JP4820016B2 - 新規カチオン染料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規カチオン染料に関し、さらに詳しくは、色素母体にアミノエチルスルホニルフェニル基を導入した染着率および堅牢度に優れたカチオン染料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から種々の天然および合成染料が、各種の繊維材料、皮革、紙、パルプ等の染色に使用されている。これらの染料として、アゾ結合を色素母体とするアゾ色素、キノイド構造を色素母体とするナフトキノン、アントラキノンなどのキノン型色素、フタロシアニン構造を色素母体とするフタロシアニン色素などが多用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これらの一般に使用される染料は、染着速度、染着率などの染色特性、耐光堅牢度、湿潤堅牢度などはある水準に達しているものの、染色廃水中の残存量をゼロにする、すなわち染着率を100%にすることは極めて困難であり、かつそれらは極めて分解し難いために廃水処理の大きな負荷になっている。
【0004】
一方、染色工業においては、特に染色時間の短縮、廃水処理負荷の軽減などの合理化が要求されており、染着速度および染着率が高く、かつ染色物の諸堅牢度が良好な染料の開発が切望されている。特に、紙、パルプの染色においては、紙の保存性、機器装置類の腐食性、廃水処理などの観点から、染料やサイズ剤の定着に硫酸アルミニウムを使用する酸性抄紙法から、硫酸アルミニウムを使用しない中性抄紙法への転換が急速に進められ、今やそれが主流になりつつある。しかしながら、中性抄紙法では、従来の染料は染着速度が遅く、かつ染着率も低いため高濃度の染色物が得られ難い。さらに染料の廃水中への逃げも大きくなる。また、これらの染料は、特に晒しパルプに対する染着率が予想外に小さく、未染着の染料が染色廃水中に多量に残存する。さらにまた、他の材質の染色において例えば、羊毛、絹、皮革、木綿等を従来からの直接性染料や酸性染料等のアニオン性染料単独で濃色に染色する場合には染着率におのずと限界があり、飽和染色された以上に染色すると廃水中への未染着の染料が多量に存在する事となり濃色染色は困難である。
【0005】
本発明は、特に紙、パルプへの染着速度が速く、かつ染着率の高い、染着時間や短縮や廃水処理の負荷の軽減などの合理化を達成し得る、また直接性染料や酸性染料等のアニオン性染料で染色された材質に対しても速やかに造塩し、高濃度で高光沢、かつ優れた湿潤堅牢度、耐光堅牢度を有する染色物が得られる良好な染色特性および堅牢度を有する新規カチオン染料を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記目的を達成すべく鋭意研究した結果、アゾ色素、アントラキノン色素およびフタロシアニン色素よりなる群から選択される色素母体にアミノエチルスホニルフェニル基を導入した染料化合物類が、紙、パルプへの染着速度が速く、かつ染着率が高く、また染色物の耐光および湿潤堅牢度に優れることを見出し、また、直接性染料や酸性染料等のアニオン性染料で染色された材質、例えば羊毛、絹、皮革、木綿等のトッピング(上掛け)染色に使用した場合でも少量の使用で速やかにアニオン染料と造塩し、アニオン性染料単独で染色した場合に比べはるかに高濃度で高光沢の、かつ耐光および湿潤堅牢度に優れた染色物が得られる事を見出し、本発明を完成した。
【0007】
本発明は、下記一般式(1)
D−(R0)n (1)
[式中、nは1、2または3であり、
Dはアゾ色素、アントラキノン色素およびフタロシアニン色素よりなる群から選択される色素母体を表し、
R0は、下記一般式(2)
【化3】
[式中、RaおよびRbは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基を表し、R1aおよびR1bはそれぞれ独立して水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、式
【化4】
(ここで、Zaは炭素数1〜4のアルキレン基、R2aおよびR2bはそれぞれ独立して水素、炭素数1〜3アルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を表す)で表されるアミノアルキル基を表す]で表されるアミノエチルスルホニルフェニル基を表し、nが2または3の場合R0のそれぞれは同一でも異なっていてもよい]で表されるカチオン染料である。
【0008】
【発明を実施するための形態】
本発明のカチオン染料において、前記一般式(1)中、Dは、染料化合物を構成する原子団中に少なくとも1のアゾ(−N=N−)結合を有するアゾ色素、原子団がキノイド構造を有するアントラキノン色素および原子団がフタロシアニン構造を有するフタロシアニン色素よりなる群から選択される色素母体である。
【0009】
アゾ染料化合物の前記一般式(1)中、Dで表される色素母体は、式
