JP4820003B2 - 癌の血清マーカーとしてのs100タンパク質および自己抗体 - Google Patents

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Description

【0001】
(緒論)
本発明は、被験者の血清および他の生物学的流体中のS100タンパク質濃度の増加を検出することにより被験者における癌の診断および予後のためのスクリーニング法に関する。本発明の方法は、癌を発症する危険性のある被験者を同定する目的で用いることもできる。本発明の方法は、被験者由来の血清試料または他の生物学的流体試料を用いる特異的循環S100タンパク質の存在および濃度の測定を包含する。本発明は、被験者の血清中の特異的S100タンパク質抗原に対する血清自己抗体の存在を検出することによるこの被験者の癌の診断、予後または感受性のスクリーニング法も提供する。本発明は、上記スクリーニング法を行うためのキットも提供する。このようなキットは、S100タンパク質の濃度増加、または癌の診断、予測または予後指標としてのS100タンパク質に対する自己抗体の検出の目的で被験者をスクリーニングするのにも用いられる。本発明は、癌の被験者由来の血清試料における特異的S100タンパク質の濃度増加を確認する例によって示される。更に、幾つかのS100タンパク質に対して反応性の循環自己抗体の濃度増加も、癌被験者の血清中で検出した。
【0002】
(発明の背景)
多数の細胞タンパク質の濃度が、様々な種類の癌の被験者の体液中では増加することが示されている。癌被験者におけるこのようなタンパク質の濃度増加により、癌の存在についての診断および予後分析法が提供される。例えば、前立腺特異抗原(PSA)は、患者に前立腺癌があることの指示薬として用いられることが多い。突然変異体p53の場合のように腫瘍由来タンパク質に対する抗体の存在も、幾つかの癌で見られることも注目されている。しかしながら、腫瘍中のどのタンパク質が抗原性でありまたは体液中で濃度増加することがあるかについて予測できる知見はほとんどない。
【0003】
S100タンパク質は、細胞骨格/膜相互作用、細胞分割および分化などの様々な細胞過程で重要な役割を演じると考えられている低分子量の結合タンパク質である。S100ファミリーのタンパク質は、少なくとも17個のファミリー成員からなり、このファミリーのタンパク質をコードする遺伝子はヒト染色体1q21に局在していた。S100タンパク質は、高親和性でカルシウムと結合する特徴的なEF−ハンドドメインを有する。S100タンパク質という名称はオリジナルタンパク質を表し、他のS100タンパク質は例えばS100−A7、S100−A8などと具体的に表される。
【0004】
2個の特異的S100タンパク質、S100−A8およびS100−A9であって、骨髄関連タンパク質−8(MRP−8)および骨髄関連タンパク質−14(MRP−14)とも表されるものは、中央のヒンジ領域によって分離された両端に疎水性領域が隣接した2個の明確なEF−ハンドからなっている。S100−A8はマクロファージに対する走化性を伝達することが示されており、(2個のEF−ハンドの間の)ヒンジ領域によってコードされるペプチドはこの効果を特異的に伝達することが示されている。S100−A8およびS100−A9は、いずれも顆粒球および単球から分泌されることが示されているが、これらのタンパク質は古典的なシグナルペプチドを持たないので、どのようにして分泌されるかは現在のところ明らかになっていない。カルシウム結合によって疎水性ドメインが暴露され、これが膜と相互作用できることによって、これらの分子が分泌されることが考えられる。S100−A8およびS100−A9はいずれも、ホモ二量体化および互いにヘテロ二量体化し、様々な分子量の複合体を形成する。嚢胞性繊維症抗原(S100−A8とS100−A9のヘテロ二量体化によって形成されるエピトープ)に対する抗体は、S100−A9であることが示されている14kDaの抗原に対しても積極的に反応する。
【0005】
S100タンパク質の発現は、様々な疾患で評価されている。例えば、S100タンパク質は潰瘍性大腸炎、クローン病のような炎症性疾患の被験者の血清マーカーとして、およびAIDSおよびマラリアなどの伝染病の被験者および血液疾患の被験者の血清マーカーとして評価されている。幾つかのS100タンパク質は癌の細胞侵襲および転移による展開を変更することができることを示している証拠が蓄積されてきている。例えば、S100タンパク質は、膀胱のヒト移行上皮癌の樹状細胞で発現し、これらの腫瘍の潜在侵襲力はS100タンパク質発現細胞の存在と相関することが示されている(Inoue et al.,1993,Virchows Arch A 422:351−355)。更に、S100A4の発現は、グリオーム細胞のイン・ビトロでの潜在侵襲力と相関する(Merzak,et al.,1994,Neuropathol.App.Neurobiol.,20:614−619)。
