JP4822894B2 - アクリル系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
(A)アルキル(メタ)アクリル酸エステル:0.5〜24重量部と、
(B)エチレン性二重結合を有する単量体:76〜99.5重量部とを、
共重合することで得られるアクリル系樹脂であって、
(A)アルキル(メタ)アクリル酸エステルは、
(a1)アルキル基の炭素数が10〜16であるアルキルアクリル酸エステル及び
(a2)アルキル基の炭素数が14〜16であるアルキルメタクリル酸エステル
から選択される少なくとも1種であり(以下、(A)の有するアルキル基を「長鎖アルキル基」ともいう)、
(B)エチレン性二重結合を有する単量体は、
(b1)スチレン系誘導体及び
(b2)アルキル基の炭素数が8以下であるアルキル(メタ)アクリル酸エステル
を含む。このアクリル樹脂は、防湿性を有する防湿アクリル樹脂として好適に使用することができる。
(a1)アルキル基の炭素数が10〜16であるアルキルアクリル酸エステルは、ラウリルアクリレートであり、
(a2)アルキル基の炭素数が14〜16であるアルキルメタクリル酸エステルは、セチルメタクリレートであるアクリル系樹脂を提供する。
本発明の好ましい態様において、(A)アルキル(メタ)アクリル酸エステルと(B)エチレン性二重結合を有する単量体との総和を100重量部として、(B)エチレン性二重結合を有する単量体は、(b3)エチレン性二重結合を有するアルコキシシランを0.01〜5.0重量部含有するアクリル系樹脂を提供する。
本発明の更に好ましい態様において、共重合を乳化重合で行うアクリル系樹脂を提供する。
本発明の好ましい要旨において、無機質成形部材用シーラーとして用いられる上述のアクリル系樹脂組成物を提供する。
(A)アルキル(メタ)アクリル酸エステル:0.5〜24重量部と、
(B)エチレン性二重結合を有する単量体:76〜99.5重量部とを、
共重合することで得られるアクリル系樹脂であって、
(A)アルキル(メタ)アクリル酸エステルは、
(a1)アルキル基の炭素数が10〜16であるアルキルアクリル酸エステル及び
(a2)アルキル基の炭素数が14〜16であるアルキルメタクリル酸エステル
から選択される少なくとも1種であり、
(B)エチレン性二重結合を有する単量体は、
(b1)スチレン系誘導体及び
(b2)アルキル基の炭素数が8以下であるアルキル(メタ)アクリル酸エステル
を含み、
アルキル基の炭素数が18以上であるアルキル(メタ)アクリル酸エステルを含むものではない。即ち、(A)アルキル(メタ)アクリル酸エステル及び(B)エチレン性二重結合を有する単量体の双方は、重合性を低下させるほど鎖長が長いアルキル基を有するモノマーを含むものではないので、それらを共重合するために特許文献2に記載の特殊な重合用分散剤を必要とするものでもない。更に、アルキル基の炭素数が18以上であるアルキル(メタ)アクリル酸エステルを含むものではないので、基材密着性も更に向上され得る。
従って、本発明のアクリル系樹脂は、環境面から好ましくない、防水性及び防湿性が不十分である、上塗り剤のハジキを生ずる、特許文献2に記載されたような特殊な分散剤を必要とし、容易に低コストな重合方法で製造できない、良好な基材密着性を得られないという課題の少なくとも一を緩和し、好ましくは実質的に解消することができる。
(a1)アルキル基の炭素数が10〜16であるアルキルアクリル酸エステルは、ラウリルアクリレートであり、
(a2)アルキル基の炭素数が14〜16であるアルキルメタクリル酸エステルは、セチルメタクリレートである請求項1に記載のアクリル系樹脂の場合、
より防水性及び防湿性が向上される。
(B)エチレン性二重結合を有する単量体は、さらに、(b3)エチレン性二重結合を有するアルコキシシランを含む場合、より基材密着性が向上する。
本発明のアクリル系樹脂は、共重合を乳化重合で行う場合、より高分子量化が可能となり、防水性及び防湿性が向上する。
更に、本発明のアクリル系樹脂組成物は、上述の本発明のアクリル系樹脂を含んで成るので、無機質成形部材用シーラーとして好適に用いることができる。
従って、(A)アルキル(メタ)アクリル酸エステルは、ラウリルアクリレート及びセチルメタクリレートから選択される少なくとも一種であることが、より防水性及び防湿性を向上することができることから、特に好ましい。
