JP2016199744A - 樹脂組成物及びこれを用いた多層構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱水処理後のガスバリア性に優れ、かつ高温高湿度下で放置しても、外観不良を発生しにくい多層構造体を提供できる樹脂組成物を提供する。【解決手段】 熱可塑性樹脂に、所定の吸水特性を有する水和物形成性のアルカリ土類金属塩を含有させる。かかる樹脂組成物の層を、吸湿によりガスバリア性等の特性が低下する樹脂層(吸湿層)と組み合わせた多層構造体とすることで、多層構造体の外観に影響を及ぼすことなく、多層構造体の吸湿による特性低下を抑制する。【選択図】 なし

Description

本発明は、耐湿性改善に用いることができる樹脂組成物及びこれを用いた多層構造体に関し、さらに詳しくは、耐湿性に乏しい樹脂層を含む多層構造体の耐湿性を改善するのに用いることができる樹脂組成物及びこの樹脂組成物層を含む多層構造体に関する。
食品等の包装用フィルムとしては、一般に熱可塑性樹脂製フィルムが用いられる。包装用フィルムは、フィルムとしての強度、食品の鮮度保持の観点から酸素バリア性等のガスバリア性などが求められる。また、包装体が高温下、梅雨期のような高湿度下で長期間、保存されても、包装体の外観劣化が問題とならないように、耐湿性も求められる。さらに、包装体が、レトルト処理等の熱水処理に供される場合もあることから、かかる処理によるフィルム強度、外観、ガスバリア性等の低下が抑制されていることが求められる。
1種類の熱可塑性樹脂フィルムで、上記のような要求をすべて満足させることは困難であることから、通常、複数種類の樹脂フィルムを積層した多層フィルムが、包装用フィルムとして用いられる。
例えば、ガスバリア性を有するフィルムの両面を、強度、耐湿性に優れた保護用フィルムでサンドイッチした多層フィルム、さらにガスバリア層と保護層との接着強度を改善するために、これらの間に接着性樹脂層を介層させた多層フィルムなどが、包装用フィルムとして用いられる。
このようなガスバリア性を有する多層フィルムは、カスバリア層として、例えばエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(以下、「EVOH樹脂」と称することがある)を使用し、このEVOH樹脂層の両面をポリオレフィンフィルムでサンドイッチした多層フィルムがある。
しかしながら、EVOH樹脂をガスバリア層として用いた多層フィルムで包装した包装体を、レトルト処理のように、長時間、熱水にさらされる処理に供すると、ガスバリア性能が低下することが知られている。かかるガスバリア性の低下は、熱水処理により、多層フィルムの端縁等からEVOH樹脂層内に水分が入り込み、EVOH樹脂の分子間の水素結合が崩れ、外部から酸素分子が侵入しやすくなったためと考えられている。
熱水処理によるガスバリア性能の低下を抑制する方法としては、多層構造体を構成する層に、乾燥剤として、水和物形成性の金属塩を配合することが知られている。例えば、特許文献1には、ガスバリア層としてのEVOH樹脂層を含み、このEVOH樹脂層を、乾燥剤としてコハク酸二ナトリウム塩水和物の脱水物を配合した熱可塑性樹脂層で挟持した多層構造体が、熱水処理後も優れたガスバリア性を保持していたことが示されている。
特開2010−59418号公報
しかしながら、特許文献1に記載の多層構造体は、熱水処理後のガスバリア性に優れているが、高温高湿度下で放置した場合、乾燥剤が、熱可塑性樹脂の内部で吸湿力以上の過剰な水分を取り込んで水溶する。水溶した乾燥剤は、多層構造体の外観不良の要因となり、ひどい場合には、水溶した乾燥剤が熱可塑性樹脂組成物層と接着性樹脂層との界面に移行して層間剥離(デラミネーション)を引き起こす場合がある。
そこで、本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、EVOH樹脂層のように、吸湿により特性が低下するような層が含まれている多層構造体に用いられても、多層構造体全体としての耐湿性を改善して、吸湿による特性低下を防止できる樹脂組成物及びこれを用いた多層構造体を提供することにある。
本発明者は、吸湿により特性が低下し得る樹脂層を含む多層構造体全体において、吸湿による多層構造体全体としての特性低下を抑制することを目標として、熱可塑性樹脂に添加する種々の乾燥剤について検討した結果、乾燥剤のなかでも、特定の吸水特性を有するアルカリ土類金属塩を採用することにより、吸湿により特性が低下する層(吸湿層)が含まれていても、多層構造体の外観に影響を及ぼすことなく、多層構造体全体として耐湿性を付与でき、吸湿による特性低下を抑制できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂からなるベース樹脂(但し、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物及び極性基変性重合体を除く);及び(B)下記(α)の吸水特性を充足する水和物形成性のアルカリ土類金属塩を含有することを特徴とし、さらに、下記吸水特性(β)及び/又は(γ)を充足することが好ましい。
(α)前記アルカリ土類金属塩(B)の最大水和物中の結晶水含有量(Y)に対する、前記アルカリ土類金属塩(B)を40℃、90%相対湿度下に放置した際の5日間の、当該アルカリ土類金属塩(B)100gあたりの吸水量(X5)の割合(X5/Y)が0.2〜2.0である。
(β)前記アルカリ土類金属塩(B)を40℃、90%相対湿度下に放置した際の24時間後の100gあたりの吸水量(Z)が10g以上である。
(γ)40℃、90%相対湿度下で放置された場合に、吸水量の極大点を有している。
前記アルカリ土類金属塩(B)は、乳酸、ケイ酸、リン酸、及びクエン酸からなる群より選ばれる1種の酸のアルカリ土類金属塩の混合物の完全脱水物若しくは含水量が50重量%以下の部分脱水物、またはこれらの混合物であることが好ましい。
前記ベース樹脂(A)と水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)の含有重量比(A/B)が、50超/50未満〜99/1であることが好ましく、前記ベース樹脂(A)は、ポリアミド系樹脂又はオレフィン系樹脂であることが好ましい。
本発明の多層構造体は、上記本発明の樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有することを特徴とする。前記水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)を含まない熱可塑性樹脂又はその組成物の層を、さらに含むことが好ましい。かかる熱可塑性樹脂は、20℃,65%相対湿度下で、JIS−K7126(等圧法)に記載の方法に準じて測定した酸素透過度が、100mL・20μm/(m2・day・atm)以下であるガスバリア樹脂であることが好ましく、より好ましくは、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物である。
本発明の樹脂組成物の層を含む多層構造体に、吸湿により特性が低下する層(吸湿層)が含まれていても、多層構造体全体として耐湿性を付与でき、吸湿による特性低下を抑制できる。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものであり、これらの内容に特定されるものではない。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、(A)ベース樹脂、及び(B)特定の吸水特性を有する水和物形成性のアルカリ土類金属塩を含有する樹脂組成物である。以下、各成分について、説明する。
[(A)ベース樹脂]
本発明に用いる(A)ベース樹脂は、エチレン−ビニルエステル系共重合体(EVOH樹脂)及び極性基変性重合体を除く熱可塑性樹脂である。
熱可塑性樹脂とは、融点(結晶性樹脂の場合),ガラス転移点(非晶性樹脂の場合)以上の温度に加熱した場合に溶融状態になり、一方で結晶化温度(結晶性樹脂の場合),ガラス転移点(非晶性樹脂の場合)未満の温度に冷却することで固化状態となる、温度によって可逆的な性状態変化を繰り返す性質を示す合成樹脂である。
本発明で用いる熱可塑性樹脂は、融点以上に加熱しても押出機等で成形することが可能な粘度を有する。例えば、230℃、荷重2160g条件下でのMFRが、通常0.01〜200g/10分であり、より具体的には0.01〜100g/10分であり、さらには0.1〜50g/10分である。
ベース樹脂(A)としては、公知の熱可塑性樹脂を用いることができるが、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(EVOH樹脂)及び極性基変性重合体は、除かれる。
したがって、ベース樹脂(A)として用いられる熱可塑性樹脂の例としては、具体的には、ポリアミド系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のハロゲン化オレフィン系樹脂等が挙げられる。
ベース樹脂(A)は、上記のような熱可塑性樹脂を単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
また、バージン樹脂に限定せず、複数種類の熱可塑性樹脂が含まれるリサイクル樹脂であってもよい。
これらの熱可塑性樹脂は、求められる用途に応じて適宜選択される。また、他の樹脂フィルムが積層される多層構造体の場合には、組み合わされる他の樹脂フィルム(他の樹脂層)の種類に応じて、適宜選択される。一般には、熱安定性、耐湿性に優れているという点から、ポリアミド系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂が好ましく、ボイル・レトルト処理向けの多層構造体では、ポリアミド系樹脂、オレフィン系樹脂は本発明の効果を顕著に発揮できるので、特に好ましく用いられる。
以下、好ましく用いられるポリアミド系樹脂及びオレフィン系樹脂について、詳述する。
[A−1:ポリアミド系樹脂]
ポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン12)等のホモポリマーが挙げられる。また共重合ポリアミド樹脂としては、例えばポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン86)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン108)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン6/66)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン12/66)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン26/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン66/610)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン6/66/610)等の脂肪族ポリアミドや、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ヘキサメチレンイソフタルアミド/テレフタルアミド共重合体、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミドや、ポリ−p−フェニレン―3,4’ジフェニルエーテルテレフタルアミド等の芳香族ポリアミド、非晶性ポリアミド、これらのポリアミド樹脂をメチレンベンジルアミン、メタキシレンジアミン等の芳香族アミンで変性したものやメタキシリレンジアンモニウムアジペート等が挙げられる。あるいはこれらの末端変性ポリアミド樹脂であってもよく、好ましくは末端変性ポリアミド樹脂である。これらのポリアミド系樹脂は1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
このようなポリアミド系樹脂は、EVOH樹脂等の極性基を含有する樹脂との結合力が高くなる傾向にある。したがって、極性基を含有する樹脂の層を含む多層構造体の耐湿性改善に好ましく用いられる。
前記ポリアミド系樹脂を構成するアミドモノマー単位におけるアミド結合の比率は、アミドモノマーユニット(例えば、ナイロン6の場合、[−C65−CONH−]中のアミド結合(−CONH−)を分子量の割合として計算した場合、20%〜60%が好ましく、より好ましくは30%〜50%、特に好ましくは35%〜45%である。かかるアミド結合の比率が低すぎる場合は、EVOH樹脂などの極性樹脂との界面における結合力が低下しやすい傾向があり、逆に高すぎた場合には溶融成形時にEVOH樹脂などの極性樹脂との反応性が強すぎて共押出した際に接着界面荒れによる外観不良を引き起こす傾向がある。
前記ポリアミド系樹脂の融点は、160〜270℃であることが好ましく、より好ましくは180〜250℃、特に好ましくは200〜230℃である。かかるポリアミド系樹脂の融点が低すぎる場合は、多層構造体の耐熱性が低下する傾向がある。一方、ポリアミド系樹脂の融点が高すぎると、他の樹脂層を含む多層構造体の場合、他層で使用する樹脂との融点差が大きくなる。このことは、他の樹脂と共押出成形する場合、合流時に層乱れが生じて多層構造体の外観低下をもたらす傾向にある。さらに、EVOH樹脂と共押出成形する際にはダイ温度が高すぎてEVOH樹脂の熱劣化を促進させる恐れがある。
以上の観点から、好ましいポリアミド系樹脂としては、融点が160〜270℃、好ましくは180〜250℃、特に好ましくは200〜230℃で、且つアミド結合の比率が20%〜60%、好ましくは30%〜50%、特に好ましくは35%〜45%のポリアミドである。具体的には、例えば、ナイロン6(融点:約220℃、アミド結合の比率:38%)、ナイロン6/66(融点:約200℃、アミド結合の比率38%)が好ましい。
ポリアミド系樹脂の重合度は、JIS K6810に準じて測定される相対粘度で通常1.5〜6.0が好ましく、より好ましくは2.0〜6.0、さらに好ましくは2.5〜5.0である。相対粘度が小さ過ぎる場合、成形時に押出機が高トルク状態になり押出加工が困難となる傾向がみられ、大き過ぎる場合、得られるフィルムやシートの厚み精度が低下する傾向がみられるからである。なお、上記相対粘度は、JIS K−6810に準じて、ポリアミド系樹脂1gを96%濃硫酸100mlに完全溶解して、25℃にて毛細管粘度計を用いて測定することができる。
[A−2:オレフィン系樹脂]
オレフィン系樹脂とは、炭素−炭素二重結合を含有する脂肪族炭化水素モノマーであるオレフィンを主モノマーとし、通常、分子量1万以上の高分子で、主鎖が炭素結合のみで構成される親油性ポリマーをいう。具体的には、例えば、ポリオレフィン、オレフィン−ビニルエステル共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー、オレフィン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アイオノマーが挙げられる。
これらのうち、ボイル・レトルト処理用途では、特にポリプロピレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂が疎水性樹脂として好ましく用いられる。このような疎水性樹脂は、耐湿性に劣る樹脂層と組み合わせて用いた場合に、湿気や熱水処理等による外部からの耐湿性に劣る樹脂層への水分混入量を少なくでき、結果として、本発明の樹脂組成物層と吸湿性に劣る樹脂層とを含む多層構造体の耐湿性改善を図ることができる。
上記ポリオレフィンとは、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィンモノマーのホモポリマー、2種以上のオレフィンモノマーのランダムコポリマー、ブロックコポリマーをいう。中でも、オレフィンホモポリマーとしては、例えば、超低密度ポリエチレン、(直鎖状)低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等が挙げられる。
オレフィンブロックコポリマーとしては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体等のエチレン−αオレフィンブロック共重合体;プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等のプロピレン−αオレフィンブロック共重合体;ブテン−エチレン共重合体、ブテン−プロピレン共重合体等のブテン−αオレフィンブロック共重合体などが挙げられる。
オレフィンランダムコポリマーとしては、具体的には、上記オレフィンモノマーを2種以上ランダムに共重合したもので、例えば、エチレン−αオレフィンランダム共重合体、プロピレン−αオレフィンランダム共重合体、ブテン−αオレフィンランダム共重合体等の2種以上のαオレフィンランダム共重合体、エチレン−ノルボルネン等のオレフィン−環状オレフィン共重合体などが挙げられる。
上記環状オレフィン系樹脂としては、公知の樹脂(例えば、特開2003−103718号公報、特開平5−177776号公報、特表2003−504523号公報等参照)を用いることができる。環状オレフィン系樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の鎖状脂肪族ポリオレフィンと比べて、湿分透過度が低い。
上記オレフィン−ビニルエステル共重合体とは、例えば、エチレン含有量70モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン含有量70モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物などが挙げられる。
上記オレフィン系熱可塑性エラストマーとは、ハードセグメントとしてポリオレフィン(ポリエチレンまたはポリプロピレンなど)、ソフトセグメントとして上記脂肪族系ゴム(EPDMまたはEPMなど)を使用した熱可塑性を示すエラストマーであり、ポリオレフィンと脂肪族系ゴムをコンパウンドする方法(コンパウンド型)、あるいはオレフィン重合時に脂肪族ゴムを導入する方法(リアクター型)によって合成されたものが挙げられる。コンパウンド型としては、単純ブレンド品(非架橋タイプ)と動的架橋品(全面架橋タイプ、または部分架橋タイプの2種類)がある。
オレフィン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体とは、例えば、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体が挙げられる。
アイオノマー樹脂とは、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の金属塩で、樹脂中のカルボキシル基は、金属により中和されている。
これらのうち、熱安定性の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィンブロック共重合体、プロピレン−αオレフィンブロック共重合体、エチレン−αオレフィンランダム共重合体、プロピレン−αオレフィンランダム共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、耐熱水性、耐湿性付与が重視される場合には、ポリプロピレン、プロピレン−αオレフィンブロック共重合体、プロピレン−αオレフィンランダム共重合体等の脂肪族ポリオレフィン、環状ポリオレフィンが好ましい。
オレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、210℃、荷重2160g条件下で、通常0.01〜150g/10分であり、好ましくは0.1〜50g/10分であり、より好ましくは0.5〜25g/10分であり、特に好ましくは1〜10g/10分である。また、230℃、荷重2160g条件下で、通常0.01〜200g/10分であり、好ましくは0.5〜35g/10分であり、特に好ましくは1〜15g/10分である。
なお、ベース樹脂(A)に用いられる熱可塑性樹脂から除かれるエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH樹脂)とは、エチレンとビニルエステル系モノマーとの共重合体(エチレン−ビニルエステル共重合体)をケン化させることにより得られる非水溶性樹脂である。一般にISO14663に基づいて測定されるエチレン構造単位が20〜60モル%のEVOH樹脂が該当する。ビニルエステル系モノマーとしては、酢酸ビニルの他、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等が挙げられる。また、10モル%以下で、オレフィン、ヒドロキシ基含有α−オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物、ジアルキルエステル類、(メタ)アクリルアミド類、N−ビニルアミド類、シアン化ビニル類、ビニルエーテル類、ハロゲン化ビニル化合物類、ビニルシラン類、ハロゲン化アリル化合物類、アリルアルコール類等の他のモノマーが共重合されたEVOH樹脂、さらには後変性されたEVOH系樹脂も含まれる。要するに、特願2014−204437号に挙げたようなEVOH樹脂は除かれる。
また、ベース樹脂(A)に用いられる熱可塑性樹脂から除かれる極性基変性重合体は、極性基含有化合物で、炭素−炭素二重結合を含有する脂肪族炭化水素モノマー単位を有する重合体を変性したものである。前記極性基含有化合物とは、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシル基、水酸基、アミド基、エポキシ基などの極性基を有する化合物をいう。前記カルボキシル基には、カルボキシル基の誘導体である酸無水物基も含まれる。
[(B)水和物形成性のアルカリ土類金属塩]
