把持部材31の間隔により形成される隙間を通してコイルエンドSciにワニスを滴下することができる。この滴下に際して、3個の把持部材31がチャック内ノズル61dからコイルエンドSciへのワニス滴下を間歇的に遮ることになるため、把持部材31にもワニスが付着する。把持部材31に付着したワニスは、その流動性によりワークSのコア内周面側へも把持部材31を伝って流れ込む可能性がある。そこで、把持部材31は、ワークSのコア側への直接のワニスの流出を規制する堰32を有するものとされている。本実施形態では、堰32は、把持部材31に形成した溝31aの端部により構成されている。詳しくは、把持部材31の軸線方向に延びる部分におけるコイルエンドSciの軸線方向長さに匹敵する部分が、把持部材31の他の断面に対して、内面を除く3つの面(両側面及び外面)部分で断面形状を縮小されており、更に、外面と両側面をつなぐ角部が斜めに切欠かれて、この縮小部が把持部材31の他の断面に対する溝31aを構成している。そして、この溝31aがワークSの内径面側の端部で段差を形成することから、この部分が把持部材31の溝31aに付着するワニスのワーク内径方向への流動(軸線方向の流動)を規制する役割を果たすことになる。なお、この溝部には、ポリテトラフロルエチレン等からなるシール材を巻付けておき、把持部材31の汚れを防ぐことが望ましい。
高周波電源装置4は、図3にブロックで示すように、商用の3相200V電源40にノイズ除去用のトランス41を介して接続するものとされている。この例の高周波電源装置4は、ノイズ除去により波形の乱れのない3相電流を直流に変換する、例えばコンバータからなる整流部42と、整流部42で整流された脈流を平滑化する、例えばコンデンサからなる平滑部43と、平滑化された直流を単相20kHz程度の高周波電流に変換する、例えばインバータからなる高周波発生部44を備えて構成されている。この高周波発生部44は、制御部45により制御するものとされ、制御部45へは温度情報と制御条件が入力されるように、例えば巻線コイルScに組込まれたサーミスタを検出素子とする温度情報取得手段46と、加熱条件の条件入力手段47が接続されている。なお、図3において、符号Sは、処理対象のワークSとしての回転電機の巻線コイル挿入済みの固定子を示す。
図1及び図2に戻って、高周波電源装置4とワークSの巻線コイルは、給電線7により接続可能とされている。具体的には、ワークSへの給電のための高周波電源4からの3本の給電線7の3極コネクタ71がチャック3に支持されており、このコネクタ71に嵌め合わされるコネクタ72を備える結線手段がチャック3に取付け可能とされている。この結線手段は、3極の中継ターミナルを備える端子台73で構成されている。この端子台73は、コ字状の取付金具と、取付金具に絶縁材を介して固定された導体からなる3極の中継ターミナルを備え、取付金具の両脚部に、チャック3への取付けのためのボルト孔を備える構成とされている。各中継ターミナルは、導線74を介して端子台73側のコネクタ72に接続され、各ターミナルごとに巻線コイルのリード端子を着脱自在に接続する接続部が設けられている。
次に、このワニス含浸硬化装置を用いて含浸ワニス工程の各段階の工程を実施する具体的方法を説明する。これら各工程の実施に先立ち、ワークSは、チャック3により把持して回転装置2にセットされ、更に巻線コイルのU,V,W相のリード端子を端子台73の3極の中継ターミナルに接続される。その後、端子台73から延びる導線74のコネクタ72をチャック3側のコネクタ71に嵌め込んで工程実施の準備が完了する。この工程準備は、後記する全ての工程の実施に共通である。
先ず、予備乾燥工程を実施する場合、高周波電源装置4だけを作動させて加熱処理を行う。この処理では、図3を参照する高周波電源装置4の高周波電流の出力側を、装置機台1にチャック3で設置したワークSの3相巻線コイルScに接続し、U−V相、V−W相、W−U相の巻線の順に電力を投入する。この電力供給によりワークSは、巻線コイルScの内部からの自己発熱及び誘導加熱により自身で内部から発熱する。こうしてワークSを加熱することにより、巻線コイルScに巻線及びスロットへの挿入時に生じた残留ストレスを緩和すると共に、ワークSの水分を蒸発乾燥させることができる。