(b1)スチレン系誘導体とは、スチレンに基づく誘導体を意味し、通常、スチレンの誘導体と認められるものが含まれる。本発明が目的とするアクリル系樹脂を得ることができるものであれば特に制限されるものではない。スチレン系誘導体として、例えばスチレン、ビニルトルエン、メチルスチレン等を例示できる。本発明では、スチレンが好ましい。
(B)エチレン性二重結合を有する単量体は、上述の(b4)不飽和カルボン酸類を含むことが好ましく、(b4)不飽和カルボン酸を含むことで、重合性がより向上し得る。
これらの重合のうち、乳化重合が特に好ましい。乳化重合は水を媒体とした乳化剤を用いたラジカル重合であり、公知の方法を用いることができる。乳化重合の方法として、例えば、エチレン性二重結合を有する単量体と乳化剤を水性媒体中に仕込んで重合させる方法、エチレン性二重結合を有する単量体と乳化剤を連続的又は間欠的に水性媒体中に滴下して重合させる方法、エチレン性二重結合を有する単量体と乳化剤に水を加えて乳化液を調製し、これを連続的又は間欠的に水性媒体中に滴下して重合させる方法等を例示することができる。
ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート等のアルカリ金属アルキルサルフェート;
ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート;
アンモニウムドデシルサルフェート等のアンモニウムアルキルサルフェート;
ナトリウムスルホシノエート;
スルホン化パラフィンのアルカリ金属塩、スルホン化パラフィンのアンモニウム塩等のアルキルスルホネート;
ナトリウムラウレート、トリエタールアミンオレエート、トリエタールアミンアビエテート等の脂肪酸塩;
ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルアリールスルホネート;
高アルキルナフタレンスルホン酸塩;
ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;
ジアルキルスルホコハク酸塩;
ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;
ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩
等を例示できる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル;
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;
ソルビタン脂肪酸エステル;
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;
グリセロールのモノラウレート等の脂肪酸モノグリセライド;
ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体;
エチレンオキサイドと脂肪族アミン、アミド又は酸との縮合生成物
等を例示できる。
モノアルキルアンモニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、エチレンオキサイド付加型アルキルアンモニウム塩等を例示できる。
アミドプロピルベタイン、アミノ酢酸ベタイン等を例示できる。
ポリビニルアルコール;
ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸カリウム、ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウム;
ポリ(メタ)アクリレート等を例示できる。
これらは単独で又は2種以上併せて用いられる。これらの中でも、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩(エレミノールJS−2、三洋化成工業社製)が好ましい。
上記連鎖移動剤として、例えば、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレート、2−メルカプトエタノール、トリクロロブロモメタン等を例示することができる。
上記連鎖移動剤の使用量は、(A)と(B)の総和を100重量部として、0〜5重量部程度であることが好ましい。
