[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図5を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る積層型電子部品の回路構成について説明する。本実施の形態に係る積層型電子部品(以下、単に電子部品と記す。)1は、バンドパスフィルタの機能を有している。図5に示したように、電子部品1は、信号の入力のために用いられる入力端子2と、信号の出力のために用いられる出力端子3と、入力端子2に電気的に接続された第1の共振器4と、出力端子3に電気的に接続された第2の共振器5と、キャパシタ15とを備えている。
第1の共振器4は、互いに電気的に接続された第1のインダクタ11と第1のキャパシタ13とを有している。第2の共振器5は、互いに電気的に接続された第2のインダクタ12と第2のキャパシタ14とを有している。共振器4,5は互いに誘導性結合する。また、インダクタ11,12も互いに誘導性結合する。図5では、インダクタ11,12間の誘導性結合を、記号Mを付した曲線で表している。
インダクタ11の一端とキャパシタ13,15の各一端は、入力端子2に電気的に接続されている。インダクタ11の他端とキャパシタ13の他端はグランドに電気的に接続されている。インダクタ12の一端、キャパシタ14の一端および出力端子3は、キャパシタ15の他端に電気的に接続されている。インダクタ12の他端とキャパシタ14の他端はグランドに電気的に接続されている。
共振器4,5は、回路構成上、入力端子2と出力端子3との間に設けられ、バンドパスフィルタの機能を実現する。共振器4,5はいずれも、一端が開放され他端が短絡された1/4波長共振器である。
本実施の形態に係る電子部品1では、入力端子2に信号が入力されると、そのうちの所定の周波数帯域内の周波数の信号が選択的に、共振器4,5を用いて構成されたバンドパスフィルタを通過し、出力端子3から出力される。
次に、図1ないし図4を参照して、電子部品1の構造の概略について説明する。図1は、電子部品1の主要部分を示す斜視図である。図2は、電子部品1の外観を示す斜視図である。図3は、図1におけるA方向から見た電子部品1の主要部分を示す説明図である。図4は、図1におけるB方向から見た電子部品1の主要部分を示す説明図である。
電子部品1は、電子部品1の構成要素を一体化するための積層体20を備えている。後で詳しく説明するが、積層体20は、積層された複数の誘電体層と、隣接する誘電体層の間に配置された1つ以上の内部導体層とを含んでいる。
積層体20は、外面として上面20Aと底面20Bと4つの側面20C〜20Fとを有する直方体形状をなしている。上面20Aと底面20Bは互いに反対側を向き、側面20C,20Dも互いに反対側を向き、側面20E,20Fも互いに反対側を向いている。側面20C〜20Fは、上面20Aおよび底面20Bに対して垂直になっている。積層体20において、上面20Aおよび底面20Bに垂直な方向が、複数の誘電体層の積層方向である。図1では、複数の誘電体層の積層方向を、記号Tを付した矢印で示している。上面20Aは、積層体20において、複数の誘電体層の積層方向における一方の端に位置する。底面20Bは、積層体20において、複数の誘電体層の積層方向における他方の端に位置する。上面20Aは、本発明における1つの端面に対応する。
電子部品1は、更に、積層体20の外面上に配置された第1のインダクタ用導体層21、第2のインダクタ用導体層22、入力用導体層23、出力用導体層24およびグランド用導体層25,26を備えている。第1および第2のインダクタ用導体層21,22は上面20A上に配置されている。導体層23,24は側面20C上に配置されている。導体層25,26は側面20D上に配置されている。導体層21,22,23,24,25,26の平面形状は、いずれも矩形である。
第1のインダクタ用導体層21は、上面20Aと側面20Eとの間の稜線の近傍に配置されている。第1のインダクタ用導体層21の一端部は、上面20Aと側面20Cとの間の稜線の位置に配置され、第1のインダクタ用導体層21の他端部は、上面20Aと側面20Dとの間の稜線の位置に配置されている。
第2のインダクタ用導体層22は、上面20Aと側面20Fとの間の稜線の近傍に配置されている。第2のインダクタ用導体層22の一端部は、上面20Aと側面20Cとの間の稜線の位置に配置され、第2のインダクタ用導体層22の他端部は、上面20Aと側面20Dとの間の稜線の位置に配置されている。
入力用導体層23は、側面20Cと側面20Eとの間の稜線の近傍に配置されている。入力用導体層23の一端部は、上面20Aと側面20Cとの間の稜線の位置に配置され、第1のインダクタ用導体層21の一端部に接続されている。入力用導体層23の他端部は、底面20Bと側面20Cとの間の稜線の位置に配置されている。入力用導体層23は、入力端子2を構成している。
出力用導体層24は、側面20Cと側面20Fとの間の稜線の近傍に配置されている。出力用導体層24の一端部は、上面20Aと側面20Cとの間の稜線の位置に配置され、第2のインダクタ用導体層22の一端部に接続されている。出力用導体層24の他端部は、底面20Bと側面20Cとの間の稜線の位置に配置されている。出力用導体層24は、出力端子3を構成している。
グランド用導体層25は、側面20Dと側面20Eとの間の稜線の近傍に配置されている。グランド用導体層25の一端部は、上面20Aと側面20Dとの間の稜線の位置に配置され、第1のインダクタ用導体層21の他端部に接続されている。グランド用導体層25の他端部は、底面20Bと側面20Dとの間の稜線の位置に配置されている。グランド用導体層25は、グランドに電気的に接続されるグランド端子6を構成している。
グランド用導体層26は、側面20Dと側面20Fとの間の稜線の近傍に配置されている。グランド用導体層26の一端部は、上面20Aと側面20Dとの間の稜線の位置に配置され、第2のインダクタ用導体層22の他端部に接続されている。グランド用導体層26の他端部は、底面20Bと側面20Dとの間の稜線の位置に配置されている。グランド用導体層26は、グランドに電気的に接続されるグランド端子7を構成している。
次に、図6および図7を参照して、積層体20およびインダクタ用導体層21,22について詳しく説明する。図6において(a)〜(d)は、それぞれ、上から1層目ないし4層目の誘電体層の上面を示している。図7において(a)〜(d)は、それぞれ、上から5層目ないし8層目の誘電体層の上面を示している。