【0006】
S100タンパク質の発現は、黒色腫の血清マーカーとしても評価されている(Henze et al.199,Dermatology 194: 208−212; Buer et al.,1997,Brit.J.Cancer 75: 1373−1376; Sherbet et al., 1998,Anticancer research 18:2415−2422)。しかしながら、S100タンパク質は、以前は一般に癌の血清マーカーであるとも、また血清中でのそれらの検出可能性が癌における予後または治療的意義を有するとも考えられていなかった。更に、癌におけるS100タンパク質に対する自己抗体の選考知見もなかった。
【0007】
(発明の概要)
本発明の目的は、被験者の生物学的流体試料におけるS100タンパク質発現の濃度増加を検出することによる、癌の診断および予後評価、癌の疾病素質を有する被験者の同定、および癌の治療を受けている患者の観察法を提供することである。本発明は、癌の診断または予後指示薬としての個々のS100タンパク質の過剰発現および/またはS100タンパク質の群の過剰発現を検出する方法を提供する。
【0008】
本発明は、被験者の血清試料中のS100タンパク質の濃度を検出する目的で開発された分析法である。このような分析法は、S100タンパク質を抗S100特異抗体とのそれらの相互作用によって検出するイムノアッセイを包含する。例えば、S100抗体または抗体の断片を用いて、血清試料中のS100タンパク質の存在を定量的に検出することができる。
【0009】
本発明は、癌または前癌病巣を有する被験者の血清中のS100タンパク質抗原に対する自己抗体を検出することによる癌の診断評価および予後にも関する。S100タンパク質に対する自己抗体の血清濃度の増加を検出することにより、癌のスクリーニング、診断および予後の新たな方法が得られる。
【0010】
本発明は、S100タンパク質抗原に対する血清自己抗体の存在を検出するようにデザインされたイムノアッセイにおけるS100タンパク質抗原の使用に関する。このようなイムノアッセイは、癌の診断および予後に利用することができる。本発明によれば、被験者の血清中のS100自己抗体濃度の測定を用いて、癌の早期診断を行うことができる。更に、血清自己抗体濃度の観察を用いて、疾病の進行を予知することができる。
【0011】
本発明は、S100タンパク質を抗原として用いて、S100タンパク質抗原の発現を特徴とする疾患に罹っている患者を免疫することにも関する。このような抗原に対する免疫応答の刺激は、取り分け腫瘍細胞増殖の阻害または腫瘍細胞の死滅を促進するなどの腫瘍細胞の更に効果的な攻撃を誘導しようとするものである。特定の癌と関連したS100タンパク質抗原に対する自己抗体を同定することによって、この疾病の免疫療法の基礎が得られる。
【0012】
本発明は、癌または癌を発生させる疾病素質を有する患者を診断するための臨床的セットで好都合に用いられる予めパッケージになった診断キットをも提供する。このキットは、癌の治療に用いられる化合物の有効性を観察する目的でも用いられる。
【0013】
本明細書記載の本発明の具体的態様では、特異的S100タンパク質の濃度増加は、肺癌並びに結腸癌の被験者由来の血清試料で検出した。更に、多数のS100ファミリー成員が乳癌細胞から分泌されることが示され、体液試料中でのこれらの特異タンパク質の検出を、乳癌の被験者の診断および予後に用いることができることを示していた。更にもう一つの具体的態様では、特異的S100タンパク質に対する自己抗体が、癌の被験者の血清中で検出された。S100タンパク質およびS100自己抗体の濃度が癌被験者の血清中で増加するという知見により、癌の様々な治療処置の効果を観察するための診断および予後の方法並びに手段を開発するための基礎が得られる。
【0014】
(発明の詳細な説明)
本発明は、格別に望ましい目的、すなわち癌を有する被験者を診断および予後分析し、また癌発生の素因を示す患者を確認する方法を提供するという目的を達成する。本発明による分析法は、被験者の血清またはその他の生物学的液体中のS100タンパク質またはS100自己抗体の水準の増加が検出されるようにデザインされている方法を包含する。
【0015】
詳細に言えば、本発明は、被験者における癌を診断し、および予後する方法を包含し、この方法は、
(a)被験者から採取した生物学的液体試料中のS100−AG、S100−A7、S100−A8およびS100−A9からなる群から選択される少なくとも1種のS100タンパク質を検出し、次いで
(b)被験者の試料で検出されたタンパク質水準を、対照試料で検出されたタンパク質水準と比較する、
ことを包含し、ここで対照試料と比較として、対照試料で検出されたS100タンパク質水準の増加を、被験者が癌を有することの指標または癌を発生する危険性が増大していることの指標とする方法である。