本発明で用いる水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)とは、水分子を結晶水として取り込む性質を有するアルカリ土類金属塩であって、以下の吸水特性(α)、好ましくはさらに(β)及び/又は(γ)を充足するものである。
吸水特性(α):最大水和物中の結晶水含有量(Y)に対する、使用する水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)を40℃、90%相対湿度下に放置した際の5日間の、当該アルカリ土類金属塩(B)100gあたりの吸水量(X5)の割合(X5/Y)が0.2〜2.0、好ましくは0.5〜2.0、より好ましくは0.75〜2.0である。
前記最大水和物とは、結晶水を最大水和数で含有している水和物をいい、その結晶水含有量(Y)とは、結晶水を含まない無水物の状態にある水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)100gが取り込むことができる結晶水の量(単位:g)をいう。かかる結晶水含有量(Y)は、下記式により求められる値で、アルカリ土類金属塩の種類に固有の値である。
Y(g)=〔(最大水和物の水和数×18)/(無水物の分子量)〕×100
例えば、水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)として乳酸カルシウム(C610CaO6:分子量218)を用いた場合、乳酸カルシウムの最大水和物は5水和物であることから、下記計算によりY=41gとなる。
Y=〔(5×18)/218〕×100=約41
最大水和物中の結晶水含有量(Y)は、水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)が最大水和物として存在するときの含水量に該当することから、(B)成分として用いるアルカリ土類金属塩(無水物)が吸水できる最大量の指標となり、ベース樹脂(A)に入り込んだ水分捕捉量に関する指標となる。ベース樹脂(A)中に進入した水分の捕捉量が大きいほど、多層構造体の場合に、吸湿性を有する他の樹脂層による吸湿が抑制されると考えられることから、Yは大きいほど好ましい。従って、Yは、30g以上、さらには40g以上、特には50g以上を満たすことが好ましい。
一方、水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)が最大水和物で最も安定しているとは限らない。最も安定して存在できる水和物(安定水和物)に含まれる結晶水の数は、最大水和物よりも少ない場合がある。例えば、ジクエン酸三マグネシウムでは、最も安定的に存在できる水和物としては、9水和物があるが、最大水和物は14水和物である。
前記使用する水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)を40℃、90%相対湿度下に放置した際の5日間の、当該アルカリ土類金属塩(B)の100gあたりの吸水量(X5)とは、対象とする水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)の脱水物(無水物)100gを、40℃、90%相対湿度下に5日間放置した後の吸水量(単位:g)であり、下記式により求められる。
5=〔(5日間の吸水量)/(初期重量)〕×100
5日間の吸水量は、(放置5日後の重量−初期重量)より算出できる。
式中の「初期重量」は、実際に使用する金属塩の使用前重量をいう。
「初期重量」「5日後の重量」は、いずれも実際の測定値であり、電子天秤などの重量測定器を用いて測定できる。当該値は、アルカリ土類金属塩の化合物の種類だけでなく、当該化合物の製造方法、含有結晶水の有無、性状などによっても異なる値である。
また、(B)成分として、水和物形成性のアルカリ土類金属塩の無水物を用いる場合、理論的には含水量0gのはずであるが、ここで用いる初期重量は、例えば、熱重量測定装置(パーキンエルマー社製、熱重量測定装置「Pyris 1 TGA」)を用いて、重量が平衡に達した状態(完全脱水物の状態)の重量を採用することから、若干量の水分が含まれた重量となる。
前記吸水量(X5)は、通常10〜200g、好ましくは20〜100g、特に好ましくは30〜75gである。当該吸水量(X5)が大きいアルカリ土類金属塩では、安定水和物を形成する量を超える水分を取り込む傾向があるため、高湿度条件下にて多層構造体を放置した場合に外観不良が発生する傾向がある。一方、前記吸水量(X5)が小さいアルカリ土類金属塩では、ベース樹脂中に進入した水分の捕捉容量が小さいことになるので、ガスバリア層を有する多層構造体における熱水処理(レトルト処理)後のガスバリア性が不足する傾向にある。
以上のようにして定義される結晶水含有量(Y)に対する吸水量(X5)の割合(X5/Y)は、水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)が、安定的に捕捉できる水分量に対して、5日間で吸水する水分量の割合を示しており、高湿度条件下にて多層構造体を放置した場合の外観不良発生に関する指標となる。すなわち、X5/Yの値が、吸水特性(α)で規定する範囲内にあるアルカリ土類金属塩は、適度な吸水能力を有し、過度に吸水しないことを表している。一方、X5/Yが大きすぎる場合、水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)が安定的に吸水できる容量以上の水分を取り込み、過度の吸水により多層構造体における外観不良が発生しやすい。逆に、X5/Yが小さすぎる場合、ベース樹脂(A)中に進入した水分の捕捉能が小さく、多層構造体においては、結果として吸湿性が高い他の樹脂層により吸湿されることになる。
吸水特性(β):前記アルカリ土類金属塩(B)を40℃、90%相対湿度下に放置した際の24時間後の100gあたりの吸水量(Z)が、10g以上であることが好ましく、より好ましくは30g以上、さらに好ましくは50g以上である。
Zは、使用する水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)100gを、40℃、90%相対湿度下で24時間放置したときの吸水量(g)であらわされる。
吸水量(Z)が少なすぎると、ベース樹脂(A)中に進入した水分の捕捉速度が小さく、多層構造体においては、結果として吸湿性が高い他の樹脂層により吸湿される傾向がある。
吸水特性(γ):40℃、90%相対湿度下で放置された場合に吸水量の極大点を有する。
吸水量の極大点とは、高温高湿度下(例えば40℃、90%相対湿度下)で放置したときの6日間の吸水量変化において、吸水後重量が減少傾向に転じる場合をいう。
具体的には、放置24時間単位で測定される吸水量(X、n日後の吸水量はXn)が、さらに24時間後(n+1日後)の吸水量(Xn+1)よりも少なくなっている場合をいう。ここで、n日目の「吸水量」は、(n日後の重量−初期重量)により算出される。
従って、吸水特性(γ)は、吸水量が極大に達した後、吸水した水分の一部を放出する特性であるといえ、化合物が所定量を吸水した後は、過度の吸水が抑制されることを意味する。したがって、水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)が、自身が吸水した水により溶解してしまうことを回避できる。また、最大水和物よりも水和数が少ない安定水和物が存在する場合、最大水和物にまで吸水した後、安定水和物に近づくように、含水量を調整しているとも考えられる。
以上のような吸水特性を充足する水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)は、ベース樹脂(A)中に進入した水分を捕捉し、多層構造体を構成する吸湿性樹脂の層の吸湿による特性低下を抑制することができる。しかも、高温高湿度環境に長期間暴露されても、捕捉能を超える過剰量の吸水を回避、あるいは過剰量の吸水をした後でも安定水和物として存在できるように過剰に捕捉した水分を再び放出することで、外観不良を抑制し、優れた外観を保持できる多層構造体を提供することができる。
以上のような吸水特性を充足し得る水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)としては、例えば、乳酸塩(乳酸カルシウム[5水和物])、クエン酸塩(クエン酸カルシウム[4水和物]、ジクエン酸三マグネシウム[14水和物]、クエン酸水素マグネシウム[5水和物])等のカルボン酸塩、ケイ酸塩(ケイ酸マグネシウム[5水和物])、リン酸塩(リン酸三マグネシウム[8水和物])、炭酸塩(塩基性炭酸マグネシウム[7水和物])などが挙げられる。[ ]内は、最大水和物の最大水和数を示している。これらの水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)は、単独で用いてもよいし、2種以上混合しても用いてもよい。
本発明で用いる水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)は、安定水和物が、通常1〜20水和物となるアルカリ土類金属塩であり、好ましくは3〜18水和物となるアルカリ土類金属塩であり、特に好ましくは5〜15水和物となるアルカリ土類金属塩である。安定水和物が含有する結晶水含有量が小さいと、進入した水分の捕捉能が小さくなる傾向にある。
このようなアルカリ土類金属塩(B)の最大水和物の無水物(結晶水が0の場合)又は部分水和物(安定水和物の水和数未満の結晶水を含有する金属塩)が、乾燥剤として用いられる。部分脱水物(又は部分水和物)の場合、一般に、結晶水量が最大水和量の50%未満(好ましくは30%以下、さらに好ましくは10%以下)である部分水和物であれば、上記吸水特性を充足できる傾向にある。
水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)の無水物または部分水和物は、水和物を完全脱水又は部分脱水することにより製造してもよいし、市販されている無水物又は部分水和物結晶を用いてもよい。要するに、上述の吸水特性(α)を充足する水和物形成性のアルカリ土類金属塩であればよく、更に上述の吸水特性(β)及び(γ)の少なくともいずれか一方の吸水特性を充足することが好ましい。
水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)である無水物(完全脱水物)又は部分水和物(部分脱水物)の化合物全体に対する含水量は、化学式から算出される理論量とは必ずしも一致しない。例えば、無水物(完全脱水物)の場合、理論的には結晶水に基づく含有水分量が0であるから、熱重量測定装置で測定される含水率も0重量%のはずである。しかしながら、吸湿等により、測定値は0重量%より多くなる場合がある。例えば、ジクエン酸三マグネシウムの完全脱水物の場合、上記熱重量測定装置で測定される値は、0〜10重量%程度となる。これらは、吸湿したためと考えられるが、吸湿した場合であっても、完全脱水物としては、上記熱重量測定装置で測定される値が0〜5重量%であることが好ましい。
