JP4830276B2 - 成形型、それを用いた成形体及びスパッタリングターゲットの製造方法並びにスパッタリングターゲット - Google Patents

成形型、それを用いた成形体及びスパッタリングターゲットの製造方法並びにスパッタリングターゲット Download PDF

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Description

本発明は、大型でかつ高密度を要求されるスパッタリングターゲットの製造法に関し、特に冷間静水圧プレスを用いて成形体を製造する際に用いられる成形型、それを用いた成形体及びスパッタリングターゲットの製造方法並びにスパッタリングターゲットに関する。
スパッタリング法は、大面積化が容易でかつ高性能の膜が得られる成膜法であることから、様々な分野の各デバイスの作製に広く用いられている。例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイに代表されるフラットパネルディスプレイ分野では、近年、テレビ用途への展開が急速に進み、パネルサイズが大型化すると共に、低コスト化を目的として1枚のマザーガラスから複数のパネルを作製するために、ガラス基板のサイズが大型化している。その結果、成膜に使用されるスパッタリングターゲットも大型化している。
これらのフラットパネルディスプレイ用表示電極としては、ITO(Indium Tin Oxide)薄膜が、高導電性、高透過率といった特徴を有し、更に微細加工も行なえることから幅広く使用されている。このITO薄膜をスパッタリング法により製造する際に用いるスパッタリングターゲットには、金属インジウムおよび金属スズからなる合金ターゲット(ITターゲット)、或いは酸化インジウムと酸化スズからなる複合酸化物ターゲット(ITOターゲット)がある。しかしITターゲットに比べ、ITOターゲットでは得られる膜の抵抗値および透過率の経時変化が少なく、成膜条件の制御が容易であるため、スパッタリング法によるITO薄膜の成膜ではITOターゲットを用いる方法が主流となっている。
しかし、ITOターゲットをアルゴンガスと酸素ガスとの混合ガス雰囲気中で連続してスパッタリングした場合、積算スパッタリング時間の増加と共にターゲット表面にはノジュールと呼ばれる黒色の付着物が析出する。インジウムの低級酸化物と考えられているこの黒色の付着物は、ターゲットのエロージョン部の周囲に析出するため、スパッタリング時の異常放電の原因となりやすく、またそれ自身が異物(パーティクル)の発生源となることが知られており、パーティクルによる歩留まり低下が、特に近年、低価格化が進んだ液晶ディスプレイなどでは大きな問題となっている。このノジュール低減のためには、ITOターゲットの高密度化が有効であることが知られている。
このような高密度な焼結体を得るための成形体の作製方法としては、1次成形として、金型を用いた乾式プレス成形法や鋳込み成形法により成形体を作製した後、冷間静水圧プレスによる高圧力での2次成形を行う2段階処理が必要であった(例えば、特許文献1、2参照)。さらに、1次成形に用いる成形方法によって、それに適した前処理工程(造粒、スラリー化など)も必要となり、製造工程が複雑となるため、コストが高くなる要因であった。
このような製造方法に対して、特許文献3には、1次成形なしにゴム型に粉末を充填して、冷間静水圧プレスにて直接高圧成形する方法も報告されている。しかし、このような方法で成形する場合、肉厚のゴム型で構成されているために、加圧時には、曲げ応力が発生して中央部が大きく変形する。このため、得られる成形体は面方向における中央部の厚みが端部よりも小さくなるため、成形体の断面形状が鼓状となり、形状精度の悪い成形体しか得られなかった。さらに、この方法では、高圧加圧後の減圧過程でゴム型は自身の弾性による復元力により、最終的に加圧前の状態にまで復元するが、成形体は収縮したままであるために、成形体とゴム型の固着などにより、成形体の一部が剥がれたり、あるいは成形体が割れたりする場合があった。
特許文献4では、このゴム型の復元による成形体の割れに対して、反発弾性値の小さいゴムを用いて、成形体の割れを防止する方法が提案されている。しかし、この方法は成形体へ掛かる応力を小さくし、成形で割れる確立を小さくさせる方法であり、粉末の種類(成形体の強度)によって、あるいは成形体が大型化した場合には、割れが発生する可能性があった。したがって、大型で強度が低い成形体を製造する場合、必ずしも十分な対策ではなかった
また、ゴム型への固着による成形体の割れに対して、特許文献5には、減圧時にほとんど弾性回復しない物質を介在させることで割れの解消が出来ることが報告されている。しかしながら、この方法でも形状精度は依然悪いものであった。
このような形状精度の悪い成形体を用いてターゲットを製造した場合、ターゲットは最終的に所望の製品厚みに仕上げるため、焼結体をフラットな面に研削する必要があるが、その研削量が増加する。したがって、必要となる原料粉末量が増加し、製造コストが高くなる。さらに、研削量が増えることで、研削に必要な加工時間も長くなる。この影響は、サイズが大きくなるほど顕著であり、ターゲットの価格を引き上げる主要な要因である。特に、高価な希少金属であるインジウムから製造されるITOターゲットにおいては、より多くの原料を必要とすることが、直接ターゲットの価格に影響し、ターゲットが高価なものとなるため、形状精度の良い成形体を得ることが極めて重要であった。