図6(a)に示した1層目の誘電体層31の上面には、インダクタ用導体層21,22が形成されている。図6(b)に示した2層目の誘電体層32の上面には、キャパシタ用導体層321が形成されている。図6(c)に示した3層目の誘電体層33の上面には、キャパシタ用導体層331,332が形成されている。導体層331は導体層23に接続され、導体層332は導体層24に接続される。図6(d)に示した4層目の誘電体層34の上面には、グランド用導体層341が形成されている。この導体層341はグランド用導体層25,26に接続される。
図7(a)に示した5層目の誘電体層35の上面には、キャパシタ用導体層351,352が形成されている。導体層351は導体層23に接続され、導体層352は導体層24に接続される。図7(b)に示した6層目の誘電体層36の上面には、グランド用導体層361が形成されている。この導体層361はグランド用導体層25,26に接続される。図7(c)に示した7層目の誘電体層37の上面には、キャパシタ用導体層371,372が形成されている。導体層371は導体層23に接続され、導体層372は導体層24に接続される。図7(d)に示した8層目の誘電体層38の上面には、グランド用導体層381が形成されている。この導体層381はグランド用導体層25,26に接続される。
第1のインダクタ用導体層21は、入力端子2(入力用導体層23)に電気的に接続されたインダクタ11として機能する。また、第1のインダクタ用導体層21は、入力端子2(入力用導体層23)とグランド端子6(グランド用導体層25)とを電気的に接続する。第2のインダクタ用導体層22は、出力端子3(出力用導体層24)に電気的に接続されたインダクタ12として機能する。また、第2のインダクタ用導体層22は、出力端子3(出力用導体層24)とグランド端子7(グランド用導体層26)とを電気的に接続する。
キャパシタ用導体層321は、誘電体層32を介してキャパシタ用導体層331,332に対向している。導体層321,331,332および誘電体層32は、図5におけるキャパシタ15を構成する。
導体層341は、誘電体層33を介してキャパシタ用導体層331,332に対向していると共に、誘電体層34を介してキャパシタ用導体層351,352に対向している。導体層361は、誘電体層35を介してキャパシタ用導体層351,352に対向していると共に、誘電体層36を介してキャパシタ用導体層371,372に対向している。導体層381は、誘電体層37を介してキャパシタ用導体層371,372に対向している。
導体層331,341,351,361,371,381および誘電体層33,34,35,36,37は、図5におけるキャパシタ13を構成する。導体層332,341,352,361,372,381および誘電体層33,34,35,36,37は、図5におけるキャパシタ14を構成する。
図6および図7に示した誘電体層31〜38および複数の導体層のうちインダクタ用導体層21,22を除いたものが積層されて、図1および図2に示した積層体20が形成される。図1および図2に示した導体層21〜26は、この積層体20の外面上に形成される。
誘電体層31〜38の材料としては、樹脂、セラミック、あるいは両者を複合した材料等、種々のものを用いることができる。積層体20としては、特に、誘電体層31〜38の材料をセラミックとして低温同時焼成法によって作製したものが、高周波特性に優れるため好ましい。低温同時焼成法を用いる場合には、積層体20は以下のようにして作製される。まず、後に誘電体層32〜38となる各セラミックグリーンシート上に、後に導体層321,331,332,341,351,352,361,371,372,381となる焼成前の導体層を形成する。次に、これら導体層が形成されたセラミックグリーンシートと、後に誘電体層31となるセラミックグリーンシートとを積層し、セラミックと導体を低温同時焼成工程によって焼成して、積層体20を完成させる。
積層体20の外面上に導体層21〜26を形成する方法としては、例えば、積層体20の外面上に、導体ペーストを印刷することによって、後に導体層21〜26となる焼成前の導体層を形成した後、この導体層を焼成して導体層21〜26を形成する方法がある。積層体20の外面上に導体層21〜26を形成する他の方法としては、例えば、スパッタ法等を用いて積層体20の外面上に金属の薄膜を形成する方法や、金属の薄膜を導電接着剤によって積層体20の外面上に接着する方法がある。
なお、低温同時焼成法を用いて積層体20を作製する場合には、後に誘電体層31となるセラミックグリーンシートの上面に、後にインダクタ用導体層21,22となる焼成前の導体層を形成しておき、これらインダクタ用導体層21,22となる焼成前の導体層を低温同時焼成工程によって焼成して、積層体20と同時にインダクタ用導体層21,22を形成してもよい。ただし、この方法でインダクタ用導体層21,22を形成するよりも、前述のように、積層体20の完成後に積層体20の外面上にインダクタ用導体層21,22を形成する方が、容易に共振器4,5のQを大きくすることが可能である。その理由は、積層体20の完成後に積層体20の外面上にインダクタ用導体層21,22を形成する方が、容易にインダクタ用導体層21,22の厚みを大きくすることができると共に、インダクタ用導体層21,22を構成する金属が誘電体層に拡散することを抑制することができるためである。
以上説明したように、本実施の形態に係る電子部品1は、積層された複数の誘電体層31〜38と、隣接する誘電体層の間に配置された1つ以上の内部導体層とを含む積層体20と、積層体20の外面上に配置された入力端子2、出力端子3およびグランド端子6,7と、積層体20と一体化され、入力端子2に電気的に接続された第1の共振器4と、積層体20と一体化され、出力端子3に電気的に接続された第2の共振器5とを備えている。
第1の共振器4は、互いに電気的に接続された第1のインダクタ11と第1のキャパシタ13とを有している。インダクタ11は、積層体20の外面上に配置され、インダクタ11として機能する第1のインダクタ用導体層21を含んでいる。第1のインダクタ用導体層21は、入力端子2(入力用導体層23)とグランド端子6(グランド用導体層25)とを電気的に接続する。第1のキャパシタ13は、積層体20の内部に配置され、グランドに電気的に接続される。キャパシタ13は、入力端子2に電気的に接続された内部導体層である導体層331,351,371と、グランド端子6,7に電気的に接続された内部導体層である導体層341,361,381とを用いて構成されている。
