しかしながら、最近、遊技機に貼り付けるべき証紙、シールとして、遊技演出に使用する音楽等の版権(音楽著作権等)に対する許諾シールを貼る必要が生じている。こうした版権シールは、1枚の単価が高額であり、しかも複数種類が存在するため、貼り間違えや貼り損ないが大きな問題となる。
また、部品自体は遊技機の機種間での共通化が図られると共に、受注状況等により複数種類の機種を同じラインに順次流しながら組立を行う場合がある。この様な場合、共通部品の生産時点で版権許諾シールを貼ることとすると、組立ラインに流す機種を変更するごとに、許諾シールが貼られている部品を流したり、許諾シールの貼られていない部品を流したりと部品を入れ替える等の作業が必要となる。従って、取扱いの容易な部品生産の時点で版権許諾シールを貼っておくと、かえって混乱を生じる結果になるという問題がある。
さらに、この種の版権許諾シールは、正確な位置に貼り付ける必要があるため、手作業での貼り付けは困難である。
そこで、本発明は、版権等の許諾シールを遊技機メーカーにおいて、遊技機製造・出荷スケジュールに対して無駄なく正確に貼り付けることを目的とする。
上記目的を達成するためになされた本発明の遊技機に対する許諾シールの自動貼付システムは、
(1−1)遊技機又は遊技機部品等のワークを搬送する搬送ラインと、
(1−2)該搬送ラインの途中に設定された許諾シール貼付作業位置に設置され、前記搬送されてきた前記ワークの所定箇所を許諾シール貼付箇所として許諾シールを貼り付けるためのシール貼付装置とを備え、
さらに、以下の構成をも備えさせたことを特徴とする。
(1−3)前記ワークには、その所定箇所を情報読取箇所として、少なくとも機種を判別するための機種コードを含む認識情報が予め付与されていること。
(1−4)前記搬送ラインの前記許諾シール貼付作業位置よりも上流側に、前記搬送ラインを搬送されてきた前記ワークの前記情報読取箇所から、前記認識情報を読み取るための読み取り装置を設置したこと。
(1−5)前記搬送ラインの前記許諾シール貼付作業位置よりも下流側に、前記搬送ラインを搬送されてきた前記ワークの前記許諾シール貼付箇所に、当該ワークにとって必要な許諾シールが貼り付けられているか否かを検査する検査装置を設置したこと。
(1−6)前記搬送ラインの前記検査装置の設置位置よりも下流側に、前記検査装置による検査結果に基づいて、正しく許諾シールが貼り付けられていないワークをNG品として特定するための情報を、該ワークに対して直接的又は間接的に書き込むNG情報書込装置を設置したこと。
(1−7)少なくとも前記機種コードと機種との対応関係を予め登録するための機種マスタを記憶させた記憶装置を備えていること。
(1−8)前記記憶装置には、少なくとも許諾シールの貼付が必要な場合のシールの種類を、機種毎に対応付けて登録しておく許諾シール貼付情報も記憶されていること。
(1−9)前記読み取り装置の読み取った前記認識情報に基づいて前記機種マスタを参照し、今回情報を読み取られたワークの機種判別と、許諾シール貼付の要否判別と、許諾シール貼付が必要な場合のシール種類判別とを実行し、当該判別結果に基づいて、少なくとも許諾シール貼付の要否及び貼付が必要な場合のシールの種類を特定するための情報を前記シール貼付装置及び前記検査装置に対して指令するシール貼付管理装置を備えていること。
本発明の許諾シール自動貼付システムには、ワーク(遊技機又は遊技機部品)の所定箇所には、認識情報が付与(例えば、シールの貼付や直接印字など)された状態で投入される。ここで、シールを貼付する場合、例えば、QRコード、バーコードなどの光学的に読み取り可能な情報を印刷したシールを用いることができる。この場合、読み取り装置としてはシールに印刷される情報に対応して、QRコード読み取り装置、バーコード読み取り装置などを設置する。ICタグを用いる場合は、ICタグ読み取り装置を設置する。
シール貼付管理装置は、例えば、シール貼付装置及び検査装置と接続されたパーソナルコンピュータで構成することができる。この場合、機種マスタは、当該パーソナルコンピュータに内蔵又は外付けされたハードディスク、あるいは当該パーソナルコンピュータとLAN等を介して接続されているサーバなどに記憶しておく。また、許諾シール貼付情報は、機種マスタのファイル自体に含まれる様にしてもよいし、機種マスタとは別のファイル(テーブルデータ、データベースなど)として作成されてもよい。シール貼付管理装置は、認識情報から機種コードを読み取り、機種コードから機種を判別し、当該機種にシールの種類が特定されていない場合は貼付不要と判別する様に構成することができる。なお、シールの種類とシール貼付が必要な機種か否かをそれぞれデータとして記憶させておき、シール貼付管理装置が機種コードに基づいて判別した機種について、シール貼付の要否と、貼付すべきシールの種類とを別々の判定ルーチンによって演算処理する構成とすることもできる。
ここで、機種マスタと許諾シール貼付情報とを別ファイルにて記憶装置に記憶させておく場合、機種マスタを機種の増減等に応じて機種コードと機種の対応関係を登録する単純なファイルとすることができる。一方、許諾シール貼付情報のファイルについても、許諾シールの種類の増減に応じて容易に変更することのできるファイルとして単純化することができる。例えば、同一シリーズの機種であっても、その仕様に応じて組み込むべきソフトウェアや遊技球払出数の制御装置などを変更する必要があるが、同一シリーズで利用される版権は同一条件であるといったときに、機種コードと機種、機種と許諾シールの種類といった対応関係に分けておくと、管理が容易になり、登録ミス等を防止することができる。即ち、同一シリーズで細部の部品等に変更が必要な一方、演出面で利用する音楽コンテンツなどには極端な変更がないことの多い遊技機の特有の管理目的に対し、機種マスタと許諾シール貼付情報とを別ファイルで構成することには意義があるのである。
