以下、本発明の吸着ノズルの照合方法を用いた部品実装システム及び部品実装機の実施の形態について図面を参照しながら説明を行う。
まず、図1〜図15を用いて、実施の形態における部品実装システムおよび各装置の構成について説明する。
図1は、実施の形態における部品実装システムの構成を示す構成図である。
図1に示す部品実装システムは、上流から下流に向けて回路基板(以下、単に「基板」という。)を送りながら電子部品(以下、単に「部品」という。)を実装していくシステムである。
実施の形態の部品実装システムは、図1に示すように、生産ラインを構成する2台の部品実装機100、200と、ノズル照合装置800とを備える。
なお、部品実装機100および部品実装機200は、ともに同様の構成であり同様の機能を有する部品実装機である。そのため、部品実装機200の構成および動作についての説明、並びに部品実装機200とノズル照合装置800との間に情報のやり取りについての説明は省略する。
部品実装機100は、同時かつ独立して、部品実装を行う2つのサブ設備(前サブ設備110及び後サブ設備120)を備える。
前サブ設備110および後サブ設備120はそれぞれ、直交ロボット型装着ステージであり、部品供給部115a及び115bと、マルチ装着ヘッド112(以下、単に「装着ヘッド112」という。)と、XYロボット113と、部品認識カメラ116と、トレイ供給部117と、RW(Read and Write)部701等を備える。
なお、部品認識カメラ116は、装着ヘッド112に移動可能に配置される場合もある。部品認識カメラ116の配置例については図13を用いて説明する。
部品供給部115a及び115bはそれぞれ、部品テープを収納する最大48個のフィーダ114の配列からなる。
装着ヘッド112は、それぞれ1つの吸着ノズル301が着脱可能に取り付けられた10個のヘッドを有することで、10個の吸着ノズル301を備えている。
なお、このような装着ヘッド112は、10ノズルヘッドとも呼ばれる。また、装着ヘッド112自体が単にヘッドと呼ばれることもある。
装着ヘッド112は、これら10個の吸着ノズル301を用いて、上述のフィーダ114から最大10個の部品を吸着して基板20に装着することができる。
XYロボット113は、装着ヘッド112を移動させる構成部である。部品認識カメラ116は、装着ヘッド112に吸着された部品の吸着状態を2次元又は3次元的に検査する構成部である。
トレイ供給部117は、トレイ部品を供給する構成部である。ICタグ500a〜500dの4つのICタグのそれぞれは、本発明の照合方法における記憶手段の一例であり、いわゆるRFID(Radio Frequency Identification)技術を利用して非接触で通信を行うデバイスである。
また、本実施の形態においては、吸着ノズル301の主な構成部に1つずつ配置されている。吸着ノズル301の各構成部については、図4を用いて後述する。
また、本実施の形態において、ICタグ500a〜500dの各ICタグ(以下、単に「各ICタグ」ともいう。)には、自身が配置されている構成部に関するデータである個別データが記憶されている。それぞれの個別データについては、図5〜図11を用いて後述する。
RW部701は、各ICタグに格納された情報の読み出し、および各ICタグへの情報の書き込みを行う構成部である。
各ICタグは、RW部701との通信により受け取った情報を記憶することおよび、記憶している情報をRW部701に送信することができる。
以上のように構成され向かい合って存在する前サブ設備110と後サブ設備120とは、それぞれ相互に独立してかつ並行してそれぞれの担当する基板への部品実装を実行する。
なお、部品実装機100は、ノズル照合装置800からの情報の受信およびノズル照合装置800への情報の送信を行うための通信機能を有している。
また、このように構成された部品実装機100において、RW部701による個別データの各ICタグからの読み出し、およびノズル照合装置800との情報のやり取り等の動作、およびこれら動作の制御は、CPU、記憶装置、および通信インタフェース等を備えるコンピュータによる情報処理により実現される。
ノズル照合装置800は、部品実装機100の装着ヘッド112に取り付けられた吸着ノズル301の適否を判断する装置である。
より詳しくは、装着ヘッド112に取り付けられている吸着ノズル301が、本来的に正しい構成部の組み合わせにより構成されているか否かを判断する装置である。
また、ノズル照合装置800は、吸着ノズル301の各構成部が、その吸着ノズル301が吸着し基板へ装着することが予定されている部品に適しているか否かを判断することもできる。
このノズル照合装置800は、データベース部807を備えており、データベース部807には上記判断を行うための情報を含む部品ライブラリが格納されている。部品ライブラリについては図15を用いて後述する。
なお、本実施の形態では、図1に示すように、ノズル照合装置800は部品実装機100とは別のハードウェアである。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されず、例えば、部品実装機100がノズル照合装置800備える構成であってもよい。
また、本図に示す部品実装機100は、具体的には高速装着機と呼ばれる部品実装機と多機能装着機と呼ばれる部品実装機のそれぞれの機能を併せ持つ実装機である。
高速装着機とは、主として、10mm角以下の部品を1点当たり0.1秒程度のスピードで装着する高い生産性を特徴とする設備である。
多機能装着機とは、10mm角以上の大型部品やスイッチ・コネクタ等の異型部品、QFP(Quad Flat Package)、BGA(Ball Grid Array)等のIC部品を装着する設備である。
即ち、この部品実装機100では、ほぼ全ての種類の部品(装着対象となる部品として、0.4mm×0.2mmのチップ抵抗から200mmのコネクタまで)を装着できるように設計されており、この部品実装機100を必要台数だけ並べることで、基板20の生産ラインを構成することができる。
図2は、部品実装機100の主要な内部構成を示す平面図である。
図2に示すシャトルコンベヤ118は、トレイ供給部117から取り出された部品を載せて、装着ヘッド112による吸着可能な所定位置まで運搬するための移動テーブル(移動コンベア)である。
ノズルステーション(ノズルST)119は、各種の部品に対応する交換用の吸着ノズル301が置かれるテーブルである。
前サブ設備110(後サブ設備120)を構成する2つの部品供給部115aおよび115bは、それぞれ、部品認識カメラ116を挟んで左右に配置されている。したがって、部品供給部115aまたは115bにおいて部品を吸着した装着ヘッド112は、部品認識カメラ116上を通過した後に、基板20の実装点に移動し、吸着した全ての部品を順次装着していく。また、このような一連の吸着および装着動作を1回以上繰り返すことで、1枚の基板20への部品実装を完了する。
なお、各サブ設備に向かって左側の部品供給部115aを「左ブロック」、右側の部品供給部115bを「右ブロック」とも呼ぶ。
また、装着ヘッド112による部品の吸着、移動、および吸着した部品の基板への装着という一連の動作の繰り返しにおける1回分の動作(吸着・移動・装着)、または、そのような1回分の動作によって実装される部品群を「タスク」と呼ぶ。
例えば、部品実装機100が備える装着ヘッド112により、1回のタスクによって実装される部品の最大数は10となる。
なお、ここでいう「吸着」には、ヘッドが部品を吸着し始めてから移動するまでの全ての吸着動作が含まれ、例えば、1回の吸着動作(装着ヘッド112の上下動作)で10個の部品を同時に吸着する場合だけでなく、複数回の吸着動作によって10個の部品を吸着する場合も含まれる。
また、本発明の照合方法の対象は、図2に示す構成の部品実装機で使用される吸着ノズルに限定されることはない。ヘッドに備わった吸着ノズルで基板に部品を装着する部品実装機であれば、どのような構成の部品実装機であっても、その部品実装機で使用される吸着ノズルを本発明の照合方法の対象とすることができる。
例えば、1枚の基板に対して2つのヘッドが交互に部品装着動作を行う交互打ちの部品実装機、またはロータリーヘッドのまわりに吸着ノズルが間欠回転するタイプのロータリー装着機であってもよい。
いずれの場合であっても、本発明の照合方法により、これら部品実装機で使用される吸着ノズルの構成部の組み合わせの正否等を適切に判断することができる。
図3は、装着ヘッド112の外観図である。図に示す装着ヘッド112は、「ギャングピックアップ方式」と呼ばれる作業ヘッドであり、独立して部品の吸着・装着を行う最大10個の吸着ノズル301が着脱可能である。
なお、図3において、10個の吸着ノズル301を、吸着ノズル301a〜301bと表現しており、これら吸着ノズル301a〜301bは、全て同じ種類の場合もあり、また、それぞれ別の種類の場合もある。
