JP4825347B2 - 有機ケイ素化合物からなる多孔質膜及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の層間絶縁膜に適する有機ケイ素化合物からなる多孔質膜及びその製造方法に関する。更に詳しくは、クラックが発生せず、かつ低誘電率を有する有機ケイ素化合物からなる多孔質膜及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体装置の集積度の向上に伴って、半導体装置の配線の微細化、多層化が進んでいる。配線の設計の寸法が0.18μm以下の半導体製造プロセスでは電気抵抗の増加と配線ピッチの現象に伴う隣接効果容量の増加により配線遅延の問題が大きくなることが知られている。この問題を解決する手段の一つとして層間絶縁膜の低誘電率化が提案されている。
【0003】
従来より、層間絶縁膜はシロキサン結合(Si-O-Si)を主骨格とするSOG(Spin On Glass)によって成膜する方法が知られており、成膜にはテトラエトキシシラン等を加水分解して調製されたコーティング剤が用いられている。このSOG膜は膜内部に空隙をもたず、誘電率は4.0程度であった。
そのため、更に誘電率を低下させるために、炭素やフッ素原子等の有機基を含有させた有機SOGによって成膜する方法が提案されている。この有機SOG膜は、有機基を導入することにより低密度化が図られ、フッ素原子を導入することにより低分極率を有するため、低誘電率化が期待でき、従来のSOG膜に比べて誘電率を低下させることが可能である。現在は、誘電率2.5程度のものが実現されている。しかし、これら有機SOG膜の材料の誘電率は2.0程度が限界といわれているため、更に低い誘電率を有する層間絶縁膜が求められるようになってきている。
【0004】
そこで、更に低い誘電率層間絶縁膜を得るための材料として、膜の多孔質化が考えられている。これは膜の化学組成によるものではなく膜自体の構造によって低誘電率化を図るものである。多孔質化された膜は材料中に多孔質化剤として発泡剤を添加し、基板表面に材料をコーティングして熱処理などの工程を踏むことによって発泡剤を気化又は分解することにより膜内部に非常に微細な空孔を導入するものである。このような多孔質化層間絶縁膜は、膜内部の空隙率を大きくすれば低誘電率化が可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記多孔質化方法では、多孔質化剤に発泡剤を用いているため、膜内部に安定した気泡を発生させることが難しく、微細で均一な径を有する空孔を膜内部に均一に導入することが非常に困難であった。
また、従来のSOGコーティング剤は原料であるテトラエトキシシラン加水分解体の重合度にばらつきがあるため、この材料を用いて得られるSOG膜は膜構造の均一性に乏しい。そのため上記従来のSOGコーティング剤を用いて多孔質化を行った場合、膜内部に均一に微細孔を導入することは困難であった。従って、膜内部に微細孔を均一に導入できないため電気特性や機械的強度等の膜特性に問題が生じ、多孔質化層間絶縁膜には使用することが困難であった。
【0006】
本発明の第1の目的は、低誘電率を有する有機ケイ素化合物からなる多孔質膜を提供することにある。
本発明の第2の目的は、クラック耐性を向上し得る有機ケイ素化合物からなる多孔質膜を提供することにある。
本発明の第3の目的は、膜内部に空孔を均一に形成し得る有機ケイ素化合物からなる多孔質膜の製造方法を提供することにある。
本発明の第4の目的は、膜特性を向上し得る半導体装置用低誘電率層間絶縁膜を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、ペルフルオロアルキル基を含むかご型多面体構造を有する有機ケイ素化合物からなる膜内部に空隙を有する多孔質膜であって、上記有機ケイ素化合物が下記一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)にそれぞれ示される化合物群から選ばれた1種又は2種以上の化合物であり、1.5〜2.5の誘電率を有することを特徴とする有機ケイ素化合物からなる多孔質膜である。
(Rf1-X1-(CH2)a-SiO1.5)m ……(1)
式中Rf1は炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基、X1は2価結合基、aは0〜10の整数、mは4〜20の整数である。
(Rf1-X1-(CH2)a-SiO1.5)m(Rf2-(X2)c-(CH2)b-SiO1.5)n ……(2)
式中Rf1とRf2は炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基、X1とX2は2価結合基、aとbは0〜10の整数、cは0又は1の整数、mとnは1〜19の整数であり、かつm+nは4〜20の整数であり、Rf1とRf2、X1とX2、及びaとbの少なくとも一つの組合わせは互いに同一ではない。
(Rf1-X1-(CH2)a-SiO1.5)m(R-(X2)c-(CH2)b-SiO1.5)n ……(3)
式中Rf1は炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基、Rはビニル基、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基又は水素、X1とX2は2価結合基、aとbは0〜10の整数、cは0又は1の整数、mとnは1〜19の整数、m+nは4〜20の整数である。