特に、近年、遊技機における演出面の特徴として、旧作から新作へと数年を経て同一シリーズのコンテンツを利用する場合などにおいては、許諾シール貼付情報を機種コードではなく機種で管理することには大いに意義があるといえる。また、機種によっては息が長く非常に長期に渡って需要を生じ続ける場合があったり、需要が復活するといった場合もあるため、機種マスタで管理すべき情報は、開発時期と発売開始時期の錯綜するものとなり得る。
一方、例えば、著作権は、著作権法改正や著作権管理団体における規定改正などにより、過去においては版権許諾を免除されていたものが、後に版権許諾が必要となる様な場合もある。例えば、数年前の改正により、「飲食店等におけるBGM演奏についての当面の免除」が廃止された例を挙げることができる。また、著作権法改正によって著作権管理団体も複数が存在するに到っている。一方、許諾料率は、著作権管理団体が順次変更するなどの措置を採っていたり、利用頻度や利用量によって料率の設定を変更するなどの措置も講じられ、近年の知財立国というわが国の産業政策の中で、著作権のビジネス価値の高まりは、版権許諾の条件の多様化を予測させるものといえる。従って、版権許諾シールの貼付の要否、貼付すべきシールの種類は、様々に変化していく可能性を秘めている。
従って、一見無駄な様な機種コードからの機種判別という処理を経ることにより、機種マスタとシール貼付情報とを別ファイルとして単純化し、遊技機特有の著作権利用の拡大、旧作と新作の人気の併存、需要の多様化などに対して、正確かつ迅速に、版権許諾シールの貼付の要否、貼付すべきシールの種類に対して的確な対応を可能にすることができるのである。
なお、「機種」は、同一シリーズを「同一機種」とする様な定め方としてもよいし、同一シリーズにおいても仕様によって「異なる機種」とする様な定め方としてもよい。また、同一シリーズにおいて外枠の相違によって「同一機種」「異なる機種」を区別する様な定め方もできる。機種コードと機種の対応関係を機種マスタで管理し、版権許諾については機種マスタとは別のファイルとして構成される許諾シール貼付情報によって管理するといった構成を採用する場合、容易かつ柔軟に対応することができる。
本発明によれば、許諾シールの種類を機種と対応付けた情報を少なくとも記憶しているので、シール貼付装置及び検査装置に対して、許諾シールの貼付が必要な場合にはその種類も指令することができる。これにより、機種毎に複雑な版権許諾の契約に対しても的確に対処することができる。なお、シール貼付情報において、許諾シールの種類が一種類しかない場合は、シールの種類を判別するための情報とシール貼付の要否を判別するための情報は、直接的に一対一の関係になる。
シール貼付情報には、機種毎の許諾シール貼付箇所の対応関係も情報として含ませることができる。許諾シール貼付箇所については、シール貼付情報に含ませずに、シール貼付装置において決定する方法を採用することもできる。この場合は、シール貼付装置と検査装置の間で情報交換し、シール貼付装置が決定した許諾シール貼付箇所を検査装置に与えておく。シール貼付情報に機種毎の許諾シール貼付箇所を含ませる場合、前述の様に発売開始から長期に渡って管理が必要な場合に、その間の法改正や著作権管理団体の規定改正、さらには、実施状況による契約関係の変更により、貼付すべきシールのサイズが変更になったり、一台に貼付すべきシールの枚数が変更になったり、あるいは、版権許諾シール以外に貼付すべきシールのサイズや枚数が変更になった様な場合に、迅速に対応することができる点で有利になる。同一ラインに流す機種数を多くし、これらの機種間で貼付箇所に変更を要する様な場合に、特に有利となる。
次に、検査装置は、例えば、シール貼付対象物の所定箇所の画像を撮影するカメラと、当該カメラで撮影した画像と正しくシールが貼り付けられた状態の画像とをパターンマッチングなどの演算処理によって照合して画像の一致・不一致を判定する演算処理プログラムを備えたパーソナルコンピュータとによって構成することができる。また、版権許諾シール自体がバーコードやQRコードである様な場合は、バーコードリーダやQRコードリーダとパーソナルコンピュータとによって構成することもできる。
NG情報書込装置は、例えば、次の様に構成することができる。即ち、本発明の遊技機に対する許諾シールの自動貼付システムに、さらに、以下の構成を備えさせることができる。
(2−1)前記ワークは、パレット台車に載せられた状態で前記搬送ラインを搬送されること。
(2−2)前記パレット台車には、前記NG情報書込装置による情報の書き込みをするための被書込部が備えられていること。
これは、ワークにNG情報を書き込むのではなく、パレット台車に書き込むことで、商品であるシール貼付対象物に余分な情報を記入することがない。この結果、NGの原因がシールの貼り忘れであるならば再度シールを貼るためにラインに流す等の処置によって商品である遊技機又は遊技機部品を無駄にすることがないからである。なお、パレット台車に書き込む情報は、例えば、電磁的な情報、光学的な情報など種々の情報を用いることができるが、これらはパレット台車の再使用に当たって消去できるものであることが望ましい。
