JP4825292B2 - 舶用ディーゼルエンジンの異常検出方法 - Google Patents

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Description

請求項に係る発明は、舶用二サイクルディーゼルエンジンにおけるシリンダーとピストンとの摺動部におけるブローバイやスカッフィング等の摺動異常を検出する異常検出装置等に関するものである。
ディーゼルエンジンの運転においては、粗悪燃料油の使用等による燃焼不良等の場合に、シリンダとピストンとの間に焼付きなどの摺動異常が発生することがある。摺動異常は出力の低下をもたらすだけでなく、シリンダおよびピストンの損傷を招き、エンジンの運転が不能となることもある。
従来、シリンダーとピストン間の摺動異常の検出については、下記に示す文献がある。すなわち、特許文献1、2および非特許文献1、2には、シリンダライナ(またはシリンダ)の外壁に埋め込まれた温度検出器により外壁温度の上昇を感知して異常摺動の発生を検出する技術が記載されている。
特許文献1では、異常の影響をあまり受けない位置に設置した第一温度検出器と異常摩擦発生時に生じる高温を検出する第二温度検出器での検出信号を比較し、その結果が正常状態と異なる場合に異常と判定する異常温度検出装置を示している。
また非特許文献2では、スカッフィング(シリンダーの異常磨耗)を早期に発見するため、予兆として現れる温度パターンを検出して異常検知判断を行う装置が示されている。
いずれの文献に記載の技術も、シリンダとピストン間の異常磨耗を、シリンダライナ外壁部に組み込んだ温度検出器で検出して異常状態の判定を行うものである。特許文献1では「高温燃焼ガス温度を検出する」と記載された部分もあるが、外壁に埋め込んだ温度検出器で測定する温度を燃焼ガスの温度として扱っているにすぎない。
特開昭60−32941号公報 特開平7−198544号公報
日本マリンエンジニアリング学会誌 第38巻 第12号(2003−12)「ディーゼル機関シリンダライナにおけるスカフィングの原因,予知診断および予防保全」 日本マリンエンジニアリング学会誌 第41巻 第6号(2006)「過大磨耗が発生する前にスカッフィングを検知するT−MAS」
上記の各文献に記載の方式では、シリンダライナの外壁部に穴開け加工が必要である。しかしシリンダライナ外壁部は、ディーゼルエンジン運転中の応力レベルが高く、穴開け加工に特別な配慮が必要であり、加工に必要なコストも高い。
また上記各文献の技術では、外壁の金属部の温度を検出していることから、ガス温度を直接的には検出できていない。そのため、ピストン周りに設置しているピストンリングの異常磨耗によるシール不良に基づくブローバイ現象(ピストンリングとシリンダライナ間からのガス漏れ)は検出することが難しい。
上述の技術では、検出器の耐久性の点でも好ましくない。すなわちシリンダライナ部は爆発力を直接的に受ける部分であるため、それに埋め込んだ検出器は常時大きな振動を受けることになり、耐久性が低下しやすい。
請求項に係る発明は、以上の点を考慮してなしたもので、温度検出器を取り付けるために必要な加工を容易にし、ブローバイの検出をも可能にするうえ、検出器の耐久性を向上させることもできる舶用ディーゼルエンジンの異常検出方法を提供するものである。
発明に関する舶用ディーゼルエンジンの異常検出装置は、掃気室内のうち掃気口付近にてガス温度を検出する掃気口温度検出器を有するとよい。
シリンダライナやピストンリングの異常摩耗によってブローバイが発生すると、掃気ポートから漏れ出る高温ガスにより掃気口付近のガス温度が上昇する。この異常検出装置によれば、ブローバイによって掃気口付近へ漏れ出る高温ガスを、掃気口付近に設置した上記の温度検出器(掃気口温度検出器)によって直接検出することができる。スカッフィングが起こる前の初期段階ではブローバイが必ず発生するため、こうしてブローバイを検出することで、スカッフィングをも事前に検知できることになる。
また、この異常検出装置では、加工の難しいシリンダライナ外壁部に温度検出器を埋め込む必要がないので、検出器設置のための加工コストが低減できる。ディーゼル機関の最大の振動源であるシリンダライナから離れているため、温度検出器の耐久性の観点からも望ましい。
上記の異常検出装置は、上記の掃気口温度検出器が、掃気室の壁に設けられた穴に、当該壁の外側から挿入され当該壁の外側において固定されることにより取り付けられているとよい。
