JP4823919B2 - 除草剤耐性遺伝子及びその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、除草剤耐性遺伝子及びその利用に関し、詳細には除草剤耐性に関与するタンパク質、及びそれをコードする新規な遺伝子に関する。さらには、該遺伝子により形質転換された植物細胞、植物体および種子に関する。
近年、遺伝子工学的技術を用いて除草剤の影響を受けない除草剤耐性植物が開発されてきている。除草剤ホスフィノスリシン(PPT)は、非選択性の除草剤として利用されており、その作用機序としては、PPTが植物体に吸収された後、PPTによってグルタミン合成酵素が阻害され、植物体に有害なNH3が蓄積することにより植物が枯死することが知られている。
PPTに対する耐性に関与する遺伝子として、ホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ遺伝子が知られており、当該遺伝子産物は酵素反応によりPPTをアセチル化することにより除草効果を不活化することが知られている。
PPT耐性遺伝子としては、
(1)ストレプトミセス・ビリドクロモゲネス(Streptomyces viridochromogenes)から取得されたホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ遺伝子(特許文献1、2、3、非特許文献1)、
(2)ストレプトミセス・ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)から取得されたホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ遺伝子(非特許文献2、3)、
(3)放線菌AB2253株から取得されたホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ遺伝子(特許文献4)、
(4)ストレプトミセス・コエリカラー(Stereptomyces coelicolor)から取得されたホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ遺伝子(非特許文献4)、
(5)大腸菌(Escherichia coli)から取得されたホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ遺伝子(NCBI No.7427901)、
(6)アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)から取得されたホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ遺伝子(NCBI No.17739287)、
(7)バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)から取得されたホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ遺伝子(NCBI No.2636181)、
などが知られている。
特開昭63−71183号公報 特許第3062125号公報 特開平9−107981号公報 特許第2539901号公報 「ジーン(Gene)」、1988年、63巻、65〜74頁 「モレキュラー ジェネラル ジェネティックス(Molecular General Genetics)」、1986年、205巻、42〜50頁 「ザ エンボ ジャーナル(The EMBO Journal)」1987年、6巻、2519〜2523頁 「ジーン(Gene)」、1991年、104巻、39〜45頁
本発明の課題は、新規な除草剤耐性遺伝子を提供することであり、また該遺伝子でコードされるタンパク質を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意努力した。そして後述される除草剤ホスフィノスリシン(PPT)に対する耐性遺伝子および該遺伝子が導入されて除草剤耐性が増強された形質転換体を構築することに成功した。すなわち、本発明の要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)下記の(A)又は(B)のタンパク質。
(A)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
(B)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は付加を含むアミノ酸配列からなり、かつ、除草剤耐性活性を有するタンパク質。
(2)下記の(A)又は(B)のタンパク質をコードするDNA。
(A)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
(B)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は付加を含むアミノ酸配列からなり、かつ、除草剤耐性活性を有するタンパク質。
(3)下記の(a)又は(b)のDNAである前記DNA。
(a)配列番号1に記載の塩基配列のうち、塩基番号68〜592からなるDNA。