請求項1に係る発明では、多孔質膜がかご型多面体構造を有する有機ケイ素化合物より形成されているため、膜自体の強度や耐熱が向上し、膜内部に空隙を有するため低誘電率の空気が膜内部に導入されている。従って、空隙のない膜に比べて全体的に低誘電率の多孔質膜が得られる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、膜内部の空隙の平均孔径が0.1〜100nmの微細孔であり、かつ空隙率が10〜80%であって、クラックを有しない多孔質膜である。
請求項2に係る発明では、空隙の平均孔径が0.1〜100nmの微細孔である。平均孔径が0.1nm未満であると、膜内部の空隙が少なくなるため、低誘電率が得られない。平均孔径が100nmを越えると膜強度が急激に低下する。好ましい平均孔径は0.5〜50nmである。空隙率は10〜80%である。空隙率が10%未満であると、膜内部の空隙が少なくなるため、低誘電率が得られにくい。空隙率が80%を越えると膜強度が急激に低下する。好ましい空隙率は30〜70%である。この空隙率の測定方法は、多孔質化剤を用いずに作製した空隙を有しない膜の堆積面積と膜厚と重量からまず第1密度を求め、次いで多孔質化剤を用いて空隙を生じさせた膜の第2密度を求め、第1密度と第2密度との比より空隙率を求める。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態について説明する。
本発明は、フッ素含有アルコキシシラン化合物を加水分解及び縮合することによって、かご型多面体構造を有する有機ケイ素化合物を製造し、これを多孔質化した膜である。
【0010】
有機ケイ素化合物は、下記一般式(4)で示される1種の有機ケイ素化合物、又は下記一般式(4)と下記一般式(5)又は下記一般式(6)で示される2種の有機ケイ素化合物を、第2溶媒中で、水及び塩基性化合物を触媒として加水分解及び縮合することにより下記一般式(1)、下記一般式(2)又は下記一般式(3)に示される化合物が製造される。この化合物はフッ素の含有量、官能基の数によって粉状物質又は粘性のある物質になる。
【0011】
(Rf1-X1-(CH2)a-SiO1.5)m ……(1)
(Rf1-X1-(CH2)a-SiO1.5)m(Rf2-(X2)c-(CH2)b-SiO1.5)n ……(2)
(Rf1-X1-(CH2)a-SiO1.5)m(R-(X2)c-(CH2)b-SiO1.5)n ……(3)
Rf1-X1-(CH2)a-Si(Y)3 ……(4)
Rf2-(X2)c-(CH2)b-Si(Y)3 ……(5)
R-(X2)c-(CH2)b-Si(Y)3 ……(6)
【0012】
上記一般式(1)〜(6)中、Rf1とRf2は炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基である。X1とX2は2価結合基を示し、-CH2-、-CH2O-、-O-、-N(R1)-、-S-、-SO2N(R1)-、-COO-又は-CON(R1)-である。R1は水素、又は炭素数1〜10のアルキル基又はアルケニル基である。aとbは0〜10の整数、cは0又は1の整数である。Rは反応性官能基であるビニル基、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基又は水素である。Yは炭素数1〜10のアルコキシド基又は塩素である。
第2溶媒は、O、N、F及びClから選ばれた少なくとも1種の元素を含有する有機溶媒であり、メタノール、アセトン、2-ブタノン、メチルイソブチルケトン、1,4ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,1,2-トリクロロ2,2,1-トリフルオロエタン等が挙げられる。触媒の塩基性化合物としては、LiOH、NaOH、KOH、Ca(OH)2等の金属水酸化物、トリエチルアミン、アンモニア、ピリジン等のアミン化合物、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩水酸化物が挙げられる。
【0013】
この一般式(1)〜(3)の化合物は、一般式(4)〜(6)の有機ケイ素化合物の組合せによってそれぞれ決定する。合成された有機ケイ素化合物は塩基性化合物を触媒として用いているため非常に狭い分子量分布を有する。この有機ケイ素化合物を膜として用いる場合、成膜性に優れた膜を形成することが可能で、耐熱性、基材との密着性、膜硬度、経時安定性が高い。更に多面体構造であり、ペルフルオロアルキル基を有するため、低誘電率及び低屈折率を示す。
モノアルキルトリアルコキシシラン型化合物のアルキル基をペルフルオロアルキル基に置換して、ペルフルオロアルキル基を有するトリアルコキシシラン型化合物を得ることは可能であるが、この化合物を従来用いられてきた酸触媒存在下での加水分解及び縮合反応では重合度が低く、分子量分布も広いため良質な膜が得られない。また、別の問題点としてペルフルオロアルキル基を有するトリアルコキシシラン型化合物は加水分解及び縮合反応が進んで重合度が増すと、有機溶媒への溶解度が極端に低下する。従って炭化水素系シラン化合物やアルキル基を水素に置換したハイドロジェンシラン化合物に比べ、加水分解を進めることが困難である。そのためペルフルオロ基を有するトリアルコキシシラン化合物を特定の溶媒中、塩基性触媒の存在下で加水分解及び縮合反応させると、これらの反応が円滑に進行し、多面体構造を持つ有機ケイ素化合物になることを見いだした。この化合物は特定の有機溶媒に溶解するため、SOG等の成膜材料として利用することが可能で、良好な膜を得ることができる。
