JP4823412B2 - 蓄熱体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、EVOHと略記する)とポリオレフィン系樹脂層からなる多層構造の容器に蓄熱材が内包された蓄熱体に関し、更に詳しくは、外観安定性に優れ、強度の低下が少なく、かつ蓄熱材の保持性(蓄熱材の重量減少が少ない)等にも優れた蓄熱体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、保温を要する食品等を長時間、その温度を保ったまま輸送したり保管したりするために保温材(蓄熱体)なるものが提案されている。
すなわち、プラスチックや金属からなる容器中に蓄熱材を収納させてなるもので、かかる容器としては、機械的特性や経済性・汎用性から高密度ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を成形したものが使用されており、また、かかる蓄熱材としては、大きな潜熱を有するパラフィン類などの炭化水素を主成分とするものが使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ポリオレフィン系樹脂を成形してなる容器に、炭化水素を主成分とする蓄熱材を収納して蓄熱体として使用した場合、蓄熱材が経時的に容器壁面に浸透して容器の機械的強度が低下したり、容器の外表面に蓄熱材が滲み出して取り扱い上の不都合が生じたり、さらには滲み出した蓄熱材が揮散することにより蓄熱材の内容量が減少して、容器が変形したり、蓄熱効果が低下するという問題があった。
特に、上記の如き従来の容器では、加熱と保温を繰り返されることにより、上記問題点が顕著に現れることになるのである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、かかる現況に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層及びポリオレフィン系樹脂層の少なくとも2層を有し、かつエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層が厚み方向において内側から60%以内の位置にあり、多層構造体の層構成が、[内側]エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層/ポリオレフィン系樹脂層[外側]、または[内側]エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層/リグラインド層/ポリオレフィン系樹脂層[外側]である多層構造体からなる容器に炭化水素を主成分とする蓄熱材が内包されてなることを特徴とする蓄熱体が、上記の課題を解決できることを見出して本発明を完成するに至った。
尚、本発明においては、炭化水素等を主成分とする蓄熱作用を有する化合物を「蓄熱材」と称し、かかる化合物が容器等に内包された物を「蓄熱体」と称する。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に述べる。
本発明の蓄熱体は、EVOH層及びポリオレフィン系樹脂層の少なくとも2層を有する多層構造体からなる容器に蓄熱材が内包されてなるもので、かかるEVOH層に用いられるEVOHとしては、特に限定されることはないが、エチレン含有量が10〜70モル%(更には15〜60モル%、特には20〜50モル%)、ケン化度が90モル%以上(更には95モル%以上、特には99モル%)のものが好適に用いられる。該エチレン含有量が10モル%未満では溶融成形性や容器の耐衝撃性が低下する傾向にあり、逆に70モル%を越えると機械的強度、外観性、蓄熱材内容量の保持性等が低下する傾向にあり、更にケン化度が90モル%未満では機械的強度、外観性、蓄熱材内容量の保持性、熱安定性、耐湿性等が低下する傾向にあり好ましくない。
【0006】
また、該EVOHのメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2160g)は、0.1〜100g/10分(更には1〜50g/10分、特には2〜15g/10分)が好ましく、該メルトフローレートが該範囲よりも小さい場合には、多層構造物の成形時に押出機内が高トルク状態となって押出加工が困難となることがあり、また該範囲よりも大きい場合には、得られる容器のEVOH層の膜厚が不均一になることがあり好ましくない。
【0007】
該EVOHは、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化によって得られ、該エチレン−酢酸ビニル共重合体は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより製造され、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。
【0008】