これら10個の吸着ノズル301a〜301bにより最大10個のフィーダ114それぞれから部品を同時に(装着ヘッド112の1回の上下動作で)吸着することができる。
具体的には、装着ヘッド112は、部品供給部115aおよび115bに移動し、部品を吸着する。このとき、例えば、一度に10個の部品を同時に吸着できないときは、吸着位置を移動させながら複数回、吸着上下動作を行うことで、最大10個の部品を吸着することができる。
図4は、実施の形態における吸着ノズル301の主要な構成部を示す分解斜視図である。なお、図では吸着ノズル301の主要な構成部のみ図示しており、その他の構成部については図示を省略している。
図4に示すように、吸着ノズル301は、図22に示す従来の吸着ノズル311と同様に、基体302、背景板303、バネ304、およびノズル先端部305を有している。
しかし、本実施の形態の吸着ノズル301は、従来の吸着ノズル311とは異なり、これら各構成部にICタグが配置されている。
具体的には、基体302にはICタグ500aが、背景板303にはICタグ500bが、バネ304にはICタグ500cが、ノズル先端部305にはICタグ500dが配置されている。
なお、背景板303は、上述のようにノズル先端部305が吸着した部品が透過認識される際の背景となる構成部である。そのため、図には表されていないが背景板303の下面は黒色であり、部品を下方から撮像する部品認識カメラ116が部品の輪郭を光学的に認識することができる。
また、バネ304は、部品装着の際の緩衝のための押しバネである。
また、図4に示す各構成部におけるICタグの配置位置は例示であり、図に示す以外の位置であっても構わない。部品実装の邪魔にならず、かつ、RW部701との通信が可能な位置であれば、各構成部においてどのような位置であってもよい。
例えば、RW部701が全てのICタグから一括して情報を取得し易いように、各ICタグ間の距離が最小となるように配置してもよい。または、RW部701との距離が最小となるように各ICタグを配置してもよい。
また、本実施の形態においては、図4に示す構成の吸着ノズル301を用いて本発明の照合方法の説明を行うが、本発明の照合方法の対象となる吸着ノズルは図4に示す構成以外のものであってもよい。
例えば、基体302、背景板303およびバネ304を含む吸着ノズル本体とノズル先端部305とで吸着ノズルが構成されていてもよい。
この場合は、吸着ノズル本体とノズル先端部305とにそれぞれICタグを配置し、それぞれのユニットID等を記憶される。これにより、実装作業の直前などに吸着ノズル本体とノズル先端部305との組み合わせの正否等を判断することができる。
つまり、本発明の照合方法は、吸着ノズルの構成部の数、種類等に限定されることなく実施可能であり、いずれの場合においても構成部の組み合わせの正否等を適切に判断することができる。
また、各ICタグには、上述のように、自身が配置されている構成部に関する個別データが記憶されている。図5〜図11を用いて各ICタグに記憶されている個別データについて説明する。
図5は、基体302に配置されたICタグ500aに記憶されている個別データのデータ構成例を示す図である。
図5に示すように、基体302の個別データは、データ項目として“エラーフラグ”、“個体番号”、“ユニットID”、“製品名”、“部品メンテナンス回数”、“Rev番号”、および“部品数”を有している。
“エラーフラグ”は、特性情報の一種であり、この基体302の使用の可否を示す可否情報を示すデータ項目である。具体的には、“0”であれば使用可であり、“1”であれば使用不可であることを意味する。
例えば作業者により、何らか要因、例えば、使用の開始から所定の期間が経過したことなどにより使用不可と判断される場合、作業者がRW部701と同様の書き込み手段を用いて“1”と書き込む。
なお、“エラーフラグ”は、後述する他の構成部の個別データにも含まれており、それぞれ対応する構成部の使用の可否を示している。
“個体番号”は、他の吸着ノズル301の各構成部も含め、全ての構成部の中で個体を識別するための番号を示すデータ項目である。つまり、図5に示す“S001”が付された構成部は、この基体302だけである。
“ユニットID”は、個体番号とは異なり、同種の構成部には共通して付される識別情報を示すデータ項目である。つまり、図5に示す“1005”が付された基体は、この基体302以外にも存在する。
また、基体302は、上述のように、吸着ノズル301の本体としての構成部である。そのため、このユニットID“1005”がいわば親IDであり、背景板303等の他の構成部のユニットIDに共通して含まれる識別情報である。
つまり、吸着ノズル301の基体302以外の構成部は、基体302を親とする子であると言える。
“製品名”は、ユニットID“1005”である基体302の製品名を示すデータ項目である。
“部品メンテナンス回数”は、基体302以外の各構成部のメンテナンス回数の総計を示す数字である。
“Rev番号”は、基体302のリビジョン(Revision)番号を示すデータ項目である。図5に示す例では、個体番号“S001”である基体302は、製品名“ZS1005”のリビジョン番号“2.1”の基体であることを示している。
なお、リビジョン番号とは、一種の特性情報であり、比較的小さな改善が施されていること、およびその改善の進度を示す情報である。具体的には、リビジョン番号の値が大きくなるほど、改善が多く重ねられていることを示す。
また、同一製品でリビジョン番号が異なる場合、材質や微細な形状等が異なるが、その違いを視認できない場合が多い。
“部品数”は、基体302以外の構成部の個数を示すデータ項目である。具体的には吸着ノズル301においてICタグが配置されている主要な構成部の数を示す値である。従って、本実施の形態においては、背景板303、バネ304およびノズル先端部305の“3”が記録されている。
なお、図5および以下で参照する図6、図8ならびに図9に示す吸着ノズル301において、説明の容易さからバネ304はノズル先端部305を内包し外部から視認可能なように図示されている。
しかし、吸着ノズル301の各構成部の配置位置はこのような配置位置でなくてもよく、例えば、バネ304が基体302の内部に収容されていてもよい。
図6は、背景板303に配置されたICタグ500bに記憶されている個別データのデータ構成例を示す図である。
図6に示すように、背景板303の個別データのデータ項目として、“エラーフラグ”、“個体番号”、“ユニットID”、“製品名”、および“Rev番号”があり、これらの意味は、上述の基体302の個別データにおける同名のデータ項目と同じ意味である。
ここで、背景板303のユニットIDは“1005−Ref”であり、上述の親ID“1005”を有している。
つまり、背景板303を含め、基体302以外の構成部のユニットIDにおいてハイフン以前の数字または記号は、親IDを示している。
これにより、この背景板303の親、つまり、この背景板303と組み合わされるべき基体は、“1005”をユニットIDとして有する基体302であることがわかる。
また、背景板303の個別データは、データ項目としてさらに“メンテナンス回数”、“光源条件”、“キズ具合”、および“汚れ具合”を有している。
“メンテナンス回数”は、この背景板303がメンテナンスされた回数を示すデータ項目である。
“光源条件”は、この背景板303を用いて部品の透過認識がされる場合に、光源に求められる条件を示すデータ項目である。つまり、光源条件は背景板303の特性を示す特性情報の一種である。図6に示す例では、“円形ライト”が必要であることを示している。
“キズ具合”は、この背景板303の下面のキズの度合いを示すデータ項目であり、1〜10の整数のいずれかが記録される。
図7は、吸着ノズル301がノズルSTに保持される様子、および背景板303の損傷の進行を模式的に示す図である。
図7(a)に示すように、吸着ノズル301がノズルSTに保持される場合、背景板303より下の部分がノズルSTに収納され、背景板303によりノズルSTに係止される。
吸着ノズルがノズルSTに戻されるごとに、上記動作が繰り返されることになり、ノズルSTに接触する背景板303の下面には使用回数に比例してキズが増えることになる。
このキズは、後述する部品認識カメラ116による光学的認識の結果に基づいて数値化され、キズ具合としてICタグ500bに書き込まれる。
“汚れ具合”も、同様に部品認識カメラ116による光学的認識の結果に基づいて異物の付着の度合い等が数値化され、1〜10の整数のいずれかがICタグ500bに書き込まれる。
以上説明した、背景板303の個別データのデータ項目のうち、図6に示すように“エラーフラグ”〜“Rev番号”は、基体302を親とする子としての構成部、すなわち、背景板303、バネ304、およびノズル先端部305が個別データとして共通して有する共通項目である。
