JP4829509B2 - 遺伝子検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、生体試料中に存在する標的核酸を特異的に増幅して測定し、測定結果に基づいて診断支援情報を生成する遺伝子検査方法に関する。
近年臨床診断の分野において遺伝子検査が急速に普及している。遺伝子検査とは、核酸や染色体などを分析して遺伝性疾患に関連する変異や核型などの有無を臨床目的で検査することである。遺伝子検査の一例として、癌のリンパ節転移診断がある。癌細胞は、原発巣を離れ、血管やリンパ管を経由して全身に転移する。癌の手術では、できるだけ確実に病巣を取り除くことが必要であるため、転移を正確に検出し、転移の度合いに応じて適切な処置をすることが要求される。このため、術中の癌細胞のリンパ節転移診断は極めて重要な意義を有している。癌のリンパ節転移診断の一手法として、正常細胞には発現しないか若しくは発現量が低く、癌細胞には多く発現するタンパク質の核酸を標的核酸として検出する方法がある。近年の遺伝子解析技術の発展により、生体から切除したリンパ節組織に含まれる標的核酸を増幅し、検出することで、効果的に癌診断を行うことが可能になってきている。
このようにリンパ節への癌の転移を標的核酸の増幅、検出によって判定しようとする場合、通常はリンパ節をホモジナイズして溶液中に核酸を抽出し、この溶液中の核酸を精製した測定試料を調製し、この測定試料中の標的核酸の増幅、検出が行われる。しかし、核酸の精製には時間を要するため、このような方法では標的核酸の定量結果を得るまでに時間がかかり、迅速に標的核酸の検出を行って癌の転移の判定を行うことができないという問題がある。術中の癌細胞のリンパ節転移診断においては、癌の転移判定の結果に応じてその手術における処置方針が決められるため、迅速に転移判定を行うことが重要である。
このような観点から、測定試料の調製の際に、核酸の抽出精製を行わずに、リンパ節をホモジナイズした溶液、もしくはこの溶液の上清を測定試料として用いれば迅速に標的核酸の検出を行うことが可能となる。しかし、このような測定試料を用いて核酸増幅を行う場合、核酸の精製を行って調製した測定試料を用いて核酸増幅を行う場合に比べて、リンパ節に由来する核酸増幅の阻害物質の量が多くなり、その影響が非常に強くなり、正しい測定値が得られなくなるという問題が生じる。また、このようにリンパ節から測定試料を調製する場合、検体ごとに阻害の程度が異なるという問題もある。
癌に起因するタンパク質に対応する標的核酸(mRNA)を検出する際、内部標準物質としてβアクチン遺伝子のmRNAを用いる方法が知られている(特許文献1)。βアクチン遺伝子のようなハウスキーピング遺伝子のmRNAを内部標準として使用することにより、標的核酸の抽出効率やcDNAの増幅効率を考慮しなくても相対的な標的核酸の検出が可能になる。
しかしながら、βアクチンに関しては生体から切除したリンパ節中のもともとの発現量が分からないため、ハウスキーピング遺伝子のmRNAを内部標準として用いても、リンパ節中の増幅阻害物質が標的核酸(mRNA)のcDNAの増幅に影響を与えているかどうかを確認できないことがある。
また、少なくとも一種の蛍光色素で標識された一種のオリゴヌクレオチドからなる核酸プローブ(以下、核酸プローブ)であって、対応核酸(標的核酸)にハイブリダイズすることにより、標識された蛍光色素の蛍光キャラクターが変化する、少なくとも一種の核酸プローブを用いて標的核酸を測定する方法において、測定系に少なくとも一種の標的核酸と標的核酸に相応する既知量の内部標準核酸を少なくとも一種含み、かつ標的核酸に特異的な、少なくとも一種の蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチドからなる核酸プローブ(以下、標的核酸プローブ)若しくは内部標準核酸に特異的な、少なくとも一種の蛍光色素で標識されたオリゴヌクレオチドからなる核酸プローブ(以下、内部標準核酸プローブ)を少なくも一種含むか、又は標的核酸プローブと内部標準核酸プローブを各々少なくとも一種含む反応系で、ハイブリダイゼーション反応及び/又は核酸増幅反応を行わせ、標的核酸プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションにより生じる標的核酸プローブの蛍光キャラクターの、ハイブリダイゼーション前後における変化又は変化量、内部標準核酸プローブと内部標準核酸とのハイブリダイゼーションにより生じる内部標準核酸プローブの蛍光キャラクターの、ハイブリダイゼーション前後における変化又は変化量を少なくとも一種の測定波長で測定して、得られる測定値及び内部標準核酸の添加量から、標的核酸及び/又は核酸増幅反応前の標的核酸を測定する核酸の測定方法が知られている(特許文献2)。
しかしながら、例えば、上述した術中の癌細胞のリンパ節転移診断等の実際の診断の現場においては、迅速に判定結果を得ることが必要となり、標的核酸の濃度や定量値は参考程度である場合が多いが、上記特許文献2においては、このような事情について何等考慮されていない。
国際公開WO 03/70935号パンフレット 特開2004−203号
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、生体試料としてヒトから採取された組織中の核酸を抽出精製することなく調製された測定試料のように核酸増幅を阻害する物質が多く含まれている場合でも、標的核酸の測定結果に対する阻害物質の影響を判定することができ、医師等が診断を行う上で有用な情報を正確且つ迅速に得ることのできる遺伝子検査方法を提供することである。
課題を解決するための手段および発明の効果
この発明の第1の局面による遺伝子検査方法は、生体試料としてヒトから採取された組織中に存在する標的核酸を特異的に増幅して測定する遺伝子検査方法であって、前記生体試料中には存在しない核酸であり、既知量の内部標準核酸を、前記生体試料の非存在下で特異的に増幅し、その増幅に基づいて内部標準核酸量に関する第1測定結果を取得する工程と、前記生体試料中の核酸を抽出精製することなく調製された核酸含有試料に前記第1測定結果取得工程と同量の前記内部標準核酸を加えて前記内部標準核酸を前記生体試料の存在下で特異的に増幅し、その増幅に基づいて内部標準核酸量に関する第2測定結果を取得する工程と、前記生体試料中の核酸を抽出精製することなく調製された核酸含有試料中に存在する前記標的核酸を特異的に増幅し、その増幅に基づいて前記標的核酸量に関する第3測定結果を取得する工程と、前記標的核酸量に関する第3測定結果と所定の基準値を比較し、前記標的核酸量に関する第3測定結果が、前記基準値より多いか否かを判定した判定結果を求める工程と、内部標準核酸量に関する第1測定結果および内部標準核酸量に関する第2測定結果の差異に基づいて、生体試料成分中の阻害物質の前記判定結果に対する影響を判定する工程と、を備える。
この第1の局面による遺伝子検査方法では、上記のように、第1測定結果と第2測定結果とに基づいて、生体試料中の阻害物質の診断への影響を判定することができ、第3測定結果と所定の基準値に基づいて、生体試料中の標的核酸量が、前記基準値より多いか否かを判定した判定結果の確度を知ることができる。また、第3測定結果を所定の基準値と比較して判定結果を求めるので、迅速に診断支援情報を得ることができる。