温度検出器を、加工の難しいシリンダライナ外壁部にではなく、より一般的な材料が使用される掃気室の壁に設けられた穴に取り付けることから、この装置では、検出器設置のための加工コストがとくに低減される。温度検出器を、掃気室の壁の外側から挿入され当該壁の外側において固定される形で取り付けるため、その取り付けおよび取り外しも容易である。異常時に漏れ出てくる高温ガスを当該検出器が直接検出できるうえ、検出器の耐久性の面でも好ましい、といった点は、発明に関する前述の装置と同様である。なお、掃気口付近に点検用の開閉ハッチ等があれば、掃気室の壁として当該ハッチ等に温度検出器を設置するのも好ましい。
上記の異常検出装置は、上記の掃気口検出器からの信号を受け、その信号が示す温度が基準値を超えたとき異常信号を発する判定器を有するとよい。
こうした判定器(たとえば後述の温度異常判定装置)の使用により、人的判断に頼らない異常判定をすることができ、判定精度が向上する。
発明に関する異常検出装置は、掃気室内のうち掃気口付近にてガス温度を検出する掃気口温度検出器と、掃気管内のガス温度を検出する掃気管内温度検出器とを有するとともに、それらの温度検出器の信号を受け、双方の温度検出器の信号が示す温度の差が基準値を超えたとき異常信号を発する判定器を有するとよい。
これによれば、運行地域や天候等による外気温度の影響を矯正して、上述の検出をさらに高精度にすることができる。
すなわち、エンジンを搭載した船舶は広い領域を航海しており、外気温度が高い地域や低い地域があるうえ天候も大幅に変化する。外気温度が上昇すると、それに応じて掃気管温度も上昇し、ひいては掃気口温度も上昇することになる。したがって掃気口温度が上昇したのみでは、かならずしもブローバイ現象によって掃気口温度上昇したとは確定しにくい場合がある。
そこで、この検出装置では、掃気管内のガス温度を検出する掃気管温度検出器を設けることによって掃気口温度と掃気管温度の差を取り、この温度差の通常状態からの変化の幅を判定条件とする。そうすれば、掃気口温度が上昇した場合に、ブローバイすなわちシリンダの摺動異常によるものか、単に外気温度が上昇したことによるものかを、さらに精度よく判定できることになる。
発明に関する異常検出装置においては、掃気室内のうち掃気口付近にてガス温度を検出する掃気口温度検出器と、掃気管内のガス温度を検出する掃気管温度検出器と、エンジンの負荷を検出する負荷検出器とを有するとともに、それらの温度検出器および負荷検出器の信号を受け、双方の温度検出器の信号が示す温度の差が、負荷検出器の信号が示すエンジンの負荷に対応づけられる基準値を超えたとき異常信号を発する判定器を有すると好ましい。負荷検出器としては動力計を使用することができるが、過給器回転数の検出器やガバナのラック位置検出器を用い、それらが検出する過給器回転数またはガバナのラック位置をエンジンの負荷に置き換えることとしてもよい。
この異常検出装置では、ディーゼルエンジンの負荷に応じて燃焼ガス温度が変化することを考慮して、以下のごとくさらに判定判断を改善できる。
ディーゼルエンジンでは、運転負荷が大きくなると一般に燃焼室ガス温度が上昇してくる。そのため、掃気口温度検出器と掃気管温度検出器出力との間の温度差が、船舶の運転負荷状態によって基準づけられる値を超えたときに異常と判定することで、検出された当該温度差の拡大が、シリンダ摺動の異常によるものか単にエンジン負荷が変化したことによるものかを判断することができる。なお、掃気口温度と掃気管温度との温度差に基づいて判断するので、外気温度の変化による影響を受けないようにできることはいうまでもない。
発明に関する舶用ディーゼルエンジンは、上記の異常検出装置を備えているものが好ましい。
そのようなエンジンでは、温度検出器の取り付けに要するコストを抑えながら、上述した好ましい異常検出を行うことができる。
発明に関する舶用ディーゼルエンジンの異常検出方法は、掃気室内のうち掃気口付近のガス温度である掃気口温度を検出し、またはさらに、掃気管内のガス温度である掃気管温度をも検出し、検出される掃気口温度が基準値を超えること、または、検出される掃気口温度と掃気管温度との温度差が基準値を超えることをもって、異常とするのがよい。
この方法は、たとえば上述の装置を用いて実施することができ、a)ブローバイの段階からシリンダライナ等の異常摩耗を検出できる、b)温度を検出するために、特殊な材料でできたシリンダライナ等に困難な加工をして温度検出器を取り付ける必要がない、c)温度を検出するための手段について耐久性を向上させられる、といったメリットをもたらす。さらに掃気管温度をも検出し、検出される掃気口温度と掃気管温度との温度差が基準値を超えることをもって異常とする場合には、運行地域や天候等による外気温度の影響を矯正して、一層高精度な異常検出を行うことができる。