第2の共振器5は、互いに電気的に接続された第2のインダクタ12と第2のキャパシタ14とを有している。インダクタ12は、積層体20の外面上に配置され、インダクタ12として機能する第2のインダクタ用導体層22を含んでいる。第2のインダクタ用導体層22は、出力端子3(出力用導体層24)とグランド端子7(グランド用導体層26)とを電気的に接続する。第2のキャパシタ14は、積層体20の内部に配置され、グランドに電気的に接続される。キャパシタ14は、出力端子3に電気的に接続された内部導体層である導体層332,352,372と、グランド端子6,7に電気的に接続された内部導体層である導体層341,361,381とを用いて構成されている。
ここで、図1に示したように、積層体20の上面20Aの縦、横の長さをそれぞれ記号D1,W1で表し、積層体20の厚みを記号H1で表す。D1,W1,H1は、それぞれ、例えば0.3mm、0.6mm、0.3mmである。また、図3において、複数の誘電体層の積層方向における積層体20の中央を、記号Cを付した一点鎖線で示す。本実施の形態では、インダクタ用導体層21,22は積層体20の上面20A上に配置され、キャパシタ13,14は、複数の誘電体層の積層方向における積層体20の中央Cと底面20Bとの間に配置されている。誘電体層32〜38の厚みは、例えば20μmである。この場合、誘電体層32の上面から積層体20の底面20Bまでの距離は、140μm(=0.14mm)であり、キャパシタ13,14は、複数の誘電体層の積層方向における積層体20の中央Cと底面20Bとの間に配置されている。
本実施の形態では、特に、誘導性結合する2つのインダクタ用導体層21,22が積層体20における1つの端面である上面20Aに配置されている。そのため、本実施の形態によれば、電子部品1を小型化しながら、インダクタ用導体層21,22が積層体20の内部に配置されている場合に比べて、インダクタ用導体層21,22を大きくすることが可能であると共に、インダクタ用導体層21,22とグランド(グランド用導体層341,361,381)との間の距離を大きくすることが可能である。これにより、本実施の形態によれば、共振器4,5のQを大きくすることが可能になる。
また、本実施の形態では、図3に示したように、インダクタ用導体層21,22は積層体20の上面20A上に配置され、キャパシタ13,14は、複数の誘電体層の積層方向における積層体20の中央Cと底面20Bとの間に配置されていることにより、効果的に、インダクタ用導体層21,22と、積層体20の内部に配置されたキャパシタ13,14との間の距離を大きくすることができ、その結果、インダクタ用導体層21,22の各々と、キャパシタ13,14が電気的に接続されるグランドとの間の距離を大きくすることができる。
また、本実施の形態において、低温同時焼成法を用いて積層体20を作製する場合には、積層体20の完成後に積層体20の外面上にインダクタ用導体層21,22を形成することにより、積層体20と同時にインダクタ用導体層21,22を形成する場合に比べて、容易に共振器4,5のQを大きくすることが可能になる。
本実施の形態に係る電子部品1は、例えば、ブルートゥース(登録商標)規格の通信装置、無線LAN用の通信装置、ワイマックス(登録商標)規格の通信装置または携帯電話機におけるバンドパスフィルタとして用いられる。バンドパスフィルタの通過周波数帯域が高いほど、インダクタ用導体層21,22を小さくすることができる。そのため、本実施の形態に係る電子部品1を、2.5GHz帯、3.5GHz帯、5.8GHz帯等の高い通過周波数帯域を有するバンドパスフィルタとして用いる場合には、インダクタ用導体層21,22を小さくすることができ、その結果、電子部品1をより小型化できる。本実施の形態に係る電子部品1を、比較的低い通過周波数帯域を有するバンドパスフィルタとして用いる場合には、インダクタ用導体層21,22の平面形状を、例えばコイル形状としてもよい。これにより、電子部品1を小型化することが可能になる。
次に、シミュレーションによって、本実施の形態に係る電子部品1と第1の比較例の電子部品とで、通過・減衰特性を比較した結果について説明する。まず、図8を参照して、第1の比較例の電子部品の構成について説明する。図8は、第1の比較例の電子部品81の主要部分を示す斜視図である。第1の比較例の電子部品81は、本実施の形態に係る電子部品1とは、以下の点で異なっている。まず、第1の比較例の電子部品81では、インダクタ用導体層21,22が積層体20の内部に配置されている。すなわち、第1の比較例の電子部品81では、インダクタ用導体層21,22と積層体20の上面20Aの間に、誘電体層が配置されている。なお、シミュレーションにおいて、本実施の形態に係る電子部品1と第1の比較例の電子部品81とで、積層体20の大きさは等しい。また、シミュレーションでは、本実施の形態に係る電子部品1と第1の比較例の電子部品81のいずれも、通過帯域がおよそ2.4〜2.5GHzのバンドパスフィルタとして機能するように設計した。
図9は、第1の比較例の電子部品81の通過・減衰特性を示している。図10は、図9に示した通過・減衰特性の一部を拡大して示している。図11は、本実施の形態に係る電子部品1の通過・減衰特性を示している。図12は、図11に示した通過・減衰特性の一部を拡大して示している。図9ないし図12において、横軸は周波数、縦軸は減衰量である。
図10と図12とを比較すると分かるように、本実施の形態に係る電子部品1では、第1の比較例の電子部品81に比べて、通過帯域における減衰量が小さくなっている。また、図9と図11とを比較すると分かるように、本実施の形態に係る電子部品1では、第1の比較例の電子部品81に比べて、2つの減衰極における減衰量がいずれも大きくなっている。これらのことから、本実施の形態に係る電子部品1では、第1の比較例の電子部品81に比べて、共振器4,5のQが大きくなっていることが容易に理解できる。