この発明の第2の局面による遺伝子検査方法は、生体試料としてヒトから採取された組織中に存在する標的核酸を特異的に増幅して測定する遺伝子検査方法であって、前記生体試料中には存在しない核酸であり、既知量の内部標準核酸を、前記生体試料の非存在下で特異的に増幅し、その増幅に基づいて内部標準核酸量に関する第1測定結果を取得する工程と、前記生体試料中の核酸を抽出精製することなく調製された核酸含有試料に前記第1測定結果取得工程と同量の前記内部標準核酸を加えて前記内部標準核酸を前記生体試料の存在下で特異的に増幅し、その増幅に基づいて内部標準核酸量に関する第2測定結果を取得する工程と、前記生体試料中の核酸を抽出精製することなく調製された核酸含有試料中に存在する前記標的核酸を特異的に増幅し、その増幅に基づいて前記標的核酸量に関する第3測定結果を取得する工程と、内部標準核酸量に関する第1測定結果および内部標準核酸量に関する第2測定結果の差異に基づいて、前記第3測定結果および所定の基準値の何れか一方を補正する工程と、前記第3測定結果および前記基準値のうちの補正された一方と、補正されていない他方とを比較し、前記標的核酸量に関する第3測定結果が、前記基準値より多いか否かを判定した判定結果を求める工程と、を備える。
この第2の局面による遺伝子検査方法では、上記のように、第1測定結果と第2測定結果とに基づいて、第3測定結果および所定の基準値の何れか一方を補正し、第3測定結果および前記基準値のうちの補正された一方と、他方とに基づいて生体試料中の標的核酸量が、前記基準値より多いか否かを判定した判定結果を求めるので、生体試料中の阻害物質の影響を補正した正確な判定結果を迅速に得ることができる。
本発明の実施形態の遺伝子検査方法は、生体試料中に存在する標的核酸を特異的に増幅して測定し、測定結果に基づいて診断支援情報を生成する遺伝子検査方法において、生体試料成分の存在下で内部標準核酸の特異的増幅を測定し、標的核酸の測定結果を所定の基準値と比較した比較結果を診断支援情報として求め、内部標準核酸の測定結果に基づいて、生体試料に含まれる核酸増幅阻害物質の影響を判定したり、あるいは診断支援情報の基礎となる標的核酸の測定結果の補正を行う。
本実施形態の遺伝子検査方法において、標的核酸とは、核酸増幅測定の対象となる核酸であり、生体試料に含まれるDNA、RNA等が挙げられる。具体的には、疾病や癌に特異的に発現するタンパク質の核酸が挙げられる。癌の診断を行うための標的核酸としては、正常な細胞には実質存在せず、癌細胞に特異的に発現する腫瘍マーカー(癌マーカー)の核酸や、サイトケラチン19のように正常な細胞にも若干発現するが、癌細胞に多く発現するタンパク質の核酸を挙げることができる。
生体試料としては、例えば、ヒト又は動物から採取したリンパ節などの組織が挙げられる

生体試料から核酸増幅に供するための核酸含有試料を調製する。核酸含有試料は、生体試料に含まれている核酸成分を含有する溶液である。核酸成分の精製には手間と時間を要するため、迅速に核酸含有試料を調製する観点からは核酸成分を精製せずに核酸含有試料を調製する。例えば、生体試料がリンパ節のような固形の組織の場合、ホモジナイザやブレンダー等の破砕具を用いてリンパ節を媒体中に均質化した溶液、もしくはその溶液の上清を、核酸増幅用の核酸含有試料として用いることが好ましい。

核酸含有試料の調製に用いられる媒体としては、水や水溶性有機溶媒等が用いられる。核酸増幅反応に対する阻害物質の影響を低減させる観点から、ジメチルスルホキシドを含有する水溶液を媒体として用いることが好ましい。水溶液中のジメチルスルホキシドの濃度は、1〜50%(v/v)が好ましく、5〜30%(v/v)がより好ましく、5〜25%(v/v)がさらに好ましい。また、上記水溶液は、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤を含有する水溶液を用いることにより、生体試料を処理して調製された測定試料に含まれる核酸の量を増加させることができる。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が使用可能であり、非イオン性界面活性剤が好ましい。好ましい非イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤が挙げられる。
このようにして調製された核酸含有試料は、核酸増幅反応用試薬類と混合され、核酸増幅反応に供される測定用試料が調製される。核酸増幅反応用試薬としては、DNAポリメラーゼ等の酵素を含む酵素試薬や、目的とする核酸を特異的に増幅させるためのプライマを含むプライマ試薬等が挙げられる。なお、測定用試料は、所定の倍率で希釈してもよい。希釈することにより、測定用試料中の阻害物質の濃度が減少するため、標的核酸の増幅阻害の影響を低減することができる。但し、希釈倍率を上げると、測定用試料中の標的核酸濃度も減少するため、必要とされる標的核酸の測定感度と希釈倍率との関係を予め確認した上で、希釈倍率を決定する必要がある。
測定用試料中の目的の核酸を増幅させる核酸増幅法としては、公知の核酸増幅法を適用することができ、例えば、PCR法、RT-PCR(Reverse Transcription-Polymerase Chain Reaction)法、LAMP法、RT-LAMP(Reverse Transcription- loop mediated isothermal amplification of DNA)法、TMA法、NASBA(Nucleic Acid Sequence-Based Amplification)法、3SR法、SDA(Standard Displacement Amplification)法、ICAN(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids)法などが挙げられる。さらに、RCA(Rolling Circle Amplification)法、INVADER法、CPT(Cycling Probe Technology)法、PALSAR(Probe alternation link self‐assembly reaction)法などの核酸増幅法の一種であるシグナル増幅法も挙げられる。シグナル増幅法では、標的核酸そのものが増幅されるのではなく、標的核酸に相補的な特定の塩基配列が増幅される。好ましい核酸増幅法はPCR法、RT-PCR法、LAMP法、RT-LAMP法であり、特に核酸増幅の迅速性の観点からLAMP法、RT-LAMP法がより好ましい。
増幅された核酸を測定する方法は、特に限定されず、公知の方法によって測定することができる。例えば、アガロースゲル電気泳動法、蛍光標識を使用したプローブを用いて蛍光を測定するリアルタイム蛍光測定法、DNA合成の際の副生成物(ピロリン酸マグネシウム)による濁り(濁度)を測定する濁度測定法、必要に応じて酵素による切断パターンの確認や、直接シークエンス解析で塩基配列を決定する方法、その他多くの方法を用いることができる。また、非特異的な増幅バンドが多くて特異バンドの判別が困難な場合は、目的とする増幅域内のプローブを用いたサザンブロット法などにより特異バンドを確認することができる。特に、核酸増幅反応が急速に進み、核酸のコピー数が急増するまでの時間(増幅立ち上がり時間)をリアルタイムで測定することが、核酸増幅を迅速に測定する観点から好ましい。例えば、濁度測定法においては、核酸の増幅開始から、検出される濁度が所定の値になるまでの時間を測定することが好ましい。また、リアルタイム蛍光測定法においては、核酸の増幅開始から、検出される蛍光強度が所定の値になるまでの時間やサイクル数を測定することが好ましい。
本実施形態の遺伝子検査方法に用いる内部標準核酸は、生体試料成分の存在下でも特異的な増幅が可能な核酸である。このような内部標準核酸は、増幅反応を行った際に、生体試料に含まれる種々の核酸の増幅を伴うことなく、特異的に増幅させることが可能である。即ち、遺伝子検査方法で用いる内部標準核酸は、その増幅の際に、生体試料中に含まれる核酸(遺伝子)の増幅(非特異的増幅)を伴わない核酸(遺伝子)である。このような内部標準核酸としては、対象となる生体試料中に絶対に存在しない核酸を用いることが好ましい。このような核酸を内部標準核酸として用いることにより、内部標準核酸に特有の配列を増幅し、且つ生体試料に含まれる種々の核酸の配列は増幅しないプローブの選択が容易となる。なお、内部標準核酸は、生体試料中に存在する核酸とは由来の異なるものが好ましい。このような観点から、ヒトの生体試料に対する内部標準核酸としては、ヒトが持ち得ない核酸を用いることが好ましく、例えば植物の光合成に関係する蛋白質の遺伝子を挙げることができる。このような遺伝子としては、リブロース2リン酸カルボキシラーゼスモールチェーン1A遺伝子や、この遺伝子のmRNAが挙げられる。好ましくはアラビドプシス属植物由来の遺伝子である。また、特開2004−203号に記載された標的核酸の塩基配列の一部を変異させた内部標準核酸等も使用可能である。但しこのような内部標準核酸を用いる場合には、生体試料成分の存在下でも特異的な増幅を行うための条件の選択巾が狭くなる。