発明に関する異常検出方法は、掃気室内のうち掃気口付近のガス温度である掃気口温度と、掃気管内のガス温度である掃気管温度と、エンジンの負荷とを検出し、検出される掃気口温度と掃気管温度との温度差が、検出されるエンジンの負荷に対応づけられる基準値を超えることをもって異常とするのがよい。
このようにすれば、上記の方法によるメリットに加えて、エンジンの負荷による温度変化の影響を矯正して、さらに高精度な異常検出を行うことが可能になる。
発明に関する異常検出方法は、上記の方法に加え、検出される掃気口温度と掃気管温度との温度差を平均化処理するとともに、検出されるエンジンの負荷を平均化処理したうえで上記基準値への対応づけを行うこととし、検出されるエンジンの負荷が整定された段階で、平均化処理した上記の温度差が上記の対応づけによる基準値を超えるか否かを判定し、基準値を超えることをもって異常とするのがよい。この方法は、たとえば図5に示す手順によって行うことができる。
この方法によれば、掃気口温度や掃気管温度、さらにはエンジンの運転負荷が時間的に変化している場合においても、好ましい異常検出が行える。つまり、エンジンの運転については、起動から順次出力を上昇させ、定常運転時においてもその運転状況に応じて出力が変化することがある。検出される掃気口温度と掃気管温度との温度差、および検出されるエンジンの負荷をそれぞれ平均化処理するとともに、上記温度差が上記基準値を超えるか否かを判定するタイミングをエンジン負荷が整定されたときとすることで、瞬時的なあるいは継時的な変化を誤って異常と判定しないようにすることができる。
発明に係る舶用ディーゼルエンジンの異常検出方法は、とくに、シリンダーとピストンとの摺動異常を検出するため、掃気室内のうち掃気口付近のガス温度である掃気口温度を検出するとともに、掃気管内のガス温度である掃気管温度を検出し、掃気口温度と掃気管温度との温度差を平均化処理することにより平均値を求め、それ以前に同様に求めた平均値と比較して基準以上に上昇していることをもって、異常とすることを特徴とする。
これについて、さらに、
・ 上記の掃気口温度を検出する掃気口温度検出器が、ブローバイ発生時の高温ガスが漏れ出る掃気口に面したすぐ外側に感温部を位置させたものであること、
・ 上記の掃気口温度検出器が、掃気室の壁に設けられた穴に、当該壁の外側から挿入され当該壁の外側において固定されることにより取り付けられていること、
もそれぞれ好ましい。
発明に関する異常検出装置によれば、スカッフィングのみならずその前の段階で生じるブローバイ現象をも検出することができ、シリンダライナやピストンリングの異常摩耗を早期に検出することが可能となる。検出器を取り付けるための加工コストが低減できるほか、温度検出器の耐久性を確保する点でも好ましい。
発明に関する他の異常検出装置では、温度検出器の設置がとくに容易で安価であるとともに、メンテナンス等のための温度検出器の取り付けおよび取り外しも容易である。
発明に関する他の異常検出装置を採用することで、人の主観に頼らない異常判断が可能となり、ヒューマンエラーが防止できる。
発明に関する他の異常検出装置の採用によって、外気状態の変化に応じた異常判定条件を取り入れることができるようになり、異常判断の精度が向上する。
発明に関する他の検出装置では、とくに、運転時における様々なエンジン負荷状況を判定判断に取り入れて、異常判断の精度がさらに向上する。
発明に関するディーゼルエンジンでは、上記の異常検出装置を用いて好ましい異常判定が行えるうえ、温度検出器の取り付けに要するコストが抑えられる。異常検出装置にて異常が検出されると、当該異常が進行する前に、シリンダの内壁やピストンリングへ向けての注油量の調整やシリンダの点検を実施するなど適切な対処をとることができる。
発明に関する異常検出方法によれば、ブローバイの段階からシリンダライナ等の異常摩耗を早期に検出できるほか、温度検出手段の取り付けが容易であり、また当該手段の耐久性を向上させられる、といったメリットがある。外気温度の影響を矯正して一層高精度な異常検出を行うことも可能である。
発明に関する他の異常検出方法によれば、さらに、エンジンの負荷による温度変化の影響をなくしてさらに高精度な異常検出を行うことができる。
発明に関する他の検出方法を採用すると、とくに、瞬時的・継時的な変化による誤差をなくしてディーゼルエンジンの異常検出の精度向上をはかることができる。