【0016】
S100タンパク質を含有することができる広く種々のタンパク質混合物を調製することができ、またはタンパク質発現水準について分析することができる。好適態様において、分泌されたタンパク質が局在する血清またはその他の生物学的液体を使用し、増加した水準のタンパク質発現を識別することができる。
本発明は癌を有する被験者の診断および予後方法を包含し、この方法は、
(a)被験者から採取した血清試料を、特異的抗原−抗体結合を生じさせることができるような条件下に、S100タンパク質抗原を含有する試料と接触させ、次いで
(b)被験者の血清試料中に存在する自己抗体のS100タンパク質に対する免疫特異的結合の存在を検出する、
ことを包含する方法であって、この方法では当該自己抗体の存在が癌の存在を指示する。
【0017】
本発明の特定の態様において、S100タンパク質一族の全員を精製することができ、また敏感で、迅速な免疫吸着分析法によりまたはその他の方法により、このようなタンパク質抗原に対する循環している自己抗体の存在について、被験者の血清の鑑別に使用することができる。
【0018】
本発明はまた、前記方法を行うためのキットを提供する。一例として、抗−S100抗体などのS100タンパク質を検出するための少なくとも1種の試薬を包含する予め包装された診断キットを利用することによって、上記方法を行うことができる。別法として、この診断キットは被験者由来の試料中のS100自己抗体を検出するS100ペプチドを包含する。
【0019】
本発明は、血清中のS100タンパク質水準が、肺癌または結腸癌などの癌を有する被験者において増加するという発見に基づいている。さらに、乳癌細胞がS100タンパク質を分泌することが証明されており、従って循環するS100タンパク質の検出を、乳癌の被験者の診断方法および予後評価方法に使用することができる。さらにまた、S100タンパク質に対して反応性である循環する自己抗体水準の増加が癌を有する被験者の血清で検出されている。
【0020】
5.1 S100タンパク質発現検出のためのアッセイ
本発明に従い、血清または体液中のS100タンパク質水準の測定を、癌などの疾病の早期診断に使用することができる。さらにまた、S100タンパク質水準のモニタリングは、当該疾病の進行段階を予後的に評価し、また癌の被験者の処置に使用される化合物の効力を評価するために使用することができる。
【0021】
被験者からの体液中のS100タンパク質の検出は、多くの方法のいずれかによって行うことができる。患者の血清中のS100タンパク質を検出する好適診断方法は、例えばS100タンパク質をS100タンパク質抗体とのそれらの相互反応により検出するイムノアッセイを包含することができる。本発明に有用な抗体は、S100タンパク質の存在の定量的または定性的検出に使用することができる。さらに、抗体以外の試薬、例えばS100タンパク質に特異的に結合するポリペプチドを使用し、S100タンパク質発現水準を検出することもできる。
【0022】
本発明の実施に使用されるイムノアッセイには、これらの名前に制限されないものとして、ウエスターンブロッティング法、放射性イムノアッセイ、ELISA (酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈殿反応、ゲル拡散沈殿反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体固定アッセイ、免疫放射線アッセイ、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイなどの技法を用いる検定方式が包含される。
【0023】
S100タンパク質を含有することがある生物学的試料、例えば血清または分泌されたタンパク質を局限化できるその他の生物学的液体は、特定の癌を有する恐れがあるか、または癌の危険性を有する被験者から得る。S100タンパク質の発現を検出するためのイムノアッセイは代表的に、生物学的試料、例えば被験者から採取した血清試料を、特異的抗原−抗体結合を生じさせることができる条件下に、抗−S100抗体と接触させ、次いで抗体による免疫特異的結合量を測定することを包含する。特定の態様において、例えばこのような抗体の結合を使用し、S100タンパク質の存在および増加した発現が検出される。この場合、増加したS100タンパク質発現の検出が疾病状態の指標となる。血清試料中のS100タンパク質水準を、各種癌について無癌段階または前癌疾病段階にある正常な個人で確立されている基準と比較する。
【0024】
本発明の一態様において、血清試料などの生物学的試料を、試料中に存在する全部のタンパク質を不動化する目的で、ニトロセルロースなどの固体相支持体または担体と接触させる。この支持体を次いで、緩衝液で洗浄し、引き続いて検出可能に標識したS100特異性抗体により処理する。この固体相支持体を次いで、緩衝液で2回洗浄し、未結合抗体を除去する。固体支持体上の結合した抗体の量を、周知の方法に従い測定する。当業者は、常習的試験法を採用することによって各測定に適する検定条件を決定することができる。
