JP4822504B2 - 液晶レンズ装置 - Google Patents
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Description
この液晶レンズは透過光に光路差を与えて焦点を可変するものであり、その一例としては、少なくとも一方の基板がレンズ形状に形成された対向する2枚の透明基板と、この透明基板の互いに対向する側の面にそれぞれ設けられた一様な透明電極と、この透明電極に挟まれたレンズ形状の空間内に封入された液晶材料とよりなり、前記透明電極への印加電圧を制御する事によって屈折率を可変するレンズ形状型の液晶レンズがある。(例えば、特許文献1参照)
また本発明でヒータ電極の形成に用いる水金法による液晶セル電極の形成に付いては、本発明者がすでに提案している公知技術がある(例えば、特許文献4参照)
図15においてLC1はセルギャップ10μmの従来の液晶セル、LC2はセルギャップ25μmの液晶レンズ用の液晶セルの特性曲線であり、LC1では−10℃でも2000ms以下であるのに対し、LC2は5℃で2000msを超えている。
すなわち、液晶レンズ用にセルギャップを大きくした液晶セルでは、低温側においてカメラ用の液晶レンズとしての機能を満足しない事になる。
以下、図10〜14により先願のヒータ付き液晶レンズに付いて説明する。
5は大型の第1基板、6は小型の第2基板であり、この2枚の基板間に液晶層7が封止されて上セル2が構成されている。さらに前記第1基板5の内面側には液晶駆動電極8、ヒータ電極51が設けられ、さらに第1基板5の庇部分には接続電極9が設けられている。また前記第2基板6の内面側にはコモン電極11が設けられている。
なお、この直交配向の2層液晶レンズは、前記特許文献2に記載されている公知の液晶レンズであり、広い範囲での合焦点動作が可能で偏光依存性のない優れたものである。そして先願における液晶セルの定義としては、前記液晶レンズ1の図10に示す配置において入射光側、すなわち被写体160側に向いている方を上セル2、被写体160の対向側を下セル3としている。
そして、前記第1液晶セル2と第2液晶セル3とに各々設けられたヒータ電極51は温度低下を検出する温度センサー(図示せず)の信号に従って、前記ヒータ駆動電源120から接続電極9c,9dを介して供給されるヒータ駆動信号により発熱して、前記液晶層7を過熱することで応答速度の改善を行なう。
図13において、液晶レンズ部分の大きさは直径4mm程度の小さいものであり、そのレンズ範囲を取り囲むヒータ電極51の直径も5mm以下である。
この直径が5mm程度のヒータ電極51の材料としてシート抵抗3Ωの金薄膜を用いた場合、ヒータ電極51の幅を200μmとするとヒータ抵抗が50Ωとなる。このヒータ電極51に3Vの電圧を供給すると60mAの電流がながれて180mWの電力となるが、その結果としてヒータ温度が20℃しか上昇しなかった。
また、ヒータ電極としてシート抵抗の低い金薄膜に替えて、シート抵抗の高いITOを用いることも考えられるが、電子カメラ等の電池電源機器の場合3V以上の電圧供給は困難であり、同じ3V電源の場合にはさらに温度上昇が低下する結果となる。
従って図2、図3において図13、図14と同一要素には同一番号を付して説明を省略する。
そして、ヒータ電極10は前記液晶駆動電極8の周囲を取り囲むように設けられており、ヒータ電極10に接続される2本の接続電極9c、9dに前記ヒータ駆動電源120から供給される電圧によって前記高抵抗電極部10aを発熱させて液晶レンズ1の温度補償を行う。
また、図3に示す第2基板6のコモン電極11は図14のパターンと同一構成、同一作用である。
図4bにおいて、液晶レンズ部分の大きさは直径4mm程度の小さいものであり、そのレンズ範囲を取り囲むヒータ電極10の直径も5mm以下である。本実施形態においては直径が5mmのヒータ電極10について説明する。