【0014】
しかし、この有機ケイ素化合物は誘電率が2.5を越えるため、このまま膜として利用しても誘電率2.5以下の低誘電率の層間絶縁膜は得られない。そこで、成膜材料に上記フッ素含有アルコキシシラン化合物の加水分解及び縮合物である有機ケイ素化合物とともに多孔質化剤を含有させる。
この方法として第1の方法がある。即ち、多孔質化剤を第1溶媒に溶解し、上記有機ケイ素化合物を多孔質化剤を溶解した溶液又は多孔質剤とともに第1溶媒に添加混合して第1分散液を調製し、この分散液を基板にコーティングし、コーティング膜を形成した後、コーティング膜から多孔質化剤を気化又は分解させることにより微細孔を生じさせる。ここで第1溶媒はO、N、F及びClから選ばれた少なくとも1種の元素を含有する有機溶媒であり、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のアルコール、1,4-ジオキサン、ジイソプルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル、アセトン、2-ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチルケトン等のケトン類が挙げられる。
【0015】
この多孔質化剤の添加量はその種類によって異なるが、一般的には有機ケイ素化合物の0.001〜30重量%、好ましくは0.01〜10重量%含有させる。この多孔質化剤を含有させた成膜材料を基板上に成膜することによって、形成された膜内部に多孔質化剤を含有させ、これを気化又は分解させることにより、多孔質化膜を得ることができる。
【0016】
膜内部に導入される微細孔の径及び空隙率は、成膜材料に添加する多孔質化剤の種類、含有量、膜の前処理や成膜条件等によって制御することが可能である。このため、それぞれの用途にあわせて、空隙の平均孔径や空隙率を制御した多孔質膜を形成することができる。成膜材料に含有させる多孔質化剤は、上記フッ素含有アルコキシシラン化合物を加水分解及び縮合反応させた有機ケイ素化合物に対して均一に分散又は溶解し、成膜過程で気化又は分解し、膜内部から除去される有機化合物が用いられる。成膜過程で除去するため、この有機化合物の沸点又は分解温度は80〜350℃がよい。上記沸点又は分解温度が80〜350℃の有機化合物を例示すれば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
多孔質化剤はコーティング溶液として特定の有機溶媒中に上記フッ素含有アルコキシシラン加水分解及び縮合物と一緒に含有させることにより容易に膜内部に含有させることができる。膜を多孔質化するためには、上記沸点又は分解温度以上の温度で熱処理する。
【0017】
特に光酸発生剤又は光塩基発生剤は多孔質化剤として有効である。これを用いた場合、膜の硬化過程の前に光酸発生剤又は光塩基発生剤を分解させるために必要な最大吸収波長を有する紫外線を照射することにより、分解した光酸発生剤又は光塩基発生剤は成膜過程において、より均一な微細孔を膜内部に安定的に導入することができる。光酸発生剤としてはトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリフェニルスルホニウムトリフラート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート等のオニウム塩類、o-ニトロベンジルスルホン酸エステル類、o-ニトロベンジルパーフルオロカルボン酸エステル類、ビス(アリールスルフォニル)ジアゾメタン、アリールカルボニルアリールスルフォニルジアゾメタン等が挙げられる。また光塩基発生剤として2-ニトロベンジルカーバメート類等が挙げられる。
【0018】
また、多孔質化剤としてO、N、F及びClから選ばれた少なくとも1種又は2種以上の元素を含有する沸点が80〜250℃の有機溶媒や、分解型発泡剤として使用される分解温度100〜300℃のアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ヒドラゾジカルボンアミド等のアゾ系化合物、p-トルエンスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド化合物等を用いてもよい。
上記沸点が80〜250℃の有機溶媒を例示すれば、エチレングリコールモノブチルエーテル、キシレン、N-メチルピロリドン等が挙げられる。ただし、上記沸点が80〜250℃の範囲であれば、第2溶媒と多孔質化剤は同一のものでもよい。
上述した多孔質化剤は予め溶媒に溶解しておき、この溶液に上記有機ケイ素化合物を添加混合して分散液(第1分散液)を調製することが好ましい。なお、多孔質化剤によっては有機ケイ素化合物と同時に溶媒に入れて溶解することにより有機ケイ素化合物の分散液としてもよい。
【0019】
また、本発明の第2の方法として、上述した多孔質化剤の代わりに粒子状多孔質化剤を成膜材料に分散して、この成膜材料を基板にコーティングし、コーティングした基板を熱処理することによっても膜内部に微細孔を導入することが可能である。粒子状多孔質化剤は一次平均粒径が1〜50nm、好ましくは5〜15nmのシリカ粉末が選択される。粒子状多孔質化剤の分散液(第2分散液)中の割合は0.1〜10重量%である。この第2分散液としては、2-ブタノン、シクロヘキサノン、2-プロパノール等が挙げられる。この粒子状多孔質化剤が分散した成膜材料をコーティングした基板を熱処理することにより、粒子状多孔質化剤のシリカ粉末及びシリカ粉末間の空隙によって膜内部に気泡を導入することができる。このときの熱処理は、150〜250℃で1〜5分間1段目熱処理した後、300〜450℃で15〜60分間2段目熱処理することが好ましい。