特許文献3では、形状精度の改善のために、片面を金属板で構成された型を用いて、冷間静水圧プレスにて直接高圧成形する方法も提案している。しかし、この方法においても、ゴムで構成された面は依然形状精度が悪く、さらに、前記したように、ゴム型と成形体の弾性回復の違いにより、割れや剥離が発生する可能性があった。
冷間静水圧プレスを用いて、さらに形状精度の良い成形方法として、特許文献6には、粉末を2枚の金属板で挟み、真空パックした後、5〜50MPaの圧力で冷間静水圧プレスで予備成形した後、再度真空パックを施し冷間静水圧プレスで本成形を行なう方法が報告されている。しかし、この方法では予備成形と本成形と2回の成形が必要であり、従来の2段成形処理における1次成形を冷間静水圧プレスを用いて行っているだけで、1次成形を省略して工程を簡素化する効果はない。さらに、高価な静水圧プレス装置を2回使う必要があり生産性に劣っている。
一方、特許文献7では、金型を密閉封入して冷間静水圧プレスに挿入して高圧成形する方法が提案されている。この方法は、基本的に1軸プレスであり、形状精度の優れた成形体が得られるが、このような1軸プレスと同様の型を用いた場合、特に冷間静水圧プレスでは高い圧力で成形されるため、成形圧力が抜けた後の成形体のスプリングバックが大きくなる。したがって、スプリングバックによる成形体の膨張のため、成形体を型から取り出すのが難しくなる。特に、大型の成形や嵩高い粉末の成形の場合、スプリングバックがさらに大きくなるために、脱型の際に成形体が割れてしまう問題があった。さらに、金型の場合、型の自重が重いために、成形体が大型化するほど、その付帯設備も過大なものとなり、生産性を著しく低下させる問題があった。
このような問題に対して、特許文献8では、樹脂製の組立式型枠及び成形パンチからなる型を用いて、冷間静水圧プレスで成形する方法が提案されている。型枠が分解できることから、型から成形体を取り出すことは容易になる。しかしながら、この方法でもスプリングバックの解消に至っておらず、減圧後、スプリングバックによる成形体の膨張のため、成形体と枠との間に応力がかかり、これによって成形体が割れる可能性があった。特に、ターゲットの大型化のように、厚みは変わらずに面積のみが大きくなる場合、大型化によるスプリングバックの絶対量(膨張量)が大きくなり、成形体と枠との間に大きな応力が発生するが、厚みは薄いためにこの応力に成形体が耐えられずに、割れてしまうという問題があった。
特開2000−144393号公報 特開平05−311428号公報 特開2003−003257号公報 特開平09―057495号公報 特開平06−100903号公報 特開平09−003636号公報 特開平05−287315号公報 特公平08−009120号公報
本発明は、高密度焼結体を得るための成形体の製造方法において、予備成形を必要とせずに冷間静水圧プレスを用いて、割れ・クラックが発生することがなく、形状精度の優れた大型の成形体を得ることが出きる成形型を提供することにより、高品質で低コストなスパッタリングターゲットを提供するものである。
本発明者らは、冷間静水圧プレスを用いて原料粉末から直接板状成形体を製造する際に使用する成形型の構造及び材質について、鋭意検討を重ねた結果、成形体の形状精度を向上させるために、2枚の板材で挟んで成形する際に発生するスプリングバック等の応力を解消する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、冷間静水圧プレスでの加圧においても変形を起こさない板材と、加圧時に容易に収縮または変形するが、減圧時に復元力を発生させない構造を有する部材またはそのような材料で構成された部材とで構成されていることを特徴とする冷間静水圧プレス用の成形型、それを用いた成形体及びスパッタリングターゲットの製造方法並びにその方法で得られたスパッタリングターゲットに関する。
本発明の成形型は、成形型内に充填した原料粉末を、冷間静水圧プレスにより成形して板状の成形体を製造するための成形型であって、前記板状の成形体の一方の板面に当接する第一の部材と、前記成形体の他方の板面に当接する第二の部材と、これらの第一及び第二の部材とともに、原料粉末充填用の空隙を形成する側部部材とを有し、前記第一及び第二の部材が、冷間静水圧プレスでの加圧においても実質的に変形を起こさない部材からなるとともに、前記側部部材が、冷間静水圧プレスでの加圧時には容易に収縮又は変形するが、減圧時には実質的に復元力を発生しない構造を有するか、又は、前記側部部材が、冷間静水圧プレスでの加圧時には容易に収縮若しくは変形するが、減圧時には実質的に復元力を発生しない材料により構成されていることを特徴とする冷間静水圧プレス用の成形型である。
また、本発明の成形型は、成形型内に充填した原料粉末を、冷間静水圧プレスにより成形して板状の成形体を製造するための成形型であって、前記板状の成形体の一方の板面に当接する第一の部材と、前記成形体の他方の板面に当接する第二の部材と、これらの第一及び第二の部材とともに、原料粉末充填用の空隙を形成する側部部材とを有し、前記第一及び第二の部材が、冷間静水圧プレスでの加圧においても実質的に変形を起こさない部材からなるとともに、前記側部部材が、前記第一及び第二の部材の周囲を囲むシート状の部材であり、冷間静水圧プレスでの加圧時には容易に変形するが、減圧時には実質的に復元力を発生しないことを特徴とする冷間静水圧プレス用の成形型である。