この結果、接続電極9d、9c間の抵抗値は58Ωとなり、この接続電極9d,9cに3Vの電圧を供給したところ51.7mAの電流が流れ、3箇所の発熱部の温度上昇が100℃を超えて十分な温度補償が出来た。
また、前記高抵抗電極部10aの個数としては、局部発熱の効率と液晶レンズへの熱伝導の均一化を考慮すると3〜10個程度を前記ヒータ電極10のリング形状の中心に対して対称位置に配設する事が望ましい。
この製造方法に付いては本発明者が「液晶パネルの配線パターン形成法」として既に特許文献4で提案している水金法で形成している。
続いてITO用のエッチング液に浸漬し、ITO電極膜をパターンニングする(工程g)。この工程により前記液晶駆動電極8の透明輪帯電極が形成されるとともに前記ヒータ電極10の余分なITOが除去される。上記エッチング処理工程の後に、表面層に残ったフォトレジスト膜をレジスト剥離液に浸漬して除去することで前記第1基板5の電極パターン形成工程が終了する。
まず、高抵抗電極部10aと低抵抗電極部10bとを直列に配置することで、発熱部である高抵抗電極部10aの形状と配置位置を任意に設定する事が出来るため、発熱条件の選択自由度が高い。また発熱部である高抵抗電極部10aを分割して分散配置しているため熱の拡散がよく電極が剥がれ難くなる。
まず加熱効率を良くするために液晶セル内部にヒータ電極を設ける場合は、特にヒータ電極を構成する金属と液晶物質が直接接触するために前記金属の安定性が問題になる。その場合に水金法によって形成される金電極膜は純金に近い安定したものとなるため、液晶物質に直接触れても科学反応による劣化を生ずる事が無い。
また、水金法によって形成される金電極膜は、ITO膜やガラスとの密着性が良いため、過熱された時に剥がれ難い。
さらに、水金法とホトエッチングの組合せ加工によって形成されるヒータ電極10は、微細パターン形成が可能なためヒータ電極としての重要なファクターである抵抗値の管理がし易く、高性能な液晶レンズの製造が可能となる。
このようにヒータ電極21のリング形状の中心に対して対称位置に配置された発熱部の数を増やすことによって、それぞれ微小面積での発熱を液晶レンズを構成する液晶全体に対して、さらに効率よく熱を伝えることが可能となる。
また、この高抵抗電極部10aの形状としては、電極巾を狭くする方式に限定されず、例えば電極の厚さを薄くしても同様の高抵抗電極部が構成できる。
図7に示す液晶レンズ20において前記図1に示す液晶レンズ1と異なるところは、ヒータ電極10を下セル3にのみ設け、上セル2には設けていないことでる。
我々は、2層セル方式の液晶レンズにおいて液晶層7に対する温度特性を測定した結果、図7に示す下セル3のみにヒータ電極10を設ける方式が、上セル2のみにヒータ電極10を設ける方式に比べて優れており、図1示す下セルと上セルの両方にヒータ電極10を設ける方式に比して遜色がないことがわかった。
図9はヒータ電極10の加熱による各液晶セルの温度上昇を示す温度特性図であり、横軸はヒータ電極10に対するヒータ駆動電源120からの印加電圧、縦軸は各液晶セルの温度を示す。
図9においてTabは上セル2と下セル3の両方にヒータ10を設けて加熱した場合の温度上昇を示す温度特性、Taは上セル2のみにヒータ電極10を設けて加熱した場合の温度上昇を示す温度特性、Tbは下セル3のみにヒータ電極10を設けて加熱した場合の温度上昇を示す温度特性である。
各温度特性において上セル2と下セル3とは熱伝導の良いUV接着層12で一体化されているため、どの加熱方式においても略同一の温度に保たれているが、両セル加熱の温度Tab(50℃)に比べて片側セル加熱の温度Ta(30℃)とTb(42℃)とは当然低い温度になるが、この温度低下にヒータ電極10を設ける液晶セルによって差が生じることがわかった。