また、これら共通項目のうち、“個体ID”、“ユニットID”、“製品名”、および“Rev番号”は各構成部において原則として変更のないものであり、各構成部の製造段階などにあらかじめ各ICタグに書き込まれる。
また、ノズル先端部305の個別データにおける“形状”および“材質”のように、各個別データにおいて原則として変更のないデータ項目についても同様に製造段階などにあらかじめ各ICタグに書き込まれる。
その他の“エラーフラグ”等のデータ項目については、これら構成部が組み上げられ、吸着ノズル301として部品実装に用いられてからRW部701によって書き込まれ、更新されていくこととなる。
なお、吸着ノズル301に背景板303の個別データが存在しているということは、この吸着ノズル301は背景板303を有しているという意味を持つ。つまり、この個別データが存在自体が、この吸着ノズル301は透過認識される部品の実装向きであるという特性を示している。
図8は、バネ304に配置されたICタグ500cに記憶されている個別データのデータ構成例を示す図である。
図8に示すように、バネ304の個別データはデータ項目として上述の共通項目を有している。
また、“ユニットID”は“1005−Spr”であり、“1005”が含まれている。つまり、このバネ304と組み合わされるべき基体は、“1005”をユニットIDとして有する基体302であることがわかる。
また、バネ304の個別データは、データ項目としてさらに“バネ力”を有している。バネ力は、特性情報の一種である弾性力を示す値である。また、単位はニュートン(N)である。
図9は、ノズル先端部305に配置されたICタグ500dに記憶されている個別データのデータ構成例を示す図である。
図9に示すように、ノズル先端部305の個別データはデータ項目として上述の共通項目を有している。
また、“ユニットID”は“1005−Noz”であり、“1005”が含まれている。つまり、このノズル先端部305と組み合わされるべき基体は、“1005”をユニットIDとして有する基体302であることがわかる。
また、ノズル先端部305の個別データは、データ項目としてさらに“形状”、“付属物”、“部品レンジ”、“キズ具合”、“汚れ具合”、および“ゴム劣化具合”を有している。
“形状”は、ノズル先端部305の吸着孔の形状を示すデータ項目である。図9に示す例においては“A”と記録されており、“A”は図10に示すように当該形状がアスタリスク型であることを意味する。
図10は、ノズル先端部の吸着孔の形状の例を示す図である。
図10に示すように、ノズル先端部の吸着孔の形状にはアスタリスク型、四角型および丸型等の種類があり、例えば、図10に示すように、例えばそれぞれの形状が“A”、“B”および“C”対応付けられる。
また、吸着孔の形状と、部品のサイズおよび重量等との関係により、その部品に適したノズル先端部であるか否かを判断することができる。
“材質”は、ノズル先端部305の材質を示すデータ項目である。
“付属物”は、ノズル先端部305が付属物として有する物を示すデータ項目である。図9に示す例においては“ゴムパッド”と記録されており、ノズル先端部305の先端に、部品の吸着時に部品およびノズル先端部305の損傷およびエアー漏れを防止するゴムパッドが取り付けられていることを意味する。
つまり、ノズル先端部305は、部品を損傷させ難いおよびエアー漏れを発生させ難いという特性を有していることを意味する。従って、“付属物”に示される情報は特性情報の一種である。
“部品レンジ”は、ノズル先端部305が吸着し基板に装着可能の部品の種類のレンジを示すデータ項目である。図9に示す例においては“1005”と記録されている。
ここで、縦×横が1.0mm×0.5mmである部品のことを“1005部品”といい、また、同様に縦×横が1.6mm×0.8mmである部品のことを“1608部品”という。
つまり、部品レンジが“1005”であるということは、このノズル先端部305は、サイズ的に1005部品および同程度のサイズの部品の実装に適していることを意味している。
図11は、部品レンジの例を示す図である。
図11に示す“親ID”は、ノズル先端部のユニットIDに含まれる親IDであり、図9に示すノズル先端部305のユニットIDにおける親IDは“1005”である。
また、例えば、親IDが“1608”であるノズル先端部はサイズ的におおよそ1005部品から1608部品までの部品の実装に適していることを示している。
また、逆に、例えば1608部品の実装には、図において斜線が付された矩形を部品レンジとして含むノズル先端部、つまり、“1608”、“MG”または“SL”を親IDとして含むユニットIDの吸着ノズルが適していることがわかる。
このように、部品レンジは、ノズル先端部305がどのようなサイズの部品の実装に適しているかを示す特性情報である。
また、ノズル先端部305の個別データにおける“キズ具合”および“汚れ具合”は、それぞれ、図6に示す、背景板303の個別データにおける“キズ具合”および“汚れ具合”と同様のデータ項目である。
つまり、“キズ具合”はノズル先端部305の損傷の度合いを示すデータ項目であり、“汚れ具合”は、異物の付着の度合いを示すデータ項目である。これらは部品認識カメラ116による光学的認識の結果に基づいて数値化され、1〜10の整数のいずれかがICタグ500dに書き込まれる。
“ゴム劣化具合”は、ノズル先端部305が上述の付属物としてゴムパッドを有している場合に記録されるデータ項目であり、ゴムパッドの劣化の度合いが記録されるデータ項目である。
具体的には、“キズ具合”等と同様に、部品認識カメラ116による光学的認識により得られる、ゴムパッド表面の凹凸の程度や、オリジナルの形状との差異の大きさ等が数値化され、1〜10の整数のいずれかがICタグ500dに書き込まれる。
または、ゴムパッドは部品の吸着回数に比例して劣化していくため、使用回数が記録される。
いずれの場合であっても、所定の数値を閾値として、ゴムパッドを継続して使用可能であるか否かの判断が可能である。
以上のように、本実施の形態の吸着ノズル301の各構成部は、それぞれの識別情報および特性情報を含む個別データを有している。
具体的には、各構成部に1つずつ配置されたICタグにそれぞれの個別データが書き込まれている。
ここで、例えば、背景板303、バネ304およびノズル先端部305のいずれかの個別データにおいてエラーフラグが“1”である場合、その吸着ノズル301は、使用不可の構成部を有していることになる。
このような場合に、基体302の個別データのエラーフラグを“1”に書き換えてもよい。これにより、基体302の個別データのみを参照すれば、少なくともその吸着ノズル301をそのままの構成部の組み合わせで使用すべきでないことは判断できる。
またこの場合は、背景板303、バネ304およびノズル先端部305がエラーフラグを有していなくてもよい。
また、各ICタグは、図5等に示すデータ項目の全てを記憶しておく必要はない。例えば、各ICタグに、自身が配置された構成部の個体番号、ユニットID、または製品名などの識別情報のみを記憶させておく。さらに、他の特性情報等を、識別情報と対応付けて、他の記憶装置、例えば、後述するノズル照合装置800のノズル情報格納部805に記憶させておく。
この場合、例えば、ノズル先端部305に配置されたICタグ500dから、識別情報であるユニットIDを読み出し、読み出したユニットIDに対応するデータ項目“材質”をノズル情報格納部805から読み出すことで、ノズル先端部305の特性情報の一種である“材質”が何であるかを特定することができる。
また、上述のように、全ての構成部は識別情報であるユニットIDを有しており、基体302のユニットIDを親IDとし、他の構成部は、親IDにそれぞれの記号を加えたユニットIDを有している。
つまり、これらユニットIDを確認することで、吸着ノズル301が、正しい各構成部の組み合わせで組み立てられているか否かを判断することができる。
図12は、構成部の正しい組み合わせの例を示す図である。
図12(a)は、実施の形態の吸着ノズル301における構成部の組み合わせを示す図である。図12(a)に示すように、吸着ノズル301における子としての構成部である背景板303、バネ304およびノズル先端部305のそれぞれのユニットIDは、親としての構成部である基体302のユニットID“1005”を有している。
また、ユニットIDは、数字ではなく文字で表される場合もある。
図12(b)は、構成部の正しい組み合わせの別の例を示す図である。図12(b)に示す組み合わせにおいても、基体以外の各構成部のユニットIDは、基体のユニットIDである“M”を含んでいる。
また、ユニットIDが“M”である基体に組み合わせるべき背景板として正しい背景板は1種類に限られず、例えば、図12(b)に示す“M−Ref2”以外の“M−Ref1”または“M−Ref3”等であってもよい。
このことは、バネおよびノズル先端部についても同様であり、また、図12(a)に示す組み合わせの例においても同様である。
