JP4822637B2 - 酸化物超電導用トリフルオロ酢酸金属塩水和物の製造方法 - Google Patents

酸化物超電導用トリフルオロ酢酸金属塩水和物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、前駆体を加熱及び/又は焼成することで基体上にセラミックスを形成する熱分解法(以下、MOD法と記載することもある)による酸化物超電導体の製造に用いられる前駆体化合物及びその製造方法に関し、詳しくは、特定のトリフルオロ酢酸金属塩水和物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
YBa2Cu37-δ型酸化物(YBC系)超電導体やYBC系超電導体のYサイトをランタノイド元素で置換したREBC系超電導体、Bi2Sr2Ca2Cu28、Bi2Sr2Ca2Cu310等のBSCC系超電導体等の銅系の酸化物超電導体は、臨界温度が高い、臨界電流が大きい、化学的に安定であることから線材、膜材、テープ材として応用が期待されている。
【0003】
上記の銅系の酸化物超電導体においては、前駆体の溶液又は分散液を加熱及び/又は焼成することで酸化物超電導体を得る熱分解法(MOD法)による製造が検討されている。
【0004】
例えば、特開平5−62545号公報、特開平5−270825号公報、特公平6−62330号公報、特公平7−34333号公報等に有機酸塩、アルコキシド、炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物等の溶液又は分散液の使用が報告されている。しかし、これらの前駆体から得られる超電導体は、電気特性が劣るという問題点を有していた。
【0005】
上記の問題点に対し、IEEE Trans Appl Supercond VOL.9,NO.2,p1531-153 4(1999)には、トリフルオロ酢酸金属塩を前駆体として用いると金属オキシフッ化物を経由して酸化物超電導体が得られ、これが良好な電気特性を与えることが報告されている。
【0006】
しかし、従来の酸化物超電導体の前駆体に用いられているトリフルオロ酢酸は、酢酸塩から製造されているものであり、残留する酢酸、トリフルオロ酢酸及び/又はこれらの酸残基の影響により、前駆体溶液又は分散液の安定性や製造された酸化物超電導体の電気特性に影響を与える問題点を有している。
【0007】
従って、本発明の目的は、MOD法による銅系酸化物超電導体の前駆体に適したトリフルオロ酢酸金属塩及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、検討を重ねた結果、トリフルオロ酢酸金属塩の水和物が上記課題を解決し得ることを知見し、本発明に到達した。
【0009】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、後記の金属水酸化物(a)とトリフルオロ酢酸を水中で反応させた後に、反応系内の未反応のトリフルオロ酢酸を80℃以下での減圧留去により除くことにより、下記一般式(1)で表される酸化物超電導用トリフルオロ酢酸金属塩水和物を製造し、上記酸化物超電導用トリフルオロ酢酸金属塩水和物は、前駆体を加熱及び/又は焼成することで基体上に酸化物超電導体を形成する方法における該前駆体として用いられるものであることを特徴とする下記一般式(1)で表される酸化物超電導用トリフルオロ酢酸金属塩水和物の製造方法を提供するものである。
【化3】
Figure 0004822637
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0011】
本発明に係る上記一般式(1)で表されるトリフルオロ酢酸金属塩水和物の酢酸及び/又は酢酸残基は、酢酸換算で200ppm以下であることが望ましい。酢酸及び/又は酢酸残基が200ppmを超えると、前駆体溶液又は分散液の安定性や製造された酸化物超電導体の電気特性に悪影響を与える
【0013】
上記のトリフルオロ酢酸金属塩水和物において、xで表される水和度は、後記で説明する製法により得られるものであり、Mが銅原子の場合は3又は4であり、Mがバリウム、カルシウム又はストロンチウム原子の場合は1である
【0014】
本発明の酸化物超電導体トリフルオロ酢酸金属塩水和物の製造方法とは、下記式の金属水酸化物(a)とトリフルオロ酢酸を水中で反応させることと、反応後に反応系内の未反応のトリフルオロ酢酸を80℃以下で減圧留去により除去することが特徴である。