なお、NG情報書込装置は、必要な許諾シールが貼り付けられていない場合に限らず、不要な許諾シールが貼り付けられてない場合にもNG情報を書き込む様に構成することができる。また、貼り付けられた位置が合格基準に満たない場合もNG情報を書き込む様に構成することができる。
また、本発明の遊技機に対する許諾シールの自動貼付システムに、さらに、以下の構成を備えさせることができる。
(3−1)前記搬送ラインには、前記パレット台車を所定位置で停止させて位置決めを行う位置決め装置が設置されていること。
(3−2)前記搬送ラインによる搬送動作及び前記位置決め装置の停止・位置決め動作に基づいて、前記搬送ライン中での前記ワークの存在状況を判別し、前記読み取り装置、前記検査装置及び前記NG情報書込装置に対して搬送動作によって同一物が各装置による各処理の実行位置に到達するタイミングを指令する対象物指令手段を備えていること。
この(3−1),(3−2)の構成をも備える場合、「読み取り装置」と「検査装置」との間の距離、「検査装置」と「NG情報書込装置」との間の距離を、それぞれ大きくとり、これら装置の間に多数のパレット台車が存在する状況でのシール貼付、検査等を実行するシステムとして構成することができる。この様に距離を大きくとることは、各装置における作業に要する時間の長短に対して、搬送ラインをより効率良く動作させるという効果が発揮される。特に、停止位置決め装置を、必要箇所に適宜数設けることで、作業に時間がかかる装置の上流には広いストック場所を確保するなどといった効果も発揮される。
本発明の許諾シール自動貼付システムによれば、(1−1)〜(1−9)の基本的な構成を備えることにより、一枚の単価が高額な許諾シールを、貼付の必要な遊技機に正しく貼付された状態で出荷する作業を自動化することができる。また、許諾シールを貼付する必要のある遊技機と、不要な遊技機を混在させて組み立てラインに流したり、あるいは、組み立てラインを許諾シールの貼付が必要な機種の遊技機の組み立てに使用した後に、貼付不要の機種の遊技機の組み立てに使用するといった使用方法を採用した場合にも、無駄なく正しく許諾シールを貼付することができる。そして、万一、シールの貼付漏れが発生した様な場合には、NG情報書込装置によってNG情報を書き込むことで、多数が連続的に流されるラインにおいて、NG品を的確に選び出し、必要な処置をとることができる。
本発明によれば、版権等の許諾シールを遊技機メーカーにおいて、遊技機製造・出荷スケジュールに対して無駄なく正確に貼り付けることができるという効果を発揮することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を説明する。実施形態としての版権許諾シール自動貼付システム1は、図1に示す様に、遊技盤を搬送する搬送ライン10と、搬送ライン10の途中に設定された貼付作業位置P1に設置され、搬送されてきた遊技盤の許諾シール貼付箇所に音楽著作権の許諾シールを貼り付けるためのシール貼付装置100とを備えている。ここで、この搬送ライン10を搬送される遊技盤の所定箇所(QRコード貼付箇所)にはQRコードを印刷した認識シールが貼付されている。このQRコードには、機種コード情報が記録されている。また、この搬送ライン10は遊技盤組立ラインの内のビス締めラインである。このため、遊技盤は、パレット台車に載置されてラインに流されている。以下、遊技盤のことをワークWという。また、遊技盤とそれを載置しているパレット台車のことをワークWという場合もある。
搬送ライン10の貼付作業位置P1よりも上流側のQRコード読取位置P2には、搬送ライン10を搬送されてきたワークWのQRコード貼付箇所から、QRコードを読み取るQRコードリーダー200が設置されている。また、搬送ライン10の許諾シール貼付作業位置P1よりも下流側の検査位置P3には、搬送ライン10を搬送されてきたワークWの許諾シール貼付箇所に、当該ワークWにとって必要な許諾シールが貼り付けられているか否かを検査する検査装置300が設置されている。さらに、搬送ライン10の検査装置300の設置位置よりも下流側のNG情報書込位置P4に、検査装置による検査結果に基づき、許諾シール貼付箇所に正しく許諾シールが貼り付けられていないワーク(シール不要のワークに許諾シールが貼付されている場合を含む)をNG品として特定するための情報を、当該ワークWを載置しているパレット台車に対して書き込むためのNG情報書込装置400も設置されている。
また、搬送ライン10には、複数台のビス締めロボットを設置したビス締めステーションP11,P12,…が設けられている。これら各ビス締めステーションP11,P12,…、QRコード読取位置P2、貼付作業位置P1、検査位置P3、NG情報書込位置P4には、それぞれオートストッパーが設置され、各位置における作業のためのワークWの位置決めを実施する様に構成されている。
これらの機器を備えた本実施形態の制御系統は、図2に示す様に構成されている。即ち、搬送ライン10、ビス締めロボット21,22,…、オートストッパー31,32,…,101,201,301,401、シール貼付装置100、QRコードリーダー200、検査装置300及びNG情報書込装置400は、ライン側制御装置50によって動作タイミング等を管理される構成となっている。本実施形態では、このライン側制御装置50とは別に、シール貼付装置100、QRコードリーダー200及び検査装置300は、シール貼付管理用のパーソナルコンピュータ500とも接続されている。そして、このパーソナルコンピュータ500は、サーバ600と接続されている。なお、各オートストッパー31,32等には、それぞれワークWの停止・位置決めが完了したことを検出するセンサが備えられており、この停止・位置決めの完了を検出すると、ライン側制御装置50に対して位置決め完了信号を送信する様に構成されている。