また、本実施の形態に係る電子部品1では、インダクタ用導体層21,22が積層体20の外面上に配置されているため、第1の比較例の電子部品81のようにインダクタ用導体層21,22が誘電体層に挟まれている場合に比べて、インダクタ用導体層21,22の表面が平滑になり、インダクタ用導体層21,22の抵抗が小さくなり、インダクタ用導体層21,22における損失も小さくなる。このことによっても、本実施の形態に係る電子部品1によれば、第1の比較例の電子部品81に比べて、共振器4,5のQを大きくすることができる。本実施の形態において、特に、焼成により積層体20を完成させた後に積層体20の外面上にインダクタ用導体層21,22を形成した場合には、より一層、インダクタ用導体層21,22の表面が平滑になり、インダクタ用導体層21,22の抵抗が小さくなり、インダクタ用導体層21,22における損失も小さくなり、その結果、共振器4,5のQをより大きくすることが可能になる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る電子部品について説明する。本実施の形態に係る電子部品101の回路構成は、第1の実施の形態に係る電子部品1と同じである。図13は、電子部品101の主要部分を示す斜視図である。図14は、電子部品101の外観を示す斜視図である。図15は、図13におけるA方向から見た電子部品101の主要部分を示す説明図である。図16は、図13におけるB方向から見た電子部品101の主要部分を示す説明図である。
電子部品101は、電子部品101の構成要素を一体化するための積層体120を備えている。後で詳しく説明するが、積層体120は、積層された複数の誘電体層と、隣接する誘電体層の間に配置された1つ以上の内部導体層とを含んでいる。
積層体120は、外面として上面120Aと底面120Bと4つの側面120C〜120Fとを有する直方体形状をなしている。上面120Aと底面120Bは互いに反対側を向き、側面120C,120Dも互いに反対側を向き、側面120E,120Fも互いに反対側を向いている。側面120C〜120Fは、上面120Aおよび底面120Bに対して垂直になっている。積層体120において、上面120Aおよび底面120Bに垂直な方向が、複数の誘電体層の積層方向である。図13では、複数の誘電体層の積層方向を、記号Tを付した矢印で示している。上面120Aは、積層体120において、複数の誘電体層の積層方向における一方の端に位置する。底面120Bは、積層体120において、複数の誘電体層の積層方向における他方の端に位置する。上面120Aは、本発明における1つの端面に対応する。
電子部品101は、更に、積層体120の外面上に配置された第1のインダクタ用導体層121、第2のインダクタ用導体層122、入力用導体層123、出力用導体層124およびグランド用導体層125,126を備えている。第1および第2のインダクタ用導体層121,122は上面120A上に配置されている。導体層123,124は底面120B上に配置されている。導体層125,126は側面120D上に配置されている。導体層121,122,123,124,125,126の平面形状は、いずれも矩形である。
第1のインダクタ用導体層121は、上面120Aと側面120Eとの間の稜線の近傍に配置されている。第1のインダクタ用導体層121の一端部は、上面120Aと側面120Cとの間の稜線の位置に配置され、第1のインダクタ用導体層121の他端部は、上面120Aと側面120Dとの間の稜線の位置に配置されている。
第2のインダクタ用導体層122は、上面120Aと側面120Fとの間の稜線の近傍に配置されている。第2のインダクタ用導体層122の一端部は、上面120Aと側面120Cとの間の稜線の位置に配置され、第2のインダクタ用導体層122の他端部は、上面120Aと側面120Dとの間の稜線の位置に配置されている。
入力用導体層123は、底面120Bと側面120Cとの間の稜線と、底面120Bと側面120Eとの間の稜線との交点の近傍に配置されている。入力用導体層123の一端部は、底面120Bと側面120Cとの間の稜線の位置に配置されている。入力用導体層123は、入力端子2を構成している。
出力用導体層124は、底面120Bと側面120Cとの間の稜線と、底面120Bと側面120Fとの間の稜線との交点の近傍に配置されている。出力用導体層124の一端部は、底面120Bと側面120Cとの間の稜線の位置に配置されている。出力用導体層124は、出力端子3を構成している。
グランド用導体層125は、側面120Dと側面120Eとの間の稜線の近傍に配置されている。グランド用導体層125の一端部は、上面120Aと側面120Dとの間の稜線の位置に配置され、第1のインダクタ用導体層121の他端部に接続されている。グランド用導体層125の他端部は、底面120Bと側面120Dとの間の稜線の位置に配置されている。グランド用導体層125は、グランドに電気的に接続されるグランド端子6を構成している。
グランド用導体層126は、側面120Dと側面120Fとの間の稜線の近傍に配置されている。グランド用導体層126の一端部は、上面120Aと側面120Dとの間の稜線の位置に配置され、第2のインダクタ用導体層122の他端部に接続されている。グランド用導体層126の他端部は、底面120Bと側面120Dとの間の稜線の位置に配置されている。グランド用導体層126は、グランドに電気的に接続されるグランド端子7を構成している。
次に、図17および図18を参照して、積層体120およびインダクタ用導体層121,122について詳しく説明する。図17において(a)〜(d)は、それぞれ、上から1層目ないし4層目の誘電体層の上面を示している。図18において(a)〜(d)は、それぞれ、上から5層目ないし8層目の誘電体層の上面を示している。図18において(e)は、上から8層目の誘電体層およびその下の導体層123,124を、上から見た状態で表したものである。
図17(a)に示した1層目の誘電体層41の上面には、インダクタ用導体層121,122が形成されている。また、誘電体層41には、インダクタ用導体層121に接続されたスルーホール491Aと、インダクタ用導体層122に接続されたスルーホール491Bが形成されている。
図17(b)に示した2層目の誘電体層42の上面には、キャパシタ用導体層421が形成されている。また、誘電体層42には、スルーホール491A,491Bに接続されたスルーホール492A,492Bが形成されている。