また、本発明では、本発明の効果を阻害しない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合していてもよく、かかる単量体としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類、トリメトキシビニルシラン等のビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。又、本発明の趣旨を損なわない範囲で、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化等、後変性されても差し支えない。
【0009】
また、EVOH中には、酸又はその金属塩が含有されていることも、得られる容器の外観性やロングラン成形性、層間接着性等が向上する点で好ましく、かかる酸が、酢酸、ホウ酸、リン酸のいずれかで、その塩がこれらのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の少なくとも1種以上であることが更に好ましい。
【0010】
かかる酸としては、具体的に酢酸、プロピオン酸、ホウ酸、リン酸、アジピン酸、安息香酸、クエン酸等を挙げることができ、好適には酢酸、ホウ酸、リン酸が用いられ、また、その塩としては、上記の酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられ、具体的には、酢酸塩としては酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸マンガン、酢酸銅、酢酸コバルト、酢酸亜鉛などが挙げられ、好適には酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムが用いられ、ホウ酸塩としてはホウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛,メタホウ酸亜鉛等)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウム等)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等)、ホウ酸銅(ホウ酸第2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅等)、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛等)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケル等)、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウム等)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム等)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン等)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム等)などの他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザイベリ石等のホウ酸塩鉱物などが挙げられ、好適にはホウ砂、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)が用いられ、また、リン酸塩としては、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸二水素マグネシウムなどが挙げられ、好適にはリン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素マグネシウムが用いられる。
【0011】
かかる酸またはその金属塩の含有量は、その種類によっても一概に言えないが、例えば酢酸(塩)の時は10〜500ppm(更には20〜300ppm)(金属塩の時は金属換算)程度が好ましく、ホウ酸(塩)の時は10〜10000ppm(更には20〜1000ppm)(ホウ素換算)程度が好ましく、また、リン酸(塩)の時は5〜500ppm(更には20〜300ppm)(リン酸根換算)程度が好ましく、これらの含有量が過少の時は溶融成形時のロングラン性や得られる多層構造体の層間接着性が劣ることがあり、逆に過多の時はEVOHの熱安定性が悪化したり、得られる成形物の外観が悪化することがあり好ましくない。
【0012】
更に該EVOHには、必要に応じて、飽和脂肪族アミド(例えば、ステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えば、オレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えば、エチレンビスステアリン酸アミド等)、上記以外の脂肪酸金属塩(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等)、低分子量ポリオレフィン(例えば、分子量500〜10,000程度の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン等)などの滑剤、無機塩(例えば、後述のハイドロタルサイト類等)、可塑剤(例えば、エチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールなど)、酸素吸収剤(例えば、還元鉄粉類、亜硫酸カリウム等の無機系酸素吸収剤や、アスコルビン酸、ハイドロキノン、没食子酸等の有機化合物系酸素吸収剤や、高分子系酸素吸収剤など)、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤(例えば、チバスペシャルティケミカルズ社製「IRGANOX1098」など)、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、消臭剤(例えば、活性炭等)、アンチブロッキング剤(例えば、タルク微粒子など)、スリップ剤(例えば、無定形シリカ微粒子など)、充填材(例えば、無機フィラーなど)、他樹脂(例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルなど)等を配合しても良い。