【0025】
S100抗体を検出可能に標識する方法の一つでは、当該抗体を酵素、例えば酵素イムノアッセイ(EIA)に使用されるもののような酵素に結合させる[Voiler,A.による「酵素標識した免疫吸着アッセイ」(“The Enzyme Linked Immunosorbent Assay)(ELISA),1978,Diagnostic Horizons,2:1〜7,Microbiological Associates Quarterly Publication,Walkersville.MD; Voiler,A.によるJ.Clin.Pathol.,31:507〜520,1978:Butier,J.E.によるMeth.Enzymol.,73:482〜523,1981]。抗体に結合する酵素を、例えば分光光度測定により、可視手段による蛍光測定により検出することができる化学分子が生成されるような方法で、適当な基質、好ましくは色素原性基質と反応させる。抗体に検出可能な標識を付けるために使用することができる酵素は、これらに制限されないものとして、ペルオキシダーゼおよびアルカリ性ホスファターゼを包含する。この検出はまた、酵素に対する色素原性基質を用いる比色法により達成することができる。
【0026】
S100抗体の検出はまた、その他の種々の方法を用いて行うことができる。一例として、抗体または抗体断片を放射線活性に標識することによって、放射線イムノアッセイ(RIA)の使用によりS100タンパク質発現を検出することができる[例えば、Weintrsub,B.による放射線免疫検定の原理、ラジオリガンド検定技術に関する第7回トレーニング コース(Principles of Radioimmunoassays,Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniques),The Endocrine Society,1986年3月参照]。放射性同位元素は、ガンマカウンターまたはシンチレーションカウンターのような手段の使用により、もしくはオートラジオグラフイにより検出することができる。
【0027】
抗体はまた、蛍光化合物により標識することができる。最も慣用の蛍光標識化合物の中には、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン(phycoerythrin)およびフルオレスカミン(fluorescamine)がある。同様に、生体発光性化合物を用いて、S100抗体を標識することもできる。生体発光性タンパク質の存在は、蛍光の存在を検出することによって測定される。この標識目的に重要な生体発光性化合物は、ルチフェリン(lutiferin)、ルシフェラーゼ(luciferase)およびアエクオリン(aequorin)である。
【0028】
本発明の特定の態様において、生物学的試料中のS100タンパク質の発現水準は、二次元電気泳動法により分析することができる。二次元ゲル電気泳動法は、当業者に知られている。血清試料などの生物学的試料を、第一次元で電荷に基づいてタンパク質を分離する等電点焦点化分離用電気泳動用ゲル上に装填する。不動化した勾配に基づく分離用のゲルストリップまたは担体両性電解質に基づく分離用の管状ゲルを包含する多数の第一次元ゲル標本を使用することができる。第一次元分離後、タンパク質を第二次元ゲル上に移し、次いで平衡化し、次いでタンパク質をその分子量に基づいて分離するSDS PAGEを用いて分離する。相違する被験者から採取した血清試料を比較する場合、複数のゲルを各血清試料から調製する。
【0029】
分離後、この第二段階ゲルからウエスターンブロティッング法に慣用の膜上にタンパク質を移す。ウエスターンブロティッング法および引き続くタンパク質の可視化はまた、当業者に周知である[Sambrookらによる「分子クローニング。実験指針」(Molecular Cloning.A laboratory manual),2版、3巻、1989,Cold Spring Harbor]。標準的方法を用いることができ、またはこの方法を特定の種類のタンパク質、例えば高度に塩基性または酸性、もしくは脂質可溶性などの種類のタンパク質の同定にかかわり当該技術で知られているように修正することもできる[例えば、Ausubelらによる「分子生物学における現在の方法」(Current Protocols in Molecular Biology),Green Publishing Associates and Wiley Interscience,N.Y.参照]。S100タンパク質に結合する抗体を、ウエスターンブロッティング分析法におけるようなインキュベーション工程に用いる。第一の抗体に対して特異性の第二の抗体をウエスターンブロッティング分析法で使用し、第一抗体と反応するタンパク質を可視化する。