本発明のコーティング方法としては、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法等が挙げられる。膜厚の制御と膜の均一性の点でスピンコーティング法が好ましい。
【0020】
【実施例】
次に本発明の実施例を比較例とともに述べる。
<実施例1>
先ず、磁気攪拌装置、温度計、滴下ロートを備えた500cm3三つ口フラスコを用意した。また、有機ケイ素化合物としてC7F15CONH(CH2)3Si(OCH3)3を58g、溶媒としてアセトンとメタノールを容積比で4:1の割合で混合した溶液を250gそれぞれ用意した。
【0021】
三つ口フラスコに有機ケイ素化合物と溶媒をそれぞれ入れて50℃に保持しながら1N-NaOH水溶液2.7gを滴下した。次いで、混合液を15時間攪拌して加水分解及び縮合反応を完結させた。次に三つ口フラスコ中を減圧して、反応液より溶媒及び低沸点物を除去して白色粉末の生成物を得た。この生成物の収量は79%であった。この生成物を更に再沈殿によって精製した。これをカラム(Shodex製KF801+802)を使用し、0.75cm3/minでテトラヒドロフランを溶離液としてゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC)による分子量分布を測定したところ16.26minに1本のピークが得られた。このピークの溶出時間からポリスチレン換算により分子量を概算したところ上記有機ケイ素化合物の分子量に相当した。この化合物の元素分析結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
この生成物を核磁気共鳴法(Nuclear Magnetic Resonance、NMR)及び赤外分光法(Infrared Spectroscopy、IR)でそれぞれ分析した。IRスペクトル(特徴的ピークのみ、以下同じ)は2920,2960,1720,1130,1070cm-1であった。29Si-NMRスペクトル(標準物質:TMS、溶媒:Acetone-d6、以下同じ)はδ(ppm)=−69.5であった。29Si-NMRスペクトルでは強い1本のピークが得られ、そのピーク位置は3官能性シロキサンのピークと一致した。以上の元素分析、IRスペクトル、29Si-NMRスペクトル及びGPCの溶出時間をポリスチレン換算により分子量を概算した結果から生成物を(C7F15CONH(CH2)3SiO1.5)12と同定した。
【0023】
次に、2-ブタノンに多孔質化剤としてアゾビスイソブチロニトリルを2.0重量%溶解させた溶液に、上記生成物が10重量%になるように添加混合して第1分散液を調製した。この第1分散液を図示しないスピンコータを用いて回転速度2000rpmでSi基板上にコーティングした。このコーティング膜を有する基板を窒素雰囲気下に維持して150℃で1分間加熱し、続いて400℃で30分間加熱した。これらの熱処理によって得られた膜の断面を走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)により観察したところ膜厚は250nmであった。またクラックのない均一な多孔質膜が得られた。この多孔質膜上にAg電極を形成し、LCRメータを用いて電極とSi基板に挟まれた部分の静電容量を測定し、誘電率を測定したところ、2.4であった。
【0024】
<比較例1>
多孔質化剤のアゾビスイソブチロニトリルを添加しない以外は実施例1と同様にして第1分散液を調製した。この第1分散液を実施例1と同様にSi基板上にコーティングし、このコーティング膜を有する基板を熱処理した。得られた膜の断面をSEMにより観察したところ膜厚は400nmであった。またクラックのない均一な多孔質膜が得られた。この多孔質膜の誘電率を実施例1と同様に求めたところ、2.8であった。
【0025】
<実施例2>
先ず、有機ケイ素化合物としてC4F9SO2N(C3H7)(CH2)3Si(OCH3)3を50.3g及びC8F17CH2CH2Si(OCH3)3を10g、溶媒としてアセトン120gをそれぞれ用意した。
実施例1と同一の三つ口フラスコに有機ケイ素化合物と溶媒をそれぞれ入れて50℃に保持しながら0.5N-KOH水溶液8gを滴下した。次いで、混合液を15時間攪拌して加水分解及び縮合反応を完結させた。これを元素分析、IRスペクトル、29Si-NMRスペクトル及びGPCの溶出時間をポリスチレン換算により分子量を概算した結果より、得られた生成物を(C4F9SO2N(C3H7)(CH2)3SiO1.5)7(C8F17CH2CH2SiO1.5)1と同定した。
次に、アセトンに多孔質化剤としてN-メチル-2-ピロリドンを2重量%溶解させた溶液に、上記生成物が20重量%になるように添加混合して第1分散液を調製した。この第1分散液を実施例1と同様にSi基板上にスピンコーティングした。このコーティング膜を有する基板を窒素雰囲気下に維持して250℃で5分間加熱し、続いて400℃で30分間加熱した。これらの熱処理によって得られた膜の断面をSEMにより観察したところ膜厚は500nmであった。またクラックのない均一な多孔質膜が得られた。この多孔質膜の誘電率を実施例1と同様に求めたところ、2.35であった。
【0026】
<実施例3>
先ず、有機ケイ素化合物としてCF3CH2CH2Si(OCH2CH3)3を26g及びC8F17CH2CH2Si(OCH2CH3)3を61g、溶媒として1,1,2-トリクロロ2,2,1-トリフルオロエタン160gをそれぞれ用意した。