(b)配列番号1に記載の塩基配列のうち、塩基番号68〜592からなるDNAまたは同塩基配列から調製され得るプローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA。
(4)前記DNAを含む組換えベクター。
(5)前記DNA、又は前記組換えベクターで形質転換された形質転換植物細胞。
(6)前記DNA、又は前記組換えベクターで形質転換された形質転換植物。
(7)前記形質転換植物から得られる種子。
(8)前記DNA、又は前記組換えベクターで形質転換され、前記DNA又は組換えベクターに含まれる前記DNAが発現することにより、除草剤耐性を示す除草剤耐性植物体。
本発明の除草剤耐性遺伝子を内部に保有するDNA鎖を含有するストレプトミセス・エスピーAB3534株由来5.7kbBglII断片の制限酵素地図。 本発明の除草剤耐性遺伝子が導入された組換えイネ植物体(A)および対照の非組換え体「日本晴」植物体(B)にバスタ(PPT18.5%含有)液剤(バイエルクロップサイエンス社製)の200倍希釈液(雑草生育期処理濃度)を散布した2ヵ月後の生育状況を示す図(写真)。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のタンパク質は、下記の(A)又は(B)のタンパク質である。
(A)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
(B)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は付加を含むアミノ酸配列からなり、かつ、除草剤耐性活性を有するタンパク質。
配列番号2に示すアミノ酸配列を有するタンパク質は、ストレプトミセス・エスピー.(Streptomyces sp.)AB3534と命名された放線菌菌株から、除草剤耐性に関与する遺伝子として取得された遺伝子がコードするタンパク質である。
一般に、特定の機能や生理活性を有するタンパクをコードするアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は付加が生じた場合であっても、その機能や生理活性が維持される場合があることは当業者において広く認識されているところである。本発明には、このような修飾が加えられ、かつ除草剤耐性活性を有するタンパク質も含まれる。すなわち、配列表の配列番号2において、1若しくは複数のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は付加を含むアミノ酸配列からなり、かつ除草剤耐性活性を有するタンパク質も、本発明の範囲に含まれるものである。そのような改変されたタンパク質は、配列番号2に示すアミノ酸配列をコードするDNAに、例えば部位特異的変異法によって、特定の部位のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されるように変異を導入することによって、取得することができる。
前記「複数」としては、好ましくは2〜25個、より好ましくは2〜10個、特に好ましくは2〜5個である。あるいは、前記「複数」は、配列番号2のアミノ酸配列との相同性が、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上となるような値である。
本発明のタンパク質は、以下に説明する本発明のDNAを、適当な宿主で発現させることにより製造することができる。前記宿主としては、大腸菌、枯草菌などの細菌、酵母、昆虫培養細胞、動物培養細胞、植物培養細胞等が挙げられる。宿主細胞内で機能するプロモーター等の発現調節配列の下流に発現可能に連結された本発明のタンパク質をコードする本発明DNAを、宿主細胞に導入することにより宿主細胞を形質転換させる。このような形質転換は、本発明のDNAをプラスミドに連結して組換えプラスミドを構築し、そして、その得られた組換えプラスミドを宿主に導入することによって行うことができる。あるいは、相同組換え等によって本発明DNAを宿主内の染色体DNAに組込むことによって宿主を形質転換することもできる。得られる形質転換細胞を、前記プロモーター発現調節配列が機能する条件で培養することによって、本発明のタンパク質が産生される。
本発明のDNAは、前記本発明のタンパク質(A)又は(B)をコードするDNAである。タンパク質(A)をコードするDNAとして、配列番号1に記載の塩基配列のうち、塩基番号68〜592からなるDNAが挙げられる。
また、タンパク質(B)をコードするDNAとしては、配列番号1に記載の塩基配列のうち、塩基番号68〜592からなるDNAまたは同塩基配列から調製され得るプローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAが挙げられる。ここでいう「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。具体的に、相同性が高い2つの核酸同志、例えば70%以上、好ましくは80%、より好ましくは90%、特に好ましくは95%以上の相同性を有する2つのDNA同志がハイブリダイズするが、それより相同性の低い2つの核酸同志がハイブリダイズしないという条件が挙げられる。より具体的には、例えば68℃のハイブリダイゼーション溶液(500mM NaPiバッファー(pH7.2)、7% SDS、1mM EDTA)中において、核酸同士がハイブリダイズする条件が挙げられる。