図17(c)に示した3層目の誘電体層43の上面には、キャパシタ用導体層431,432が形成されている。また、誘電体層43には、導体層431およびスルーホール492Aに接続されたスルーホール493Aと、導体層432およびスルーホール492Bに接続されたスルーホール493Bが形成されている。
図17(d)に示した4層目の誘電体層44の上面には、グランド用導体層441が形成されている。この導体層441は、グランド用導体層125,126に接続される。また、誘電体層44には、スルーホール493A,493Bに接続されたスルーホール494A,494Bが形成されている。
図18(a)に示した5層目の誘電体層45の上面には、キャパシタ用導体層451,452が形成されている。また、誘電体層45には、導体層451およびスルーホール494Aに接続されたスルーホール495Aと、導体層452およびスルーホール494Bに接続されたスルーホール495Bが形成されている。
図18(b)に示した6層目の誘電体層46の上面には、グランド用導体層461が形成されている。この導体層461は、グランド用導体層125,126に接続される。また、誘電体層46には、スルーホール495A,495Bに接続されたスルーホール496A,496Bが形成されている。
図18(c)に示した7層目の誘電体層47の上面には、キャパシタ用導体層471,472が形成されている。また、誘電体層47には、導体層471およびスルーホール496Aに接続されたスルーホール497Aと、導体層472およびスルーホール496Bに接続されたスルーホール497Bが形成されている。
図18(d)に示した8層目の誘電体層48の上面には、グランド用導体層481が形成されている。この導体層481は、グランド用導体層125,126に接続される。また、誘電体層48には、スルーホール497A,497Bに接続されたスルーホール498A,498Bが形成されている。
図18(e)に示したように、8層目の誘電体層48の下面には、入力用導体層123および出力用導体層124が形成されている。入力用導体層123には、スルーホール498Aが接続され、出力用導体層124にはスルーホール498Bが接続されている。
スルーホール491A,492A,493A,494A,495A,496A,497A,498Aは、直列に接続されて、スルーホール列490Aを構成している。導体層121,431,451,471,123は、スルーホール列490Aによって、互いに電気的に接続されている。スルーホール491B,492B,493B,494B,495B,496B,497B,498Bは、直列に接続されて、スルーホール列490Bを構成している。導体層122,432,452,472,124は、スルーホール列490Bによって、互いに電気的に接続されている。
第1のインダクタ用導体層121は、入力端子2(入力用導体層123)に電気的に接続されたインダクタ11として機能する。また、第1のインダクタ用導体層121は、入力端子2(入力用導体層123)とグランド端子6(グランド用導体層125)とを電気的に接続する。第2のインダクタ用導体層122は、出力端子3(出力用導体層124)に電気的に接続されたインダクタ12として機能する。また、第2のインダクタ用導体層122は、出力端子3(出力用導体層124)とグランド端子7(グランド用導体層126)とを電気的に接続する。
キャパシタ用導体層421は、誘電体層42を介してキャパシタ用導体層431,432に対向している。導体層421,431,432および誘電体層42は、図5におけるキャパシタ15を構成する。
導体層441は、誘電体層43を介してキャパシタ用導体層431,432に対向していると共に、導体層44を介してキャパシタ用導体層451,452に対向している。導体層461は、誘電体層45を介してキャパシタ用導体層451,452に対向していると共に、導体層46を介してキャパシタ用導体層471,472に対向している。導体層481は、誘電体層47を介してキャパシタ用導体層471,472に対向している。
導体層431,441,451,461,471,481および誘電体層43,44,45,46,47は、図5におけるキャパシタ13を構成する。導体層432,441,452,461,472,481および誘電体層43,44,45,46,47は、図5におけるキャパシタ14を構成する。
図17および図18に示した誘電体層41〜48および複数の導体層のうちインダクタ用導体層121,122、入力用導体層123および出力用導体層124を除いたものが積層されて、図13および図14に示した積層体120が形成される。図13および図14に示した導体層121〜126は、この積層体120の外面上に形成される。
誘電体層41〜48の材料は、第1の実施の形態における誘電体層31〜38の材料と同様である。また、積層体120の作製方法は、第1の実施の形態における積層体20の作製方法と同様である。
以上説明したように、本実施の形態に係る電子部品101は、積層された複数の誘電体層41〜48と、隣接する誘電体層の間に配置された1つ以上の内部導体層とを含む積層体120と、積層体120の外面上に配置された入力端子2、出力端子3およびグランド端子6,7と、積層体120と一体化され、入力端子2に電気的に接続された第1の共振器4と、積層体120と一体化され、出力端子3に電気的に接続された第2の共振器5とを備えている。
第1の共振器4は、互いに電気的に接続された第1のインダクタ11と第1のキャパシタ13とを有している。インダクタ11は、積層体120の外面上に配置され、インダクタ11として機能する第1のインダクタ用導体層121を含んでいる。第1のインダクタ用導体層121は、スルーホール列490Aを介して入力端子2(入力用導体層123)に電気的に接続され、入力端子2(入力用導体層123)とグランド端子6(グランド用導体層125)とを電気的に接続する。第1のキャパシタ13は、積層体120の内部に配置され、グランドに電気的に接続される。キャパシタ13は、入力端子2に電気的に接続された内部導体層である導体層431,451,471と、グランド端子6,7に電気的に接続された内部導体層である導体層441,461,481とを用いて構成されている。