実施例1と同一の三つ口フラスコに有機ケイ素化合物と溶媒をそれぞれ入れて50℃に保持しながら約30分間かけてテトラエチルアンモニウムヒドロキシド10重量%水溶液12gを滴下した。次いで、混合液を24時間攪拌して加水分解及び縮合反応を完結させた。これを元素分析、IRスペクトル、29Si-NMRスペクトル及びGPCの溶出時間をポリスチレン換算により分子量を概算した結果より、得られた生成物を(CF3CH2CH2SiO1.5)8(C8F17CH2CH2SiO1.5)8と同定した。
次に、メチルイソブチルケトンに上記生成物が15重量%になるように添加混合し、この液に粒子状多孔質化剤として平均粒子径7nmのシリカ粉末0.5重量%を分散して第2分散液を調製した。この第2分散液を実施例1と同様にSi基板上にスピンコーティングした。このコーティング膜を有する基板を窒素雰囲気下に維持して200℃で10分間加熱し、続いて400℃で20分間加熱した。これらの熱処理によって得られた膜の断面をSEMにより観察したところ膜厚は850nmであった。またクラックのない均一な多孔質膜が得られた。この多孔質膜の誘電率を実施例1と同様に求めたところ、2.3であった。
【0027】
<実施例4>
先ず、有機ケイ素化合物としてCF3CH2CH2Si(OCH3)3を32.7g及びCH2(O)CHCH2O(CH2)3Si(OCH3)3を11.8g、溶媒としてアセトン50gをそれぞれ用意した。
実施例1と同一の三つ口フラスコに有機ケイ素化合物と溶媒をそれぞれ入れて50℃に保持しながらテトラメチルアンモニウムヒドロキシド10重量%水溶液10gを滴下した。次いで、混合液を15時間攪拌して加水分解及び縮合反応を完結させた。これを元素分析、IRスペクトル、29Si-NMRスペクトル及びGPCの溶出時間をポリスチレン換算により分子量を概算した結果より、得られた生成物を(CF3CH2CH2SiO1.5)6(CH2(O)CHCH2O(CH2)3SiO1.5)2と同定した。
次に、2-プロパノールと2-ブタノンを容積比で1:2の割合で混合した液に光酸発生剤であるBis(p-メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタンを5重量%溶解させた溶液に、上記生成物が20重量%になるように添加混合して第1分散液を調製した。この第1分散液を実施例1と同様にSi基板上にスピンコーティングした。このコーティング膜を有する基板を80℃で1分間乾燥させた後、波長254nmのUV光を照射し、次にこの基板を窒素雰囲気下に維持して250℃で1分間加熱し、続いて400℃で30分間加熱した。これらの処理によって得られた膜の断面をSEMにより観察したところ膜厚は500nmであった。またクラックのない均一な多孔質膜が得られた。この多孔質膜の誘電率を実施例1と同様に求めたところ、2.2であった。
【0028】
<実施例5>
光酸発生剤としてBis(p-メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタンを5重量%溶解させた以外は実施例4と同様にして多孔質膜を得た。これらの処理によって得られた膜の断面をSEMにより観察したところ膜厚は550nmであった。またクラックのない均一な多孔質膜が得られた。この多孔質膜の誘電率を実施例1と同様に求めたところ、1.9であった。
<実施例6>
光酸発生剤としてトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェートを5重量%溶解させた以外は実施例4と同様にして多孔質膜を得た。これらの処理によって得られた膜の断面をSEMにより観察したところ膜厚は500nmであった。またクラックのない均一な多孔質膜が得られた。この多孔質膜の誘電率を実施例1と同様に求めたところ、2.3であった。
<実施例7>
2-ブタノンに多孔質化剤として平均分子量1000のポリエチレングリコールを5重量%溶解させた溶液に、実施例4で得られた生成物が20重量%になるように添加混合して第1分散液を調製した。この第1分散液を実施例1と同様にSi基板上にスピンコーティングした。このコーティング膜を有する基板を窒素雰囲気下に維持して200℃で1分間加熱し、続いて400℃で30分間加熱した。これらの処理によって得られた膜の断面をSEMにより観察したところ膜厚は500nmであった。またクラックのない均一な多孔質膜が得られた。この多孔質膜の誘電率を実施例1と同様に求めたところ、2.4であった。
【0029】
<実施例8>
先ず、有機ケイ素化合物としてC4F9SO2N(C3H7)(CH2)3Si(OCH3)3を50.3g及びCH2C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3を2.8g、溶媒としてアセトンとメタノールを容積比で1:1の割合で混合した液250gをそれぞれ用意した。
実施例1と同一の三つ口フラスコに有機ケイ素化合物と溶媒をそれぞれ入れて50℃に保持しながら1N-NaOH水溶液18.3gを滴下した。次いで、混合液を15時間攪拌して加水分解及び縮合反応を完結させた。これを元素分析、IRスペクトル、29Si-NMRスペクトル及びGPCの溶出時間をポリスチレン換算により分子量を概算した結果より、得られた生成物を(C4F9SO2N(C3H7)(CH2)3SiO1.5)9(CH2C(CH3)COO(CH2)3SiO1.5)1と同定した。