上記ような、タンパク質(B)をコードするDNAは、タンパク質(A)をコードするDNAまたはこれを含有する細胞に対して変異処理を行い、その後に、変異したDNAまたはこれを含む細胞から、例えば配列表の配列番号1に記載の塩基番号68〜592塩基配列を有するDNAに対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを選択的に分離することによっても、取得することができる。
タンパク質(A)をコードするDNAは、本発明を完成する過程においては、後記実施例に示すように、ビアラホスを含む選択培地に放線菌を接種し、生育可能な菌株として選択されたストレプトミセス属に属する菌株から単離されたものである。尚、ビアラホスは、細胞内に取り込まれた後、加水分解を受け活性体PPTに変換される。上記菌株は、ストレプトミセス・エスピー.(Streptomyces sp.)AB3534と命名され、2004年10月26日に独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に受託番号FERM P−20273として寄託され、2005年10月5日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP−10430が付与されている。
タンパク質(A)をコードするDNAは、上記ストレプトミセス・エスピー.AB3534株又は同株と近縁の放線菌の染色体DNAから、配列番号1に示す塩基配列に基づいて調製されたオリゴヌクレオチドをプライマー又はプローブとするPCR又はハイブリダイゼーションによって、単離することができる。
本発明のDNAを保持する大腸菌の形質転換株は、非形質転換株が生育できない濃度のビアラホスを含む培地で生育することができる。
タンパク質(A)をコードするDNAを含むプラスミドpUC18−B2で形質転換されたエシェリヒア・コリJM109は、エシェリヒア・コリJM109/pUC18−B2と命名され、2004年10月26日に独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に受託番号FERM P−20272として寄託され、2005年10月5日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP−10429が付与されている。
本発明のDNA又はこれを含む組換えベクターを、本発明のDNAが発現可能な形態で植物細胞に導入することにより、同植物細胞又はこの細胞から再生させた植物体に除草剤に対する耐性を付与することができる。
植物細胞への本発明のDNAの導入は、既に確立されている公知の方法(「細胞工学別冊、モデル実験のプロトコール、イネ・シロイヌナズナ編」1996年、78〜81頁、秀潤社発行)により行うことができ、例えばアグロバクテリウム法、ウイスカ導入法、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法が挙げられる。
また、本発明のDNAを植物細胞内で発現させるためのプロモーターとしては、植物細胞において発現するものであればよく、ユビキチンプロモーター(「プラント モレキュラ バイオロジー(Plant Molecular Biology)」1992年、第18巻、675〜689)、CaMV35Sプロモーター(「ザ エンボ ジャーナル(The EMBO J.)」、第6巻、3901〜3907頁、(1987年))などが挙げられる。また、植物細胞内で機能するプロモーターを含むプラスミドとしてば、例えばpUBA(「プラント モレキュラ バイオロジー(Plant Molecular Biology)」1992年、18巻、675〜689)やpIG121Hm(「プラント セル フィジオロジー(Plant Cell Phisiology)」1990年、第31巻、805〜813)等が知られている。本発明のDNAを発現させるためのプロモーターは、構成的なプロモーターであってもよく、誘導可能なプロモーターであってもよい。
なお、本発明が適用できる植物として、例えばイネ、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、芝草、その他の単子葉植物、または、ダイズ、ワタ、ナタネ、ジャガイモ、テンサイ、シロイヌナズナ、タバコ、トマト、ハクサイ、キュウリなどの双子葉植物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。植物細胞から植物体への再生は、公知の方法によって行うことができる(「プラント ジャーナル(Plant Journal)」1994年、第6巻、271〜282)。
遺伝子導入後の細胞を、ビアラホスまたはPPTを含んだ培地上で一定期間培養することにより、形質転換細胞のみを選抜することが可能である。また、選抜された細胞からは、ビアラホスまたはPPTを含んだ培地上で一定期間培養することにより、除草剤耐性を有する植物体を再生させることが可能である。
上記のように得られる本発明のDNAを保持する植物体から種子を採取することにより、本発明のDNAを保持する植物種子が得られる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