また、これらユニットIDおよび特性情報を含む各構成部の個別データは、それぞれのICタグからRW部701によって読み出され、ノズル照合装置800に送信される。
また、部品認識カメラ116は、各構成部のキズ等を認識し、所定の手段によって数値化されたキズ等の度合いが、RW部701によって各構成部に配置されたICタグに書き込まれる。
図13は、RW部701および部品認識カメラ116の配置例を示す図である。なお、図示および説明の簡略化のために、各吸着ノズル301の構成部のうち、ノズル先端部305およびそれらに配置されたICタグ500dのみを図示し、ICタグ500dとRW部701との間の通信について説明する。以下の説明は、RW部701の通信相手が他のICタグ、つまり、ICタグ500a、ICタグ500bまたはICタグ500cであっても同様である。
RW部701は、上述のように、各ICタグから情報を読み出すことができる。具体的には、読み出しコマンドを含む所定周波数の電波を複数のノズル先端部305の各ICタグ500dに送信し、各ICタグに記憶されている情報を含む所定周波数の電波を各ICタグ500dから受信することができる。また、RW部701は、各ICタグ500dと通信可能な位置に配置される。
例えば、RW部701は、図13(a)に示すように、フライングヘッド部に設けられ、このフライングヘッド部が移動しながらRW部701が各ICタグ500dに記憶されている情報を読みだす、または各ICタグ500dに情報を書き込む。
また、部品認識カメラ116がRW部701と同じくフライングヘッド部に設けられる場合がある。この場合、RW部701が各ICタグ500dと通信するために移動している間に、各ノズル先端部305が吸着したそれぞれの部品を認識するだけでなく、部品を吸着していないノズル先端部305および背景板303のキズおよび異物の付着等を下方から認識することができる。
また、図13(b)に示すように、RW部701を、図2に示す部品認識カメラ116と同様に、装着ヘッド112が通過する空間の下に固定的に配置してもよい。
この場合、複数の吸着ノズル301が取り付けられた装着ヘッド112がRW部701上を通過する際に、それぞれのノズル先端部305に取り付けられたICタグ500dから情報を読み取ること、および、それらICタグ500に情報を書き込むことができる。
また、この場合、部品認識カメラ116は、図13(a)の場合と同様に、部品を認識することに加え、部品認識カメラ116上方を通過するノズル先端部305等の構成部のキズ等を認識することができる。
また、RW部701は、図13(c)に示すように、それぞれの吸着ノズル301に対応して装着ヘッドに設けられていてもよい。
また、図13(d)に示すように、装着ヘッド側の両端部に設けられていてもよい。この場合、1つのICタグ500dが発信する電波は、2つのRW部701が受信することができる。
そのため、2つのRW部701のそれぞれが電波を受信する方向から、電波の発信元のICタグ500dの位置を特定することができる。
また、RW部701は、図13(a)、図13(c)および図13(d)に示すように、装着ヘッドまたは装着ヘッドの近傍に設置されなくてもよく、例えば、図13(e)に示すように、ノズルSTに設けられていてもよい。
図13(e)に示す例では、ノズルSTにおいて、各ノズル先端部305が収納される位置の近傍に、RW部701がそれぞれ配置されている。
なお、部品実装機100は、ノズルSTのどの位置の吸着ノズル301が、装着ヘッド112のどの位置に取り付けられたかを示す情報を有している。
そのため、部品実装機100は、装着ヘッド112に取り付けられた複数の吸着ノズル301の中から、あるRW部701が取得した情報に対応する吸着ノズル301を特定することができる。
また、例えば、ある背景板303のICタグ500bから情報を取得した場合、装着ヘッド112におけるそのICタグ500bの位置は、当該情報をどのRW部701が取得したか、RW部701がどの位置で取得したか、または、図13(d)に示すように2つのRW部701の電波の受信方向により特定される。
同様に、他のICタグの位置も特定される。これにより、取得された個別データが、どの吸着ノズル301の構成部の個別データであるのかが特定される。
つまり、ノズル照合装置800は、RW部701により取得された個別テータと、どの位置の吸着ノズル301の構成部の個別データであるのかを示す情報とを部品実装機100との通信により取得することができる。
例えば、装着ヘッド112の前列の左端の吸着ノズル301は、(“1005”、“1005−Ref”、“1005−Spr”、“1005−Noz”)という組み合わせであることを示す情報が、その他の特性情報等とともに部品実装機100からノズル照合装置800へ送信される。
または、各個別データと、“前列の左端”を示す情報とがノズル照合装置800に送信され、ノズル照合装置800は、各個別データがどの位置の吸着ノズル301に属するかを特定することができる。
つまり、ノズル照合装置800は、各吸着ノズル301が正しい構成部の組み合わせで構成されているか否かを判断することができることに加え、部品との適合性も判断することができる。
具体的には、後述する部品ライブラリと、各構成部の特性情報とを照合することにより、ある吸着ノズル301のそれぞれの構成部が、当該吸着ノズル301に吸着されることが予定されている部品と適合するか否かを判断することができる。
なお、各ICタグが受信する伝送媒体としては、電波だけに限られず、電磁波、赤外線(光通信)やその他の媒体であってもよい。
図14は、実施の形態におけるノズル照合装置800の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
ノズル照合装置800は、上述のように、装着ヘッド112に取り付けられた吸着ノズル301が、正しい構成部の組み合わせであるか否か等を判断する装置である。
ノズル照合装置800は、図14に示すように、演算制御部801、表示部802、入力部803、メモリ804、ノズル情報格納部805、通信I/F部806、データベース部807、および判断部808を備えている。
演算制御部801は、ノズル照合装置800を操作する操作者からの指示等に従って、メモリ804に必要なプログラムをダウンロードして実行し、その実行結果に従って各構成要素を制御する構成部である。具体的には、CPUや数値プロセッサ等により実現される。
表示部802は、情報を表示する構成部であり、CRT(Cathode−Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等により実現される。
入力部803は、操作者がノズル照合装置800に指示等を入力するための構成部であり、キーボードやマウス等により実現される。つまり、表示部802と入力部803とにより、部品実装機100と操作者とが演算制御部801による制御の下で対話することができる。
メモリ804は、演算制御部801による作業領域を提供する構成部であり、RAM(Random Access Memory)等により実現される。
ノズル情報格納部805には、部品実装機100が有する全吸着ノズル301(装着ヘッド112に取り付けられておらず、ノズルST119に保持されている吸着ノズル301も含む)についてのノズルデータが格納されている。
これらノズルデータは、例えば、予め上記の全吸着ノズル301の各ICタグからそれぞれの個別データが読み出され、吸着ノズル301ごとにノズルデータとしてノズル情報格納部805に格納される。
なお、各吸着ノズル301についてのノズルデータは、図16等を用いて説明する照合処理の際に取得できるため、この照合処理の際に取得した個別データをノズルデータとしてノズル情報格納部805に蓄積していくようにしてもよい。
通信I/F部806は、本発明のノズル照合装置における構成部情報取得手段の一例であり、部品実装機100との通信を行うための構成部である。具体的には、LAN(Local Area Network)アダプタ等により実現される。
データベース部807は、ノズル照合装置800による吸着ノズル301の照合処理に用いられる各種データ(実装点データ807a、部品ライブラリ807b、及び実装機情報807c等)を記憶する記憶装置である。具体的にはハードディスク等により実現される。
実装点データ807aは、部品実装機100において基板に実装される部品ごとの、部品名、実装位置、および、装着ヘッド112のどの位置の吸着ノズル301で吸着し基板に装着されるかを示す情報等が記録されたデータである。
なお、この実装点データ807aに基づき、ある部品実装基板を生産する際のタスクごとの部品群の構成が特定される。
部品ライブラリ807bは、部品実装機100において基板に実装される部品の名称、サイズ、および、部品ごとの吸着条件等が記録されたデータである。部品ライブラリ807bについては図15を用いて後述する。
実装機情報807cは、部品実装機100のフィーダ114の並び順など、ノズル照合装置800と通信する部品実装機に関する情報が記録されたデータである。