第2の共振器5は、互いに電気的に接続された第2のインダクタ12と第2のキャパシタ14とを有している。インダクタ12は、積層体120の外面上に配置され、インダクタ12として機能する第2のインダクタ用導体層122を含んでいる。第2のインダクタ用導体層122は、スルーホール列490Bを介して出力端子3(出力用導体層124)に電気的に接続され、出力端子3(出力用導体層124)とグランド端子7(グランド用導体層126)とを電気的に接続する。第2のキャパシタ14は、積層体120の内部に配置され、グランドに電気的に接続される。キャパシタ14は、出力端子3に電気的に接続された内部導体層である導体層432,452,472と、グランド端子6,7に電気的に接続された内部導体層である導体層441,461,481とを用いて構成されている。
本実施の形態では、特に、誘導性結合する2つのインダクタ用導体層121,122が積層体120における1つの端面である上面120Aに配置されている。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る電子部品について説明する。始めに、図23を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る積層型電子部品の回路構成について説明する。本実施の形態に係る電子部品151は、バンドパスフィルタの機能を有している。図23に示したように、電子部品151は、信号の入力のために用いられる入力端子152と、信号の出力のために用いられる出力端子153と、入力端子152に電気的に接続された第1の共振器154と、出力端子153に電気的に接続された第2の共振器155と、回路構成上、第1の共振器154と第2の共振器155の間に設けられた第3の共振器156と、キャパシタ167,168とを備えている。
第1の共振器154は、互いに電気的に接続された第1のインダクタ161と第1のキャパシタ164とを有している。第2の共振器155は、互いに電気的に接続された第2のインダクタ162と第2のキャパシタ165とを有している。第3の共振器156は、互いに電気的に接続された第3のインダクタ163と第3のキャパシタ166とを有している。共振器154,156は互いに誘導性結合する。また、インダクタ161,163も互いに誘導性結合する。同様に、共振器155,156は互いに誘導性結合する。また、インダクタ162,163も互いに誘導性結合する。図23では、インダクタ161,163間の誘導性結合およびインダクタ162,163間の誘導性結合を、記号Mを付した曲線で表している。
インダクタ161の一端とキャパシタ164,167の各一端は、入力端子152に電気的に接続されている。インダクタ161の他端とキャパシタ164の他端はグランドに電気的に接続されている。インダクタ163の一端とキャパシタ166,168の各一端は、キャパシタ167の他端に電気的に接続されている。インダクタ163の他端とキャパシタ166の他端はグランドに電気的に接続されている。インダクタ162の一端、キャパシタ165の一端および出力端子153は、キャパシタ168の他端に電気的に接続されている。インダクタ162の他端とキャパシタ165の他端はグランドに電気的に接続されている。
共振器154,155,156は、回路構成上、入力端子152と出力端子153との間に設けられ、バンドパスフィルタの機能を実現する。共振器154,155,156はいずれも、一端が開放され他端が短絡された1/4波長共振器である。
本実施の形態に係る電子部品151では、入力端子152に信号が入力されると、そのうちの所定の周波数帯域内の周波数の信号が選択的に、共振器154,155,156を用いて構成されたバンドパスフィルタを通過し、出力端子153から出力される。
次に、図19ないし図22を参照して、電子部品151の構造の概略について説明する。図19は、電子部品151の主要部分を示す斜視図である。図20は、電子部品151の外観を示す斜視図である。図21は、図19におけるA方向から見た電子部品151の主要部分を示す説明図である。図22は、図19におけるB方向から見た電子部品151の主要部分を示す説明図である。
電子部品151は、電子部品151の構成要素を一体化するための積層体170を備えている。後で詳しく説明するが、積層体170は、積層された複数の誘電体層と、隣接する誘電体層の間に配置された1つ以上の内部導体層とを含んでいる。
積層体170は、外面として上面170Aと底面170Bと4つの側面170C〜170Fとを有する直方体形状をなしている。上面170Aと底面170Bは互いに反対側を向き、側面170C,170Dも互いに反対側を向き、側面170E,170Fも互いに反対側を向いている。側面170C〜170Fは、上面170Aおよび底面170Bに対して垂直になっている。積層体170において、上面170Aおよび底面170Bに垂直な方向が、複数の誘電体層の積層方向である。図19では、複数の誘電体層の積層方向を、記号Tを付した矢印で示している。上面170Aは、積層体170において、複数の誘電体層の積層方向における一方の端に位置する。底面170Bは、積層体170において、複数の誘電体層の積層方向における他方の端に位置する。上面170Aは、本発明における1つの端面に対応する。
電子部品151は、更に、積層体170の外面上に配置された第1のインダクタ用導体層171、第2のインダクタ用導体層172、第3のインダクタ用導体層173、入力用導体層174、出力用導体層175、導体層176およびグランド用導体層177〜179を備えている。第1ないし第3のインダクタ用導体層171,172,173は上面170A上に配置されている。導体層174,175,176は側面170C上に配置されている。導体層177,178,179は側面170D上に配置されている。導体層171〜179の平面形状は、いずれも矩形である。
第1のインダクタ用導体層171は、上面170Aと側面170Eとの間の稜線の近傍に配置されている。第1のインダクタ用導体層171の一端部は、上面170Aと側面170Cとの間の稜線の位置に配置され、第1のインダクタ用導体層171の他端部は、上面170Aと側面170Dとの間の稜線の位置に配置されている。
第2のインダクタ用導体層172は、上面170Aと側面170Fとの間の稜線の近傍に配置されている。第2のインダクタ用導体層172の一端部は、上面170Aと側面170Cとの間の稜線の位置に配置され、第2のインダクタ用導体層172の他端部は、上面170Aと側面170Dとの間の稜線の位置に配置されている。