〔実施例1〕除草剤耐性遺伝子のクローニング
(1)除草剤耐性菌のスクリーニング
ビアラホスを添加した選択培地に、出願人が保存する放線菌約500株を接種し、27℃で7日間培養した後、各菌の生育状態を調査した。前記選択培地は、グルコース 1%、L−アスパラギン 0.2%、NaCl 0.03%、MgSO4・7H2O 0.05%、微量元素溶液0.5%(V/V)(水1L中にZnCl2 40mg、FeCl3・6H2O 200mg、CuCl2・2H2O 20mg、MnCl2・4H2O 20mg、(NH46Mo724・4H2O 20mg、CoCl2・6H2O 20mg、CaCl2・2H2O 100mgを含む)、バクトアガー1.8%からなる組成の培地に、ビアラホスを50mg/lになるように加えた培地20mlを、直径9cmのプラスチックシャーレに入れ、固化させた寒天培地である。
その結果、選択培地上で生育の可能な菌株としてAB3534株を選別した。本スクリーニングにより得られたAB3534株の分類学的性質は下記のとおりである。なお、実験方法は「放線菌の分類と同定」(日本学会事務センター、2001年)に従った。
(a)菌体分析
全菌体加水分解物中のジアミノピメリン酸はLL型であった。
(b)16SrRNA遺伝子解析
16SリボゾームRNAの塩基配列の相同性は、配列番号3に示す配列を有するプライマーを用いて、586塩基の配列を決定し、DNAデータベースに登録された公知菌株のデータと比較した。この結果、本菌株の塩基配列は以下に示したとおりストレプトミセス属放線菌の16SrRNAと高い相同性を示した。
Figure 0004823919
以上の結果から、本菌株は、放線菌ストレプトミセス属に属する一菌株と同定した。この放線菌AB3534株は、ストレプトミセス・エスピー.(Streptomyces sp.)AB3534と命名した。
(2)ハイブリッドプラスミドの作製
ストレプトミセス・エスピーAB3534を、TRYPTIC SOY BROTH(DIFCO社製)100mlを分注した500ml容坂口フラスコにて27℃で3日間培養した。培養液を6000回転/分で、15分間遠心分離して菌体を集めた後、凍結乾燥し乳鉢で粉砕した。粉砕した菌体から、DNeasy Plant Maxi Kit(QIAGEN社製)にて全DNAを抽出した。このようにして得たDNA5μgを制限酵素BglII 20単位で37℃で2時間処理してDNAフラグメントを得た。一方、ストレプトミセス・リビダンス3131(ATCC35287)の菌体より抽出精製したプラスミドpIJ703のDNA1μgを、同様にBglIIで切断した。この両者のフラグメントを、ジーンクリーン(Bio101社製)にて精製した後、Takara Ligation kit(Takara社製)を用いて、16℃で3時間反応させた。このようにしてプラスミドpIJ703のBglII切断DNAフラグメントに、ストレプトミセス・エスピーAB3534の全DNAのBglII切断フラグメントを組み込んだ各種のハイブリッドプラスミドの混合物を得た。
(3)除草剤耐性遺伝子の検出とクローニング
上記のようにして得たハイブリッドプラスミド混合物を用い、ストレプトミセス・リビダンスのプロトプラストを形質転換した。プロトプラストを再生後、ビアラホス10mg/Lを添加した選択培地上で、ビアラホス耐性となった形質転換株を選別した。なお、宿主として用いたストレプトミセス・リビダンスは、ストレプトミセス・リビダンス3131から、プロトプラスト化及び再生によりプラスミドpIJ703を除去した菌株である。ストレプトミセス・リビダンス3131は、昭和60年に国立予防衛生研究所抗生物質部より入手したものである(「ザ ジャーナル オブ アンチバイオティクス(The Journal of Antibiotics)」1985年、第38巻、390〜400頁)。
形質転換に用いたストレプトミセス・リビダンスの上記プロトプラストの調製は、下記の通り行った。ストレプトミセス・リビダンスを、グルコース 1%、ポリペプトン(DIFCO社製) 0.4%、イーストエキストラクト(DIFCO社製) 0.4%、MgSO4・7H2O 0.05%、K2HPO4 0.1%、グリシン 0.05%よりなる組成の培地25mlに接種し、長さ1.5cm、直径1cmのステンレス製スプリングとともに100ml容の坂口フラスコに入れて、27℃で2日間培養した。この培養液2mlを、グルコース 1%、イーストエキストラクト(DIFCO社製) 0.3%、バクトペプトン(DIFCO社製) 0.5%、マルトエキストラクト(DIFCO社製) 0.3%、ショ糖 34%、MgCl2・6H2O 0.1%、グリシン 0.5%よりなる組成の培地100mlの入った500ml容坂口フラスコに加え、さらに27℃で2日間培養した。その培養液5mlより8000回転/分で10分間遠心分離して菌体を集め、0.5Mショ糖溶液で洗浄した後、70mM NaCl、5mM MgCl2、5mM CaCl2、0.4M ショ糖、25mM Good’TESバッファー(pH7.2)よりなる組成の緩衝液4mlに懸濁した。