なお、データベース部807には、どの部品が、装着ヘッド112のどの取り付け位置の吸着ノズル301に吸着されることが予定されているか等の、ノズル照合に係る処理に必要な情報が格納されていればよく、判断部808が、必要なときにこれら情報を読み出すことができればよい。
つまり、複数種のデータが1ファイルであるか、個別のファイルであるか等のデータの持ち方はどのようなものであってもよい。
また、データベース部807に格納されているこれら各種のデータは、必要なときに例えば部品実装機100から通信網経由で取得してもよい。
判断部808は、部品実装機100においてRW部701が読み出した各構成部のユニットIDに基づき、各吸着ノズル301が正しい構成部の組み合わせで構成されているか否かを判断する処理部である。つまり、各構成部の識別情報の組み合わせが正しい組み合わせであるか否かを判断する処理部である。
また、判断部808は、データベース部807に格納されている部品に関する部品情報を取得し、部品実装機100においてRW部701が読み出した情報と照合することで、各吸着ノズル301が部品の吸着または基板への装着に適した構成部の組み合わせであるか否かを判断することもできる。
具体的には、部品情報として、データベース部807に格納されている部品ライブラリ807bに含まれる吸着条件および認識条件等が判断部808により取得される。
さらに、判断部808は、各吸着ノズルの各構成部の個別データを参照し、各構成部が使用可能であるか否かを判断することができる。
図15は、実施の形態における部品ライブラリ807bのデータ構成例を示す図である。
図15に示すように、部品ライブラリ807bは、部品ごとの部品情報が記録されているデータである。また、データ項目として、部品名、サイズ、および重量等の基本的な項目の他に“吸着条件”、“認識条件”、“ノズル材質”、および“ライトニング”を有している。
例えば、部品Aについての吸着条件として“パッド要”と記録されている。これは、部品Aを基板に実装する吸着ノズル301のノズル先端部305にはゴムパッド等のパッドが取り付けられていることが要求されることを示している。
また、部品Cについての認識条件として“背景板不要”と記録されている。これは、部品Cは透過認識ではなく、例えば、反射認識される部品であるため、部品Cを基板に実装する吸着ノズル301には背景板303が備えられている必要がないことを示している。
また、部品Cおよび部品Dについてのノズル材質として“NA”が記録されている。これは、部品Cおよび部品Dを基板に実装する吸着ノズル301のノズル先端部305の材質は問わないことを示している。
次に、図16〜図20を用いて実施の形態の部品実装システムの動作の流れを説明する。具体的には、図16〜図19を用いて、部品照合に係る各処理の動作の流れを説明し、図20を用いて、これら処理を複合して行う場合の部品実装システムの動作の流れを説明する。
(第1の動作について)
図16は、実施の形態におけるノズル照合に係る第1の動作の流れを示すフローチャートである。
具体的には、図16は、ノズル照合装置800が、部品実装機100が備える吸着ノズル301における構成部の組み合わせが正しいか否かを判断する際の動作の流れを示している。
なお、説明の明確化のため、1つの吸着ノズル301について、その構成部の組み合わせが正しいか否かを判断する際の動作について説明する。また、後述する図17〜図20を用いた各説明においても同様に1つの吸着ノズル301を対象として説明を行う。
最初に、ノズル照合装置800の判断部808は、部品実装機100のRW部701によって各ICタグから読み出された個別データからそれぞれのユニットIDを取得する(S1)。
これらユニットIDの中から基体302のユニットID、つまり、他の構成部にとっての親IDを特定し、他の構成部ユニットIDに当該親IDが含まれるか否かを確認する。
これにより、これらユニットIDの組み合わせが正しい組み合わせであるか否か、すなわちこれら構成部の組み合わせが正しいか否かを判断する(S2)。
例えば、ノズル照合装置800は、特定の製品名を有する個別データのユニットIDを親IDと特定することができる。または、ハイフンを含まないユニットIDを親IDと特定することができる。
または、部品実装機100が、基体302の個別データであることを特定し、その旨を示すフラグを当該個別データに付加し、ノズル照合装置800に送信する。ノズル照合装置800は当該フラグが付された個別データを参照することでユニットIDを親IDと特定することができる。
つまり、ノズル照合装置800は、様々な方法のうちのいずれかにより複数のユニットIDの中から親IDを特定することができる。またこの親IDの特定は判断部808によってなされる。
このようにして特定された親IDが他の全ての構成部のユニットIDに含まれていれば、判断部808は、これらユニットIDの組み合わせは正しいと判断し(S2でYes)、当該吸着ノズル301についての組み合わせ正否判断に係る一連の処理は終了する。その後、例えば、他の吸着ノズル301について構成部の組み合わせの正否判断を行う。
また、いずれかの構成部のユニットIDに特定された親IDが含まれていない場合、これらユニットIDの組み合わせは正しくないと判断する(S2でNo)。
この場合、演算制御部801は、判断部808の判断結果を受け、親IDが含まれていないユニットIDと当該吸着ノズル301は構成部の組み合わせが正しくない旨の警告とを表示部802に表示する。
また、部品実装機100が実装に係る動作を開始した後に当該判断がされた場合は、演算制御部801は上記警告等を部品実装機100に送信し、稼動を停止する指示を行う。または上記警告等を受け取った部品実装機100はその警告等を受け取ったことにより稼動を停止する(S3)。
部品実装機100を操作する作業者は、当該吸着ノズル301の交換等を行い、部品実装を再開させる。または、部品実装機100自身が、ノズルST119保持されている複数の吸着ノズル301の中から、同種の吸着ノズル301を選択し、選択された吸着ノズル301に交換する自動交換が行われる。
また交換後の吸着ノズル301についても上記の正否判断に係る一連の処理が行われる。
このように、ノズル照合装置800は、吸着ノズル301について、構成部の識別情報の組み合わせが正しいか否か、つまり、構成部の組み合わせが正しいか否かを判断することができる。
これにより、正しくない構成部の組み合わせで構成された吸着ノズル301が使用される可能性を排除することができる。
従って、このような吸着ノズル301が使用されることにより生じる吸着ミス等の発生を防ぐことができ、部品実装機100に部品実装基板の生産を精度よくかつ効率的に行わせることができる。
なお、上記判断処理は、部品実装機100が実装動作を開始する前であっても、開始後であっても行うことができる。
例えば、図13(e)に示すような態様で、RW部701がノズルST119に設けられている場合、実装動作を開始する前にノズルST119に保持されている全ての吸着ノズルについて構成部の組み合わせの正否を判断できる。
この場合、実装動作中に、構成部の組み合わせが正しくないことによる吸着ノズル301の交換を行うことがなく、効率的に部品実装を行うことができる。
また、例えば、図13(a)に示すような態様で、RW部701がノズルST119に設けられている場合、実装動作の開始後、吸着ノズル301が部品を吸着する直前にその吸着ノズル301について構成部の組み合わせの正否を判断できる。
この場合、吸着ノズル301が実際に部品実装に使用される直前に構成部の組み合わせの正否を判断することになり、正しくない組み合わせで構成された吸着ノズル301の使用を確実に防止できる。
また、部品実装機100が実装動作を開始する前に全ての吸着ノズルについて構成部の組み合わせの正否を判断し、かつ、吸着ノズル301が部品を吸着する直前にその吸着ノズル301について構成部の組み合わせの正否を判断してもよい。
つまり、吸着ノズル301が部品を吸着する前に、構成部の組み合わせの正否判断を複数回行ってもよい。こうすることで、正しくない組み合わせで構成された吸着ノズル301の使用をより確実に防止できる。
このような動作のタイミングについては、以下に述べる第2の動作〜第4の動作においても同じであり、部品実装機100の生産効率等を考慮して適宜決定すればよい。
また、構成部の組み合わせが正しい組み合わせであるか否かを判断する際、親ID、つまり基体302のユニットIDが他の構成部のユニットIDに含まれているか否かによって判断するのではなく、他の基準で判断してもよい。
例えば、親IDの一部が、他の構成部のユニットIDに含まれているかという基準でもよい。また、例えば、基体302の個体データに、この基体302と組み合わせるべき構成部のユニットID等の識別情報を含ませておき、この情報を利用して構成部の組み合わせが正しいか否かを判断してもよい。