次に、滴下含浸工程を実施する場合、前記の工程準備に加えて、滴下含浸装置6の各滴下ノズルを所定位置に設定する準備を行う。この準備の後、高周波電源装置4を作動させると共に回転装置2を作動させ、更に滴下含浸装置6を作動させて、加熱処理と滴下含浸処理を同時に実行する。この処理では、高周波電源装置4により、上記と同様の電力供給によりワークSをワニス粘度が最適となる温度に保ちながら、回転装置2によりワークSを回転させることで、滴下含浸装置6の各ノズル61a〜61dから滴下されるワニスが適温保持による最適な流動性でワークSの深部まで万遍なく浸透し、均一なワニス塗布がなされる。この工程において、ワークSを内径側で支持して回転させることで、ワニス塗布の周方向の均一化が可能となる。しかも、ワークSを回転させるためにチャック3により内径側を遮られる側のコイルエンドSciにも、これとは反対側のコイルエンドScoと同様に、コイルエンド内径側からのワニスの滴下が可能となるため、ワニス塗布の軸線方向の均一化も可能となる。したがって、ワークSに配した巻線コイルに、均等にワニスを浸透させることができる。更にワークSへの均等なワニス滴下が可能となることで、滴下に要する時間を10分程度と大幅に短縮することができる。また、この工程における準備段階では、チャック内ノズル61dが回転装置2側に付随するノズルであるため、ワークSの回転装置2への支持状態で奥側となるコイルエンドSciの内径側までワークSの付け替えごとにノズルを挿入する作業が不要となり、ワニス含浸工程の段取り作業の能率化が可能となる。そして、滴下工程中は、本来拡縮のために周方向に分割されるチャック3の把持部材31間の隙間を滴下のための隙間に利用した合理的なワニス供給がなされる。更に、滴下に伴いワニスが付着することが避けられないチャック3からワーク内径側へのワニスの流動を溝31aの段差からなる堰32で規制することができるため、ワーク内径側へのワニスの流動を防ぐことができる。
滴下含浸工程に続く硬化工程を実施する場合、高周波電源装置4を作動させると共に回転装置2を作動させて加熱処理を実行する。この処理では、高周波電源装置4により、上記と同様の電力供給によりワークSをワニスの硬化に適する適温に保ちながら、回転装置2によりワークSを回転させることで、塗布されたワニスが硬化初期の流動性で偏りを生じることが防止されながら硬化が進行し、最終的に均一な硬化状態が得られる。
図4は、高周波加熱による加熱原理を従来の加熱原理と対比して示す。図はワークの積層コアスロットの断面を模式化して示すもので、図の左側に示す従来のオーブンによる加熱では、ヒータの熱が空気をを介してワークに伝達される。この場合、ワークは外側から徐々に温度上昇するため、硬化に長時間を要することになる。これに対して、本実施例の高周波加熱によると、スロット内部のマグネットワイヤM/Wに高周波電流を加えることで、マグネットワイヤは自身の電気抵抗により自己発熱すると共に、通電による磁界の発生で、コアに渦電流が発生し、コア側も発熱する作用が生じる。これによりワーク自体からの加熱で、スロット内に塗布されたワニスを短時間に硬化させることができる。
上記の処理内容から明らかなように、本実施例装置による加熱処理は、高周波電源装置4とワークSの結線のみにより実行されるため、特にワークSを取り囲む装置を要することなく行われる。したがって、最適位置にワニス滴下のための滴下含浸装置6を配置して、従来のオーブンや熱風循環炉による加熱処理のように、ワニスの滴下のためのステージ替えをなくし、予備乾燥から硬化までの全ての処理を1ステージで実施することが可能である。しかも、ワークSを回転しながら高周波電流をワークSに流すことによりコイル加熱ができるため、コイル内に組み込まれているサーミスタ46が温度を感知して、その温度信号を高周波電源4にフィードバックして、流す電流量や通電時間を制御することで、コイル温度を任意の温度に保つことができる。それによりワニス滴下時にこの加熱処理を行った場合、ワーク温度変動がなくなり、且つ、ワニス粘度の変動もなくなって、滴下に最適なワニス粘度を保つことで、マグネットワイヤ間へのワニスの浸透性がスムーズになり、時間も短縮される。
以上詳述したように、この実施例によれば、巻線コイルScに高周波電力を直接投入することで、巻線コイルScの内部からの自己発熱及び誘導加熱の併用によって、予備乾燥、ゲル化、硬化処理を短時間(0.5〜1時間程度)で加熱処理できる。また、巻線コイルScを加熱する装置として、オーブン、熱風循環炉等の大型装置は必要とせず、高周波電源装置4のみの使用で装置を小型化できる。更に、万一、不良品が発生した場合でも、処理時間が短いことで、処理結果も短時間で分かるため、早期に不良品を発見でき、ロスを最小限に抑えることができる。しかも、巻線コイルScに組込まれているサーミスタ46を用いて、温度関連情報としての巻線コイル温度自体あるいは温度により変化する抵抗をモニタして温度制御することで、ワニス硬化を確実に行うことができ、品質が安定する。