【0013】
また、EVOHとして、異なる2種以上のEVOHを用いることも可能で、このときは、エチレン含有量が5モル%以上異なり、及び/又はケン化度が1モル%以上異なり、及び/又はMFRの比が2以上であるEVOHのブレンド物を用いることにより、本発明の効果を保持したまま、更に加熱延伸成形性、膜厚安定性等が向上するので有用である。
【0014】
本発明のポリオレフィン系樹脂層に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、具体的に直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)及びその部分ケン化物、アイオノマー、エチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン(PP)、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン、ポリメチルペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、或いはこれらのオレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したものやこれらのブレンド物などの広義のポリオレフィン系樹脂を挙げることができ、なかでも、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン(PP)が、得られる容器の剛性や機械的特性等に優れる点で好ましい。
【0015】
高密度ポリエチレン(HDPE)としては、メルトフローレート(MFR)(190℃、荷重2160g)が0.01〜5g/10分(更には0.05〜1g/10分)程度で、密度が0.93〜0.97g/cm3(更には0.94〜0.96g/cm3)程度のものが、得られる容器の剛性や成形性等に優れる点で好適に用いられ、エチレン−プロピレン共重合体及びポリプロピレン(PP)としては、メルトフローレート(MFR)(230℃、荷重2160g)が0.1〜15g/10分(更には0.5〜5g/10分)程度で、密度が0.88〜0.93g/cm3(更には0.90〜0.91g/cm3)程度のものが、得られる容器の剛性や成形性等に優れる点で好適に用いられる。
【0016】
発明においては、EVOH層(a)が厚み方向において内側から60%以内(更には40%以内、特には20%以内、殊には15%以内)の位置に配されることが必要で、EVOH層(a)がかかる位置よりも外側に配される時は、容器の機械的強度が低下したり蓄熱材内容量の保持性(容器の耐変形性)が不充分となって本発明の目的を達成することは困難となる
【0017】
また、上記の多層構成においては、必要に応じて各層の間或いは最内外層に接着性樹脂層(c)を設けることもでき、かかる接着性樹脂としては、種々のものを使用することができるが、一般的には、不飽和カルボン酸又はその無水物をオレフィン系重合体(前記の広義のポリオレフィン系樹脂)に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体を挙げることができ、不飽和カルボン酸又はその無水物としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられ、中でも、無水マレイン酸が好適に用いられる。具体的には、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体等から選ばれた1種または2種以上の混合物が好適なものとして挙げられる。このときの、オレフィン系重合体に含有される不飽和カルボン酸又はその無水物の量は、0.001〜3重量%が好ましく、更に好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.03〜0.5重量%である。該量が少ないと、得られる容器が外観性に劣ることがあり、逆に多いと架橋反応を起こし、成形性が悪くなることがあり好ましくない。
【0018】
また、これらの接着性樹脂にはポリイソブチレン、エチレン−プロピレンゴム等のゴム・エラストマー成分や、接着性樹脂の母体のポリオレフィン系樹脂と異なるポリオレフィン系樹脂をブレンドすることにより、接着性が向上することがあり有用である。
【0019】