【0015】
【化4】
Figure 0004822637
【0016】
通常、MOD法による酸化物超電導体の前駆体として用いられるトリフルオロ酢酸金属塩の製造は、使用時の無機系の副反応生成物等の混入を防ぐために酢酸塩等の有機酸金属塩とトリフルオロ酢酸との塩交換反応により行われている。この方法によると副生する有機酸及び/又は有機酸残基が系内に残留しやすい。例えば、酢酸塩等の水溶性の有機酸を用いた場合には、副生する有機酸は、油水分離では除去できないので、留去により除かれる。この場合は、副生する有機酸はトリフルオロ酢酸よりも沸点が高いので、未反応のトリフルオロ酢酸が先に除かれ、有機酸とトリフルオロ酢酸金属塩が系内に残り、再び塩交換が起こり金属塩中に有機酸残基が残る場合がある。有機酸を除くために高温で留去するとよりこの傾向が強くなる懸念がある。また非水溶性の有機酸塩を用いた場合は、油水分離により有機酸を除くことができるが、このような有機酸は交換反応が進行しにくいので有機酸残基が残る場合がある。従って、この方法では、有機酸及び/又は有機酸残基を除去するのは困難である。
【0017】
また、アルコキシドとトリフルオロ酢酸の反応により製造する方法は、上記の問題は回避できるが、アルコキシドは、加水分解性があるので扱い難く、高価であるため製造コストが大きくなる問題点を有する。
【0018】
上記式で表される金属水酸化物(a)は、水中でトリフルオロ酢酸と容易に反応し、不純物として無機系の副反応生成物や有機酸及び/又は有機酸残基のないトリフルオロ酢酸塩水和物を与える。製造コストが小さいので、銅、バリウム、カルシウム又はストロンチウムのトリフルオロ酢酸塩水和物を得る場合には、金属水酸化物(a)を用いる。
【0019】
本発明の酸化物超電導体用トリフルオロ酢酸金属塩水和物の製造方法において、上記の原料に用いられる金属化合物とトリフルオロ酢酸との反応は、ほぼ定量的に進行するので配合比は、金属化合物に対して、反応当量(モル換算)の80〜150%のトリフルオロ酢酸を用いるのが好ましく、反応時間が短縮できる場合があるので100〜120%がより好ましい。
【0020】
また、反応温度については、反応生成物の熱安定性、金属化合物の反応性により適宜選択される。金属水酸化物(a)を用いる場合は、反応は室温で進行するので、15〜100℃が好ましく、20〜60℃がより好ましい。また、トリフルオロ酢酸銅水和物を製造する場合は、80℃を超えると反応生成物の分解により収率が低下する場合があるので、80℃以下が好ましく、水酸化銅を用いる場合は20〜60℃がより好ましい
【0021】
また、上記の製造方法においては、酸化物超電導体の前駆体に用いられるトリフルオロ酢酸金属塩水和物は、トリフルオロ酢酸が残留していると、酸化物超電導体の電気的特性に悪影響を及ぼし、また、前駆体溶液又は分散液の安定性が悪くなる場合あるので、未反応のトリフルオロ酢酸を取り除く工程を経ることが好ましい。
【0022】
本発明のトリフルオロ酢酸金属塩水和物の製造方法における未反応のトリフルオロ酢酸を減圧留去により除去する温度については、結晶水が脱離すると得られるトリフルオロ酢酸金属塩水和物を前駆体として使用する場合に、その金属含有量から得られる酸化物超電導体についての値の配合を設定することが困難になるので結晶水が脱離しない温度である80℃以下である。トリフルオロ酢酸銅水和物の場合は、熱によって分解し易いので35℃以下が好ましい。また、反応系にメタノール、エタノール、アセトン、ジエチルエーテル等の水に溶解する沸点80℃以下の有機化合物を添加して、これらの有機化合物と水と共にトリフルオロ酢酸を減圧留去する方法がトリフルオロ酢酸を効率よく取り除くことができるので好ましい。
【0023】
本発明のトリフルオロ酢酸金属塩水和物をMOD法の前駆体としての使用する場合の形態については、特に制限を受けず、溶液、サスペンションやエマルション、ゾル状物、ゲルの分散液等で使用してもよい。