さらに、本発明の成形型は、成形型内に充填した原料粉末を、冷間静水圧プレスにより成形して板状の成形体を製造するための成形型であって、前記板状の成形体の一方の板面に当接する第一の部材と、前記成形体の他方の板面に当接する第二の部材と、これらの第一及び第二の部材とともに、原料粉末充填用の空隙を形成する側部部材とを有し、前記第一及び第二の部材が、冷間静水圧プレスでの加圧においても実質的に変形を起こさない部材からなるとともに、前記側部部材は、冷間静水圧プレスでの加圧時には容易に収縮又は変形し、減圧時に発生する側部部材の復元力を打消す方向に、型の外部からその復元力以上の力を加えることができる構造を有することを特徴とする冷間静水圧プレス用の成形型であり、具体的には、型の外部からスプリングやゴムバンドを用いてその復元力以上の力を加えることができる構造としたことを特徴とする冷間静水圧プレス用の成形型である。
また、本発明の成形型は、成形型内に充填した原料粉末を、冷間静水圧プレスにより成形して板状の成形体を製造するための成形型であって、前記板状の成形体の一方の板面に当接する第一の部材と、前記成形体の他方の板面に当接する第二の部材と、これらの第一及び第二の部材とともに、原料粉末充填用の空隙を形成する側部部材とを有し、前記第一及び第二の部材が、冷間静水圧プレスでの加圧においても実質的に変形を起こさない部材からなるとともに、前記側部部材は、冷間静水圧プレスでの加圧時には、容易に収縮又は変形する材料により構成されているか、又は、容易に収縮又は変形する構造を有し、かつ、減圧時に発生する該側部部材の復元力を打消して、前記板状の成形体の板面と前記第一及び第二の部材とが各々接触した状態を維持する復元力を打消し手段又は構造を有することを特徴とする冷間静水圧プレス用の成形型である。この復元力打消し手段としては、例えば、前記第一及び第二の部材を束ねるゴムバンドや、前記第一の部材と前記第二の部材との間の間隔を狭める方向に力を作用させる弾性体を有するもの、例えば、前記第一の部材と前記第二の部材を挟持するクリップ、前記第一の部材と前記第二の部材を互いに引き寄せるように、これらの部材の間に配設された弦巻バネ、あるいは、第一又は第二の部材の外側に配設されて、第一及び第二の部材を成形体側に押し付けるスプリング等を例示することができる。
なお、本発明において、減圧時には実質的に復元力を発生しないとは、加圧時に生じた収縮・変形状態からの復元力が、成形体や第一又は第二の部材による重力や、成形体の強度に比べて無視し得る程度に十分に小さなものであることであり、減圧開始から終了後まで、第一及び第二の部材と成形体の板面とが各々接した状態を維持していることである。また、第一及び第二の部材が加圧時においても実質的に変形を起こさないとは、加圧状態において、成形体の板面に要求される平面性を確保できる程度に、第一及び第二の部材に収縮や反りの発生が無いことを意味し、例えば、その成形圧力において第一及び第二の部材の収縮率が2%以下、反り量が2mm以下であることが好ましい。なお、この第一及び第二の部材の変形は成形体に転写されるために、成形体の長さ方向の収縮率と反り量で確認することができる。また、本発明における板状の成形体の板面とは、板状の成形体の表面を構成する6つの面のうち、最も広い2つの面を意味する。
本発明の成形体の製造方法は、成形型内に充填した原料粉末を、冷間静水圧プレスにより成形する成形体の製造方法において、上記の成形型を用いて、冷間静水圧プレスにより成形することを特徴とする成形体の製造方法である。
また、本発明の成形体の製造方法は、成形型内に充填した原料粉末を、冷間静水圧プレスにより成形して板状の成形体を製造する方法であって、前記板状の成形体の一方の板面に当接する第一の部材と、前記成形体の他方の板面に当接する第二の部材と、これらの第一及び第二の部材とともに、原料粉末充填用の空隙を形成する側部部材とを有し、前記第一及び第二の部材が、冷間静水圧プレスでの加圧においても実質的に変形を起こさない部材からなるとともに、前記側部部材は、冷間静水圧プレスでの加圧時には容易に収縮又は変形する材料により構成されているか、又は、容易に収縮又は変形する構造を有する冷間静水圧プレス用の成形型を用い、かつ、減圧時に発生する前記側部部材の復元力を打消す復元力打消し手段を設けて、前記板状の成形体の板面と前記第一及び第二の部材とが各々接触した状態を維持しつつ減圧を行うことを特徴とする成形体の製造方法である。
本発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、原料粉末を成形して得た成形体を焼成して焼結体を作製し、得られた焼結体を整形してターゲット材とするスパッタリングターゲットの製造方法において、前記成形体を、上記の成形型を用いて、冷間静水圧プレスにより成形して得ることを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法である。なお、本発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、例えば、原料粉末が、インジウム、スズ、酸素を含む粉末からなる場合やインジウム、亜鉛、酸素を含む粉末からなる場合等に好適に用いることができる。
また、本発明のスパッタリングターゲットは、原料粉末を成形して得た成形体を焼成して焼結体を作製し、得られた焼結体を整形してターゲット材とするスパッタリングターゲットにおいて、前記成形体が、前記の成形体の製造方法により得られた成形体であることを特徴とするスパッタリングターゲットであり、例えば、前記焼結体が、インジウム、スズ、酸素を含む焼結体やインジウム、亜鉛、酸素を含む焼結体であるスパッタリングターゲットである。