上記の中でも、特に[内側]EVOH層/ポリオレフィン系樹脂層[外側]、又は[内側]EVOH層/接着性樹脂層/ポリオレフィン系樹脂層[外側]とするとき、本発明の効果に最も優れる点で好ましく、また、リグラインド(再生スクラップ)層や、EVOHやポリオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂層を設けることも可能で、特にリグラインド層を設けることは容器成形時に発生する多量のスクラップ(少なくともEVOHとポリオレフィン系樹脂からなる)を有効に活用できる点で工業上好ましく、特に[内側]EVOH層/リグラインド層/ポリオレフィン系樹脂層[外側]、[内側]EVOH層/接着性樹脂層/リグラインド層[外側]、[内側]EVOH層/接着性樹脂層/リグラインド層/ポリオレフィン系樹脂層[外側]とするとき、本発明の効果に最も優れる点で好ましい。
【0020】
また、各層の厚みとしては、蓄熱体の用途・容器形態や要求される物性などにより一概には言えないが、例えば食品の輸送や保管用の保温材に用いられる場合は、aが5〜500μm(更には30〜400μm、特には50〜300μm)、bが100〜10000μm(更には200〜8000μm、特には300〜5000μm)で、cとしては5〜10000μm(更には20〜8000μm、特には30〜5000μm)程度であり、多層構造体の容器の全体厚みは300〜10000μm(更には400〜8000μm、特には500〜6000μm)程度である。
【0021】
a層の厚みが5μm未満では本発明の効果を得ることが困難となることがあり、またその厚みの制御が不安定となることがあり、逆に500μmを越えると耐衝撃性が劣ることがあり、かつ経済的でなく好ましくなく、またb層の厚みが100μm未満では容器の機械的強度(剛性)が不足し、逆に10000μmを越えると重量が大きくなり、かつ経済的でなく好ましくなく、また、c層の厚みが5μm未満では層間接着性が不足することがあり、またその厚みの制御が不安定となることがあり、逆に10000μmを越えると重量が大きくなり、かつ経済的でなく好ましくなく、さらに多層構造体の容器の全体厚みが300μm未満では容器の機械的強度(剛性)が不足し、逆に10000μmを越えると重量が大きくなり、かつ経済的でなく好ましくない。
【0022】
容器の形状についても特に限定されず、円柱状、円錐状、球状、直方体状、平板状、その他不定形状のものが挙げられ、用途や要求される物性などにより適宜選択される。例えば食品の輸送や保管用の保温材に用いられる場合は、取り扱い上及び保温効率の点から、通常は平板状の方形のものが好適に使用される。
【0023】
また、本発明においては、aにb及び/又はc、b及び/又はcにaをブレンドしたり、aやb及び/又はcの少なくとも一層に両層面の密着性を向上させる樹脂を配合することも可能である。
【0024】
更に、本発明においては、EVOHの210℃、せん断速度122sec-1における溶融粘度[VE](単位:Pa・sec)と該EVOHに隣接して配されるポリオレフィン系樹脂(層)の210℃、せん断速度122sec-1における溶融粘度[VP](単位:Pa・sec)の比(VP/VE)が0.4〜2.0(更には0.5〜1.5、特には0.5〜1.3)であることが好ましく、かかる比(VP/VE)が上記の範囲外では得られる容器の外観性に劣ることがあり好ましくない。
【0025】
尚、外側及び/又は内側のポリオレフィン系樹脂層が2層以上存在する場合は、少なくとも最内のEVOH層に隣接した層のポリオレフィン系樹脂が上記の関係を満足することが好ましく、各層のポリオレフィン系樹脂がそれぞれ上記の関係を満足することが特に好ましい。
【0026】
本発明の蓄熱体の容器に使用される多層構造体の容器を製造するに当たっては、公知の方法を採用することができ、例えば、イ)EVOHからなる層の片面或いは両面にポリオレフィン系樹脂を積層した多層構造体(シート、フィルム、パリソン等)を作製した後に容器に成形する方法、ロ)EVOH及びポリオレフィン系樹脂を共射出成形機等に共して直接多層容器を成形する方法、等を挙げることができる。
【0027】
イ)の方法においては、先ずEVOHからなる層の片面或いは両面にポリオレフィン系樹脂を積層して多層構造体を作製するのであるが、積層方法としては、例えばEVOHからなるフィルムやシートにポリオレフィン系樹脂を溶融押出する方法、逆にポリオレフィン系樹脂の層にEVOHを溶融押出する方法、EVOHとポリオレフィン系樹脂とを共押出する方法、あるいは両樹脂を共射出する方法、更にはEVOHからなるフィルムやシートとポリオレフィン系樹脂からなるフィルムやシートとを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法、これらを組み合わせる方法等が挙げられる。
【0028】
次いで、得られた多層構造体を容器に成形するのであるが、該成形に当たっては加熱延伸処理を施すことにより好適に多層構造の容器を得ることができる。
ここで加熱延伸成形とは、該多層構造体を種々のヒーターで均一に加熱して、チャック、プラグ、真空力、圧空力、ブローなどにより、各種形状に均一に成形する操作を意味する。
【0029】