【0030】
S100タンパク質発現の検出を用いて、処置中の強力な抗癌化合物の効力をモニターすることもできる。一例として、S100タンパク質発現水準は、処置前および処置中に測定することができる。次いで、処置全体にわたるS100タンパク質発現を比較することによって、この化合物の効力を測定することができる。効果を示す化合物は、化合物による処置の進行に従い、S100タンパク質発現水準を減少させる化合物である。
【0031】
本発明は、上昇したS100タンパク質水準が癌の被験者から採取した血清中で検出されたという例により証明される。特に、上昇したS100−A9水準が、結腸癌および肺癌患者から採取された血清試料中で検出された。さらに、S100−A7およびS100−A9タンパク質が、乳癌細胞により分泌されることが証明され、これに基づいて、乳癌の診断および予後方法が提供される。血清またはその他の体液中のS100タンパク質の検出および/または定量測定を使用して、或る種の癌を発症する危険性を有する被験者またはS100タンパク質が過剰に発現するその他の増殖性障害を有する被験者を識別することができる。さらにまた、血清または生物学的液体中のS100タンパク質一族の相違する一員の発生パターンの定性的差異を使用して、癌発症または癌発症の危険性の診断的指標または予後的指標とすることもできる。
【0032】
5.2.抗−S100自己抗体の検出のためのアッセイ
本発明は、被験者における循環S100自己抗体の検出に基づく、癌のような疾患の診断および予知方法を提供する。この方法は、癌を有する被験者および癌のないコントロールからの生物学的試料の使用により確認される。自己抗体を含有する可能性のある生物学的試料、たとえば血清は、特定の癌の存在が疑われる被験者または癌を発症する素因が疑われる被験者から得られる。同じ体液が、癌をもたないコントロールから得られる。
【0033】
本発明によれば、S100タンパク質抗原に対して反応性の自己抗体の測定を疾患たとえば癌の初期診断に使用することができる。さらに、自己抗体レベルのモニタリングは疾患の進行を予知的に明らかにするために使用することができる。患者からの血清試料中の自己抗体の検出は任意の多くの方法で実行することができる。このような方法にはイムノアッセイがあり、これにはそれらに限定するものではないが、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(固相酵素免疫測定法)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ等が包含される。
【0034】
このようなイムノアッセイは、被験者由来の試料を、S100タンパク質抗原を含む試料と特異的な抗原−抗体結合が起こる条件下に接触させ、自己抗体による免疫特異的結合を検出またはその量を測定することからなる方法によって実施される。特定の態様においては、組織切片によるこのような自己抗体の結合を、たとえば自己抗体の存在を検出するために使用することが可能であり、この場合、自己抗体の検出は疾患状態の指示である。血清試料中における自己抗体のレベルを、障害をもたない被験者からの同種の血清試料中に存在するレベルと比較する。
【0035】
イムノアッセイは様々な方法で実施することができる。たとえば、このようなアッセイを実施するための一方法は、S100タンパク質の固体支持体上への繋留およびそれに特異的に結合する抗−S100抗体の検出を包含する。本発明のアッセイに用いられるS100タンパク質は、本技術分野において周知の組換えDNA技術によって調製できる。たとえば、S100タンパク質をコードするヌクレオチド配列が利用できる場合は、S100タンパク質の大規模な調製のためにDNAを適当な発現ベクター中に遺伝子操作することができる。S100の標識、固定化または検出を容易にすることができる融合タンパク質を遺伝子操作するのが有利である。たとえば、Sambrookら,1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.に記載された技術を参照されたい。別法として、S100タンパク質は天然のソースから精製することができる。たとえば、細胞から本技術分野において周知のタンパク質分離技術を用いて精製する。このような精製技術には、それらに限定されるものではないが、分子シーブクロマトグラフィーおよび/またはイオン交換クロマトグラフィーが包含される。実際にはS100タンパク質の固体支持体としてはマイクロタイタープレートが便利に使用される。表面は前もって調製し保存する。
【0036】