また、内部標準核核酸は、生体試料の標的核酸の特異的増幅との関係が既知であり、標的核酸の所定量(所定濃度、所定コピー数)に対応する内部標準核酸の量(濃度、コピー数)が既知である。また、好ましい内部標準核酸は、その増幅効率が標的核酸の増幅効率と略等しい核酸である。
また、内部標準核酸は、生体試料に含まれる阻害物質により、核酸増幅の阻害を受けるものを用いる必要があり、阻害物質による増幅の阻害の程度が生体試料中の標的核酸と同様または近似していることが好ましい。一方、増幅阻害の影響の程度が標的核酸と異なる内部標準核酸を用いる場合には、予め阻害物質による阻害の影響の違いの関係を求めておいて、補正するようにすればよい。
図1を用いて阻害物質による阻害の程度が、生体試料中の標的核酸と同様である内部標準核酸の例を説明する。図1において、「◆(CK19純系)」は、阻害物質を含まず、且つ標的核酸であるサイトケラチン19(CK19)のmRNAを1x104copy/reaction含む測定試料と、1x106copy/reaction含む測定試料に対して、RT-LAMP法によって核酸増幅を行い、核酸増幅の副産物として生成するピロリン酸マグネシウムの白濁を濁度として測定し、濁度が0.1になった時間(検出時間)とmRNA濃度との関係をプロットしたものである。「■(CK19可溶化液サンプル)」は、測定試料に阻害物質を含むこと以外は上記と同様にして、濁度が0.1になった時間とRNA濃度との関係をプロットしたものである。即ち、「◆」のグラフは、阻害物質の非存在下でサイトケラチン19の増幅を行った結果であり、「■」のグラフは阻害物質の存在下でサイトケラチン19の増幅を行った結果である。両者の比較により、阻害物質の存在によりサイトケラチン19の増幅が阻害されて検出時間が延びていることがわかる。
次に、図1中、「◇(内部標準純系)」は、阻害物質を含まず、且つ内部標準核酸(Arabidopsis)のmRNAを1x104copy/reaction含む測定試料と、1x106copy/reaction含む測定試料に対して、RT-LAMP法によって核酸増幅を行い、核酸増幅の副産物として生成するピロリン酸マグネシウムの白濁を濁度として測定し、濁度が0.1になった時間とmRNA濃度との関係をプロットしたものである。「□(内部標準可溶化液サンプル)」は、阻害物質を含む条件下で核酸増幅を行うこと以外は上記と同様にして、測定試料に阻害物質を含むこと以外は上記と同様にして、濁度が0.1になった時間とRNA濃度との関係をプロットしたものである。「◇」のグラフと「□」のグラフとを比較すると、阻害物質の存在により内部標準核酸の増幅が阻害されて検出時間が延びていることがわかる。また、サイトケラチン19の検出時間の遅延と、内部標準核酸の遅延が同程度であること、並びにサイトケラチン19の増幅効率と内部標準核酸の増幅効率が略同等であることが理解される。
なお、このような内部標準核酸の選定は以下の方法により行うことができる。まず、内部標準核酸とすべき遺伝子のmRNAを増幅するためのプライマとして種々のプライマを用意する。それぞれのプライマを用いて上記遺伝子の核酸増幅を測定し、その中で、阻害による核酸増幅の遅延の程度が標的核酸と同等であるプライマを選択することのできる遺伝子を内部標準核酸として選定すればよい。
本発明の第1の遺伝子検査方法は、生体試料中に存在する標的核酸を特異的に増幅して測定し、測定結果に基づいて診断支援情報を生成する遺伝子検査方法であって、前記生体試料成分の存在下で特異的に増幅することが可能であり、前記標的核酸の所定量に対応する既知量の内部標準核酸を、前記生体試料成分の非存在下で特異的に増幅し、その増幅に基づいて第1測定結果を取得する工程と、前記内部標準核酸の既知量を、前記生体試料成分の存在下で特異的に増幅し、その増幅に基づいて第2測定結果を取得する工程と、前記生体試料成分の存在下で前記標的核酸を特異的に増幅し、その増幅に基づいて第3測定結果を取得する工程と、第3測定結果と所定の基準値に基づいて診断支援情報を求める工程と、第1測定結果および第2測定結果に基づいて、生体試料成分中の阻害物質の診断支援情報に対する影響を判定する工程と、を備える。
第1の遺伝子検査方法においては、まず、所定量(所定コピー数)の内部標準核酸を含有する内部標準核酸含有基準試料が調製される。この内部標準核酸含有基準試料は生体試料成分を含有していないため、阻害物質は含んでいない。この内部標準核酸含有基準試料と、DNAポリメラーゼ等の酵素を含む酵素試薬や、内部標準核酸を特異的に増幅させるためのプライマを含むプライマ試薬等とを混合して測定用試料を調製し、この測定用試料が核酸増幅反応に供せられる。所定の核酸増幅法により内部標準核酸を特異的に増幅し、その増幅を測定して第1測定結果を取得する。
次に、生体試料から調製された核酸含有試料に所定量(所定コピー数)の内部標準核酸を添加した内部標準核酸含有試料を調製する。この内部標準核酸含有試料と、DNAポリメラーゼ等の酵素を含む酵素試薬、内部標準核酸を特異的に増幅させるためのプライマを含むプライマ試薬等とを混合して測定用試料を調製し、この測定用試料が核酸増幅反応に供せられる。このように生体試料成分の存在下で行われた内部標準核酸の特異的増幅を測定し、第2測定結果を取得する。
また、生体試料から調製された核酸含有試料と、DNAポリメラーゼ等の酵素を含む酵素試薬、標的核酸を特異的に増幅させるためのプライマを含むプライマ試薬等とを混合して測定用試料を調製し、この測定用試料が核酸増幅反応に供せられる。このように生体試料に含まれる標的核酸の特異的増幅を測定し、第3測定結果を取得する。
取得した第3測定結果を所定の基準値と比較して診断支援情報を生成する。ここで、上記の基準値とは基準量の標的核酸を増幅した際の測定値に対応する。また、標的核酸の基準量(基準標的核酸量)とは、例えば生体試料がリンパ節であり、リンパ節への癌の転移診断を行う場合、リンパ節への癌の転移があると判定される閾値となる大きさの癌組織に含まれる標的核酸量に相当する。即ち、標的核酸の基準量とは、リンパ節への癌の転移が陽性であるか否かを判定するための閾値となる標的核酸量である。従って、上記の診断支援情報は、疾病や癌の転移等を医者等が診断する際の支援情報として、疾病や癌の存在あるいは癌の転移を判定する基準となる標的核酸量に対して、測定した標的核酸量が多いのか否かを判定した判定結果である。また、診断支援情報として、上記の比較結果に基づいて陽性、陰性を判定した結果や、異常、正常を判定した結果を提供することが好ましい。なお、上記の基準値は、基準量の標的核酸を含む陽性コントロールに対して、標的核酸の特異的増幅を行い、その増幅を測定した測定結果に対応する。また、標的核酸の含有量の異なる複数の陽性コントロールに対して標的核酸の特異的増幅を行い、その増幅を測定した測定結果から検量線を作成し、この検量線から上記の基準値を求めるようにしても良い。
また、第3測定結果を、第1の基準値および第2の基準値と比較して、その結果に基づいて診断支援情報を得るようにしてもよい。この場合には、例えば、第1基準値は、癌転移が陽性であるか弱陽性であるかを判定するための閾値となる標的核酸量に対応し、第2基準値は、癌転移が弱陽性であるか陰性であるかを判定するための閾値となる標的核酸量に対応することが好ましい。なお、判定結果は、陽性(++)、弱陽性(+)、陰性(−)のように表示することが好ましい。また、陽性(+)、グレー(+−)、陰性(−)のように表示してもよい。