上記細胞懸濁液に、40mg/ml卵白リゾチーム溶液を100μl加え、30℃で90分間保温してプロトプラストを得た。プロトプラスト化しない菌体を綿ろ過で除き、3500回転/分、10分間の遠心分離により、プロトプラストを集めた。集めたプロトプラストを70mM NaCl、10mM MgCl2、20mM CaCl2、0.4M ショ糖、25mM Good’TESバッファー(pH7.2)よりなる組成の緩衝液(PWP緩衝液)で1回洗浄後、同緩衝液に約1×109個/mlとなるように懸濁した。
上記のプロトプラスト懸濁液250μlに、前記(1)項で得たハイブリッドプラスミド混合物の溶液50μlと40%ポリエチレングリコール4000(和光純薬社製)溶液300μlを加えて、氷中で2分間放置した後、前記のPWP緩衝液を900μlを加えてポリエチレングリコールの濃度を下げた。この混合液を、直径9cmのプラスチックシャーレに分注し固化させた寒天培地(グルコース 1%、KCl 0.05%、K2HPO4 0.01%、MgCl2・6H2O 0.2%、CaCl2・2H2O 0.07%、ポリペプトン(DIFCO社製) 0.1%、イーストエキストラクト(DIFCO社製) 0.4%、微量元素溶液 0.05%(V/V)、25mMGood’TESバッファー(pH7.2)、バクトアガー(DIFCO社製)) 1.8%に、150μlずつ塗布して、27℃で10日間培養し、プロトプラストの再生および気中菌糸の形成を行った。なお上記微量元素溶液は、水1L中にZnCl2 40mg、FeCl3・6H2O 200mg、CuCl2・2H2O 20mg、MnCl2・4H2O 20mg、(NH46Mo724・4H2O 20mg、CoCl2・6H2O 20mg、CaCl2・2H2O 100mgを含む水溶液である。
再生した菌層を、グルコース 1%、L−アスパラギン 0.2%、NaCl 0.03%、MgSO4・7H2O 0.05%、K2HPO4 0.05%および上記微量元素溶液0.5%(V/V)、バクトアガー 1.8%よりなる組成物にチオストレプトンおよびビアラホスをともに10mg/Lになるように加えて調製した選択培地にレプリカし、27℃、3日間培養を行い、生育のよいクローンの2株を選択した。
得られた2株のビアラホス耐性株より、公知の方法(「カレント トピックス イン マイクロバイオロジー アンド イムノロジー(CurrentTopics in Microbiology and Immunology)」1982年、96巻、69頁)にならってプラスミドを抽出した。その結果、この2株は、同じ分子量約11.4kbのプラスミドを保持していた。これら2株由来のプラスミドを、夫々に制限酵素BglIIで切断しアガロース電気泳動で分析した結果、どちらもベクターに用いたpIJ703のDNA断片に加えて、約5.7kbのDNA断片が検出された。さらに、前記2株より得た夫々のプラスミドを他の制限酵素(SacI、EcoRI、SmaIなど)で切断した時に生じる断片の大きさがいずれも同一であったことから、この2つのプラスミドは同一のプラスミドであることが判明し、プラスミドpBRB1と命名した。このハイブリッドプラスミドpBRB1を用いて、これを再度ストレプトミセス・リビダンスに導入した結果、形質転換株は全てビアラホス耐性を示した。この事実は、ハイブリッドプラスミドpBRB1内のストレプトミセス・エスピーAB3534由来の分子量約5.7kbのDNA鎖には、除草剤耐性遺伝子がコードされていることを示す。
(4)除草剤耐性遺伝子のコード領域の判定
上記のようにして得られた除草剤耐性をになう遺伝子のコード領域は、図1のEcoRI−BglIIフラグメント中に位置する。このことは、プラスミドpBRB1から作製された欠失プラスミドのビアラホス耐性を調査することにより確認された。すなわち、約5.7kbDNA断片中、約1.2kbのEcoRI、BglIIフラグメントを保持したプラスミドのみが、ビアラホス耐性を示すことで確認された。さらに詳細な遺伝子の存在位置を確認するため、大腸菌の形質転換系を用いて試験を行った。
ビアラホス耐性遺伝子の存在が確認された約1.2kbEcoRI−BglII断片を市販のプラスミドベクタ−pUC18のEcoRI−BamHIサイトに連結し、得られたプラスミドを大腸菌に導入することにより、形質転換大腸菌株はビアラホス耐性を示す。約1.2kbEcoRI、BglII断片内に存在するSmaIサイトを用いて、欠失プラスミドを作製し、大腸菌の形質転換を行った結果、本願の除草剤耐性遺伝子は約0.6kbのEcoRI−SmaI断片上に存在することが確認された。すなわち、ハイブリッドプラスミドpBRB1の2μgを制限酵素EcoRI、BglIIの20単位ずつで37℃、2時間切断した後、アガロース電気泳動を行い、1.2kbの断片のみを切り出し、ジーンクリーンにより精製した。一方pUC18プラスミド2μgをEcoRI、BamHI 20単位ずつで37℃、2時間切断した後、ジーンクリーン(Bio101社製)により精製した。夫々のDNAフラグメントを、Takara Ligation kitにて、16℃、3時間反応させた。このようにしてプラスミドpUC18のEcoRI、BamHI切断DNAフラグメントに、pBRB1由来の約1.2kbEcoRI、BglII切断フラグメントを組み込んだプラスミド溶液を得た。この溶液を、コンピテントセルJM109(Takara社製)に導入した。すなわち、コンピテントセル溶液60μlにライゲーション反応溶液を5μl加え、0℃ 30分後、42℃ 45秒、0℃ 2分の処理を行い、これにSOC溶液500μlを加えて、36℃で1時間回復培養させ、これを、寒天培地(LB培地、1.5%寒天、アンピシリン100mg/L)に広げて36℃で培養した。16時間後、形成したコロニーを個別に分離し、培養を行い、目的遺伝子の挿入されたプラスミドを有する菌株を単離した。こうして、プラスミドpUC18にpBRB1由来の約1.2kbEcoRI、BglII切断フラグメントをクローニングしたベクター(pUC18−B1)を形質転換した大腸菌を得た。