尚、実際の含水量については、例えば、熱重量測定装置(パーキンエルマー社製、熱重量測定装置「Pyris 1 TGA」)を用いて測定することができる。測定値としての含水率は、化合物全体に対する水分量の割合であり、測定開始時から重量平衡に到達した時点で含まれている水分割合(含水率)で算出する値である。
上記アルカリ土類金属塩(B)のうち、吸湿性の点から、乳酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸三マグネシウム、クエン酸アルカリ土類金属塩の完全脱水物が好ましく用いられる。また、クエン酸のアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩の完全脱水物は、吸水特性(γ)を充足し、過剰な吸湿が抑制される点から好ましい。
水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)は、通常粉体である。その粒子分布としてはPSTM E11−04に基づいて測定した値で、通常120メッシュパスが50体積%以上であり、好ましくは120メッシュパスが80体積%以上、特に好ましくは120メッシュパスが95体積%以上である。かかる粒子分布は、ベース樹脂(A)への分散性が良好となる点から、120メッシュパスの粒子割合が多いことが好ましい。120メッシュパスの粒子割合が少なすぎる場合、多層構造体の外観特性が低下する傾向がある。
以上に示した性質を示す水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)は、高い吸水能を保持しながら高温高湿度下での過剰な吸湿を抑制する能力を有する。したがって、このような水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)をベース樹脂(A)に配合した樹脂組成物の層と、吸湿性の大きい樹脂層(例えばEVOH樹脂等のガスバリア層)とを含む多層構造体を高温高湿度下で放置した場合、当該樹脂組成物層が、前記吸湿性の大きい樹脂層よりも優先的に吸湿することで、吸湿性の大きい樹脂層の吸湿による不良(機能低下、外観不良など)を抑制できる。また、本発明の樹脂組成物層は、吸湿による特段の外観変化、特性低下がないので、多層構造体全体として、耐湿性付与を実現できることになる。
本発明においては、ベース樹脂(A)中に水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)が分散していることが好ましい。
したがって、本発明の樹脂組成物において、ベース樹脂(A)/水和物形成性のアルカリ土類金属塩(無水物)(B)の含有重量比(A/B)は、通常50超/50未満〜99/1(50/50を超えて99/1以下)、さらに好ましくは70/30〜97/3、特には85/15〜92/8である。かかる比率が大きすぎる場合にはベース樹脂(A)に入り込んだ水分を除去する効果が低下し、耐湿性付与効果が低下する傾向がある。一方、小さすぎる場合には、ベース樹脂(A)に対して、アルカリ土類金属塩の含有量が多いことを意味し、樹脂組成物の流動性が低下し、ひいては押出成形性が低下する傾向にある。
〔(C)添加剤〕
本発明の樹脂組成物には、(A),(B)成分以外に、必要に応じて、以下のような化合物を、含有してもよい。
以下のような添加剤の樹脂組成物における含有率は、本発明の効果を阻害しない範囲、具体的には、添加剤総量として、樹脂組成物の30重量%以下、好ましくは10重量%以下とすることが好ましい。
(C−1)分散剤
アルカリ土類金属塩(B)のベース樹脂(A)中での分散性を高めるために、樹脂組成物は、さらに分散剤を含有することが好ましい。本発明で使用することができる分散剤としては、従来より樹脂組成物に用いられていた分散剤で、例えば、高級脂肪酸(例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸等)、高級脂肪酸金属塩(ステアリン酸などの高級脂肪酸のアルミニウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、バリウム塩等)、高級脂肪酸エステル(高級脂肪酸のグリセリンエステル、メチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、オクチルエステル等)、高級脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド等のビス脂肪酸アミド)、低分子量ポリオレフィン(例えば分子量500〜10,000程度の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン等、又はその酸変性品)、高級アルコール、エステルオリゴマー、フッ化エチレン樹脂等が挙げられる。
これらの添加物の中でも、相分離異物の抑制を重視する場合には、炭素数12〜20の高級脂肪酸アルカリ土類金属塩および遷移金属塩が好ましく、特にはステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩が好ましい。
このような分散剤の配合量は、樹脂組成物中、0.00001〜5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.0001〜2.5重量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.001〜1重量%である。
(C−2)板状無機フィラー
上記板状無機フィラーとしては、例えば、含水ケイ酸アルミニウムを主成分とし、粒子が板状となっているカオリン、層状ケイ酸鉱物である雲母やスメクタイト、水酸化マグネシウムとケイ酸塩からなるタルクなどが挙げられる。これらのうち、カオリンが好ましく用いられる。カオリンの種類としては、特に限定せず、焼成されていても、いなくてもよいが、好ましくは焼成カオリンである。
これらの板状無機フィラーは、湿分透過を阻止する働きがある。特に、フィルム成形の場合に、板状フィラーの板状面がフィルムの面方向に配向されやすいことから、面方向に配向した板状無機フィラーが樹脂組成物層の水分透過の遮断に寄与できると考えられる。したがって、本発明の樹脂組成物層を多層構造体の表面層とし、吸湿性が高い樹脂層(吸湿層)を多層構造体の内側とすることにより、吸湿層の吸湿による特性低下を抑制できる。すなわち、本発明の樹脂組成物の耐湿性付与効果をより高めることが可能である。
このような板状無機フィラーの添加量は、ベース樹脂(A)に対して、通常1〜20重量%であり、好ましくは3〜20重量%であり、より好ましくは5〜15重量%である。
(C−3)酸素吸収剤
本発明の樹脂組成物に、酸素バリア機能を付与するために、さらに酸素吸収剤を含有してもよい。
酸素吸収剤とは、包装される内容物よりも素早く酸素を捕捉する化合物または化合物系である。具体的には、無機系の酸素吸収剤、有機系の酸素吸収剤、無機触媒と有機化合物を組み合わせて用いる複合型酸素吸収剤等が挙げられる。
無機系酸素吸収剤は、金属及び金属化合物が挙げられ、これらと酸素が反応することにより酸素を吸収するものである。上記金属としては、水素よりもイオン化傾向の大きい金属(Fe、Zn、Mg、Al、K、Ca、Ni、Snなど)が好ましく、代表的には鉄である。これらの金属は、粉末状で用いられることが好ましい。鉄粉としては、還元鉄粉、アトマイズ鉄粉、電解鉄粉等、その製法等に依らず、従来より公知のものを特に限定されることなく何れも使用可能である。また、使用する鉄は、一旦酸化された鉄を還元処理したものであってもよい。また、上記金属化合物としては酸素欠損型金属化合物が好ましい。ここで、酸素欠損型金属化合物としては、酸化セリウム(CeO)や、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)等が挙げられ、これらの酸化物が還元処理により結晶格子中から酸素が引き抜かれて酸素欠損状態となり、雰囲気中の酸素と反応することにより酸素吸収能を発揮するものである。以上のような金属および金属化合物は、反応促進剤としてハロゲン化金属等を含有することも好ましい。
有機系酸素吸収剤としては、例えば、水酸基含有化合物、キノン系化合物、二重結合含有化合物、被酸化性樹脂が挙げられる。これらに含まれる水酸基や二重結合に酸素が反応することにより、酸素を吸収することができる。有機系酸素吸収剤としては、ポリオクテニレン等のシクロアルケン類の開環重合体や、ブタジエン等の共役ジエン重合体およびその環化物等が好ましい。
複合型酸素吸収剤とは、遷移金属触媒と有機化合物の組合せをいい、遷移金属触媒によって酸素を励起し、有機化合物と酸素が反応することにより酸素を吸収するものである。包装の内容物である食品等よりも早く、複合型酸素吸収剤中の有機化合物が酸素と反応することにより、酸素を捕捉、吸収する化合物系である。遷移金属系触媒を構成する遷移金属としては、例えば、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ルテニウム、パラジウムから選ばれる少なくとも一種であり、中でも樹脂との相溶性、触媒としての機能性、安全性の点でコバルトが好ましい。有機化合物としては、有機系酸素吸収剤であるポリオクテニレン等のシクロアルケン類の開環重合体や、ブタジエン等の共役ジエン重合体およびその環化物等が好ましく、その他の有機化合物としては、MXDナイロン等の窒素含有樹脂、ポリプロピレン等の三級水素含有樹脂、ポリアルキレンエーテルユニットを有するブロック共重合体等のポリアルキレンエーテル結合含有樹脂、アントラキノン重合体が好ましい。
また、遷移金属系触媒と有機化合物との含有比率(質量比)は、有機化合物の質量を基準として、金属元素換算で0.0001〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.0005〜1重量%、更に好ましくは0.001〜0.5重量%の範囲で含有される。
(C−4)その他の添加物
本発明の樹脂組成物には、上記成分のほか、必要に応じて、本発明の効果を損なわない限り(例えば、樹脂組成物全体の5重量%未満)、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコール等の可塑剤;飽和脂肪族アミド(例えばステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えばエチレンビスステアリン酸アミド等)、低分子量ポリオレフィン(例えば分子量500〜10000程度の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン)等の滑剤;アンチブロッキング剤;酸化防止剤;着色剤;帯電防止剤;紫外線吸収剤;抗菌剤;不溶性無機塩(例えば、ハイドロタルサイト類等);充填材(例えば無機フィラー等);界面活性剤、ワックス;共役ポリエン化合物、エンジオール基含有物質(例えば、没食子酸プロピルなどのフェノール類など)、アルデヒド化合物(例えば、クロトンアルデヒド等の不飽和アルデヒド類など)などの公知の添加剤を適宜含有することができる。