以下、本発明を具体例を用いて詳細に説明する。
本発明に用いられる材料は、特に限定されるものではないが、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、AZO(Aluminum Zinc Oxide)、GZO(Gallium Zinc Oxide)、BST(Barium Strontium Titanate)、STO(Strontium Titanate)等を挙げることができる。
本発明のスパッタリングターゲットを構成する焼結体の製造は、原料粉末を必要に応じて混合し、成形、焼成して得られるが、このような原料粉末の混合、成形体の焼成は通常用いられている方法により行うことができる。
原料粉末の混合は、例えば、ボールミル、ジェットミル、クロスミキサー等で行なう。原料粉末を混合する前に、原料粉末の粉砕及び/又は分級処理を施しておくことが好ましい。こうした粉砕・分級処理を施すことにより原料粉末粒径が微細化し、均一に混合しやすくなるため、焼結体内組成の不均一性によって引き起こされる焼結体の変形・割れや密度むらを防止することが可能となる。また、原料粉末として炭酸塩を用いた場合には、粉末を混合した後に、仮焼して脱炭酸処理を施しても良い。なお、原料粉末として1種類の化合物のみを用いる場合には上記のような混合操作が必要でないことは言うまでもない。
本発明では、冷間静水圧プレスを用いて高い圧力で成形され、かつスプリングバックの解消により割れの発生がないことから、通常、乾式プレス成形方法で行なわれている造粒などといった粉末処理は必ずしも必要としないが、造粒して得られた顆粒あるいは平均粒径が1〜10μmの粒状のものを原料として用いることができることはいうまでもない。本発明では、このような粉末処理を必ずしも必要としないことから、成形前の粉末処理工程を簡素化することができる。
得られた原料粉末を次に、冷間静水圧プレスを用いて板状の成形体とするが、この際、前記板状の成形体の一方の板面に当接する第一の部材と、前記成形体の他方の板面に当接する第二の部材と、これらの第一及び第二の部材とともに、原料粉末充填用の空隙を形成する側部部材とを有し、前記第一及び第二の部材が、冷間静水圧プレスでの加圧においても実質的に変形を起こさない部材からなるとともに、前記側部部材が、冷間静水圧プレスでの加圧時には容易に収縮又は変形するが、減圧時には実質的に復元力を発生しない構造を有するか、又は、冷間静水圧プレスでの加圧時には容易に収縮又は変形するが、減圧時には実質的に復元力を発生しない材料により構成されている冷間静水圧プレス用の成形型を用いて成形を行う。より具体的には、例えば、冷間静水圧プレスでの加圧においても変形を起こさない上下2枚の板材と、これらの2枚の板材の周囲を囲むシート状の部材とで構成され、冷間静水圧プレスでの加圧時には、前記上下2枚の板材の周囲を囲むシート状の部材が容易に変形するが、減圧時には実質的に復元力を発生しない冷間静水圧プレス用の成形型を用いて成形を行なう。
あるいは、前記板状の成形体の一方の板面に当接する第一の部材と、前記成形体の他方の板面に当接する第二の部材と、これらの第一及び第二の部材とともに、原料粉末充填用の空隙を形成する側部部材とを有し、前記第一及び第二の部材が、冷間静水圧プレスでの加圧においても実質的に変形を起こさない部材からなるとともに、前記側部部材は、冷間静水圧プレスでの加圧時には、容易に収縮又は変形する材料により構成されているか、又は、容易に収縮又は変形する構造を有し、かつ、減圧時に発生する該側部部材の復元力を打消して、前記板状の成形体の板面と前記第一及び第二の部材とが各々接触した状態を維持する復元力打消し手段又は構造を有する冷間静水圧プレス用の成形型を用いて成形を行う。この減圧時に発生する側部部材の復元力を打消して、前記板状の成形体の板面と前記第一及び第二の部材とが各々接触した状態を維持する復元力打消し手段としては、例えば、前記第一及び第二の部材を束ねるゴムバンドや、前記第一の部材と前記第二の部材との間の間隔を狭める方向に力を作用させる弾性体を有するもの、例えば、前記第一の部材と前記第二の部材を挟持するクリップ、前記第一の部材と前記第二の部材の各々の外側に配設された板状体を互いに引き寄せるように、これらの板状体の間に装着された弦巻バネ、あるいは、板状体の外側に配設されて、板状体を成形体側に押し付けるスプリング等を例示することができる。なお、冷間静水圧プレス時に上側に配置される第一の部材の上に置かれた重りも復元力打消し手段として使用できる。また、復元力打消し構造としては、例えば、冷間静水圧プレス時に上側に配置される第一の部材による重力が、減圧時に発生する側部部材の復元力より大きくなるようにした構造等を例示することができる。具体的な一例としては、冷間静水圧プレスでの加圧においても変形を起こさない上下2枚の板材と、これらの2枚の板材に挟まれた収縮性のある側部部材とで構成され、冷間静水圧プレスでの加圧時には、前記上下2枚の板材に挟まれた収縮性のある部材からなる側部部材が容易に変形し、かつ、減圧時に発生する側部部材の復元力を、前記上下2枚の板材を束ねるゴムバンドにより、この復元力以上の力を加えることにより打消すように構成した冷間静水圧プレス用の成形型を用いて成形を行う。
このような成形型を用いて成形を行なうことにより、形状精度に優れ、かつ割れやクラックの無い大型の成形体を得ることが可能となる。