X(−N=N−)p
(ここで、Xは色素母体の骨格を表し、pは1〜5の整数である)で表すことができ、−N=N−結合は骨格Xの末端、骨格Xの内部、またはそれらの両方に存在することができる。
【0010】
上記アゾ染料化合物の骨格Xを構成し得る化合物として、たとえば下記一般式(3)〜(10)で表されるカップル成分やナフトールAS属下漬剤および類似した構造を有する化合物を挙げることができる。
【0011】
【化5】
【0012】
上記一般式(3)中、R5はアミノ基またはヒドロキシ基を表し、R6はヒドロキシ基、炭素数1〜3のアルコキシ基または−NHR10(ここにR10は水素、炭素数1〜3のアルキル基、アセチル基、カルボニルアミノ基、ベンゾイル基を表す)を表し、R7は炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、ハロゲン基を表す。
【0013】
上記一般式(4)、(6)および(7)中、R8のそれぞれは水素、炭素数1〜3のアルキル基、アセチル基またはカルボニルアミノ基を表し、一般式(4)中のR9は水素またはヒドロキシ基を表す。
【0014】
上記一般式(5)中、Zbは単結合(−)、−CO−またはアルキレン基を表す。
【0015】
上記一般式(9)および(10)中、R3のそれぞれは水素、炭素数1〜3のアルキル基、カルボニル基またはカルボメチル基を表し、R4aおよびR4bのそれぞれは独立して水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表す。
【0016】
上記一般式(6)および(7)中、Yは下記式(a)または(b)で表される基である。
【化6】
【0017】
上記式(a)中、R11およびR12は、独立してハロゲン、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルキル基、アルコキシ基またはニトロ基を表し、式(b)中、R11は(a)と同じであり、13aおよびR13bのそれぞれは独立して水素または炭素数1〜3のアルキル基を表す。
【0018】
前記一般式(1)中、Dで表される色素母体を構成しうるアントラキノン染料化合物として、1,4−ジアミノアントラキノン−2−スルホン酸などを挙げることができる。またフタロシアニン染料化合物として銅フタロシアニンなどを例示することができる。
【0019】
上記色素母体に導入されるアミノエチルスルホニルフェニル基として、前記一般式(2)中のR1aおよびR1bは好ましくはメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、アミノアルキル基であり、好ましいアミノアルキル基は式中のZaがエチレン(ジメチレン)、プロピレン(トリメチレン)であり、R2aおよびR2bがメチル基、エチル基である。またRaおよびRbは、好ましくはメチル基、メトキシ基である。
【0020】
本発明の前記一般式(1)で表されるカチオン染料化合物は、公知の方法で容易に製造することができる。アゾ染料化合物は、たとえば、下記一般式(11)
【化7】
(式中、Ra、Rb、R1aおよびR1bは、前記定義したとおりの意味を表す)で表されるアミンを公知の方法でジアゾ化し、次いで前記一般式(3)〜(9)で表されるアゾ染料化合物の骨格Xを構成し得る化合物と公知のカップリング反応により結合させて製造することができる。またスルファトエチルスルホニル基を含むアゾ染料化合物の骨格Xを構成し得る化合物のアミンをジアゾ化し、次いで前記一般式(3)〜(9)で表される化合物と公知のカップリング反応により結合させ、次いで例えばエチルアミン、ジエチルアミンまたはジエチルアミノエチルアミンのような各種アルキルアミンと結合させた後、公知の方法により処理して製造することもできる。
【0021】
アントラキノン染料化合物は、スルファトエチルスルホニル基を含むアントラキノン誘導体のスルファトエチルスルホニル基に例えばエチルアミン、ジエチルアミンまたはジエチルアミノエチルアミンのような各種アルキルアミンを結合させることにより製造することができる。また、フタロシアニン染料化合物はフタロシアニン誘導体に導入されたスルホン酸基に上記一般式(11)で表されるアミンを直接結合させることにより容易に製造することができる。
【0022】
本発明の前記一般式(1)で表されるカチオン染料化合物の具体例およびそれらの色相を表1に示す。なお、化合物番号5および18は参考例である。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
本発明のカチオン染料化合物は、乾燥して粉末状または顆粒状の形態とすることができるが、有機酸および/または水溶性有機溶媒に溶解させた濃厚液状の形態とすることが好ましい。
【0028】