好ましくは、防水性については、透水量が、0.2ml以下及び防湿性については、透湿量が75g/m2以下である。より好ましくは、防水性については、透水量が、0.1ml以下及び防湿性については、透湿量が75g/m2以下であり、またより好ましくは、防水性については、透水量が、0.2ml以下及び防湿性については、透湿量が55g/m2以下である。特に好ましくは、防水性については、透水量が、0.1ml以下及び防湿性については、透湿量が55g/m2以下であることをいう。
上記アクリル系樹脂組成物は、当業者に周知の顔料、防錆剤、増粘剤、分散剤、消泡剤、防腐剤、成膜助剤等を必要に応じて含有してよい。
有機顔料として、例えば、ファストエロ、ジアゾエロー、ジアゾオレンジ及びナフトールレッド等の不溶性アゾ顔料、銅フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、ファナールレーキ、タンニンレーキ及びカタノール等の染色レーキ、イソインドリノエローグリーニッシュ及びイソエンドリノエローレディッシュ等のイソインドリノ系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレンスーカット及びペリレンマルーン等のペリレン系顔料等を例示できる。
無機顔料として、例えば、カーボンブラック、鉛白、鉛丹、黄鉛、銀朱、群青、酸化コバルト、二酸化チタン、チタニウムイエロー、ストロンチウムクロメート、モリブテン赤、モリブテンホワイト、鉄黒、リトボン、エメラルドグリーン、ギネー緑、コバルト青等を例示できる。
防錆剤とは、素材の腐食を抑制するために加えられる物質をいい、通常、防錆剤とされるものであれば、特に制限されるものではない。例えば、鉛丹、白鉛、亜鉛化鉛、塩基性硫酸白鉛、塩基性クロム酸鉛、鉛酸カルシウム、クロム酸亜鉛、鉛酸シアナミド、亜粉末、ジクロロメート、バリウムクロメート、亜硝酸ソーダ、ジシクロヘキシルアンモニウムニトリル、シクロヘキシルアミンカーボネート、防錆油等を例示できる。
さらに、上述のアクリル系樹脂組成物には必要に応じて種々性能を上げる目的で他の樹脂を混和することもできる。他の樹脂として例えば、キシレン樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、タッキファイヤー、ワックスエマルジョン等を例示できる。
無機質成形部材の好ましい態様の一つとして、「無機質成形板」を例示できる。「無機質成形板」とは、例えば、珪カル板、セメント系押出し成形板、ALC板(軽量気泡コンクリート板)、硬質木片セメント板、瓦及び炭酸マグネシウム板等の無機質の材料が成形された板状の部材をいう。
まず、アクリル系樹脂を調製するために下記成分を準備した。
(A)成分:アルキル(メタ)アクリル酸エステル
(a1−1)ラウリルアクリレート(日本油脂社製)
(a2−1)セチルメタクリレート(日本油脂社製)
(B)成分:エチレン性二重結合を有する単量体
(b1−1)スチレン(和光純薬工業社製)
(b2−1)メチルメタクリレート(和光純薬工業社製)
(b2−2)2−エチルヘキシルアクリレート(和光純薬工業社製)
(b3−1)γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカ社製)
(b4−1)メタクリル酸(和光純薬工業社製)
アルキル基の炭素数が18であるアルキル(メタ)アクリル酸エステルとして、
(a’−1)ステアリルアクリレート(日本油脂社製)
更に、下記添加剤も準備した。
乳化剤(反応性界面活性剤)
アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩
(エレミノールJS−2、三洋化成工業社製)
防腐剤
複合型イソチアゾリン系防腐剤(ACTICIDE MBS、ソージャパン社製)
消泡剤
疎水性シリカ系消泡剤(ノプコ8034、サンノプコ社製)
1重量部の乳化剤(エレミノールJS−2、三洋化成工業社製)を、30重量部の蒸留水に溶解し、これに(A)成分として、5重量部の(a1−1)ラウリルアクリレート、及び(B)成分として、30重量部の(b1−1)スチレン、27重量部の(b2−1)メチルメタクリレート、36重量部の(b2−2)2−エチルヘキシルアクリレート及び2重量部の(b4−1)メタクリル酸を加えて乳化して、乳化液(又はエマルジョン)を調製した。一方、攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、60重量部の蒸留水及び1重量部の乳化剤(エレミノールJS−2、三洋化成工業社製)を加え、窒素ガスを吹き込みながら攪拌しながら加熱して、液温を75℃に調節した。これに、まず、先に調製した乳化液の約5体積%の部分と、開始剤水溶液(0.2重量部の過硫酸ナトリウムを10重量部の蒸留水に溶解したもの)の10体積%の部分を、攪拌しながら加えた後、さらに乳化液の残りの部分と開始剤水溶液の残りの部分の各々を約3時間かけて、攪拌しながら、滴下して反応させた。更に、同温度(75℃)で、約1時間攪拌を続けて反応を完結させた。得られた反応混合物を冷却後、アンモニア水を加えてpHを9に調整して、実施例1のアクリル系樹脂を得た。更に、0.2重量部の防腐剤(ACTICIDE MBS、ソージャパン社製)、0.1重量部の消泡剤(ノプコ8034、サンノプコ社製)を加えて、実施例1のアクリル系樹脂組成物を得た。