これらの添加剤の中でも、相分離異物の抑制を重視した場合には、樹脂組成物100重量部に対し、式(H1)、式(H2)で示されるハイドロタルサイト類を0.00001〜1重量部の範囲で含有することが好ましく、特には、式(H2)で示されるハイロドタルサイト系固溶体を配合することが好ましい。
xAly(OH)2x+3y-2z(E) z・aHO ……(H1)
[式中、MはMg,CaまたはZn、EはCO3またはHPO4であり、x,y,zは正数、aは0または正数である。]
[(M1 2+)y1(M2 2+)y2]1-xx 3+(OH)2n- x/n・mH2O ……(H2)
[式中M1 2+は、Mg,CpSrおよびBaから選ばれる金属の少なくとも1種、M2 2+は、Zn,Cd,Pb,Snから選ばれる金属の少なくとも1種、Mx 3+は3価金属、An-はn価のアニオン、x,y1,y2,mはそれぞれ0<x≦0.5、0.5<y1<1、y1+y2=1、0≦m<2で示される正数である。]
<樹脂組成物の調製方法>
ベース樹脂(A)と水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)を混合するにあたっては、通常、溶融混錬法または機械的混合法(ペレットドライブレンド)を行ない、好ましくは溶融混錬法である。具体的には、各成分をドライブレンド後に溶融混合する方法や、溶融状態のベース樹脂(A)に水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)を混合する方法が挙げられる。
なお、本発明の樹脂組成物は、そのまま成形加工に供して各種成形物を得てもよいし、一旦、アルカリ土類金属塩水和物の部分脱水物または完全脱水物の高濃度組成物(マスターバッチとも称される)を製造しておき、成形時にベース樹脂で希釈して、各種成形物を得てもよい。かかるマスターバッチにおけるベース樹脂(A)と水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)の含有重量比(A/B)は、通常10/90〜50未満/50超である。
混合順序は、例えば(1)(A)成分と(B)成分を同時にブレンドする方法;(2)まず(A)成分に(B)成分を過剰量配合して(B)成分の高濃度組成物を製造した後、この高濃度組成物にベース樹脂(A)を加えることで、(B)成分を希釈し、目的の組成とする方法がある。
通常は(1)の方法が用いられるが、流通時のコストの点からは、(2)の方法のように、一旦(B)成分の高濃度組成物を製造し、成形時に希釈して用いる方法も好ましく採用される。このとき、前記マスターバッチに対するベース樹脂(A)の含有重量比(A/マスターバッチ)は、マスターバッチの組成にもよるが、通常10/90〜99/1であり、好ましくは20/80〜95/5であり、特に好ましくは30/70〜90/10である。
混合方法は、例えばバンバリーミキサー等でドライブレンドする方法や単軸または二軸の押出機等で溶融混練し、ペレット化する方法等、任意のブレンド方法が採用され得る。かかる溶融混錬温度は、通常150〜300℃、好ましくは170〜250℃である。
なお、水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)の水溶液に、ベース樹脂(A)を浸漬することにより、ベース樹脂(A)に前記(B)成分を含浸させ、その後、乾燥することによって製造する方法(含浸法)も採用可能である。しかしながら、この含浸法は、樹脂組成物を成形した成形物中において、水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)の水和物形成能を低下させる傾向があるため採用し難い。
また、アルカリ土類金属塩(B)の安定水和物を、ベース樹脂(A)と混合し、溶融混練した後、アルカリ土類金属塩水和物の水和水を蒸発させて本発明の樹脂組成物を得る方法も採用可能であるが、かかる方法では樹脂組成物中に発泡が起こる傾向があるため採用し難い。
本発明の樹脂組成物は、原料を溶融混練した後に直接溶融成形品を得ることも可能であるが、工業上の取り扱い性の点から、上記溶融混練後に樹脂組成物ペレットを得、これを溶融成形法に供し、溶融成形品を得ることが好ましい。経済性の点から、押出機を用いて溶融混練し、ストランド状に押出し、これをカットしてペレット化する方法が好ましい。
かかるペレットの形状は例えば、球形、円柱形、立方体形、直方体形等があるが、通常、球状(ラグビーボール状)または円柱形であり、その大きさは、後に成形材料として用いる場合の利便性の観点から、球状の場合は径が通常1〜6mm、好ましくは2〜5mmであり、高さは通常1〜6mm、好ましくは2〜5mmであり、円柱状の場合は底面の直径が通常1〜6mm、好ましくは2〜5mmであり、長さは通常1〜6mm、好ましくは2〜5mmである。
溶融成形時のフィード性を安定させる点では、得られた樹脂組成物ペレットの表面に滑剤を付着させることも好ましい。滑剤の種類としては、高級脂肪酸(例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸等)、高級脂肪酸金属塩(高級脂肪酸のアルミニウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、バリウム塩等)、高級脂肪酸エステル(高級脂肪酸のメチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、オクチルエステル等)、高級脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド等のビス脂肪酸アミド)、低分子量ポリオレフィン(例えば分子量500〜10,000程度の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン等、又はその酸変性品)、高級アルコール、エステルオリゴマー、フッ化エチレン樹脂等が挙げられ、好適には高級脂肪酸および/またはその金属塩、エステル、アミドが、更に好適には高級脂肪酸金属塩および/または高級脂肪酸アミドが用いられる。
滑剤の性状としては、固体状(粉末、微粉末、フレーク等)、半固体状、液体状、ペースト状、溶液状、エマルジョン状(水分散液)等、任意の性状のものが使用可能であるが、本発明の目的とする樹脂組成物ペレットを効率よく得るためには、エマルジョン状のものが好ましい。
滑剤の付着量としては、樹脂組成物ペレットに対して10〜1000ppm、更には20〜500ppm、特には50〜250ppmであることが、溶融成形時のフィード性が安定する点で好ましい。
<溶融成形品>
本発明の樹脂組成物は、溶融成形法により例えばフィルム、シート、カップやボトルなどに成形することができる。かかる溶融成形方法としては、押出成形法(T−ダイ押出、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、異型押出等)、射出成形法等が挙げられる。溶融成形温度は、通常150〜300℃の範囲から選ぶことが多い。
本発明の樹脂組成物を含む溶融成形物はそのまま各種用途に用いてもよい。このとき、樹脂組成物の層の厚みは通常1〜5000μm、好ましくは5〜4000μm、特に好ましくは10〜3000μm以上である。
本発明の樹脂組成物を成形してなる溶融成形物は、通常、ベース樹脂(A)に、水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)が分散した状態となっている。
<多層構造体>
本発明の多層構造体は、上記本発明の樹脂組成物からなる層(樹脂組成物層)を少なくとも1層有するものである。換言すると、本発明の樹脂組成物層は、水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)を含有しない熱可塑性樹脂(又はその組成物)層(以下、アルカリ土類金属塩(B)を含有しない層を「B成分非含有層」と称して、本発明の樹脂組成物層と区別する)と組み合わせた多層構造体である。B成分非含有層は、主体となる樹脂の種類に応じて、多層構造体の強度アップ、表面保護、ガスバリア性などの他の機能の付与など、目的に応じて適宜選択される。
(1)B成分非含有層
B成分非含有層に使用できる熱可塑性樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、エチレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリブテン、ポリペンテン、環状オレフィン系樹脂(環状オレフィン構造を主鎖および/または側鎖に有する重合体)等の(未変性)オレフィン系樹脂;これらのポリオレフィン類を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性した不飽和カルボン酸変性オレフィン系樹脂等の変性オレフィン系樹脂を含む広義のオレフィン系樹脂;アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン−ビニルエステル系樹脂及びそのケン化物、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂(共重合ポリアミドも含む)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ビニルエステル系樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のハロゲン化ポリオレフィン、芳香族または脂肪族ポリケトン類、先に述べた炭素−炭素二重結合を含有する脂肪族炭化水素モノマー単位を有する重合体を極性基含有化合物で変性した極性基変性重合体等が挙げられる。
上記「熱可塑性樹脂」原料としては、上記例のように、通常はナフサなどの石油由来の原料が用いられているが、シェールガスなどの天然ガス由来の原料や、さとうきび、テンサイ、トウモロコシ、ジャガイモなどに含まれる糖、デンプンなどの成分、またはイネ、麦、キビ、草植物などに含まれるセルロースなどの成分から精製した植物由来の原料を用いてもよい。
以上のような樹脂は、1種類に限らず、2種類以上の混合であってもよいし、さらにバージン樹脂に限らず、多層構造体を製造する過程で発生する端部や不良品等を再溶融成形して得られる、種々の樹脂の混合物を含むリサイクル樹脂であってもよい。
要するに、B成分非含有層に用いることができる熱可塑性樹脂としては、樹脂組成物でベース樹脂として列挙したような熱可塑性樹脂を用いることができ、さらに、本発明の樹脂組成物にベース樹脂では除外されていたEVOH樹脂、極性基変性重合体を用いることもできる。
かかる極性基変性重合体とは、極性基含有化合物で変性してなる炭素−炭素二重結合を含有する脂肪族炭化水素モノマー単位を有する重合体である。極性基変性重合体は、極性基を有しないオレフィン系樹脂等の疎水性樹脂とEVOH樹脂等の親水性樹脂との接合強度の増大、すなわち接着性樹脂としての役割を果たすことができる。