サーバ600には、図3に示す様に、機種コードと機種名との対応関係を登録した機種マスタ610と、機種名と許諾シールの貼付の要否との対応関係を登録した貼付要否ファイル620と、許諾シールの種類と機種名の対応関係を登録したシール種別ファイル630とがそれぞれ独立したファイルとして記憶されている。なお、各ファイルは独立しているが、いずれも機種名をタームとしてリンクして使用することができる。即ち、機種コードが特定されると機種マスタ610から機種名が特定され、この機種名をタームとして貼付要否ファイル620を検索することにより、許諾シールの貼付が必要な機種か否かを特定することができる。次に、許諾シールの貼付が必要とされた機種名をタームとしてシール種別ファイル630を検索することにより、当該機種に対して貼付すべき版権許諾シールの種類が特定される。
サーバ600には、これらのファイルの他に、機種毎の開発スケジュールを登録した開発管理ファイル640や、機種毎の受注情報を登録した受注管理ファイル650や、機種毎の生産管理情報を登録した生産管理ファイル660などが、それぞれ機種名をタームとして情報を特定できる様に記憶されている。これらのファイル640〜660も、機種マスタ610を媒介してそれぞれをリンクさせて使用することができる。
この様に、遊技機メーカーにおいては、機種毎に管理すべき情報が多数あることから、上述の様に情報の種類に応じてサーバ600内に独立したファイルにて各種データベースを記憶させることには意義がある。特に、本実施形態のポイントである版権許諾シールに関しては、次の様な利点がある。
例えば、版権許諾シールの貼付が必要か否かは、同じ機種であっても、長期に渡って需要が存在する機種においては、発売当初は音楽著作権協会との間で版権許諾シールの貼付に関する契約等が存在しなかったためにある時期まではシール貼付は不要となっていたものが、その後、契約等が成立してシール貼付が必要となる場合が考えられる。この様な場合、機種マスタ610は何ら書き換える必要がなく、貼付要否ファイル620に登録されている機種中の対応する機種の欄を貼付要に書き換えればよい。また、シール種別ファイル630においては、当該遊技機メーカーが契約している版権許諾シールの種類の内で対応するものの欄に、新たにシール貼付が必要になった機種名を追加するだけでよい。
なお、機種マスタ610以外の各ファイル620等においては、同一シリーズを「同一機種」とする様な定め方としてもよいし、同一シリーズにおいても仕様によって「異なる機種」とする様な定め方としてもよい。また、同一シリーズにおいて外枠の相違によって「同一機種」「異なる機種」を区別する様な定め方もできる。
パーソナルコンピュータ500には、本実施形態に関して、図4に示す様な処理を実行するための演算処理プログラムがインストールされている。この演算処理プログラムの実行により、パーソナルコンピュータ500は、ライン制御装置50を介してQRリーダー200による読み取り情報を受信すると(S10:YES)、当該情報から機種コードを抽出した機種コードをタームとして機種マスタ610を検索し(S20)、機種名を特定する(S30)。次に、この機種名に基づいて貼付要否ファイル620を検索し(S40)、版権許諾シールの貼付が必要な機種の遊技盤であるか否かを判定する(S50)。そして、シール貼付要と判定されたときは(S50:YES)、さらに、この機種名でシール種別ファイル630を検索してシールの種類を特定する(S60,S70)。そして、ライン制御装置50に対して、シール貼付要と判定されたワークWを特定する情報と、シールの種類を特定する情報とを送信する(S80)。
ライン側制御装置50は、搬送ライン10に沿って設置されている各装置に対して、動作タイミングを指令する処理を実施している。この内、QRコード読取タイミングに関しては、図5に示す様な手順の処理が実施される。まず最初に、QRコード読取位置P2のオートストッパー201に対してワークWの停止・位置決め指令を送信する(S110)。そして、オートストッパー201から位置決め完了信号を受信したら(S120:YES)、QRコードリーダー200に対してQRコードの読み取り開始を指令する(S130)。QRコードリーダー200からの読み取り信号を受信したら(S140:YES)、この信号をパーソナルコンピュータ500に送信すると共に(S150)、オートストッパー201に対して開放指令を送信する(S160)。以上の処理は、QRコード読み取り位置P2の直ぐ上流に位置するビス締めステーションのオートストッパーが開放動作をする度に繰り返し実行される。
ライン側制御装置50は、シール貼付タイミングに関して、図6に示す様な手順の処理を実施する。まず最初に、シール貼付作業位置P1のオートストッパー101に対してワークWの停止・位置決め指令を送信する(S210)。そして、オートストッパー101から位置決め完了信号を受信したら(S220:YES)、パーソナルコンピュータ500からのシール貼付要否及びシール種別に関する指令を受信しているか否かを判定する(S230)。受信していたら(S230:YES)、まずシール貼付要否を判定する(S240)。シール貼付要の場合は(S240:YES)、受信した情報からシール種別を特定する(S250)。そして、シール貼付要及びシール種別の判定結果をシール貼付装置100に対して送信すると共に(S260)、検査対象テーブルにフラグを記入すると共に当該検査対象テーブルを検査装置300に通知する(S270)。そして、シール貼付装置100からの貼付完了信号を受信するのを待つ(S280)。貼付完了信号を受信したら(S280:YES)、オートストッパー101に対して開放指令を送信する(S290)。なお、シール貼付不要と判定されたときは(S240:NO)、直ちにS290に進む。以上の処理は、上流のQRコード読み取り位置P2のオートストッパー201が開放動作を実行する度に繰り返し実行される。