また、例えば、基体302以外の各構成部が、親となるべき基体302のユニットIDを自身のユニットIDとは別に個別データに記録しておき、この情報を利用して構成部の組み合わせが正しいか否かを判断してもよい。
また、各構成部のユニットIDに親子関係がなくてもよく、同列に扱える番号または記号等であってもよい。例えば、全ての構成部のユニットIDが所定の桁数の数字のみで構成されていてもよい。
また、吸着ノズル301の構成部の組み合わせの正否等を判断するために、各構成部の識別情報に共通項がある等の規則性がなくてもよい。このような場合であっても、構成部の正しい組み合わせを示す情報が存在していれば、構成部の組み合わせの正否判断は可能である。
例えばノズル照合装置800が構成部の正しい組み合わせを示す情報を記憶しておけば、吸着ノズル301の各構成部のユニットIDが相互関係において規則性のないものであっても、組み合わせが正しいか否かの判断は可能である。
また、個体を識別する個体番号も識別情報の一種である。そのため、例えば、基体302の個体番号の一部が、他の構成部の個体番号またはユニットIDに含まれているか否かにより判断してもよい。
要するに、それぞれの識別情報そのものを利用して、または、他の情報を介してそれぞれの識別情報が所定の関係を有するか否かを判断することができればよく、これにより各構成部の組み合わせが正しいか否かの判断が可能である。
(第2の動作について)
次に、図17を用いて、実施の形態の部品実装システムにおけるノズル照合に係る第2の動作の流れについて説明する。
図17は、実施の形態におけるノズル照合に係る第2の動作の流れを示すフローチャートである。
具体的には、図17は、部品実装システムにおける吸着ノズル301の各構成部の不具合の確認に係る動作の流れを示している。
なお、本実施の形態においては、背景板303およびノズル先端部305の不具合である汚れまたはキズの度合いを確認する。
部品実装機100において、装着ヘッド112が、ノズルST119に吸着ノズル301を返却する際、または、ノズルST119から吸着ノズル301取り出して部品吸着位置まで戻る際(S10でYes)、部品認識カメラ116により、背景板303およびノズル先端部305の汚れおよびキズが認識される(S12)。
または、吸着ノズル301が使用されてから一定の期間の経過ごとに、もしくは、吸着ノズル301が部品実装に用いられた回数が一定の回数を超過するごとに(S11でYes)、部品認識カメラ116により、背景板303およびノズル先端部305の汚れおよびキズが認識される(S12)。
この認識により、背景板303またはノズル先端部305の汚れまたはキズの存在が確認された場合(S13でYes)、所定の数値化(1〜10のいずれかの整数)がなされる。
さらに、その確認された汚れまたはキズが存在する背景板303またはノズル先端部305に配置されたICタグ500bまたはICタグ500dに、“汚れ具合”または“キズ具合”としてその数値が書き込まれる(S14)。
なお、“汚れ具合”または“キズ具合”として既に数値が存在する場合、上記数値が上書きされることにより、“汚れ具合”または“キズ具合”は更新される。
ノズル照合装置800は、RW部701を介し、この更新後の個別データを受け取り、“汚れ具合”または“キズ具合”の数値が所定の閾値以上、例えば6以上であれば(S15でYes)、RW部701に指示し、当該個別データの“エラーフラグ”を“0”から“1”に書き換えさせる(S16)。
つまり、構成部の不具合の度合いを検出し、その度合いが閾値以上であれば当該構成部は使用不可とされる。
なお、このような“汚れ具合”または“キズ具合”の数値が閾値以上であるか否かの判断は、部品実装機100が行ってもよい。また、所定の閾値は、“汚れ具合”および“キズ具合”で異なっていてもよく、それぞれ実験値および経験則等から認識ミスおよび吸着ミス等が発生しないような値に決定すればよい。
例えば、ノズル先端部305にはんだ等の異物が付着しており、“汚れ具合”が“6”である場合、ICタグ500dに“汚れ具合”として“6”が書き込まれ、エラーフラグは“1”に変更される。つまり、ノズル先端部305は使用不可とされる。
この場合、この吸着ノズル301は使用すべきでないため、部品実装機100またはノズル照合装置800、もしくは双方は、ノズル先端部305が使用不可であることにより吸着ノズル301は使用不可である旨の警告を自身の表示部に表示する。
なお、背景板303およびノズル先端部305のいずれにも汚れまたはキズがない場合(S13でNo)、および、これら構成部に汚れまたはキズが存在するが、その度合いを示す“汚れ具合”または“キズ具合”が閾値未満である場合(S15でNo)、当該吸着ノズル301についての不具合確認に係る一連の処理は終了する。その後、例えば、他の吸着ノズル301について不具合の確認を行う。
その後、作業者により、または自動的に警告対象の吸着ノズル301が同種の他の吸着ノズル301に交換される。また交換後の吸着ノズル301についても上記の不具合確認に係る一連の処理が行われる。
なお、不具合確認の対象は、背景板303およびノズル先端部305に限られず、基体302およびバネ304をその対象としてもよい。この場合、部品認識カメラ116が認識可能な範囲で、基体302およびバネ304の汚れ等を認識してもよい。そのためにこれら構成部を観察可能な位置に部品認識カメラ116を移動させる、または、別途これら構成部の不具合認識用のカメラを設けてもよい。
また、この場合は、基体302およびバネ304の個別データに“汚れ具合”等のデータ項目を設ければよい。
また、確認する不具合の種類も汚れおよびキズ以外でもよく、例えば、欠けや、変形等も吸着ミス等の発生を誘発する要因であるため、これらの有無および度合いを部品認識カメラ116に認識させてもよい。
また、ノズル先端部305の付属物であるゴムパッドについても同様に、汚れ、キズを部品認識カメラ116に認識され数値化された度合い(1〜10の整数のいずれか)が、RW部701によりノズル先端部305の個別データに“ゴム劣化具合”として記録される。
または、RW部701は、上述のようにノズル先端部305の使用回数を“ゴム劣化具合”として書き込み、所定の閾値以上になった場合に、エラーフラグが“1”とされる。
また、上述の動作の流れの中で、ノズル照合装置800は、基体302の個別データにおける“部品メンテナンス回数”を取得し、所定の閾値以上である場合、RW部701に基体302のエラーフラグを“1”に更新してもよい。
“部品メンテナンス回数”は、上述のように、基体302以外の各構成部のメンテナンス回数の総計を示す数字である。図5に示す例では、バネ304が2回交換されていることを示している。
そのため、“部品メンテナンス回数”は、基体302を本体とする吸着ノズル301全体としてのメンテナンスの多さを示す一種の特性情報である。従って“部品メンテナンス回数”が所定の閾値を超えた場合、当該吸着ノズル301の使用は一旦停止すべきと考えられることからエラーフラグを“1”にしてもよい。
また、エラーフラグが“1”となり、使用不可となった構成部について、再利用が可能となった構成部については、エラーフラグを“0”に戻してもよい。
例えば、ノズル先端部305に多量のはんだが付着したことにより、“汚れ具合”が所定の閾値以上になり、エラーフラグが“1”となることが考えられる。
この場合、その付着したはんだを除去することで、このノズル先端部305は再び使用可能となる。そのためこの場合、例えば、作業者がRW部701と同様の書き込み手段を用いて、ノズル先端部305のICタグ500dのエラーフラグを“0”に変更する。
または、エラーフラグが“1”のまま、部品実装機100に戻してもよい。この場合、上述の汚れまたはキズの認識(S12)において、汚れまたはキズが認識されなかった場合(S13でNo)、その汚れまたはキズが認識されなかった構成部のエラーフラグを“0”に書き換えるようRW部701を制御することで、汚れ等の瑕疵がなくなった構成部はデータ的にも使用可能とされる。
また、汚れまたはキズが認識された場合であっても、所定の閾値未満(S15でNo)である場合も同様に、当該構成部のエラーフラグを“0”に書き換えるようRW部701を制御することで、汚れ等の瑕疵がなくなった構成部はデータ的にも使用可能とされる。
つまり、図17に示すフローでは、不具合の度合いが閾値以上であればエラーフラグを“1”とするフローであるが、さらに、不具合がない場合、および不具合の度合いが閾値未満である場合には積極的にエラーフラグ“0”を書き込むようRW部701を制御してもよい。
この場合、作業者はエラーフラグを“0”に書き換える手間がなく作業負担が軽減する。また、いったんは使用不可とされた構成部の再利用を効率よく遂行できる。
このように、部品実装機100およびノズル照合装置800は、吸着ノズル301について、各構成部に不具合が発生している場合、その度合いが所定の閾値以上である場合、その吸着ノズルの使用を防ぐことができる。