次に、アセトンに多孔質化剤としてジブチルエーテルを5重量%溶解させた溶液に、上記生成物が15重量%になるように添加混合して第1分散液を調製した。この第1分散液を実施例1と同様にSi基板上にスピンコーティングした。このコーティング膜を有する基板を窒素雰囲気下に維持して180℃で1分間加熱し、続いて400℃で30分間加熱した。これらの熱処理によって得られた膜の断面をSEMにより観察したところ膜厚は300nmであった。またクラックのない均一な多孔質膜が得られた。この多孔質膜の誘電率を実施例1と同様に求めたところ、2.3であった。
【0030】
<実施例9>
2-ブタノンに多孔質化剤としてアゾジカルボンアミドを0.2重量%溶解させた溶液に、実施例8で得られた生成物が15重量%になるように添加混合して第1分散液を調製した。この第1分散液を実施例1と同様にSi基板上にスピンコーティングした。このコーティング膜を有する基板を窒素雰囲気下に維持して250℃で1分間加熱し、続いて400℃で30分間加熱した。これらの熱処理によって得られた膜の断面をSEMにより観察したところ膜厚は400nmであった。またクラックのない均一な多孔質膜が得られた。この多孔質膜の誘電率を実施例1と同様に求めたところ、2.1であった。
【0031】
<実施例10>
テトラヒドロフランに多孔質化剤としてポリビニルアルコールを3重量%溶解させた溶液に、実施例8で得られた生成物が15重量%になるように添加混合して第1分散液を調製した。この第1分散液を実施例1と同様にSi基板上にスピンコーティングした。このコーティング膜を有する基板を窒素雰囲気下に維持して300℃で1分間加熱し、続いて400℃で30分間加熱した。これらの熱処理によって得られた膜の断面をSEMにより観察したところ膜厚は350nmであった。またクラックのない均一な多孔質膜が得られた。この多孔質膜の誘電率を実施例1と同様に求めたところ、2.4であった。
【0032】
<実施例11>
先ず、有機ケイ素化合物としてC8F17CH2CH2Si(OCH3)3を28.4g及びCH2CHSi(OCH3)3を2.5g、溶媒として1,1,2-トリクロロ2,2,1-トリフルオロエタン300gをそれぞれ用意した。
実施例1と同一の三つ口フラスコに有機ケイ素化合物と溶媒をそれぞれ入れて30℃に保持しながら10%テトラヒドロアンモニウムヒドロキシド-メタノール溶液5.2g及び水4gをそれぞれ滴下した。次いで、混合液を24時間攪拌して加水分解及び縮合反応を完結させた。これを元素分析、IRスペクトル、29Si-NMRスペクトル及びGPCの溶出時間をポリスチレン換算により分子量を概算した結果より、得られた生成物を(C8F17CH2CH2SiO1.5)6(CH2CHSiO1.5)2と同定した。
次に、2-ブタノンに多孔質化剤としてアゾビスイソブチロニトリルを2.0重量%溶解させた溶液に、上記生成物が10重量%になるように添加混合して第1分散液を調製した。この第1分散液を実施例1と同様にSi基板上にスピンコーティングした。このコーティング膜を有する基板を窒素雰囲気下に維持して120℃で5分間加熱し、続いて400℃で30分間加熱した。これらの熱処理によって得られた膜の断面をSEMにより観察したところ膜厚は250nmであった。またクラックのない均一な多孔質膜が得られた。この多孔質膜の誘電率を実施例1と同様に求めたところ、2.2であった。
【0033】
<実施例12>
2-ブタノンに多孔質化剤としてアゾビスイソブチロニトリルを5.0重量%溶解させた溶液に、実施例11で得られた生成物が10重量%になるように添加混合して第1分散液を調製した。この第1分散液を実施例1と同様にSi基板上にスピンコーティングした。このコーティング膜を有する基板を窒素雰囲気下に維持して120℃で5分間加熱し、続いて400℃で30分間加熱した。これらの熱処理によって得られた膜の断面をSEMにより観察したところ膜厚は300nmであった。またクラックのない均一な多孔質膜が得られた。この多孔質膜の誘電率を実施例1と同様に求めたところ、2.0であった。
<実施例13>
テトラヒドロフランに多孔質化剤としてヒドラゾジカルボンアミドを3.0重量%溶解させた溶液に、実施例11で得られた生成物が10重量%になるように添加混合して第1分散液を調製した。この第1分散液を実施例1と同様にSi基板上にスピンコーティングした。このコーティング膜を有する基板を窒素雰囲気下に維持して250℃で1分間加熱し、続いて400℃で30分間加熱した。これらの熱処理によって得られた膜の断面をSEMにより観察したところ膜厚は300nmであった。またクラックのない均一な多孔質膜が得られた。この多孔質膜の誘電率を実施例1と同様に求めたところ、2.3であった。
【0034】
<実施例14>
先ず、有機ケイ素化合物としてCF3CH2CH2Si(OCH3)3を10.9g及びH2NC3H6Si(OC2H5)3を11.1g、溶媒として1,4ジオキサン154gをそれぞれ用意した。
実施例1と同一の三つ口フラスコに有機ケイ素化合物と溶媒をそれぞれ入れて90℃に保持しながら1N-KOHを8.5g滴下した。次いで、混合液を6時間攪拌して加水分解及び縮合反応を完結させた。これを元素分析、IRスペクトル、29Si-NMRスペクトル及びGPCの溶出時間をポリスチレン換算により分子量を概算した結果より、得られた生成物を(CF3CH2CH2SiO1.5)8(H2NC3H6SiO1.5)8と同定した。