ここで、検査対象テーブルは、図7に示す様に、処理順に従って1,2,…と付与されるワーク番号と、シール種別と、検査フラグとから構成されるテーブルである。図示の場合、処理順101〜200はシール貼付対象外としてフラグが立てられていない。また、シール種別は、パーソナルコンピュータ500から受診したデータがそのまま書き込まれる。
ライン側制御装置50は、検査タイミングに関して、図8に示す様な手順の処理を実施する。この処理は、シール貼付タイミングに関する処理により、シールを貼付されたワークWが検査位置P3に至る際に実施される。なお、この搬送ライン10は、元々ビス締めラインであり、ビス締め動作のために間欠的な動作によってワークWの搬送・停止が繰り返し実行されている。このため、何番目のワークが検査位置P3に到ったかは、この間欠的な動作の回数から判別することができる。
図8の検査タイミング指令処理では、検査位置P3のオートストッパー301に対してワークWの停止・位置決め指令を送信すると共に(S310)、検査対象テーブルに基づいて今回到達するワークが検査対象か否かを判定する(S320)。そして、検査対象である場合は(S320:YES)、オートストッパー301からの位置決め完了信号を受信するのを待つ(S330)。位置決め完了信号を受診したら(S330:YES)、検査装置300に対して検査開始指令と共に検査対象テーブルのシール種別データを送信する(S340)。そして、検査装置300からの検査終了信号及び検査結果を受診するのを待つ(S350)。検査終了信号を受診したら(S350:YES)。検査結果がNGか否かを判定する(S360)。NGである場合は(S360:YES)、NG書込対象テーブルにフラグを記入してから(S370)、オートストッパー301に対して開放指令を送信する(S380)。なお、NGでない場合(S360:NO)、及び検査対象でない場合は(S320:NO)、直ちにS380に進む。以上の処理は、搬送ライン10の間欠送り動作と同期して実行される。
ここで、NG書込対象テーブルは、図9に示す様に、処理順に従って1,2,…と付与されるワーク番号と、NGフラグとから構成されるテーブルである。図示の場合、処理順99がNGとなっている。
ライン側制御装置50は、NG書込タイミングに関して、図10に示す様な手順の処理を実施する。この処理も、検査タイミングと同様に、搬送ライン10の間欠送り動作との関係から、何番目のワークがNG書込位置P4に到ったかを判別することができる。処理の内容は、NG書込位置P4のオートストッパー401に対してワークWの停止・位置決め指令を送信すると共に(S410)、今回到達するワークがNG書込対象か否かを判定する(S420)。そして、NG書込対象である場合は(S420:YES)、オートストッパー401からの位置決め完了信号を受信するのを待つ(S430)。位置決め完了信号を受診したら(S430:YES)、NG情報書込装置400に対してNG情報の書き込みを指令する(S440)。そして、NG情報書込装置400からの書込終了信号を受診したら(S450:YES)、オートストッパー401に対して開放指令を送信する(S460)。なお、NG書込対象でない場合は(S420:NO)、直ちにS460に進む。以上の処理も、搬送ライン10の間欠送り動作と同期して実行される。
なお、QRコードリーダー200は、図1(B)に示す様に、QRカメラ202を備え、撮影した画像からコードデータを読み取る一般的な装置である。また、検査装置300はCCDカメラで撮影した画像をパターンマッチング処理によって正しい位置に正しい許諾シールが貼られた状態の画像と比較して判定する画像処理装置である。さらに、NG情報書込装置400は、図1(C)に示す様に、ディスプレイ装置402によって構成され、NGの場合、NGの文字を当該ディスプレイ装置402に一定時間表示する。そして、パレット台車側に設置したCCDカメラ403で、このディスプレイ装置402の表示を記録することにより、パレット台車のメモリ部にNGを書き込む様にしたものである。パレット台車に対するNG情報の書込なので、NG品となった遊技盤は、目視検査を経て、シールの貼り直しをすれば、製品として出荷するのに何ら支障がない。従って、本実施形態によれば、NG品を見分けられるだけでなく、遊技盤自体には何らNG情報の書込は行わないので、商品としての価値を損なうことがない。
次に、本実施形態において採用したシール貼付装置100について説明する。まず、このシール貼付装置100にセットされるべき版権許諾シールの形態を図11に示す。図示の様に、版権許諾シール111は、10×10=100枚を1単位とする矩形シート110にマトリックス状に並べて貼り付けられている。また、周縁部には余白が枠状のシール112として残る様になっている。