有機酸として、たとえばギ酸、酢酸、乳酸、クエン酸、グリコール酸、メタンスルホン酸などが挙げられる。水溶性有機溶媒としては、たとえばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、メチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、チオグリコール、ブチルラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチホルムアミド、ホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
これらの有機酸および水溶性溶剤は2種以上を混合して使用することが好ましい。
【0029】
【実施例】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
なお、実施例中の「部」および「%」は特に断りのない限り重量基準である。
【0030】
実施例1 化合物番号3のアゾ染料化合物
4−(β−スルファトエチルスルホニル)アニリン28.1部を水100部に溶解し、攪拌下に2´−ジメチルアミノエチル−2−ジエチルアミノエチルアミン28.0部を滴下し、次いで水酸化ナトリウム4.0部を添加して70℃で1時間反応させた。反応終了後常温まで冷却し、析出した生成物を濾別して前記一般式(11)中、R2aが−C2H4N(C2H5)2、R2bが−C2H4N(CH3)2である下記式(12)のアミンを得た。
【化8】
【0031】
得られたアミン37.0部を水150部および濃塩酸32.0部と共に十分攪拌した後、4N亜硝酸ナトリウム25.0部を用いて5〜10℃でジアゾ化し、次いでm−フェニレンジアミン−4−スルホン酸18.8部と水酸化ナトリウム4.0部を水100部に溶解したカップリング成分中に10℃以下の温度に保持して添加した。水酸化ナトリウム水溶液でpH5.0に調整してカップリング反応を完結させ、反応終了後塩化ナトリウム50部を用いて塩析させ、析出した生成物を濾別し、乾燥させて下記式(13)で表される化合物番号3のアゾ染料化合物を得た。
【化9】
【0032】
得られたアゾ染料化合物は、水に易溶性であり、紙を赤味がかった黄色に染色した。この染色物は良好な耐光堅牢度および湿潤堅牢度を示し、かつ中性抄紙の染色においてビルドアップ性が優れ、廃水の着色は全く認められなかった。
【0033】
実施例2 化合物番号9のアゾ染料化合物
4−(β−スルファトエチルスルホニル)アニリン28.1部を水100部と濃塩酸20.0部と共に十分攪拌した後、4N亜硝酸ナトリウム25部を用いて5〜10℃でジアゾ化し、次いで2−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸23.9部および炭酸ナトリウム5.3部を水150部に溶解した溶液に添加した。炭酸ナトリウム水溶液でpH4.0に調整してカップリング反応を完結させた。
【0034】
この反応液に2,2´−イミノビス(N,N−ジメチルエチルアミン)20.7部を攪拌下に滴下し、水酸化ナトリウム6.0部を添加して70℃で1時間反応させた。反応液を常温に冷却した後、塩化ナトリウム50.0部を加えて塩析し、析出した生成物を濾別し、下記式(14)で表される化合物番号9のアゾ染料化合物のケーキ130部を得た。
【化10】
【0035】
得られた染料化合物のケーキ130部に酢酸150部および水120部を加え染料化合物15%を含有する濃厚溶液を得た。
この染料は、紙をやや青みの赤色に染色した。この染色物は良好な耐光堅牢度および湿潤堅牢度を示し、かつ中性抄紙の染色においてビルドアップ性が優れ、廃水の着色は全く認められなかった。
【0036】
実施例3 化合物番号12のアントラキン染料化合物
ビニルスルホン型反応性染料 (C.I. Reactive Blue 19) 60.3部を水500部に溶解し、2´−ジメチルアミノエチル−3−ジメチルアミノプロピルアミン26.1部を添加し、次いで水酸化ナトリウム4.0部を加えて60℃で1時間反応させた。反応液を常温に冷却後、析出した生成物を濾別し、湿ケーキ98部を得た。
【0037】
得られた湿ケーキ98部に酢酸180部および水172部を加え、下記式(15)で表される化合物番号12のアントラキノン染料化合物15%を含有する濃厚溶液を得た。
【化11】
【0038】
得られた染料は紙を鮮明な青色に染色した。この染色物は良好な耐光堅牢度および湿潤堅牢度を示し、かつ中性抄紙の染色においてビルドアップ性が優れ、廃水の着色は全く認められなかった。
【0039】
実施例4 化合物番号15のアゾ染料化合物のナトリウム塩
4−(β−スルファトエチルスルホニル)アニリン28.1部を水100部と濃塩酸20.0部と共に十分攪拌した後、4N亜硝酸ナトリウム25部を用いて5〜10℃でジアゾ化し、次いで1−アミノ−8−ナフトール−3,6−スルホン酸モノナトリウム塩34.1部を添加し、pH2に調整して10〜15℃で3時間反応させカップリング反応を完結させた。
【0040】
この反応液に2,2´−イミノビス(N,N−ジメチルアミン)20.7部および水酸化ナトリウム8.0部を添加して70℃で1時間反応させ、下記式(16)で表されるアゾ染料化合物の溶液を得た。