溶媒や分散相としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール(IPA)、n−ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等の酢酸エステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類;メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルピロリドン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等の含窒素有機化合物類;アセトニトリル、シアノエタン、1−シアノブタン、1−シアノヘキサン、シアノシクロヘキサン、シアノベンゼン、1,3−ジシアノプロパン、1,4−ジシアノブタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサン、1,4−ジシアノベンゼン等のシアノ基含有炭化水素類;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホン等の含硫黄系有機化合物;水等が挙げられ、これらは混合して用いてもよい。
【0024】
また、上記の溶液や分散液について安定性を付与する安定化剤を用いることもできる。該安定化剤としては、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエチレングリコールエーテル類;18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、24−クラウン−8、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8、ジベンゾ−24−クラウン−8等のクラウンエーテル類;エチレンジアミン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,1,4,7,7−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン等のポリアミン類;サイクラム、サイクレン等の環状ポリアミン類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−2−メトキシエチル等のβ−ケトエステル類;アセチルアセトン、ジピバロイルメタン、β−ジケトン類が挙げられる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例、比較例、評価例及び比較評価例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
尚、下記実施例1〜10のうち、実施例1〜3が本発明の実施例であり、実施例4〜10は参考例である。
【0026】
〔実施例1〕
(トリフルオロ酢酸銅四水和物の製造)
1リットルの反応フラスコに水200g、水酸化銅97.6gを仕込み、撹拌しながら、トリフルオロ酢酸240gを40℃以下で滴下した。25℃で2時間反応させた後、不溶物を濾別して得られた溶液にメタノールを20g加え、25℃で系内を徐々に減圧して濃縮、乾固させた。乾固後、系内を窒素を導入しながら常圧に戻し、得られた固体を窒素気流下で取り出し、目的物である結晶を328g(収率90.2%)得た。
得られた結晶について、IR分析、銅含有量分析(▲1▼キレート滴定法、▲2▼アンモニア水加熱分解法)、空気中での500℃加熱後の組成分析(X線回折)を行った。結果を以下に示す。
・IR分析:吸収ピーク(cm-1
3554、1758、1743、1691、1440、1201、1143、848、796、759、730、678
・銅含有量分析
▲1▼17.7質量%、▲2▼17.6質量%(理論値17.57質量%)
・400℃加熱後の組成分析
組成;CuOとCu2Oの混合物
【0027】
〔実施例2〕
(トリフルオロ酢酸銅三水和物の製造)
1リットルの反応フラスコに水200g、水酸化銅97.6gを仕込み、撹拌しながら、トリフルオロ酢酸240gを40℃以下で滴下した。40℃で1時間反応させた後、不溶物を濾別して得られた溶液にアセトンを20g加え、30℃で系内を徐々に減圧して濃縮、乾固させた。乾固後、系内を窒素を導入しながら常圧に戻し、得られた固体を窒素気流下で取り出し、目的物である結晶を314g(収率91.0%)得た。
得られた結晶について、IR分析、銅含有量分析(▲1▼キレート滴定法、▲2▼アンモニア水加熱分解法)、空気中での500℃加熱後の組成分析(X線回折)を行った。結果を以下に示す。
・IR分析:吸収ピーク(cm-1
3554、1758、1743、1691、1440、1201、1143、848、796、759、730、678
・銅含有量分析
▲1▼18.5質量%、▲2▼18.6質量%(理論値18.53質量%)
・400℃加熱後の組成分析
組成;CuOとCu2Oの混合物
【0028】
〔実施例3〕