本発明はたとえば、数種のS100タンパク質抗原に対して反応性の循環自己抗体の高いレバルが癌患者の血清中で検出されたことにより確認される。血清中の循環抗−S100自己抗体の検出および/または定量的測定は、癌またはS100タンパク質が発現される他の増殖性障害の危険にある被験者のスクリーニングに使用することができる。加えて、本発明はさらに、腫瘍細胞に対する宿主の免疫応答を刺激する免疫原として、同定されたタンパク質抗原の使用に関する。このようなアプローチは、特定の癌を有する個体における腫瘍細胞の増殖阻害および腫瘍細胞殺滅の促進方法としての使用が期待される。
【0037】
5.3.免疫療法
本発明はまた、S100タンパク質抗原の発現を特徴とする疾患に罹患している患者を免疫処置するための抗原としてのS100タンパク質の使用に関する。このような抗原に対する免疫学的応答の刺激は腫瘍細胞のさらに効果的な攻撃たとえばとくに腫瘍細胞の増殖阻害または腫瘍細胞の殺滅の促進を誘導する意図である。特定の癌に関連するS100タンパク質抗原に対する抗体の同定は疾患の免疫療法の基礎を提供する。
【0038】
患者は、腫瘍細胞の殺滅を促進しまた腫瘍細胞の増殖を阻害する免疫応答を誘発するためにS100タンパク質抗原で免疫処置される。S100タンパク質抗原は、タンパク質の精製のために上述した方法を用いて調製することができる。
【0039】
本発明の一実施態様においては、S100タンパク質抗原に対する抗体を発生した癌患者に精製S100タンパク質抗原からなる免疫原を用いて免疫応答を誘発させる。投与のためには、S100タンパク質抗原を、そのタンパク質抗原に対する免疫学的応答を増大させるために適当なアジュバントとともに製剤化しなければならない。適当なアジュバントには、それらに限定されるものではないが、鉱質ゲルたとえば水酸化アルミニウム、界面活性剤たとえばリゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、および有用な可能性のあるヒトアジュバント、たとえばBCG(bacilli Calmett−Guerin)および(Corynebacte rium)が包含される。上述の製剤を導入するには多くの方法が用いられ、それらに限定されるものではないが、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内および皮下投与が包含される。
【0040】
5.4.キット
本発明はさらに、上述のアッセイを実施するためのキットを提供する。本明細書に記載されたアッセイは、たとえば、癌のような障害を診断するための臨床的セッティングにおいて簡便に使用できる、少なくとも1種のS100ペプチド(S100自己抗体の検出用)またはS100抗体試薬(S100タンパク質の検出用)からなる予めパッケージされた診断キットを利用して実施することができる。
【0041】
第一シリーズの非限定的実施態様においては、本発明のキットは、S100抗原に向けられたヒトIgG抗体を検出および/または測定するための成分からなる。抗体が固相酵素免疫測定法(ELISA)によって検出および/または測定される場合の一例として、このような成分は、固相に連結した少なくとも1種、好ましくは複数種の異なるS100抗原またはそれらのエピトープの形態における標的抗原、および標的抗原に結合するヒト抗体抗体を検出するための手段からなる。このような検出手段は、たとえば、ヒトIgGの定常部領域に向けられた抗体(たとえばウサギ抗−ヒトIgG抗体)であり、それ自体で検出可能なように標識(たとえば、放射能、蛍光、比色または酵素標識)されているか、または標識された二次抗体(たとえば、ヤギ抗−ウサギ抗体)によって検出される。
【0042】
第二のシリーズの非限定的実施態様においては、本発明のキットは被験者の生物学的試料中のS100抗原を検出および/または測定する成分からなる。たとえば、S100タンパク質が固相酵素免疫測定法(ELISA)で検出および/または測定される場合、このような成分は、生物学的試料中におけるS100発現のレベルを検出および/または定量するために使用できるS100タンパク質のエピトープに向けられた抗体からなる。抗体それ自体が検出可能な放射能、蛍光、比色または酵素標識で標識されてもよい。別法として、キットは標識された二次抗体を含有していてもよい。
【0043】
6.例:癌を有する被験者から単離された血清を用いる腫瘍抗原の検出
肺癌および結腸癌を有する被験者で、S100タンパク質のレベルの上昇を検出するためのアッセイを実施した。腫瘍組織および正常組織コントロールを以下のタイプの癌を有する被験者から得た。すなわち、小細胞肺癌、肺の扁平上皮細胞癌、肺の腺癌、食道癌およびバレットの化生、結腸癌、膵臓癌、乳癌および前立腺癌である。全組織のアリコートを二次元電気泳動の前に可溶化カクテルを用いて可溶化した。
【0044】