pUC18−B1で形質転換された大腸菌は、1mMチオガラクトピラノシド(IPTG)、10mg/Lビアラホスをともに含むM9寒天培地(GIBCO BRL社製)上で生育が認められた。さらに、詳細な遺伝子の位置を確認するため、約1.2kbEcoRI、BglII切断フラグメントを保持するpUC18−B1の種々の欠失プラスミドを形質転換した大腸菌のビアラホス耐性の調査から、本願の除草剤耐性遺伝子は約0.6kb EcoRI−SmaI断片を保持したpUC18−B2プラスミド上に存在することが確認された。すなわち、プラスミドpUC18−B1を制限酵素EcoRI、SmaI 20単位ずつで37℃、2時間切断した後、アガロース電気泳動を行い、0.6kbの断片のみを切り出し、ジーンクリーンにより精製した。一方pUC18プラスミド2μgをEcoRI、SmaI 20単位ずつで37℃、2時間切断した後、ジーンクリーン(Bio101社製)により精製した。夫々のDNAフラグメントを、Takara Ligation kitにて、16℃、3時間反応させた。このようにしてプラスミドpUC18のEcoRI、SmaI切断DNAフラグメントに、pBRB1由来の約0.6kbEcoRI、SmaI切断フラグメントを組み込んだプラスミドpUC18−B2溶液を得た。pUC18−B2形質転換大腸菌は、1mMチオガラクトピラノシド(IPTG)、10mg/Lビアラホスをともに含むM9寒天培地(GIBCO BRL社製)上で生育が認められた。この約0.6kbのDNA断片の塩基配列を解読した結果、約0.6kbのDNA断片中に、配列番号2に記載の174残基のタンパク質をコードする配列番号1で表される塩基配列が確認された。塩基配列の決定はDNAシークエンス受託サービス(北海道システムサイエンス(株))を利用して行った。
(5)耐性機序の確認
本発明の除草剤耐性遺伝子を保持するpUC18−B2により形質転換された大腸菌をLB培地50ml、アンピシリン50mg/Lの液体培地に移植し、37℃で1時間培養し、この培養液に1Mチオガラクトピラノシド溶液を50μl加え、さらに37℃で3時間培養した。培養終了後、5000回転/分、15分の遠心分離により、菌体を集め、これを生理食塩水で1回洗浄した。さらに、洗浄菌体を20mM Trisバッファー(pH8.0)溶液2mlに懸濁し4℃で超音波により菌を破砕した。この溶液を15000回転/分、15分の遠心分離により上清を回収した。これを、20mM Trisバッファー(pH8.0)にて10倍濃度に希釈して、粗酵素液とした。粗酵素液2μlを反応溶液98μlに加え、28℃で1時間反応後、412nmの吸光度を測定し、アセチル化反応を測定した。補酵素アセチルCoAの存在下でPPTと反応させることにより、本発明の除草剤耐性遺伝子はPPTをアセチル化する酵素をコードしていることが確認された。なお上記のアセチル化反応溶液の組成は、2mM DL−ホスフィノスリシン、0.2mM AcetylCoenzymeA(Sigma社製)、0.2mM 5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(和光純薬社製)、100mM Trisバッファー(pH8.0)から成る。
本発明のPPTのアセチル化酵素の特性を解析するとともに、公知のストレプトミセス・ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)(「ザ エンボ ジャーナル(The EMBO Journal)」1987年、第6巻、2519〜2523頁)、および放線菌AB2253株(特許第2539901号)由来のPPTのアセチル化酵素遺伝子と比較した。ストレプトミセス・ハイグロスコピカスおよび放線菌AB2253株由来のアセチル化酵素遺伝子は、両菌株から実施例1(2)に記載の方法により抽出した全DNAを用いて公知の方法により単離した。
こうして得られた、それぞれのPPTアセチル化酵素遺伝子を含む、本実施例のpUC18−B2、ストレプトミセス・ハイグロスコピカス由来pUC19−SH、放線菌AB2253株由来pUC19−ABで形質転換した大腸菌より上記の手法により粗酵素液を抽出し、アセチル化反応特性を解析した。至適pH、PPTおよびその構造類似体であるメチオニンスルホン(MS)に対する基質特異性(Km値)を測定した結果を表2に示す。この3菌株由来の酵素は、いずれもPPTアセチル化酵素活性を保持するが、至適pHおよび基質特異性が明らかに異なることから、本発明のアセチル化酵素遺伝子は新規な酵素遺伝子であることが確認された。
Figure 0004823919
〔実施例2〕除草剤耐性遺伝子の植物細胞への導入
(1)植物遺伝子導入用ベクターの構築