シール貼付装置100は、この矩形シート110を、シールを上にして積み重ねて準備しておくために、図12に示す様なシート載置保持部120を備えている。シート載置保持部120には、矩形シート110の四辺のそれぞれに対して少なくとも1本以上が接する様に8本のガイドピン121,121,…が立設されている。より具体的には、このガイドピン121,121、…は、矩形シート110の各角部を位置決めできる様に各辺の角部近傍に立設されている。このシート載置保持部120を複数個設けることにより、例えばシール1枚の単価により色を変えた様な複数種類の許諾シールを準備することができる。
また、シール貼付装置100は、シート載置保持部120に積み重ねて準備された矩形シート110を上から吸着して1枚ずつ取り出すために、図13に示す様なシート移送手段130を備えている。シート移送手段130は、垂直方向に垂れ下がった状態と傾いた状態との間で揺動可能に備えられた2本の移送用吸着パッド131,132を搬送方向の前後方向に間隔を離して備えている。そして、2本の移送用吸着パッド131,132に対して、垂直に垂れ下がった状態にてシート載置保持部120に積み重ねられている矩形シート110の最上部のものの上面を吸着させ、この矩形シート110がガイドピン121の先端より上になるまで上昇させた後、垂れ下がった状態と傾斜した状態との間で揺動させる揺動運動を数回実行させた後に再び垂直に垂れ下がった状態に戻す動作を実行する制御を行う。
この結果、移送用吸着パッド131,132でエアにより吸着した際に、矩形シート110が2枚重なって持ち上げられた場合も、下のものを揺り落とすことができる。このとき、揺り落ちた矩形シート120は落ちるときに傾いたりして真っ直ぐに落ちなくても、ガイドピン121にガイドされて元の位置へと正しく戻る。また、仮に正しく戻れずにガイドピン121に若干引っ掛かっていたとしても、次の吸着動作において吸着パッド131,132が吸着前に一旦下降する際にガイドピン121によって四辺をガイドされた正しい位置に戻って吸着される。
従って、このシール貼付装置100によれば、単に1枚ずつ矩形シート110を取り出すことができるだけに留まらず、次に実施するシール剥離作業のために、常に正しい位置合わせのされた状態で矩形シート110を受け渡すことができる。この結果、その後のシール剥離作業において誤って2枚の許諾シールを同時に剥離してしまうといったことをも防止することができる。
ここで、前後の移送用吸着パッド131,132は、それぞれが独立して吸着・開放を実行することができる様に構成されている。これは複数個のバルブの開閉制御によって実現することができる。
この結果、図14に示す様に、矩形シート110を吸着したまま、シール剥離作業を実施するテーブル部141へと矩形シートを移送する際に、テーブル部141のエッジ142の近くまで矩形シート110を移送してきた後に、矩形シート先端側の移送用吸着パッド131を開放にした後、矩形シート後端側の移送用吸着パッド132をテーブル部のエッジに向かって移動させてから開放状態とするシート開放動作制御が実施される。
図15,図16に示す様に、このテーブル部141と、テーブル部141のエッジ142の近くにおいてテーブル部141との間に矩形シート110の先端を挟み込んで繰り出す繰り出しローラ143,144と、繰り出しローラ143,144によってテーブル部141のエッジ142からはみ出した矩形シート110の先端を下方に押し曲げる押し曲げ部材145と、押し曲げ部材145によって下方に押し曲げられた矩形シート110の先端を把持して下方に引き出す垂直引出部材146,147と、テーブル部141のエッジ142に向かって進退可能な水平支持部材148とによって、シール浮かし動作が実行される。
この動作では、まず、繰り出しローラ143,144がシート繰り出し方向に回転させられる(図16(A))。これにより、矩形シート110の先端がテーブル部141のエッジ142から少しはみ出させられる。この少しはみ出した状態になったら、繰り出しローラ143,144は一旦停止する。こうして矩形シートの先端がテーブル部141のエッジ142から少しはみ出した状態において、押し曲げ部材145を下降させる(図16(B))。これにより、はみだした矩形シート110の先端が下方に押し曲げられる。押し曲げ終わったら、押し曲げ部材145は上方へ退避する(図16(C))。
次に、こうして下方に押し曲げられた矩形シート110の先端に向かって水平支持部材148が接近する(図16(D))。これによって矩形シート110の先端はほぼ直角に屈曲された状態となる。この状態になったら、垂直引出部材146,147を上昇させて矩形シート110の先端を把持し、下方に引っ張る(図16(E)〜(G))。このとき、繰り出しローラ143,144を再び回転させる。この繰り出しローラ143,144による繰り出し速度と、垂直引出部材146,147の下降速度は、ほぼ同一となる様に同期させる。なお、最初の繰り出し以外は垂直引出部材1496,147のシート引出動作に従ってフリーに回転する状態にしておいてもよい。こうして矩形シート110が下方にほぼ直角に折り曲げて引き降ろされることによって上面の許諾シール111が大きく浮き上がる(図16(G)〜(H))。このとき、水平支持部材148がテーブル部141のエッジ142の近くまで来ているから、浮き上がった許諾シール111を確実にすくい取る様にして受け止める。この結果、許諾シール111は矩形シート110から浮き上がった状態で水平支持部材148の上面を前進する。