表1に示すような種類の成分を、表1に示すような量で用い、実施例1と同様の方法を用いて実施例2〜8のアクリル系樹脂を得た。尚、実施例7、8では(A)成分の一種として、(a2−1)セチルメタクリレートを配合した。実施例1と同様に、0.2重量部の防腐剤(ACTICIDE MBS、ソージャパン社製)及び0.1重量部の消泡剤(ノプコ8034、サンノプコ社製)を各アクリル系樹脂組成物に添加して、実施例2〜8のアクリル系樹脂組成物を得た。
(b3)エチレン性二重結合を有するアルコキシシランとして、(b3−1)γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー社製)を、(b1−1)スチレン、(b2−1)メチルメタクリレート、(b2−2)2−エチルヘキシルアクリレート、(b4−1)メタクリル酸と共に用いた。表1に示すような割合で各成分を用い、実施例1と同様に重合して、実施例9〜11のアクリル系樹脂を得た。更に0.2重量部の防腐剤(ACTICIDE MBS、ソージャパン社製)、0.1重量部の消泡剤(ノプコ8034、サンノプコ社製)を添加して、実施例9〜11のアクリル系樹脂組成物を得た。
表1に示すような割合で各成分を用いて、実施例1と同様に重合して、比較例1〜5のアクリル系樹脂を得た。実施例1と同様に0.2重量部の防腐剤(ACTICIDE MBS、ソージャパン社製)、0.1重量部の消泡剤(ノプコ8034、サンノプコ社製)を添加して、比較例1〜5のアクリル系樹脂組成物を得た。
実施例及び比較例のアクリル系樹脂組成物の評価は以下の様に行った。
[防水性]
JIS A6909(透水試験B法)に準拠して、透水量を測定することによって行った。即ち、各樹脂組成物を15重量%の水溶液となるように希釈し、また、必要であれば適宜ブチルセロソルブ(可塑剤)を加えて最低造膜温度を0℃に低下させ試験液とした。この試験液をケイカル板(比重0.8)に100g/m2の量となるようにはけ塗りし、100℃にて10分間乾燥して塗板を作製した。44cm2の面積の塗板を1日で透過する水量(ml)を測定することで透水量を測定した。透水量が大きいほど防水性は小さく、透水量が小さいほど防水性が大きい。評価結果は以下のように表示した。
◎:透水量は0.1ml以下である。
○:透水量は0.1mlより多く、0.2ml以下である。
×:透水量は0.2mlより多い。
各樹脂組成物を35重量%の水溶液となるように希釈し、必要であれば適宜ブチルセロソルブ(可塑剤)を加えて最低造膜温度を0℃に低下させ試験液とした。次に、5mil又は10milのアプリケーターを用いて、この試験液を濾紙(東洋濾紙社製 ♯131)に塗工し、100℃で10分間乾燥して塗工紙を作製した。塗工紙を直径が3.4cmである円形に切断した後、瞬間接着剤を用いて予め10gの塩化カルシウムを入れたシャーレ(直径3cm)の上部に隙間が生じないように接着し、濾紙を接着したシャーレの重量を測定した。さらに、硝酸バリウム飽和水溶液を入れたデシケーターの中に上述の濾紙を接着したシャーレを並べた後、デシケーターを20℃、湿度65%の恒温室内に保管した。定常状態と成った後、濾紙を接着したシャーレの重量を測定し、試験前の重量との差から透湿量(g/m2)を求めて、防湿性を評価した。透湿量が大きいほど防湿性は小さく、透湿量が小さいほど防湿性は大きい。評価結果は以下のように表示した。
◎:大変良好であり、透湿量は55g/m2以下である。
○:良好であり、透湿量は55g/m2より多く、75g/m2以下である。
×:不良であり、透湿量は75g/m2より多い。
