JP4826204B2 - 電解エッチングアルミニウム箔及び電解コンデンサ - Google Patents
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Description
より詳しくは、平均長さが長く、平均直径が小さい多数のエッチングピットを形成した、アスペクト比が大きな新規な構造の電解エッチングアルミニウム箔及びそれを具備する電解コンデンサに関する。
このアルミ電解コンデンサーには、アルミニウムの電解箔が電極箔として従来より使用されており、中高圧用電解コンデンサー用の電解箔の製造では、単位面積当たりの静電容量を大きくするために高密度の立方晶組織を有するアルミニウム原箔を塩素イオンを含む酸性電解液等の水溶液で直流電解によってエッチングして、結晶方位の(100)方向にトンネル状のピットを形成している。
そのトンネル状ピットの形成過程についていえば、高密度のピットの形成がアルミニウム箔の全面にわたって同時に進行するのではなく、当初はピットが箔に粗く発生して成長し、その成長が停止すると別のピットの成長が始まり次第に箔の全面に密にトンネル状のピットが形成されることが観察されている。
そのトンネル状ピットの形成については、従来法では箔に対する直流電流の印加は時間に対し一定電流密度の条件でなされていた。
その結果、箔の機械的強度の低下した電解箔が形成されることになり、それを回避することは困難であった。
また、これを改善する電解箔の製造技術も提案されており、それには例えば電解電流密度を最大値から漸次減少させる方法(特許文献1参照)がある。
この方法においては、最大電流密度は1000mA/cm2未満であり、電流印加時間は前記従来法と同様に80秒程度となっている。
すなわち、その強度の低下した箔の断面を切断して電子顕微鏡で観察すると、強度の低下した電解箔の場合には、トンネル状ピットは、深さが不揃いで内側端部はジグザクになっており、所々で両端面から延びるトンネル状ピットが内通してアルミニウム箔を貫通し中央部に非貫通層が存在しないことがわかっている。
すなわち、そのアルミニウム電解箔を製造する方法は、初期電流密度を1500mA/cm2以上の最大電流密度とし、その後急激に100mA/cm2以下まで低下させる水溶液中における直流電解により、箔厚70〜150μmのアルミニウム箔の両表面に均一深さのトンネル状ピットを持ち、その中心部に層厚が箔厚の5〜25%であるピット非貫通層を有するとするものである。
また、前記特許文献2の提案以後も、研究開発は各社においてなされており、更に性能、特に静電容量が向上したものも開発されている。
このような中において、本発明者らも高静電容量の電解エッチングアルミニウム箔を開発するためにアルミニウム箔の実質的な表面積を拡大すべく鋭意研究開発に努めている。
さらに、前記特許文献2に記載の技術以後に開発したエッチングアルミニウム箔のアスペクト比も測定したところ45を超えるものでないことがわかった。
したがって、本発明は、アスペクト比が45を超えるような、細くて、長いエッチングピットを形成した電解エッチングアルミニウム箔及びそれを電極箔として具備する電解コンデンサを提供することを発明の解決すべき課題、すなわち目的とするものである。
また、その長さが均一で、かつ直径もアルミニウム箔表面から先端部まで均一のものを提供することも課題とするものである。
また、電解エッチングアルミニウム箔に形成される多数のエッチングピットは、長さが均一で、アルミニウム表面から先端までの直径が均一であることが好ましい。
また、エッチングピットの長さが均一で、かつ直径がアルミニウム箔表面から先端部まで均一にすることができるので、これらの点で静電容量を一層向上させることができる。
本発明は、前記したとおり多数のエッチングピットを有する電解エッチングアルミニウム箔を提供するものであり、その箔は、平均長さ/平均直径により求めるエッチングピットのアスペクト比が55以上であることを特徴とするものである。
また、本発明では電解エッチングアルミニウム箔に形成される多数のエッチングピットは、長さが均一で、アルミニウム表面から先端までの直径が均一であることが好ましい。
その場合には、平均長さより長いもの長い部分の長さは、その存在がエッチングアルミニウム箔の強度低下の原因になるので、平均長さの15%未満であるのがよい。
逆に、短いものの存在は強度低下の原因にはならないものの、静電容量低下の原因となるので、エッチングピット数の15%未満がよい。
なお、本発明では、前記した範囲内である限り、多数のエッチングピットの長さは均一であるという。
エッチングピットの直径はアルミニウム表面で多少太くなり、先端で多少細くなることは、エッチングピット形成手法上避けられないのであるから、平均直径より太いものあるいは細いものが15%未満の範囲で存在してもよく、本発明では、この範囲内である限り多数のエッチングピットの直径は均一であるという。
なお、エッチングピットのアスペクトを規定する平均直径及び平均長さとは、それぞれ以下のとおりのものである。
平均直径:箔表面から深さ方向に10μmの位置まで、研磨もしくは切削し、その面のピットの直径の平均を平均直径とする。
例えば、5×10μmの深さでのピットの数はn5である。
また、10μmの深さの面にあって、20μm深さの面にはないピットの長さは15μmとし、以下同様に25μm、35μm・・・とする。
そして、平均長さは、[15×n1+10×{n2+・・・+n(m−2)+n(m−1)}]/n1μmとして求めるものである。
アルミニウム原箔を1〜8%濃度の水酸化ナトリウム溶液に浸漬して前処理し、その前処理後400℃前後の温度で熱処理する。
その熱処理後、塩酸と硫酸の混合液中で、定電流エッチングを行うことで、本発明の電解エッチングアルミニウム箔は製造できる。
また、本発明の電解コンデンサは、本発明の電解エッチングアルミニウム箔を電極箔として用いるものであり、常法により製造すればよい。
その熱処理後、塩酸10%と硫酸30%の混合液中で、400mAで定電流エッチングを1分行った。
得られた電解エッチングアルミニウム箔断面は、図1の電子顕微鏡写真に示すとおりであり、この図を観察しアスペクト比を算出したところ70であった。
その後、硼酸溶液において250Vで化成処理を行って、静電容量を測定したところ、2.3μF/cm2であった。
実施例1における前処理と熱処理に代えて、希塩酸中における浸漬処理を行った以外は実施例1と同様の処理を行った。
その結果得られた電解エッチングアルミニウムについて、実施例1と同様にアスペクト比及び静電容量を求めてたところ、それぞれ45及び2.0μF/cm2であった。
Claims (4)
- 平均長さ/平均直径により求めるエッチングピットのアスペクト比が55以上であることを特徴とする多数のエッチングピットを有する電解エッチングアルミニウム箔。
- 多数のエッチングピットの長さが均一である請求項1に記載の電解エッチングアルミニウム箔。
- 多数のエッチングピットのアルミニウム表面から先端までの直径が均一である請求項1又は2に記載の電解エッチングアルミニウム箔。
- 請求項1、2又は3に記載の電解エッチングアルミニウム箔を電極箔として具備する電解コンデンサ。
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