シール貼付装置100は、図17に示す様に、許諾シール111を1枚だけ吸着できる大きさの吸着面を有する剥離用吸着パッド151と、剥離用吸着パッド151よりも繰り出しローラ143,144側に位置する様に設けられた剥離用押さえ部材152も備えている。そして、水平支持部材148上に浮き上がった状態の許諾シール111の内、最も先端側においてシール並び方向の端に位置するシールを剥離用吸着パッド151で吸着させると共にその奧に隣合うシールの上面に剥離用押さえ部材152を当接させた上で、剥離用吸着パッド151を上昇させる。これによりシール剥離動作が実行され、許諾シール111が1枚だけ剥離される。
ここで、図17に示す様に、剥離用押さえ部材152はコイルバネによって下方に付勢されており、初期状態では下端が剥離用吸着パッド151よりも下がった位置にある。従って、剥離用押さえ部材152が先にシール面に当接し、続いて剥離用吸着パッド151がシール面に当接する際に、コイルバネの反発が下降運動の抵抗になって剥離用吸着パッド151の当接は緩やかに実行される。この結果、剥離すべき許諾シールを水平支持部材148の上面に強く押し付けてしっかりと貼り付けてしまうということがない。
また、シート移送制御においては、後方の移送用吸着パッド132だけで吸着した状態となって剥離作業開始のための位置決めがなされているが、前述の様に、シート載置保持部120において、シートの四つの角を位置決めする様にガイドピン121を設けた構造を採用し、2本の移送用吸着パッド131,132でテーブル部141のエッジ142近くまで移送するので、シートの四辺の向くべき方向がずれることなく、シート先端とテーブル部141のエッジ142とが平行な状態に自然と調整されている。
また、矩形シート110から浮き上がった許諾シール111が、繰り出し方向に少なくとも2枚(但し、シートの後端については除く)並んだ状態で水平支持部材148の上に移動されたら、上述した剥離用吸着パッド151と剥離用押さえ部材152による剥離動作を実行する様に構成してある。
さらに、水平支持部材148は、先端に上面をテーパ面とするブレード149を備えている。これにより、矩形シート110から浮き上がった許諾シール111をブレード149ですくい上げる様にして水平支持部材148にスムーズに受け取ることができる。
なお、このシール剥離動作は、図18に示す様な設定装置160を用いて設定された剥離開始位置から順次、矩形シート110上の許諾シール111を1枚ずつ剥離する動作として実行される。即ち、設定装置160には、取出位置設定部161として100枚の許諾シール111のシート110上での位置が、1〜100の数字と共に、10×10のマトリックス配置で表示されている。この設定装置160から番号を指定することにより、極端なことをいうならば、中程の1枚だけを取り出すといったことも可能である。しかし、中程の1枚を取り出す様な設定は、この様な目的のためにあるのではなく、許諾シール111を一部使用したシートを用いる場合などの剥離開始位置の設定するためにある。なお、デフォルト値としては、「1」が設定されている。
剥離用吸着パッド151及び剥離用押さえ部材152による剥離動作は、先頭から、シートの幅方向に順次繰り返し実行される。従って、設定装置160の設定画面でいうならば、1番、2番、3番、…、10番と先頭の1列を端から順番に剥離していく。こうして1列のシールを前部剥離し終えたら、本実施形態では、11番から順次2列目を剥離することとしている。この2列目の剥離を開始する前に、繰り出しローラ143,144及び垂直引出部材146,147によるシール1枚の長さ分のシート繰り出し動作が実行される。なお、10番の次に20番から19番,18番,…と逆方向に剥離していく設定としても構わない。
シール貼付装置100は、こうして1枚ずつ剥離した許諾シール111を剥離用吸着パッド151で吸着したまま、図19に示す様に、仮置きステーション170の真上まで移送し、下降して開放することにより、仮置きを実行する。この開放時には、吸引を停止するだけでなく、エア噴射も実行する。これは、シール111は小さなものであるため、吸引停止だけでは開放できない可能性があるからである。なお、仮置きステーション170は、仮置きテーブル177の図示左端と右端の間で直線移動する。これは、この後の貼付動作をするための処理位置へと移動するためである。
この仮置きステーション170には、図20に示す様に、多数の細い突起171,171,…の先端によって許諾シール111の長さ及び幅以内に形成されたシール載置面172と、シール載置面172に対して水平方向に直交する2方向から接近・離間する4枚の直交水平ガイド部材173〜176が備えられている。
4枚の直交水平ガイド部材173〜176は、シール載置面172の中心から許諾シール111の長さの半分だけ又は幅の半分だけ離れた位置まで接近する位置調整動作を実行する。従って、長さ方向に対面する水平ガイド部材173,175により、シール111はシール載置面172の中心に長さ方向中心が一致する様に位置調整される。また、幅方向に対面する水平ガイド部材174,176により、シール111はシール載置面172の中心に幅方向中心が一致する様に位置調整される。
こうして仮置きステーション170で位置調整された許諾シール111は、図21に示す様に、剥離用吸引パッド151とは別に用意されている貼付用吸着パッド181によってワークWに貼り付けられる。なお、この貼付動作の前に、前述の様に許諾シール111の位置調整が実行されているので、貼付用吸着パッド181を垂直軸回りに回転等させることなくそのままワークWに貼付すれば、ワークWに傾くことなく許諾シール111を貼付することができる。