各樹脂組成物を15重量%の水溶液となるように希釈し、また、必要であれば適宜ブチルセロソルブ(可塑剤)を加えて最低造膜温度を0℃に低下させ試験液とした。この試験液を、ケイカル板(比重0.8)に100g/m2の量となるようにはけ塗りし、100℃にて10分間乾燥して塗板を作製した。さらに、上塗り用樹脂組成物(日本エヌエスシー(株)製のヨドゾールAD137(商品名))を上述の塗膜の上に100g/m2の量となるようにはけ塗りした。このときに、塗板上で上塗り用樹脂組成物のハジキの有無、均一に塗布されるか否かを目視にて確認した。評価結果は以下のように表示した。
○:良好であり、上塗り用樹脂組成物は塗板上でハジキがなく、均一に塗布される。
×:不良であり、上塗り用樹脂組成物は塗板上でハジキを生じ、均一に塗布されない。
各樹脂重合時の機台汚れ、濾過残渣等から総合判断した。評価結果は以下のように表示した。
◎:大変良好。
○:良好。
×:不良。
各樹脂組成物を15重量%の水溶液となるように希釈し、また、必要であれば適宜ブチルセロソルブ(可塑剤)を加えて最低造膜温度を0℃に低下させ試験液とした。この試験液をケイカル板(比重0.8)に100g/m2の量となるようにはけ塗りし、100℃にて10分間乾燥して塗板を作製した。さらに、上塗り用樹脂組成物(日本エヌエスシー(株)製のヨドゾールAD137(商品名))を上述の塗膜の上に100g/m2の量となるようにはけ塗りした。塗板上の皮膜をカッターにて4mm間隔で碁盤の目状に切り、25個の桝目を形成し、その上を粘着テープで圧着した。その後、粘着テープを一気に引き剥がし、剥がれずに塗板上に残存した皮膜の面積を確認することで、基材密着性を評価した。皮膜の残存面積が大きいほど、基材密着性は良く、皮膜の残存面積が小さいほど、基材密着性は悪い。評価結果は以下のように表示した。
◎:大変良好であり、皮膜の残存面積は90%以上である。
○:良好である、皮膜の残存面積は70%以上、90%未満である。
△:普通であり、皮膜の残存面積は50%以上、70%未満である。
×:不良であり、皮膜の残存面積は50%未満である。
これに対し比較例1、比較例2の樹脂は(A)成分である長鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリル酸エステルの量が少ないため、防水性、防湿性が劣ると考えられる。また、比較例3の樹脂は(A)成分である長鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリル酸エステルの量が多いため上塗りを塗工したときにハジキが発生すると考えられる。比較例4の樹脂は、アルキル基の炭素数が18であるアルキル(メタ)アクリル酸エステルを含むので、重合性が劣り、更にシーラーとしての基本的な特性である基材密着性も低下し得、良好な基材密着性を得られないことがわかる。
Claims (5)
- (A)アルキル(メタ)アクリル酸エステル:0.5〜24重量部と、
(B)エチレン性二重結合を有する単量体:76〜99.5重量部とを、
共重合することで得られるアクリル系樹脂であって、
(A)アルキル(メタ)アクリル酸エステルは、
(a1)アルキル基の炭素数が10〜16であるアルキルアクリル酸エステル及び
(a2)アルキル基の炭素数が14〜16であるアルキルメタクリル酸エステル
から選択される少なくとも1種であり、
(B)エチレン性二重結合を有する単量体は、
(b1)スチレン系誘導体及び
(b2)アルキル基の炭素数が8以下であるアルキル(メタ)アクリル酸エステル
を含むアクリル系樹脂
を含有し、無機質形成部材用シーラーとして用いられる、アクリル系樹脂組成物。 - (a1)アルキル基の炭素数が10〜16であるアルキルアクリル酸エステルは、ラウリルアクリレートであり、
(a2)アルキル基の炭素数が14〜16であるアルキルメタクリル酸エステルは、セチルメタクリレートである請求項1に記載のアクリル系樹脂組成物。 - (B)エチレン性二重結合を有する単量体は、さらに、(b3)エチレン性二重結合を有するアルコキシシランを含む請求項1又は2に記載のアクリル系樹脂組成物。
- (A)アルキル(メタ)アクリル酸エステルと(B)エチレン性二重結合を有する単量体との総和を100重量部として、(B)エチレン性二重結合を有する単量体は、(b3)エチレン性二重結合を有するアルコキシシランを0.01〜5.0重量部含有する請求項3に記載のアクリル系樹脂組成物。
- 上記共重合を乳化重合で行う請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル系樹脂組成物。
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