(トリフルオロ酢酸バリウム一水和物の製造)
1リットルの反応フラスコに水260g、水酸化バリウム八水和物315gを仕込み、撹拌しながら、トリフルオロ酢酸240gを40℃以下で滴下した。25℃で2時間反応させた後、不溶物を濾別して得られた溶液にメタノールを20g加え、70℃に加温し、系内を徐々に減圧して濃縮、乾固させた。乾固後、系内を窒素を導入しながら常圧に戻し、得られた固体を窒素気流下で取り出し、目的物である結晶を367g(収率96.2%)得た。
得られた結晶について、IR分析、バリウム含有量分析(硫酸水加熱分解法)、空気中での400℃加熱後の残量及び組成分析(X線回折)を行った。結果を以下に示す。
・IR分析:吸収ピーク(cm-1
3667、3432、1673、1454、1213、1145、850、802、759、727、678
・バリウム含有量分析
36.3質量%(理論値36.01質量%)
・400℃加熱後の組成分析
組成;BaF2
【0029】
〔実施例4〕
(トリフルオロ酢酸イットリウム三水和物の製造)
1リットルの反応フラスコに水75g、トリフルオロ酢酸132gを仕込み、撹拌しながら、三酸化二イットリウム39.66gを加えた。発熱終了後2時間還流させた後、不溶物を濾別して得られた溶液にメタノールを10g加え、70℃に加温し、系内を徐々に減圧して濃縮、乾固させた。乾固後、系内を窒素を導入しながら常圧に戻し、得られた固体を窒素気流下で取り出し、目的物である結晶を315g(収率92.9%)得た。
得られた結晶について、IR分析、イットリウム含有量分析(500℃加熱分解し、三フッ化物として秤量)、空気中での示差熱分析を行った。結果を以下に示す。
・IR分析:吸収ピーク(cm-1
3664、3424、1716、1666、1625、1484、1467、1457、1218、1151、865、842、800、759、732、678
・イットリウム含有量分析
18.5質量%(理論値18.45質量%)
・示差熱分析(30℃→10℃/min→600℃)
30℃(−0.0%:三水和物)、117℃(−7.5%:一水和物)、155℃(−11.4%:無水物)、310℃(−73.2%:三フッ化イットリウム)
【0030】
〔実施例5〕
(トリフルオロ酢酸ネオジム三水和物の製造)
1リットルの反応フラスコに水150g、トリフルオロ酢酸223gを仕込み、撹拌しながら、三酸化二ネオジム100gを加えた。発熱終了後2時間還流させた後、不溶物を濾別して得られた溶液にメタノールを20g加え、70℃に加温し、系内を徐々に減圧して濃縮、乾固させた。乾固後、系内を窒素を導入しながら常圧に戻し、得られた固体を窒素気流下で取り出し、目的物である結晶を300g(収率94.0%)得た。
得られた結晶について、IR分析、ネオジム含有量分析(500℃加熱分解法し、三フッ化物として秤量)、空気中での示差熱分析を行った。結果を以下に示す。
・IR分析:吸収ピーク(cm-1
3664、3424、1714、1666、1624、1484、1467、1457、1215、1152、864、842、800、759、732、678
・ネオジム含有量分析
27.0質量%(理論値26.84質量%)
・示差熱分析(30℃→10℃/min→600℃)
30℃(−0.0%:三水和物)、235℃(−10.2%:無水和物)、350℃(−61.7%:三フッ化ネオジム)
【0031】
〔実施例6〕
(トリフルオロ酢酸サマリウム三水和物の製造)
1リットルの反応フラスコに水150g、トリフルオロ酢酸216gを仕込み、撹拌しながら、三酸化二サマリウム100gを加えた。発熱終了後2時間還流させた後、不溶物を濾別して得られた溶液にメタノールを20g加え、70℃に加温し、系内を徐々に減圧して濃縮、乾固させた。乾固後、系内を窒素を導入しながら常圧に戻し、得られた固体を窒素気流下で取り出し、目的物である結晶を298g(収率95.6%)得た。
得られた結晶について、IR分析、サマリウム含有量分析(500℃加熱分解法し、三フッ化物として秤量)、空気中での示差熱分析を行った。結果を以下に示す。
・IR分析:吸収ピーク(cm-1
3664、3428、1720、1666、1625、1483、1469、1457、1213、1153、862、844、800、730、721、678
・サマリウム含有量分析
27.6質量%(理論値27.67質量%)
・示差熱分析(30℃→10℃/min→600℃)
30℃(−0.0%:三水和物)、235℃(−10%:無水和物)、350℃(−61.7%:三フッ化サマリウム)