さらに、成形型内に充填した原料粉末を、冷間静水圧プレスにより成形して板状の成形体を製造する方法であって、前記板状の成形体の一方の板面に当接する第一の部材と、前記成形体の他方の板面に当接する第二の部材と、これらの第一及び第二の部材とともに、原料粉末充填用の空隙を形成する側部部材とを有し、前記第一及び第二の部材が、冷間静水圧プレスでの加圧においても実質的に変形を起こさない部材からなるとともに、前記側部部材は、冷間静水圧プレスでの加圧時には容易に収縮又は変形する材料により構成されているか、又は、容易に収縮又は変形する構造を有する冷間静水圧プレス用の成形型を用い、かつ、復元力打消し手段により、前記側部部材の減圧時の復元力を打消して、前記板状の成形体の板面と前記第一及び第二の部材とが各々接触した状態を維持しつつ減圧を行うことによっても、形状精度に優れ、かつ割れやクラックの無い大型の成形体を得ることが可能となる。すなわち、冷間静水圧プレスでの加圧においても変形を起こさない上下2枚の板材と、これらの2枚の板材に挟まれた収縮性のある側部部材とで構成され、冷間静水圧プレスでの加圧時には、前記上下2枚の板材に挟まれた収縮性のある部材からなる側部部材が容易に変形し、かつ、復元力打消し手段を設けて、減圧時に発生する側部部材の復元力を打消す方向に、型の外部からその復元力以上の力を加えることにより、前記板状の成形体の板面と前記第一及び第二の部材とが各々接触した状態を維持しつつ減圧を行うことによっても、形状精度に優れ、かつ割れやクラックの無い大型の成形体を得ることが可能となる。この復元力打消し手段としては、例えば、前記第一及び第二の部材を束ねるゴムバンドや、前記第一の部材と前記第二の部材との間の間隔を狭める方向に力を作用させる弾性体を有するもの、例えば、前記第一の部材と前記第二の部材を挟持するクリップ、前記第一の部材と前記第二の部材の各々の外側に配設された板状体を互いに引き寄せるように、これらの板状体の間に装着された弦巻バネ、あるいは、板状体の外側に配設されて、板状体を成形体側に押し付けるスプリング等を例示することができる。
本発明の冷間静水圧プレス用の成形型の一例を図1に示す。また、その断面図を図2(a)に示す。図中1は冷間静水圧プレスでの加圧においても実質的に変形を起こさない板材からなる第一の部材、2は同じく冷間静水圧プレスでの加圧においても実質的に変形を起こさない板材からなる第二の部材であり、3はこれらの第一及び第二の部材の周囲を囲むシート状の部材からなる側部部材である。そして、これらの第一の部材1、第二の部材2及びシート状部材3で形成される空隙4に原料粉末を充填して冷間静水圧プレスを行い、板状の成形体を得る。なお、シート状部材3の下端は第二の部材2の側面6に固定されていることが、原料粉末の充填を容易にする上で好ましいが、第二の部材2の底面側に折り込んで固定されていても良いし、折り込むだけで特に固定されていなくても良い。また、原料粉末が充填された状態で、シート状部材3は第一の部材1の側面5に固定されていても良いが、図4に断面図で示すように、シート状部材23(図1の3)3の上端部26を長くして、第一の部材21(図1の1)の側面(図1の5)には固定せず、その上面に折り込むようにしても良い。なお、シート状部材23(図1の3)は第一の部材21(図1の1)及び第二の部材22(図1の2)の側面を全て覆う必要はなく、シート状部材23(図1の3)を固定又は保持できる範囲で、第一の部材21(図1の1)又は第二の部材22(図1の2)の側面の厚さ方向の少なくとも一部が覆われていれば良い。
本発明の成形型では、形状精度の良い成形体を得るために、第一の部材及び第二の部材として、例えば、上記のように2枚の板材1、2を用いる。これらの板材としては、冷間静水圧プレスでの加圧時に実質的に変形を生じないものであれば、特に限定はされないが、大型化のためには比重が小さく強度のあるものが好ましく、金属ではアルミニウム、ジュラルミンなど、樹脂ではMCナイロン、ABS、ベークライトなどの板材が使用可能である。また、これらの2枚の板材1、2の間に、板材1、2と側部部材(シート状部材3)とで囲まれた原料粉末を充填するためのキャビティーを形成するが、この側部部材の材料としては、冷間静水圧プレスでの加圧時に容易に収縮または変形し、減圧時には復元力を実質的に発生することなく、静水圧プレスの圧力を成形体に直接作用させることのできる材料であれば良く、特に限定されないが、例えば、厚さが薄く、柔軟性に富むシート状部材は、厚みが薄いことにより、減圧時に復元力が実質的に発生せず、かつ柔軟性に富むために、冷間静水圧プレスでの加圧時に容易に変形し、本発明の側部部材として好適に使用することができる。
なお、図1に示す成形型では、成形体の形状は上下の板材1、2の形状と原料粉末の充填量によりほぼ定まるため、シート状部材3には形状を保持するための機能は要求されず、後述のように冷間静水圧プレスでの加圧時には折り畳まれた状態で成形体に接するため、その剛性は小さい方が好ましい。また、冷間静水圧プレスでの加圧時には、シート状部材3にはその両側から同等の圧力が作用するので、結果的に大きな力が加わることはなく、シート状部材3の強度は、原料粉末の充填や搬送等のハンドリング時に破壊しない程度の強度があれば十分である。さらに、冷間静水圧プレスでの加圧時には、充填された原料粉末の厚さの減少量が、水平方向の長さや幅の減少量よりも大きいため、シート状部材3は折り畳まれた状態で成形体に接することになり、伸ばされることはないので大きな延性を有する必要はない。