また、第1の遺伝子検査方法においては、第1測定結果および第2測定結果に基づいて、生体試料中の阻害物質の診断への影響を判定する。ここで、第1測定結果は、阻害物質の非存在下で行われた内部標準核酸の増幅の測定結果であり、第2測定結果は、阻害物質の存在下で行われた内部標準核酸の増幅の測定結果である。このため第1測定結果と第2測定結果を比較することによって、内部標準核酸が阻害物質から受けた核酸増幅阻害の程度を求めることができる。ここで、上述したように阻害物質による標的核酸の核酸増幅の阻害の程度と、阻害物質による内部標準核酸の核酸増幅の阻害の程度との関係は既知である。このため第1測定結果と第2測定結果を比較することによって、標的核酸が阻害物質から受けた核酸増幅阻害の程度を求めることができる。具体的には、阻害の影響が標的核酸と同程度である内部標準核酸を用いた場合には、第1測定結果と第2測定結果との差を所定の閾値と比較することにより、上記第3測定結果に対して、もしくは第3測定結果に基づく診断支援情報に対して、阻害物質の影響が大きいか否かを判定することができる。阻害物質の影響が大きいと判定されたときには、診断支援情報の信頼性について警告することが好ましい。また、阻害物質の影響が大きいと判定された場合には、阻害物質の影響を低減するために、標的核酸の核酸増幅に供せられる試料を所定の倍率で希釈し、この希釈試料について標的核酸の増幅を行って、その核酸増幅を測定し、再度第3測定結果を得るようにしても良い。また、第3測定結果または上記基準値を、第1測定結果と第2測定結果との差に基づいて補正し、その補正結果に基づいて診断支援情報を得るようにしてもよい。
本発明の第2の遺伝子検査方法は、生体試料中に存在する標的核酸を特異的に増幅して測定し、測定結果に基づいて診断支援情報を生成する遺伝子検査方法であって、前記生体試料成分の存在下で特異的に増幅することが可能であり、前記標的核酸の所定量に対応する既知量の内部標準核酸を、前記生体試料成分の非存在下で特異的に増幅し、その増幅に基づいて第1測定結果を取得する工程と、前記内部標準核酸の既知量を、前記生体試料成分の存在下で特異的に増幅し、その増幅に基づいて第2測定結果を取得する工程と、前記生体試料成分の存在下で前記標的核酸を特異的に増幅し、その増幅に基づいて第3測定結果を取得する工程と、第1測定結果および第2測定結果に基づいて、前記第3測定結果および基準標的核酸量に対応する基準値の何れか一方を補正する工程と、前記第3測定結果および前記基準値のうちの補正された一方と、他方とに基づいて診断支援情報を求める工程と、を備える。
ここで第1〜第3測定結果を取得する工程については、上述した第1遺伝子検査方法と同様であるので説明を省略する。
第2遺伝子検査方法においては、第1〜第3測定結果を取得した後、第1測定結果および第2測定結果に基づいて、前記第3測定結果および基準標的核酸量に対応する基準値の何れか一方を補正する。このときに第1測定結果および第2測定結果に基づいて補正値を求め、この補正値に基づいて補正を行うようにしてもよい。この補正値は、生体試料中の阻害物質の診断への影響を補正するための補正値である。上述したように、第1測定結果は、阻害物質の非存在下で行われた内部標準核酸の増幅の測定結果であり、第2測定結果は、阻害物質の存在下で行われた内部標準核酸の増幅の測定結果である。このため第1測定結果と第2測定結果を比較することによって、標的核酸が阻害物質から受けた核酸増幅阻害の程度を求めることができる。具体的には、阻害の影響が標的核酸と同程度である内部標準核酸を用いた場合には、第1測定結果と第2測定結果との差を補正値とすることができる。
次に、上記の基準値と補正された第3測定結果に基づいて、あるいは第3測定結果と補正された基準値に基づいて、診断支援情報を求める。具体的には、第3測定結果を補正値に基づいて補正した補正結果を、基準値と比較して診断支援情報を求める。ここで、補正値が、第1測定結果と第2測定結果との差である場合には、第3測定結果と補正値との差を、標的核酸の増幅測定結果として求めることができる。この増幅測定結果は、阻害物質による影響が補正されているので、これを基準値と比較することにより、基準標的核酸量より多いか否かの判定を正確に行うことができる。即ち、疾病や癌の転移等を医者等が診断する際の診断支援情報として、疾病や癌の存在あるいは癌の転移を判定する基準となる標的核酸量(基準標的核酸量)に対して、測定した標的核酸量が多いのか否かを判定した判定結果が、阻害物質の影響が補正されて正確に提供される。また、診断支援情報として、陽性か陰性かを判定した判定結果や正常か異常かを判定した判定結果を提供するようにしても良い。なお、上記の基準値は、基準量の標的核酸を含む陽性コントロールに対して、標的核酸の特異的増幅を行い、その増幅を測定した測定結果に対応する。また、標的核酸の含有量の異なる複数の陽性コントロールに対して標的核酸の特異的増幅を行い、その増幅を測定した測定結果から検量線を作成し、この検量線から上記の基準値を求めるようにしても良い。
また、第3測定結果を、第1の基準値および第2の基準値と比較して、その結果に基づいて診断支援情報を得るようにしてもよい。この場合には、例えば、第1基準値は、癌転移が陽性であるか弱陽性であるかを判定するための閾値となる標的核酸量に対応し、第2基準値は、癌転移が弱陽性であるか陰性であるかを判定するための閾値となる標的核酸量に対応することが好ましい。なお、判定結果は、陽性(++)、弱陽性(+)、陰性(−)のように表示することが好ましい。また、陽性(+)、グレー(+−)、陰性(−)のように表示してもよい。
また、第3測定結果を補正値により補正したが、基準値を補正値により補正するようにしてもよい。具体的には、基準値を補正値に基づいて補正した補正基準値と、第3測定結果に基づいて診断支援情報を求める。また、第1基準値および第2基準値を用いる場合には、第1及び第2基準値を補正値に基づいて補正して、第1及び第2補正基準値を得、この第1及び第2補正基準値と第3測定結果に基づいて診断支援情報を求めるようにすれば良い。
なお、上記第1遺伝子検査方法においても、第1及び第2測定結果から求められる補正値を用いて、第3測定結果または基準値を補正するようにしてもよい。
本発明の第3の遺伝子検査方法は、生体試料中に存在する標的核酸を特異的に増幅して測定し、測定結果に基づいて診断支援情報を生成する遺伝子検査方法であって、前記生体試料成分の存在下で特異的に増幅することが可能であり、基準標的核酸量に対応する所定量の内部標準核酸を、前記生体試料成分の存在下で特異的に増幅し、その増幅に基づいて第1測定結果を取得する工程と、前記生体試料成分の存在下で前記標的核酸を特異的に増幅し、その増幅に基づいて第2測定結果を取得する工程と、第1測定結果および第2測定結果を比較して診断支援情報を生成する工程と、を備える。
第3遺伝子検査方法においては、まず、基準標的核酸量に対応する所定量の内部標準核酸を、前記生体試料成分の存在下で特異的に増幅し、その増幅に基づいて第1測定結果を取得する。この第1測定結果は、生体試料成分の阻害物質の影響を受ける条件下で測定された内部標準核酸の増幅測定結果である。また、測定に供される内部標準核酸の量は、基準標的核酸量に対応する量である。上述したように基準標的核酸量は、疾病や癌、あるいは癌の転移が陽性であるか否かを判定するための閾値となる標的核酸量である。従って、第1測定結果は、阻害物質の影響を反映した基準標的核酸量に対応する測定値である。
次に、標的核酸を特異的に増幅し、その増幅に基づいて第2測定結果を取得する。第2測定結果は、上述した第1遺伝子検査方法における第3測定結果と同様の方法により測定された標的核酸の増幅の測定結果であり、阻害物質の影響を反映した測定値である。従って、基準標的核酸量に対応する第1測定結果と第2測定結果を比較することによって、生体試料に含まれる標的核酸量が、基準標的核酸量より多いか否かを判定した判定結果を診断支援情報として求めることができる。また、診断支援情報として、第1測定結果と第2測定結果を比較して陽性、陰性を判定するようにしても良い。