ストレプトミセス・エスピーAB3534株由来除草剤耐性遺伝子を植物細胞内で発現させるために、配列番号4及び5の配列を有するプライマーを用いて、PCR反応を行い、除草剤耐性遺伝子を増幅した。反応液組成はTakara ExTaq Buffer ×10倍液 5μl、dNTP mixture 4μl、鋳型DNA 30ng、10μM プライマー溶液 各1μl、Takara ExTaq 0.5μlに、50μlになるように水を加え、調製した。反応条件は、94℃30秒、60℃30秒、72℃45秒を、35サイクル行った。
反応後、ジーンクリーンでPCR断片を精製した。このPCR断片と植物細胞形質転換用ベクターpBI221(Clontech社製)の0.5μg夫々に、制限酵素XbaIとSacIを各0.5μl、T buffer×10倍液 2μlを加え、全量20μlになるように水を加え、36℃で16時間反応させた。制限酵素反応後、ジーンクリーンでDNA断片を単離し、これらをライゲーションさせた。すなわち、DNA断片溶液10μlにTakara Ligation kit−I溶液を10μl加え、16℃、1時間反応させた。この溶液を、コンピテントセル(Takara社製DH5α)に導入した。すなわち、コンピテントセル溶液60μlにライゲーション反応溶液を5μl加え、0℃ 30分後、42℃ 45秒、0℃ 2分の処理を行い、これにSOC溶液500μlを加えて、37℃で1時間回復培養させ、これを、寒天培地(LB培地、寒天1.5%、アンピシリン 100mg/L)に広げて37℃で培養した。16時間後、形成したコロニーを個別に分離し、培養を行い、目的遺伝子の挿入されたプラスミドを有する菌株を単離した。このようにしてプラスミドベクターpBI221の切断断片に前記のストレプトミセス・エスピーAB3534由来除草剤耐性遺伝子を連結してなる環状の組換えベクターを作製した。この組換えベクターをp35SHPATと称する。
ベクターp35SHPATは、CaMV35Sプロモーターの下流に、本発明の除草剤耐性遺伝子を持ち、さらに下流にNOSターミネーターが連結されてなる、約4.2kbpのサイズを有する。
(2)イネのカルス細胞への組換えベクターの導入
上記で得られた組換えベクターp35SHPATをイネのカルス細胞へ導入を行った(特許第3312867号参照)。
まず、イネ(品種:日本晴)の完熟種子から籾殻を取り除いた。得られた種子を70%エタノール溶液に1分間、次いで次亜塩素酸ナトリウム1%(有効塩素濃度)溶液に60分間浸漬して種子を殺菌処理した。公知のMS培地の無機成分組成にショ糖30g/L、植物ホルモンとして2,4−D2mg/L、寒天8g/Lを添加してなる培地に、上記で殺菌したイネ種子を置床した。28℃で45日間、2000ルックスの光を1日あたり16時間照明しながらインキュベートした。カルスが形成された後、それらカルスを胚乳部分から切り出し、孔1mmのステンレスメッシュの篩を用いて、1mm以下のカルスをPCV(Packed Cell Volume;圧縮細胞量)として3mlの量を得た。
チタン酸カリウム製ウイスカLS20(チタン工業社製)5mgを1.5ml容のチューブに入れ、エタノールを1ml加え1時間放置した後、エタノールを除去し、完全に蒸発させて、殺菌されたウイスカを得た。このウイスカの入ったチューブに滅菌水1mlを入れ、良く攪拌した。ウイスカと滅菌水を遠心分離し、上清の水を捨てた。このようにしてウイスカを洗浄した。このウイスカ洗浄操作を3回行った。その後、同チューブに公知のR2液体培地の0.5mlを加えてウイスカ懸濁液を得た。
上記で得られたウイスカ懸濁液の入ったチューブに1mm以下のイネのカルスを250μl入れて攪拌した後、混合物を1000rpmで10秒間遠心分離し、カルスとウイスカを沈殿させ、上清を捨て、カルスとウイスカの混合物を得た。
この混合物を入れたチューブに、前記の組換えベクターp35SHPATの10μl(10μg)を加え、十分振り混ぜて均一な混合物を得た。
次に、この均一な混合物の入ったチューブを18000xgで5分間遠心分離した。遠心分離した混合物を再度振り混ぜ、この操作を3回反復した。
上記のようにして得られた、カルス細胞と、ウイスカと、本発明DNA配列を有する組換えベクターを収容しているチューブを超音波発生機の浴槽にチューブが十分浸るように設置した。周波数40kHzの超音波を強度0.25w/cm2で1分間照射した。照射後、10分間、4℃でこの混合物を保持した。このように超音波処理した混合物を前記のR2液体培地で洗浄し、組換えベクターp35SHPATを導入した目的の形質転換細胞を得た。
上記で組換えベクターを導入して得た形質転換細胞を有するカルスを、3.5cmシャーレに入れた。さらに、R2培地の無機成分組成にショ糖30g/L、2,4−D 2mg/Lを添加して得た液体培地を3ml加えた。その後に、28℃で2000ルックスの光を1日当たり16時間照射しながらロータリーシェーカー(50rpm)上でカルス細胞を培養しながら分裂細胞を得た。
培養3日目に、得られた分裂細胞の懸濁液3mlを、公知のN6培地の無機成分組成に、ショ糖30g/L、2,4−D 2mg/L、ゲルライト3g/Lおよび選抜用薬剤としてビアラホス3mg/Lを添加してなる培地上に均一に広げた。培地上の細胞を、28℃で2000ルックスの光を1日あたり16時間照射しながら1ヶ月間培養した。