これにより、このような不具合のある吸着ノズル301が使用されることにより生じる認識ミスおよび吸着ミス等の発生を防ぐことができ、部品実装機100に部品実装基板の生産を精度よくかつ効率的に行わせることができる。
(第3の動作について)
次に、図18を用いて、実施の形態の部品実装システムにおけるノズル照合に係る第3の動作の流れについて説明する。
図18は、実施の形態におけるノズル照合に係る第3の動作の流れを示すフローチャートである。
具体的には、図18は、ノズル照合装置800が、使用不可である吸着ノズルを部品実装機100に使用させないよう制御する際の動作の流れを示している。
最初に、ノズル照合装置800の判断部808は、RW部によって読み出された吸着ノズル301の各構成部の個別データに含まれるエラーフラグを参照する(S20)。
つまり、基体302、背景板303、バネ304、およびノズル先端部305のエラーフラグが参照され、いずれかが“1”であれば(S21でYes)、当該構成部が使用不可であることにより吸着ノズル301は使用不可である旨の警告を表示部802に表示する。
また、部品実装機100が実装に係る動作の開始後に上記警告がなされた場合は、演算制御部801は上記警告を部品実装機100に送信し、稼動を停止する指示を行う。または上記警告を受け取った部品実装機100はその警告を受け取ったことにより稼動を停止する。
その後、作業者により、または自動的に警告対象の吸着ノズル301が同種の他の吸着ノズル301に交換される。また交換後の吸着ノズル301についても上記の使用可否判断に係る一連の処理が行われる。
このように、ノズル照合装置800は、吸着ノズル301について、構成部の単位で使用か可能であるか否かを判断し、いずれかの構成部が使用不可である場合、その吸着ノズルの使用を防ぐことができる。
これにより、例えば、キズが多く、透過認識の背景として適切ではなくなっている背景板303を有する吸着ノズルが使用される可能性を排除することができる。
従って、このような吸着ノズル301が使用されることにより生じる認識ミス等の発生を防ぐことができ、部品実装機100に部品実装基板の生産を精度よくかつ効率的に行わせることができる。
(第4の動作について)
次に、図19を用いて、実施の形態の部品実装システムにおけるノズル照合に係る第4の動作の流れについて説明する。
図19は、実施の形態におけるノズル照合に係る第4の動作の流れを示すフローチャートである。
具体的には、図19は、ノズル照合装置800が、部品と吸着ノズル301との適合性を判断する際の動作の流れを示している。
最初に、ノズル照合装置800は、部品実装機100のRW部701によって各ICタグから読み出された個別データからそれぞれの特性情報を取得する(S30)。
例えば、背景板303の個別データから光源条件である“円形ライト”(図6参照)を示す情報が取得される。また、ノズル先端部305の個別データから“材質”の“セラミック”および“付属物”の“ゴムパッド”(図9参照)を示す情報が取得される。
判断部808は、実装点データ807a等から、当該吸着ノズル301が吸着することが予定されている部品を特定する。さらに、部品ライブラリ807bから当該部品の部品情報である吸着条件等を読み出す。
判断部808は、個別データから取得した特性情報と、部品ライブラリ807bから読み出した部品情報とに基づき、当該吸着ノズル301の構成部の組み合わせが、当該部品の基板への実装に適切な組み合わせであるか否かを判断する(S31)。
例えば、当該部品が図15に示す部品Aである場合、背景板303の特性情報のうちの“光源条件”は“円形ライト”であり、部品Aについての部品情報の一種である“ライトニング”は同じく“円形ライト”である。
また、当該吸着ノズル301は、背景板303を有していることから、部品Aについての部品情報の一種である認識条件である“背景板要”は満たしている。
また、ノズル先端部305の特性情報のうちの“材質”は“セラミック”であり、部品Aについての部品情報の一種である“ノズル材質”は同じく“セラミック”である。
さらに、ノズル先端部305の特性情報のうちの“付属物”は“ゴムパッド”であり、部品Aについての部品情報の一種である吸着条件である“パッド要”を満たしている。
このように、当該吸着ノズル301の各構成部の特性情報は、部品Aの部品情報に示される各種条件を全て満たしている。従ってこの吸着ノズル301の構成部の組み合わせは、部品Aの基板への実装に適した組み合わせであると判断され(S31でYes)。この吸着ノズル301についての適合性判断に係る一連の処理は終了する。その後、例えば、他の吸着ノズル301について適合性判断を行う。
なお、ある吸着ノズル301のいずれかの構成部の特性情報が、その特性情報に対応する部品情報に示される条件を満たさない場合、その吸着ノズル301は当該部品の基板への実装に適した組み合わせではないと判断され(S31でNo)、条件を満たさない構成部を示す情報と、当該吸着ノズル301は構成部の組み合わせが当該部品の実装に適していない旨の警告とを表示部802に表示する。
また、部品実装機100が実装に係る動作の開始後に当該判断がされた場合は、演算制御部801は上記警告等を部品実装機100に送信し、稼動を停止する指示を行う。または上記警告等を受け取った部品実装機100はその警告等を受け取ったことにより稼動を停止する(S32)。
その後、作業者により、または自動的に警告対象の吸着ノズル301が同種の他の吸着ノズル301に交換される。また交換後の吸着ノズル301についても上記の適合性判断に係る一連の処理が行われる。
このように、ノズル照合装置800は、吸着ノズル301について、その構成部の組み合わせが、その吸着ノズル301が吸着することが予定されている部品に適しているか否かを判断することができる。
これにより、吸着ノズル301と部品との適合性がないまま部品が基板に実装されることを防ぐことができる。
従って、このような、吸着ノズル301の構成部と部品との相性の悪さを起因とする、吸着ミスおよび部品とノズル先端部305との固着等の発生を防ぐことができ、部品実装機100に部品実装基板の生産を精度よくかつ効率的に行わせることができる。
(第1〜第4の動作の複合動作)
次に、図20を用いて、実施の形態の部品実装システムにおけるノズル照合に係る動作の全体の流れについて説明する。
図20は、実施の形態におけるノズル照合に係る動作の全体の流れを示すフローチャートである。
なお、図17を用いて説明した第2の動作、すなわち、各構成部の不具合の確認は既になされており、各構成部の個別データにおいてエラーフラグの更新はなされていると想定する。
最初に、ノズル照合装置800の判断部808は、部品実装機100のRW部701によって各ICタグから読み出された吸着ノズルの各構成部の個別データを取得し、各個別データからからそれぞれのユニットID等の情報を取得する(S40)。
次に、取得したこれらユニットIDの組み合わせが正しい組み合わせであるか否か、すなわちこれら構成部の組み合わせが正しいか否かを判断する(S41)。
これら構成部の組み合わせが正しいと判断した場合(S41でYes)、各構成部のエラーフラグが“1”であるか否かが判断される。つまり、いずれかの構成部が使用不可となっているか否かが判断される(S42)。
いずれのエラーフラグも“1”ではない場合(S42でYes)、取得した各構成部の特性情報と、当該吸着ノズル301が吸着することが予定されている部品の部品情報とにも基づき、当該吸着ノズル301の構成部の組み合わせが、当該部品の基板への実装に適切な組み合わせであるか否かを判断する(S43)。
このような、構成部の組み合わせの正否判断(S41)、各構成部の使用可否判断(S42)、および当該組み合わせの部品に対する適合性判断(S43)という3種類の判断が複数の吸着ノズル301、例えば、その時点で装着ヘッド112に取り付けられている吸着ノズル301について行われる。
また、これら3種類の判断のうち、いずれかが“No”の判断結果となる場合(S41でNo、S42でNo、またはS43でNo)は、ノズル照合装置800または部品実装機100もしくは双方の表示部に、使用できない吸着ノズル301および構成部を示す情報と、当該吸着ノズル301は構成部の組み合わせが正しくない等の旨の警告が表示される。
また、部品実装機100は、ノズル照合装置800の指示により、または、上記警告等をノズル照合装置800から受け取ったことにより稼動を停止する(S46)。
その後、警告対象の吸着ノズル301の交換、または組み合わせが正しくないと判断された構成部の交換等のメンテナンスが作業者等により行われる。また、メンテナンスにより新たに部品実装機100に保持されることとなった吸着ノズル301についても上記の3種類の判断がなされる。
以上のような吸着ノズル301についての3種類の判断が例えばタスクごとに行われ、当該タスクで使用される吸着ノズル301のいずれもが3種類の判断をクリアすると(S43でYes)、これら吸着ノズル301はそれぞれ部品を吸着し基板に装着する(S44)。