可溶化したタンパク質を、電荷に基づく第一次元における分離のために電気泳動ゲル上に置いた。2つの異なる第一次元ゲル調製物を担体両性電解質に基づく等電点電気泳動(IEF)のためのいわゆるチューブゲルおよび固定化されたpH勾配に基づく分離(IPG)のためのゲルストリップに使用した。1次元分離後に、タンパク質を第二次元ゲルに移し、平衡化操作に続いて分子量に基づく第二のディメンションで分離した。場合によっては、各血清試料について多重ゲルを調製した。タンパク質パターンは銀染色によって可視化し、正常および腫瘍組織の間の差異および/または異なる腫瘍タイプ間の差異をコンピューター化したマッチプロセスおよびスポット強度の定量によって分析した。
【0045】
コントロールに比較して特定の腫瘍において、多くのタンパク質の強度が増大して存在した。コントロールでは検出できない4種のタンパク質のセットが腫瘍パターン中では高い強度で存在した。のちにS100−A8として同定されたタンパク質の一つについて肺癌における定量的なデータを表1に示す。
Figure 0004820003
【0046】
このタンパク質を2-Dゲルから抽出し、アミノ酸配列決定に付した。それはN-末端アミノ酸配列MILTELEKALN(配列番号1)を与え、これはタンパク質データベースの検索により見出されたS100-A8タンパク質のアミノ酸配列の報告と100%同一であった。セット中における他の3つのタンパク質もS100タンパク質ファミリーに属するものと一致した。2つは4つのアミノ酸とは離れて位置する2つの翻訳開始部位をもつS100-A9と一致し、1つはモノクローナル抗体との反応性による決定および二次元タンパク質分離の発表された図との比較から、他のS100関連タンパク質であるカルギゼリンと一致した。これらのタンパク質の様々な腫瘍タイプの2-Dパターンにおける位置は図1および図2に示す。
【0047】
S100−A9に対する商業的に入手できる抗体(DAKO;Carpinteria,CA)を免疫組織化学およびウエスタンブロットのために用いた。肺癌を有する同一の患者由来の腫瘍組織および対応する正常な組織の切片において免疫組織化学を行った。分析した組織切片は、正常な肺組織において、最小のS100−A9免疫反応性を示した。腫瘍組織において観察された反応性の増加は、浸潤性細胞の存在に起因した。腫瘍に直接隣接した正常な組織の領域においても、腫瘍へ補給される浸潤性細胞(即ち、顆粒球、単球および/またはマクロファージ)により、目立った免疫反応性があった。
【0048】
S100−A9抗体が、正常な個人の血清中に存在するかもしれない水準より高い水準にある、腫瘍患者の血清中の特定のバンドを認識するかどうか決定するために、アッセイを行った。14人の肺腫瘍患者および14人の正常な個人の血清中に含まれるタンパク質を1次元ゲル電気泳動により分離し、当該タンパク質をPVDF膜へ移し、S100−A9タンパクに対し反応性である市販の抗体(DAKO;Carpinteria,CA)でプローブした。14kDaにおいて可視化したバンドにおける反応性の融合強度分析により、正常な個人由来の血清中(n=14、平均強度0.09)と比較して、腫瘍患者からの血清において、目立って増加した反応性が観られた(n=14、平均強度0.46)(表II)。幾つかの腫瘍において、22kDaにおける他のバンドが観られ、これはS100タンパクの他の免疫反応性形態による結果であると推測された。結腸癌を有する患者からの血清を用いても同様の結果が観られた。
【0049】
Figure 0004820003
【0050】
血清および他の生物学的液体中に検出される、腫瘍により合成されるタンパク質の可能性の主な決定因要素はその分泌される性質である。タンパク質が細胞により分泌されるのか否かを決定するタンパク質の特徴はあまり理解されていないままである。分泌過程に影響を及ぼす要因は、タンパク質における翻訳後の修飾の発生、および一定のシグナル経路の活性化に依存し得る。分泌性タンパク質の同定を容易にするため、培養腫瘍細胞により分泌されるタンパク質を精製する方法が開発され、クーマシーまたは銀染色により2次元ゲルでタンパク質を可視化し、それらの構成ペプチドのN−末端配列決定または質量分析により、分泌されたタンパク質スポットを分析する。この方法を用いて、S100ファミリーの3つのメンバーを、乳癌における分泌されるタンパク質であると同定した。二つの分泌タンパク質のN−末端配列決定により、それらは以下の配列に基づく、MRP8およびMRP14として同定された:
アミノ酸配列 同定
MLTELEKALN(配列番号2) MRP8
MCKMSQECRN(配列番号3) MRP14。
【0051】
さらに、質量分析により、S100A7が乳癌における分泌タンパク質であると同定された。質量分析により得られた7つのペプチドはS1007Aのため予想された質量と一致した。これらは、1291.65;1307.66;1323.65;1384.69;1455.66;1583.65および1711.91であった。
【0052】
7.例:癌患者の血清中のS100タンパクに対して特異的な自己抗体の検出
本発明の方法を用いて、肺癌を有する患者からの血清をS100タンパクに対する反応性についてスクリーニングした。