加熱延伸については、一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよく、加熱延伸方法としては、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法、深絞成形法、真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法等のものが採用できる。二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のいずれの方式も採用できる。加熱延伸時の多層構造体の温度は80〜170℃、好ましくは100〜160℃程度の範囲から選ばれる。
【0030】
本発明においては、特にブロー成形によりボトル、タンク、チューブ等の中空容器を得ることが工業上好ましく、その製造法についても特に限定はされず、ダイレクトブロー成形法、インジェクションブロー成形法、二軸延伸ブロー成形法等が挙げられ、更に二軸延伸ブロー成形法については、コールドパリソン法とホットパリソン法が挙げられる。またブロー成形により得られた中空容器をさらに熱処理することも、耐衝撃層間剥離性やガスバリア性の向上が認められる点で好ましい。熱処理温度は100〜240℃、熱処理時間は1秒以上である。
【0031】
ロ)の方法においては、共射出成形機等を用いて、加熱延伸処理することなしに直接カップ、トレー等の多層構造の容器を得ることが出来る。また、イ)と同様に得られた多層構造の容器をさらに熱処理することも好ましい。
【0032】
また、本発明の蓄熱体の容器に使用される多層構造体のポリオレフィン系樹脂やリグラインド層の樹脂(組成物)には、本発明の目的を逸脱しない範囲において、前述の可塑剤、滑剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、無機フィラーなどの添加剤を配合したり、他樹脂をブレンドすることも可能である。特にリグラインド層のゲル・フィッシュアイ発生防止剤として、ハイドロタルサイト類、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系熱安定剤、高級脂肪族カルボン酸の金属塩を添加することもできる。
【0033】
かかるハイドロタルサイト類として具体的には、一般式MxAly(OH)2x+3y-2z(E)z・aH2O(式中MはMg,Ca又はZn、EはCO3又はHPO4、x,y,zは正数、aは0又は正数)で示されるハイドロタルサイト系化合物、及び/又は一般式[〔(M2+)y1(M2+)y21-x3+(OH)2x/n・mH2O](但し M2+はMg、Ca、Sr及びBaから選ばれる金属の少なくとも1種、M2+はZn、Cd、Pb、Snから選ばれる金属、M3+は3価金属、An-はn価のアニオン、x、y1、y2、mはそれぞれ0<x≦0.5、0.5<y1<1、y1+y2=1、0≦m<2で示される正数)で表されるハイドロタルサイト系固溶体が挙げられる。
【0034】
かかる化合物の実例としては、例えば、Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O,Mg5Al2(OH)14CO3・4H2O,Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O,Mg8Al2(OH)20CO3・5H2O,Mg10Al2(OH)22(CO3)2・4H2O,Mg6Al2(OH)16HPO4・4H2O,Ca6Al2(OH)16CO3・4H2O,Zn6Al6(OH)16CO3・4H2O,などが挙げられる。又、以上に限らず例えばMg2Al(OH)9・3H2O中のOHの一部がCO3又はHPO4に置換された如き化学式の明確に示されないものや更には結晶水の除去されたもの(a=0)であっても同等の効果が期待できる。特にこれらのうちMがMgであり、EがCO3である化合物が最も顕著な効果を示す。
【0035】
更にかかる固溶体の上記一般式において、M2+としてはMg、Caが好ましい。またM2+としてはZn、Cdが望ましい。M3+はAl、Bi、In、Sb、B、Ga、Tiが例示されるが、Alが実用的である。更にAn-としては CO3 2-、OH-、HCO3 -、サリチル酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、NO3 -、I-、(OOC−COO)2-、〔Fe(CN)64-、ClO4 -、CH3COO-、CO3 2-、(OOCHC=CHCOO)2-やOH-が有用である。その具体的実例としては、[Mg0.75Zn0.250.67Al0.33(OH)2(CO30.165・0.45H2O,[Mg0.79Zn0.210.7 Al0.3(OH)2(CO30.15,[Mg1/7Ca3/7Zn3/70.7Al0.3(OH)2(OOCHC=CHCOO)0.15・0.41H2O,[Mg6/7Cd1/70.7Al0.3(OH)2(CH3COO)0.3・0.34H2O,[Mg5/7Pb2/70.7Al0.3(OH)2(CO30.15・0.52H2O,[Mg0.74Zn0.260.68Al0.32(OH)2(CO30.16,[Mg0.56Zn0.440.68Al0.32(OH)2(CO30.16・0.2H2O,[Mg0.81Zn0.190.74Al0.26(OH)2(CO30.13,[Mg0.75Zn0.250.8Al0.2(OH)2(CO30.10・0.16H2O,[Mg0.71Zn0.290.7Al0.3(OH)2(NO30.30,[Mg0.71Zn0.290.7Al0.3(OH)2 (OOCHC=CHCOO)0.15,[Mg0.14Ca0.57Zn0.290.7Al0.3(OH)2.3・0.25H2Oなどが挙げられる。