部品実装機100の部品実装基板の生産量が、所定の量に到達しない間(S45でNo)以上の動作が繰り返され、生産量が所定の量に到達すると、つまり生産を終了すると(S45でYes)、部品実装システムにおけるノズル照合に係る動作も終了する。
このように、ノズル照合装置800は、吸着ノズル301について、その構成部の組み合わせの正否判断、各構成部の使用可否判断、および当該組み合わせの部品に対する適合性判断を重畳して行うことができる。
これにより、部品実装機100では、正しい組み合わせで構成され、各構成部に使用不可となる不具合がなく、かつ、部品との相性のよい組み合わせで構成された吸着ノズル301のみが、部品実装に実際に使用されることとなる。
つまり、例えば、基体302に適さないノズル先端部305が取り付けられている吸着ノズル301、構成部の組み合わせは正しいがひどく汚損されたノズル先端部305を有する吸着ノズル301、および、構成部の組み合わせは正しく各構成部に使用不可となるほどの不具合はないが、部品との相性の悪いノズル先端部305を有する吸着ノズル301等の、いわば不適切な吸着ノズル301が使用されることを排除することができる。
従って、これらの不適切な吸着ノズル301を使用することを起因とする、部品を正しく吸着または装着できない、または正しく部品が認識できないなどといったエラーの発生を防ぐことができ、部品実装機100に部品実装基板の生産を精度よくかつ効率的に行わせることができる。
なお、各構成部の不具合の確認は既になされていると想定し図20のフローを説明した。しかしながら、図20のフローにおいて、各構成部の不具合の確認を行ってもよい。
例えば、各構成部の使用可否の判断(S42)の前に、各構成部のキズ等を部品認識カメラ116により認識し、所定の閾値を超えるキズがある場合、当該構成部のエラーフラグを“1”とする。
つまり、ある吸着ノズル301が部品の基板への実装を行うごとにその直前に、各構成部に部品実装に支障をきたすような不具合があるか否かを確認してもよい。または、所定の期間ごと、もしくは吸着ノズル301の所定の使用回数ごとにこのような確認を行ってもよい。
これにより、例えば部品実装基板の生産中に、なんらかの要因で不具合の発生したノズル先端部305が使用されないようにすることができる。
また、上記3種類の判断の順番は、図20に示す順番でなくてもよい。例えば、ある吸着ノズル301について、使用可否の判断をし(S42)、構成部の組み合わせの部品に対する適合性を判断し(S43)、当該組み合わせの正否を判断(SS41)してもよい。
つまり、どのような順番であっても、これら3種類の判断をクリアした吸着ノズル301のみが部品実装に使用されることになるため、その順番は、生産効率等を考慮して適宜決定すればよい。
また、これら3種類の判断を全て行わなくてもよい。例えば、各吸着ノズル301の各構成部が未使用のものばかりであり、各吸着ノズル301が、基板に実装すべき部品との適合性を有していることがある程度判明しているような場合、構成部の組み合わせの適否判断のみを行ってもよい。
つまり、これら3種類の判断の全てをおこなってもよく、一部のみを行ってもよい。要するに部品実装の現場において必要と考えられる判断を選択して行えばよく、いずれの場合であっても、吸着ミス等のエラーの発生可能性を低下させることができる。
また、本実施の形態において、個別データを記憶する記憶手段としてICタグを用いて説明を行った。しかしながら、記憶手段は、ICタグ以外にもRW部701が読み出し(または、読み出し及び書き込み)可能な、例えば、2次元バーコード、メモリ等によっても実現可能である。
また、記憶手段は、ICタグのようにRW部701との非接触通信が可能なものでなくてもよい。
例えば、吸着ノズル301の基体302に個別データが記憶されたメモリ等の記憶手段が備わっており、基体302が装着ヘッド112に取り付けられることにより、RW部701側と当該記憶手段側の双方に設けられた接点が接続され、RW部701と当該記憶手段とが通信可能となる構成であってもよい。
この場合、例えば、他の構成部である背景板303、バネ304およびノズル先端部305のそれぞれに配置された記憶手段にも接点を設ける。
さらに、これら構成部が組み合わされて吸着ノズル301が組み立てられた場合、各記憶手段の接点が最も近い他の記憶手段の接点と接続されることで、各記憶手段はリレー形式でRW部701と通信することも可能である。
このような構成であっても、RW部701は、メモリ等の記憶手段からの個別データの読み出し、または、読み出し及び書き込みをすることができる。
また、本実施の形態では部品実装機100が備える吸着ノズル301について、その構成部の組み合わせの正否等を判断する構成および動作について説明を行った。
しかし、本発明は、吸着ノズル301以外の、部品を装着するための部材、例えば、部品を把持して基板上に装着、挿入するメカチャック等に適用することもできる。
さらに、部品を基板に装着するための部材のみならず、部品実装機100の他の構成要素に本発明を適用することもでき、これにより、部品実装機版の生産を精度よくかつ効率的に行わせることもできる。
このような構成要素としては、例えば、部品を部品実装機100に供給するフィーダ114がある。
フィーダ114は、内部に部品テープを保持し、メカニカルな機構により、またはモータにより、吸着ノズル301が部品を吸着する吸着位置に部品を送り出す部品供給装置である。
そのため、部品をタイミングよく正しい姿勢で部品供給位置に送り出すことが要求され、フィーダ114がこのような要件を満たさない場合、吸着ミス等が多発する可能性もある。
また、吸着ノズル301同様、フィーダ114も複数の主要な構成部を有し、これらが組み上げられて作製されるものである。そのため、各構成部の組み合わせが正しいか否か、各構成部に使用不可となるほどの不具合があるか否か等を判断し、不適切なフィーダの使用を排除することは部品実装基板における実装精度および生産効率を向上させる上で重要なことである。
そこで、本発明の吸着ノズルの照合方法の適用例として、フィーダ114に本発明を適用した場合について説明する。
図21は、実施の形態におけるフィーダ114の主要な構成部を示す分解斜視図である。なお、これら構成部以外の構成部については図示および説明の明確化のために省略している。
フィーダ114は、主要な構成部として、図21に示すように、本体となる右メインボディ811および左メインボディ812、部品を送り出す送り機構部813、並びに、部品実装機100に取り付けるための取付部814を有している。
そこで、これら主要な構成部のそれぞれに、図4に示す吸着ノズル301と同様に、ICタグを配置する。
具体的には、右メインボディ811にICタグ500eを、左メインボディ812にICタグ500fを、送り機構部813にICタグ500gを、取付部814にICタグ500hを配置する。
また、右メインボディ811をフィーダ114における親と捉え、ICタグ500eに、図5に示す基体302の個別データと同様の個別データを記憶させる。また、他の構成部には、図6等に示すような、親に属する子としての構成部の個別データを記憶させる。
ここで、例えば、送り機構部813は、使用回数、使用期間等に比例して劣化していくと考えられることから、送り機構部813の個別データに“送り部品数”を記憶させ、所定の閾値を超えた場合に、エラーフラグを“1”に変更する。
また、例えば、送り機構部813の個別データに“使用期間”を記憶させ、所定の閾値を超えた場合に、エラーフラグを“1”に変更する。
取付部814についても同様に、個別データに取り付け回数等を記憶させ、所定の閾値以上となった場合に、エラーフラグを“1”に変更する。
こうすることで、劣化し、動作等が不安定となることが予想される構成部が使用されることを防ぐことができる。なお、これらの所定の閾値は、経験則や実験値等から適宜決定すればよい。
また、これらICタグに対し情報の読み書きを行うRW部701については、部品実装機100においてこれらICタグと通信可能な位置に配置すればよい。
例えば、図13(a)、図13(c)および図13(d)に示すように装着ヘッド112またはその近傍にRW部701が配置されている場合、吸着ノズル301が部品を吸着する際に、RW部701に各フィーダ114の各構成部の個別データを読み書きさせてもよい。
フィーダ114および部品実装機100の構成をこのようにすることで、上述の吸着ノズル301の場合と同様に、フィーダ114についても構成部の組み合わせの正否判断、各構成部の使用可否判断等を行うことが可能となる。
従って、フィーダ114の構成部の組み合わせが正しくないこと、およびフィーダ114が、使用すべきでない構成部を含んでいることを起因とする吸着ミス等の発生を防ぐことができ、部品実装機100に部品実装基板の生産を精度よくかつ効率的に行わせることができる。