シート状部材は減圧時に復元力が実質的に発生しないが、特に成形体が大型になった場合、スプリングやゴムバンドなどを用いて型の板材1、2と成形体4が離れないように、若干の外力を加えることが好ましい。このようにすることで、冷間静水圧プレス成形後、型から成形体を取り出すまでのハンドリング時の何らかの衝撃により、板材1、2が一度成形体から離れて、再度成形体に当たることで発生する割れを防止することが出来る。
このシート状部材3としては、樹脂、繊維、金属箔などいろいろな材質のものが使用でき、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニールなどが使用可能である。特に、空気のみ透過できる繊維質のようなものを用いた場合、粉末充填後に行われる真空パックにおいて、粉末の間に存在する空気を脱気することが出来るために好ましい。このシート状部材3の厚みは、強度や耐久性を考慮すると0.05〜2mmが好ましい。
次に、図2(a)のように構成された成形型の空隙に原料粉末7を充填し、真空パックを行ない冷間静水圧プレスに投入し高圧成形するが、この時の粉末充填はタッピングや振動等の外力を加えて、最密充填になるように行なうことが好ましい。こうすることで成形時の収縮量が少なくなり、形状精度および成形体密度が高くなる。また、真空パック材であるビニールやアルミ蒸着フィルム製の袋の保護のために、成形型をゴムシートなどにより養生をして真空パックすることが好ましい。
また、本発明の冷間静水圧プレス用の成形型の別の一例の断面図を図5(a)に示す。図中31は冷間静水圧プレスでの加圧においても実質的に変形を起こさない板材からなる第一の部材、32は同じく冷間静水圧プレスでの加圧においても実質的に変形を起こさない板材からなる第二の部材であり、33はこれらの第一及び第二の部材に挟まれた収縮性のある部材からなる側部部材である。そして、これらの板材(第一の部材)31、板材(第二の部材)32及び収縮性のある部材からなる側部部材33で形成される空隙34に原料粉末を充填して冷間静水圧プレスを行う。このとき、収縮性のある部材からなる側部部材33が減圧時に発生する復元力よりも大きく、外側から成形体側へ向かう力を板材31、32に加えながら冷間静水圧プレスを行う。なお、板材31、32に外力を加える方法としては、スプリングやゴムバンドなどの使用が上げられる。具体的には、スプリングを用いる場合、図5(b)に示すように、板状の部材であるバックアップ36で、真空パック材35を用いて真空パックした後の成形型を挟み込み、スプリング37でバックアップ36を成形型に押し付ける。また、成形型にゴムバンドを巻きつけることによっても板材31、32に上記の外力を加えることができるが、この場合は、構造が簡単であるために、真空パック前の成形型でも、真空パック後の成形型でも対応可能である。
この収縮性のある部材からなる側部部材33としては、復元力が小さいものが好ましく、例えば、体積の大部分が空隙であるスポンジ状のものが利用可能であり、具体的には、シリコンゴムスポンジ、ウレタンフォームなどが上げられる。側部部材の幅は、部材の硬さや成形する成形体の厚みにより決まる部材の高さにより、適宜選択できるが、部材の高さの1/4以上が好ましく、成形型の組み上げや粉末充填の作業性を考慮すると、10〜30mm程度が好ましい。スポンジのように、部材の空隙がすべて連続的に繋がっていれば、真空パック時に部材の空隙の空気は脱気されるため、部材の幅は極めて薄くなり、シート状に近いものとなる。この方法は、シート状の側部部材に比べ、型の組み上げや粉末充填などの一連の成形作業の作業性が極めて良好であるという特徴を有する。しかし、スポンジ状の部材で、特に粉末に接する面に凹凸がある場合、粉末が咬み込み成形体と側部部材が離れなくなるため、粉末に接する面にゴムなどの収縮性のある材料でコーティング処理をする、あるいは、側部部材と粉末の間に、シートやテープなどの界面層を設けるなどの対策をすることが必要である。
このようにして準備された成形型を冷間静水圧プレスに投入し、高圧で成形を行なう。このとき、高圧下では図2(b)に示すように、2枚の板材1、2が静水圧により原料粉末を加圧することで、粉末の内部の圧力が上がり、側面のシート状部材3において、外側から加圧される静水圧と原料粉末内部の圧力が均衡するため、シート状部材3が原料粉末の充填された空隙の内部に過度に入り込んだり、あるいは外側に過度にはみ出したりすることはなく、形状精度の高い成形体8を得ることが出来る。このときの成形圧力としては、高い密度の成形体を得るために、1ton/cm以上が好ましく、より好ましくは2ton/cm以上である。
冷間静水圧プレスにおいては、高圧下で然るべき時間保持された後減圧されるが、このとき図2(c)に示すようにスプリングバックにより成形体8は膨張する。この膨張を不用意に妨げたりすると、成形体に応力が掛かり成形体が割れてしまう原因となる。具体的には、成形体に等方的に圧力が掛かっているときは問題無いが、成形体に掛かる圧力が等方性を失ったとき、すなわち上下面や側面でバランスが崩れた時に、成形体の膨張により割れが発生してしまう。例えば、割れが発生してしまうモデルとしては、図3(a)に示すような2枚の板材11、12と発泡スチロール製の側部部材13で構成された成形型が上げられる。このモデルでは、高圧加圧時は図3(b)のように等方的に加圧されている。しかし、減圧時、特に発泡スチロールが弾性回復してしまう数百kg/cm以下の圧力では、図3(c)のように、冷間静水圧プレスの圧力がまだ残っている段階で、発泡スチロール製の側部部材13が弾性回復し、これに伴って板材11、12と成形体15との間に隙間が発生する。これにより、成形体15の上下面を押さえる力は無くなってしまう。一方、成形体15の側面は発泡スチロールに接して、発泡スチロールの復元力、及び静水圧の残圧の影響を受ける。このようなアンバランスな外圧が成形体に掛かった場合、成形体自体もスプリングバックによる膨張方向へ力が加わっているため、図3(d)に示すように、厚みの横方向にラミネーションクラック16が発生してしまう。