また、第1の基準標的核酸量に対応する第1の所定量の内部標準核酸と、第2の基準標的核酸量に対応する第2の所定量の内部標準核酸について、それぞれの増幅結果を測定し、この測定結果と上記第2測定結果とを比較することによって、標的核酸量を2つの基準値に基づいて判定して診断支援情報を得るようにしても良い。
(実験例1)
ヒトサイトケラチン19(以下、CK19とする)のmRNAと、RBCS−1AのmRNAとを鋳型として、阻害物質の存在下及び非存在下においてRT−LAMP法によりそれぞれcDNAを増幅させ、阻害物質がそれぞれの核酸増幅にどのように影響を与えるかを分析した。なお、CK19のmRNAが乳癌のリンパ節転移を判定するための標的核酸である。CK19のmRNAを鋳型にして増幅したcDNAの配列(配列番号1)およびRBCS−1AのmRNAを鋳型にして増幅したcDNAの配列(配列番号2)を示す。
(反応液の調製)
以下の各成分を混合して13.97μlの反応液を調製した。
750mM トリス緩衝液(pH8.0) 1.00μl
10×Thermopol緩衝液
(ニューイングランドバイオラボラトリー社製) 2.50μl
10mM dNTPs 2.00μl
100mM MgSO4 0.75μl
100mM ジチオスレイトール 1.25μl
2% Tergitol(シグマアルドリッチジャパン株式会社製) 2.50μl
H2O 3.97μl
(酵素試薬の調製)
以下の各成分を混合して3.04μlの酵素試薬を調製した。
10U/μl AMV逆転写酵素(プロメガ株式会社製) 0.14μl
8U/μl Bst DNAポリメラーゼ
(ニューイングランドバイオラボラトリー社製) 2.27μl
RNase inhibitor(プロメガ株式会社製) 0.63μl
(プライマー試薬1の調製)
以下の各成分を混合して6.00μlのプライマー試薬1を調製した。
80pmol/μl forward inner primer 1.00μl
(配列番号3:ggagttctcaatggtggcaccaactactacacgaccatcca)
80pmol/μl reverse inner primer 1.00μl
(配列番号4:gtcctgcagatcgacaacgcctccgtctcaaacttggttcg)
5pmol/μl forward outer primer 1.00μl
(配列番号5:tggtaccagaagcagggg)
5pmol/μl reverse outer primer 1.00μl
(配列番号6:gttgatgtcggcctccacg)
60pmol/μl forward loop primer 1.00μl
(配列番号7:agaatcttgtcccgcagg)
60pmol/μl reverse loop primer 1.00μl
(配列番号8:cgtctggctgcagatga)
(プライマー試薬2の調製)
以下の各成分を混合して6.00μlのプライマー試薬2を調製した。
80pmol/μl forward inner primer 1.00μl
(配列番号9:accgaacaagggaagcttccactgagcacggtaactcaccc)
80pmol/μl reverse inner primer 1.00μl
(配列番号10:accgactccgctcaagtgttg-tcctaatgaaggcattgggg)
5pmol/μl forward outer primer 1.00μl
(配列番号11:tggagcacggatttgtgtac)
5pmol/μl reverse outer primer 1.00μl
(配列番号12:cactggacttggcgggtg)
60pmol/μl forward loop primer 1.00μl
(配列番号13:ccagtaccgtccatcatag)
60pmol/μl reverse loop primer 1.00μl
(配列番号14:gaagtggaagagtgcaagaa)
(RT−LAMP反応液AおよびBの調製)
上記反応液、酵素試薬およびプライマー試薬1からなるRT−LAMP反応液Aを調製した。RT−LAMP反応液Aは、CK19のmRNAを鋳型として、RT−LAMP法によりcDNAを増幅させるための反応液である。
また、上記反応液、酵素試薬およびプライマー試薬2からなるRT−LAMP反応液Bを調製した。RT−LAMP反応液Bは、RBCS−1AのmRNAを鋳型として、RT−LAMP法によりcDNAを増幅させるための反応液である。
(可溶化試薬の調製)
以下に示す成分を含む可溶化試薬を調製した。
200mM(pH3.0) Glycin−HCl緩衝液
20%(v/v)ジメチルスルホキシド
5%非イオン性界面活性剤Brij35(Sigma製)
0.05%消泡剤KS−538(信越化学工業製)
(モデルサンプルXの調製)
乳癌手術中に郭清した癌転移陰性ヒトリンパ節(検体X)に可溶化試薬100μlを添加し、金属ブレンダーによって12000rpmでホモジナイズしたものを30mlずつ分注し4つのモデルサンプルXを作成した。このモデルサンプルXには核酸増幅を阻害する物質が含まれているが、CK19mRNAはほとんど発現していない。
(測定用試料aの調製)
可溶化試薬2μlに1×10(copy/reaction)のCK19のmRNAを添加した溶液を調製した。この溶液を実験例1で調製したRT−LAMP反応液A23μlに添加して測定用試料aを調製した。
(測定用試料bの調製)
可溶化試薬2μlに1×10(copy/reaction)のCK19のmRNAを添加した溶液を調製した。この溶液をRT−LAMP反応液A23μlに添加して測定用試料bを調製した。
(測定用試料cの調製)
可溶化試薬2μlに1×10(copy/reaction)のRBCS−1AのmRNAを添加した溶液を調製した。この溶液をRT−LAMP反応液B23μlに添加して測定用試料cを調製した。
(測定用試料dの調製)
可溶化試薬2μlに1×10(copy/reaction)のRBCS−1AのmRNAを添加した溶液を調製した。この溶液をRT−LAMP反応液B23μlに添加して測定用試料dを調製した。
(測定用試料eの調製)
モデルサンプルXに1×10(copy/reaction)のCK19のmRNAを添加した溶液を調製した。この溶液2μlをRT−LAMP反応液A23μlに添加して測定用試料eを調製した。
(測定用試料fの調製)
モデルサンプルXに1×10(copy/reaction)のCK19のmRNAを添加した溶液を調製した。この溶液2μlをRT−LAMP反応液A23μlに添加して測定用試料fを調製した。
(測定用試料gの調製)
モデルサンプルXに1×10(copy/reaction)のRBCS−1AのmRNAを添加した溶液を調製した。この溶液2μlをRT−LAMP反応液B23μlに添加して測定用試料gを調製した。
(測定用試料hの調製)
モデルサンプルXに1×10(copy/reaction)のRBCS−1AのmRNAを添加した溶液を調製した。この溶液2μlをRT−LAMP反応液B23μlに添加して測定用試料hを調製した。
なお、上記測定用試料a〜dはモデルサンプルXを含んでいないため、阻害物質が含まれておらず、測定用試料e〜hはモデルサンプルXを添加しているので、阻害物質が含まれている。各測定用試料の概略組成を表1に示す。
Figure 0004829509
(RT−LAMP法による核酸増幅及びその測定)
テラメックス社製LA−200を用い、核酸増幅と同時に副産物として生成する不溶性のピロリン酸マグネシウムの白濁をリアルタイムで測定した。
RT−LAMP法により各測定用試料に含まれるmRNAに対応するcDNAが増幅して濁度が0.1に達するまで時間(検出時間)を測定した。測定結果を図1に示す。