肺癌組織のアリコートを尿素カクテル(1リットルあたり:8M尿素、20mlノニデット(Nonidet)P−40界面活性剤、20mlの両性電解質(pH3.5〜10)、20mlの2−メルカプトエタノールおよび0.2mlのフェニルメチルスルホニルフロリド(PMSF)、蒸留非イオン化HO中)中に可溶化し、そして40μgの可溶化タンパク質をキャリアー両性電解質ベース(pH3.8)チューブゲル用に充填し、12,000ボルト時間1次元で分離した。平衡段階に続いて、1次元チューブゲルを2次元ゲルを含有するカセット上に充填した。2次元における電気泳動は、1次元ゲルについて、平衡緩衝液中に存在する追跡染色が2次元ゲルの反対側に到達した時に完了する。電気泳動に続いて、分離したタンパク質をポリビニリデンフロリド(PVDF)膜(ミリポア(millipore)上に移した。膜をブロッキング緩衝液と共にプレインキュベートし、次いで、緩衝溶液(無脂肪乾燥ミルク10mml当たり20から1.8gmの間、0.01%を含有するTris−緩衝−食塩水)中1:100で希釈された、肺腺癌を有する患者から得られた血清とともに1時間室温でインキュベートした。緩衝液で3回洗浄した後、膜をホースラディッシュペルオキシダーゼ結合ウサギ抗−ヒト抗体(Amershamより入手可能)と共に1時間インキュベートした。反応性タンパク質を化学発光法により明らかにした。癌患者からの血清試料が、マイクロシーケシングによりS100−A9およびカルギゼリン(calgizzerin)として同定されたS100タンパクのセットに対し反応性であることが解った。
【0053】
本発明は、本発明の一面の例証として意図された例において開示された態様により、範囲に限定されるべきではなく、機能的に等価のいかなる組成物または方法も本発明の範囲に包含される。まさに、上記説明により、本明細書に開示または記載のものに加え、本発明の種々の改変が当業者にとって明らかになる。そのような改変は、特許請求の範囲に入るものといとされる。本明細書に引用されている種々の刊行物の内容は、引用により、全体として組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1A】 患者由来の正常な結腸の2次元電気泳動ゲルパターン。幾つかのS100タンパクの位置は、矢印を用いて同定されている。MRP−14はS100−A9に対応し、MRP−8はS100−A8に対応する。
【図1B】 図1Aと同一の患者由来の結腸腫瘍の2次元電気泳動ゲルパターン。幾つかのS100タンパクの位置は、矢印を用いて同定されている。MRP−14はS100−A9に対応し、MRP−8はS100−A8に対応する。
【図2】 S100タンパク質の位置を同定する、乳癌細胞からの分泌タンパク質の2次元パターン。
【図3】 肺癌患者の血清中の、S100−A9に対応するタンパク質バンドの検出。
【図4A】 肺腺癌性腫瘍を有する患者由来の血清で処理した肺癌のウエスタンブロット。
【図4B】 正常な患者由来の血清で処理した肺癌のウエスタンブロット。

Claims (8)

  1. (a)被験者から誘導される血清試料と、特定の抗原−抗体反応が生じるような条件下での、S100−A9及びカルギゼリン(Calgizerin)からなる群から選択されるS100タンパク質抗原との接触、
    (b)被験者の血清試料中の、該S100タンパク質への自己抗体の免疫特異的な結合の検出、
    を包含し、自己抗体の存在が肺癌の存在を示す、
    肺癌の指標とするための方法。
  2. 被験者の血清試料中の自己抗体の検出工程が、被験者の血清試料中の抗体に特異的な抗体に結合されたシグナル発生成分の使用を包含する、請求項1に記載の方法。
  3. 血清試料中の自己抗体の存在を、
    (a)膜または基質上への、S100−A9及びカルギゼリン(Calgizerin)からなる群から選択されるS100タンパク質の固定、
    (b)膜または基質の被験者の血清試料への接触;および
    (c)被験者の血清試料中の該S100タンパク質に特異的な自己抗体の存在の検出、
    を包含するイムノアッセイにより行い、自己抗体の存在が肺癌の存在を示す、
    請求項2に記載の方法。
  4. 試料中のS100−A9及びカルギゼリン(Calgizerin)からなる群から選択されるS100タンパク質への自己抗体の存在を検出するための成分を含む、被験者中の肺癌の診断または予後のためのキット。
  5. 当該成分がS100抗原である、請求項4に記載のキット。
  6. S100抗原が標識されている、請求項5に記載のキット。
  7. S100抗原が固体相に結合している、請求項5に記載のキット。
  8. S100自己抗体の検出のための成分をさらに含む、請求項4に記載のキット。
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