これに対して、本発明の一例である図2(a)に示した成形型は、2枚の板材1、2と復元力が無く柔軟性に富むシート状部材3で構成されているために、図2(c)に示すように、実質的にゼロ圧まで、常に成形型の上下の板材1、2及びシート状部材3が成形体8の全面に接することで等方的に減圧することができ、アンバランスな外圧が成形体に加わることが無い。同時に、スプリングバックによる成形体の膨張も等方的に緩和することができるため、バインダー等の添加物が入っていない強度の低い成形体や大型でスプリングバックが大きな成形体でも、割れやクラックを発生させることなく、形状精度に優れた成形体の成形が可能となる。このように、冷間静水圧プレスでの減圧時に、側部部材の加圧時の収縮・変形からの復元力が実質的に生じないようにすることにより、減圧時においても、成形体に加わる力を等方的に保つことが可能となり、成形体の割れやクラックの発生を防止することができる。
すなわち、本発明は、冷間静水圧プレスを用いて、2枚の板材により成形することで、1軸プレスのように形状精度の優れた成形体を得ることができ、さらに、減圧時に成形体に対して等方的に圧力を抜くことで、成形体に応力を発生させることなく、スプリングバックを吸収することで割れのない成形体を得ることが出来る成形型である。
このようにして得られた成形体を焼成炉内で焼成して、焼結体を製造する。焼成温度、昇温速度、降温速度等の条件は、種々の材料によって異なるが、例えばITOの場合、焼成温度は、酸化スズの酸化インジウム中への固溶が促進される1400℃〜1600℃であることが好ましい。1400℃未満ではITOとしての焼結が完全でないため、焼結体強度が低く、また1600℃を超える温度ではITO焼結粒子からの酸化インジウムあるいは酸化スズの蒸発が顕著となり、組成ずれ等の問題を引き起こす要因となる。焼成温度までの昇温速度は、成形体の均一な焼結による収縮を考慮すると、20℃/hr〜100℃/hrが好ましい。焼成温度で保持した後の、室温までの降温速度は、100℃/hr以下とすることが、焼結体への熱衝撃を緩和し、反り・クラックを防止する点で好ましい。
以上の方法により製造された焼結体は、形状精度が良好であるので容易に所望の形状に研削加工することができ、容易にスパッタリングターゲットとすることができる。
本発明によれば、冷間静水圧プレスでの加圧においても変形を起こさない板材と、加圧時に容易に収縮または変形するが、減圧時に復元力を発生させない構造を有する部材またはそのような材料で構成された部材とで構成されている冷間静水圧プレス用成形型を用いて成形を行なうことにより、形状精度に優れ、かつ割れやクラックの無い大型の成形体を得ることが可能となる。特に、本発明の成形型によれば、減圧時に成形体に対して等方的に圧力を抜くことができ、割れの原因となる外圧による応力を発生させることなく、さらにスプリングバックも吸収することが出来るため、成形性の悪い未造粒粉末やバインダー等の添加物が入っていない粉末でも、割れやクラックを発生させること無く成形することが出来る。したがって、成形の前工程である粉末調製工程を大幅に省略でき、製造プロセスの生産性が極めて高くなる。
以下、本発明を実施例をもって更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
酸化インジウム粉末および予めジェットミル粉砕処理した酸化スズ粉末を、組成が酸化インジウム:酸化スズ=90:10(wt%)となるように16時間乾式ボールミル混合しITO混合粉末を作製した。特に、造粒やバインダーの添加などの粉末処理は実施しなかった。
続いて、幅380mm、長さ810mm、厚み15mmのベークライトの板材を2枚準備し、厚み0.1mmのビニールシートを上記ベークライトの板の周囲を囲む大きさの筒状に加工した。
図4にその断面図を示すように、ベークライトの板21、22と筒状のビニールシート23を図に示すように、組み上げ、下側の板22とビニールシート23を外側からゴムバンド25で固定した。次いで、上記混合粉末を11kg型内に入れ、振動テーブルを用いて粉末を充填した。この時の充填した粉末層24の厚みは約15mmであった。もう1枚のベークライト板21を充填した粉末層24の上にのせ、ビニールシート23の上端部26をベークライトの板21の上に折込み、さらにその上からゴムシートで包んで、ビニール袋に入れ袋内を減圧し真空パックを行なった。
このようにして準備した成形型を冷間静水圧プレスに投入して、3ton/cmの圧力で成形を行なった。得られた成形体を型から取り出し、形状を確認した。側面にビニールシートの形状が転写されていたが、転写されている凹凸形状の深さは1mm以下であり、390mm×810mm×9mmtの成形体を得た。この時の厚みの分布は±0.2mmであった。
上記成形体を酸素フロー雰囲気焼成炉内に設置し、以下の条件で焼成を実施し、焼結体を作製した。
(焼成条件)
焼成雰囲気:酸素雰囲気
昇温速度:100℃/hr、焼成温度:1600℃、焼成時間:5hr
降温速度:100℃/hr