次に、シクロヘキサノンに上記生成物が15重量%になるように添加混合し、この液に粒子状多孔質化剤として平均粒子径7nmのシリカ粉末0.5重量%を分散して第2分散液を調製した。この第2分散液を実施例1と同様にSi基板上にスピンコーティングした。このコーティング膜を有する基板を窒素雰囲気下に維持して250℃で1分間加熱し、続いて400℃で20分間加熱した。これらの熱処理によって得られた膜の断面をSEMにより観察したところ膜厚は800nmであった。またクラックのない均一な多孔質膜が得られた。この多孔質膜の誘電率を実施例1と同様に求めたところ、2.3であった。
【0035】
<実施例15>
2-プロパノールに実施例14で得られた生成物が15重量%になるように添加混合し、この液に粒子状多孔質化剤として平均粒子径15nmのシリカ粉末1重量%を分散して第2分散液を調製した。この第2分散液を実施例1と同様にSi基板上にスピンコーティングした。このコーティング膜を有する基板を窒素雰囲気下に維持して250℃で1分間加熱し、続いて400℃で20分間加熱した。これらの熱処理によって得られた膜の断面をSEMにより観察したところ膜厚は1000nmであった。またクラックのない均一な多孔質膜が得られた。この多孔質膜の誘電率を実施例1と同様に求めたところ、2.0であった。
【0036】
<実施例16>
先ず、有機ケイ素化合物としてCF3CF2CH2CH2Si(OCH3)3を13.4g、HSi(OCH3)3を2.0g、溶媒としてアセトン30gをそれぞれ用意した。
実施例1と同一の三つ口フラスコに有機ケイ素化合物と溶媒をそれぞれ入れて50℃に保持しながら約30分間かけてトリエチルアミン1gと水2gをそれぞれ滴下した。次いで、混合液を24時間攪拌して加水分解及び縮合反応を完結させた。これを元素分析、IRスペクトル、29Si-NMRスペクトル及びGPCの溶出時間をポリスチレン換算により分子量を概算した結果より、得られた生成物を(CF3CF2CH2CH2SiO1.5)9(HSiO1.5)3と同定した。
次に、ジエチルケトンに多孔質化剤としてエチレングリコールモノエチルエーテルを2.0重量%溶解させた溶液に、上記生成物が10重量%になるように添加混合して第1分散液を調製した。この第1分散液を実施例1と同様にSi基板上にスピンコーティングした。このコーティング膜を有する基板を窒素雰囲気下に維持して150℃で1分間加熱し、続いて400℃で30分間加熱した。これらの熱処理によって得られた膜の断面をSEMにより観察したところ膜厚は250nmであった。またクラックのない均一な多孔質膜が得られた。この多孔質膜の誘電率を実施例1と同様に求めたところ、2.3であった。
【0037】
【発明の効果】
以上述べたように、光酸発生剤などの多孔質化剤をF等を含有した有機溶媒などの第1溶媒に溶解し、(Rf1-X1-(CH2)a-SiO1.5)m、(Rf1-X1-(CH2)a-SiO1.5)m(Rf2-(X2)c-(CH2)b-SiO1.5)n及び(Rf1-X1-(CH2)a-SiO1.5)m(R-(X2)c-(CH2)b-SiO1.5)nの一般式群から選ばれた1種又は2種以上の有機ケイ素化合物を多孔質化剤を溶解した溶液又は多孔質剤とともに第1溶媒に添加混合して第1分散液を調製し、この第1分散液を基板にコーティングし、形成されたコーティング膜から多孔質化剤を気化又は分解させることにより微細孔を生じさせることにより、1.5〜2.5の誘電率を有する多孔質膜が得られる。この多孔質膜はクラックが発生せず、かつ低誘電率を有するため、半導体装置用層間絶縁膜として利用することができ、層間絶縁膜の膜特性が向上する。更に、この多孔質膜を層間絶縁膜に用いた半導体装置は配線遅延を生じない。
Claims (20)
- ペルフルオロアルキル基を含むかご型多面体構造を有する有機ケイ素化合物からなる膜内部に空隙を有する多孔質膜であって、
前記有機ケイ素化合物が下記一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)にそれぞれ示される化合物群から選ばれた1種又は2種以上の化合物であり、
1.5〜2.5の誘電率を有することを特徴とする有機ケイ素化合物からなる多孔質膜。
(Rf1-X1-(CH2)a-SiO1.5)m ……(1)
式中Rf1は炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基、X1は2価結合基、aは0〜10の整数、mは4〜20の整数である。
(Rf1-X1-(CH2)a-SiO1.5)m(Rf2-(X2)c-(CH2)b-SiO1.5)n ……(2)
式中Rf1とRf2は炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基、X1とX2は2価結合基、aとbは0〜10の整数、cは0又は1の整数、mとnは1〜19の整数であり、かつm+nは4〜20の整数であり、Rf1とRf2、X1とX2、及びaとbの少なくとも一つの組合わせは互いに同一ではない。
(Rf1-X1-(CH2)a-SiO1.5)m(R-(X2)c-(CH2)b-SiO1.5)n ……(3)
式中Rf1は炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基、Rはビニル基、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基又は水素、X1とX2は2価結合基、aとbは0〜10の整数、cは0又は1の整数、mとnは1〜19の整数、m+nは4〜20の整数である。 - 膜内部の空隙の平均孔径が0.1〜100nmの微細孔であり、かつ空隙率が10〜80%であって、クラックを有しない請求項1記載の多孔質膜。