【0036】
これら化合物や固溶体は、高級脂肪酸類、アニオン系界面活性剤類、シランカップリング剤類、チタネート系カップリング剤、グリセリン脂肪酸エステル等で表面処理されていても良い。
【0037】
該化合物及び/又は固溶体の添加量は、リグラインド層の樹脂組成物100重量部に対して0.005〜5重量部、更に好ましくは0.01〜1重量部の範囲で用いられる。該化合物及び/又は固溶体の添加量が0.005重量部未満ではその添加効果に乏しく、一方、5重量部を越えると得られる多層構造の容器の透明性や機械的特性が低下する傾向にある。
該化合物及び/又は固溶体はリグラインド層の樹脂組成物中に任意の形で存在しておれば良く、その添加時期に特に制限はないが、その添加効果の点で有利には予めポリオレフィン系樹脂に混合しておく方法が採用される。
【0038】
また、かかる高級脂肪族カルボン酸の金属塩としては、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ノナデカン酸、オレイン酸、カプリン酸、ベヘニン酸、リノール酸等の炭素数8以上の高級脂肪族カルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩の他、亜鉛金属塩等も使用される。かかる中でもステアリン酸またはヒドロキシステアリン酸のカルシウムまたはマグネシウム金属塩がその効果の点で特に顕著である。
【0039】
かかる高級脂肪族カルボン酸の金属塩の添加量は、リグラインド層の樹脂組成物100重量部に対して0.005〜5重量部、更に好ましくは0.01〜1重量部の範囲で用いられる。該金属塩の添加量が0.005重量部未満ではその添加効果に乏しく、一方、5重量部を越えると得られる多層構造の容器の層間接着性や外観が低下する傾向にある。
【0040】
かくして本発明の蓄熱体の容器に使用される多層構造の容器が得られるのであるが、本発明においては、かかる多層構造の容器に炭化水素を主成分とする蓄熱材を収納させてなるものであり、かかる蓄熱材について詳細に説明する。
本発明に用いられる蓄熱材としては、炭化水素(パラフィン)が大きな潜熱を有することから好ましく、炭化水素(パラフィン)を主成分として蓄熱効果が発現するものであれば特に限定されないが、具体的にはノルマルパラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィン又はこれらの誘導体等が挙げられ、これらの内でもノルマルパラフィンがその性能上好ましく用いられ、かかるノルマルパラフィンとしては、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ノナデカン、n−エイコサン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン等が挙げられ、これらの内の1種又は2種以上の混合物が用いられる。
【0041】
また、蓄熱材の取り扱いを容易にする目的で、これらのパラフィン類より炭素数の大きい、数平均分子量300〜800のパラフィンワックスや石油ワックスを混合して使用することも好ましい。さらに、かかる蓄熱材中には、必要に応じて、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、防黴剤、消臭剤、他樹脂(例えばポリエチレンワックスなど)等を配合しても良い。
かかる蓄熱材の融点としては、15〜70℃(更には20〜50℃)であることが、性能面と取り扱い面において優れる点で好ましい。
【0042】
かくして、上記蓄熱材を前述の多層構造の容器に収納してなることにより、本発明の蓄熱体が得られ、かかる蓄熱体は、容器の機械的強度の低下や外観性の悪化がなく、蓄熱材内容量の保持性にも優れているため、保温を要する食品等の輸送、保管はもちろんのこと、医療用、家庭用など幅広い保温材としての用途に有用である。
【0043】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、実施例中「部」、「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準を示す。
【0044】
実施例1
EVOH[日本合成化学工業社製『ソアノール DC3203FB』、エチレン含有量32モル%、ケン化度99.6モル%、MFR3.2g/10min(210℃、荷重2160g)]、ポリオレフィン系樹脂[ポリプロピレン、日本ポリケム社製『ノバテックPP EA9』、MFR0.5g/10min(230℃、荷重2160g)]、酸変性ポリオレフィン[無水マレイン酸変性ポリプロピレン、三菱化学社製『モディックAP P513V』、MFR2.3g/10min(230℃、荷重2160g)]を用いて、共押出多層ダイレクトブロー成形機に供給して、[内側]EVOH層/酸変性ポリオレフィン層/ポリオレフィン系樹脂層[外側]の構成の多層パリソン(外径15mm)を押し出した後、金型で挟み込み空気を吹き込んで膨らませ、金型に密着させて、多層ボトル(多層構造体容器:内容積約500cc、胴部の径80mm、高さ165mm)を得た。