なお、前述の直交水平ガイド部材173〜176による位置調整動作は、接近・離間動作を数回実行させる様に構成されている。これにより、位置調整の精度がより一層高まる。また、前述した様に、許諾シール111が小さいことから、その開放時にエア噴出を実行する必要がある。このため、仮置きステーション170に仮置きされるときに許諾シール111が微妙に位置ズレを起こす可能性を否定できない。従って、直交水平ガイド部材173〜176による位置調整動作は、小さな許諾シール111を正確にワークに貼付する上で、極めて効果的である。
以上説明した実施形態によれば、1枚の単価が高額な音楽著作権の許諾シール111をを遊技機メーカーにおいて、遊技機製造・出荷スケジュールに対して無駄なく正確に貼り付けることができ、かつ、無駄なく使用することができる。
次に、変形例について説明する。第1の変形例は、シート載置保持部120に関するものである。図22に示す様に、第1の変形例では、シート載置保持部120の8本のガイドピン121,121,…の上部内面側に、矩形シート110の周縁の余白部分112のみに達する長さのブラシ状突起物122,122,…を植設したものである。
この変形例によれば、矩形シート110を積み重ねてセットする際にブラシ状突起物122に触れて矩形シート110の分離が自然に実行され、かつ、移送用吸着パッド131,132で持ち上げる際にもブラシ状突起物122にシート110の端が接することでシートの分離がなされる。従って、誤って2枚以上のシートが持ち上げられる可能性を減らすことができる。この結果、移送用吸着パッド131,132の揺動動作における動きは極わずかであってもよくなり、揺動動作時の許諾シール111のめくれ等を防止することができる。
次に、第2の変形例について説明する。第2の変形例は、移送用吸着パッド131,132に関するものである。図23に示す様に、第2の変形例では、前後の移送用吸着パッド131,132は、それぞれ独立した傾斜角度に揺動可能に構成されている。このために各吸着パッド131,132の支持部131a,132aは、上下スライド溝131b,132bにピン131c,132cを係合させた支持構造を有している。また、前後の吸着パッド131,132を揺動動作させるギヤ組は中央の駆動ギヤ133と、その前後方向に並べて噛み合わされている従動ギヤ134,135とからなり、支持部材131a,132bの中程が各従動ギヤ134,135に対して偏心位置でリンク131d,132dにて連結されている。これにより、図示の様に、駆動ギヤ133を回転させることで、前後の吸着パッド131,132は独立した角度に傾斜運動を実行し、矩形シート110を波打つ様に揺動させることができる。
これは、許諾シール111を上面に剥離可能にマトリックス状に担持した矩形シート110が2枚取り出される原因としては、静電気などによる全体的な密着の他に、シールとシールの間の部分で接着剤のはみ出しの影響などによって密着してしまう場合があることを考慮したものである。即ち、この第2の変形例によれば、シートの中央だけでなく端に寄った位置を湾曲の頂点とする様な変形が可能なため、接着剤のはみ出しの影響等による密着にも対処することができる。なお、この様に様々な部分に湾曲の頂点を形成できるので、シート全体に対しては大きな湾曲状態を形成しなくてよい。この結果、シート全体が大きく湾曲して剥離可能に貼られているシール111がずれたり、めくれたりしないという効果も発揮される。
以上、本発明について実施形態の説明をしたが、本発明は、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
例えば、ガイドピン121は、先端を丸くしたものとすることにより、シートの出し入れにおいて縁が引っ掛からないようにすることも有効な変形例である。また、シール載置面122を構成する突起121の先端に小球を回転自在に嵌着したフリーベアリング構造とすることも有効な変形例である。シール載置面全体がフリーベアリング構造となるので、直交水平ガイドによる位置調整動作の際にシールの移動がスムーズとなる。また、NG情報の書き込みは、電子的なものではなく、パレット台車に備わっているパレット検出ピンを打ち込む等の機械的なものでもよい。
また、一部の許諾シール111が使用された矩形シート110を取り外し、押し花の様に重しに挟んで浮き上がったシールを平らな状態に戻したものをシート載置保持部120の最も上に戻し、その後、当該一部使用された矩形シート110から許諾シールを剥がして使う場合、設定装置160を用いて剥離開始位置のシールの番号を入力したときは、繰り出しローラ143,144及び垂直引出部材146,147に対して、剥がれたシール長さ分の空送り動作を実行させるのも有効な変形例である。
例えば、図24(A)に示す様に、1〜25までの許諾シールが使用された状態であったとすると、シール長さ2枚分の空送り動作を実行した後に、シール浮かし動作を実行する。なお、図24(B)に示す様に、1〜9までの許諾シールを使用しただけの場合は、先頭列のシールである10番のシールが剥離開始位置とんることから、この空送り動作は実行しない。従って、実施形態においては、図25に示す様に、設定装置160による剥離開始位置の設定が先頭から何列目かを判定し(S1010〜S1100)、その判定結果に基づいて、空送りなし(S1015)、1列分空送り(S1025)、・・・9列分から送り(S1105)という判定を実行する様に構成することができる。