以下、B成分非含有層を構成する熱可塑性樹脂として代表的な、ガスバリア樹脂、極性基変性重合体について説明する。
(1−1)ガスバリア樹脂
本明細書における「ガスバリア樹脂」とは、上記熱可塑性樹脂のうち、20℃,65%相対湿度下で、JIS−K7126(等圧法)に記載の方法に準じて測定した酸素透過度が、100mL・20μm/(m2・day・atm)以下の樹脂、好ましくは酸素透過度が、50mL・20μm/(m・day・atm)以下、より好ましくは10mL・20μm/(m2・day・atm)以下の樹脂である。
多層構造体に、ガスバリア機能を付与したい場合、上記のようなガスバリア樹脂の層(ガスバリア層)が含まれることが好ましい。
上記ガスバリア樹脂としては、具体的には、ポリビニルアルコール樹脂(PVOH)、EVOH樹脂等のビニルアルコール系樹脂、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、メタキシレンジアミン/アジピン酸共重合体(ナイロンMXD6)等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリグリコール酸(PGA)、芳香族系液晶ポリエステル等のポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、アクリロニトリル共重合体(PAN)、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等を挙げることができる。
ガスバリア樹脂は、単一の樹脂又はその組成物から構成されてもよいし、ガスバリア樹脂を含む限り、複数種類の樹脂混合物の組成物から構成されてもよい。
これらのガスバリア樹脂の中でも、ガスバリア性の点から、PVOH樹脂、EVOH樹脂、ナイロンMXD6、PGA、PVDC、PANが好ましく、より優れたガスバリア性に加え、溶融成形性や本発明の樹脂組成物層との接着性などの点からEVOH樹脂が特に好ましい。
ここで用いられるEVOH樹脂は、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物で、一般にISO14663に基づいて測定されるエチレン構造単位が20〜60モル%のEVOH樹脂が該当する。ビニルエステル系モノマーとしては、酢酸ビニルの他、例えばギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等が挙げられる。また、10モル%以下で、オレフィン、ヒドロキシ基含有α−オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物、ジアルキルエステル類、(メタ)アクリルアミド類、N−ビニルアミド類、シアン化ビニル類、ビニルエーテル類、ハロゲン化ビニル化合物類、ビニルシラン類、ハロゲン化アリル化合物類、アリルアルコール類等の他のモノマーが共重合されたEVOH樹脂、さらには、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等の「後変性」されたEVOH系樹脂も含まれる。また、下記(1)で示される構造単位を含む、いわゆる側鎖1,2−ジオール含有EVOH樹脂も含まれる。
Figure 2016199744
(1)式中、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。
上記一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位における有機基としては、特に限定されず、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の飽和炭化水素基、フェニル基、ベンジル基等の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。
〜Rは、通常炭素数1〜30、特には炭素数1〜15、さらには炭素数1〜4の飽和炭化水素基または水素原子が好ましく、水素原子が最も好ましい。R〜Rは、通常炭素数1〜30、特には炭素数1〜15、さらには炭素数1〜4のアルキル基または水素原子が好ましく、水素原子が最も好ましい。特に、R〜Rがすべて水素であるものが最も好ましい。
上記一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位における最も好ましい構造は、R〜Rがすべて水素原子であり、Xが単結合であるものである。すなわち、下記構造式(1a)で示される構造単位が最も好ましい。
Figure 2016199744
(1−2)極性基変性重合体
極性基変性重合体とは、炭素−炭素二重結合を含有する脂肪族炭化水素モノマー単位を有する重合体が、極性基含有化合物で変性されている重合体である。
前記極性基含有化合物とは、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシル基、水酸基、アミド基、エポキシ基などの極性基を有する化合物をいう。前記カルボキシル基には、カルボキシル基の誘導体である酸無水物基も含まれる。
極性基含有化合物で変性される「炭素−炭素二重結合を含有する脂肪族炭化水素モノマー単位を有する重合体(p)」(「重合体(p)」と略記することがある)は、少なくとも炭素−炭素二重結合を含有する脂肪族炭化水素モノマー(以下、特に説明がない限り、単に「不飽和脂肪族炭化水素化合物」又は「不飽和脂肪族炭化水素モノマー」といえば、この「炭素−炭素二重結合を含有する脂肪族炭化水素モノマー」を指す)を重合して得られる重合体で、オレフィンモノマー、ジエンモノマー等の不飽和脂肪族炭化水素モノマー単位以外のモノマー単位を含んでもよい。従って、前記重合体(p)には、オレフィン系ポリマーの他、不飽和脂肪族炭化水素モノマーと他のモノマー(例えば、ビニル芳香族系モノマー等)とのランダム共重合体、ブロック共重合体、例えば、熱可塑性エラストマーやアイオノマーに分類されるものも含まれる。これらのうち、具体的には、スチレン系熱可塑性エラストマー又はオレフィン系ポリマーが好ましく、より好ましくはオレフィン系ポリマーである。
極性基変性重合体としては、代表的には不飽和カルボン酸またはその無水物をオレフィン系樹脂に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性ポリオレフィン系重合体を挙げることができる。例えば、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸変性環状オレフィン系樹脂、無水マレイン酸グラフト変性オレフィン系樹脂等である。
極性基変性重合体における極性基含有化合物由来の極性基の含有量は、通常0.1×10-3〜1ミリモル/g、好ましくは0.5×10-3〜0.5ミリモル/g、より好ましくは1×10-2〜0.2ミリモル/g、更に好ましくは1×10-2〜0.1ミリモル/gである。極性基含有量が多くなりすぎると、EVOH樹脂などの親水性樹脂との反応性が強すぎて共押出した際に接着界面荒れによる外観不良を引き起こす傾向がある。極性基含有量が少なくなりすぎると、EVOH樹脂などの親水性樹脂との接着力が低下する傾向にある。
極性基変性重合体がカルボキシル基変性スチレン系熱可塑性エラストマーの場合、該カルボキシル基の含有量は、滴定法で測定した酸価が通常20mgCHONa/g以下であり、好ましくは1〜15mgCHONa/g、更に好ましくは1〜5mgCHONa/gである。
かかる酸価が高すぎると、EVOH樹脂などの親水性樹脂との反応性が強すぎて共押出した際に接着界面荒れによる外観不良を引き起こす傾向がある。かかる酸価が小さすぎると、EVOH樹脂などの親水性樹脂との接着力が低下する傾向にある。
極性基変性重合体がカルボキシル基変性オレフィン系ポリマーの場合、該カルボキシル基の含有量(変性量)は、通常、重合体(p)であるオレフィン系ポリマーの0.01〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%、特に好ましくは0.1〜2重量%、殊に好ましくは0.2〜1重量%である。変性量が少なすぎると、EVOH樹脂などの親水性樹脂との接着力が低下する傾向にある。逆に多すぎると、EVOH樹脂などの親水性樹脂との反応性が強すぎて共押出した際に接着界面荒れによる外観不良を引き起こす傾向がある。
以上のような極性基変性重合体としては、市販品を用いてもよい。極性基変性スチレン系熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば旭化成社製の「タフテック」Mシリーズ、クレイトンポリマー社の「Kraton」FGシリーズ、JSR社製の「f−ダイナロン」シリーズが挙げられる。極性基変性オレフィン系ポリマーの市販品としては、例えば、「アドマー」、「タフマー」Mシリーズ(三井化学社製)、「バイネル」、「フサボンド」(デュポン社製)、「オレヴァック」(アルケマ社製)、「プレクサー」(イクイスター社製)、「モディックAP」(三菱化学社製)が挙げられる。
以上のような極性基変性重合体は、極性基を有しないオレフィン系樹脂等の疎水性樹脂と、EVOH樹脂等の親水性樹脂との接合強度の増大、すなわち接着性樹脂としての役割を果たすことができる。
ガスバリア層としてEVOH樹脂等のビニルアルコール系樹脂層を使用し、強度アップ、表面保護等のために、疎水性樹脂層と組み合わせて用いる多層構造体の場合、ビニルアルコール系樹脂層と疎水性樹脂層との間に、極性基変性重合体からなる接着性樹脂層を介在させることが好ましい。かかる用途においては、カルボキシル基又はアミノ基含有化合物による変性が好ましく、より好ましくは、カルボキシル基含有化合物による変性である。
(1−3)添加剤
B成分非含有層には、上記樹脂成分の他、一般に熱可塑性樹脂に配合する配合剤が適宜含有されていてもよい。例えば、乾燥剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、無機フィラー(カオリン、雲母、スメクタイト等)、酸素吸収剤(無機系酸素吸収剤、ポリオクテニレン等の二重結合含有化合物)などが含有されていてもよい。
上記熱安定剤としては、溶融成形時の熱安定性等の各種物性を向上させる目的で、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の有機酸類またはこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)、亜鉛塩などの塩;または、硫酸、亜硫酸、炭酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸類、またはこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)、亜鉛塩などの塩等の添加剤を添加してもよい。これらのうち、特に、酢酸、ホウ酸およびその塩を含むホウ素化合物、酢酸塩、リン酸塩を添加することが好ましい。