尚、上記のパリソン成形から吹き込み成形時の条件は、以下の通りであった。
【0045】
Figure 0004823412
【0046】
Figure 0004823412
【0047】
Figure 0004823412
【0048】
[ダイの設定条件]
ダイ 円筒状
設定温度 210℃
[吹き込み成形の条件]
サイクル時間 19sec
冷却時間 21sec
【0049】
得られた多層ボトルのボトル胴部の層厚み構成は、[内側]EVOH層(a)/酸変性ポリオレフィン層(c)/ポリオレフィン系樹脂層(b)[外側]=100/100/700(μm)であり、EVOH層は、厚み方向において内側から0〜11%の位置であった。
次いで、得られた多層ボトル(多層構造容器)に蓄熱材(n−ヘキサデカンとパラフィンワックスの混合物、融点35℃)を450cc収納して、ボトル口部をアルミ板で密封してから80℃の熱オーブン中に放置して、以下の評価を行った。
【0050】
(外観性の変化)
80℃の熱オーブン中に放置した多層ボトルを経時的に取り出して、室温に自然冷却した後の外観を目視観察して、以下の通り評価した。
○・・・熱オーブン中放置60日後においてもボトル表面の蓄熱体の滲み出しは全く認められない
×・・・熱オーブン中放置1日後においてボトル表面に蓄熱体の滲み出しが著しく認められる
【0051】
(容器の変形)
80℃の熱オーブン中に放置した多層ボトルを経時的に取り出して、室温に自然冷却した後の外観を目視観察して、以下の通り評価した。
○・・・熱オーブン中放置60日後においてもボトルの変形は全く認められない
×・・・熱オーブン中放置60日後においてボトル胴部にへこみが認められる
【0052】
(蓄熱材内容量の保持性)
80℃の熱オーブン中に60日間放置した多層ボトルを取り出して、室温に自然冷却した後のボトル重量を測定して、放置前のボトル重量とから蓄熱材の重量減少率(%)を調べた。
【0053】
(機械的強度の変化)
80℃の熱オーブン中に60日間放置した多層ボトルを取り出して、室温に自然冷却した後、ボトル胴部を幅10mm、長さ80mmの短冊状に切り出して、オートグラフを用いて引張速度50mm/分の条件にて引張試験を行って、引張弾性率及び降伏点強度を測定し、放置前の同測定値からそれぞれの保持率(%)を調べた。
【0054】
実施例2
実施例1において、EVOH[日本合成化学工業社製『ソアノール AT4403B』、エチレン含有量44モル%、ケン化度99.6モル%、MFR3.5g/10min(210℃、荷重2160g)]を用いた以外は同様に行って多層ボトルを得て、同様に評価を行った。
【0055】
実施例3
実施例1において、ポリオレフィン系樹脂[HDPE、日本ポリケム社製『ノバテックHD HB431』、MFR0.35g/10min(190℃、荷重2160g)]、酸変性ポリオレフィン[無水マレイン酸変性ポリエチレン、三菱化学社製『モディックAP L502』、MFR1.0g/10min(190℃、荷重2160g)]を用いた以外は同様に行って多層ボトルを得て、同様に評価を行った。
【0056】
実施例4
実施例1において、ボトル胴部の層厚み構成を、[内側]EVOH層(a)/酸変性ポリオレフィン層(c)/ポリオレフィン系樹脂層(b)[外側]=60/40/900(μm)とした以外は同様に行って多層ボトルを得て、同様に評価を行った。尚、EVOH層は、厚み方向において内側から0〜6%の位置であった。
【0057】
実施例5
実施例1に準じて、[内側]EVOH(実施例1に同じ)層(a)/酸変性ポリオレフィン(同左)層(c)/リグラインド(再生スクラップ)層/ポリオレフィン系樹脂(同左)層(b)[外側]=100/100/600/300(μm)の多層ボトル(多層構造容器)を得て、同様に評価した。尚、EVOH層は、厚み方向において内側から0〜10%の位置であった。ただし、リグラインド層には実施例1で得られた多層ボトルの粉砕物を使用した。
【0058】
参考例1
実施例1に準じて、[内側]ポリオレフィン系樹脂(実施例1に同じ)層/酸変性ポリオレフィン(同左)層(c)/EVOH(同左)層(a)/酸変性ポリオレフィン(同左)層(c)/ポリオレフィン系樹脂(同左)層(b)[外側]=50/50/80/50/1000(μm)の多層ボトル(多層構造容器)を得て、同様に評価した。尚、EVOH層は、厚み方向において内側から8〜15%の位置であった。
【0059】
参考例2
実施例2に準じて、[内側]ポリオレフィン系樹脂(実施例2に同じ)層(b)/酸変性ポリオレフィン(同左)層(c)/EVOH(同左)層(a)/酸変性ポリオレフィン(同左)層(c)/ポリオレフィン系樹脂(同左)層(b)[外側]=40/30/120/30/1100(μm)の多層ボトル(多層構造容器)を得て、同様に評価した。尚、EVOH層は、厚み方向において内側から5〜15%の位置であった。
【0060】
参考例3
実施例3に準じて、[内側]ポリオレフィン系樹脂(実施例3に同じ)層(b)/酸変性ポリオレフィン(同左)層(c)/EVOH(同左)層(a)/酸変性ポリオレフィン(同左)層(c)/ポリオレフィン系樹脂(同左)層(b)[外側]=30/20/70/20/700(μm)の多層ボトル(多層構造容器)を得て、同様に評価した。尚、EVOH層は、厚み方向において内側から6〜15%の位置であった。