第3のインダクタ用導体層173は、第1のインダクタ用導体層171と第2のインダクタ用導体層172との間に配置されている。第3のインダクタ用導体層173の一端部は、上面170Aと側面170Cとの間の稜線の位置に配置され、第3のインダクタ用導体層173の他端部は、上面170Aと側面170Dとの間の稜線の位置に配置されている。
入力用導体層174は、側面170Cと側面170Eとの間の稜線の近傍に配置されている。入力用導体層174の一端部は、上面170Aと側面170Cとの間の稜線の位置に配置され、第1のインダクタ用導体層171の一端部に接続されている。入力用導体層174の他端部は、底面170Bと側面170Cとの間の稜線の位置に配置されている。入力用導体層174は、入力端子152を構成している。
出力用導体層175は、側面170Cと側面170Fとの間の稜線の近傍に配置されている。出力用導体層175の一端部は、上面170Aと側面170Cとの間の稜線の位置に配置され、第2のインダクタ用導体層172の一端部に接続されている。出力用導体層175の他端部は、底面170Bと側面170Cとの間の稜線の位置に配置されている。出力用導体層175は、出力端子153を構成している。
導体層176は、入力用導体層174と出力用導体層175との間に配置されている。導体層176の一端部は、上面170Aと側面170Cとの間の稜線の位置に配置され、第3のインダクタ用導体層173の一端部に接続されている。導体層176の他端部は、底面170Bと側面170Cとの間の稜線から離れた位置に配置されている。
グランド用導体層177は、側面170Dと側面170Eとの間の稜線の近傍に配置されている。グランド用導体層177の一端部は、上面170Aと側面170Dとの間の稜線の位置に配置され、第1のインダクタ用導体層171の他端部に接続されている。グランド用導体層177の他端部は、底面170Bと側面170Dとの間の稜線の位置に配置されている。グランド用導体層177は、グランドに電気的に接続されるグランド端子157を構成している。
グランド用導体層178は、側面170Dと側面170Fとの間の稜線の近傍に配置されている。グランド用導体層178の一端部は、上面170Aと側面170Dとの間の稜線の位置に配置され、第2のインダクタ用導体層172の他端部に接続されている。グランド用導体層178の他端部は、底面170Bと側面170Dとの間の稜線の位置に配置されている。グランド用導体層178は、グランドに電気的に接続されるグランド端子158を構成している。
グランド用導体層179は、グランド用導体層177とグランド用導体層178との間に配置されている。グランド用導体層179の一端部は、上面170Aと側面170Dとの間の稜線の位置に配置され、第3のインダクタ用導体層173の他端部に接続されている。グランド用導体層179の他端部は、底面170Bと側面170Dとの間の稜線の位置に配置されている。グランド用導体層179は、グランドに電気的に接続されるグランド端子159を構成している。
次に、図24および図25を参照して、積層体170およびインダクタ用導体層171,172,173について詳しく説明する。図24において(a)〜(d)は、それぞれ、上から1層目ないし4層目の誘電体層の上面を示している。図25において(a)〜(d)は、それぞれ、上から5層目ないし8層目の誘電体層の上面を示している。
図24(a)に示した1層目の誘電体層51の上面には、インダクタ用導体層171,172,173が形成されている。図24(b)に示した2層目の誘電体層52の上面には、キャパシタ用導体層521が形成されている。図24(c)に示した3層目の誘電体層53の上面には、キャパシタ用導体層531,532,533が形成されている。導体層531は導体層174に接続され、導体層532は導体層175に接続され、導体層533は導体層176に接続される。図24(d)に示した4層目の誘電体層54の上面には、グランド用導体層541が形成されている。この導体層541はグランド用導体層177,178,179に接続される。
図25(a)に示した5層目の誘電体層55の上面には、キャパシタ用導体層551,552,553が形成されている。導体層551は導体層174に接続され、導体層552は導体層175に接続され、導体層553は導体層176に接続される。図25(b)に示した6層目の誘電体層56の上面には、グランド用導体層561が形成されている。この導体層561はグランド用導体層177,178,179に接続される。図25(c)に示した7層目の誘電体層57の上面には、キャパシタ用導体層571,572,573が形成されている。導体層571は導体層174に接続され、導体層572は導体層175に接続され、導体層573は導体層176に接続される。図25(d)に示した8層目の誘電体層58の上面には、グランド用導体層581が形成されている。この導体層581はグランド用導体層177,178,179に接続される。
第1のインダクタ用導体層171は、入力端子152(入力用導体層174)に電気的に接続されたインダクタ161として機能する。また、第1のインダクタ用導体層171は、入力端子152(入力用導体層174)とグランド端子157(グランド用導体層177)とを電気的に接続する。第2のインダクタ用導体層172は、出力端子153(出力用導体層175)に電気的に接続されたインダクタ162として機能する。また、第2のインダクタ用導体層172は、出力端子153(出力用導体層175)とグランド端子158(グランド用導体層178)とを電気的に接続する。第3のインダクタ用導体層173は、インダクタ163として機能する。また、第3のインダクタ用導体層172は、グランド端子159(グランド用導体層179)に電気的に接続されている。
キャパシタ用導体層521は、誘電体層52を介してキャパシタ用導体層531,532,533に対向している。導体層521,531,533および誘電体層52は、図23におけるキャパシタ167を構成する。導体層521,532,533および誘電体層52は、図23におけるキャパシタ168を構成する。
導体層541は、誘電体層53を介してキャパシタ用導体層531,532,533に対向していると共に、誘電体層54を介してキャパシタ用導体層551,532,553に対向している。導体層561は、誘電体層55を介してキャパシタ用導体層551,552,553に対向していると共に、誘電体層56を介してキャパシタ用導体層571,572,573に対向している。導体層581は、誘電体層57を介してキャパシタ用導体層571,572,573に対向している。