発明の実施についての形態を示すもので、断面図にて示すディーゼルエンジン1と、その掃気口7付近に設置した掃気口温度検出器10等を示す。 掃気口温度検出器10を組み込んだ異常検出装置の概念図である。 掃気管温度検出器12をさらに組み込んだ異常検出装置の概念図である。 さらにエンジン負荷をも異常判定に組み込んだ異常検出装置の概念図である。 異常判定のロジック例を示す機能ブロック図である。
図1および図2に第一の形態を紹介する。
図1には二サイクルの舶用ディーゼルエンジン1を示している。エンジン1の上部にはシリンダ2とその中を移動するピストン3があり、シリンダ2内に噴射された燃料と吸入された空気とが混合されて爆発し、ピストン3を押し下げる。ピストン3の動きはコネクティングロッド4を介してクランク5を動かし、主軸6に回転運動を与える。主軸6の回転運動がディーゼルエンジン1の出力となる。主軸6の長さ方向に複数のシリンダ2が配置され、それぞれに対してピストン3やコネクティングロッド4が設けられている。
各シリンダ2の下部には、燃焼用空気を取り込むための掃気口7が設けられている。掃気口7の周りにはシリンダ2ごとに掃気室8がある。それぞれの掃気室8は、外気に通じる掃気管9で連結されている。
図1および図2の例では、掃気口7の近傍に温度検出器(掃気口温度検出器)10を設置している。
シリンダ2とピストン3との摺動部において、保守不良や潤滑油の不足などにより摺動異常が生じると、摺動面の摩擦が増大し、ブローバイ現象が生じるとともにその後にスカッフィングが発生しがちである。ブローバイが生ずると高温の排気ガスがピストン3の下に漏れ、それが掃気口7に流出してきて、付近の温度が上昇する。この事例では、掃気口温度検出器10によって、ブローバイにより漏れてくる高温の燃焼ガスを直接温度測定することで、摺動異常を早期に検出するようにしたものである。
掃気口温度検出器10は、掃気室8の外壁11を貫通するように形成した穴に外側から挿入することにより取り付けている。その外壁1の穴に設けたねじ部に検出器10のねじ部をはめ付けること等により、掃気室8の外側から検出器10を固定する。検出器10の先端の感温部は、掃気室8内のうち掃気口7に面したすぐ外側に位置させ、掃気口7から漏れ出るガスの温度(掃気口温度)を測定できるようにしている。なお、掃気室8の外壁11は一般鋳鉄であるため、上記の穴の加工は容易である。
掃気口7の外側付近に点検用途などの蓋があれば、温度検出器10の取り付け用の穴をその蓋に加工することも可能である。そのような蓋に加工をすることができれば、温度検出器10の取り付けやそのメンテナンス等がさらに容易となる。
掃気口温度検出器10には測温抵抗体を使用しているが、熱電対を用いても同様に実施できる。
この事例では、掃気口温度検出器10の出力を判定器に送り、ディーゼルエンジン1における摺動異常の発生を当該判定器に判断させるようにしている。図2に示す信号線13の先にその判定器(図示省略)を接続し、温度検出器10の出力(掃気口7付近の温度)が通常状態から逸脱上昇した場合に異常を判定し、警報するようにしている。
つづく図3には第二の形態を示している。この例では、図1・図2の例と同様に掃気口温度検出器10を取り付けたことに加え、掃気管9にも温度検出器(掃気管温度検出器)12を設置している。すなわち、掃気管9の外壁に穴あけ加工を行い、当該外壁の外側から温度検出器12を挿入して固定し、先端の感温部を掃気管9内に挿入して内部のガス温度(掃気管温度)を測定する。
なんら異常のない通常運転状態では掃気口温度検出器10と掃気管温度検出器12の出力にはわずかな差しかないが、シリンダ2とピストン3との間で摺動異常が生じて燃焼ガスがブローバイするようになると、掃気口温度検出器10の出力である掃気口温度のみが上昇し、掃気管温度検出器12の出力との間に差が生じて通常状態から逸脱してくる。図3の例は、それら出力の差(すなわち温度差)に基づいて異常を検出するものである。異常の判定は判定器(温度異常判定装置)14に行わせることとし、信号線13および15によって掃気口温度検出器10の出力と掃気管温度検出器12の出力を判定器14に伝えている。
図4および図5には第三の形態を示す。この例でも、図3の例と同様に掃気口温度検出器10と掃気管温度検出器12とを取り付け、それらの出力を判定器(温度異常判定装置)14に送って異常の判定をさせている。ただしこの例では、下記に示すようにディーゼルエンジン1の負荷に応じた基準値を判定条件に入れることで、異常検出の精度をさらに高めている。
