JP4822780B2 - 電気掃除機 - Google Patents

Description

本発明は、電気掃除機に関し、特に、集塵室の開口部分を覆う蓋の開閉構造に関するものである。

従来この種の電気掃除機は集塵室の開口部分を覆う蓋を備えており、その開操作のための操作手段として、蓋の上面に解除ボタンを設けたものがある。蓋の上面に解除ボタンを設けると意匠性に優れ、電気掃除機本体に別途解除ボタンを設けるのに比べて、本体構造の複雑化が防止でき、電気掃除機本体がすっきりした印象となるという利点がある。

図１１はそのような従来の電気掃除機の断面図を示したものである。この電気掃除機は、蓋３が開方向に弾性付勢されており、そして、蓋３側に設けられた可動係合部（尾錠）２０と電気掃除機本体１側に設けられた固定係合部３０とが係合し、蓋３の閉状態が維持されている。そして、蓋３の上面に設けられた解除ボタン４０を押圧することにより、その係合が解除されて蓋３が開くようになっている。また、この蓋３は、掃除機動作時に集塵室内の真空度を維持するために、蓋３が閉まっている時には電気掃除機本体１との間にパッキン６が介在し、集塵室内の負圧によりパッキンと密着して、電気掃除機本体１と蓋３の間にすき間が生じないように蓋が閉方向に沈み込むように構成されている。

上記のような従来の電気掃除機は、解除ボタン４０が押圧されることにより可動係合部（尾錠）２０が移動するが、その移動には制約がないので、蓋３、解除ボタン４０及び可動係合部２０が必要以上に沈んでしまう。このため、解除ボタン４０の押す手を離すと、可動係合部２０が元の位置に戻ろうとして回動し、蓋３も開方向に回動するが、蓋３の沈み込み量が大きいため、可動係合部２０が元の位置に戻る途中で固定係合部３０に再び係合して蓋３が開かなくなってしまうような事態が起こるという問題点があった。

上記の問題点を解決する為に、蓋３の付勢を大きくする、又は可動係合部（尾錠）２０の付勢を小さくすることによって解消することも可能だが、蓋３の付勢が大きいと、部品に加わる応力が大きくなり、破損等が発生する恐れがあり、可動係合部（尾錠）２０の付勢が小さいと、係止の保持力が弱くなってしまい、蓋３が不意に開いてしまうおそれがある。また、蓋３が係止位置より下がることができないように、蓋３と電気掃除機本体１を接触させてしまうと、掃除機を運転している時に蓋３とパッキン６が十分に密着できなくなり、集塵室の密閉が不完全となり、吸込み性能を低下させてしまうおそれがある。

本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、少なくとも、解除ボタンを押して蓋を開く時に可動係合部が再掛りするのを防止するとともに、運転時の吸込み性能を低下させないようにした電機掃除機を提供することを目的とする。

本発明に係る電気掃除機は、掃除機本体に開方向へ付勢されて取付けられ、集塵室を開閉する蓋と、掃除機本体に取り付けられ固定係合部と、前記蓋に取付けられ、前記蓋を閉じたときに前記固定係合部と係合して前記蓋を閉状態に維持させる可動係合部と、前記蓋の上面に設けられ、前記可動係合部を移動させて前記固定係合部との係合を解除させる解除ボタンと、前記解除ボタンが押されて前記可動係合部と前記固定係合部との係合を解除させるときにのみ、前記蓋の沈み込みを規制する規制手段とを備え、前記規制手段は、前記可動係合部に形成された突起部から構成され、前記解除ボタンが押されたときに、掃除機本体側の部材と当接して前記可動係合部が動かなくなることにより、当接後の前記解除ボタンの押下による前記蓋のさらなる沈み込みを防止する。

本発明によれば、解除ボタンが押されて可動係合部と固定係合部との係合を解除させるときに、蓋の沈み込みを規制する規制手段を備えたことにより、解除ボタンを押している時にのみ蓋の沈み込み量が少なくなる。このため、蓋が開方向に近いところに位置することになる。解除ボタンを押す手が離れると、蓋、解除ボタン及び可動係合部が元の位置に戻ろうとするが、蓋の位置が開方向に近いので、可動係合部が元の位置に戻る途中で固定係合部の先端部に再び係合するような事態が避けられ、解除ボタンを押した時に再掛りが防止でき、蓋を確実に開くことができる。また、解除ボタンを押している時以外は蓋の沈み込みを防止する機構をとっていないので集塵室の真空度を良好に維持でき、運転時の吸込み性能が低下しない。