導体層531,541,551,561,571,581および誘電体層53,54,55,56,57は、図23におけるキャパシタ164を構成する。導体層532,541,552,561,572,581および誘電体層53,54,55,56,57は、図23におけるキャパシタ165を構成する。導体層533,541,553,561,573,581および誘電体層53,54,55,56,57は、図23におけるキャパシタ166を構成する。
図24および図25に示した誘電体層51〜58および複数の導体層のうちインダクタ用導体層171,172,173を除いたものが積層されて、図19および図20に示した積層体170が形成される。図19および図20に示した導体層171〜179は、この積層体170の外面上に形成される。
誘電体層51〜58の材料は、第1の実施の形態における誘電体層31〜38の材料と同様である。また、積層体170の作製方法は、第1の実施の形態における積層体20の作製方法と同様である。
以上説明したように、本実施の形態に係る電子部品151は、積層された複数の誘電体層51〜58と、隣接する誘電体層の間に配置された1つ以上の内部導体層とを含む積層体170と、積層体170の外面上に配置された入力端子152、出力端子153およびグランド端子157,158,159と、積層体170と一体化され、入力端子152に電気的に接続された第1の共振器154と、積層体170と一体化され、出力端子153に電気的に接続された第2の共振器155と、積層体170と一体化され、回路構成上、第1の共振器154と第2の共振器155の間に設けられた第3の共振器156とを備えている。
第1の共振器154は、互いに電気的に接続された第1のインダクタ161と第1のキャパシタ164とを有している。インダクタ161は、積層体170の外面上に配置され、インダクタ161として機能する第1のインダクタ用導体層171を含んでいる。第1のインダクタ用導体層171は、入力端子152(入力用導体層174)とグランド端子157(グランド用導体層177)とを電気的に接続する。第1のキャパシタ164は、積層体170の内部に配置され、グランドに電気的に接続される。キャパシタ164は、入力端子152に電気的に接続された内部導体層である導体層531,551,571と、グランド端子157,158,159に電気的に接続された内部導体層である導体層541,561,581とを用いて構成されている。
第2の共振器155は、互いに電気的に接続された第2のインダクタ162と第2のキャパシタ165とを有している。インダクタ162は、積層体170の外面上に配置され、インダクタ162として機能する第2のインダクタ用導体層172を含んでいる。第2のインダクタ用導体層172は、出力端子153(出力用導体層175)とグランド端子158(グランド用導体層178)とを電気的に接続する。第2のキャパシタ165は、積層体170の内部に配置され、グランドに電気的に接続される。キャパシタ165は、出力端子153に電気的に接続された内部導体層である導体層532,552,572と、グランド端子157,158,159に電気的に接続された内部導体層である導体層541,561,581とを用いて構成されている。
第3の共振器156は、互いに電気的に接続された第3のインダクタ163と第3のキャパシタ166とを有している。インダクタ163は、積層体170の外面上に配置され、インダクタ163として機能する第3のインダクタ用導体層173を含んでいる。第3のインダクタ用導体層173は、グランド端子159(グランド用導体層179)に電気的に接続されている。第3のキャパシタ166は、積層体170の内部に配置され、グランドに電気的に接続される。キャパシタ166は、導体層176を介して第3のインダクタ用導体層173に電気的に接続された内部導体層である導体層533,553,573と、グランド端子157,158,159に電気的に接続された内部導体層である導体層541,561,581とを用いて構成されている。
ここで、図19に示したように、積層体170の上面170Aの縦、横の長さをそれぞれ記号D2,W2で表し、積層体170の厚みを記号H2で表す。D2,W2,H2は、それぞれ、例えば0.5mm、1.0mm、0.3mmである。また、図21において、複数の誘電体層の積層方向における積層体170の中央を、記号Cを付した一点鎖線で示す。本実施の形態では、インダクタ用導体層171,172,173は積層体170の上面170A上に配置され、キャパシタ164,165,166は、複数の誘電体層の積層方向における積層体170の中央Cと底面170Bとの間に配置されている。誘電体層52〜58の厚みは、例えば20μmである。この場合、誘電体層52の上面から積層体170の底面170Bまでの距離は、140μm(=0.14mm)であり、キャパシタ164,165,166は、複数の誘電体層の積層方向における積層体170の中央Cと底面170Bとの間に配置されている。
本実施の形態では、特に、3つのインダクタ用導体層171,172,173が積層体170における1つの端面である上面170Aに配置されている。そのため、本実施の形態によれば、電子部品151を小型化しながら、インダクタ用導体層171,172,173が積層体170の内部に配置されている場合に比べて、インダクタ用導体層171,172,173を大きくすることが可能であると共に、インダクタ用導体層171,172,173とグランド(グランド用導体層541,561,581)との間の距離を大きくすることが可能である。これにより、本実施の形態によれば、共振器154,155,156のQを大きくすることが可能になる。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、本発明の電子部品は、隣接する2つの共振器同士が誘導性結合するように設けられた4つ以上の共振器を備えていてもよい。
本発明の電子部品は、ブルートゥース(登録商標)規格の通信装置、無線LAN用の通信装置、ワイマックス(登録商標)規格の通信装置において用いられるフィルタ、特にバンドパスフィルタとして有用である。
1…電子部品、2…入力端子、3…出力端子、4,5…共振器、11,12…インダクタ、13〜15…キャパシタ、20…積層体、21…第1のインダクタ用導体層、22…第2のインダクタ用導体層。