【0032】
〔実施例7〕
(トリフルオロ酢酸イッテルビウム三水和物の製造)
1リットルの反応フラスコに水150g、トリフルオロ酢酸216gを仕込み、撹拌しながら、三酸化二イッテルビウム113gを加えた。発熱終了後2時間還流させた後、不溶物を濾別して得られた溶液にメタノールを20g加え、70℃に加温し、系内を徐々に減圧して濃縮、乾固させた。乾固後、系内を窒素を導入しながら常圧に戻し、得られた固体を窒素気流下で取り出し、目的物である結晶を301g(収率92.6%)得た。
得られた結晶について、IR分析、イッテルビウム含有量分析(500℃加熱分解法し、三フッ化物として秤量)、空気中での示差熱分析を行った。結果を以下に示す。
・IR分析:吸収ピーク(cm-1
3664、3428、1722、1665、1627、1482、1469、1455、1217、1155、864、844、800、728、721、678
・イッテルビウム含有量分析
30.7質量%(理論値30.57質量%)
・示差熱分析(30℃→10℃/min→600℃)
30℃(−0.0%:三水和物)、235℃(−9.4%:無水和物)、370℃(−58.8%:三フッ化イッテルビウム)
【0033】
〔実施例8〜10〕
上記の実施例1、3及び4において、原料である水酸化銅、水酸化バリウム、三酸化二イットリウムの代わりに、同モルの酢酸塩を用いて、同様の操作を行いその後再結晶をして、それぞれ、トリフルオロ酢酸金属塩水和物を得た。また、得られた結晶について、塩酸−硫酸加水分解を行い、この系からジエチルエーテルにより抽出した有機成分についてガスクロマトグラフィー分析を行い、結晶中の酢酸及び酢酸残基について含有量を測定した。結果を下記に示す。
実施例8;収率87.2%、銅含有量:17.7質量%、酢酸189ppm
実施例9;収率88.6%、バリウム含有量:36.4質量%、酢酸112ppm
実施例10;収率86.7%、イットリウム含有量:18.6質量%、酢酸94ppm
【0034】
〔比較例1〜3〕
溶媒にメタノールを用いて、上記の実施例8〜10と同じ配合で、同様の反応温度及び反応時間で反応を行った。得られた反応系を銅については25℃、バリウム、イットリウムについては70℃減圧下で乾固させた後、再結晶を行い、それぞれトリフルオロ酢酸金属塩を得た。また、得られた結晶について、塩酸−硫酸加水分解を行い、この系からジエチルエーテルにより抽出した有機成分についてガスクロマトグラフィー分析を行い、結晶中の酢酸及び酢酸残基について含有量を測定した。結果を下記に示す。
比較例1;収率88.4%、銅含有量:21.9質量%、酢酸867ppm
比較例2;収率90.0%、バリウム含有量:37.8質量%、酢酸674ppm
比較例3;収率87.9%、イットリウム含有量:20.8質量%、酢酸458ppm
【0035】
〔評価例及び比較評価例〕
上記の実施例1〜7及び比較例1〜3により得られたトリフルオロ酢酸金属塩水和物をイットリウム又はランタノイド、バリウム、銅がモル比で1:2:3になるように固形分濃度25質量%のメタノール溶液を調製した。これを20mlのサンプル瓶に入れ、密栓をして30℃の恒温槽に保存し、沈殿生成を観察した。沈殿が生成するまでの日数を表1に示す。評価例は、実施例により製造したトリフルオロ酢酸金属塩水和物を使用したものであり、比較評価例は、比較例により製造したトリフルオロ酢酸金属塩を使用したものである。
【0036】
【表1】
Figure 0004822637
【0037】
【発明の効果】
本発明は、MOD法による銅系酸化物超電導体の前駆体に適したトリフルオロ酢酸金属塩水和物及びその製造方法を提供することができる。

Claims (1)

  1. 下記式で表される金属水酸化物(a)とトリフルオロ酢酸を水中で反応させた後に、反応系内の未反応のトリフルオロ酢酸を80℃以下での減圧留去により除くことにより、下記一般式(1)で表される酸化物超電導用トリフルオロ酢酸金属塩水和物を製造し、
    上記酸化物超電導用トリフルオロ酢酸金属塩水和物は、前駆体を加熱及び/又は焼成することで基体上に酸化物超電導体を形成する方法における該前駆体として用いられるものであることを特徴とする下記一般式(1)で表される酸化物超電導用トリフルオロ酢酸金属塩水和物の製造方法。
    Figure 0004822637
    Figure 0004822637
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