実施の形態１．
図１は本発明の実施の形態１に係る電気掃除機の斜視図である。電気掃除機本体（以下、掃除機本体という）１は、その前面側には、ホースユニット１０が着脱自在に装着される接続口（接続部）２が設けられており、その内部の後方には、吸引した空気と塵埃を分離して塵埃を捕集する集塵ケース（図示せず）が収納される集塵室（図示せず）が設けられている。この集塵室は、掃除機本体１の上部に開閉自在に設けられている蓋３により開閉される。集塵室の後方には、集塵ケースで捕集できなかった塵埃を捕集するためのバックアップフィルタ（図示せず）が設けられており、その後方には電動送風機（図示せず）が設置されている。そして、掃除機本体１の底面には走行方向に対して回転自在に車輪（図示せず）が取り付けられており、両側面には後輪４が設けられている。ホースユニット１０のホース１１の一端には掃除機本体１の接続口２に接続する本体接続部１２が設けられており、他端には操作部１３が設けられている。そして、操作部１３には着脱自在に延長管１４が接続され、延長管１４の先端部には着脱自在に吸込み具１５が接続されている。

図２は掃除機本体の斜視図であり、図３は掃除機本体の蓋を開いた状態の斜視図である。蓋３は集塵室５よりも後部側の位置で開閉自在に掃除機本体１に支持されており、それ自体で開状態が維持されるように弾性力が付与されている。集塵室５の開口部の周囲にはパッキン６が取付けられており、蓋３を閉じたときに密閉構造となるようにしてある。
また、蓋３側には可動係合部２０が設けられており、掃除機本体１側には固定係合部３０が設けられており、蓋３を閉じるときには、蓋３を前方に回動させて押圧することにより、蓋３側の可動係合部２０と掃除機本体１側の固定係合部３０とが係合して閉状態が維持される。また、蓋３の上面には解除ボタン４０が設けられており、蓋３を開くときには、解除ボタン４０を押圧することにより、上記の可動係合部２０と固定係合部３０との係合が解除されて蓋３が開く。これらの可動係合部２０、固定係合部３０及び解除ボタン４０の構造の詳細を図４〜図７に基づいて説明する。

図４は蓋３側に設けられた可動係合部２０の斜視図であり、図５は蓋３から取り外した可動係合部２０の斜視図である。この可動係合部２０はその両端に突起した軸２１を備えており、これが蓋３に形成された孔３ａに挿入されて回転自在に装着される。また、可動係合部２０は、それぞれ方向の異なった第１の突起片２２、第２の突起片２３及び第３の突起片２４を備えている。第１の突起片２２は係合片となるものである。第２の突起片２３は第１の突起片２２とその位置が若干ずれた位置から第１の突起片２２とは反対方向に突出しており、その背後にはバネ部材（図７の符号２６参照）が取付けらており、蓋３との間に弾性力が付与されている。また、第３の突起片２４は２つの片を備えており、その第１の突起片２２側の面には突起部２５が形成されている。この突起部２５は本発明の規制手段を構成している。このように構成されている可動係合部２０は、蓋３に回転自在に支持され、且つバネ部材（スプリング）により弾性力が付与されているので回転力が付与されているが、第３の突起片２４が蓋３側に当接してストッパーの役割を果たし、蓋３を開いたときには、図４に示されるように、第１の突起片２２及び第２の突起片２３が表側に現れることになる。

図６は固定係合部３０の斜視図である。固定係合部３０は、同図に示されるように、斜め下方に突起した鉤部３１を備えている。固定係合部３０が可動係合部２０と係合するときには、この鉤部３１が可動係合部の第１の突起片２２と係合して蓋３の閉状態が維持されることになる。

図７は蓋が閉じられている状態の掃除機本体の断面図であり、図８は解除ボタンの説明図である。解除ボタン４０は、バネ部材（スプリング）４１により上方に押し上げられるように弾性力が付与されており、解除ボタン４０の下部に設けられた係合片４０ａにより蓋３側と係合して、その高さ方向の位置が規制されている。このため、定常状態においては、解除ボタン４０は最も高い位置にあり、可動係合部２０から離れた位置にある。そして、この状態では、図７に示されるように、固定係合部３０の鉤部３１の先端部に可動係合部２０の第１の突起片２２が下側から係合しており、蓋３の閉状態が維持されている。なお、第２の突起片２３と蓋３との間にはバネ部材（スプリング）２６が介在しており、その弾性力により、固定係合部３０の鉤部３１と可動係合部２０の第１の突起片２２との係合が維持されている。