すなわち、上セル2のみにヒータ10を設けて加熱した場合には上セル2から、前記ハウジング150の開口部150aを通して直接外部に放熱されるため、下セル3側への熱伝達が十分行なわれず低い温度しか得られないのに対し、下セル3のみにヒータ10を設けて加熱した場合には下セル3から上セル2を通して前記ハウジング150の開口部150aから外部に放熱されるため、下セル3から上セル2への熱伝達が十分行なわれ、加熱温度を有効に活用する事ができるので温度低下を少なくする事がわかった。
図8に示す液晶レンズ30において前記図1に示す液晶レンズ1と異なるところは、前記液晶レンズ1の上セル2と下セル3の大型基板である2枚の第1基板5の代わりに1枚の共通大型基板である第3基板35を設けた3枚構成の2層液晶セルである。
この2層液晶セルにおいては第3基板35の両面に、図2に示した液晶駆動電極8か設けられ、かつヒータ電極10は下セル3を構成する側の面にのみ設けられている。
もちろん、このヒータ電極10を上セル2側にも設けても良いが、図7に示す液晶レンズ20で説明したように下セル3のみのヒータ電極で加熱特性が満足出来る上、液晶レンズ30の場合はUV接着層12がない1層基板であるのでさらに熱伝導率は良く、液晶レンズ20より良好な加熱特性が得られた。
また、2層液晶セルで構成された液晶レンズにおいて片側の液晶セルのみにヒータ電極を設けることで構成が簡単で、コスト的に有利な液晶レンズが実現できる。
また、ヒータ電極を水金法とエッチングを用いて形成することにより電極の安定性が得られ、さらにコストダウンも期待できる。
2 上セル
3 下セル
5 第1基板
6 第2基板
7 液晶層
8 液晶駆動電極
9 接続電極
10、21、31、51 ヒータ電極
10a 高抵抗電極部
10b 低抵抗電極部
11 コモン電極
12 UV接着層
35 第3基板
100 液晶レンズ装置
110 液晶駆動回路
120 ヒータ駆動電源
Claims (6)
- 内面側に電極を有する2枚の基板の間に液晶を封入して液晶セルを構成し、前記2枚の基板の少なくとも一方の基板にヒータ電極を設けた液晶レンズにおいて、前記液晶セルの少なくとも1方の基板の内面側には、レンズ用の複数の透明輪帯電極が設けられており、該透明輪帯電極の周囲をリング形状に取り囲むように前記ヒータ電極が設けられ、前記ヒータ電極は同一の金属電極で構成され、かつ発熱部を構成する高抵抗電極部と該高抵抗電極部間を接続する低抵抗電極部とを交互に設け、さらに前記発熱部を構成する高抵抗電極部は、前記ヒータ電極のリング形状の中心に対して対称位置に配置されていることを特徴とする液晶レンズ装置。
- 前記透明輪帯電極の接続電極は、前記ヒータ電極と同一の金電極で構成されている請求項1に記載の液晶レンズ装置。
- 前記高抵抗電極部の長さが前記低抵抗電極部の長さより小さく、かつ前記高抵抗電極部の巾が前記低抵抗電極部の巾より狭く構成されている請求項1または2項に記載の液晶レンズ装置。
- 前記ヒータ電極は前記液晶レンズの透明輪帯電極を構成するITOと同時に形成されたITO電極膜上に金ペースト印刷膜を形成し、該金ペースト印刷膜を加熱処理する水金法によって形成した金電極により構成される請求項1〜3項の何れか1項に記載の液晶レンズ装置。
- 前記液晶レンズは液晶配向方向を直交させた第1、第2の液晶セルを積層して構成されており、前記液晶レンズは開口部付きのハウジングを構成するカメラ装置に組み込んだ状態で、第1の液晶セルは、前記ハウジングの開口部の外気側に向く入射光側が上セルを構成し、第2の液晶セルは前記入射光側の反対方向に向く側が下セルを構成しており、前記ヒータ電極は、下セルである第2の液晶セルにのみ設けられている請求項1〜4項の何れか1項に記載の液晶レンズ装置。
- 前記液晶レンズは液晶配向方向を直交させた第1、第2の液晶セルを積層して構成されており、前記第1、第2の液晶セルは、1枚の共通基板と2枚の対向基板との3枚の基板によって構成されており、前記共通基板の1方の面に前記ヒータ電極を設けた請求項1〜4項の何れか1項に記載の液晶レンズ装置。
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