図1において、◆(CK19純系)は、測定用試料aおよびbの測定結果(阻害物質の非存在下でCK19の核酸増幅の測定結果)を示す。
◇(内部標準純系)は、測定用試料cおよびdの測定結果(阻害物質の非存在下でRBCS−1Aの核酸増幅の測定結果)を示す。
■(CK19可溶化液サンプル)は、測定用試料eおよびfの測定結果(阻害物質の存在下でCK19の核酸増幅の測定結果)を示す。
□(内部標準可溶化液サンプル)は、測定用試料gおよびhの測定結果(阻害物質の存在下でRBCS−1Aの核酸増幅の測定結果)を示す。
図1において、◆と■とを比較すると、CK19の核酸増幅において、阻害物質の存在による検出時間の遅れを求めることができる。
また、◇と□とを比較すると、RBCS−1Aの核酸増幅において、阻害物質の存在による検出時間の遅れを求めることができる。
図1より、CK19の核酸増幅における検出時間の遅れと、RBCS−1Aの核酸増幅における検出時間の遅れは略同じであり、CK19とRBCS−1Aの阻害物質による核酸増幅阻害の影響が同程度である。
実験例1の結果より濃度既知のRBCS−1Aの核酸を内部標準として用いることによって、CK19の核酸増幅に阻害物質が影響を与えているかどうかを確認できることが判明した。さらに阻害物質が核酸増幅に影響を与えていた場合、RBCS−1Aの核酸増幅に対する影響の程度(検出時間の遅れ)に基づき、CK19の核酸増幅に対する影響の程度(検出時間の遅れ)を求めることができることが判明した。
(実験例2)
(核酸含有試料A〜Dの調製)
乳癌手術によって摘出された癌転移陽性ヒトリンパ節Aに可溶化試薬4mlを添加し、金属ブレンダーによって12000rpmでホモジナイズして核酸含有試料Aを調製した。同様にして、乳癌手術によって摘出された癌転移陽性ヒトリンパ節B〜Dについて核酸含有試料B〜Dを調製した。
(測定用試料a1〜d1の調製)
核酸含有試料Aに1×10(copy/reaction)のRBCS−1AのmRNAを内部標準核酸として添加し、ボルテックスミキサーで30秒間撹拌して得られた溶液2μlを、RT−LAMP反応液A(CK19測定用RT−LAMP反応液)23μlに添加して測定試料a1を調製した。
核酸含有試料Aに代えて、核酸含有試料B〜Dを用いること以外は測定試料a1の調製と同様にして測定用試料b1〜d1を調製した。
(測定用試料a2〜d2の調製)
RT−LAMP反応液Aに代えてRT−LAMP反応液B(RBCS−1A測定用RT−LAMP反応液)を用いること以外は測定用試料a1〜d1同様にして、測定用試料a2〜d2を調製した。
(測定用試料a3〜d3(10倍希釈)の調製)
核酸含有試料Aを可溶化試薬で10倍希釈し、1×10(copy/reaction)のRBCS−1AのmRNAを添加し、ボルテックスミキサーで30秒間撹拌して得られた溶液2μlを、RT−LAMP反応液A23μlに添加して測定試料a3を調製した。
核酸含有試料Aに代えて、核酸含有試料B〜Dを用いること以外は測定試料a2の調製と同様にして測定用試料b3〜d3を調製した。
(測定用試料a4〜d4(10倍希釈)の調製)
RT−LAMP反応液Aに代えてRT−LAMP反応液Bを用いること以外は測定用試料a1〜d1同様にして、測定用試料a4〜d4を調製した。
(測定用試料g2(10倍希釈)の調製)
可溶化試薬で10倍希釈したモデルサンプルXを用いること以外は実験例1の測定試料gの調製と同様にして測定用試料g2を調製した。各測定用試料の概略組成を表2に示す。
Figure 0004829509
テラメックス社製LA−200を用い、RT−LAMP法により各測定用試料に含まれるmRNAに対応するcDNAを増幅し、各測定用試料の濁度が0.1に達するまで時間(検出時間)を測定した。測定結果を図2および表3に示す。
Figure 0004829509
表3に示すように、検体Aはサンプルを希釈していない場合、内部標準核酸の検出時間が、阻害物質の非存在下での内部標準核酸の検出時間より0.9分遅くなった。また、検体Bは1.6分遅くなった。すなわち、検体AおよびBの何れも内部標準核酸の変動値(検出時間差)は閾値である0.6分以上であった。図2に示されるように、検体A(図中△)およびB(図中○)のターゲット遺伝子(CK19mRNA)の検出時間について、サンプルを希釈せずに測定した場合を、サンプルを10倍希釈して測定した場合と比べると、10倍希釈したサンプルの方が希釈しているにもかかわらず検出時間が早くなっている。即ち、検体AおよびBは核酸増幅の阻害物質の影響が強いサンプルであることがわかる。
一方、検体Cの内部標準核酸の変動値(検出時間差)は0.3分、検体Dの内部標準核酸の変動値(検出時間差)は0.2分であり、何れも閾値である0.6分未満であった。図2に示されるように、検体C(図中■)およびD(図中◆)のターゲット遺伝子(CK19mRNA)の検出時間は、10倍希釈したサンプルの方が希釈した分だけ検出時間が遅くなる。
従って、検体に添加された内部標準核酸の検出時間と、阻害物質の非存在下での検出時間とを比べて、所定時間以上変動した場合に、その測定値が阻害の影響を受けている値であるとフラッギングすることができる。即ち、内部標準核酸の変動値(検出時間差)が閾値より大きい場合には、サンプルを希釈して阻害物質の遺伝子増幅反応系への持ち込み量を減らして再度測定する、あるいはサンプルを粗精製または精製し、阻害のない状態にしてから再度測定するということが可能になる。このような方法で正確な判定を行うことで、手術など極めて厳格な判定が要求される現場では、疑陽性等を大幅に減らすことが可能となる。また、このような内部標準核酸の変動値(検出時間差)を用いてターゲット遺伝子の検出時間を補正することができる。
(実験例3)
(測定用試料3A〜5A、3B〜5Bの調製)
上記モデルサンプルXに1.5×10(copy/reaction)のRBCS−1AのmRNA(CK19のmRNA2.5×10(copy/reaction)相当)とCK19のmRNA2.5×10(copy/reaction)を添加し、ボルテックスミキサーで30秒間撹拌した。得られた溶液2μlを上記RT−LAMP反応液A23μlに添加して測定用試料3Aを調製した。
また、RT−LAMP反応液AをRT−LAMP反応液Bに変更する以外は測定用試料3Aと同様にして測定用試料3Bを調製した。
CK19のmRNAの添加量を2.5×10(copy/reaction)に変更する以外は測定用試料3Aと同様にして測定用試料4Aを調製した。
また、RT−LAMP反応液AをRT−LAMP反応液Bに変更する以外は測定用試料4Aと同様にして測定用試料4Bを調製した。
CK19のmRNAの添加量を2.5×10(copy/reaction)に変更する以外は測定用試料3Aと同様にして測定用試料5Aを調製した。
また、RT−LAMP反応液AをRT−LAMP反応液Bに変更する以外は測定用試料5Aと同様にして測定用試料5Bを調製した。
各測定用試料の概略組成を表4に示す。
Figure 0004829509
テラメックス社製LA−200を用い、RT−LAMP法により各測定用試料に含まれるmRNAに対応するcDNAを増幅し、各測定用試料の濁度変化を測定した。測定結果を図3〜5に示す。
CK19のmRNAの発現量が2.5×10(copy/reaction)である場合を、リンパ節への癌転移が強陽性であるか、弱陽性であるかを判定する基準値(閾値)とした。図3は、測定用試料3A(2.5×10(copy/reaction)のCK19のmRNA)および測定用試料3B(1.5×10(copy/reaction)の内部標準核酸(RBCS-1AのmRNA))を測定した結果を示している。図3において、内部標準核酸の濁度変化が、判定基準とした2.5×10(copy/reaction)のCK19のmRNAの濁度変化に重複している。このことから、阻害物質の影響下でも、この内部標準核酸がCK19のmRNAの判定基準と同じ増幅効率を示し、内部標準核酸の1.5×10(copy/reaction)が、CK19のmRNAの2.5×10(copy/reaction)に相当することが理解される。一方、図4は、強陽性に相当する量のCK19のmRNAを含む測定用試料4Aと、1.5×10(copy/reaction)の内部標準核酸を含む測定用試料4Bを測定した結果を示しており、CK19の方が内部標準核酸より早く濁度が上昇していることがわかる。また、図5は、弱陽性に相当するCK19のmRNAを含む測定用試料5Aと、1.5×10(copy/reaction)の内部標準核酸を含む測定用試料5Bを測定した結果を示しており、CK19の方が内部標準核酸より遅く濁度が上昇していることがわかる。以上のことから、内部標準核酸を基準として、標的核酸の発現量が基準より多いか少ないかを判定することができる。