【化12】
【0041】
4−(β−スルファトエチルスルホニル)アニリン33.7部を水100部に溶解し、攪拌下にジメチルアミン50%水溶液13.0部を滴下し、さらに水酸化ナトリウム5.0部を加えて60℃で1時間反応させた。反応液を常温に冷却し析出した結晶を濾別して一般式(11)中のR1aおよびR1bが共にメチル基である下記式(17)のアミンの湿ケーキ45.0部を得た。
【化13】
【0042】
得られたアミンの湿ケーキ45.0部に濃塩酸30.0部を加え十分に攪拌した後、4N−亜硝酸ナトリウム25.0部を用いて5〜10℃でジアゾ化した。次いで先に得られたアゾ染料化合物溶液中にこのジアゾ化物を1時間掛けて滴下し、10%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH9に調整保持しながら10〜15℃でカップリングさせた。カップリング反応終了後、析出した生成物を濾別し、下記式(18)で表される化合物番号15のアゾ染料化合物のナトリウム塩の湿ケーキ160部を得た。
【化14】
【0043】
得られた湿ケーキ160部に酢酸280部および水200部を加えて上記染料化合物15%を含有する濃厚溶液を調製した。
得られた染料は紙を鮮明な青味がかった黒色に染色した。この染色物は良好な耐光堅牢度および湿潤堅牢度を示し、かつ中性抄紙の染色においてビルドアップ性が優れ、廃水の着色は全く認められなかった。
【0044】
染色例1
叩解度25°SRのLBKP:NBKP(=50:50)のパルプ500部(乾燥重量100部)と水3000部のパルプスラリーに実施例1で得られた化合物番号3のアゾ染料化合物の10%水溶液を20部加えて5分間よく攪拌した。次いで炭酸ナトリウム水溶液を加えてpH値を7.0に調整した。
【0045】
このスラリーにカチオン澱粉(CATOF、王子ナショナル(株)製)0.5部を加えて5分間攪拌した後、アルキルケテンダイマー系サイズ剤(ハーコン40B、ディックハーキュレス(株)製)0.1部(固形分換算)を添加してさらに10分間攪拌した。さらに水6500部を加えて希釈し、常法に従って抄紙した。抄紙廃水の着色は全く認められず、得られた染色紙はカラーバリューのあるやや赤味を帯びた黄色であり、良好な日光堅牢度および湿潤堅牢度を有した。
【0046】
染色例2
クロムなめしされた豚革15.0部(乾燥重量7.5部、100mm(w)×200mm(L)×0.8mm(t))を回転型染色槽(内径200mmφ×高さ60mmhの円筒形)に入れ、その中に水38.0部を用いて40℃で10分間回転させる洗浄操作を2回実施して豚革を十分に水洗した。
【0047】
洗浄処理した豚革を染色槽から取り出し、改めて同型の回転型染色槽に入れ、直接性染料(C.I. Direct Black 169)10%溶液4.5部を注入して40℃で30分間回転させて染色した。次いで加脂剤(シンコリンL、吉川製油(株)製)1.1部を加えてさらに40℃で60分間回転させて加脂を行った後、ギ酸0.2部を追加して20分間回転させて染料を定着させた。染色された豚革を取り出し、前記回転型染色槽で水38.0部を用いて40℃で10分間回転させて水洗処理した。
【0048】
次いでこの豚革を取り出し、改めて前記染色槽と同型の回転型染色槽に入れ、水23.0部と実施例4で得られた化合物番号15のアゾ染料のナトリウム塩の黒色染料の濃厚溶液の10%水溶液3.5部を注入し、40℃で20分間回転させて染色し、続いてギ酸0.04部を追加してさらに20分間回転させて染料を定着させ、いわゆるトッピング染色(上掛け染色)を行った。染色槽から豚革を取り出し、上記と同様に水洗処理した後、15時間掛けて自然乾燥させた。
【0049】
この染色豚革は、直接染料や酸性染料のみを用いて染色した豚革に比較して遥かに高濃度の黒色に染色されており、染料の泣き出し(他材料への色移り)もなく湿潤堅牢度が優れており、日光堅牢度も優れていた。またトッピング染色廃液の着色も認められなかった。
【0050】
【発明の効果】
本発明のカチオン染料は、基材に対する染色速度、染着率および染色濃度が極めて高く、またそれらを用いて得られた染色物および染色基材は優れた耐光および湿潤堅牢度を有する。
【0051】
さらに、本発明のカチオン染料を使用した染色廃液は着色が認められず無色であることから廃液処理に過大な負荷を与えないことから、染色工程を合理化でき、さらに環境保全上も大きな利点を有する。
本発明は新規カチオン染料を提供するものであり、その産業的意義、特に染料および染色分野における意義は極めて大きい。
Claims (1)
- 下記一般式(1)
D−(R0)n (1)
[式中、nは1、2または3であり、
Dはアゾ色素、アントラキノン色素およびフタロシアニン色素よりなる群から選択される色素母体を表し、
R0は、下記一般式(2)
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