ガスバリア樹脂として、EVOH樹脂を用いる場合、酢酸の添加量は、EVOH樹脂100重量部に対して通常0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.2重量部、特に好ましくは0.010〜0.1重量部である。ホウ素化合物の添加量は、EVOH樹脂100重量部に対してホウ素換算(灰化後、ICP発光分析法にて分析)で通常0.001〜1重量部であり、好ましくは0.002〜0.2重量部であり、特に好ましくは0.005〜0.1重量部である。酢酸塩、リン酸塩(リン酸水素塩を含む)の添加量としては、EVOH樹脂100重量部に対して金属換算(灰化後、ICP発光分析法にて分析)で通常0.0005〜0.1重量部、好ましくは0.001〜0.05重量部、特に好ましくは0.002〜0.03重量部である。これらの添加量が多すぎると均質なガスバリア層を得るのが困難となる傾向がある。
(2)多層構造体の層構成
本発明の多層構造体は、少なくとも本発明の樹脂組成物層を一層含むもので、目的とする特性に応じて、上記のようなB成分非含有層を1種又は2種以上含む。
樹脂組成物層を2層以上含む場合、異なる種類の樹脂組成物層を含んでもよい。B成分非含有層についても同様に、2層以上含まれる場合、異なる種類のB成分非含有層を含んでもよい。
したがって、多層構造体の層構成としては、本発明の樹脂組成物層をI(I1、I2・・・)、強度付与等の目的で用いられるB成分非含有層をII(II1、II2・・・)とするとき、I/IIの2層構造、I/II/I、II/I/IIの3層構造、I/II1/II2/I、II/I1/I2/II等の4層構造、I1/II/I2/II/I1、II1/I/II2/I/II1、II1/II2/I/II2/II1、II/I1/I2/I1/II等の5層構造、II1/I1/II3/II2/II3/I1/II1、II1/I1/I2/II2/I2/I1/II1などの任意の組み合わせが可能である。
機能、特性に着目してみた場合に、多層構造体を構成する層としては、例えば、強度付与あるいは吸湿性樹脂(又は組成物)層の表面保護として用いられるような保護用熱可塑性樹脂層、ガスバリア機能が求められている場合にはガスバリア層、積層される層の接合強度を高めたい場合には接着性樹脂層、あるいはこれらの層の適宜組み合わせが挙げられる。
ベース樹脂(A)の種類に基づき、異なる役割を有する樹脂組成物層の組み合わせが可能である。
B成分非含有層についても同様に、ポリプロピレン等の疎水性樹脂を用いたB成分非含有層(例えばII1)とガスバリア層(例えばII2)との組み合わせ、さらに極性基変性重合体を用いた接着性樹脂層(例えばII3)との組み合わせのように、異なる役割を有するB成分非含有層の組み合わせが可能である。
さらに、複数種類の樹脂組成物層と複数種類のB成分非含有層との組合わせも可能である。例えば、疎水性樹脂層を含む場合、B成分を含有する樹脂組成物層としての疎水性樹脂層と、B成分非含有層としての疎水性樹脂層との双方を含むことも可能である。この場合、樹脂組成物層に用いられる疎水性樹脂とB成分非含有層に用いられる疎水性樹脂とは、同種類であっても異なる種類であってもよい。
多層構造体の層の数はのべ数にて通常2〜15、好ましくは3〜10層である。
樹脂組成物層に用いるベース樹脂(A)として疎水性樹脂を用いた場合、吸湿により特性が低下する傾向にあるB成分非含有層(以下「吸湿性B成分非含有層」と称する場合がある)と組み合わせて用いることが好ましい。吸湿性B成分非含有層を本発明の樹脂組成物層と組み合わせて用いることで、吸湿性B成分非含有層に乾燥剤が含有されていなくても、B成分非含有層の吸湿による特性低下を抑制できる。この場合、本発明の樹脂組成物層は、吸湿性B成分非含有層の近くに配置することが好ましい。本発明の樹脂組成物層を吸湿性B成分非含有層に近く配置するほど、本発明の樹脂組成物層の耐湿性付与効果は大きい傾向にあるからである。
よって、例えば、吸湿性B成分非含有層が、EVOH樹脂等のビニルアルコール系樹脂を主体とするガスバリア層を、オレフィン系樹脂のような疎水性樹脂をベース樹脂として用いた本発明の樹脂組成物層でサンドイッチすることが好ましい。必要に応じて、ガスバリア層と樹脂組成物層との間に、接着性樹脂層を界層してもよい。
(3)多層構造体の製造
樹脂組成物層とB成分非含有層(例えば、接着性樹脂層、ガスバリア層)との積層は、公知の方法にて行うことができる。例えば、本発明の樹脂組成物のフィルム、シート等に、B成分非含有樹脂を溶融押出ラミネートする方法、B成分非含有層に本発明の樹脂組成物を溶融押出ラミネートする方法、本発明の樹脂組成物と共押出する方法、本発明の樹脂組成物(層)とB成分非含有樹脂(層)もしくはガスバリア樹脂(層)とを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法、B成分非含有層上に、本発明の樹脂組成物の溶液を塗工してから溶媒を除去する方法等が挙げられる。これらの中でも、コストや環境の観点から考慮して共押出しする方法が好ましい。
上記の如き多層構造体は、次いで必要に応じて(加熱)延伸処理が施される。延伸処理は、一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよく、二軸延伸の場合は同時延伸であっても逐次延伸であってもよい。また、延伸方法としてはロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法、真空圧空成形等のうち延伸倍率の高いものも採用できる。延伸温度は、多層構造体近傍の温度で、通常40〜170℃、好ましくは60〜160℃程度の範囲から選ばれる。延伸温度が低すぎた場合は延伸性が不良となり、高すぎた場合は安定した延伸状態を維持することが困難となる。
なお、延伸後に寸法安定性を付与することを目的として、次いで熱固定を行ってもよい。熱固定は周知の手段で実施可能であり、例えば上記延伸フィルムを緊張状態を保ちながら通常80〜180℃、好ましくは100〜165℃で通常2〜600秒間程度熱処理を行う。
また、本発明の樹脂組成物から得られた多層延伸フィルムをシュリンク用フィルムとして用いる場合には、熱収縮性を付与するために、上記の熱固定を行わず、例えば延伸後のフィルムに冷風を当てて冷却固定するなどの処理を行えばよい。
また、場合によっては、本発明の多層構造体からカップやトレイ状の多層容器を得ることも可能である。その場合は、通常絞り成形法が採用され、具体的には真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法、プラグアシスト式真空圧空成形法等が挙げられる。更に多層パリソン(ブロー前の中空管状の予備成形物)からチューブやボトル状の多層容器を得る場合はブロー成形法が採用され、具体的には押出ブロー成形法(双頭式、金型移動式、パリソンシフト式、ロータリー式、アキュムレーター式、水平パリソン式等)、コールドパリソン式ブロー成形法、射出ブロー成形法、二軸延伸ブロー成形法(押出式コールドパリソン二軸延伸ブロー成形法、射出式コールドパリソン二軸延伸ブロー成形法、射出成形インライン式二軸延伸ブロー成形法等)などが挙げられる。得られる積層体は必要に応じ、熱処理、冷却処理、圧延処理、印刷処理、ドライラミネート処理、溶液又は溶融コート処理、製袋加工、深絞り加工、箱加工、チューブ加工、スプリット加工等を行うことができる。
(4)多層構造体の構造
多層構造体(延伸したものを含む)の厚み、更には多層構造体を構成する本発明の樹脂組成物層、およびガスバリア層、接着性樹脂層等のB成分非含有層の厚みは、層構成、層構成樹脂の種類、接着性樹脂の種類、用途や包装形態、要求される物性などにより一概に言えないが、多層構造体(延伸したものを含む)の厚みは、通常10〜5000μm、好ましくは30〜3000μm、特に好ましくは50〜2000μmである。本発明の樹脂組成物層は、通常5〜30000μm、好ましくは10〜20000μm、特に好ましくは20〜10000μmである。B成分非含有層は通常5〜30000μm、好ましくは10〜20000μm、特に好ましくは20〜10000μmである。ガスバリア層としては、通常1〜500μm、好ましくは3〜300μm、特に好ましくは5〜200μmである。また、接着性樹脂層としては、通常0.5〜250μm、好ましくは1〜150μm、特に好ましくは3〜100μmである。
さらに、多層構造体におけるガスバリア層と本発明の樹脂組成物層の厚み比(ガスバリア層/樹脂組成物層)は、各層が複数ある場合は最も厚みの厚い層同士の比にて、通常1/99〜50/50、好ましくは5/95〜45/55、特に好ましくは10/90〜40/60である。また、接着性樹脂層と本発明の樹脂組成物層との厚みの比(接着性樹脂層/樹脂組成物層)は、各層が複数ある場合は最も厚みの厚い層同士の比にて、通常1/99〜50/50、好ましくは5/95〜45/55、特に好ましくは10/90〜40/60である。
(5)用途
上記の如く得られたフィルム、シート、延伸フィルムからなる袋およびカップ、トレイ、チューブ、ボトル等からなる容器や蓋材は、一般的な食品の他、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧品、医薬品等の各種の包装材料容器として有用である。
特に、本発明の樹脂組成物からなる層は、多層構造体全体に、耐熱性を付与できるので、吸湿によりガスバリア性が低下するガスバリア層を有し、しかも熱水処理が行われる食品の包装材料として特に有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。
尚、例中「部」とあるのは、重量基準を意味する。
<測定評価方法>
〔水和物形成性の金属塩の吸水特性〕
(1)水和物形成性の金属塩の含水量
熱重量測定装置「Pyris1 TGA(パーキンエルマー製)」を用いて、水和物形成性の金属塩の含水量を測定した。
なお、完全脱水物の含水量については、加熱により水分除去し、重量平衡に到達した時点での含有水分量を完全脱水物の含水量とした。
(2)40℃、90%相対湿度下での吸水量:Xn(g)
水和物形成性の金属塩を、40℃、90%相対湿度下で、6日間放置した。水和物形成性の金属塩100gあたりの、40℃、90%相対湿度下にn日間放置した後の吸水量Xnは、下記式により求められる。
Xn=〔(n日間の吸水量)/(初期重量)〕×100
「n日間の吸水量」は、放置開始からn日後(n=1〜6の自然数)の吸水後重量(g)を測定し、初期重量を差し引くことにより求めた。
なお、「初期重量」及び「n日後の重量」は、アルミカップ上に試料を載せて、電子天秤で計測した。
(3)最大水和物の結晶水含有量:Y(g)
下記式により求めた。
Y=〔(最大水和物の水和数×18)/(無水物の分子量)〕×100
無水物の分子量は、対象とする金属塩の化学式より求められる分子量を採用した。最大水和物の水和数は、以下の化合物の[ ]に示す水和物である。
ジクエン酸三マグネシウム[14水和物]、クエン酸三ナトリウム[2水和物]
(4)40℃、90%相対湿度下で放置した際の24時間後の吸水量:Z([g/水和物形成性の金属塩100g]/day)