(実験例4)
(基準測定用試料の調製)
可溶化試薬2μlに2.5×10(copy/reaction)のCK19のmRNAを添加した溶液を調製した。この溶液を実験例1で調製したRT−LAMP反応液A23μlに添加して基準用測定用試料1を調製した。なお、2.5×10(copy/reaction)というCK19のmRNAの発現量は、リンパ節への癌転移が強陽性(++)であるか、弱陽性(+)であるかを判定する基準値である。
可溶化試薬2μlに2.5×10のCK19のmRNAを添加した溶液を調製した。この溶液をRT−LAMP反応液A23μlに添加して基準用測定用試料2を調製した。なお、2.5×10(copy/reaction)というCK19のmRNAの発現量は、リンパ節への癌転移が弱陽性(+)であるか、陰性(−)であるかを判定する基準値である。
また、可溶化試薬2μlに1.5×10(copy/reaction)の内部標準核酸(RBCS-1AのmRNA)を添加した溶液を調製した。この溶液をRT−LAMP反応液B23μlに添加して測定用試料IC(内部標準コントロール)を調製した。なお、上記実験例3で説明したように、1.5×10(copy/reaction)という内部標準核酸の発現量は、2.5×10(copy/reaction)のCK19のmRNAの発現量に相当するものであり、リンパ節への癌転移が弱陽性(+)であるか、陰性(−)であるかを判定する基準値となる。
テラメックス社製LA−200を用い、RT−LAMP法により各測定用試料に含まれるmRNAに対応するcDNAが増幅して濁度が0.1に達するまで時間(検出時間)を測定し結果を表5に示す。
Figure 0004829509
上記の測定結果から、阻害物質の非存在下でCK19の陽性/弱陽性(++/+)の判定基準となる測定値(検出時間)CK19C1は10.6分であり、弱陽性/陰性(+/−)の判定基準となる測定値(検出時間)CK19C2は11.4分であった。また、内部標準の基準となる測定値ICCは11.4分であった。
(測定用試料の調製)
(核酸含有試料E〜Gの調製)
乳癌手術によって摘出された癌転移陽性ヒトリンパ節Eに可溶化試薬4mLを添加し、金属ブレンダーによって12000rpmでホモジナイズして核酸含有試料Eを調製した。同様にして、乳癌手術中に郭清した癌転移陽性ヒトリンパ節FおよびGについて核酸含有試料FおよびGを調製した。
(測定用試料E1〜G1の調製)
核酸含有試料Eに1.5×10(copy/reaction)のRBCS−1AのmRNAを内部標準核酸として添加し、ボルテックスミキサーで30秒間撹拌して得られた溶液2μlを、RT−LAMP反応液A(CK19測定用RT−LAMP反応液)23μlに添加して測定試料E1を調製した。
核酸含有試料Eに代えて、核酸含有試料FおよびGを用いること以外は測定用試料E1の調製と同様にして測定用試料F1およびG1を調製した。
(測定用試料E2〜G2の調製)
RT−LAMP反応液Aに代えてRT−LAMP反応液B(RBCS−1A測定用RT−LAMP反応液)を用いること以外は測定用試料E1〜G1同様にして、測定用試料E2〜G2を調製した。
各測定用試料の概略組成を表6に示す。
Figure 0004829509
テラメックス社製LA−200を用い、RT−LAMP法により各測定用試料に含まれるmRNAに対応するcDNAを増幅し、各測定用試料の濁度が0.1に達するまで時間(検出時間)を測定した。結果を表7に示す。
Figure 0004829509
表7に示されるように、検体Eの場合、測定用試料中の内部標準核酸の検出時間は14.7分であり、CK19の検出時間は13.7分であった。上述したように阻害物質の非存在下でCK19の陽性/弱陽性(++/+)の判定基準となる測定値(検出時間)は10.6分であり、弱陽性/陰性(+/−)の判定基準となる測定値(検出時間)は11.4分である。検体EのCK19の測定値に対して、上記判定基準をそのまま適用すると、判定結果は陰性(−)になる。しかし、検体Eの内部標準核酸の検出時間14.7分と、内部標準コントロールにおける内部標準核酸の検出時間(阻害物質の非存在下での検出時間)11.4分とは、検出時間差が3.3分ある。この検出時間差が阻害物質による核酸増幅阻害の影響である。従って、この検出時間差に基づいて、CK19の陽性/弱陽性(++/+)の判定基準値は13.9分に補正され、弱陽性/陰性(+/−)の判定基準値は14.7分に補正される。その結果、判定結果は陽性(++)となり、阻害物質の影響を補正した正しい判定が可能となる。検体Fおよび検体Gについても同様に、内部標準核酸を用いて補正された正しい判定結果を得ることができた。
なお、実験例4においては、内部標準核酸の検出時間差に基づいて、標的核酸の判定基準値を補正するようにしたが、内部標準核酸の検出時間差に基づいて、検体中の標的核酸の検出値を補正するようにしてもよい。例えば、検体Eの場合、CK19の検出時間13.7分が、内部標準核酸の検出時間差3.3分に基づいて、10.4分に補正される。このように補正されたCK19の検出時間10.4分を、CK19の陽性/弱陽性(++/+)の判定基準値である10.6分、弱陽性/陰性(+/−)の判定基準値である11.4分と比較することにより、陽性(++)と判定することができる。
(実験例5)
アプライドバイオシステム社製 TaqMan One-step RT-PCR Master Mix Reagents及びアプライドバイオシステム社製 リアルタイム定量PCR装置(ABI PRISMR 7700)を用いてRT-PCRを実施した。TaqMan One-step RT-PCR Master Mix Reagentsは、2×Master Mixと40×RNase inhibitor Mixより構成されるRT-PCR用の試薬キットである。また、ABI PRISMR 7700は、予め設定した温度および時間で核酸増幅反応を行い、核酸の増幅に対応して増大する蛍光強度を検出することにより、増幅した核酸を定量することができる。
実験例1で調製した可溶化試薬に1×10(copy/reaction)のCK19のmRNAを添加して核酸増幅反応用試料1を調製した。また、実験例1で調製したモデルサンプルXに1×10(copy/reaction)のCK19のmRNAを添加して核酸増幅反応用試料2を調製した。また、可溶化試薬に1×10(copy/reaction)のRBCS−1AのmRNAを添加して核酸増幅反応用試料3を調製した。また、モデルサンプルXに1×10(copy/reaction)のRBCS−1AのmRNAを添加して核酸増幅反応用試料4を調製した。
次に、Master Mix、RNase inhibitor Mix及び3種類のプライマーを含む反応液を調製した。CK19用の反応液1は、1×Master Mix、1×RNase inhibitor Mix、300nM forward primer(配列番号15:cagatcgaag gcctgaagga)、300nM reverse primer(配列番号16:cttggcccct cagcgtact)、200nM Taq Man Probe(配列番号17:gcctacctga agaagaacca tgaggaggaa)を含有していた。また、RBCS−1A用の反応液2は、1×Master Mix、1×RNase inhibitor Mix、300nM forward primer(配列番号18:cgcaaggctaacaacgacatt)、300nM reverse primer(配列番号19:ggccacacctgcatgca)、200nM Taq Man Probe(配列番号20:ttccatcacaagcaacggcgga)を含有していた。