なお、温度関連情報の取得手段は、サーミスタに限るものではなく、非接触温度計、熱電対、サーモトレサー等でも代用できる。また、高周波電力を投入すると、誘導加熱によりワークSを支持しているチャック3の材質に鉄等の磁性体を使用すると、チャックが高温となって、巻線コイルScにチャック温度が伝達されて、温度のばらつきを生じてしまう。このため、チャック3の材質には、導伝率の高いアルミニウム、銅及びセラミック等の材質のものを使用して、チャックSの発熱を抑えることが望ましい。そうすることで、コイル温度のバラッキを発生させずに済む。
以上説明した実施例では、回転装置2として往復回転するものを例示したが、回転装置2として連続回転装置を用いることもできる。この場合の回転駆動機構は先のものと同様のものを用いることができる。この連続回転機構を用いる場合、高周波電源装置4とワークSの巻線コイルScを接続する給電線7の途中に、相対回転部で通電を維持するためのスリップリングが主軸20を支持する両ベアリング11の間にケーブルベヤに代えて設けられる。このスリップリングは、ワークSの3相の巻線コイルScに通電するための3条のリングの他に、ワークSの巻線コイル内に組込まれたサーミスタ46の信号を供給電力制御のために高周波電源装置7にフィードバックするための別のリングも設けられる。
この装置によると、給電線7の引回しが反転分の余裕やケーブルベヤを要しないことで最短のものとなる反面、装置構成がスリップリングの配置分だけ若干複雑になるが、ワニス滴下含浸工程を実施する場合に、ワークSを常に一定方向に回転にすることで、ワニス塗布を一層均一にすることができる利点が得られる。また、先の実施例のワーク揺動方式に比べて、反転位置の制御が不要となる分だけ、高周波電源装置4の制御と、回転装置2の駆動モータの運転制御が単純化する。その余の効果については、全て前記実施例の装置により得られえる効果と同様となる。
本発明は、一般的な多相回転電機の固定子又は回転子の製造に広く使用可能なものであり、例えば、3相の誘導電動機や発電機における、3相コイルの加熱処理を行わない含浸ワニス工程にも使用可能なものである。
実施例のワニス含浸装置を組込んだワニス含浸硬化装置を示す一部断面側面図である。 ワニス含浸硬化装置を軸端方向から見た正面図である。 高周波電源装置の構成を示すブロック図である。 高周波加熱による加熱原理を従来の加熱原理と対比して示す模式図である。 一般的含浸ワニス工程の説明図である。 先行技術によるワニス滴下を概念的に示す模式図である。 他の先行技術によるワニス滴下を概念的に示す模式図である。 従来の方法によるワニス滴下中のワニス粘度変化を示すグラフである。
符号の説明
S ワーク
Sc 巻線コイル
Se コイルエンド
2 回転装置
3 支持手段
20 主軸(中空回転軸)
31 把持部材
31a 溝
32 堰
60 ワニス供給路
61d チャック内ノズル(ノズル)

Claims (5)

  1. 回転電機の巻線コイルにワニスを含浸させるべく、巻線コイルのコイルエンドにワニスを滴下するワニス含浸装置において、
    巻線コイルを配したワークの一端部側からワーク内に挿入可能な支持手段によりワークを内径側で支持して回転させる回転装置と、該回転装置の支持手段の隙間からワークの回転装置支持手段挿入側端部のコイルエンドにワニスを滴下するノズルを備えることを特徴とするワニス含浸装置。
  2. 前記ノズルは、前記回転装置の中空回転軸を貫通して回転装置の端部まで延びる供給路により、ワニス供給源に接続された、請求項1記載のワニス含浸装置。
  3. 前記支持手段は、周方向に間隔を保ってワークを把持する複数の把持部材を有し、前記隙間は、把持部材の間に形成される、請求項1又は2記載のワニス含浸装置。
  4. 前記支持手段は、ワークのコア側へのワニスの流出を規制する堰を有する、請求項1、2又は3記載のワニス含浸装置。
  5. 前記堰は、前記把持部材に形成した溝の端部により構成される、請求項4記載のワニス含浸装置。
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