- 一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)に示される有機ケイ素化合物の結合基X1又はX2が-CH2-、-CH2O-、-O-、-N(R1)-、-S-、-SO2N(R1)-、-COO-又は-CON(R1)-である請求項1記載の多孔質膜。
ここでR1は水素、又は炭素数1〜10のアルキル基又はアルケニル基である。 - 一般式(2)及び一般式(3)に示される有機ケイ素化合物のペルフルオロアルキル基Rf1又はRf2の炭素数が1〜10、結合基X1が-CH2-又は-SO2N(C3H7)-、aが1〜5、結合基X2が-CH2-、-CH2O-又は-C3H6-、bが1〜5、cが1である請求項1記載の多孔質膜。
- 請求項1ないし4いずれか1項に記載の多孔質膜を製造する方法であって、
多孔質化剤を第1溶媒に溶解する工程と、
請求項1記載の一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)にそれぞれ示される有機ケイ素化合物の群から選ばれた1種又は2種以上の有機ケイ素化合物を前記多孔質化剤を溶解した溶液又は前記多孔質剤とともに前記第1溶媒に添加混合して第1分散液を調製する工程と、
前記第1分散液を基板にコーティングし、コーティング膜を形成する工程と、
前記形成されたコーティング膜から多孔質化剤を気化又は分解させることにより微細孔を生じさせる工程と
を含む有機ケイ素化合物からなる多孔質膜の製造方法。 - 請求項1ないし4いずれか1項に記載の多孔質膜を製造する方法であって、
請求項1記載の一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)にそれぞれ示される有機ケイ素化合物の群から選ばれた1種又は2種以上の有機ケイ素化合物を第1溶媒に添加混合した液に粒子状多孔質化剤を分散して第2分散液を調製する工程と、
前記第2分散液を基板にコーティングし、コーティング膜を形成する工程と、
前記コーティングした基板を熱処理することにより前記粒子状多孔質化剤の粒子間に空隙を生じさせる工程と
を含む有機ケイ素化合物からなる多孔質膜の製造方法。 - 粒子状多孔質化剤が一次平均粒径1〜50nmのシリカ粉末である請求項6記載の多孔質膜の製造方法。
- 一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)の化合物が下記一般式(4)で示される1種の有機ケイ素化合物、又は下記一般式(4)と下記一般式(5)又は下記一般式(6)で示される2種の有機ケイ素化合物を、第2溶媒中で、水及び塩基性化合物を触媒として加水分解及び縮合することにより製造された請求項5又は6記載の多孔質膜の製造方法。
Rf1-X1-(CH2)a-Si(Y)3 ……(4)
Rf2-(X2)c-(CH2)b-Si(Y)3 ……(5)
R-(X2)c-(CH2)b-Si(Y)3 ……(6)
式中、Yは炭素数1〜10のアルコキシド基又は塩素であり、Rf1、Rf2、R、X1、X2、a、b、cは請求項1,3又は4のいずれかに記載した意味と同じである。 - 第2溶媒がO、N、F及びClから選ばれた少なくとも1種の元素を含有する有機溶媒であり、塩基性化合物が金属水酸化物、アミン化合物又は4級アンモニウム塩水酸化物である請求項8記載の多孔質膜の製造方法。
- 多孔化質剤が沸点又は分解温度80〜350℃の有機化合物であり、微細孔を生じさせる工程がコーティングした基板を前記沸点又は分解温度以上の温度で熱処理する工程である請求項5記載の多孔質膜の製造方法。
- 多孔質化剤がO、N、F及びClから選ばれた1種又は2種以上の元素を含有する沸点が80〜250℃の有機溶媒であり、微細孔を生じさせる工程がコーティングした基板を前記沸点又は分解温度以上の温度で熱処理する工程である請求項5記載の多孔質膜の製造方法。
- 多孔質化剤が分解温度100〜300℃のアゾ系化合物であり、微細孔を生じさせる工程がコーティングした基板を前記沸点又は分解温度以上の温度で熱処理する工程である請求項5記載の多孔質膜の製造方法。
- 多孔質化剤が光酸発生剤又は光塩基発生剤であり、微細孔を生じさせる工程がコーティングした基板を紫外線照射を行うことにより前記光酸発生剤又は光塩基発生剤を分解させる工程である請求項5記載の多孔質膜の製造方法。
- 光酸発生剤が非金属系のオニウム塩、スルホン類又はスルホン酸エステル類である請求項13記載の多孔質膜の製造方法。
- 第1溶媒がO、N、F及びClから選ばれた少なくとも1種の元素を含有する有機溶媒である請求項5又は6記載の多孔質膜の製造方法。
- 有機溶媒がアルコール、エーテル又はケトン類である請求項15記載の多孔質膜の製造方法。
- 多孔質化剤を溶解した第1溶媒に請求項1記載の一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)にそれぞれ示される有機ケイ素化合物の群から選ばれた1種又は2種以上の有機ケイ素化合物が分散してなる分散液。
- 請求項1記載の一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)にそれぞれ示される有機ケイ素化合物の群から選ばれた1種又は2種以上の有機ケイ素化合物を第1溶媒に添加混合した液に粒子状多孔質化剤が分散してなる分散液。
- 請求項1ないし4いずれか記載の多孔質膜が半導体基板上に形成された半導体装置用低誘電率層間絶縁膜。
- 請求項19記載の低誘電率層間絶縁膜を用いた半導体装置。
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