得られた焼結体は、310mm×665mm×7.5mmtのサイズで、その厚み分布は±0.15mmであった。また、密度を測定したところ、密度99.76%の高密度な焼結体であった。密度の測定は、JIS−R1634−1998に準拠してアルキメデス法で行い、ITOの真密度として7.156g/cmを用いた。
得られた焼結体を研削加工して101.6mm×177.8mm×6mmtのターゲット材を作製し、無酸素銅製のバッキングプレートにインジウム半田により接合してスパッタリングターゲットを作製した。こうして作製されたスパッタリングターゲットを以下のスパッタリング条件で20kWhスパッタリングを行った結果、ノジュールの発生やターゲットの割れは認められなかった。
DC電力 :600W
スパッタガス:Ar+O
ガス圧 :5mTorr
/Ar :0.1%
比較例1
成形型の側面をビニールシートではなく発泡スチロールで構成した以外は実施例1と同様の方法で、成形体を作製した。この時の成形型の構造を図3(a)に示す。発泡スチロールのサイズは、高さ45mm、厚さ15mm(図3(a)中の側部部材13の高さと幅)である。
冷間静水圧プレス終了後に、成形体を取り出そうとしたが、型内で成形体に割れが発生していた。
本発明の成形型の一例を模式的に示す斜視図である。 本発明の成形型の一例を示す断面図である。
(a)未加圧時、(b)加圧時、(c)減圧時
従来の成形型の一例を示す断面図である。
(a)未加圧時、(b)加圧時、(c)減圧時、(d)割れの発生した成形体
実施例1で使用した本発明の成形型の概略を示す断面図である。 本発明の成形型の他の一例及びその使用方法の一例を示す断面図である。
(a)成形型、(b)復元力打消し手段を併設した使用例
符号の説明
1、11、21、31 第一の部材(板材)
2、12、22、32 第二の部材(板材)
3、23 側部部材(シート状部材)
13 側部部材(発泡スチロール製)
33 収縮性のある部材からなる側部部材
4、34 原料粉末が充填される空隙
5 第一の部材(板材)の側面
6 第二の部材(板材)の側面
7、14、24 充填された原料粉末
8、15 成形体
16 成形体に生じた割れ
25 ゴムバンド
26 シート状部材の上端部
35 真空パック材
36 バックアップ
37 スプリング

Claims (8)

  1. 成形型内に充填した原料粉末を、冷間静水圧プレスにより成形して板状の成形体を製造するための成形型であって、前記板状の成形体の一方の板面に当接する第一の部材と、前記成形体の他方の板面に当接する第二の部材と、これらの第一及び第二の部材とともに、原料粉末充填用の空隙を形成する側部部材とを有し、前記第一及び第二の部材が、冷間静水圧プレスでの加圧においても実質的に変形を起こさない部材からなるとともに、前記側部部材は、冷間静水圧プレスでの加圧時には、容易に収縮又は変形する材料により構成されているか、又は、容易に収縮又は変形する構造を有し、かつ、減圧時に発生する該側部部材の復元力を打消して、前記板状の成形体の板面と前記第一及び第二の部材とが各々接触した状態を維持する復元力打消し手段又は構造を有することを特徴とする冷間静水圧プレス用の成形型。
  2. 復元力打消し手段が、第一及び第二の部材を束ねるゴムバンドであることを特徴とする請求項1記載の冷間静水圧プレス用の成形型。
  3. 復元力打消し手段が、第一の部材と第二の部材との間の間隔を狭める方向に力を作用させるように配設された弾性体であることを特徴とする請求項1記載の冷間静水圧プレス用の成形型。
  4. 成形型内に充填した原料粉末を、冷間静水圧プレスにより成形して板状の成形体を製造する方法であって、前記板状の成形体の一方の板面に当接する第一の部材と、前記成形体の他方の板面に当接する第二の部材と、これらの第一及び第二の部材とともに、原料粉末充填用の空隙を形成する側部部材とを有し、前記第一及び第二の部材が、冷間静水圧プレスでの加圧においても実質的に変形を起こさない部材からなるとともに、前記側部部材は、冷間静水圧プレスでの加圧時には容易に収縮又は変形する材料により構成されているか、又は、容易に収縮又は変形する構造を有する冷間静水圧プレス用の成形型を用い、かつ、減圧時に発生する前記側部部材の復元力を打消す復元力打消し手段を設けて、前記板状の成形体の板面と前記第一及び第二の部材とが各々接触した状態を維持しつつ減圧を行うことを特徴とする成形体の製造方法。
  5. 成形型内に充填した原料粉末を、冷間静水圧プレスにより成形する成形体の製造方法において、請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形型を用いて、冷間静水圧プレスにより成形することを特徴とする成形体の製造方法。
  6. 原料粉末を成形して得た成形体を焼成して焼結体を作成し、得られた焼結体を整形してターゲット材とするスパッタリングターゲットの製造方法において、前記成形体を、請求項4又は請求項5に記載の成形体の製造方法により成形して得ることを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
  7. 原料粉末が、インジウム、スズ、酸素を含む粉末からなることを特徴とする請求項6記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
  8. 原料粉末が、インジウム、亜鉛、酸素を含む粉末からなることを特徴とする請求項6記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
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