図９は解除ボタン４０が押圧されている状態の掃除機本体の断面図であり、図１０は蓋３が開いた状態の掃除機本体の断面図である。解除ボタン４０がバネ部材４１の弾性力に抗して押圧されると、図９に示されるように、解除ボタン４０が下降して可動係合部２０を押圧し、可動係合部２０は軸２１（図５参照）を中心に回動し（図９の例では右回転）、可動係合部２０の第１の突起片２２が固定係合部３０の鉤部３１の先端部から離脱する。そして、解除ボタン４０を更に押圧したとしても、可動係合部２０の突起部２５が掃除機本体１側に当接し、蓋３の沈み込みが規制されて動かなくなる。このように、可動係合部２０の突起部２５が掃除機本体１側に当接して蓋３の沈み込みが規制されているので、蓋３は開方向に近いところに位置している。その状態から解除ボタン４０を押す手が離れると、解除ボタン４０がバネ部材４１の弾性力により元の位置に戻ろうとして上に移動するとともに、可動係合部２０が軸２１を中心に元の位置に戻ろうとして回動する（この例では左回転）。このとき、蓋３が開方向に近いところに位置しているので、可動係合部２０が軸２１を中心に回動（左回転）して第１の突起片２２の先端が固定係合部３０の鉤部３１の先端部に到達する前に、蓋３及び可動係合部２０が先に回動しており、図１０に示されるように蓋３が開く。

以上のように本実施の形態１においては、突起部２５を設けて蓋３の沈み込みを規制するようにしたので、蓋３の沈み込み量が小さくなり、蓋３が開方向に近いところに位置し、解除ボタン４０を押す手を離したときに、可動係合部２０の第１の突起片２２が固定係合部の鉤部３１に再び係合するような事態が避けられており、蓋３を確実に開くことができる。また、可動係合部２０のバネ部材２６による弾性付勢を充分大きくとることができるので、蓋３が閉状態においては、可動係合部２０の第１の突起片２２が固定係合部３０の鉤部３１との係合はしっかりしたものとなり、不意に両者の係合が解除されて蓋３が突然開くようなことはない。更に、蓋３は開く方向に弾性付勢されているが、上記のように構成したので、その弾性力を大きくする必要がない。

また、蓋３の沈み込みを規制する規制手段（突起部２５）を可動係合部２０に設けたことにより、蓋３を確実に開くことができるとともに、可動係合部２０の第１の突起片２２と固定係合部の鉤部３１との再係合を防止するために、解除ボタン４０を押している時以外は、蓋３の沈み込みを防止する機構をとっていないので、集塵室５の真空度を良好に維持できる。例えば蓋３が係止位置より下がることができないように、蓋３と掃除機本体１とを接触させると、電気掃除機を運転している時に蓋３とパッキン６が十分に密着できなくなり、集塵室５の密閉が不完全となり、吸込み性能を低下させてしまうおそれがあるが、本実施の形態１においては、そのような事態が避けられている。

本発明の実施の形態１に係る電気掃除機の斜視図である。 図１の掃除機本体の斜視図である。 掃除機本体の蓋を開いた状態の斜視図である。 可動係合部の斜視図である。 掃除機本体から取り外した可動係合部の斜視図である。 固定係合部の斜視図である。 蓋が閉じられている状態の掃除機本体の断面図である。 解除ボタンの断面説明図である。 解除ボタンが押圧されている状態の掃除機本体の断面図である。 解除ボタンが押圧されている状態の掃除機本体の断面図である。 従来の掃除機本体の断面図である。

符号の説明

１ 掃除機本体、２ 接続口、３ 蓋、４ 後輪、５ 集塵室、６ パッキン、１０ ホースユニット、１１ ホース、１２ 本体接続部、１３ 操作部、１４ 延長管、１５ 吸い込み具、２０ 可動係合部、２１ 軸、２２ 第１の突起片、２３ 第２の突起片、２４ 第３の突起片、２５ 突起部（規制手段）、２６ バネ部材、３０ 固定係合部、３１ 鉤部、４０ 解除ボタン、４０ａ 係合片、４１ バネ部材。

Claims (1)

1. 掃除機本体に開方向へ付勢されて取付けられ、前記掃除機本体に形成された集塵室を開閉する蓋と、
   掃除機本体に取り付けられた固定係合部と、
   前記蓋に取付けられ、前記蓋を閉じたときに前記固定係合部と係合して前記蓋を閉状態に維持させる可動係合部と、
   前記蓋の上面に設けられ、前記可動係合部を移動させて前記固定係合部との係合を解除させる解除ボタンと、
   前記解除ボタンが押されて前記可動係合部と前記固定係合部との係合を解除させるときにのみ、前記蓋の沈み込みを規制する規制手段と
   を備え、
   前記規制手段は、前記可動係合部に形成された突起部から構成され、前記解除ボタンが押されたときに、掃除機本体側の部材と当接して前記可動係合部が動かなくなることにより、当接後の前記解除ボタンの押下による前記蓋のさらなる沈み込みを防止する
   ことを特徴とする電気掃除機。

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