上記(2)に記載の方法で測定した放置1日後の吸水量の値(X1)をZとして採用した。
(5)吸水量の極大点
上記(2)にて測定した、40℃、90%相対湿度下で放置した場合の6日間の吸水量変化の測定に基づき、n日間の吸水量(X)と(n+1)日間の吸水量(Xn+1)とを比べ、Xn+1の方が少なくなっている日がある場合、吸水量の極大点が存在するとした。
[樹脂組成物の特性]
(6)耐湿性
樹脂組成物ペレットを、30℃、90%相対湿度に設定した恒温恒湿槽中で3日間放置した後、目視により、ペレット外観を観察した。外観に特段の変化が見られない場合は、「良好」と判定した。
〔多層構造体の評価〕
(7)レトルト処理後の酸素透過度(cc/m・day・atm)
多層構造体のサンプル片(10cm×10cm)を、熱水浸漬式レトルト装置(日阪製作所)を用いて123℃で33分間レトルト処理した後、取り出した。このレトルト処理の3日後に、酸素ガス透過量測定装置(モコン社製、OX−TRAN 2/20)を用いて、酸素透過度(23℃、内部相対湿度:90%、外部相対湿度:50%)を測定した。
(8)多層構造体の耐湿性
多層構造体を、40℃、90%相対湿度に設定した恒温恒湿槽中で10日間放置した後、目視により、多層構造体の外観を観察した。外観に特段の変化が見られない場合は、「良好」と判定した。
〔水和物形成性の金属塩の種類と吸水特性〕
本実施例で用いた下記水和物形成性の金属塩について、上記方法にて、吸水特性を調べた。測定結果を表1に示す。
・ジクエン酸三マグネシウム(完全脱水物):Aadhunik Industries製のジクエン酸三マグネシウム(無水物)を用いた。熱重量測定装置にて測定される含水率は0.4%であった。
・クエン酸三ナトリウム(完全脱水物):磐田化学工業社のクエン酸三ナトリウム(無水物)を用いた。熱重量測定装置にて測定された含水率は0.4%であった。
Figure 2016199744
アルカリ金属塩であるクエン酸三ナトリウムは、吸水量が大きく、X5/Yの値は2.0を超えていたのに対し、アルカリ土類金属塩であるジクエン酸三マグネシウムは、X5/Yの値が0.2〜2.0の範囲内を満足して、なおかつ吸水量について極大点を有していた。ジクエン酸三マグネシウムは、安定水和物として含有できる結晶水量以上の水分を一旦吸水した後、水分放出し、安定水和物に近い吸水量の状態に近づいていく傾向があることがわかる。
〔樹脂組成物P1−P4の製造及び評価〕
ベース樹脂(A)として、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社「ノバテックPP EA7AD」、MFR1.4g/10分(230℃、荷重2160g))またはポリアミド系樹脂(宇部興産株式会社の「UBEナイロン1022B」)を用いた。
表2に示すように、ベース樹脂及び水和物形成性の金属塩を所定割合で配合して、ブレンドした後、フィーダーに仕込み、ミキシングゾーンを2箇所有する2軸押出機にて下記条件で溶融混練した。このようにして調製した樹脂組成物を、ストランド状に押出してドラム型ペレタイザーで切断し、円柱状ペレット(ペレット径:2mm、ペレット長さ:3.5mm、揮発分:0.05%)を得た。
樹脂組成物P1−P4の製造に用いた溶融混練条件
・2軸押出機: 直径32mm、L/D=56(日本製鋼所製)
・押出機設定温度: C2/C3/C4/C5/C6/C7/C8/C9/C10/C11/C12/C13/C14/C15/C16/D=110/140/200/230/230/230/230/230/230/230/230/230/230/230/230/230℃
・スクリュー回転数: 240ppm
・吐出量: 25kg/時間
・ストランドの冷却: 水冷
・引取速度: 20m/分
上記で作成した樹脂組成物ペレットP1−P4について、耐湿性を上記評価方法に基づいて評価した。結果を表2に示す。
Figure 2016199744
本発明で規定する吸水特性を満足するアルカリ土類金属塩を含有する場合(P1,P2)、高湿度下での保管後も、表面は乾燥状態を保持していた。組成物中に含まれるアルカリ土類金属塩が吸湿しても、ペレット表面の外観に影響を及ぼさないことが確認できた。
一方、本発明で規定する吸水特性を満足できないアルカリ金属塩を含有する場合(P3,P4)、ペレット表面が湿っていた。金属塩を含まない樹脂単独の場合(参考例)では外観に変化がないことから、組成物中に含まれるクエン酸三ナトリウムが吸湿により潮解し、樹脂表面にブリードアウトしたものと推察される。
〔多層構造体S1−S3の製造及び評価〕
ベース樹脂がポリプロピレンである樹脂組成物(P1又はP3)、接着性樹脂としてマレイン酸変性ポリプロピレン(三井化学株式会社”Admer QF500”、MFR3.0g/10分(230℃、荷重2160g))、ガスバリア樹脂として、エチレン構造単位の含有量29モル%、ケン化度99.6モル%、ホウ酸含有量500ppm(ホウ素分析値より換算)のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(MFR4.3g/10分(210℃、荷重2160g)を用いた。
押出機を3台有し、3種5層型フィードブロック、多層フィルム成形用ダイおよび引取機を有する共押出多層フィルム成形装置を用いて下記条件で共押出を実施し、冷却水の循環するチルロールにより冷却して、3種5層の厚さ320μmの多層構造体(樹脂組成物/接着性樹脂/EVOH樹脂/接着性樹脂/樹脂組成物、厚さ(μm):120/20/40/20/120))を得た。接着性樹脂層及びガスバリア層(EVOH樹脂層)が、B成分非含有層に該当する。
・中間層押出機(EVOH樹脂):40mmφ単軸押出機(バレル温度:230℃)
・内外層押出機(樹脂組成物):40mmφ単軸押出機(バレル温度:230℃)
・中内外層押出機(接着性樹脂):32mmφ単軸押出機(バレル温度:230℃)
・ダイ:3種5層型フィードブロックダイ(ダイ温度:230℃)
・冷却ロール温度:50℃
上記で作成した多層構造体S1−S3について、上記評価方法に基づいて、レトルト処理後の酸素透過性、多層構造体の耐湿性を評価した。結果を表3に示す。
Figure 2016199744
多層構造体S1は、ガスバリア層(EVOH樹脂層)を、接着剤層を介して、X5/Yの値が0.2〜2.0の範囲内にあるアルカリ土類金属塩の脱水物(ジクエン酸三マグネシウムの脱水物)を含有する樹脂組成物層で挟持したものであり、熱水処理後であるにもかかわらず、優れたガスバリア性を示した。EVOH樹脂は、レトルト処理により溶出したり、吸水によりガスバリア性が低下するといった特性を有するが、本発明の樹脂組成物と組み合わせた多層構造体とすることにより、ガスバリア性の低下を抑制できた。
本発明の実施例に該当する多層構造体S1では、高湿度下で10日間保管した場合においても、外観不良が認められなかった。
多層構造体S2は、X/Yの値が2.0を超えるクエン酸三ナトリウムの脱水物を含有する樹脂組成物を用いたものである。レトルト処理後であっても優れたガスバリア性を示した。しかしながら、多層構造体S2を高湿度下で10日間保管した場合、多層構造体S2表面に液化したクエン酸三ナトリウムがブリードし、多層構造体であるフィルムが全体的に白濁した。
なお、本発明の樹脂組成物に代えて、乾燥剤となる金属塩を含有しない疎水性樹脂(ポリプロピレン)単独を用いた多層構造体S3では、高湿度下での保管による外観不良は認められなかった。しかしながら、金属塩による吸湿効果が得られないため、レトルト処理によりガスバリア層が、本来の吸湿性に基づいて吸湿し、結果として多層構造体のガスバリア性が低下した。
本発明の樹脂組成物は、吸湿しても、外観に影響を及ぼさずに済む。したがって、本発明の樹脂組成物層を含む多層構造体は、吸湿によりガスバリア性等の特性が低下するような樹脂層と組み合わせて用いても、外観に影響を及ぼすことなく、ガスバリア性の低下を抑制でき、有用である。

Claims (10)

  1. (A)熱可塑性樹脂からなるベース樹脂(但し、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物及び極性基変性重合体を除く);及び
    (B)下記(α)の吸水特性を充足する水和物形成性のアルカリ土類金属塩
    を含有することを特徴とする樹脂組成物:
    (α)前記アルカリ土類金属塩(B)の最大水和物中の結晶水含有量(Y)に対する、前記アルカリ土類金属塩(B)を40℃、90%相対湿度下に放置した際の5日間の、当該アルカリ土類金属塩(B)100gあたりの吸水量(X5)の割合(X5/Y)が0.2〜2.0である。
  2. 前記水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)が更に下記吸水特性(β)を充足することを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物:
    (β)前記アルカリ土類金属塩(B)を40℃、90%相対湿度下に放置した際の24時間後の100gあたりの吸水量(Z)が10g以上である。
  3. 前記水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)が更に下記吸水特性(γ)を充足することを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
    (γ)40℃、90%相対湿度下で放置された場合に、吸水量の極大点を有している。
  4. 前記アルカリ土類金属塩(B)は、乳酸、ケイ酸、リン酸、及びクエン酸からなる群より選ばれる1種の酸のアルカリ土類金属塩の混合物の完全脱水物若しくは含水量が50重量%以下の部分脱水物、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記ベース樹脂(A)と水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)の含有重量比(A/B)が、50超/50未満〜99/1であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記ベース樹脂(A)が、ポリアミド系樹脂又はオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有することを特徴とする多層構造体。
  8. 水和物形成性のアルカリ土類金属塩(B)を含まない熱可塑性樹脂又はその組成物の層を、さらに含むことを特徴とする請求項7に記載の多層構造体。
  9. 前記熱可塑性樹脂は、20℃、65%相対湿度下で、JIS−K7126(等圧法)に記載の方法に準じて測定した酸素透過度が、100mL・20μm/(m2・day・atm)以下である請求項8に記載の多層構造体。
  10. 前記熱可塑性樹脂は、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物である請求項8又は9に記載の多層構造体。

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