次に、上記反応液1と核酸増幅反応用試料1(または核酸増幅反応用試料2)とを混合し、リアルタイム定量PCR装置(ABI PRISMR 7700)を用いてRT -PCRを実施した。また、上記反応液2と核酸増幅反応用試料3(または核酸増幅反応用試料4)とを混合し、リアルタイム定量PCR装置(ABI PRISMR 7700)を用いてRT-PCRを実施した。RT-PCR反応は、48℃で30分間逆転写反応を行い、95℃で10分間保持した後に、95℃で15秒間及び60℃で1分間の操作を40サイクル行った。結果を図6に示す。
図6において、▲(CK19純系)は、核酸増幅反応用試料1、即ち阻害物質を含有しない試料を用いて標的核酸の増幅を測定した結果であり、△(CK19可溶化サンプル)は、核酸増幅反応用試料2、即ち阻害物質を含有する試料を用いて標的核酸の増幅を測定した結果である。この結果から標的核酸の増幅が阻害物質の影響により約2.5サイクル遅れたことが判明した。また、図6において、●(内部標準純系)は、核酸増幅反応用試料3、即ち阻害物質を含有しない試料を用いて内部標準核酸の増幅を測定した結果であり、○(内部標準可溶化サンプル)は、核酸増幅反応用試料4、即ち阻害物質を含有しない試料を用いて内部標準核酸の増幅を測定した結果である。この結果から内部標準核酸の増幅が阻害物質の影響により約2.5サイクル遅れたことが判明し、阻害物質の影響が標的核酸と同様であることが確認された。従って、本発明にRT-PCRのような遺伝子増幅方法が使用可能であることが確認できた。
本発明の遺伝子検査方法は、測定試料に核酸増幅を阻害する物質が多く含まれている場合でも、医師等が診断を行う上で有用な診断支援情報を正確且つ迅速に得ることができ、医療現場で利用できる。
標的核酸と内部標準核酸のLAMP法による増幅に対する阻害物質の増幅阻害の影響を示すグラフである。 希釈していない検体における標的核酸の検出時間と希釈した検体における標的核酸の検出時間との関係を示したグラフである。 判定基準となる濃度の標的核酸の増幅と、それに対応する濃度の内部標準核酸の増幅との関係を示すグラフである。 判定基準に対応する濃度の内部標準核酸の増幅と、強陽性となる濃度の標的核酸の増幅の関係を示すグラフである。 判定基準に対応する濃度の内部標準核酸の増幅と、弱陽性となる濃度の標的核酸の増幅の関係を示すグラフである。 標的核酸と内部標準核酸のPCR法による増幅に対する阻害物質の増幅阻害の影響を示すグラフである。

Claims (13)

  1. 生体試料としてヒトから採取された組織中に存在する標的核酸を特異的に増幅して測定する遺伝子検査方法であって、
    前記生体試料中には存在しない核酸であり、既知量の内部標準核酸を、前記生体試料の非存在下で特異的に増幅し、その増幅に基づいて内部標準核酸量に関する第1測定結果を取得する工程と、
    前記生体試料中の核酸を抽出精製することなく調製された核酸含有試料に前記第1測定結果取得工程と同量の前記内部標準核酸を加えて前記内部標準核酸を前記生体試料の存在下で特異的に増幅し、その増幅に基づいて内部標準核酸量に関する第2測定結果を取得する工程と、
    前記生体試料中の核酸を抽出精製することなく調製された核酸含有試料中に存在する前記標的核酸を特異的に増幅し、その増幅に基づいて前記標的核酸量に関する第3測定結果を取得する工程と、
    前記標的核酸量に関する第3測定結果と所定の基準値を比較し、前記標的核酸量に関する第3測定結果が、前記基準値より多いか否かを判定した判定結果を求める工程と、
    内部標準核酸量に関する第1測定結果および内部標準核酸量に関する第2測定結果の差異に基づいて、生体試料成分中の阻害物質の前記判定結果に対する影響を判定する工程と、を備えたことを特徴とする遺伝子検査方法。
  2. 第1測定結果と第2測定結果との差を、閾値と比較し、差が閾値より大きいとき、阻害物質の影響が大きいと判定する請求項1記載の遺伝子検査方法。
  3. 阻害物質の影響が大きいと判定されたとき、前記判定結果の信頼性について警告する請求項2記載の遺伝子検査方法。
  4. 阻害物質の影響が大きいと判定されたとき、前記第3測定結果取得工程における標的核酸の増幅を、所定の希釈倍率で希釈した条件下で再度測定する請求項2記載の遺伝子検査方法。
  5. 阻害物質の影響が大きいと判定されたとき、前記第1測定結果と第2測定結果との差に基づいて、前記第3測定結果または基準値を補正する請求項2記載の遺伝子検査方法。
  6. 前記判定結果が、陽性か否か、または正常か異常かを判定した判定結果を含む請求項1記載の遺伝子検査方法。
  7. 前記判定結果が、前記第3測定結果と、第1の基準値および第2の基準値を比較し、前記標的核酸量に関する第3測定結果が、前記第1基準値および第2基準値より多いか否かを判定した判定結果を含む請求項1〜5の何れか1項に記載の遺伝子検査方法。
  8. 前記判定結果が、陽性、弱陽性および陰性の何れであるかを判定した判定結果を含む請求項7記載の遺伝子検査方法。
  9. 前記第1〜第3測定結果取得工程が、所定の希釈倍率で希釈された条件下で行われる請求項1〜8の何れか1項に記載の遺伝子検査方法。
  10. 生体試料としてヒトから採取された組織中に存在する標的核酸を特異的に増幅して測定する遺伝子検査方法であって、
    前記生体試料中には存在しない核酸であり、既知量の内部標準核酸を、前記生体試料の非存在下で特異的に増幅し、その増幅に基づいて内部標準核酸量に関する第1測定結果を取得する工程と、
    前記生体試料中の核酸を抽出精製することなく調製された核酸含有試料に前記第1測定結果取得工程と同量の前記内部標準核酸を加えて前記内部標準核酸を前記生体試料の存在下で特異的に増幅し、その増幅に基づいて内部標準核酸量に関する第2測定結果を取得する工程と、
    前記生体試料中の核酸を抽出精製することなく調製された核酸含有試料中に存在する前記標的核酸を特異的に増幅し、その増幅に基づいて前記標的核酸量に関する第3測定結果を取得する工程と、
    内部標準核酸量に関する第1測定結果および内部標準核酸量に関する第2測定結果の差異に基づいて、前記第3測定結果および所定の基準値の何れか一方を補正する工程と、
    前記第3測定結果および前記基準値のうちの補正された一方と、補正されていない他方とを比較し、前記標的核酸量に関する第3測定結果が、前記基準値より多いか否かを判定した判定結果を求める工程と、を備えたことを特徴とする遺伝子検査方法。
  11. 前記第1測定結果が、内部標準核酸の増幅を測定した第1測定値が所定値になった時間を内部標準核酸量に関する測定結果として含み、前記第2測定結果が、内部標準核酸の増幅を測定した第2測定値が所定値になった時間を内部標準核酸量に関する測定結果として含み、前記第3測定結果が、標的核酸の増幅を測定した第3測定値が所定値になった時間を標的核酸量に関する測定結果として含む請求項1〜10の何れか1項に記載の遺伝子検査方法。
  12. 前記内部標準核酸が前記標的核酸と阻害物質により略同等の増幅阻害を受ける核酸である請求項1〜11の何れか1項に記載の遺伝子検査方法。
  13. 前記内部標準核酸がリブロース2リン酸カルボキシラーゼスモールチェーン1A遺伝子及び/又は前記遺伝子のmRNAである請求項1〜12の何れか1項に記載の遺伝子検査方法。
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