【0061】
参考例4
実施例1に準じて、[内側]ポリオレフィン系樹脂(実施例1に同じ)層(b)/酸変性ポリオレフィン(同左)層(c)/EVOH(同左)層(a)/酸変性ポリオレフィン(同左)層(c)/リグラインド(再生スクラップ)層/ポリオレフィン系樹脂(同左)層(b)[外側]=50/50/80/50/500/500(μm)の多層ボトル(多層構造容器)を得て、同様に評価した。尚、EVOH層は、厚み方向において内側から8〜15%の位置であった。ただし、リグラインド層には実施例1で得られた多層ボトルの粉砕物を使用した。
【0062】
参考例5
実施例3に準じて、[内側]ポリオレフィン系樹脂(実施例3に同じ)層(b)/酸変性ポリオレフィン(同左)層(c)/EVOH(同左)層(a)/酸変性ポリオレフィン(同左)層(c)/リグラインド(再生スクラップ)層/ポリオレフィン系樹脂(同左)層(b)[外側]=30/20/70/20/500/200(μm)の多層ボトル(多層構造容器)を得て、同様に評価した。尚、EVOH層は、厚み方向において内側から6〜15%の位置であった。ただし、リグラインド層には実施例3で得られた多層ボトルの粉砕物を使用した。
【0063】
比較例1
実施例1において、ボトル胴部の層厚みが、ポリオレフィン系樹脂(実施例1に同じ)層=900(μm)の単層ボトルを作製して、同様に評価を行った。
【0064】
比較例2
参考例1において、ボトル胴部の層厚み構成を、[内側]ポリオレフィン系樹脂層(b)/酸変性ポリオレフィン層(c)/EVOH層(a)/酸変性ポリオレフィン層(c)/ポリオレフィン系樹脂層(b)[外側]=750/50/80/50/300(μm)とした以外は同様に行って多層ボトルを得て、同様に評価を行った。この時のEVOH層は、厚み方向において内側から65〜72%の位置であった。
実施例及び比較例の評価結果を表1及び2にまとめて示す。
【0065】
〔表1〕
Figure 0004823412
【0066】
〔表2〕
Figure 0004823412
【0067】
【発明の効果】
本発明の蓄熱体は、EVOH層及びポリオレフィン系樹脂層の少なくとも2層を有し、かつEVOH層が厚み方向において内側から60%以内の位置にある多層構造体からなる容器に炭化水素を主成分とする蓄熱材が内包されてなるため、機械的強度の低下や外観性の悪化がなく、蓄熱材内容量の保持性にも優れており、保温を要する食品等の輸送、保管はもちろんのこと、医療用、家庭用など幅広い保温材としての用途に有用である。

Claims (6)

  1. エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層及びポリオレフィン系樹脂層の少なくとも2層を有し、かつエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層が厚み方向において内側から60%以内の位置にあり、多層構造体の層構成が、[内側]エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層/ポリオレフィン系樹脂層[外側]、または[内側]エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層/リグラインド層/ポリオレフィン系樹脂層[外側]である多層構造体からなる容器に炭化水素を主成分とする蓄熱材が内包されてなることを特徴とする蓄熱体。
  2. 多層構造体のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層の厚みが5〜500μmであり、多層構造体の全体の厚みが300〜10000μmであることを特徴とする請求項1記載の蓄熱体。
  3. 層間に接着性樹脂層を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の蓄熱体。
  4. エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物のエチレン含有量が10〜70モル%で、ケン化度が90モル%以上で、かつメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2160g)が0.1〜100g/10分であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の蓄熱体。
  5. ポリオレフィン系樹脂が、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)共重合体、ポリプロピレン(PP)から選ばれる少なくとも1種又はこれらのブレンド物であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の蓄熱体。
  6. 蓄熱材がノルマルパラフィンを主成分としてなり、かつその融点が15〜70℃であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の蓄熱体。
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