ディーゼルエンジン1の燃焼ガス温度は、エンジンの負荷が増加すると高くなるなど、負荷に応じて変化する。そこで、掃気口温度検出器10の出力と掃気管温度検出器12の出力との差が、エンジンの負荷に応じて正常とされる基準値と比較して一定以上逸脱しているか否かによって異常を判定する。この例ではエンジン負荷検出器16として過給器の回転数検出器を使用し、エンジン負荷を過給機回転数で代用しているが、ガバナのラック位置信号や、動力計の出力、またはエンジンの回転数をもって代用することもできる。
図5には、図4の例において判定器14が行う異常判定ロジック例(機能ブロック図)を示している。
舶用ディーゼルエンジン1においては、起動時および運行時に、負荷状態を始め種々のデータについて時間的な変動がある。そこで、瞬時的なデータ変動を異常と誤って判断しないよう、検出された出力値を平均化処理して入力値とし、瞬時あるいは短時間の経時的変化事象を除外して異常を判定できるようにする。
そのために、まず、掃気口温度検出器10の出力である温度Tと掃気管温度検出器12出力である温度Tとの差(T−T)をとり、これをPBP温度Tとする。シリンダ2とピストン3間に摺動異常が生ずるとブローバイガスが漏れ出てくることで、PBP温度Tが異常に大きくなる。ただし、瞬時的な動きからの誤った判断を排除するよう、その温度Tについて時間平均をとる平均化処理Sを施している。
一方、シリンダ2内のガスの燃焼温度は負荷に応じて変化するため、負荷(たとえば過給器回転数)に応じたPBP温度の基準値を示す異常判定線(判定値関数。図5の下部に示すもの)を求め、これを判定器14に記憶させておく。
図4のエンジン負荷検出器16によってたとえば過給器の回転数Lを測定し続けるとともに、ディーゼルエンジン1の運転について整定判定Sを行い、運転が整定した時点でPBP温度Tの変化による判定を開始する。整定判定Sは、たとえば過給機回転数Lが±2%以内の変動で30分以上経過した場合をもって整定と判断する。
エンジン負荷に相当する過給器回転数Lについても、瞬時的な動作変化を排除するために平均化処理Sを行い、それによって得る平均過給器回転数を、判定器14が上記の異常判定線に当てはめて変化判定Sを行う。その結果、測定されて平均化処理SをされたPBP温度Tが異常判定線より上にあれば、摺動異常が発生したと判定し、その旨をランプまたはブザー等で警報Sする。
こうした異常判定ロジックは、マイコン、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)などで組むことにより容易に実現できる。
異常の判定がなされて警報が発せられると、運転員は、その状態に応じて給油量の増量や負荷の低減等を行うことができる。
摺動異常の検出は、最も簡易な方法として、掃気口温度検出器10の出力の上昇度合のみによって行うことも可能である。その場合、上昇幅を判定器に検知させて異常を判定させるのもよいが、人(運転員)が温度を目で見て判断することもできる。
エンジン負荷を考慮せずに上述のPBP温度のみを使用して判定を行うのもよい。たとえばPBP温度の平均値が30分前と比較して異常上昇(たとえば+4℃)した、といった事態が検出されると、摺動異常が発生していると判定する。
1 ディーゼルエンジン
2 シリンダ
7 掃気口
8 掃気室
9 掃気管
10 掃気口温度検出器
11 掃気室外壁
12 掃気管温度検出器
14 判定器(温度異常判定装置)
16 エンジン負荷検出器

Claims (3)

  1. シリンダーとピストンとの摺動異常を検出するため、掃気室内のうち掃気口付近のガス温度である掃気口温度を検出するとともに、掃気管内のガス温度である掃気管温度を検出し、
    掃気口温度と掃気管温度との温度差を平均化処理することによりその平均値を求め、それ以前に同様に求めた平均値と比較して基準以上に上昇していることをもって、異常とすることを特徴とする舶用ディーゼルエンジンの異常検出方法。
  2. 上記の掃気口温度を検出する掃気口温度検出器が、ブローバイ発生時の高温ガスが漏れ出る掃気口に面したすぐ外側に感温部を位置させたものであることを特徴とする請求項1に記載した舶用ディーゼルエンジンの異常検出方法。
  3. 上記の掃気口温度検出器が、掃気室の壁に設けられた穴に、当該壁の外側から挿入され当該壁の外側において固定されることにより取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載した舶用ディーゼルエンジンの異常検出方法。
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