1ヶ月後に、ビアラホス含有培地上で健全に生育している形質転換カルスを選抜し、組換えベクターp35SHPATが形質転換されているイネのカルス細胞を得た。
(3)形質転換イネカルス細胞からの植物体の再生
上記で得られたビアラホス耐性である形質転換培養細胞を、MS培地の無機成分組成にショ糖30g/L、ベンジルアデニン2mg/L、ナフタレン酢酸1mg/L、ゲルライト3g/L、ビアラホス3mg/Lを添加してなる培地上に移殖した。28℃で2000ルックスの光を1日当たり16時間照射しながら培養した。30日後に形成された再生植物体(幼芽)を、ショ糖30g/L、ゲルライト3g/Lを含むMS培地を入れた試験管に移殖した。移殖された幼芽を20日間培養して形質転換イネ植物体を得た。こうして、イネのカルス3mlから合計17個体の形質転換体が作製された。17個体のイネ植物体から公知の方法(「細胞工学別冊 植物のPCR実験プロトコール」1995年、30〜33頁、秀潤社発行)によりゲノムDNAを抽出し、前記(1)の条件でPCRを行った結果、いずれの個体においても除草剤耐性遺伝子由来の約0.6kbのバンドの増幅が見られ、本発明の除草剤耐性遺伝子の存在が確認された。
(4)形質転換植物体の除草剤耐性の評価
本発明の除草剤耐性遺伝子が導入された植物体における除草剤耐性を評価するため、市販のPPTを主成分とした除草剤(商品名:バスタPPT18.5%含有液剤(バイエルクロップサイエンス社製))を所定濃度(200倍希釈、PPT 0.0925%)散布処理し、生育状況を観察した。前記によって得られた組換えイネ植物体を閉鎖系温室内で2週間順化、栽培後、非閉鎖系温室に移し、草丈約25cmまで育成を継続した。こうして育成した組換えイネ植物体と、対照として同一生育ステージの「日本晴」植物体に、前記除草剤の200倍希釈液(雑草生育期処理濃度)をそれぞれ散布した。散布1日後以降、対照である「日本晴」は葉の緑色の退色が進行し、1週間後には完全に枯死したのに対し、本発明の除草剤耐性遺伝子組換えイネ植物体は健全な生育を示した。除草剤散布後の植物体の葉枯れの程度(全ての葉に対して緑色の退色した葉の占める面積率(%))を表3に示す。また、組換えイネ植物体は散布2ヵ月後に正常に出穂、開花、結実が見られた(図2)。
Figure 0004823919
産業上の利用の可能性
本発明の除草剤耐性遺伝子は、除草剤耐性植物体の作製に利用できる。
本発明の除草剤耐性遺伝子を植物に遺伝子導入することにより、除草剤に対する耐性が増強された除草剤耐性植物が提供される。

Claims (8)

  1. 下記の(A)又は(B)のタンパク質。
    (A)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
    (B)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、10個以内のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は付加を含むアミノ酸配列からなり、かつ、ホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質。
  2. 下記の(A)又は(B)のタンパク質をコードするDNA。
    (A)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質。
    (B)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、10個以内のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は付加を含むアミノ酸配列からなり、かつ、ホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質。
  3. 下記の(a)又は(b)のDNAである請求項2に記載のDNA。
    (a)配列番号1に記載の塩基配列のうち、塩基番号68〜592からなるDNA。
    (b)配列番号1に記載の塩基配列のうち、塩基番号68〜592からなるDNAと、90%以上の相同性を有する2つのDNA同士がハイブリダイズするが、それより相同性の低い2つの核酸同士がハイブリダイズしない、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、ホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
  4. 請求項2又は3に記載のDNAを含む組換えベクター。
  5. 請求項2又は3に記載のDNA、又は請求項4に記載の組換えベクターで形質転換された形質転換植物細胞。
  6. 請求項2又は3に記載のDNA、又は請求項4に記載の組換えベクターで形質転換された形質転換植物。
  7. 請求項6に記載の形質転換植物から得られる種子。
  8. 請求項2又は3に記載のDNA、又は請求項4に記載の組換えベクターで形質転換され、前記DNA又は組換えベクターに含まれる前記DNAが発現することにより、除草剤耐性を示す除草剤耐性植物体。
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